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ザルヴァートルモデル(蒼穹のファフナー)

登録日:2011/12/07(水) 15:05:27
更新日:2024/06/27 Thu 11:17:40
所要時間:約 14 分で読めます




蒼穹のファフナー』シリーズに登場するロボット兵器「ファフナー」の機種名。





概要


名の由来は「Salvator(救世主)」。
新国連(人類軍)が来たるべきフェストゥムとの最終決戦に備え「救世主」とすべく開発した決戦兵器。
全高はノートゥングモデルより少し高い約45m。

最初の二機は竜宮島(Alvis)でかつてファフナーを開発していた日野洋治とミツヒロ・バートランドが開発していることもあり、全体的な印象としては島のファフナーであるノートゥングモデルに近い。
フェストゥム……というかミール由来のコアを必要とするなど基本的な仕様もノートゥングモデルと一緒であるが、大きな違いとして自ら同化能力を行使することができるという点が挙げられる。
これによって周囲の空気中の物質を同化してエネルギーを抽出する蒸気性の永劫電動回路が形成されており、機体そのものの活動時間は無限となっている。
更にはフェストゥムを同化して「喰う」ことができ、逆にフェストゥムの同化能力は弱い個体であれば無効化どころか同化し返す事さえでき、果ては小型水爆のフェンリルが直撃しても機体に大きな損傷さえ見られない。
武器と一体化することで武装を強化する「増幅」能力や、失った手足や武器を基に戻す「再生」能力も有しているなど、その本質はロボット兵器というより敵であるフェストゥムに限りなく近い
毒を以て毒を制すを字で行くファフナー世界における決戦兵器としてはこれ以上ないポジションではあるだろう。

その代償としてパイロットにかかる負荷は尋常ではなく、まずそもそも人類軍の兵士では機体を起動しようとした瞬間機体に同化されて砕け散ってしまう。
更にいわゆる瀬戸内海ミールからもたらされた竜宮島のコアでないと機体を稼働させることができないため、必然的に竜宮島のフェストゥム因子を持たない者では機体を運用できない。
(世代が浅く因子の定着が下の世代ほど安定していないゆきっぺは同化促進剤を致死寸前まで投与してギリギリ起動できる、というレベル)。
EXODUS』では人類軍もフェストゥム由来のコアを手に入れてはいるが、いわゆる純正ではなく砕けたミールの破片が基礎だからなのかザルヴァートル・モデルの要求スペックは満たせない。
つまり人類軍が作っておきながら人類軍や新国連ではそもそも運用ができないという本末転倒な仕様になってしまっている。
同化耐性が高い島の子供達ですらも長時間の戦闘は厳しく、機体自体の稼働時間は無限でもパイロットがそれに耐えられない。

また、真壁一騎曰く機体の感覚がノートゥング・モデルとはまるで違うとのことだが、
従来のファフナーは「違う自分になる」ことで操縦が可能だが、ザルヴァートルモデルは「違うモノ」にならないと能力を発揮できないようである。
例えば、腕とルガーランスなどの剣を同化させて威力を高める場合、「自分の腕が剣になる」現象を受け入れられなければ操縦することすらままならない。
つまるところ自らの存在そのものを変容させるレベルの自己否定を受け容れつつ、それによってファフナーに喰われない(同化されない)強靭な意思を持つ必要がある。

第一作の『DA』作中では紆余曲折の果てに島のコアを手に入れた人類軍は「マークザイン」「マークニヒト」の二機を完成させる……が、
その直後にファフナーの形をしたナニカと言えるほど存在が変質したため、「本来のザルヴァートル・モデル」の性能はよく分からないままとなっていた。
ちなみにこの二機は兄弟機、或いは対ともいえる間柄であり、それを表すかのように当初の外観や武装は瓜二つだが、設計思想は異なっており、
前者は「より多くの兵士を生かすために」、後者は「より多くの敵を撃ち倒すために」と、開発者である日野洋治とミツヒロ・バートランドの思想が反映された形となっている。
標準武装として背部に翼状のアンカーケーブルユニット6本とホーミングレーザーポッド2基を装備していた(ザインは過去形)。

