[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

衛府の七忍

登録日:2017/01/20 (金) 19:50:28
更新日:2024/09/08 Sun 11:32:15
所要時間:約 ? 分で読めます





「無残に敗れしもの、選ぶが良い」
「苦しみのない常世国にて、菩薩の慈愛に包まれるか」
「あるいは怨身となりて、再び乱世にに蘇り飽くことなき呪いの刃を振るい翳すのか?」


ギ エ エ エ エ ! !




概要

「若先生」こと山口貴由氏が2015年からチャンピオンREDにて連載していた漫画。2020年に突然連載が終了した。
非常に重く暗い世界観だった「シグルイ」「エクゾスカル零」のリアルタッチな画風と残酷描写を引き継ぎつつ、
覚悟のススメ」や「蛮勇引力」の頃のような熱く大見得やハッタリを効かせた、娯楽性の強い作風に回帰しているのが特徴。
ギャグ描写も(シリアスな笑いを除けば)ほぼ廃されていた前2作とは打って変わって、山口氏独特の言葉遊びとともに盛り込まれている。

登場人物は山口氏の過去作からのオマージュが多く、メインキャラ及び怨身忍者のデザインも、
現時点では前作「エクゾスカル零」の登場人物とエクゾスカルがモチーフとなっている。

今の所、やがて「エクゾスカル零」の未来へと繋がる世界観なのかは不明。

物語

元和元年、大阪の陣において徳川方が勝利し大阪城は落城。
治国平天下大君となった徳川家康は、豊臣家残党を徹底的に粛清・一掃するため「覇府の印」という手形を発行。
これは如何なる者が所持しようとも徳川家の威光を受け、豊臣の残党を自由に狩ることが許された。
この権力の元、「まつろわぬ民」への理不尽な圧政と殺戮が繰り返されていた。

そんな中、「衛府」より使わされた七つの影。
彼らは「怨身忍者」。無残に死にゆく身分なき者達のために今、立ち上がる。


零鬼編の登場人物

  • カクゴ / 零鬼(れいき)
本気(まじ)やんぞ、家康!」
「出鱈目に刻んで盛ってやるゆえ 素っ首並べい!!」

零鬼編の主人公。「葉隠谷」に住む化外者の青年。
一族は真田幸村と縁があり、彼から一族に授かった大鉈*1を得物としており、同じく授かった業物の脛当てを身に着けている。
伊織を匿ったことにより民兵に一族を皆殺しにされ、捕らえられた伊織を救おうとして惨殺されるも、突き刺された武器を取り込んで怨身忍者・零鬼として蘇った。
以後は幕府を打倒せんと伊織と行動を共にしている。
モチーフとなった「覚悟のススメ」「エクゾスカル零」の葉隠覚悟と比べるとやや荒っぽい気性を持つ。
口調はラフな現代風だが、零鬼に変身すると時代がかった口調へと変化する。
伊織のことは単なる仲間ではなく、異性として好意を抱いているのだが、身分の違い故に思い悩んでいる。

零鬼は瞬時に超高速で多人数の頭を切り裂き、同時に挿げ替える「接ぎ頭」、髪の毛を刃として敵を細切れにする「笹掻き」などの多種多様な技を得意とする。
また、怨身忍者は血液に伐斬羅という金属成分が含まれており、触れたものを瞬時に燃え上がらせることが可能。これを利用して傷口を塞いだり相手を焼くことも可能。
他の怨身忍者に比べると被弾・流血の描写が多く、波裸羅からも「やっと毛が生えたくらいの童貞」扱いされたりと、まだ未熟な面が見られる。
一方で刺客からは「場数を踏ませたら厄介」とも言われており、その潜在能力は高いことがうかがえる。

  • 兵藤伊織
「真田のお殿様も家来集も"義"のために、負けるとわかっていた戦に挑み討ち死になされた おまえには永久にわかるまい」
「伊織っス」

真田幸村の家臣の娘。作中で真田の姫として度々扱われる。
幕府の残党狩りから逃れるため、葉隠谷の化外者の集落に身を寄せたことが切っ掛けでカクゴと出会う。
自分と同時に捕らえられ、惨死した用人の貝蔵を埋葬したあとは、徳川の天下を覆すべくカクゴと行動を共にする。
武家の出故に誇りと義を重んじる性格。物語当初は非常にプライドが高く「裸を見られたら死ぬ」と言い切っていた。
普段はそうでもないが切羽詰まってくると口調が荒くなる。伊織っス。
自然の中での生き方を知らないため、そういった知識に長けたカクゴに食事の面でフォローされたことも。
割と好戦的な部分もあり、民兵を攻撃する零鬼に「一匹切らせてくれい」とはしゃいだ。
なおカクゴとの関係は「武士は武士としか結ばれぬ」と述べているが、決して悪く思っているわけではない。

