人と食事をすることが怖くなってしまったこのご時世だからか、余計に愛しく眩しく感じる作品です。
よしながふみさんは「大奥」とか「西洋骨董洋菓子店」を友達から勧められた時に、内心「ア法学部シリーズ」の人だ!と思ったけど普通にBLじゃなかろうと
誰が読んでも面白く、どんなジャンルだろうと、変わらぬ作風と絵柄で世間を魅了し続ける、陽の当たる場所にいらっしゃるすごい方なんだなあとあらためて思ったのでした。
「ア法学部」は現在白泉社文庫版「1限めはやる気の民法」としてまとまって1冊でシーモアさんでも読めますので、「何食べ」ファンかつBLラブシーンもOKな方には、ぜひおすすめしたいと思います!シロさんとケンジの原点かなと思われる二人が見られるのと、20年以上前の作品が古さをさほど感じさせず、作風も既に完成されていることに驚きます。
几帳面で節約が趣味のシロさんと美容師のケンジという同性カップルが、いろいろと些細なさざ波はありつつも、仲良く暮らし、かつ手間ひまかけてささやかな毎日の料理を作るシーンが、詳細なレシピとともに展開されます。たいして食欲も元気もない時にこちらを読むと、何故か少しモチベーションが湧いてくるのは不思議です。
驚きのモーニング連載作品であり、恋愛成分は少なめ(ラブシーンなし)どちらかといえば料理マンガに分類されなくもない、しかし笑いあり切なさあり、こういうマンガが世間から評価される時代が、何か嬉しいなあと、明るい気持ちになる作品です。
どのようなスタンスであれ、この作品を楽しみに長い間支持してきた方がたくさんいるという事実、性別世代嗜好といったジャンルを超えてボーダーレスなこの一つの希望を、私も一読者として末長く応援したいと思います。
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