[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

名探偵コナン 水平線上の陰謀

登録日:2015/11/21 Sat 12:50:51
更新日:2025/02/04 Tue 23:36:41
所要時間:約 18 分で読めます





激突!

シリーズ初の二重(デュアル)サスペンス!


監督:山本泰一郎
脚本:古内一成
主題歌ZARD「夏を待つセイル(帆)のように」

『名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー)』とは、劇場版名探偵コナンシリーズの第9作目のタイトルである。2005年4月9日公開*1で上映時間は108分。興行収入は21億5000万円。

【概要】

最近の劇場版では活躍に恵まれなかった毛利小五郎に焦点を当てた作品。
今回は彼が事件の全貌を自力で推理し、更には犯人の確保まで行うという小五郎ファンにはたまらない一作となっている。
これには小五郎役の神谷明さんも当時大変喜んでいた。

また、作中では新一と蘭が小学生だった頃の出来事について触れられており、これが後に重要な意味を持つようになっていく。
今回は、『ベイカー街の亡霊』以来の倒叙形式で話は進むが、犯人当ての醍醐味はしっかりと味わえるようになっている。
さらにこれまでの劇場版でのオチはギャグの展開で終わることがほとんどだったが、この作品では温かい場面で締めくくられている。


以下、ネタバレにご注意ください。


【ストーリー】

今から15年前、北大西洋上を航行中の貨物船・第一八代丸が氷山に衝突する事故があった。
その事故では船長と航海士の2名が犠牲となり、船は海中へと沈んでいった。

また半月前、西多摩市で八代造船の設計技師・八代英人が車を運転中に心臓発作を起こして崖下から転落。炎上する車の中で死亡した。

そして現在、コナンたちは園子の計らいで、豪華客船「アフロディーテ号」の処女航海を満喫していた。
その夜、コナンたちはディナーの席で、シナリオライターの日下ひろなりと船の設計チームの一員・秋吉美波子と知り合い、彼らと一緒にディナーを楽しむ事に。
その途中で日下は気分が悪くなったと言って席を外すが、彼は自室に戻らずにある部屋へ忍び込み、ある犯罪計画を実行しようとしていた。

翌日、コナンたちはひょんな事からかくれんぼをする事となり、灰原と園子が鬼になってみんな隠れる事に。
灰原と園子は順調にコナンたちを見つけていくが、その最中に園子が何者かに襲われて閉じ込められる事件が発生。
コナンの推理で事なきを得た園子だったが、小五郎はこれを殺人未遂事件と判断し捜査を開始する。
捜査を進めるうちに八代グループ会長・八代延太郎から話を聞く必要があると考え、彼の部屋を訪ねた。するとそこでは延太郎の娘で社長の貴江が腹を刺されて死亡しており、関係者の証言から延太郎も行方不明となっている事が判明した。
本庁から目暮たちが駆けつけて本格的な捜査が開始され、調べが進むうちに日下へ疑いの目が向けられる。
だが彼には犯行時、美波子と電話で話していたというアリバイがあり、美波子からも裏づけがとれたため捜査は行き詰まってしまう。

そんな中、小五郎は「今夜のウェルカムパーティーで全てを明らかにする」と宣言し、目暮たちは彼に期待を寄せる。
そしてウェルカムパーティーが始まり、小五郎は自信たっぷりに推理を披露するが、見当違いな推理な上に証拠もなかったため、「トイレタイム」と言ってそそくさと退散してしまった。
その時の日下の仕草から決定的な証拠を発見したコナンは、阿笠の手を借りて推理を披露していく。
だがそこにはコナンの推理の上を行く“犯人”の狡猾な罠が張られており、更には船に仕掛けられていた爆弾が爆発、船内はパニックとなってしまう。