震鬼編の登場人物

  • 憐 / 震鬼(しんき)
「本当にちんこでけえ奴ぁ、道具持たねェ」
「本日只今より動地一家の憐 真面目に鬼やらせていただきやす!」

震鬼編の主人公。「動地一家」の忘八者。一家から湯宿を任せられている。
喧嘩は滅法強く用心棒を一撃で殴殺するほどの、絵に描いたような巨漢。巨根。
行き倒れた銀狐を拾うが彼女の心意気に触れ、惚れ込んで結婚する。
しかし、秀吉の子を宿した女の事件に銀狐が深く関わっており、誤認で捕らえられた女達の解放を条件に出頭する。
が、銀狐を含む女達は残らず処刑されていた挙句、自身も釜茹での刑に処され死亡。
直後、「龍」との問答*2を経て砕けた大釜を取り込み、怨身忍者・震鬼へと変身し城主を殺害する。
銀狐を葬った後は一家を辞め、鬼として生きる決意を固める。
口では悪ぶってはいるが情に厚い性格。ただ、頭に血が上りやすく、銀狐に暴言を浴びせてから死に別れたことを後々悔やんでいた。

震鬼は怨身忍者の中でも特に巨大な体を持ち、熱を持つほどの高速振動が可能なほか、他のものを透過して特定の物質のみを掴み取る事が出来る。
腕の振動を地面に伝導し人体を沸騰させる「土沸かし」やロケットパンチ「ろくろ腕」等といった腕部を用いた攻撃を得意とする。

  • 銀狐
「湯女上等、ヨゴれてやんよ」
「あたし生きるよ、憐のために」

行き倒れていたところを動地一家の湯宿に拾われた女性。
湯女として生きる決意を固めた所、その器量を憐に惚れられスピード結婚。
しかし彼女は実は豊臣家の奥御殿女中九尾組でありくの一。大阪夏の陣で追い込まれ理性のタガが外れた豊臣秀頼に犯された過去があり、秀頼の子を宿している可能性があった*3
関係ない女性が巻き込まれることを恐れ、出頭しようとするがほとぼりが冷めるまで匿われることになる。
しかし刺客の襲撃を受けてしまい、撃破はしたものの桃太郎卿の「魔弓石女矢」で射抜かれて石化してしまう。
事件が収束した後、憐によって天狗神社に葬られる。

雪鬼編の登場人物

  • 六花 / 雪鬼(せっき)
「穿ってやる 悪魔(イルラ)武士の眼!凍らせてやる 悪魔(イルラ)武士の森!」
「大した世の中ではないがもう少し生きてやるか!な、権九郎!」

雪鬼編の主人公。飛州の奥地「初夜ノ森」に住む「まつろわぬ民」*4
世間知らずで元気な少女。大食いで大きなおにぎりを食べることを夢見ていた。
人里に憧れて山から降りてきたが、その出自故に人々からは白眼視され追われる立場にある。
非常に洞察力が鋭く、作中で人外の剣閃を放つ生き甲冑の存在を見抜いている。
白怒火典膳が撒いた毒によって山と共に命を落とすが、朽木を取り込んで怨身忍者・雪鬼として復活。
権九郎の仇を討ったあとは彼の遺骨と共に何処かへと旅立つ。

雪鬼は朽木を鬼の力で押し縮めた外殻を持ち、その強度は鉄よりも硬く金剛石並となっている。
通常はファーのようになっている腕部・脚部の装飾を硬化・高速回転させれば拡充具足*1をも粉砕する「つむじ独楽」を放つことも可能。
また、強烈な寒波を放つことも出来、その威力は人間を凍てつかせるほど。
エクゾスカル零」の初夜六花と違い、靭帯拡張剤は不要。