約五年後が舞台となる『EXODUS』ではこの二機に加えて新国連によって新たに「マークレゾン」が新造されている。
レゾンは生と死の循環を繰り返す事で発生したゴルディアス結晶のバフを得ているためこれまた本来の性能がよく分からないが、ゴルディアス結晶のバフを受ける直前に「増幅」能力は行使しており、基本機能として同化能力が搭載されている事はうかがえる。
更に「EXODUS」から約6年後が舞台となる「THE BEYOND」では、新たに第4のザルヴァートルモデル「マークアレス」が登場。
本機のみ人類軍ではなく最初からAlivs製のファフナーだが、こちらはこちらで初っ端からファフナーの形をしたナニカである。

ちなみにEXODUSではノートゥング・モデル(後にエインヘリヤル・モデルへと改修)全機に蒸気性の永劫電動回路が形成されており稼働時間が無限になった。
また、超次元現象(SDP)の発現によって部分的にザルヴァートル・モデルのような特殊な能力を行使できるようになるなど両者の立ち位置は近くなってはきているが、
THE BEYONDでの設定によると、エインヘリヤル・モデルはミールの祝福を得た一騎のエネルギー増幅能力には耐えることができず、逆に一騎が機体を持たせているらしい。
また、エインヘリヤルモデルの1機が持つ「変身(相手の姿と能力を映し出す、いわばコピー能力)」のSDPでは、そのままではザルヴァートルモデルに変身することができない。
その点では未だ両モデルには隔世の差があると言えるだろう。

「THE BEYOND」では搭乗者が全員従来の人類の枠を超えた人または人造フェストゥムであるため、機体への搭乗負荷についてはこれまでと違い一切見られない。
強いて言えば後述のザルヴァートル化時には負荷が極めて高い描写が散見されるが、明確な後遺症などは見受けられない。
ファフナー搭乗時の負荷問題は約1名を除き先輩世代に重くのしかかっている。

ザルヴァートル化

『THE BEYOND』にて登場した用語。
簡単に言えば、器(ファフナー)をパイロットの意思で再構築・進化させる行為を指す。

劇中では一騎が、エインヘリアルモデルを(大量のフェストゥム諸共同化しつつ)ザルヴァートルモデルへと変貌させた。
総士と彗の会話によると理論上は全てのエインヘリアルモデルがリミッターを外せばザルヴァートル化可能であるらしいが、当たり前の話だがパイロット側が耐えられる訳がなく却下されていた。
ミールの祝福で生と死の循環を超えた一騎ですら、ザルヴァートル化直後は意識を失い無の地平に逝きかけたぐらいである。

あくまで他モデルがザルヴァートルモデルになるための変化であり、ザルヴァートルモデルが再度ザルヴァートル化を行うことはできない。
……と劇中の人物からは思われていたが、総士だけはそうは考えておらず自らの意思でマークニヒトをザルヴァートル化し新たな姿に生まれ変わらせた。
この時のプロセスや演出はかつてマークザインが再構成された時の演出と非常によく似ており、明言(或いは認識)されていなかっただけでザルヴァートルモデルのザルヴァートル化はそれ以前からも行われていたと考えられる。


各機体



マークザイン


最初に登場したザルヴァートルモデル。鹵獲したマークエルフのコアを移植している。
モルドヴァにて日野洋治の意思を聞き入れたミョルニアにより真壁一騎に託される。
その名は「sein(存在)」 を意味する。
「sein」という単語そのものは英語で言うところのbe動詞に当たり、転じて「いる(存在する)」という意味を持った。
余談だが初期案では名前がマークレクサスとなっている。

