登録日:2024/01/07 Sun 06:48:11
更新日:2024/10/27 Sun 17:57:10
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シュヴァルグランは
日本の元
競走馬。
目次
【データ】
香港表記:高尚駿逸
生誕:2012年3月14日
父:
ハーツクライ
母:ハルーワスウィート
母父:Machiavellian
調教師:友道康夫(栗東)
馬主:佐々木主浩
生産者:ノーザンファーム
主戦騎手:
福永祐一(16戦5勝)、内田博幸(5戦0勝)、ヒュー・ボウマン(4戦1勝)、クリストフ・ルメール(2戦1勝)
獲得賞金:11億3497万1300円
通算成績:33戦7勝[7-7-7-12](国内30戦7勝、海外3戦0勝)
主な勝鞍:'17ジャパンカップ(G1)、'16阪神大賞典(G2)、'16アルゼンチン共和国杯(G2)
【誕生】
2012年3月14日生まれ、栗毛の牡馬。馬名の由来はフランス語で「
偉大な馬」。
半姉に2013年・14年のヴィクトリアマイルを連覇した
ヴィルシーナ、半妹に2016年秋華賞と2017年ドバイターフを制した
ヴィブロスがいる。
母ハルーワスウィートは22戦5勝、重賞タイトルには手が届かなかったが準オープンクラスまで勝ち上がっている。
しかしその最大の特徴は、
生まれつき尻尾が無い異色のサラブレッドであることだろう。
競走馬は
尻尾でバランスを取りながらコーナリングを行うと言われているが、その能力の欠如というハンディキャップを背負った状態で5勝を挙げ準オープンクラスまで勝ち上がったのである。また、シュヴァルグランがジャパンCを勝ったことで国際保護馬名に登録された
また、ハルーワスウィートはファンの多かった馬でもあり、その1人が
横浜ベイスターズやシアトル・マリナーズで抑え投手を務めた「ハマの大魔神」佐々木主浩氏であった。
交友のあった「アドマイヤ」冠の近藤利一氏の勧めもあり2006年11月に中央競馬の馬主資格を取得すると、ハルーワスウィートの仔を所有することを熱望し1番仔ファルスターを購入。
以降はセレクトセールに上場されないまま佐々木氏の所有となる権利を勝ち取ったことで、2021年に繁殖牝馬を引退するまでの8頭は全て所有している。
そのうち2009年生まれの2番仔がヴィルシーナ、2012年生まれの4番仔がシュヴァルグラン、2013年生まれの5番仔がヴィブロスである。
【戦歴】
2歳~3歳末
2014年9月21日に阪神競馬場の2歳新馬戦芝2000でデビュー。
デビュー戦は惜しくも2着に終わるも、次走の京都競馬場での未勝利戦で初勝利を挙げた。
続いてこの年から創設されたG3・京都2歳ステークスに挑むも3着、年内最終戦となる条件戦エリカ賞も3着と、4戦1勝でシーズンを終えた。
3歳の初戦は
トウカイテイオーや
ディープインパクトが勝利した出世レース・若駒ステークスを選択するも、レース前日に跛行の症状が出たため出走取消に。
賞金を加算できなかったため皐月賞トライアルの毎日杯に挑むも5着、ダービートライアルの京都新聞杯は8着と敗れ、春のクラシック戦線には加わることができなかった。
その後3カ月の休養を経て、秋の条件戦から
再スタート。初戦ではアルバートの2着に敗れるものの、距離を2400mに伸ばしてからは3連勝でオープン入りを果たした。
4歳
初戦は久々の重賞、日経新春杯。1番人気に支持されるも、前年の青葉賞勝ち馬レーヴミストラルの2着。
次走は距離をさらに伸ばし、3000mの阪神大賞典に挑むと2着に2馬身半の差をつけて快勝。重賞初勝利を飾ると、初のG1となる天皇賞(春)に出走するが
キタサンブラックの3着で、宝塚記念はマリアライトの9着。
秋シーズンはアルゼンチン共和国杯に挑み、条件戦時代に敗れた2着のアルバートに1/2馬身差をつけて制し重賞2勝目を飾るも、ジャパンカップではキタサンブラックの3着、有馬記念は
サトノダイヤモンドの6着と、G1タイトルにはなかなか手が届かなかった。
5歳
初戦は重賞初制覇となった阪神大賞典で、一時は先頭に立つもサトノダイヤモンドに交わされて2着。続く天皇賞(春)はキタサンブラックのレコード勝ちの2着で、宝塚記念では
まさかの逃げを敢行するも馬群に沈み、キタサンブラック(9着)には先着したもののサトノクラウンの8着。
秋は
ミルコ・デムーロと新コンビを結成し京都大賞典に挑むも3着。天皇賞(秋)には進まず11月26日のジャパンカップを次走に選んだが、デムーロが同レースに出走するサトノクラウンとの取り合いになったため、オーストラリアから短期免許で来日中のヒュー・ボウマンとタッグを組むことに。GⅠ25勝の名牝ウィンクスや香港GⅠ馬ワーザーの主戦で知られる世界的名手である。
道中は先頭を行くキタサンブラックをマーク。キタサンブラックを交わし直線で抜け出すと、追ってくるこの年のダービー馬レイデオロの追撃を凌ぎ切って1着、ついに初G1タイトルを手にした。
1990年 ベタールースンアップで優勝したM.クラーク以来のオーストラリア騎手によるジャパンC優勝にボウマン騎手は右手の親指と人さし指で丸を作るOKポーズで喜んで見せた。
初G1制覇をこのジャパンカップで成し遂げました!シュヴァルグラン!
