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SCP Foundation

登録日:2014/05/27 Tue 20:08:58
更新日:2024/09/29 Sun 14:06:38
所要時間:約 17 分で読めます






人類は恐怖から逃げ隠れていた時代に逆戻りしてはならない。

他に我々を守るものはいない、我々自身が立ち上がらなければならないのだ。



人類が健全で正常な世界で生きていけるように、他の人類が光の中で暮らす間、

我々は暗闇の中に立ち、それと戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけなければならない。



We secure(確保). We contain(収容). We protect(保護).





「SCP Foundation」とは「SCP財団」という(架空の)組織、またはそれを軸にした怪奇創作コミュニティサイトである。
かつては「The SCP Foundation」だった。
ここではコミュニティサイトそれ自体を解説する。
創作内のSCP財団についてはこちらを参照のこと。


【概要】


すごーく雑に説明すると、

「秘密組織『財団』にまつわる物語を集めているサイト」。

『財団』は「異常な特性による社会の変化」を阻止するために、収容手順である「Special(特別) Containment(収容) Procedures(プロトコル)」を定め、よくわからないものを「Secure(確保)」「Contain(収容)」「Protect(保護)」する秘密組織。

もっと大雑把に説明すると、「少年漫画だと間違いなく悪の組織扱いされることもやりながら「科学的に解明できないもの」を収容し、研究するたぶん人類の味方」である。

そのよくわからないものが人類の発展や、より良い社会のために極めて有効であったとしても、目的が「現在の『正常な』社会の維持」にある彼らがやることは変わらない。*1

そして、財団が収容する(完全にできているとは言わない)オブジェクトを報告書としてまとめました、という体で行われる創作活動がSCP Foundationなのである。

【異常存在(SCPオブジェクト)】

財団が収容するSCPオブジェクトとは、現代の科学や常識が通用しない異常存在………要するに「わけのわからないもの」である。
だが一口にそういっても、

などのマジックアイテムめいたものから

といった建造物そのものや異次元空間、

という危なっかしい生物(?)、さらには、

などの主人公か何かになっていたかもしれない人型の存在、果ては、

…………と説明してる側にもさっぱり訳がわからないものまで非常に多岐にわたる。

なお、その一覧はオブジェクト(SCP Foundation)(種類別)及びシリーズ(SCP Foundation)(番号順)にあるので、気になるものから読むといい。
文章だけでもえげつないものはえげつないが、元々が「ネット上に転がってる奇妙な画像にそれっぽいキャプションをつけてみたぜ」から始まった性質上、ものによっては人によってはグロいを通り越して生理的な嫌悪感を持つかもしれない画像やドッキリ画像が使われているので閲覧の際には注意するべきである。ただし、画像付きなのは少数派なのでご安心を。

まあ、要するに洒落怖みたいなもんだ。


【オブジェクトクラス】

そんなわけのわからない異常存在を収容する指標のために、オブジェクトクラス(SCP Foundation)というものがそれぞれに与えられている。
ここでは代表的なものを簡単に列記するが、それぞれの詳細やその他のクラスに関しては当該項目を参照のこと。

基本的なクラス

あるユーザーは喩え話で

「ロッカーに放り込んで、それで安全ならSafe、どうなるかわからないならEuclid、そのままにしておくと大惨事になるのがKeter」

と説明している。

  • Safe(セーフ)
最低クラス。
安全な収容方法が「一応」確立されていて、管理されている限り問題が起こらなさそうなオブジェクトが該当する。
ただし管理のしやすさで判定しているので、ぶっちゃけセーフとは言いつつ全然「安全」ではない。やらかした場合は世界崩壊レベルの事態が起こるものも珍しくない。
「管理さえしておけば安全」という意味で言えば現実の大量破壊兵器は(仮にそれが異常存在なら)ここに分類できると考えるとわかりやすいだろうか。

  • Euclid(ユークリッド)
中級クラス。
収容してはいるがまだ予断を許さないオブジェクトが該当する。
人型オブジェクトと、とりあえず収容が完了したSCPはまずここに分類されることが多い。
由来はユークリッド幾何学ないしそれを提唱した古代ギリシアの数学者・エウクレイデスと思われる。

  • Keter(ケテル、もしくはキーターとも)
最高クラス。
財団のあらゆる手段をもってしても完全な収容方法が確立できない、あるいは物理的に収容不可能などのオブジェクトが該当し、パニックを防ぐためカバーストーリーなどの隠蔽処理も滅茶苦茶多くなる。
ただしSafeと同じくと言うべきか逆にと言うべきか、あくまでも収容難度を主眼に置いた格付けであるため「オブジェクト自体の致死性・危険性は低い」こともザラにあるし、「収容は(多分)可能だが逃げられたorまだ見つかっていない」などの理由でKeter認定されるオブジェクトもある。
由来は生命の樹(セフィロト)の第1セフィラ「ケテル」(「王冠」の意)だろう。