当初は緑がかかった白色の機体だったのだが、フェストゥムに飲まれた際一度全てドロドロに溶けた後にコアが単独再生。
色も光沢のある銀白色と曲線の多い細身なシルエットに生まれ変わっている。

島への帰還時にはその恐るべきスペックを存分に発揮し、攻撃を無効化する、武器との同化で(この際手首部分が結晶化する)威力を大幅に高める、本来同化をする側のフェストゥムを逆に同化し返して存在を喰うなど、
もはやファフナーの枠を超えた別の存在へと変化しており、この事をして皆城乙姫と同様に「同化現象を起こしながら個体としての存在を保ち続ける」と評されている。
これらの能力は再生時に得たものとも、最初から有していたものが再生によって最適化されたとも捉えられる。
また、腕を剣に変える程度の形状変化能力を一度だけ披露している。

……と実にチート臭いが、実際はかなりのハイリスク ハイリターン
その力の代償としてノートゥングモデル以上に同化現象をより加速させるうえ、搭乗者が同化に耐えられなかった場合を想定してノートゥングモデルの3倍ものフェンリルを搭載しており、
いざという時には機体ごと消し去るというとんでもない設計がなされている。もっとも、それで本当に消し飛んでくれるのかは疑問だが…
その事実が判明した以降は、本気でザインが暴れると島にも被害が出かねない事と一騎への負担軽減のためにリミッターを付けて運用されるも、
それでもその代償は他のファフナーとは一線を画す重さで一騎の体を幾度となく蝕んでおり、ついには一騎は失明しかけた上、一年にも及ぶ昏睡状態に陥っている。

一騎に最適化された影響か他のパイロットが乗ると「全身が溶けたゴムのよう」だとかで、一騎以外まともに乗りこなせない。
これは相手(総士)の為にこうありたいという上位の自己意識があって初めて成せるのである。
一騎自身、この機体の特異さと危うさを誰よりも把握しており、新しいファフナーを羨ましがる剣司らに「こんな機体に乗せるわけにはいかない」と諭したこともある。

これのどこが「より多くの兵士を生かすために」なのかと思われるかもしれないがそもそも前置きに「一人のパイロットの命を使って」と入れるべきなのだろう。
本作の世界では一人の兵士の命で生かせる命など(特に人類軍では)たかが知れており、その点ザインは一人のパイロットの負担で多くの命を救えるであろう機体なのだ。
この機体の登場を機に物語は一気に魅力を増して行く。

『EXODUS』においては、「もはや一騎を乗せるわけにはいかない」が「一騎以外に乗れる者は存在しない」という状況になったことで、
完全に戦力には数えられなくなっており、コア摘出の上での廃棄が決定済みである。
一騎は『HAE』を含めたフェストゥムとの戦いを経てザインに寿命の殆どを喰い尽くされており、『EXODUS』が始まった時点で余命は3年しか残されていなかったのだ。

だが実際には、ブラックボックス部分があまりに多すぎるために手がつけられないまま島内の一角に封印、放置されている状態だった。
その上、誰も乗っていないにも関わらず勝手にジークフリードシステムにアクセスしてクロッシングを要求するなど、機体そのものに意志めいたものまで見え隠れする始末で、
総士・カノン・真矢らを不安がらせており、竜宮島の最後の希望とも言える機体が一転して不安要素と化していたが、
島外派遣部隊が危機に陥ったことを察知した織姫の進言で、彼なりに命の使い道を見出した一騎を乗せて再び戦場を駆けることになる。

『EXODUS』では(どうせ解体するので)全リミッターを解除した状態のまま運用されており、ルガーランスから光の雨を放出してフェストゥム大群を殲滅する、
一騎の祝福「存在」によってディアブロ型に同化されたパイロット達を一斉に救出するなど、以前にも増して圧倒的な力を発揮する。
ただその力は、パイロットである一騎に遺されたたった3年ほどの余命と引き換えであり、そのことを知っていながら一騎を止められなかったカノンと、
戦場でザインの力を見てその事実を察した真矢は、時と場所こそ違えど、共に一騎を想って涙を流した。
そして、リミッター解除状態で運用し続けたツケは人類軍・フェストゥムとの大乱戦の最中に遂に襲来し、
遠征の長期間化とまともな補給を受けられなかったことから同化現象に対する拮抗剤が底をついたことと重なって、一騎の右腕が接続機器ごと結晶化を起こし砕け散ってしまった。