この勝利により、ハルーワスウィート産駒3頭がG1を制する快挙を達成。
友道調教師は「これまで何度かGIに挑戦してきましたが、この馬がGIを勝てて本当に嬉しいです。また、佐々木オーナーが牡馬でGIを勝っていませんでしたから、それをプレゼントできたことも良かったです。本当にいい状態で来られましたから、自信を持って臨めました。ボウマン騎手には追い切りに乗ってもらい、VTRも見てもらい、あとは枠「私の厩舎があるのは、この馬の母ハルーワスウィートのおかげです。そして、これで3頭目のGIホースを出してくれて、感謝の気持ちしかありません。」と感動をあらわにした。
続く有馬記念でもボウマンを鞍上に出走したが、4着スワーヴリチャードの斜行の影響もあってか「男の引き際」を飾ったキタサンブラックの3着。
6歳
年明け初戦は三浦皇成と新コンビを組み大阪杯に挑んだが13着。次走の天皇賞(春)ではボウマンを迎えて1番人気に支持されるも、
レインボーラインの乾坤一擲の激走にクビ差捉えられて2着。
以降は休養し、秋は前年と同じローテーションとして京都大賞典を選択。1年ぶりとなる
福永祐一とのコンビで挑むもサトノダイヤモンドの4着。
連覇のかかるジャパンカップではボウマンが予定されていたものの、オーストラリアで騎乗停止処分を受けてしまったため急遽クリスチャン・デムーロとコンビを結成したが、アーモンドアイの異次元レコード
2:20.6の4着。
有馬記念ではボウマンとのコンビが結成され、8枠15番の外枠という不利もあったがブラストワンピースの3着と好走した。
7歳
6歳での引退を予定していたが撤回し、海外へと進出。
初戦はボウマンを鞍上にドバイシーマクラシックに出走したが惜しくも2着。この時同時に開催されたドバイターフでは半妹ヴィブロスもアーモンドアイの2着と好走し、兄妹揃って活躍した。
次走は
イギリスのキングジョージ6世&クイーンエリザベス2世ステークスにオイシン・マーフィーとコンビを組んで出走。
凱旋門賞連覇などG1競走8勝の怪物エネイブルら欧州トップクラス競走馬との対決となったが、雨で重くなった馬場が合わずに6着。
続いて2005年ゼンノロブロイ以来の日本馬出走となるインターナショナルステークスに挑むも8着。
海外を転戦してきたが、ジャパンカップに出走するべく帰国。開催史上初めて海外からの参戦馬不在にして、ランフランコ・デットーリら欧州の名手を迎えてのレースに注目が集まるなか、クリストフ・スミヨンを迎えるも見せ場なく9着。
そして年内の有馬記念を以て引退し、北海道日高町のブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬入りすることが発表される。
公開枠順抽選会では佐々木氏自ら枠番のクジを引くも、引き当てたのは大外の
16番。
1956年に有馬記念が創設されて以来
勝利どころか複勝圏内すら0という呪いの枠を引き当ててしまったが、「狙ってました」と強気のコメントが話題になった。
鞍上は原点回帰の
福永祐一で、出走16頭中14番人気の大穴級だったが、ハイペースの中を中団で待機し追い込むと、アーモンドアイ(9着)に先着するリスグラシューの6着。
獲得賞金11億3497万1300円はG1競走1勝馬としては史上最高額であり、ハルーワスウィート産駒の中でも最多である。
またハーツクライ産駒らしく、古馬になってからの成長が著しい晩成馬であった。
【引退後】
引退後は予定通りブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬入り。
産駒は同世代のキタサンブラックやドゥラメンテ、サトノクラウンより1年遅れでデビューし、2023年デビューが初年度産駒となる。
2024年3月末に産駒のカレンマウラーが勝利、JRA通算5勝目勝ち上がり4頭目となった。地方では20勝を既にマークしている。自身のように成長がゆっくりとしたタイプが多いようだ。
【フィクション作品への登場】
