登録日:2016/06/25 Sat 23:42:17
更新日:2024/12/27 Fri 00:43:58
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マイケル・ベイ(Michael Bay)とは、アメリカ出身の映画監督。またの名を、ハリウッド破壊大帝ベイトロン。
1965年2月、カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。
幼少時、8ミリフィルムでの撮影に魅せられ、おもちゃの列車を
実際に焼いて小火騒ぎを起こす。
15歳の時にインターンとしてスティーブン・スピルバーグの『
レイダース 失われたアーク≪聖櫃≫』の撮影現場を見学し、映画監督への道を志した。
美術学校アートセンター・カレッジ・オブ・デザインとウェズリン大学で映画の撮影技術を学び、製作会社プロパガンダ・フィルムズに入社。
その後、
コカ・コーラのCMを皮切りに数々の音楽PV、CMを監督し、赤十字社のCMでは優れたCMに与えられるクリオ賞を受賞した。
そして1994年、その才能を『
トップガン』、『
パイレーツ・オブ・カリビアン』等を制作したハリウッドの名プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーに見初められ、初監督作品『バッドボーイズ』を製作。
新人にもかかわらず派手なアクションシーンと洗練された俳優陣の撮影で評価され、駆け出しの俳優ウィル・スミスの知名度向上にも貢献した。
1998年の『
アルマゲドン』では、ILM(インダストリアル・ライト&マジック)の最新鋭の技術を生かしたCGと実写の組み合わせによる大規模な破壊シーンが好評を呼び、全米興行収入2億ドルを越える大ヒットを記録。
これを機に、ハリウッドを代表する映画監督の仲間入りを果たす。
…しかし、それと同時に「
映画批評家から嫌われる映画監督」の代表的存在にもなった。
2001年には製作会社プラチナム・デューンを設立し、70~80年代のホラー映画のリメイクを中心に製作業も担当している。
そして、世界で一番知名度が高い監督作品が『
トランスフォーマー(TF)』だろう。
スピルバーグの推薦もあり、G1アニメを見たことがなかったにもかかわらず、
スピルバーグのTF詰め込み英才教育の甲斐あってTFの知識も豊富になり、5作目までベイが監督した。
なお、そのスピルバーグとは『レイダース』で知り合ったのだが、その際彼のストーリーボードを「こりゃ最低だな」と評していたという。
後に『アイランド』でスピルバーグの会社ドリームワークスで製作した際、映画が微妙にコケてしまい申し訳ないと思っていたという。
さて、前述のとおりマイケル・ベイは批評家受けは悪く、『アルマゲドン』を皮切りに監督作品の多くがアメリカの最低映画を決めるゴールデン・ラズベリー賞の最低作品賞ないし最低監督賞にノミネートされている。
うち『
トランスフォーマー リベンジ(RotF)』、『
トランスフォーマー ロストエイジ』の二本は最低監督賞を受賞した。
その理由としては、ベイ監督の作風が典型的な「
ハリウッドのブロックバスター映画」を潔く貫き通しているからである。
作風について検証しよう。
1.爆発
マイケル・ベイの作品では必ずと言っていいほど…
とにかく、彼の監督作品には必ずと言っていいほどアクションシーン、特に爆発シーンが含まれる。
しかも合成やCGは極力使わない。(爆発でCGを使わないのはハリウッドではJ.J.エイブラムスやクリストファー・ノーランを中心としてこだわりのある監督が多い)
さらにベイ監督の場合、爆破するにしても他のブロックバスター映画とは規模が違う。
爆発するものにしても
等、爆発用の火薬だけでも予算がかかるのに、被爆発物も高額なものばかり。
特に『RotF』では砂漠の爆発シーンで使用したガソリンの量がギネスブックに掲載された。(後に『007/スペクター』が上回る)
これだけ映画の中で爆発させるものだから、「脳みその中には火薬が詰まっている」と言わしめているほど。
おまけに、俳優の傍で戦闘シーンを繰り広げることの多い『TF』シリーズでは、本当に俳優を爆発の中を走らせている。
ベイ「とにかく走って!走らなきゃ死ぬから!」
その無茶振りに、ほとんどの俳優が苦言を呈しているという…。
彼のとにかく破壊する撮影手法は「ベイヘム(ベイと破壊を意味するMayhemを組み合わせた造語)」と呼ばれるほどの代名詞となっている。
2.カーチェイス
もともと車のCMも多く担当していたベイ監督。車をカッコよく撮影することに定評がある。
これは車がオートボットのビークルモードである『TF』でも発揮されており、新車たちが並走するシーンがカッコよく仕上がっている。
しかし、同様に車を壊すのも多い。
『バッドボーイズ2バッド』や『アイランド』、『TF』では主人公と悪役の迫力あるカーチェイスが展開され、周囲の車がそれに巻き込まれ派手に大破する。
ベイ監督はカークラッシュ撮影専用の装甲車「ベイ・ボマー」を所持しており、これにより衝撃に耐えきれる撮影が可能だとか。
しかし、「余計なカーチェイスで時間が助長している」という批判的な意見もある。
3.セクシー女優
ヒロインのチョイスも薄着の似合うセクシーな女優が多い。
ミーガン・フォックスやロージー・ハンティントン・ホワイトリーの色気にドキドキした観客も多いのでは?