一騎に圧し掛かる代償はかなり重いものの、リミッターを解除されただけあって、スフィンクス型などは攻撃の余波でまとめて倒せるほどで最早相手にならず、
リヴァイアサン型は突入して通り魔よろしく体内から同化して喰い殺し、ニヒトと共にロードランナーのシールドに対し直角に突貫した余波で大量のフェストゥムを消し飛ばし、
対アザゼル型でもロードランナーを瀕死に追い込み、ロードランナーを喰って強化されたアビエイターも、一騎の右腕、自身の溶解という大きな犠牲を払いながらもロードランナー諸共に撃破するという圧倒的な強さを見せた。
アビエイター撃破後は溶岩の塊と化していたが、島の祝福を得て生死を超越した永遠の戦士として復活した一騎と、剣司のSDPによって再構成され復活。
命の枷から解き放たれ、リスクを考慮する必要がなくなった一騎によりザインはポテンシャルをさらに引き出され、ディアブロJ型に寄生され末期症状に限りなく近い状態だったであろう剣司と、
SDPの副作用で人の枠から完全に逸脱した美三香の同化を肩代わりした上でディアブロJ型をピンポイントで喰い殺し、投げつけたルガーランスから遠隔同化を繰り出す始末であった。
さらにアビエイターを同化したことでその能力を一部行使できるようになっているなど、ニヒトと比べると「存在」の祝福をまっすぐにぶつける面が目立った力の1号。アビエイターの雷撃をラーニングしていたりテクニカルな面もあったが。

武装は主にルガーランスを同化して使用。
本来は敵にぶっ刺してゼロ距離で内蔵レールガンをぶち込む兵器なのだが、前述のとおり同化により長距離砲撃(ゲロビ)できる程強化され、威力も桁外れとなっている。それそういう武器じゃねぇから!
劇場版』では他の機体も射撃ができるよう改良された。が、やはりザインだけ出力がおかしい。
一騎のスタイルなのか機体が対応していないのかは不明だがマークニヒトと違いワームスフィアや消失(ロスト。いわゆるワープ)能力は行使していない。THE BEYONDでの描写を見るにおそらくは後者。
フェストゥムに限りなく近い機体ではありながら、比較的(あくまで比較的)ファフナーらしい戦い方をする機体になっている。

スーパーロボット大戦K』及び『スーパーロボット大戦UX』では攻撃を当てたフェストゥムを即死させるというとんでもない能力を持っており、
特に『UX』ではフェストゥムとの交戦機会が多い*1事もあって「フェストゥム殺すマン」の異名を賜った。
そして『EXODUS』を見た視聴者は、その異名と『K』や『UX』における無双っぷりが誇張表現や誇大広告でないことを思い知る。

ちなみにスパロボにおいてはマークザインにリミッターがかけられているという話題が一切ない。…いやそんな、まさか。

サウンドトラックとして同名のタイトルを与えられた曲(マークザイン)があり、いわゆる処刑用BGMとして名高い存在になっている。敵味方問わないという問題を抱えているが。
困った事にスパロボでも同様