2016年アルゼンチン共和国杯編で初登場したが、この時のメインはシュヴァルグラン誕生直後の母ハルーワスウィートが回想する過去話で、シュヴァルグラン本馬は最初と最後のみ登場とやや影が薄目。
2016年ジャパンカップ・2017年天皇賞(春)・有馬記念ではキタサンブラック(黒)とリアルスティール(鋼)主役の「任侠編」に「心叫組の偉」として登場し、天皇賞(春)時は最初サトノダイヤモンドに父親の代から続く因縁で喧嘩を売っていたダイヤ君の親は姉妹の親でもあるんですけど…。
念願のG1勝利となる2017年ジャパンカップではオチでのみの登場となったが、勝利後ダービー後に低迷するダービー馬達の様子を見て、「ダービー馬なんて看板はやたらと背負うものじゃないのかもな…」とダービー不出走馬の立場から呆れていた。
そして最終巻では最終話1話前のドバイ遠征編で、ジャパンカップで戦ったアーモンドアイに告白。相手から血が近すぎる(人間で言えばいとこ関係で交配があまり行われないレベルのインブリードとなる)と引かれても「おつきあいだけでも」と粘るも、呆れた半妹ヴィブロスに止められていた。
2022年2月放送のぱかライブTVで初登場、12月28日のぱかライブTVでCVが発表された。元"xxxx02"。一人称は
「僕」。
発表当時、名前は未公表で正体につながる情報もほぼなかったが、公式サイトのキャラクターページの枠が勝負服の色と似ていること、
被っている帽子の錨に見えるエンブレムがあり、有力視されている競走馬の馬主が現役時代本拠地が日米共に
港に関係する球団に所属していたことから、キタサンブラックと同期で2017年ジャパンカップを制した「シュヴァルグラン」説が有力だった。
あとムービーが公開され、ビジュアルが大きく映った時間が放送開始から2時間22分後、つまり夜22時22分ごろであったためとも
11月5日の4thイベントにてサトノクラウンと同時に名前と詳細が発表された。
なお、一向に名前が明かされなかったせいで「横浜が優勝したら発表される」と一部ではネタにされていたが、発表同日に
本当に横浜(Fマリノス)が優勝した。そっちかよ
ゲーム内ではいたずら好きの姉と、明るくなんでも完璧にこなせる妹の存在が言及されており、それぞれ半姉妹のヴィルシーナ・ヴィブロスと推測されていた。
華やかな姉と妹にコンプレックスを抱く真ん中っ子だが、仲が悪いわけではない。
姉妹にコンプレックスを抱いているのは恐らくモチーフの馬が姉妹は3歳から活躍をみせる中、未勝利戦後はなかなか勝ち星に恵まれずクラシック前哨戦も勝利できずにクラシックは未出走。
条件戦を重ねてOP入りという下積みやその後もGⅡこそ勝つも初めてにして唯一のGⅠに手が届いたのが5歳秋になってからという遅さも関係していると思われる。
こういった史実もあってか気弱で引っ込み思案かつ人見知りな性格をしており姉からも心配されている様子、一方で仲のいいオーストラリアに住む幼馴染がいるため
ぼっちではない。
【余談】
シュヴァルグランという競走馬において欠かせないのがアドマイヤデウスという競走馬である。
2015年日経新春杯と日経賞を制した重賞馬で、デビュー前の育成厩舎も同じであったほか、夏になると調整のために一緒に調教に励むパートナーでもあった。
しかしアドマイヤデウスは2017年8月にJRA競走馬登録を抹消、オーストラリアへ移籍。
新天地での活躍が期待されたが、この年の10月の調教中に故障し、目標としていた豪州G1・コーフィールドカップを断念。ジャパンカップにも予備登録があったがこれを取り消し引退が決定。
複数回の手術と医師団により治療が試みられ、一時は快方に向かうも術後の感染症によりこの世を去ってしまう。
アドマイヤデウスの死が報じられたのは11月25日……シュヴァルグランがジャパンカップを制する前日のことであった。
レース後、2頭を育成した林宏樹調教師はこう語っている。
(前略)ゴール前でシュヴァルグランの後押しをしてくれたのは、天国のアドマイヤデウスではないかという気もしています。
追記・修正お願いします。
最終更新:2024年10月27日 17:57