【事件関係者】

  • 日下ひろなり(くさか -)
CV:山寺宏一
シナリオライター。26歳。
髪を赤く染め、薄い色の入ったグラサンをかけているチャラそうな男。
現在は豪華客船を舞台にした連ドラの企画書を手がけているらしく、その関係で美波子と知り合いになった。
連ドラのタイトルは『クルージング恋物語』で、美波子から感想を聞くために部屋の電話から彼女の部屋にかけてそれを朗読していた。
だがそれは彼の用意したアリバイトリックで、ICレコーダーに記録しておいたストーリーを電話口で再生している隙に八代親子を殺害しに行っていた。
貴江殺しは問題なく終えたが、マリーナで延太郎を襲った時に抵抗されてしまい、逆に首を絞められ殺されかける。
その後は何とか彼をに落として殺したらしいが……?
山寺氏は後に赤井秀一の父である赤井務武を演じる。

  • 秋吉美波子(あきよし みなこ)
CV:榊原良子
八代商船の設計士。32歳。
アフロディーテ号の設計チームのリーダーでもあり、船の名前も彼女の発案によるものである。
眼鏡をかけた知性的な人物で、園子も「うわぁ美人!」と思わず声に出してしまうほどの美女。
だがどことなく英理と雰囲気が似ていたため、彼女を見た途端小五郎は顔を引きつらせていた。
子供好きな一面もあり、コナンに紙ナプキンで船を折ってプレゼントする。
ウェルカムパーティーの席で、小五郎に犯人だと名指しされてしまうが、彼の推理の詰めの甘さを指摘して「私が犯人だというのなら証拠を見せてください!」と抗議した。

  • 八代延太郎(やしろ えんたろう)
CV:岡部政明
八代グループ会長。78歳。
着物が似合う貫禄のある人物。鉄扇を愛用している。
船内で起きた事件の2番目の被害者。プールバーに向かう支度をしていた時に「15年前の秘密を知っている…」という内容のメモを見つけ、指示どおり地下のマリーナに向かう。
そこで日下に襲われ、搬入口から海に落とされた。
後の海上保安庁の捜索によって遺体は発見されるが、その遺体は日下の供述とは食い違っている箇所があり……

  • 八代貴江(やしろ たかえ)
CV:鳳芳野
八代客船の社長で延太郎の娘。51歳。
顔は歳相応に老けているものの、小五郎が思わず鼻の下を伸ばしてしまうほどの美脚の持ち主でもある。
船内の事件最初の被害者で、新見夫人とスカッシュを楽しんだ後で部屋の風呂に入っていたが、浴室から出た直後に日下に腹を刺されて失血死する。

  • 八代英人(やしろ ひでと)
八代造船の設計技師で貴江の夫(婿養子)。49歳。
美波子の上司でもあった人物で、彼女は彼の事を偉大な先輩として尊敬していた。
この航海の半月前に、西多摩市の別荘からで出ようとしていた時に突如心臓麻痺となってしまい、そのまま車ごと崖に転落して死亡する。
所轄は事故だと判断したが、佐藤たちの再調査により殺人の線が濃厚になる。

  • 海藤渡(かいどう わたる)
CV:中田浩二
アフロディーテ号の船長。56歳。
15年前に沈没した第一八代丸のクルーでもあり、当時は副船長を務めていた。
当時、船長が部屋でぐったりしている現場を目撃していたが、その光景にうろたえる事なくほくそ笑む。
そして脱出後は不安げなクルー達に混じり、ただ1人静かに微笑みながら沈みゆく船を眺めていた。
中の人はコナンの劇場版に複数回登場する小田切刑事部長を演じている。

  • 辻本夏帆(つじもと なつほ)
CV:西村ちなみ
アフロディーテ号のパーサー。25歳。
美人で可愛い。八代親子のスケジュール管理を任されている。
ウェルカムパーティーでは司会を務めていた。
犯人は身長170㎝で普通の体格であったが、彼女の身長は160㎝前後であった為、容疑者から外れている。

  • 岬直也(みさき なおや)
CV:太田真一郎
アフロディーテ号のチーフパーサー。36歳。
園子が襲われる事件が発生した時、小五郎に警察を呼ぶよう指示される。
その後はコナンたちと貴江の遺体の第一発見者となり、捜査会議でも進んで情報を提供していた。
犯人は身長170㎝で普通の体格であったが、彼はふくよかな体格であった為、容疑者から外れている。