THE BEYONDでは攫われた総士を救うためになんと日野美羽が搭乗。
総士を発見・奪還するために彼女を前線に出す必要があったが、じゃあ最も安全な器は……?となった結果ザインが抜擢されたそうな(無論Alivs関係者は全員反対したという)。
護衛のため強襲型トルーパー・モデルを7機引き連れている。本人はあまり戦わず、ルガーランスを通じて(?)フェストゥムに戦いを辞めるよう呼びかけ群れを撤退させたりしている。
3年後も(おそらくは深刻なファフナーパイロット不足を受けて)美羽が搭乗しており、ベノンとの戦闘においては当初は3年前同様にフェストゥムに呼びかけていたが、
敵意に染まった彼らを止めることができず、かつて一騎がやったようなシャイニー☆ルガーランスからの拡散ビームや遠隔大量同化などを駆使して島を護る。
余談だが美羽ちゃんの祖父こそがザインの設計者である日野洋治であり、おじいちゃんの作ったロボに乗る孫娘という構図である(そもそも対になるニヒトの設計者も彼女のおじいちゃんだったりするのだが……)
女の子が乗ったことで以前にも増してますます女性っぽい印象になっている。ニヒトに頭突きされて内股で痛がるザインの姿はある意味必見。




美羽はミールやフェストゥムの言語を理解しその本質に迫れる唯一の存在、いわば新人類であり、それもあってかマークザイン搭乗時の負荷は最初から最後まで一切見られない。
竜宮島に眠る純粋ミール・アルタイルとの対話の果てに「同化ではなく共存」をお互いに選択したことでマークザインも再びザルヴァートル化。
機体各部から青色の結晶を生やしつつもよりスマートなシルエットの機体に生まれ変わった。
純粋ミールであるアルタイルと共存し力を貸してもらっている状態であるため、並みのフェストゥムは勿論のことミールの欠片が個として成長したアザゼル型などは相手にすらならず通りすがりで戦闘不能に陥らせており、
これまで敵意の強いフェストゥムには通じなかった『おはなし』もほぼ全てのフェストゥムに対して有効であり戦闘を停止させている。
そしてマークレゾン相手にも、これまでろくに破れなかったイージスのバリアをルガーランスの刺突一撃で粉砕、アルタイルの十八番である棘攻撃を逃げようのない全方位から繰り出す*2
触る、ランスの柄で叩く(本気で殴ってすらいないように見える)だけでレゾンの各部位を一瞬で同化して戦闘不能に陥らせるなどやりたい放題。
争いを好まない美羽が乗っているからこの程度で済んでいるだけとも取れ、まさに本シリーズにおける最強のファフナーと言っても過言ではないだろう。
ちなみに劇場版11話のOPでは光の翼を生やすザインが見られたが、本編では未登場。TV版では11話のOP自体がカットされており見ることができない。

マークニヒト


黒い塗装がなされたザインとは対の意味を成す兄弟機にして無印のラスボス機。名の由来とする言葉は英語でいうnotに当たる「nicht(否定)」。
甲洋救出後、コックピットブロックのみをサルベージされてそのまま海中に没したマークフィアーを新国連が無断でサルベージ、コアを転用している。

ミツヒロは当初、真矢を新国連に連れ出して搭乗させようとしていたようだが、真矢がこれを拒否。
竜宮島のAlvisから新国連に戻ったゆきっぺこと狩谷先生が搭乗することとなったが、潜入していたマスター型フェストゥム・イドゥンにパイロット諸共同化され、由紀恵による操縦もままならずコントロールを完全に奪取される。
その直後格納庫と司令室を蹂躙し、生みの親とも言えるミツヒロをダブルスレッジハンマーで圧殺。
彼の夢を否定すると同時に由紀恵から「憎しみ」を学び取ってしまい、果てし無き暴走を開始する。

『UX』では憎しみで由紀恵は精神崩壊を起こしてしまい、原作では何度も何度も「やめて」と叫びながらも機体のコントロールも出来ず、愛していたミツヒロを自らの手で圧殺してしまった事に絶望した直後に完全に同化され「いなくなった」。

ザインと違い姿自体はそのままだがイドゥンによって同化されたことでワームスフィアーなどフェストゥムの能力を得たことで高耐久、ノーリスクでやりたい放題できるどうあがいても絶望な怪物となっている。
竜宮島襲撃時には一騎の大事な人を拉致し、島に決して消えない大きな傷を負わせた。