使われたり使われなかったりするクラス

  • Neutralized(ニュートラライズド)
無力化済み。要するに「壊れたor死亡した」オブジェクト。
収容中の事故や、職員などがをやらかしたことによって機能を失ったオブジェクトが該当する。

  • Explained(エクスプレインド)
解明済み。
元は異常なアイテムとして収容されていたが、その後の調査や科学の進歩に伴って現代科学で解明・説明できるようになり、もはや異常とは言えなくなったものが該当する。
「影響が広まって収容できなくなった結果もはや異常と言えなくなった存在」であるSCP-8900-EXの記事が非常に有名なために時折意義を誤解されるが、あれは例外中の例外。
このクラスに該当した場合、アイテムナンバーの末尾に「-EX」とつけて区別される。

  • Thaumiel(タウミエル)
異常存在ながら「他のオブジェクトを収容・無力化する」ために特別に利用される『財団の切り札』。中にはKeterクラスの収容を可能にする超チート級の代物も混ざっている。
クラスの存在そのものが財団における最高機密扱いであり、ごく一部の職員のみが存在を知っているとされる。
さっきの喩えで言う「ロッカーそのもの」。
由来は邪悪の樹(クリフォト)の第1クリファであるタウミエル。財団の切り札が邪悪な存在の最高位とはなんとも皮肉であるが、神聖な存在(セフィロト)最高位(ケテル)への対抗策としてはこの上ない称号。

  • Apollyon(アポリオン)
SCP-3999や一部001提言など、「それが世界を終わらせうる上に現時点で収容手段も確立していない、どうしようもないオブジェクト」に与えられるとされるクラス。
SCP-2317が有名になったことで、それ自体はApollyonではないが報告書内でクラスの存在に言及しているSCP-3301などの「ヤバ過ぎるSCP」が出ると度々比較対象にあげられる。

なお、大元のSCP-2317は「特別なクラスで脅威を表現するのが、後続の記事の増加で難しくなった」ということで後の改稿にてクラス自体を削除している。……が、「生みの親ですら扱い切れなくなった」という事実によってクラスとしてはむしろ箔が付いたという声も。
その後、本家ではSCP-4005を始めとしたApollyon記事が多数投稿されるようになり認知度が更に向上、またドイツ支部では独自の制度である実績の中に「Apollyonクラスの記事を書く」というものがあったりと、「公式のクラスじゃないけど実質公式」という状態が長らく続いていたが、2021年に満を持して正式に公式のオブジェクトクラスになった。

Anomalousアイテム

正確にはオブジェクトクラスではないが、似たようなものであるため紹介。
既存の物理法則などに当てはまらない異常な存在ではあるが、SCPオブジェクトとして収容・研究するほどの価値も危険性もなさそうなものが割り当てられる分類。
「トスしたら絶対に表が出るだけのコイン」というような正直どうでもいいものが大半で、他クラスに比べれば管理も甘い*2が、後に新たな特性が発見されSCPオブジェクトとして再分類される例も多く、場合によってはKeterやThaumiel、Neutralizedなどのクラスに変更されることもある。

  • 壊れないランプ(本家初のアイテム)
  • いくら使っても勢いが落ちないダストブロワー(JP初アイテム、使用者数名が凍傷になった)
  • 元マリリン・マンソンのメンバーであるマリリン・マンソンが書いたマリリン・マンソンシリーズのパロディ小説(記述内の人名とグループ名がマリリン・マンソンに置き換わる)


シェアワールド「SCP Foundation」


「SCP Foundation」には上記の「オブジェクトクラス」を始めとして様々な用語や概念が登場するが、主要なもののほとんどはこのアニヲタwikiに解説記事がある。
詳しくは タグキーワード「財団用語解説」でアニヲタwikiをタグ検索 するとして、用語(SCP Foundation)を適宜参照すれば、読解の一助となるだろう。
そして、忘れてはいけないのがこの「SCP Foundation」はシェアードワールドであることだ。
端的に言えば、両立しない事実を示す報告書があったり、報告書の中で 何度か世界が滅亡したりしている ので、それぞれの報告書は言及されない限り パラレルワールド と考えて良い。




【財団支部】

本家である英語版以外にロシア、韓国、中国、フランス、ポーランド、スペイン、タイ、日本、ドイツ、イタリア、ウクライナ、ポルトガルに有志らにより作成された世界各国語版の支部サイトが存在する。
それぞれRU,KO,CN,FR,PL,ES,TH,JP,DE,IT,UA,PTと表記される支部は、他言語を翻訳したり、○○語版を示すSCP-番号-〇〇(CN,PL,ESはSCP-○○-番号)の形で付く支部独自のSCPオブジェクトや小説が執筆したりして、緩やかで独特の世界観・文化が形成されやすい。
EN世界観では絶対産まれない独特な要注意団体や違う財団職員が産まれるので設定上英語圏の財団職員も支部には注目を向けている。

