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ソダシ(競走馬)

登録日:2024/01/25 Thu 20:24:03
更新日:2024/12/17 Tue 12:36:46
所要時間:約 5 分で読めます





無垢な未来へ。


一族の悲願を叶え、白毛馬初のGI勝利。
レコードを刻み、無敗の桜花賞制覇。
古馬となって取り戻した女王の輝き。君の後に、道はできる。
競馬の白紙のページに、美しさと強さで、まばゆいほどの新たな歴史を綴りながら。

──JRA・ヒーロー列伝No.92

ソダシ(Sodashi)とは日本の元競走馬

目次

【データ】

誕生:2018年3月8日
父:クロフネ
母:ブチコ
母父:キングカメハメハ
調教師:須貝尚介 (栗東)
馬主:金子真人ホールディングス
生産者:ノーザンファーム
産地:安平町
セリ取引価格:-
獲得賞金:6億2,923万円 (中央)
通算成績:16戦7勝 [7-2-2-5]
主な勝鞍:20'札幌2歳ステークス(GⅢ)、20'アルテミスステークス(GⅢ)、20'阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)21'桜花賞(GⅠ)、21'札幌記念(GⅡ)、22'ヴィクトリアマイル(GⅠ)
受賞歴:2020年JRA最優秀2歳牝馬、2021年JRA最優秀3歳牝馬
特記事項:22'フェブラリーステークス(GⅠ) 3着、22'マイルチャンピオンシップ(GⅠ) 3着、23'ヴィクトリアマイル(GⅠ) 2着
20'阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)で世界初の白毛馬によるGⅠ勝利
21'桜花賞レースレコードおよびJRA阪神芝1600m3歳以上コースレコード(1:31.1)
20'札幌2歳ステークス(GⅢ)レースレコード(1:48.2)

【誕生】

2018年3月8日生まれの白毛の牝馬。父はクロフネ、母はブチコ。
母譲りというと若干語弊もあるその純白の馬体から、サンスクリット語で「純粋」を意味する馬名を与えられた。クロイフネノムスメ*1
母ブチコは金子氏所有の白毛馬シラユキヒメと金子軍団の雄キングカメハメハの仔であり、自身もオープン入りしたいっぱしの競走馬。しかし、ゲート入りで暴れて放馬や怪我をしたことでレースから除外されたことが2回あったなど、絶望的な気性難を持っており、それゆえ相応の能力はありながらも重賞を勝つことはできなかった。
が、ブチコの何よりの特徴は、その名通りの白毛+ぶち入り*2という超超レア毛色だった。しかし全妹のママコチャは芦毛とぶち柄白毛の仔なのに鹿毛だった。
そんなブチコにクロフネを付けて生まれた彼女はいわば金子血脈の結晶的存在でもあった。
ちなみにクロフネ自身もシラユキヒメと複数回交配しており、白毛馬初芝勝利馬にして初地方交流重賞馬ユキチャン(ソダシの同期メイケイエールの祖母)等を輩出している。

【戦歴】

2020年7月12日に函館競馬場の2歳新馬戦芝1800mでデビュー。
好位先行からの直線抜け出しという王道のレース運びであっさり初勝利し、史上初の新馬勝ち白毛馬となった。
続いて札幌2歳ステークス(2着ユーバーレーベン)・アルテミスステークス(3着テンハッピーローズ)と重賞を2戦しデビューから3連勝、これまた史上初の白毛中央芝重賞馬となる。
年末は阪神ジュベナイルフィリーズに出走。残り1ハロンで抜け出すも一度は猛追してきたサトノレイナスにかわされるが、さらにひと伸びしハナ差で史上初の白毛GⅠ馬となった。ついでに記者投票満票で最優秀2歳牝馬に選出された。
明けて21年は桜花賞に直行。先団追走から直線半ばで先頭に立ち、親戚メイケイエールが出遅れと掛かりで暴走失速する中、前走同様猛追してきたサトノレイナスをクビ差抑え込んで史上初の白毛クラシックGⅠ馬および史上初のクロフネ産駒クラシックGⅠ馬になった。
続く優駿牝馬(オークス)では、終始マークされストレスフルなレースだったためか、前半の消耗が響き初敗北となる8着に沈む。なお勝ったのは須貝厩舎の先輩なシロイアレノムスメユーバーレーベン。
オークス後は放牧を挟んで札幌記念を単勝1倍台のラヴズオンリーユーを制して勝ち、クロフネ産駒初のJRA平地2000m以上重賞勝利を挙げる。ついでに史上3頭目の札幌記念勝ち3歳牝馬である。
次走秋華賞はゲート内で顔をぶつけたため口内出血を抱えながら先行集団に取り付くも、直線で伸ばせずもう一頭の金子血脈の結晶アカイトリノムスメの影で10着に終わった。なお、ぶつけてぐらついた前歯は抜歯された。

