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ラストリベリオン

登録日:2012/01/27 Fri 02:24:57
更新日:2024/10/16 Wed 21:40:58
所要時間:約 4 分で読めます





暗黒……後世にはそう記されるであろう時代、


人々の心には、二つの神が存在した。


神話の時代から、この神々の力により命が咲き、散りゆき、


そして芽生えると語り継がれてきた。


概要

『ラストリベリオン』とは、2010年1月28日に発売されたPS3専用ゲームソフト。発売元は日本一ソフトウェア、開発元はヒットメーカー。
価格は7140円。

メーカー曰く「王道RPG」。
2人の主人公を使いわけて進むなど、斬新なシステムが多く組み込まれているのをウリとしていた。


ストーリー

物語の舞台となるのは「ジュノヴァルド」という世界。この世界には死と破壊を司る神「ミークテリア」と、生を司る神「フォーミバル」の力が働いている。

また、この世界には「ブレイド」と「シール」という2つの職業があり、ブレイドは剣の力を持って相手を撃破する能力を、シールは魔法の力を扱い敵を撃破する能力を持っている。

数年前の戦により、主人公『ナイン』の故郷である「ルオーヴィン」はモンスターが横行する国になってしまった。

ブレイドの能力を持つナインはシールの能力を持つもう1人の主人公『アイシャ』と共に、モンスターに立ち向かう……。



クソゲーあるある『やたら固有名詞が多い』


ゲームシステム

キャラクター切り替え

物理攻撃に特化したナインと、魔法に特化したアイシャの2人を交代させながら進む。
交代は戦闘中も含めて自由に行えるが、2人はある事情から1つの命を2人で持っているため、HPとMPは共有となる。
対して装備(防具)は独立しており、ナイン用とアイシャ用をそれぞれ用意する必要がある。

また、フィールド上ではナインで行動している時にはMP、アイシャで行動している時にはHPが自動で回復する。
「普通逆では?」と思えるが、引っ込んでいる側が休憩しているということだろうか?

戦闘

オーソドックスなターン制戦闘だが、特徴的なのは1ターンに何度でも行動できること。
勿論無制限というわけではなく、行動した分だけCPと呼ばれるゲージを消費する。
CPは自動回復せず、アイテムや魔法を使うか、フィールド上に設置されたCP回復用オブジェクトを攻撃することで回復できる。

プレイヤーが取れる攻撃手段は物理攻撃と刻印魔法の2つ。
前者は敵ごとに指定された攻撃部位を正しい順番で攻撃していくことでダメージボーナスが加算される他、攻撃した部位には数ターンの間「刻印」が付加される。
また、物理攻撃だけで敵を倒すと、戦闘終了時に経験値ボーナスが加算される。
後者は刻印が刻まれた全ての相手の全ての部位にダメージを与えることができる。当然刻印がなければ不発。
また、刻印魔法には属性が用意されており、弱点属性を突いて攻撃すれば威力が上がる。
他に回復や補助の魔法も存在し、こちらは刻印とは関係なく発動できる。

また、本作の敵は設定上不死身のため、倒した後はアイシャの固有技「封魂」を使って封印しなければ数ターン後にHP全快状態で復活する。
倒していない敵にも封魂は行えるが、もちろん成功率は低い。

ここまで聞くとごく普通のRPGに思えるが…





このゲームの正体はクソゲーオブザイヤー2010大賞。
上記のシステムもほとんど空気となっている。
ダメジャー』や『四八(仮)』等とは違い、フリーズ・深刻なバグなどの飛び抜けたクソ要素はないものの、
ただ単に一つも面白いところが無いというストロングスタイルのクソゲー


KOTYスレでの通称は「ラスリベ」。また、システムがことごとく滑っていることから「スベリオン」とも呼ばれる。


問題点

イベントは全て棒読みの英会話とキャラにほぼ動きが無い紙芝居で展開される。
さらに英語がエキサイト翻訳並で「(日本語字幕)パパ、パパ!」「(英語音声)Oh Daddy, Oh Daddy!」と違和感全開。