4.独特なカメラワーク
人物を撮影する際はスローモーション、あるいは人物を中心にしつこく回り込むカメラワークが多い。
エモーショナルなシーンに多用されるが、「くどい」との意見も。
5.下ネタ
よくコメディリリーフが下半身や麻薬のジョークで笑いをとるシーンも欠かせない。
その手のキャラは大体怒鳴るか、やたら笑う変人キャラである。
6.悪趣味な人体破壊
子供には少しキツめなグロシーンも豊富である。
『バッドボーイズ2バッド』の死体ギャグや脳髄が迸る銃撃シーンはその極地だろう。
『TF』でも、敵味方問わずTFの死に様がやたらとエグいのもその一環。
7.ツッコミどころ満載の脚本
よく批判される点。
歴史考察等、真面目な要素の穴が多いとのツッコミも。
特に『パール・ハーバー』では中盤の爆撃シーンばかりが凄くて日本軍および戦争描写がお粗末であると悪名高い。
アクションシーンの占める割合が多いと必然的に内容が薄くなってしまうのも仕方ないのだが。
これらの点から見ても、映像技術の凝った、ブロックバスター系ハリウッド映画の代表として君臨しているマイケル・ベイ。
ストーリー面では批判も多いのもまた事実だが、監督作品に共通しているのはこうした批判をすべて爆破してしまうほどの熱量だろう。
ありあまるエネルギーをもった作品をして、マイケル・ベイはハリウッドの破壊大帝として名を刻み続けるのだ。
監督作品
主演:ウィル・スミス、マーティン・ローレンス
破壊したもの:車、廃倉庫
主演:ショーン・コネリー、ニコラス・ケイジ
破壊したもの:車数台、トロリー、刑務所内
主演:ブルース・ウィリス、ベン・アフレック
破壊したもの:NY市街、パリ、宇宙ステーション、掘削機、隕石
主演:ベン・アフレック、ジョシュ・ハートネット
破壊したもの:空母、飛行場、その他真珠湾周囲のもの、飛行機
主演:ウィル・スミス、マーティン・ローレンス
破壊したもの:車、モーターボート、トラム、死体、豪邸、スラム家屋
主演:ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン
破壊したもの:トラック、ハイウェイ、ビル、車、コンピューター
主演:シャイア・ラブーフ、ミーガン・フォックス
破壊したもの:米軍基地、砂漠集落、ロサンゼルス市街、バス、車
主演:シャイア・ラブーフ、ミーガン・フォックス
破壊したもの:
高速道路、家屋、空母、図書館、廃工場、ペトラ遺跡、ピラミッド、砂漠
主演:シャイア・ラブーフ、ロージー・ハンティントン・ホワイトリー
破壊したもの:チェルノブイリ、ハイウェイ、オフィス、シカゴ市街、高層ビル、
スペースシャトル
- ペイン&ゲイン 史上最悪の一攫千金 (2013年)
主演:マーク・ウォールバーグ、ドウェイン・ジョンソン
破壊したもの:死体
主演:マーク・ウォールバーグ、二コラ・ペルツ
破壊したもの:廃工場、船、家屋と倉庫、会社、トラック、ハイウェイ、シカゴ市街、香港市街
主演:ジェームズ・バッジ・デール、ジョン・クランスキー
破壊したもの:アメリカ領事館、門、車、バス、CIA基地、人体
主演:マーク・ウォールバーグ、ローラ・ハドック
破壊したもの:廃墟、廃車、ジャンク屋、ロンドン市街、潜水艦、ストーンヘンジ、地表の都市いろいろ、サイバトロン星、続編
主演:ライアン・レイノルズ、メラニー・ロラン
破壊したもの:車、美術館、彫刻、フィレンツェ市街
主演: ジェイク・ギレンホール、ヤヒヤ・アブドゥル=マティーン2世
破壊したもの:車、市街地
製作作品
- テキサス・チェーンソー
- 悪魔の棲む家
- テキサス・チェーンソー・ビギニング
- ヒッチャー
- アンボーン
- 13日の金曜日
- エルム街の悪夢
- アイアムナンバーフォー
- パージ
- パージ・アナーキー
- ミュータント・タートルズ
- 呪い襲い殺す
