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予防接種

登録日:2018/05/24 Thu 14:00:28
更新日:2024/09/04 Wed 12:12:22
所要時間:約 4 分で読めます




※ご自身の健康問題については、専門の医療機関に相談してください

予防接種とは、度胸試しイベントの一つである。

概要

主にワクチン接種のために行われる。
これを受けないと、感染症にかかりやすくなり、本人が苦しむだけでなく、周囲の人も迷惑する……
ということは、子供にとっては関係ない話。

主に予防接種の対象となる子供たちにとっては 恐るべき恐怖の時間 である。
学校行事の中でこれほどまでに忌み嫌われているイベントも他にないのではないだろうか。

まるで葬式の列のように押し黙って一列に並ぶ子供たち……
一人、また一人と順番に保健室に飲み込まれるその姿……
アルコール消毒の独特のスーッと来る冷たさ……
そしてズブリと刺さる注射器の感覚……

どれをとっても嫌がらせとしか思えない最悪の行事と言っても過言ではない。
予防接種の案内が配られたその時から子供たちは恐れおののく他ないのである。
しかし、ここに一つの救いがある。
「当日体調不良の場合は予防接種はできません」という一文である。
まぁワクチンの定義からすれば当たり前で、体調が悪く抵抗力が落ちているところにワクチンなんて打ったらどんなトラブルが起きるかわからないので、リスクは避けるものである。
かくして予防接種を受けたくない子供たちは、「当日急に風邪をひかないかなぁ」と神に祈るわけである。
でもこれで回避してもどの道後日病院で注射される羽目になるんだけどね!

注射される瞬間の対処方法は概ね二通りに分かれるのではないだろうか。

  • とにかく痛い瞬間からは目を逸らし、気付かない内に終わらせてしまう派
  • 注射が刺さる瞬間から目をそらさず最後まで見届ける派

後者は英雄扱いされることも少なくない。

大人だろうが注射されるのは嫌だと言う人も多いだろう。
というか「大人だから我慢できる」のであって子供だろうが大人だろうが嫌いなものは嫌いなのである。補助がないから高いし

……と、ここまで散々茶化すようなことを書いてきたが、実際問題予防注射のトラウマは結構深刻な問題を引き起こすことがある。
話としては簡単で、注射の痛みや恐怖に関する記憶から注射に対する忌避感が深刻化し、いざ病院にかかって注射や点滴、血液検査などが必要になってもそれを回避しようとするのだ。
だが、その回避行動は社会通念的には「注射が怖いなんて甘え」などと見なされてしまうことが多く、例えば会社員であれば会社で必要な健康診断や業務のために必要な予防接種を拒否して不利益を被ることがあるし、そうでなくとも具合が悪かろうとも注射のトラウマのあまり病院にかかること自体を拒否し、結果として病気の悪化に繋がってしまうことも十分ありうる。また、いざ無理を押して注射に臨もうとした人が、痛みや恐怖を実際より過剰に感じるせいで心因性の迷走神経反射を起こして倒れて事故に繋がるという例も起きている。

ただし、現代の医療では注射に関する恐怖に対する理解も進行している。注射の痛みを和らげるために可能な限り細い針を使用することや、痛点の少ない部位への注射の技能を磨くことなど、注射の痛みを少なくする技術は少しずつ発展している。
歯医者の表面麻酔のように、注射を打つ前に予定部位に貼付しておくことで、針を刺す際の痛みを大幅に軽減する表面麻酔薬も開発されている。
医療関係者は注射に恐怖心を抱く人への対応には慣れっこであり、正直に「注射がどうしても怖い」と言えば適切な対応を取ってくれるはずである。
予防接種や点滴、血液検査をしなければならないが注射が怖くてできないという人は、「どうせ嘲笑されるから」「どうせ誰も分かってくれないから」なんてヤケにならずに、きちんと医師に相談してみよう。