必殺技は脱出装置でタッチダウン。おいやめろ

北極の決戦では最後の最後に一騎と総士を無へと引きずり込むも、春日井甲洋の助けを借りた一騎らにその存在を同化され消滅した。





…かに見えた

劇場版まさかの再登場
第一次蒼穹作戦以降は一騎と総士らによってザインの中に封印されていたらしく、男二人で二年もの間必死に抑えていた。
この封印が一騎への負担となり、なかなか同化現象が改善されなかった原因となっていた模様。

封印の影響からかザインの様に変化しており、機体各部に結晶体のような装甲が追加され、
巨大化した腕部ととなった機体カラーも相成って神々しいザインとは対照的に鋭く禍々しいものに。
またザインとは違い背部の武装のホーミングレーザー、アンカーユニットはそのまま引き継いでおり、特にアンカーユニットは8本に増設された上に同化ケーブルへと変化。突き刺した対象を同化し支配下に置く姿は正に魔王のそれである。
ちなみにこの再構成については演出的な部分が強いらしく、劇中で姿が変わったことに言及する人はいない。
劇場版での搭乗者は来主操。

封印から抜け出した早々ザインと幼女の奪い合いに発展するも、一騎共々ザインを同化することでこれを下す。
エウロス型と侵攻時には封印されていた鬱憤を晴らすように竜宮島の面々を圧倒。
カノンのルガーランスをへし折りその破損したルガーランスと同化→復元・強化し振るうなど器用なことまで行なっている。そして何より恐ろしいのはこれだけ暴れてまだ手加減していたという事実であろう。
最終的に甲洋の助け得て復活したザインと共に殴り合い蒼穹を繰り広げる。

終盤にはフェストゥムのミールに向かった操と入れ替わる形で総士が搭乗。かつての約束通り無の地平線からの帰還を果たした。




『EXODUS』では、開幕早々絶賛いらん子扱いで兄弟仲良く廃棄前提での封印中…


……だったのだが、数年ぶりに襲来したフェストゥムとの戦闘中、ザインと共にジークフリードシステムにクロッシング要請を送るという自律行動にも思える行為を突如として見せ、開始早々から不穏な空気を存分に漂わせている。

また、ニヒトが封印されている場所は状況も合わせて石棺と呼ばれ、
通路を通る間だけでも大勢の子供の声や影が見えるというより不気味な状態になっている。

4話では、普通の機材では同化される為に総士がニヒトを操縦して直接コアを摘出する計画を実行したが、ニヒトの抵抗によって失敗している。
今回の解体プランはDである事から、恐らく過去に3回の解体プランがあった模様。プランDは謂わば人間が自分で自分の心臓を抉り出すという危険極まりないものだった。

そして6話において覚醒した織姫の進言に従い、総士がニヒトのパイロットとして登場することに。
ニヒトの影響を受けるのか戦闘中の総士は怒気を孕んだ声色になり、表情も険しくなり、戦い方も元ラスボスらしく非常に苛烈なものになっている。
監督曰く、総士の変性意識は「獰猛かつ飽くなき支配欲」であり、アンカーユニットを8本同時に動かしながら周囲のフェストゥムを殲滅するのは本人の卓越した情報並列処理能力と空間把握能力の賜物である。
かつて竜宮島を絶望の底に叩き落としたニヒトの凶悪性能と総士の変性意識が噛み合った結果が「堕天使が降り立った」というのは皮肉とも取れる。

総士にとっても島に傷を負わせたニヒトは憎しみを向ける忌むべき存在として見ており、ニヒトに虚無の申し子なる称号を(勝手に)与えて搭乗中たびたび口にしては本気を出させようと尻でも叩くように煽る発破を掛けたりしている。
またファフナーは基本的に機体と一体化して戦うのでパイロットが自機の事を戦闘中に呼ぶことはないのだが、総士だけは上記の事情から一体化を拒否しているらしく度々「ニヒト」と呼ぶ。

