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ヒビキ・カミシロ

登録日: 2015/04/01 Wed 16:27:50
更新日:2024/07/01 Mon 11:47:30
所要時間:約 12 分で読めます






俺にお前の力を貸せ!!



CV:村上龍

ADWの出身で、宗介よりも先に陣代高校の2年4組に転校してきている。無愛想な事もあってかなめや涼音からは割と気に掛けられていた。


◆経歴

小さい頃に両親が離婚した為に母親に引き取られるが、母が亡くなった為今度は父親の下で姉と三人で暮らし始める。
その中で元軍人の父親から截拳道やサバイバル技術を叩きこまれビーストハンターとして活動していた。
その後、突然発生した次元震によって父と姉を亡くす。またその際に次元震の原因と思われる「テンシ」なる存在を目撃している。
他の「テンシ」を目撃した人々は、「血塗られた目」と呼ばれる眼球が赤くなる現象を引き起こした上、恐怖以外の感情を完全に破壊されてしまっているが、
ヒビキの場合は「テンシ」を見たのがほんの一瞬であったことが幸いしてか、「血塗られた目」となったのは左目だけで、感情も破壊されていない。
この出来事により、ヒビキの内側では「テンシへの恐怖」と「テンシへの怒り」という相反する感情が渦巻くようになり、本編開始時点では「テンシ」を打倒する力を求めていた。
話が進み、「テンシ」や次元震などに関する世界の真実を知っていくにつれ、この感情は次第に「運命への絶望とそれに打ち勝とうとする希望」へと変わっていった。


◆人物

愛想は無いものの、クールな雰囲気のイケメンということで女子からはそれなりにモテている様子。実際には不器用なだけでけっこう感情豊かであるが。
自分と同じ症状を持つ信也と美沙子の見舞いに行くうちに知り合った、看護婦の柏葉真紀と交際しているようだが詳細は不明。
また、パートナーの涼音に対してもある程度の好意を持っている様子。

当初は周りに対して壁を作っていたが、かなめによって半ば強引に押し付けられた宗介や、後に転校してきたアルトや甲児らとの交流もあって次第に打ち解けて行く。
初めは胡散臭く思っていたAGに感謝を述べたり「宗介と友達になれてよかった」と言っている。

宗介の起こす騒動に対してはもはや驚きや怒りを通り越して悟りの域のサードステージに突入している。
ボランティア部では無理矢理副部長に任命されるが、結成自体には「宗介の奇行を止めるのもみんなで協力して出来るんだな…!?」と喜んでいた。
最終的には宗介共々ゴミ拾いの魅力に目覚め、アルト不在時には副部長として張り切っていた。
帰国子女な為戦闘中に英語を喋ったりもするが、学業成績はあまりよろしくない様子。

テンシや次元震について調べるうちにかなりのオカルトマニアになっており、ブロッケン伯爵をデュラハンだと思ったり、トゥアハー・デ・ダナンの名前の由来にもすぐ気付いている。

普段のムッツリした態度からクルツ達にはムッツリ5の一員と見られているが、本人に自覚は無いらしく自分ではなくアレルヤがメンバーだと思っている。

DLCでは本編以上に貧乏くじを引いており目が死んでたり白目をむいたりする。
…まさかこの白目状態が『天獄篇』の伏線になるとは、誰も想像できなかっただろう


◆能力

父親に仕込まれた截拳道のおかげで生身の実力はかなり高く、空手同好会のマロンを容易くブチのめし、宗介達とも互角に渡り合っている。
トラップの設置技術も宗介にすら気付かれないほどの腕前。
ハンター時代には最強のディメンションビーストであるディメンショングリズリーを仕留めたことから「Gハンター」の称号を持つ。
一方で機動兵器の操縦技術は素人なため、当初は酷評されていたものの猛特訓と度重なる激戦の中で他のメンバーに劣らぬものとなった。

また、原因は不明ながら「ブーストアップ」という能力を手に入れている。
これを使用することで、10秒間思考や身体能力が平常時の10倍以上に跳ね上がるが、
使用後は激しい疲労に襲われ、しばらくの間ジェニオンを呼び出せないなどのリスクも伴う。その割にはけっこうどうでもいい場面で使用しているが。
不動ZEN曰く「呪い」。
…これだけの身体能力を持ってなお、歴代スパロボ主人公中生身最強と言い切れない辺りが恐ろしいところだが。
最上位級生身で3m級機動兵器やら人間サイズアインストやら破壊する連中と互角だし。