その後、年末はダートGⅠのチャンピオンズカップに挑戦。
1800mとマイル寄りの距離帯なのもあり、両刀のクロフネとダート馬のブチコの仔ということからダートの適性を試すこととなった。
しかし果敢に逃げを図るも最終直線で沈み、12着敗戦。
秋華賞の件もあってまた何かあったのかと心配もされたが、陣営によるとレース後の様子は万全通り越して余力が残りまくってたらしく、肉体ではなくメンタル面の問題ではないかと推測されている。なにせ母親がかつて船橋のゲートを怪我する程の勢いでブチ抜いたブチコだし…

22年も現役を続行し、ダート適性自体はあると見られたため初出走は再びダート・マイルGⅠのフェブラリーS。
昨年の覇者であるカフェファラオを筆頭にダート巧者が集う中、勝利こそ逃すも3着と敢闘(当該レースにおける4歳牝馬の3位以内入着は2000年のゴールドティアラ以来)。
適性を証明しつつも、ここでダート路線とはお別れして負けなしの芝マイルへと舞い戻り、ヴィクトリアマイルへ。このレースは、ソダシを含めてGⅠホースが5頭も出走するハイレベルで勝ち馬の予想が難しいレースとなっていた。そんな中、ソダシはスタートから好意につけ、最終直線で逃げていたローザノワールを捕らえるとそのまま抜け出し、1着でゴール。2着のファインルージュに2馬身差をつける完勝を見せた。

その後は前年に続いて札幌記念に出走し、白毛初中央(国際)ダート重賞馬のいとこハヤヤッコ等と争い二連覇を狙うも、結果はジャックドールに敗れ5着。この結果やそれまでの勝利レースを顧みてか、陣営はマイルに路線を絞ることを表明し、以降2000m以上を走ることはなかった。
秋には府中牝馬ステークスを始動戦として勝ちパターンに持ち込んだかに見えたが、12番人気イズジョーノキセキに驚異の末脚で差されアタマ差2着の惜敗となる。
次走の初挑戦となったマイルチャンピオンシップでは3着と勝利こそ逃すも、牡馬に負けず劣らずの実力を見せる。

そして2023年、アカイトリノムスメが2022年4月・ユーバーレーベンが2023年4月に故障から引退する中最後の現役21年牝馬クラシック馬となるも、ヴィクトリアマイル(2着)・安田記念(7着)ともに同期のソングラインに敗れたのちに脚部不安を発症。
秋に向けて休養となっていたが、スプリンターズステークスで上述の全妹ママコチャがGⅠ初制覇を飾ったのを機として現役引退が発表される。
GⅠの舞台での主役の座を妹に譲り、自身は白毛一族の発展に向けて戦いの場を繁殖の世界に移した。

【余談】

気性は結構繊細な様で、まず「蹴り癖注意」のため尻尾に赤いポンポンを装着。また音に敏感なのでレース前のパドックでは耳栓代わりに勝負服模様のメンコを装着し、ゲート内で騎手がキャストオフして出走。さらに阪神JF以降は勝負服メンコの下にレース用の白いメンコ装備が定番になる等、かなりの重装甲となっている。

元々牝馬としては大きめだが、成長に従って競走馬基準でもかなりのムキムキマッチョボディとなったため、白毛牝馬といういかにもなアイドル要素とはかけ離れた筋肉要素でネタにされることもしばしば。

桜花賞の直前にJRA公式グッズとしてぬいぐるみが発売されたが、普通はGⅠを2勝するか一部の大レースを勝たないと制作されないのに2歳GⅠ1勝で販売されたため、いろんな意味で話題となった。
まあ結果的に桜花賞で2勝目になって辻褄も合ったのだが。
なお、オンラインショップと競馬場内ショップで売り出すも開店後爆速で売り切れ、翌週再販したらまたしても瞬殺された模様。


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最終更新:2024年12月17日 12:36

*1 一応、このネタが使われるのは同期のアカイトリノムスメが絡む場合のみであることは明記しておく

*2 サラブレッドは顔や脚に白斑が出るのは普通だが、一般的に言う「ぶち」が入ることは極めて稀。