【家族を亡くした秋緒は、祖父が遺した骨董店『明日屋』を引き継いで店主となる。そこには友人の天宮そっくりの唐笠おばけの「キッカ」が住み着き、持ち込まれる品は様々なトラブルを引き起こす。秋緒は不明瞭な記憶とともにそれらを解決していくが…】
ARUKU作品を数冊まとめて読みましたが、こういう感じのファンタジーな世界観がすごく良かったです。こちらの作品は和製ファンタジーで、おばけや妖怪たちが出てきます。そういうのが好きであればかなり楽しめると思います。個人的に、絵もこの頃の感じが好きです。
さて、物語は奇妙な客と品物にまつわる怪奇な出来事を中心に進んでいきます。秋緒の芯の強さや優しさに心がほっこりしながらも、謎が謎を呼ぶミステリー仕立てで物語に引き込まれます。
秋緒をときどき助けてくれるのが友人の天宮と唐笠おばけのキッカ。この2人がそっくりで、ここにもミステリーが隠れています。男色家というキッカですが、セクハラは多いものの無理やりな関係はなく、BLという意味では少し物足りないかもしれないですね。でもそれを忘れるくらいの面白さ!登場人物の悲哀や侘しさを優しく包んでくれるような展開。基本的にオムニバスなのも良かったですね。まったく飽きることがなかったです。
2巻で徐々に解き明かされる謎。ラストはとても意外でした。そこまで含めて本当に面白く、よく考えられた展開でした。何度も読み直したくなります。
若干グロ描写があります。妖怪もの特有のおどろおどろしさや異形の描写が苦手な方はご注意を。
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