  • 深見権九郎
「六花よ、わしの憧れる相撲はな…」
「見終えたものが"大した世の中ではないが、もうしばらく生きてやろうか"と見栄をはって歩けるような見世物のことよ!」

浪人。大阪の陣では豊臣側に付いていた武士で、それ故に六花同様素性を知られると危うい立場。
引きつった背中の火傷は阿修羅を思わせる様相になっており、六花からアペウチカムイ(火の神)とも呼ばれた。
ふとしたことから六花と知り合い、自身の出場する相撲を見せる。
その後は先に交わした六花との約束で婿として迎え入れられ生活を共にしていたが、幕府の抱え力士を倒した為具足奉行の白怒火天膳に狙われ、抵抗するも善戦叶わず敗死。
性格はモチーフの「シグルイ」の牛股師範の人柄の良さをそのままにやや豪快で、その相撲を見た浪人達をも「惚れたわい!」「俺達はなんでもやるが、奴だけは斬れん」と感服させた。

  • 白怒火典膳(しらぬいてんぜん)
「浪人ずれに夢など見させぬ!それが覇府の天下!」
雪鬼編の舞台である出羽国久保田藩にて具足奉行を務める老人。
家康の天下制覇、戦乱の世の終わりを祝して催された奉納相撲にて覇府の威光を示すため力士型生き甲冑を用いて浪人を委縮させる目論見だったが、権九郎が打ち破ったことで失敗。
権九郎の暗殺を目論む他にも、あろうことか子供に至るまで目撃者を処刑してまで支配を盤石な物としようとし、最終的には六花と権九郎を彼女らの住まう初夜の森諸共に抹殺。
結果的にその行動が元で第三の怨身忍者・雪鬼を生み出してしまったが、余命幾許もない身体で単身迎撃のため出陣。最期まで覇府への忠義を示したが雪鬼に敗れ…
「ヌワオ!骸骨じゃあ!」

老齢ではあるが、戦闘の際には筋骨拡充具足「天功丸」(てんこうまる)を着装し自ら剣を振るう。
素手で人を豆腐の様に粉砕するなどの恐るべき能力を持つが着装者への代償は大きく、一度着装すれば寿命を五年は削るとまで言われる。
劇中で見せた機能は左腕部に刀の先端を固定し、一息に振り抜く加速閃刃「箒星」。外見モチーフである「シグルイ」の岩本虎眼の秘剣「星流れ(流れ星)」を再現したような浪漫溢れる技である。

霞鬼編の登場人物

  • 波裸羅(はらら) / 霞鬼(げき)
「我が名は波裸羅 人は呼ぶ、現人鬼」
「地獄に堕ちる覚悟もなしに この波裸羅に同等口(ためぐち) 叩くまいぞ!」

霞鬼編の主人公。両性具有の超人で「現人鬼」の異名を持つ。登場時点で怨身忍者・霞鬼へと変身が可能。
自身を身に宿していた、「まつろわぬ民」の母と共に漁民に殺害されるも、刺された得物を取り込んで蘇り漁民に復讐したという出自を持つ。
当初は徳川側に推挙され、刺客として零鬼を追っていたが、共に行動していた刺客に反抗して殺害。
伊織からの共闘要請を「狂おしく愉快」と応じたことで、幕府に翻意ありと認定される。
変身せずとも人体を容易に破壊する身体能力を持ち*5、零鬼をも圧倒するほど。
正直、あらゆる意味でこの漫画の中で一番やりたい放題してる御方。伊織っスか。
モチーフである「覚悟のススメ」の現人鬼・散同様民草嫌いだが、その一方で母に思いを馳せる描写があり、全くの無情でもないようである。
ちなみに散様と比べるとどちらかと言うと男性寄りの描写になっており、「シグルイ」の伊良子清玄に近い部分も見受けられる。

霞鬼としての戦闘シーンは現時点で存在しないため、その能力は未知数。

  • 大玉爆吐坊(おおたまばくはきぼう)百足巻巻之介(むかでまきまきのすけ)四刀包十郎(しとうほうじゅうろう)突匙逆立丸(つきさじさかだちまる)
零鬼(カクゴ)討伐のために覇府より派遣された伊賀忍者四人組。何をしてくるのか丸わかりの名前ではあるが各々得意とする忍法を有する。
出オチじみた集団ではあるが幼少より主君のために尽くす教育を受けており、顔も見た事の無い家康のために戦いに臨み、カクゴに敗れて絶命するその瞬間に至るまで誰もが死の恐怖を感じていなかった。
元々身分の檻に疎いカクゴからは「正気じゃない」「つける薬がない」と称され、いずれも返り討ちに遭い全滅。