戦闘においては相手を徹底的に否定し、挑発してわざと怒らせるという珍しいタイプの主人公となっている。
これについては、時獄篇の敵勢力はテロリストだの好き勝手暴れる邪神だの、八つ当たりで地球を滅ぼそうとする酔っ払いだのと、
基本的に同情の余地のない輩が多いのもあるだろう。
間違っても煽り耐性0な地獄コンビの片割れと絡ませてはいけないと思われる。


◆活躍

陣代高校のそばで発生した戦闘に巻き込まれた際にジェニオンと遭遇し、以降パイロットに。
初めは一人で戦うつもりだったがS.M.S.にとっ捕まったことで共に戦うようになり、更に偶然ジェニオンに同乗したスズネがパートナーとなる。

ジェミニスのガドライトとは遭遇した際に「血塗られた目」を発症したことから、ヒビキは彼が「テンシ」ではないかと疑いをかけ、
あちらからも自分と似た面があるという興味と、乗機のジェミニアと似たジェニオンへの嫌悪感から注目されて因縁が結ばれ、幾度となく激突することに。

その後、アクシズ落としの後に始まったガドライトたちとの決戦にて、彼が地球を攻撃する理由がただの八つ当たりだったことを知って完全に軽蔑。
アドヴェントの犠牲によって感情のバランスを崩し、「いがみあう双子のスフィア」を制御できなくなったガドライトから奪い取った上で撃破し、引導を渡した。


◆余談

  • アンチスパイラルによって見せられた多元宇宙迷宮においては何故か裏スズネと一緒にいたが、その際のやりとりからドM疑惑が浮上している。

  • 担当声優の村上龍氏は、これまでにも一般兵役などでスパロボにも出演していたとの事。ちなみに同姓同名の小説家がいるが全くの無関係。






以下、天獄篇ネタバレにつき注意




















天獄戦争において、その過去が明らかとなった。

幼少期、母である超時空物理学者、メグミ・ラクナルドに心中の道連れにされそうになった過去があり、それがいまだに根深い絶望として残っていた。顔の傷はこの時に出来たもの。
「いがみ合う双子」を稼動させている相反する感情のうち、絶望は常にこれであり、これに様々な希望を対面させることで戦ってきた。

新地球皇国やネオ・ジオン、アマルガムを相手にZ-BLUEとして戦い続ける中、マキとの関係が自然消滅したこともあり、スズネとの仲が急接近。冗談とはいえ呼び捨てに出来るくらいになっていた。

サイデリアルのリアクター達と戦う中で徐々にリアクターとしても覚醒して行ったが、その矢先にスズネが「怨嗟の魔蠍」の力で裏人格のアムブリエルに支配されて離反。
さらに悪いことに、スフィアの反作用にも悩まされることになる。

そして翠の地球での戦いで、恩人であったアドヴェントが実は敵であり、さらに父と姉を奪った「テンシ」であることを知らされ、自我が崩壊して戦闘不能に陥る。
が、自我が崩壊する前にヒビキ自身がAGに「自分がどんな状態でも戦場に立たせろ」と言っていたため、クロウによって自我を失ったまま出撃させられる。
そして、AGに改造されたジェニオンを、己とジェニオンの意志によりジェミニオン・レイへと進化させ、反作用を乗り越えて完全にスフィア・リアクターとして覚醒。
希望に縋るのでも絶望に逃げるのでもない、己の意志を貫く覚悟により、「いがみ合う双子」を本当のサード・ステージへ押し上げることに成功した。

インダストリアル7での戦いでは涼音を取り戻し、ジェニオンに本来の力を取り戻すことに成功。
アドヴェントとも完全に決別し、敵対の意志を固めるが、その際にアドヴェントの奇襲によって涼音(アムブリエル)を殺害されてしまう。
偶然その場にいた12人のスフィア・リアクターが、一様に涼音の死、あるいはそれを招いたアドヴェントの行動を否定し、意志が一致したことで、
全員のスフィアの力を「いがみ合う双子」のスフィアが束ね、一時的に統合したことで、アドヴェントの奇襲の直前まで時間が遡行し、奇襲をジェニオンが防御して事なきを得るが、
同時に、全ての力を束ねられれば一度起きた事象をも覆すスフィアの恐ろしさと、その中にあって己の持つ「いがみ合う双子」の意味を知ることとなり、スズネの告白にもロクに返事が出来なかった。