日本で行われる主な予防接種

インフルエンザ

定期的に行われる予防接種と言えばこれ。
毎年流行は変わるので、予防する場合は毎年受ける必要がある。
予防率は100%ではないが、それでも接種していない人に比べて60%程度の人が発病を防ぐことが可能と報告されている。
また、たとえ発病したとしても、肺炎やインフルエンザ脳症といった合併症による重症化を予防する効果が高いと考えられている。
特に、 受験生や妊婦の周囲にいる人 重症化しやすい高齢者や基礎疾患を持つ人の周囲にいる人 は絶対受けておくことを推奨。このぐらいで将来や命を守れるなら安い物である。
ただし、多くのワクチンは生産に鶏卵を使うため、卵アレルギー持ちは接種前に医師に相談するとよいだろう。

四種混合ワクチン

学校で受ける予防接種の代表格。以前は三種混合だったが、現在はポリオも含めた四種混合になっている。
ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの四種類のワクチンを混合したものであり、2期の接種が行われている。
1期は生後3~8か月に3度、三回目の接種から1年後に1度の四回。これは小さすぎて覚えている人の方が稀だろう。
2期は11歳以降に一度。多くの小学校では6年生でまとめて接種する形式。

BCG

ある一定の年齢層を境に急激に認知度の落ちる予防接種。
「はんこ注射」「スタンプ注射」と言えば大抵の人には通じるのではないだろうか。結核の予防接種である。
これの嫌なところは、「ツベルクリン検査」という形で一回注射された後、その検査が陰性だと受ける羽目になること。
なぜこのような二度手間をしてたのかというと、結核菌(人体で増殖不可のBCG含む)への人体の反応が強烈なため。
BCGを開発直後に普通に注射で投与したところ、激しく腫れて瘢痕ができてしまったので濃度を薄めたりしてたが薄めすぎると本来の役に立たなくなるので、
「皮膚に引っかいた程度の傷をつけ、そこにBCGをつけて免疫がむやみに攻撃しない状況」にして免疫に結核菌を覚えさせるのだが、
一度結核菌を覚えてしまうとこの方法でも過剰攻撃してくることがあるので、まず弱いツベルクリンで確認しておくのだ。
2回も注射される上に2回される必要があるかは不定という嫌なドキドキ感がある。
さらに、幼児期・小学校・中学校と3度もやる必要がある。
また、はんこ注射の跡は 一生残る というのも嫌なところである(妙な一体感も生まれるが)。
そんな嫌なはんこ注射であったが、2005年からは「生後半年以内の一度」のみとなり、小学生や中学生は受けなくてもよいことになった。
そのため、今後は認知度が大きく下がっていくものと思われる。

風疹

風疹ワクチンや、麻疹・風疹混合ワクチンによる予防接種。
風疹は「3日はしか」の通称通りに軽症で済むことも多いが、重篤な合併症を引き起こすこともある。
さらに問題なのが、妊娠初期の妊婦が感染すると、生まれてくる子供にCRSと呼ばれる目や耳、心臓の障害を引き起こす可能性があること。2018年夏ごろから度々ニュースで報じられているので、耳にした方も多いと思われる。
厚生労働省は「CRSの発生をなくすとともに、2020年度までに風しんの排除を達成する。」ことを目標にしている。
現在は生涯合計2回の接種が推奨されているが、2回接種が確実にされるようになったのは2000年度生まれ以降らしく、それ以前に生まれた人は接種回数が1回または0回なので抗体が不十分*1である可能性がある。そのため、集団接種の機会がなかった1962年度~1979年度生まれの男性に風疹の抗体検査と予防接種が薦められている。
※年代と性別が指定されているが、当てはまらない人が必ず抗体を持っているというわけではないので注意。上記の通り、平成12年度の前に生まれた人は抗体が不十分である可能性がある。



追記・修正は注射が怖くなくなったらお願いします。

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最終更新:2024年09月04日 12:12

*1 自身は軽症で済むが、感染拡大を防止できない、など