  • 栗彦(くりひこ)蜂彦(はちひこ)泥彦(どろひこ)臼彦(うすひこ)
「吉備津彦様 怨身忍者を狩ったら端麗人(きらぎらびと)にしてほしいワ!」
「置き血の洗礼を賜り芳しき端麗人(きらぎらびと)に!」
「何卒置き血の洗礼を!」
「ナリタイ 端麗人(キラギラビト)
累人(かさねびと)」とも呼ばれる、吉備津彦が覇府を滅ぼすため交配を重ねて作った異形の兵士達。
永遠の命を持つ端麗人(きらぎらびと)になるため、吉備津彦の命を受けて波裸羅と共にカクゴの討伐に向かう。

覇府に与する吉備津彦の配下ではあるが民衆への配慮や矜持はまったくなく、道中の集落の村人を当たり前のように食べる、手負いのカクゴに集団で襲い掛かるなど波裸羅曰くの「無粋」を働いたことで見限られ、彼と交戦。
カクゴと伊織を追い詰めた忍法というより体術とか体質で迎え撃つもやっぱり全滅してしまった。

霹鬼編の登場人物

  • 猛丸(タケル) / 霹鬼(ひゃっき)
(ワー)は九十九城のヤナワラバー 猛丸さー」
大和(ヤマト)武士(さむれー)ども 琉球ぬ獅子(シーサー)腹空かせと~ん」

霹鬼編の主人公。「ニライカナイ*6の戦士」を自称する活発児。登場時点で既に霹鬼への変身が可能。
元々は奴婢としての出身だが、島津家の襲撃を逃れたことを機に自分たちの集落「九十九城(ツクモグスク)」を作り上げた。
この時に「獅子御嶽(シーサーうたき)」へたどり着き神子(ノロ)と出会ったことで,戦士として生まれ変わった。
しかし秀頼を迎えに現れた島津家に捕らえられ*7、「犬」として扱われた挙句「ひえもんとり」*8で生きながらに身を引き裂かれて死亡する。
しかしその遺骸は「運命の兄弟」である幻之介と融合し、二魂一体の戦士へと変化する。
明るく快活な性格で人当たりもよく、武士である幻之介ともすぐに打ち解けている。
また、上記の経歴のため、カクゴや伊織・幻之介などに見られるような「身分」という心の檻を持たない。
自身の血液を瞬間的に硬質化させ、飛刀や鉤等に変化させる技を得意とする。

霹鬼としての戦闘シーンは現時点ではないが、その獅子の眼光は島津義弘を圧倒し魅入らせている。

  • 犬養幻之介*9
「薩摩の狂犬ども 獣とは貴様らの如きを言う!」
「タケル ニライカナイへ参ろう」

霹鬼編のもう一人の主人公。豊臣秀頼に忠誠を誓う武士、馬廻七手組。
大阪の陣で砲撃に巻き込まれたことで左腕を失っている。
猛丸からは「ゲンノスキ」と呼ばれる「運命の兄弟」。
数名の武士と共に秀頼を連れ琉球へと逃れていたが、島津家と誤認した猛丸の襲撃を受けたことから知り合い、隠れ里に匿われる。
その後、猛丸を裏切る形で島津家に迎え入れられるが、自分の行動が原因による猛丸の無残な遺骸を目撃してしまう。
猛丸の生肝を抉った千加太郎に組み討ちを挑むが相打ちとなり、秀頼に知行を返上した直後に飛来した猛丸の亡骸と一体化。囚われ続けた「身分」という檻からようやく解き放たれる。
一体化後は外見を見る限り猛丸のほうが基本になっているが、表情は幻之介のそれに近いようである。
モチーフである「シグルイ」の藤木源之助と同様の、虎眼流の技である流れや虎拳を披露している。*10
一方で性格面では藤木とは逆に人間らしい感情的な面を見せる。