銀河中心殴り込み艦隊出航時の戦いでは、御使いの威圧に潰されかけるが、アドヴェントから母の死の真相を聞かされて立ち直った。
その真相とは、メグミが独自に御使いの存在にたどり着いたため、それを不敬であるとしてアドヴェントが罰を与え、彼女の心を絶望に落としてヒビキごと死に追いやろうとした……というものである。
しかし、死を前にして己の意思を取り戻したメグミは、ヒビキを手に掛ける前に自殺するという方法で、息子の命だけは守ったのであった。
この事実を聞かされたヒビキは、メグミに対する憎しみや絶望から解放され、家族を全て奪ったアドヴェントを己の手で叩き潰すことを決意した。

カオス・コスモスでの戦いでは、バインド・スペルを登録されていなかったために一人だけピンチに陥っていたが、
ヒビキの命を自分とアドヴェントのものだと当然のように言い切るマキにキレて復活。
アドヴェントの力に呑まれ自我を失い、盲目的な忠誠と信頼を抱く真徒と化したマキの記憶をスフィアの力で奪い、蒼の地球に転送して過去の恋とも決着をつける。

そして、神話の果てと化した地球近海において、アドヴェントの顕現させた至高神Zを打倒。
自分達の持つ4つのスフィアと、至高神の8つのスフィア、そして人間の在り方そのものを力とする「いがみ合う双子」に同調したZ-BLUEと全人類の意志、
さらにアドヴェントとアサキム、スフィアに宿る亡きリアクター達の魂の力添えも得て、超時空修復に成功。

超次元世界が誕生した後は何とか陣代高校を卒業し、並行世界の冒険家「ゲートトラベラー」の一人として、
修復されたジェニオンと共にソーラリアンに乗り、スズネをナビゲーターに世界を巡る旅に出かけていった。

ちなみに脱ムッツリを目指して一人戦っているが、何気に落ち込みやすい性格のためか、どうにも成果が上がっていない。




俯瞰すると、ヒビキの身に起きた出来事は、

  • 母に道連れで殺されそうになり、その母に目の前で死なれる
  • 父と姉を次元震で殺される
  • 自分も「血塗られた眼」に苦しめられる
  • 初めて好きになった人が敵だった
  • 恩人だと思っていた男は家族の仇だった
  • 大切な人が敵に回った上、一度目の前で死なれた
  • 希望だったはずのジェニオンは一つの世界を混乱させた男の道具だった
  • そもそも今までの戦い自体が誰かの計画の上だった

となり、セツコをしのぐ勢いの不幸っぷりである。彼女の身に起きた出来事も確かにシャレでは済まないレベルだが、ヒビキの場合精神構造や人生の根幹の部分に直結している分、現状で完結しているセツコよりもなお酷い。
アムブリエルからも「愛する人を奪われることの連続だった人生」と憐れまれていた。

それでも、部隊の仲間達や宗介を始めとする友人達、心身の支えであるスズネの存在により都度都度立ち直っており、全体的に見ると落ちては上がり、上がってはまた落ち、とかなりアップダウンの激しい人生を送っている。


●専用BGM


  • 瞳の中の明日
ジェニオン搭乗時の戦闘曲。鍵盤のメロディが印象的な緩急のある曲。

  • 禁忌という名の希望
ジェニオン・ガイ搭乗時の戦闘曲。「瞳の中の明日」がヒビキの曲ならこちらはジェニオンの曲というべきか?
かなり曲調が重く、人によっては悪役かライバルに使われそうに思えるかもしれない。

  • 心の底の昨日
「瞳の中の明日」のダウナーアレンジ。Zシリーズ主人公のお約束たる「初期テーマの鬱イベント用アレンジ」である。

  • 太極のオーバーライザー
ジェミニオン・レイ搭乗時の戦闘曲。一部「瞳の中の明日」の旋律も入っている。
今までのテーマのどこか重たい曲調から一点、力強くヒーロー然とした希望溢れる曲調に変わっている。「瞳の中の明日」がヒビキのテーマならば、こちらはリアクターとしてのテーマというべきか。


○関連人物


西条涼音
ジェニオンのサブパイロットであり、ヒビキの相棒。
当初は涼音の方が先生かつ年上ということから保護者代理のような存在だったが、天獄篇では涼音がヒビキに甘えたり、頼ったりする場面も多くなった。
マキと決別後は相棒以上恋人未満という微妙な関係が続いたが、EDではほとんど恋人になっていた。爆発しろ!

