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吸血殲鬼ヴェドゴニア

登録日:2009/06/12(金) 21:59:52
更新日:2024/10/22 Tue 15:11:22
所要時間:約 8 分で読めます




貪り尽くせ、夜明けまで―-



2001年1月26日にニトロプラスより発売されたアダルトゲーム。
吸血鬼・変身ヒーロー物を題材にし、ガンアクションを取り入れた意欲作。

スタッフ
企画・監督・脚本:虚淵玄
キャラクターデザイン・原画:中央東口、Niθ
クリーチャーデザイン:Niθ

OP「WHITE NIGHT」
作詞:Hassy 作曲・編曲:磯江俊道 歌:小野正利
ED「MOON TEARS」
作詞:Hassy 作曲・編曲:村上正芳 歌:小野正利

OPが完全にエロゲの枠を外れている。
かなりメタル。

そして、史上初の紅白出場経験のある歌手がエロゲ主題歌を担当した。
小野正利は元々メタルシンガーなので、歌は凄まじく上手い。

ちなみに、この作品からZIZZ STUDIOがニトロの音楽を担当する様になった。



【ストーリー】
吸血鬼…生者の血を糧に永遠の時を生き長らえ、古より歴史の影で暗躍してきた闇の眷属。
その不死の肉体を求めて策謀をめぐらせる邪悪な信徒たちの前に、闇の仕置人、吸血鬼ハンターたちが立ちふさがる。
現代に蘇る聖戦に運命の悪戯に巻き込まれていく主人公と、彼を取り巻く少女たち。
彼らに生きて再び夜明けを迎えることは出来るのか?(パッケージ解説より)



【メインキャラクター】

〇伊藤惣太
主人公。吸血鬼に咬まれたものの輸血で一命を取り留める。しかし、大怪我を負ったり性的な意味で興奮すると「ヴェドゴニア」に変身する。
ニトロ(虚淵)作には珍しく地味な主人公。虚淵はこいつを書くのが苦痛だったらしい。
通称「ロリコン殲鬼ペドゴニア葱太」。
因みに、ファンだけでなくスタッフからも「ロリコン野郎」と言われている。
ただヘタレというわけではなく、ごくごく平凡な高校生で、まっとうな正義感と倫理観を持った良い男である。
普段使用しているバイクは250CCの刀。
選んだヒロインに合わせる男。日常に戻りたかったら日常ヒロインを選べ、な?
リァノーンの能力を受け継いでおり、最終局面では念動力に覚醒。ルートによってはギーラッハ以上の戦闘力を発揮する。
コミカライズ版では吸血鬼としてもパワーアップし、まさかの飛行ユニット化。

〇ヴェドゴニア
伊藤惣太が変身して怪物化した存在。
着用しているのは過剰な強化による肉体崩壊を防ぐための拘束具と、犬歯を抑える口枷。
ぱっと見はどうみても悪堕ちした仮面ライダーです、はい。
銃剣付きレイジング・ブルやら斧付き12ゲージショットガンやらイカレた武器を多数使う。
でも最強武器は実はナイフ。
ルートによっては中盤で完全に別人格となり、惣太とファイトクラブ状態で殺し合う。


〇来栖香織
惣太の幼なじみで、彼が借りているアパートの家主の娘。
虚淵作でありながら、超王道的幼なじみ兼ツンデレキャラにしてまさかの処女
「虚淵ご乱心!」「虚淵氏があんなエロゲみたいなキャラをつくるなんて!!」等々と多くのファンを混乱させた。
でも、慣れないキャラなのか扱いがやたら酷い。
なお惣太が人間に戻れるかどうかの分岐点は、彼女の弁当を食うかどうかである。超重要。


〇白柳弥沙子
香織の同級生で親友。メガネっ子で巨乳のお嬢様。
軽音部に所属しててヘビメタ大好きというギャップ萌えを地で行く人。
√によっては本当に悲惨な目にあう。しかし、影の濃さなら一番。
ウッピーの嫁。
あろうことかメインルートであるリァノーンルートでも大トリを飾る。ある意味さいつよヒロイン。
あんまりにもヒロイン力が強いため、ノベライズ版では一部ルートが香織に流用された。