ザイン同様リミッターを解除したフルパワー状態で運用され、紫電を発生させ広域のフェストゥムを殲滅する、フェストゥムの攻撃をコピーする、
直径300mはある超巨大ワームスフィア弾(通称虚無玉)の形成、周囲の兵器を同化して自在に操るなど凄まじい力を発揮する。
総士の天才症候群がテクニカル寄りだからか、ディアブロ型のワームカッターやクロウラーの冷凍同化などラーニングした強力な能力や、8本の同化ケーブルを自在に操る技の2号。
…と思わせながら、決め技はハートキャッチアンドデストロイという残虐ファイトも見せる。
エウロス型やエインヘリアルモデルでも辛いディアブロ型をいたぶりながら倒すほどであるが、対アザゼル型という面ではロードランナーこそザインと共同撃破したものの
クロウラーには凍結同化が強烈なこともあったが歯が立たなかった。
ザインは相討ちとはいえアビエイターを単独撃破したというのに虚無の申し子ェ…

しかし25話では、それまでの鬱屈を晴らすかのごとく大暴れ。
超巨大なワーム・カッターとスフィアで全長50kmクラスのリヴァイアサン型を早々に片付け、クロウラーは来主、甲洋との連携で撃破、ベイグラントに至ってはロクな攻撃手段が無かったとはいえ単機で撃破してしまった。
……が、総士の肉体にかかる負荷もその分尋常ではなく……。

無印からの継続視聴者にとっては一騎と総士のツインドッグという夢が実現したと同時に、その代償は「生命」であるという絶望を叩き付けられた瞬間であった。









THE BEYONDでは生まれ変わった総士が搭乗する。彼が本作の主人公なので実質的にまごう事なき主人公機になった。
システムを通じて、そしてフェストゥムに囚われていた経験などから豊富な実戦経験を有していた先代と違いこちらは実戦経験ゼロのため、機体の操縦こそ問題なくこなせるが歴戦のファフナーパイロット達にはアッサリねじ伏せられてしまった。
元ラスボスとは思えないほどやんちゃなパンチやキックを繰り出し、挙句ジタバタしたりスサノオに殴られたりする5歳児ニヒトは必見である。
その後のベノンとの戦いでは師匠の影響かルガーランスをメインウェポンにして振るう他、小型のワームスフィアを大量に展開して放出するなどの戦闘スタイルをとる。
ちなみに本作の総士はニヒトを「こいつは僕のものだ」と最初から肯定的に受け入れており、最初こそ暴走するが島の人々との触れ合いで変性意識をコントロールできるようになったこともあってか、先代と違いニヒトと基本的には一体化して戦っている。

第二次L計画において窮地に陥った先輩達が自らを犠牲にしようとしている事に激昂した総士は、彼らの機体だけを同化しそれを利用してマークニヒトをザルヴァートル化。
より禍々しくもパワフルなシルエットの機体に生まれ変わらせた。
これ以降は美羽のザインとツインドッグを組むようになり、美羽が敵を止めている間に総士が撃滅するという美羽も剣司もドン引きしたドヒキョー戦法を披露した。
再ザルヴァートル化したザインの大暴れっぷりが印象に強いが、こちらも他の機体とは一線を画する戦闘能力を有しておりマークレゾンにも大ダメージを与えている。
総士自体が極めて特殊な生まれであるためか、こちらもニヒト搭乗時の負荷は一切見られない。
強いて言えばザルヴァートル化した際には無の地平に逝きそうになったが一騎に助けられている。


