たぐいまれな才能を持ちながら舞台に立てなくなったバクと彼を支える恋人のミチル。バレエダンサーであるふたりの愛のお話です。バレエ漫画を描きたいわけではなくバレエダンサーを描きたいというあとがきに納得です。ライバルとの確執や厳しいレッスンでトウ
シューズに血が滲むということはなく(笑)誰しもが経験するような人生の困難を静謐な空気感で描いています。明日は「わからないから希望がもてるのよ」ミチルのさらりとした言葉が良い。バレエダンサーとして生きること、互いをパートナーとして思いやり尊重すること。シンプルな線で描かれる美しい身体。先のレビューの方と同じく「ホワイトナイツ」でバリシニコフを知り、ジョルジュ・ドン、ギエム、クーパーを観てバレエという芸術文化の美しさを知っています。詳しくはないけれど色んなシーンを描いた扉絵が素敵でまた観に行きたくなります。ラスト「知らなかったの、ミチル?」というバクの言葉。何度読んでも味わい深い作品です。何度も読み返していますが、本の装丁も美しいとのことなので私も本を買おうと思います。
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