〇モーラ(ニトロワではCV:水橋かおり
ヴァンパイアハンター。今作のロリ担当。ハンマー娘。
扱い的にはほとんどメインヒロイン。ニトロワに参戦したのも彼女。
ちなみに惣太の通称の原因は彼女の放ったとある一言のせい。
ぶっちゃけバレバレだが、彼女も吸血鬼。正確にはダンピールである。吸血鬼ハンターM。
ラトヴィアのある寒村が吸血鬼に襲われた際に生まれた子で、ハーフ・ヴァンパイア。
顔も知らない父親をはじめとする吸血鬼の根絶を生涯の目的としている。
実年齢は19歳だが外見は10歳程度でしかなく、彼女とエロゲ的行為を行った主人公はペドゴニアと呼ばれる破目になった。
全ルートで惣太のパートナーとして戦闘面で活躍する。
ただし彼女のルートは文字通りの修羅道なので惣太も修羅化する。はかない。
中央東口のイラストコラム『シャイニングエクソシスト追撃者』や、コミカライズ版四コマでは惣太や兄に対する扱いがひどい。


〇リァノーン
現存する最古のロードヴァンパイア。
通称:リァノっち
惣太と遭遇し血を吸って吸血鬼にさせた張本人。
一応今作のメインヒロインだが、「惣太」との絡みが無い。かなり不憫な人。
惣太を吸血したのは、何千年も昔に死に別れた恋人と瓜二つだったため。
つまり虚淵のコンセプト通りの前世ヒロインなのだが、前世の彼と惣太は別人だと受け入れる事ができる強い女。
そのため自分のルート以外では、惣太と会話すらせずに滅ぼされることを受け入れている。
作中ではEDテーマは彼女のために惣太が作曲したことになっている。
なおコミカライズ版では中盤に覚醒し、惣太やギーラッハとの交流が少し増えた。
惣太がラルヴァを選んだことを察して身を引き、ギーラッハに報いる事を選ぶ良い女である。


○ラルヴァ
コミカライズ版オリキャラにしてメインヒロイン。ヴェドゴニア2号。
吸血鬼秘密結社「キャマリラ」に所属する猟犬として、リァノーン奪還のため惣太に協力する。
ヴァンパイア三銃士に散々弄ばれたあと吸血されたのにもかかわらず処女というエロゲ設定の持ち主。
終盤ではヴァンパイア三銃士が討たれた事で人間に戻るも、ナハツェーラーの拷問を受けて致命傷を負う。
しかし惣太から吸血され、再度ヴェドゴニアとして蘇生。Wヴェドゴニアとして最終決戦に挑む。
さらに不完全なヴェドゴニアの惣太を補うため、合体してまさかの飛行ユニット化。
そして原作ヒロイン全登場にもかかわらず惣太をかっさらっていった。つよい。


【サブキャラクター】

〇フリッツ・ハールマン
ヴァンパイアハンター。モーラの相棒であり兄。重度のシスコンでヤンデレ
ルートによっては罠にはまったり、敵になる困った人。
武器は紫外線投光器とボーガンを装備したM4ウィッチハンター。愛車はハマー。
モーラルートではシスコンっぷりを利用されて吸血鬼化、人間に戻った惣太のラスボスになる。