シンボルエンカウントだが、モンスターの移動速度が恐ろしく速く追われたらまず逃げられない。

姿を消しモンスターから逃れる魔法もある事にはあるのだが、聴覚でプレイヤーの位置を察知するモンスターもいるので足音を消す魔法も同時に使わないと意味がないという無駄にリアルな仕様。

そもそも、ストーリーが空気で薄っぺらい。というか何が起こっているか分からない。それなのに「俺達の戦いはこれからだ!」→EDという打ち切りエンド。この手のRPGにストーリーの良さなんて求めてはいけないという意見はこの際触れないでおく

NPCはいるが一切干渉不可能。ただのカカシですな

一つしかない街は荒涼とした渓谷に家が何軒か建っているだけ。勿論中に入ることもできない。

ストーリーに絡んでくる登場人物も10人に満たない為、ストーリーがより一層薄っぺらく感じられる。

無駄にロードが長い

BGMの初期設定音量がとんでもなく小さい。環境音と間違えるほど。

マップが見にくく、むしろ迷う。その不親切さは、KOTY総評で「クリアまでのプレイ時間13時間の内、3時間は迷子になる時間」と評された。

公式サイト「special」の項に存在する誤字「3nd*1。 

戦闘関連

とにかくもっさりしていて非常にテンポが悪い。

チュートリアルの敵が異様に硬い。事前にレベルを上げられない1周目ではチュートリアルに異様に時間がかかる。

敵の攻撃部位は1体につき7つや8つあることもザラ。正しい攻撃手順を把握するのが非常に面倒くさい。

CPの初期値がやたら少ない。1部位に攻撃するごとに1CPを消費することになるため、序盤はCPを最大限まで回復させても2,3ターンで底をつきがち。にもかかわらずCP回復用オブジェクトの使用回数は有限。

レベルアップのルーチンが単純極まりなく、それによる能力値の上がり幅がありえないほど大きい。
1レベルアップでHPが1割増えるという闇金もビックリな仕様なので、後半になるとレベル1UPでHPが9000ぐらい上がる。そんなとこだけ日本一仕様にされても……。

攻撃等の能力値も同じく大幅上昇する為、刻印魔法は使う意味がない。むしろ経験値ボーナスが得られないため不要。逆に補助魔法は強力なものが多く、ゲームバランス崩壊に一役買っているという両極端さ。
つまり、ある程度レベルが上がれば大概の敵は弱点を突くまでもなく一撃で死んでいく。そこで生まれた名言が「レベルを上げて物理で殴ればいい
なお、この名言が適用されるゲームはスベリオンが初ではない。あちらも大概のクソゲーである。
あと「レベルを上げて魔法で殴れば良い」というクソゲーもある。

強いて弱点探しをしようとするにしても、先述通り刻印魔法を使うためにはまず物理攻撃をしなければならない。したがって「物理で殴ればいい」というより「物理で殴るしかない」。縛りプレイすら不可能というスキのなさである。

属性は全20種類とアホみたいに多い。「銀」「銅」等まだ可愛いもの。「アダマン」「ミスリル」なんて属性まで出てくる上、これらはさらに「剣」や「斧」といったものとの複合。敵1体につき有効な属性は1つしかないのも煩雑さに拍車をかけている*2。しかし、前述の通りこれらの属性は全くもって無意味である


クソゲー要素をしっかり押さえている(悪い意味で)堅実なクソゲーであった為、KOTYでは「門番」等と揶揄された。


余談

クソゲーの法則と言うべきかPVだけは良質
PVではあの影山ヒロノブ氏が歌う「ever last」という熱い曲が流れるのだが、いかんせんゲームの内容と合っていない。エバラー。
「破壊束ねし神と、生を創りし神の…」と作中のワードを拾ってくれているのだが、
ゲーム中に生を創りし神(フォーミバル)は一切登場しない。設定倒れもいいとこである。

