偶然から結婚を決めた二人が幸せになるストーリーはHQの飽きないスタンダードメニュー。これも美味しい。いい出会いばかりとは限らないのが世の常だが、HQではお互いが運命に感謝せざるを得ないロマンチックストーリーに仕立てられる。この物語の二人も、
巡りあった偶然自体がこの上ない幸運、という話。相互の人生を救い出すことになる。
シャーロットは自分のやるべきことをやっていく。それが相手に出会いというきっかけ以上の幸せを運んでくる。
結婚とは大なり小なり共同体組織の運営。そこを真面目に取り組んだヒロインは彼にしてみれば大当たり。
HQでは彼のほうは結婚相手は誰でもよいとのパターンが王道(?)だが、これもそこをはずさずヒロインに恋に落ちていく。
ヒロインは家族の尻拭い人生から救出されて優しい夫と生活とを手にする幸運が向こうから飛び込んできた。
ヒロインの経営手腕はカッコいい。
だがしかし、その才覚は実家ではふるえなかったのか?
父親のていたらくぶりが物語進行につれそこまで悪くない印象の普通の、「人の親」になっているが、娘を手放すことになってやっと目が覚めたのなら、そこをひとこま見たかった気もする。
彼が幼少の頃遊んだ村の子達はどうしてるのか、などなど、たくさんあるが、そこは、私にとっては枝葉末節。
素晴らしい出会いと、世の中を明るく変える美しい話を読んで、ひととき酔えて、気分がよくなる一冊。
ヒロインの清潔な感じ、彼の頭の中の自然な思考に、領地でのやりとりが違和感なく写って地に足ついたストーリーだ。
もっとみる▼