〇網野鏡子
序盤に吸血鬼に襲われるが、無事に生き残る。しかし、後に色々と弄られる。しかも、攻略不可という可哀想な人。
だが、ある意味一番幸せな人物かも知れない。


【ヴァンパイア三銃士】
リァノーンに仕える三人の有力吸血鬼。

〇ギーラッハ
通称:ギーやん
リァノーンにより吸血鬼となった忠実な騎士。本作の実質的なラスボス
主人公と敵対する組織イノヴェルチの幹部、吸血鬼三銃士の一人。
最古のロードヴァンパイアであるリァノ-ンを600年に渡り騎士として守護してきた。
主人公とはどのルートでも対決することになるが、特にリァノーンルートは彼のルートでもあると言っていいほどの印象を残す。
騎士道を奉じる武人だが、彼の騎士道とは『いかなる手を使ってでも主を守る』こと。
作中でも自分と互角の吸血鬼に戦いを求められた際、不意打ちで奥義を放つという卑劣とも言える手段で破っている。
「騎士とはな……奉ずるもののためならば、犬畜生にも成り果てる」
「騎士道は根にして茎。その上に咲いた花ばかり、余人は愛でて尊ぶがな」
ある意味、作者である虚淵氏の思い描く騎士道を体言しているキャラ。アルトリアディルムッドと出会ったら面白いことになりそう。
漢の中の漢で、エロゲ三大親父の一人として数えられるほど。彼のセリフ全ては必聴もの。
√によってはウッピーを首ちょんぱする。
なおコミカライズ版では惣太との共闘を経て、真の黒幕ナハツェーラーに挑むことに。
そしてリァノーンから共に永遠の眠りにつこうと呼びかけられるなど、騎士としても報われた。
相変わらず片っ端から一刀両断する最強キャラだが、量産型ヴェドゴニア相手にどうして致命傷を……?


〇ウォルフガング・フォン・ナハツェーラー
通称:ナハ爺
吸血鬼三銃士のリーダー格でイノヴェルチの実質的なトップ。
老年になってから吸血鬼と化したため、老いた姿のまま不老不死となってしまった。
催眠術が得意な陰湿ジジイで、その為「人形使い」とも呼ばれている。
三人の中では死に方が一番ショボイ。
実はモーラの父親。戯れにモーラの母親を強姦し彼女を産ませた。
そのためモーラからは深く恨まれており、ナハツェーラーを見つけ出し殺すことがモーラの悲願となっている。
なおコミカライズ版ではまさかのラスボス。フィジカルでギーラッハ、サイキックでリァノーンを圧倒する。マジかよ。
そのわりに目的が「暇つぶし」なのはスゴいんだかショボいんだか。


〇ジグムント・ウピエル
通称:ウッピー
元メタル系ロックバンド「TEPES」のギタリスト兼ボーカリスト。
「SATUGAIせよ」を地で行く殺戮主義者でドS。
吸血鬼になってまだ30年程度のため吸血鬼三銃士の中では一番若い。
表向きには突如失踪した伝説のロッカーで、惣太も弥沙子も彼のファン。
作中では主題歌はウピエルの歌ということになっている。
√によって扱いが大きく変わるキャラで、悲しいくらいあっさり終わる場合もあれば個別ルートの半分を乗っ取る場合も。
因みに、惣太のバイク(隼の魔改造マシン、デスモドゥス)は元々は彼のもの。要はパクられた。
なおコミカライズ版では中ボス枠。吸血鬼秘密結社「キャマリラ」からリァノーンを攫って秘密結社「イノヴェルチ」を立ち上げた。
戦闘ではの超音波で惣太の脳を直接破壊するという、強烈なコミカライズオリジナル技を繰り出す。
しかし惣太が彼のファンで楽曲を完全に叩き込んでたお陰で音波を相殺されて負けた。
ナハツェーラー大暴れとギーラッハの強キャラ感に完全に食われているが、敵キャラの中では活躍した方。

○グランドー
コミカライズ版におけるオリジナルのヴァンパイア三銃士。リーダー格。
見た目はギーラッハと被っている気がしないでもないが、より耽美系のファッション。
ラルヴァを弄んで吸血したけれどそれ以上は手を出さなかった紳士。
大ボス感を出していたがギーラッハに首チョンパされて即死。

○コルデワ
コミカライズ版におけるオリジナルのヴァンパイア三銃士。
黒髪の女性で、ラルヴァを吸血するときにはおっぱいに齧りついた淑女。
ラルヴァより胸が小さいせいだろうか?
ウピエルを倒した惣太の前に現れて、髪の毛を操って絡め取る強キャラ感。
でも自信満々で受け止めたギーラッハの剣にそのまま一刀両断されて瞬殺。


【その他】

〇諸井霧江
IQ250の天才科学者。死に方があっけない事で有名。
天才と言ってる割にはアホの人にしか見えません。はい。
コミカライズ版では有能だけど6コマしか登場しない。


〇V・チューンド(キメラヴァンプ)
人工的に作成された吸血鬼。様々な生物の意匠が含まれているのでパッと見吸血鬼には見えないというか特撮怪人ほぼそのまま。
なお、V・チューンドのイメージイラスト担当として韮沢靖がクレジットされている。
しかしなんで吸血鬼とサメとかタコとかバイクとかを合体させたんだ……?