なお支部は緩やかと言ったが日本支部と中国支部は別

日本支部は開始3年目にして001から999すべての番号が埋まるむちゃくちゃ早いスピードで発展を遂げて、2024年時点で既に3000以降の番号の記事も存在している。
SCP-JPシリーズは大元のSCPシリーズによくあるグロテスクを重視した仕上がりとは異なり、収容プロトコルにオカルト的な手法を積極的に採用して*3SIRENなどのような精神的にくる怖さを重視したジャパニーズホラーテイストや感動を狙ったモノが多々存在する。
EN職員をして「日本にはSCPを生み出すSCPがいる」と言わしめたほど。とか言ってたら本当にできちゃった
中国支部は初期にゴタゴタ・分裂があったものの統合が進んでからは記事・執筆者共に増えており、現在は日本支部に匹敵する、むしろ上回る速度で発展を遂げている。
SCP-CNシリーズは歴史系のネタが多く、漢詩のみで構成された記事等の中国らしい記事も多い。


もしも「俺こんなSCP思いついちゃったZE!」なんてことがあったら、SCP財団日本支部に誠意をこめて参加申請してみよう。
日本支部の博士、エージェントの皆さんはきっと快く君を迎えてくれるだろう。ただしDecommissionedは勘弁な!
そしてサイトでは「大人」として振る舞うこと。自分の考えが受け入れられなかったからと言って、フォーラムなどを荒らしまわったり他のユーザーを罵ったりするのは言語道断である。まあこのサイトだけに言えた事じゃないけども。

【SCP-173とライセンスについて】

全ての始まりになったSCP-173は日本の彫刻がモデルになっており、ある意味SCPの発生と日本には深いかかわりがある。
元ネタ作品を作った彫刻家は「SCPがらみの創作であることを明記すれば画像の二次使用OK、ただし 営利目的の画像利用は一切禁止 の条件で許諾を出してくれているので、これを守って感謝しつつ存分にやろう。*4

制限はSCP-173の画像と意匠であり、他のSCPは「クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0(CC BY-SA 3.0)」に従って営利利用もOKである*5
つまり、「タイトル・初版作成者・URLの明記」「改変した場合は改変前と同じライセンスをつける」という条件を守ればよい。
実際、日日日氏によるライトノベル「鏡の国のアイリス -SCP Foundation-」や、複数のアンソロジーコミックで徐々に商業を侵食し始めているが、上記3つのオブジェクトは出さないのが暗黙のルールになっている。


余談

  • 日本では「SCP財団日本支部」と「SCP Foundation 非公式日本語訳wiki」の2つのサイトが存在していた。前者が前述のSCP-JPであり、支部独自のSCPオブジェクト等の創作があくまでメイン、後者は他国語版のSCPの翻訳を集めたサイト。現在は「SCP財団日本支部」に併合されており、創作も翻訳も同じサイトで行われている。
  • あくまで「非公式なSCPファンサイトであり、SCP財団とは運営者が異なる完全な別サイト」という扱いの「SCP-JP非公式ファンサイト」が存在するが、こちらはSCP Foundationの設定を用いた二次創作が主流のようである。
  • 上述の創作上のライセンスの複雑さから、SCPの影響を明言しつつも直接は関係ない(二次創作ではない)とするLobotomy Corporationや2019年のゲーム「Control」などフォロワー作品も多い。
  • フリーゲーム「SCP Containment Breach」はDクラスの視点から見た脱出ホラーゲーム。バグは多いが、オブジェクトをよく活かした良質なホラーに仕上がっているので、一度プレイしてみてはいかがだろうか。
  • フリーゲーム「SCP Secret Laboratory」はオンラインでの財団・要注意団体・SCPオブジェクトの三つ巴がメイン。SCPオブジェクトの視点で虐殺プレイを堪能することができるぞ!
  • 2006年から2007年に放送されたテレビドラマ『轟轟戦隊ボウケンジャー』は「『放っておくと世界を滅ぼしかねない危険なシロモノ』を保護する組織の奮闘」を描いた作品。SCP財団発足(2008年)と時期が近いため元ネタとも言われるが、真相は謎。
  • 2013年に公開されたドリュー・ゴダード監督の映画『キャビン』に財団イメージに近い組織が出てくる。一部ではキャビン財団やサイトキャビンなんて呼ばれているちょっと管理が雑な団体での収容違反やK-クラスシナリオなどのイメージがしやすいので興味のある方はレンタルを。
  • このアニヲタwikiにおいても、SCPは非常に高いコア人気を誇っており、関連項目が大量に作られている。それぞれの項目内容とコメント欄でのやりとりの秀逸さは必見。





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最終更新:2024年09月29日 14:06
添付ファイル

*1 「社会に異常な特性を持つものがないのは財団が収容しているから」というのが基本設定

*2 メタ的な話でもあり、誰でも追加できるが、ふさわしくないものは一定期間で削除される

*3 世界観設定的には、前身となった要注意団体・蒐集院の特徴を引き継いでいるため

*4 営利利用の交渉も行わないようにSCP運営から勧告されている

*5 かつては他にも該当オブジェクトが存在していたが、そちらが該当部分の削除または記事削除となり、173のみがこの制限を残している。