- プロジェクト・アルマナック
- ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影
- パージ:大統領令
- クワイエット・プレイス
- パージ:エクスペリメント
- バンブルビー
- クワイエット・プレイス 破られた沈黙
- ソングバード
- トランスフォーマー ビースト覚醒
- 乙です。嫌いな監督ではないけどさすがに最近は作品にマンネリ感あるし、某懐古批評家とか、否定派の言い分もわかる人。 -- 名無しさん (2016-06-25 23:52:16)
- トランスフォーマーのヒロインからヒトラーだかなんだか呼ばれるのもわかる気がする -- 名無しさん (2016-06-26 01:33:16)
- 良い面も悪い面も極端な作風。実写トランスフォーマーのシナリオは正直好きじゃないけど、同時にベイにしか実写トランスフォーマーは撮れないとも思う -- 名無しさん (2016-06-26 02:14:52)
- 若い時から活躍出来てるあたり、いい意味でも悪い意味でも流行作家って言葉が相応しい人なんだろうね。平成第一期の白倉Pや井上先生が思い浮かぶ。 -- 名無しさん (2016-06-26 03:09:30)
- ペイン&ゲインみたいなドラマ重視な作品も撮れることは撮れる -- 名無しさん (2016-06-26 10:58:20)
- パールハーバーで散々叩かれたのにTF2でエノラゲイの写真映してたのはワロタ -- 名無しさん (2016-06-26 16:21:04)
- アイアンハイド死なせた件で抗議きたんだっけ -- 名無しさん (2016-06-26 16:29:48)
- 流石に隕石はCGで破壊したか -- 名無しさん (2016-06-26 16:32:04)
- ↑4 ドラマ自体は安定のバカ&グロ路線だけどな! -- 名無しさん (2016-06-26 18:38:00)
- エルム街の悪夢は絶許 -- 名無しさん (2016-06-27 00:13:21)
- 亀忍者をドヤ顔で宇宙人にした!と発表→ブーイング→うるせえ!→結局やめる -- 名無しさん (2016-06-27 07:40:36)
- スプラッタ映画向きだと思ってるんだが、その畑でも評判悪いのかな? -- 名無しさん (2016-06-27 17:46:01)
- ハリウッド映画の莫大な予算だからこそできるド派手な作風。もし低予算の映画作ったらどんな作品になるんだろ? -- 名無しさん (2016-06-27 17:50:37)
- ザ・ラストシップでなんとか回復傾向に向かっているが果たして・・・ -- 名無しさん (2016-06-27 19:27:15)
- ↑2 ペイン&ゲインと13時間は比較的低予算 -- 名無しさん (2016-06-27 19:43:14)
- 現実にボンバーマンがいたら、こんな感じなのかな? -- 名無しさん (2016-10-16 20:43:17)
- マイケル・ベイ監督は日本大好きだし何か複雑だな -- 名無しさん (2018-01-23 23:04:33)
- 映画界のボンバーマン -- 名無しさん (2020-10-31 19:34:02)
- ベイトロンは俳優さんにたいする扱いが…車の描写と爆破やバイオレンスは無二だとおもう -- 名無しさん (2023-02-23 19:39:22)
- 実写TF的には始まりを作った偉大な監督ではあるけど、4~5作目で明らかにガタがきてその後は丁寧な作りがうまい監督に変わっていったんだろうな -- 名無しさん (2023-07-31 00:54:21)
- 色々とクセの強い人ってのは想像つく -- 名無しさん (2024-12-27 00:43:58)
最終更新:2024年12月27日 00:43