この作品の所々に平成仮面ライダーシリーズの一作『仮面ライダークウガ』のオマージュがある。

虚淵氏曰く、
「王道で行こうと思ったのです。
学園モノで、幼なじみがいて眼鏡っ子がいて妹がお兄ちゃん発言して前世の因縁と触手が絡む、そんなヤツを俺もやってみようと。
まぁそれだけじゃ不安だったんで、仮面ライダーにして、吸血鬼にしようと」
とのこと。
この発言と「ToHeartをモデルにした」という言葉を誤解して「ToHeartをモデルに学園ラブコメしたら仮面ライダーになったwwwさすが虚淵(ニトロ)www」
と言われることもあるが、実際のところ「自分にもToHeartを書けると思って書いたけど無理だった」という話であり、
色々見切り発車で書き始めた結果どうにもならなくなったのを強引に胴体着陸させた感じらしい。
主人公に関しても性格的に書いてて苦痛だったらしく、この作品に対しては色々思うところがあるらしい。
この作品で酷い目にあったのを機に、次作からは自分でできる範囲で書こうとしたとか。
……その結果が『鬼哭街』なあたりなんともはや。


何故かニトロ(虚淵)作の中で特に知名度が低く、メディアミックスにも恵まれないため、未だにモーラ以外のキャラにボイス無しという不遇ぶり。
考えられる要因として、ダルい戦闘システムや他のニトロ作のようにぶっ飛んだ描写が少ない等が考えられる。
しかし、虚淵ならではの重厚なストーリー、ヒロイン以上に力が入った銃器の描写から評価は高く、ニトロファンからは一番好きという声も多い。
主人公の愛銃レイジング・ブル・マキシカスタムもモデルガン化されていたりする。

一応、漫画・小説版がある。
小説は角川スニーカー文庫より刊行されている。全二巻。
原作を忠実に再現しながらも個別ルートの良い所を纏めているので、この手の作品には珍しく評価は高い。
また原作ではミニゲーム化されていた戦闘シーンが詳細に描写されており、そういう意味でもカッチョ良い。
サブタイトルはOPとEDタイトルから。

漫画版はドラゴンコミックスより刊行されている。全二巻。
序盤こそゲーム版と同じ展開だが、オリジナルヒロインのラルヴァが登場してストーリーが変化する。
吸血鬼秘密結社「キャマリラ」の一員である彼女は、反乱者イノヴェルチからのリァノーン奪還を命じられた猟犬であり、
共闘するうちに彼女が同じヴェドゴニアだと知った惣太は、自分を使い捨てるつもりだったフリッツたちと決別。
ラルヴァと共にイノヴェルチ、そしてキャマリラへと戦いを挑む事になる。

もうひとりのヴェドゴニア、ギーラッハとの共同戦線、ショッカーラ○ダー量産型ヴェドゴニア軍団との激闘、
貪り尽くすのではなく命を与える愛ある吸血、まさかのラスボス、比翼連理の最終決戦……。
と、展開だけ書き出すと実に燃える展開満載なのだが、当時はコミカライズに力を入れないのが当たり前という風潮もあって、
淡々あっさりと進んでいくのであんまり盛り上がらないというか戦闘シーンや重要シーンまるごとカットが多すぎる
そのため漫画版は黒歴史扱いされている。とりあえずエロい。中央東口によるピンナップや4コマもある。




本作発売から12年後、虚淵は平成仮面ライダーシリーズ第15作品『仮面ライダー鎧武』のメイン脚本を担当する事となる。
オマージュを書いたライターが本物を書く事になろうとは虚淵本人も含めて誰が予想しただろうか。
なお、本作に限らず虚淵作品には平成ライダーのオマージュが含まれた作品が多々ある事は有名。
実際『魔法少女まどか☆マギカ』は『仮面ライダー龍騎』のオマージュがあると明言している。



今、我が姫の2000年の苦悶と憎しみをこの剣に託し…俺は貴様の前に立つ。
超えてみせろ、伊藤惣太。さもなくば滅んで塵と散れ!!

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最終更新:2024年10月22日 15:11