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ジルコニア

登録日:2014/04/11(金)02:47:21
更新日:2023/05/26 Fri 23:52:17
所要時間:約 5 分で読めます





ジルコニアとはジルコニウムの酸化物『二酸化ジルコニウム』のことである。化学式は「ZrO2」


概要

ジルコニウムの酸化物であり、常態では白色の固体(白色顔料にも使われる)。
天然にはバッデレイ石(バッデリ石とも)として産出する。基本的にはジルコニウムの鉱石である。

性質としては融点が2700℃と高いため、耐熱性セラミックス材料として利用されている。
またそのほかにも生体親和性などを持つことから近年注目されている材料である。

本来ジルコニアは室温では単斜晶系であり、温度を上げていくと正方晶、及び立方晶へと結晶構造が相転移する。
そこへジルコニアに酸化カルシウムや酸化マグネシウム、あるいは希土類酸化物を固溶させると、
構造中に酸素空孔(酸素の格子空孔)が形成され、立方晶および正方晶が室温でも安定、または準安定となる。

このような安定化剤を添加したジルコニアのことを「安定化ジルコニア」または「部分安定化ジルコニア」と呼び、
また立方晶化させた安定化ジルコニアを「キュービックジルコニア」と呼称する。

安定化ジルコニアは、酸化物無添加ジルコニアに比べて強度、及び靭性などの機械的特性に優れている。
また、変態を完全に抑制した完全安定化ジルコニアよりも部分安定化ジルコニアの方が機械的特性に優れることが知られている。

キュービックジルコニアは透明で、ダイヤモンドに近い高い屈折率と分散率を有することから模造ダイヤとも呼ばれ、古くから宝飾品としても用いられている。

ちなみに同じジルコニウムを含む物質にジルコン(ZrSiO4)が存在し、こちらも高い屈折率と分散率を持つためしばしば混同されるが、
人造石のキュービックジルコニアとは違って天然に産出する鉱物である。(ちなみにジルコンという呼び名はペルシャ語のzar(金)とgon(色)に由来)
またジルコンは映像が二重に映る『複屈折』という性質を持つためダイヤモンドとの区別は基本的に容易であるが、
キュービックジルコニアにはそれが無いためかなりダイヤモンドそっくり。
さらにモース硬度では、ジルコンも7.5と悪くない硬さだが、キュービックジルコニアはさらに硬い8~8.5であり、硬度9のコランダム(ルビー/サファイア)に次ぐ。

+ キュービックジルコニア、ジルコン、ダイヤモンドの比較
屈折率 分散率 モース硬度 備考
キュービックジルコニア 2.13 0.06 8~8.5 人造石
ジルコン 1.925~1.983 0.039 7.5 複屈折あり
ダイヤモンド 2.417 0.044 10


これらの安定化ジルコニアはそれぞれ結晶構造ごとに用途が異なっており、

単結晶構造:キュービックジルコニアのほかに人工ダイアモンドとも呼ばれ、広く宝飾品に使用されている。
        前述したようにかなりダイヤモンドに似ており、昔は質屋も騙されたとかなんとか。

多結晶構造:耐火物や研磨材、ファインセラミックとして使用。
        この用方法のひとつとして、歯科材料(ジルコニアフレーム)がある。
        さらにはスペースシャトルの外壁や人工関節などにも使用されている。

となっている。


さらに安定化ジルコニアの中でも、特にイットリアを分散固溶させた「YSZ(イットリア安定化ジルコニア)」は、
強くてしなやか、そしてセラミックスの欠点である脆さを解決した画期的なファイン・セラミックス……と宣伝されている。

また、酸素イオン伝導性や遮熱性といった特性を持ち合わせいるために、
情報通信をはじめ、燃料電池や酸素センサの材料、未来を担うエネルギー、環境などさまざまな最先端の分野で活用されている。

前述した歯科材料としてのジルコニアフレームは歯科医療学会においても金属材料に取って代わる材料として認識され、
世界ですでに年間500万本以上の補綴物として使用されているとのこと。
金属ではないのでアレルギー反応もまずなく、人工関節などでも長期の実績があるため信憑性がかなり高いとか。


【パワーストーン】

キュービックジルコニアは本来人造石でありながら、パワーストーンとしての効果も期待されている。
透明度が高いもの限定だが、「ストレスを取り除き、心身のバランスを整える」とされている。

また天然石であるジルコンの力も受け継いでおり、
ダイヤモンドのパワーと水晶のパワーが共存した貴重な石」で「邪悪なパワーを寄せ付けない素晴らしい力」を持っているとのこと。

さらに、混乱や心配事があるときは、強い浄化力と治癒力があるほか、
全体的なバランスをはかる作用もあり、他の石とともに用いると、その石の力を強めるとされる。

誕生石としては4月や12月が主流(12月はジルコンの要素もあるが)。
4月に関してはダイヤモンドとクォーツがその月の誕生石なので意味合い的には丁度良いと言える。

ちなみに本来はジルコンのものだが、石言葉は「穏やかな人間関係」


【創作物でのジルコニア】

ジェムナイト・ジルコニア
ジェムナイト・クリスタが己の肉体を限界まで最適化させた存在。
クリスタルがジルコニアに、そしてダイヤモンドへと進化する。

・ジルコニア(美少女戦士セーラームーン)
アニメシリーズ4作目である『セーラームーンSuperS』において、敵組織デッドムーンの中盤までのボスとして登場。
表向きは老婆の姿をしているが、これは真の姿である女王ネヘレニアが年老いた自身の姿を投影して作り上げた偽りの首領で、
名前の由来も「ダイヤに見えてダイヤでない」というジルコニアの特徴から女王の偽物という意味と思われる。
ちなみに、一つ目玉に羽が生えたようなお供の使い魔の名前も「ジルコン」。


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最終更新:2023年05月26日 23:52