  • 豊臣秀頼
「たわけ!二百三十万石の太守たるこの秀頼に琉球のごとき蛮地の泥を踏めと申すか」
幻之介らの仕える君主。大阪の陣の末に密かに蓄電し琉球にまで避難してきた元・太守。
元々震鬼編での銀狐の回想の時点で落城を悟り銀狐ら御殿女中達に種付けを行うと異様な姿を見せていたが、落ち伸びてきた現在でもその傲慢さと残忍さに変わりはなく、
  • 悪路を理由に籠から下りるよう上申した武士の片目を躊躇いなく潰す。
  • 避難先である九十九城の人間を鬱憤を晴らすための嬲りものとして求める。
  • ↑が聞き入れられなかったので護衛の少年剣士・涼千代を尻から出血するまで犯す。
  • 救出時には九十九城の人間の皆殺しを命じる。
など匿われている身でありながら横暴を尽くそうとしていた。

霹鬼編後半、救出に来た島津家当主・島津義弘とその配下の手引きにより、那覇首里城に避難。当初は九十九城の人々を「豚の餌を食わせた」と口封じも兼ねて皆殺しにしようとしたが、
育んだ絆を犠牲にしてでも彼らと猛丸の命だけでも助けようとした幻之介の芝居により猛丸を『犬』として飼うことにして撤収。九十九城に手は出さなかったが最後には猛丸を「ひえもんとり」の供物として死なせてしまう。
最後には幻之介の肉体と一体化する事で怨身忍者として復活した霹鬼の襲撃を受け、最後の配下でもある義弘までもが変心。これまでの苛烈さの報いを受けることとなった。
『この秀頼 薩摩の民草に親しまれ六十八歳まで生きながらえたとさ』

元々幻之介が片手を失ったのも、ひいては大阪城が落城したのも、強豪と目される七手組及び指揮者である自身の出陣を「家康如きに自分が出る必要も無い」「けど七手組は自分の側にいて守らねばならない」という身勝手から追い詰められても尚許可しなかったことが原因の一つであり、
その本質は横暴でありながら小心、身分に守られただけの小物でしかなく、作中でも身分の檻を壊された義弘から面と向かって「大将の器ではない」とまで言い切られてしまった。

  • 島津義弘
「琉球の野犬(エヌコロ)大役ぞ 薩摩名物“ひえもんとり”ごつ!」
島津家17代当主。秀頼に仕える武将であり、逐電の報せを受け部下を率いて彼を救出に向かう。
この時代の武士らしく主君である秀頼の命には絶対であり、彼の苛烈な要求にも平然と従う。
比類なき“ぼっけ者”達を束ねる長だからか個人の技量、武功には素直な男。チェスト関ケ原(ぶち殺せ)の言葉を受けて襲い掛かった「ひえもんとり」勝者、千加太郎を相打ちにまで持ち込んだ幻之介には感涙まで流しており、そんな彼を「用済み」と切り捨てた秀頼には動揺を隠し切れずにいた。
虎狩りの名手を名乗るだけありその実力は確かであり、部下が惨殺される中でも自ら刀を抜いて霹鬼と相対するが彼の能力により身分の檻を壊され秀頼に刃を向ける。

「おいは恥ずかしか!生きておられんごっ!」
ガバ
「「左近どん」」
ズブ ドバ
「介錯しもす!」
ブワ ド ン
「笑うたこと許せ」「合掌ばい!」

徳川幕府

  • 徳川家康
ラスボス。「衛府」から七人の尖兵が送り込まれることをすでに予見しており、彼らを討伐する命を全国に発している。
有事の際には巨具足*11・「金陀美」を身に着けて戦場を駆ける。

  • 孝霊天皇皇子 大吉備津彦命(おおきびつひとのみこと)
「百年前の民も百年後の民も 神州無敵と問われて応えるのは麻呂の名であろう」}
神州無敵と言われる、伝説の「桃太郎」卿その人。
「まつろわぬ民」の討伐と引き換えに「置き血」の洗礼を受けており、不老長寿。現代では徳川方に組している。
血を流さぬまま物を切り裂く「御伽仕立瘤取剣」や射抜いた者を石化させる「魔弓石女矢」といった不思議な宝具を持つほか、大人を軽々振り回せる怪力を誇る。
もちろん三匹の家来*12の他、異能の者を交配させて作った兵士・累人、そして時代を越えた様々な剣豪で構成された組織鬼哭隊(きこくたい)を配下に従える。
作者の画力もあり鬼退治の名手という圧倒的説得力を持って姿を現すが、戦闘シーンはほとんどなく、備中高松城主・花房職秀に折檻をしつつ秀頼の子を孕んだ者の捜索を命じる、銀狐を石に変える、宮本武蔵の鬼退治の手助けを影ながら行うなど、ネームバリューに反して作中の活躍としてはかなり地味な方。

