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力石徹

登録日:2014/09/13 (土) 20:30:30
更新日:2024/09/13 Fri 15:51:02
所要時間:約 5 分で読めます





あしたのジョー』の登場人物。
CV:仲村秀生/細川俊之(劇場版)
演:亀石征一郎(1970年版)/伊勢谷友介(2011年版)

【人物】
主人公・ジョーの終生のライバル
最初はウェルター級(63.51~66.68㎏)でデビューし、少年院から退院*1した後はフェザー級(55.35~57・45㎏)で復帰した。

大柄な体格を活かした強打の持ち主で、デビューしてから13連続KO勝ちという戦歴を誇っていたが、
ある試合で観客の野次に怒り暴力事件を起こした事で少年院に収監された。
復帰を待ち望んでいたため少年院では模範囚として規範を遵守し、舎弟も数多くいた。
脱走を企てたジョーを叩きのめした事から因縁が生まれ、以降お互いにライバルとして幾度も試合を行う。


【活躍】
泣く子も黙る「東光特等少年院」に収監されたジョーに段平が送った葉書を届けに来たのが初登場。
豚を暴走させ、それに飛び乗って脱獄しようとしたジョーの前に立ちふさがり、走り回る豚の群れを軽々と避けた挙句、豚を次々に殴り倒してジョーを捕獲した。
ちなみにこの豚、どう見ても200㎏はあるが力石のパンチの前に一撃で止まっている。どんな腕力だ。

脱走を失敗させた事でジョーと殴りあいになり、通信教育の賜物であるジャブに驚きながらも必殺のクロスカウンターを食らわせる。

慰問にやってきた白木葉子に意見したジョーに怒り一触即発となるが、段平の提案でボクシングで決着をつける事になり1分でKOすると宣言。
力石は牛をボコるという無茶な特訓を行い、万全の態勢で挑む。ちなみに牛はそのままご臨終となった。
始まった試合では、予告通りKO寸前まで追い込むがギリギリでジョーが立ち上がり1分を超えてしまう。
屈辱を晴らすため、強烈なパンチを何発も叩き込み、ジョーを半死半生まで追い込む。
そして止めを刺そうと放った一撃にジョーがクロスカウンターを放ち、ダブルノックダウンとなった。

少年院を退院した後はフェザー級として復帰し、新人王に輝くなど上々のスタートを切る。
そして、ジョーを宿命の相手としてバンタム級(52.47~53.52㎏)への転向を決意し過酷な減量を行う。
バンタム転向後の初試合では、アッパーを多用する奇妙な戦法で戦い劣勢になりながらも勝利を収める。
この戦法がクロスカウンター封じの作戦であり、試合そのものがその実践訓練だった事に気づいた段平やジョーを戦慄させた。

そして力石は蛇口を針金で縛りサウナに入るという過酷な減量、ジョーはアッパーを防ぐための猛特訓とお互いに血のにじむ特訓を経て、遂に宿命の一戦を迎える。
ジョーは力石のアッパーをかいくぐり打撃を与えていくが決定打にならず、
反対に力石のアッパーは一発当たれば終わりの破壊力を持つ事から次第に焦りを募らせていく。
接近してのショートフックを使った戦法も、飛び込んだ所をカウンターで狙われてしまいジョーは打つ手をなくしていく。
力石のアッパー戦術は、クロスカウンターだけでなく、腰の入ったパンチを全て封じるのが最大の目的だったのだ。

第4ラウンド、遂に必殺のアッパーを炸裂させる事に成功し、大ダメージを与える。
続く第5ラウンドでは止めのアッパーを幾度も食らわせるが正攻法に切り替えたジョーのガードに阻まれる。
第6ラウンド、自らも減量苦によるスタミナ切れからか、ジョーの不意に放った大振りのパンチをこめかみに受けダウン。
起き上がった力石は何とノーガード戦法を繰り出し、ジョーをこれまで倒してきた相手の立場に置いて動揺させる。

しかし、ジョーもすぐさま切り替えて同じくノーガードを繰り出す。先に動いた方が倒されるため、お互いに動かないままラウンドが進んだ。
そして迎えた第8ラウンド、遂にジョーが動き左ストレートからのダブルクロスカウンターを仕掛けるが力石は体を沈めるアッパーで回避、
逆にトリプルクロスのアッパーという決定的な一撃を叩き込む。
かくして、宿命の対決は力石のKO勝ちで幕を閉じた。

試合後、負けたにも関わらず満足感に浸るジョーに力石が死んだという報せが届く。
死因はジョーのこめかみへのパンチでダウンした際、ロープに頭を打ち付けた事による脳内出血だった。
力石の死はジョーに大変なショックを与え、しばらくまともに相手の顔面を打てないという症状に追い込んだ。



ジョーがボクシングを志すきっかけとなった男。ジョーにとって力石は最大のライバルで、力石と戦う事が生きがいであった。
力石の存在はジョーに大きな影響を与えており、金竜飛との試合前にはバンタム級を
「力石が命をすててまでおりてきてくれた場所」「生涯の友との古戦場」と語るほど。
力石が死んだ時のショックは、試合を終えて力石が本当の友だと気づいた事もあったのだろう。

ライバルキャラながら大変な人気があり、死んだ時に実際に葬儀が行われたという話は有名。
力石が死んだ回が掲載された雑誌が発売された途端、抗議の電話と共に大量の香典まで届けられるという事態に発展。
悩んでいた所、劇作家の寺山修司の「だったら葬式をやればいい」というアイディアによって実現された。
戒名は「功徹院清精道観居士」。


また、作画のちばてつや氏が当初ボクシングをよく理解しておらず、
力石を大柄な体格に書いてしまったために減量をすることになったという逸話もよく知られている。
ただ、元々力石はあくまで少年院編でのみのライバルであったらしく、人気が出たために出番が延長された結果あのようになったらしい。
トリビアの泉で「力石徹は作者のつじつま合わせのため亡くなった」というトリビアが紹介された際はちば本人がVTR出演し「彼には申し訳なく思っている」とコメントしている。
ちなみに番組スタッフが専門家に力石がやったようにウェルター級からバンタム級への減量は可能かと聞いたところ、「8階級も落とすのは無理で、確実に死ぬ」とのこと。不摂生してウェルターだったわけではないので当然であろう。

力石をどうするかは作者の間でも意見が割れ、とあるバーで話し合いを行った時には議論が熱くなるあまり
原作者の高森朝雄(別名義・梶原一騎)が「(力石は)絶対に殺す!!」と叫んで警察に通報されたらしい。

顔のモデルはナポレオン・ボナパルト

作中で力石の墓がある護国寺は、高森の墓がある所でもある。


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最終更新:2024年09月13日 15:51

*1 ジョーとの少年院での試合の際には当然痩せており、おっちゃんから「どう贔屓目に見てもライト級(58.28~61.23㎏)はある」と言われている。無論、後述の辻褄合わせの為である