  • 新見謙介(にいみ けんすけ)
CV:有本欽隆
元首相。
延太郎とは親交があり、その縁で今回の処女航海にも夫婦揃って招待される。
プールバーで延太郎とビリヤードを楽しんでいたが、途中で彼がバーを後にしたため、その事を警察に証言する。

  • 汐見勝彦(しおみ かつひこ)
CV:遊佐浩二
アフロディーテ号の料理長。
行方不明の園子を捜しに来たコナンたちが厨房に入った時は厳しく注意したが、事情を聞かされた後は最後まで園子の捜索に協力していた。

  • 水久保仁(みずくぼ じん)
CV:井原啓介
アフロディーテ号の船医。
閉じ込められていた園子を診察し、安静にしていれば心配ないと診断した。

  • 磯崎滋(いそざき しげる)
CV:大川透
レストランのマネージャー。
ディナーの時にコナンたちを席に案内する。
彼のみウェルカムパーティーのクルー紹介で壇上に上がっていない。

  • 伊沢洋介(いざわ ようすけ)
CV:大川透
アフロディーテ号一等航海士。
船が沈没の危機に直面した時、決断を迷っている海藤に対し退船命令を下すよう迫る。
退船命令が下った後は、アナウンスで乗客に避難を促した。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
隠れる側にもかかわらず、のんきにサッカーをしてた事で即灰原に見つかってしまう。
事件が起きて早々に日下に目をつけ、彼の企てたアリバイトリックの解明に挑む。
その後は親父に教わったボートの操縦テクを駆使して、日下と激しい追走劇を繰り広げる。
本作では珍しく、元来の気質が仇となり、ミスリードに引っ掛かってしまった。

ご存知平成のホームズ。
小学生の頃に抜群の推理力で、かくれんぼで隠れて出られなくなった蘭の事を見つけ出す。
今回は小学生の頃の新一の声も高山みなみが演じているため高校生時の新一の台詞が「ぜってー見つけてやっから待ってろ蘭!」しかないのは秘密だ!

ご存知迷探偵だが今回のもう1人の主人公。
だがコナンとは違い犯人を日下だと考えておらず、パーティーの壇上で美波子を犯人だと告発する。
そして推理の穴を指摘されると「トイレタイム」と言って逃げるように会場から出て行ってしまう。
廊下ですれ違った女性(彼氏持ち)に見とれていたりと、やっぱりいつもどおりのダメ探偵かと思われたが……?

ご存知蘭姉ちゃん。
小学生の頃から体力があったため、かくれんぼの時は普通の小学生ならとても隠れられない場所*2に隠れていたらしく、園子から忍者と評された。
つい先日空手の関東大会で優勝したようで、ディナーの席で皆から祝福されていた。

ご存知哀ちゃん。
光彦に「あなたも(お風呂に)入る?」と冗談を言い、光彦をノックダウンさせた。
かくれんぼの時に園子と異色のコンビを組んで鬼となり、隠れたメンバーを探す。
普段と違い、“捜す側”に回ったからか、少しだけ嬉しそうな表情を見せていた。

ご存知天才発明家
バイキングでローストビーフを取ったが、灰原にサラダとすり替えられた。
少年探偵団に「相手を思いやる気持ちを持つ事が大事」と教えた。
今回は「カフスボタン型スピーカー(盗聴機能付き)」という洒落たものを発明し持ち込んでいたが、小五郎に取り上げられて彼がつける事に。この発明が終盤まで大いに役立った。なお、劇場版でコナンが阿笠の声で推理ショーを披露するのはこの作品が唯一。

ご存知少年探偵団。
序盤では蘭に子供扱いされているコナンをからかい、「それじゃあコナン君、お父さんをお願いね」と蘭の声真似を披露した。
蘭が関東大会で優勝したお祝いとして、彼女のために貝殻で金メダルを作る。でも紐が足りずにブレスレットになってしまった。
面と向かって渡すのも芸が無いと思い、彼女の着ていたウインドブレーカーにそっと忍ばせた。
ちなみにかくれんぼでは元太が食堂のテーブルの下、光彦が阿笠のタキシードを着て変装(いつだったかコナンも似たような隠れ方をしていた)、歩美がシーツ回収のカートの中に隠れていた