そんな彼の戦闘力は物語も後半に差し掛かった沖田総司編にて描写されることとなる。
「宗矩 世に“神州無敵の鬼退治”と称される(くだり) 血眼しておろがむが良い」
+ ...
「首と顎で白刃取りとな!!ご無事か!?」

「押すか引くかしなければ切れぬ」

「安泰じゃ」

江戸に現れた怨身忍者の一体・虹鬼と戦い追い詰められた柳生宗矩の前に遂に登場。
稀代の剣豪の一人である宗矩をして「娘どころか自分自身も献上しても構わぬ」「武人などという言葉では足りない超人、軍神」とまで称される威容をもって出陣。彼が苦戦した虹鬼に対しても

  • 人を炭化させるほどの火炎放射を撃たれる→火薬を詰めた子犬を投げつけ爆風で散らし防御。「安泰じゃ」

  • 首元を刀で狙われる→首と顎で挟んで受け止め平然と防ぐ。「安泰じゃ」

  • 鉄をも融かす鬼の鮮血を至近距離から全身に受ける→石で出来た狩衣を纏いガード。「お尊顔(かお)は生身…」「炎も水も肺に入れなければ安泰じゃ」

残酷かつ無法な強さでもってあっさりと撃破、虹鬼の身体を素手で引き裂き惨殺し戦いの余波で全焼した宝泉寺の後始末を宗矩に押し付けて帰還した。
初登場時から読者にある種の畏敬と共に期待されていた桃太郎卿の戦いは、文字通り次元の違うものだったのである。

衛府

  • 「衛府」とは
桃太郎卿の言によれば「まつろわぬ民の住む都であり、異世界」。
「人の命は平等である」という考えを持つらしく、身分制度を絶対視している徳川幕府と対立している。
「怨身忍者」はその衛府の尖兵である。

  • まつろわぬ民
時の権力者に追われた、大和民族以外の「身分なき人々」のこと。
作中では豊臣の残党や化外者などがこれに当たる。

死した人物の前に現れ、「常世国に行くか、怨身となって現世に蘇るか」と問いかける衛府からの使者。
後者を選んだ者は怨身忍者へと摩骸神変し、乱世にて呪いの刃を振るうこととなる。
また、波裸羅に伊織が立ち向かった際には、伊織の放った矢に霊力を宿し波裸羅を石化させた。


「無残に敗れしもの、選ぶが良い」
「苦しみのない常世国にて、菩薩の慈愛に包まれるか」
「あるいは怨身となりて、再びアニヲタwikiに蘇り飽くことなき追記と修正を振るい翳すのか?」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 衛府の七忍
  • 漫画
  • チャンピオンRED
  • 山口貴由
  • テヘペロでやんす!
  • ヨゴザンス!
  • い・ち・も・つ…
  • どん引きしましたけどね!
  • 左近どん
  • チェスト関ヶ原
  • 誤チェストにごわす
  • 秋田書店
  • 2015年
  • 打ち切り
  • なぜ打ち切ったし
  • 不遇の名作
  • 未完の名作
  • 続編希望する?

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年09月08日 11:32

*1 累人戦でこの大鉈はより大型で強靭なものに強化されている。

*2 本当は常世国に行くつもりだったらしく、引っ掛け問答だと思いこんで鬼になることを選んだ。

*3 実際に妊娠していたかは不明

*4 雪女の末裔とされる。

*5 作中ではなんと男根で人の頭を両断している。

*6 沖縄県で伝承される死後の理想郷。

*7 実際は秀頼の命で集落を皆殺しにされるところだったが、幻之介の機転で猛丸のみが「犬」として捕らえられた。

*8 数多の若武者が素手で捕虜から生肝を抉り取る風習。

*9 雑誌掲載時は「犬養源之助」表記。

*10 ただし幻之介と接点のない人物が流れ星を使っているため、この世界の虎眼流がどのようなものかは不明。

*11 と言う名の巨大ロボ。

*12 犬・猿・雉を模した女性