因みに、ED曲は霜月はるか氏が歌う「最後の道標」。これでもかというほどの無駄遣いである。

もっとも、よく見れば一枚絵とゲーム画面だけで構成されているという店頭PVあるいはティザーのようなものがOPとして収録されている時点でもうアレな気もするが。


因みに発売元である日本一ソフトウェアという企業、2007年から4年連続でクソゲーを輩出している。
最初のノミネート作はこのゲームと同じくヒットメーカーと組み、携帯機部門次点となった「ドラグナーズアリア ~竜が眠るまで~」。
こちらもバグはないがストーリーが薄っぺらく、魔法が弱いのでレベルを上げて物理で殴るバランスは同様で、
しかも新しい場所へ行けば敵の方がレベルが高くなるため、大苦戦を強いられ続けて楽勝になったら次へ行って大苦戦という理不尽な仕様になっていた。

翌年以降は据え置き部門に舞台を移し、クソゲー日照りであった為に注目を集めてしまった「奈落」を出し、
更にその翌年には「ヒッチ」、そしてスベリオンと、徐々に悪化している。
これらは別のメーカーが開発したものではあるが、スベリオン完成のための下地は十分にできていたと言えるだろう。

ただ、連続ノミネート記録は2011年で途切れたようだ。


日本一ソフトのアメリカの社長は「こんなゲームを出してしまって申し訳ない」と発言。
また、日本一は開発元であるヒットメーカーに対し「もうあそことは手を組まない」と激怒した。当然の処置であろう。
当然の如く本スレはお葬式状態。
攻略wikiからもほぼ見放されている。

その後、日本一の看板作品であるディスガイアシリーズの新作『魔界戦記ディスガイア4』にて、「ラストリベリオン」という名前の拳武器(=物理で殴れ)が登場した。
現世で入手できる拳武器では最強の為、修羅に行く前までお世話になった人も大勢いるだろう。
説明文は「好評発売中」。なんという自虐……
因みにDLCでゲスト参戦した日本一ちゃんの初期装備でもある。意味深な。


後に2013年4月18日、電撃オンラインでのインタビューに日本一ソフトウェア社長が当時のことを振り返って「ラストリベリオンは本当にごめんなさい!」とタイトルから謝罪する事に。
同インタビューをまとめると、

  • 2009年以降、製作を外部委託したソフトの殆どが赤字を叩き出す異常事態に陥っていた。一部ソフトに至っては完全に社長の手を離れて突っ走っている状態で、ラストリベリオンは2年ほど前から走っていた。
  • この時点でやばいと感じ、社内の品質の企画承認システムの再整備やレビューの点数を並べて品質のウォッチを開始。
  • 結果、「ここまでやらなければならない」という品質・内容・サービスのボーダーの認識が日本一側と委託先の間で大きくズレていることが発覚。2010年頃には日本一ソフトウェアのブランドイメージと業績が大幅に悪化する。
  • 2009年はかなりの赤字を出しているが、この原因は日本一が提示するボーダーに満たないタイトルの開発中止が主。
  • インタビュー当時の2013年に漸く社内のライン整備が完了。外部8割社内2割という歪な開発体勢を逆転させる事に成功し、これらに関して大反省することに。

という、日本一ソフトウェアの当時の混乱をうかがわせるものであった。

そしてゲーム業界に大きな(汚)名を残した四年後の2014年…
大いなる反逆の使途にして開発元「ヒットメーカー」はひっそりと倒産
会社の履歴を見る限りスベリオン以後大きな仕事はなかった模様。
約14年に渡る歴史に幕を下ろしている。





「このクソゲーを作ったのは誰だあっ!!」

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最終更新:2024年10月16日 21:40

*1 ちなみに正解は1st、2ndと続いてるのでファースト、セカンドの次。つまり、サードこと『3rd』

*2 例えば「ブロンズアロウ」が有効な敵に「ブロンズソード」を使っても効果は薄い