ご存知蘭の親友。序盤の小五郎のモノマネは必見。
灰原と一緒にメンバーを捜していたが、マリーナにいた時に日下に襲われ霊安室の遺体安置ケースの中に閉じ込められてしまう。
危うく凍死しかけるが、コナンの推理によって見つけ出され難を逃れた。

ご存知捜査一課のメンバー。
小五郎の要請を受け、本庁からヘリで船に駆けつける。
乗船した時に高木と白鳥は、「でも海でも毛利さんの行くとこ事件だらけですね」「次は宇宙ですか?ロケットにでも乗って」など皮肉を言っていた。(宇宙飛行士の毛利衛さんに掛けたネタ)

捜査一課のメンバーだが、こちらは西多摩で起きた英人の死亡事故の再捜査を行っていた。
調べが進むうちに他殺の疑いが濃厚となり、その事を船にいた目暮たちに報告する。

  • トメさん
アニメオリジナルキャラの鑑識さん。
現場となった八代親子の部屋とマリーナを現場検証し、証拠品を詳しく調べるために先に本庁へと戻っていった。


【その他】

  • 沖田(おきた)
15年前に沈没した第一八代丸の船長。
沈み行く第一八代丸と運命を共にし、帰らぬ人となる。
この事故は、彼の判断ミスが原因となり起きたものと記録されているが……?

  • 船員
第一八代丸の三等航海士。
部屋でぐったりしている沖田を発見し、その直後に海藤と会うが、なぜか彼だけ逃げ遅れ死亡してしまう。

  • 麗(うるわし)姉妹
タレント。
小五郎がデレデレになるほどのナイスバディの持ち主たちで、延太郎の招待を受けて乗船していた。
いつの間にか小五郎と知り合いになり、彼から面白い話を聞こうと部屋に招待する。
モデルはもしかしなくとも叶姉妹。

  • 救助隊員
CV:山野井仁
海上保安庁特殊救難隊に所属する隊員。
終盤で救援に駆けつけ、船に残されたコナンたちを救助する。
身を挺して傷つきながらも任務を全うする様はまさに漢。


【余談】

この作品は、船が氷山に衝突する事故や豪華客船の沈没、救命ボートでの脱出、船長は船に残ろうとするなど、映画『タイタニック』を意識したシーンが多々ある。
特にEDにはそれがよく表れている。それは、一人の女の子が客船の内を回り宝物を探すというコンセプトなのだが、最後に女の子は見つけた宝物を海に投げ入れる。その行動は101歳になったローズのそれとまったく同じである。


追記・修正は、相手を思いやる気持ちを持ってお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 名探偵コナン
  • 名探偵コナン劇場版項目
  • 水平線上の陰謀
  • 映画
  • 劇場版
  • 山本泰一郎
  • 古内一成
  • 毛利小五郎
  • 客船
  • 豪華客船
  • 旅行
  • 倒叙
  • 多摩
  • 西多摩市
  • 二重サスペンス
  • 陰謀
  • アリバイトリック
  • 折り紙
  • ICレコーダー
  • 金メダル
  • アフロディーテ
  • 沈没
  • 復讐
  • かくれんぼ
  • パーティー
  • トイレタイム
  • 海上保安庁
  • カッコイイおっちゃん
  • 小五郎の本気
  • 東宝
  • アニメ
  • 裁くべき被害者
  • 鬼畜な被害者
  • 小五郎が起きて解決した事件
  • 刺殺
  • アニメ映画
  • 主役は毛利小五郎
  • 2005年

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2025年02月04日 23:36

*1 通年は4月3週目公開となっているが、本年はドラえもん映画が声優勇退により見送られた影響で2週目公開となった。

*2 池の中や天井など。