AG
ジェニオンのテストを行っていた自称DEMコーポレーションのエージェントロボット
あまりにも胡散臭いためにヒビキは割とぞんざいに扱っているが、なんだかんだでいいコンビである。

ガドライト・メオンサム
時獄篇における宿敵。
当初は実力差もあって子供扱いされていたが、それだけに、最終戦でのヒビキのガドライトとのやり取りでスカっとしてプレイヤーも多いはず。

アドヴェント
時獄篇では協力者、そして天獄篇における真の敵。
ヒビキに目をかけ、力を貸してくれた『クロノ』に所属する謎の青年で、ヒビキを庇って戦死するが生還し、再び目の前に現れた。
実はヒビキの運命を歪ませた張本人である『テンシ』であり、ヒビキがそれを知ってからは不倶戴天の敵となった。
だからと言って怒りだけではなく、妙な縁で結ばれた複雑な間柄でもある。

●柏葉真紀
時獄篇の終盤で恋人関係になったナースの女性。
天獄篇では自然消滅に近い形で別れ、後に再会した時にけじめを付ける。
しかし、実は彼女はアドヴェントから「彼を盲信する」という思考誘導を受け、彼に付き従っていた『ホワイト』を名乗るクロノ隊員であり、
アドヴェントと敵対したヒビキは彼に付き従う真紀とも戦うことになり、かつての想い人との辛い戦いを強いられる。
そして、ヒビキに敗北した真紀はアドヴェントへの盲信が自分の意思なのか、彼に誘導されたものなのか分からなくなり精神が崩壊。
彼のスフィアの力でヒビキやアドヴェントに関する記憶を消された上で蒼の地球に転送された真紀は、救ってくれたかつての恋人を忘れ、看護師としての日常に戻っていった。
なお、ヒビキは彼女について好きだとも恋人だとも発言したことは一度もない。
周りが勝手に盛り上がり、ヒビキがそれに対してはっきりした態度を示すことなく曖昧に受け答えしてばかりであり、異様な雰囲気を訝しむプレイヤーも。

ランド・トラビス
無印『Z』の主人公の一人。『天獄篇』で知り合う。「心」の師匠。
ヒートスマイルに『暑苦しい!』とお決まりのリアクションをとったが、後に脱ムッツリの一環としてスマイルを伝授された。

セツコ・オハラ
無印『Z』の主人公の一人。ランドと同じく『天獄篇』で初顔合わせ。「技」の師匠。
年上で美人とヒビキのストライクゾーンど真ん中のためか涼音に『デレデレしない!』とヤキモチを妬かれたことも(もっともヒビキが注目しているのはセツコのコンバット・アクションやパイロットの腕の方だが)
戦闘訓練を付けてもらったが、セツコはその見た目に反して鬼教官だったため、若干後悔していた。
また、彼女とは特に交流が深いシンに嫉妬されたことも。

クロウ・ブルースト
第2次Zの主人公。セツコと同じく(ry 「体」の師匠。
彼からも訓練を施された他、ランドと同じく兄貴分として脱ムッツリなどでも世話を焼かれていた。
ちなみにヒビキは彼とランドのことは当人たちからの申し出で呼び捨てにしている。
ダメだ、その親近感は貧乏くじ同盟へのファーストステップだ!

●ティティ
天獄篇で知り合った謎の少女。似た家庭環境だったことから仲を深めるが、悲しい別れをすることに。
しかし実はアドヴェントと同じく高次元生命体である『御使い』の一人である『楽しみのテンプティ』であり、終盤に敵として再会する。
ヒビキは『ティティ』が存在しなかったことに安堵を覚えた後、彼女の趣味の悪い楽しみに怒りを燃やした。
ちなみにヒビキが自我崩壊を起こして昏睡状態に陥った際、彼女から「つまらない」「すごい子だと思っていたのにがっかりだ」と暴言を吐かれている。しかもタチが悪いことに、強がりからではなく本気で言っていた。


◆余談

  • シリーズ最終作の主役、元一般人、偶然からロボットに乗る、武術の達人、特訓と人間的成長によって強くなる、年上の女性パートナーがいる、前作主人公(達)を師匠と仰ぐ、
    機体はパートナーの関係者の製造、自身・パートナー・機体の三位一体によって実現する必殺技がある、と、主人公としてはトウマ&雷鳳の系譜に当たる。



追記・修正は希望(良項目化)と絶望(クソ項目化)の相反する感情を超越してからお願いします。

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最終更新:2024年07月01日 11:47