マークレゾン


人類軍が鹵獲したマークフュンフのデータとコアを元に新たに建造した第三のザルヴァートルモデル。
カラーリングは赤のアクセントを添えた淀んだ黄色と、フェストゥムと憎しみに染まったゴルディアス結晶を思わす様なものとなっている。黄ばんだファミコンカラーとも言う
機体名は「raison d'être(存在理由)」を指す哲学用語としても知られるフランス語の「raison(理由)」。
機体形状は先行の2機とは異なり、上半身を覆うポンチョのような大型装甲に多数のユニットを装備した重厚でマッシブなフォルムが特徴。
翼、肩、手甲、膝等に大小多数のイージスユニットによる鉄壁の防御力に加え、両肩にホーミングレーザーポッド、背中には大出力砲撃が可能なルガーランスを備えたことでザルヴァートルの名に連なるだけの高いポテンシャルを持つ。

もっとも、建造はできたものの人類軍にこれを扱えるだけの資質を持つ者はやはりおらず、パイロットが空席だったところを捕虜となった真矢をテストパイロットとして搭乗させることで起動に漸く成功、一旦の完成を見せていた。
しかし、反旗を翻したアトランティスミール=ベイグラントが呼び寄せたクロウラーで基地を襲撃した際の混乱に乗じてこれを奪取。
支配される側から支配する側となる為に、そして全ての憎しみを晴らす為、理由なき力をふるう傀儡となってしまったジョナサンをパイロットにして…。

変貌こそまだして無いものの、ベイグラントのバックアップとゴルディアス結晶を赤々と染める程の憎しみを一身に受けたことで上記の2機同様、武装の同化増幅に加え、
変形ワームスフィアを使った光による同化、転送フィールドの形成、ワームカッター雑巾絞り、レーザーポッドからはリング状のワームカッター、ワームエッジ弾を発生といった超常の力を発揮。
固定武装も超強化されており、イージスはツクヨミ以上に広範囲で強固な防壁を展開し、ゼロファフナーをも押し切る高出力砲撃も可能と、攻防共に怪物じみたスペックとなってしまった。
純粋な力によるゴリ押しも遠隔同化・イージス反射などテクニカルな面もハイレベルで併せ持つ、いわばV3みたいな存在である。

そのパワーは凄まじく、ニヒトが苦戦していたクロウラーの個体防壁を同化したベヨネットの1射でかき消し、ワームから放出した嵐のようなレーザーの大雨で半身を吹き飛ばし、瞬時に光に変容させて同化してしまった。
海神島侵攻作戦では竜宮島ファフナー部隊の連続攻撃をことごとく無効化し、一騎、総士、甲洋、操の4人ですらゴリ押し突破できないほどの力を見せつけた。
最終的に一騎と激突したことでジョナサンは記憶を取り戻し、一騎に自らを消してくれと頼むも、ベイグラントのコアによって宇宙に転送され物語からフェードアウトする。








THE BEYONDではジョナサンうり二つの新型フェストゥム「ケイオス」が登場する(ベイグラントのコアことマレスペロが、ジョナサンを進化させた存在らしい)が本機は長らく登場せず、
竜宮島とアルタイルを巡る最終決戦で遂に宇宙から飛来し、着地するだけでボレアリオスミールを完全消滅させるという暴挙に出る。
姿形はEXODUS時代と極端には変わっていないが、巨大な尻尾が新たについておりこれを使って攻撃や同化が可能。
進化したフェストゥムであるケイオスが搭乗していることもあってかその戦闘能力はEXODUS時代と同等或いはそれ以上であり、一騎、甲洋、操の三人を軽々と一蹴するまでになっている。
だが救援に駆け付けたマークツヴォルフが竜宮島ミールのバフを最大に受けていることもあって倒しきることができず、甲洋と二人がかりで時間を稼がれてしまう。
それでも甲洋を同化する寸前まで追い詰めるが、マークニヒトの突撃でルガーランスを串刺しにされ大ダメージを受け、
その後ザインとニヒトの戦闘でニヒトにはダメージを与えるもののザインには全く歯が立たず、機体を何かしら変貌させようと(おそらくザルヴァートル化)するも二機に阻止されてしまった。
最終的には戦闘能力をザインによって完全に失ったが、ケイオス自身も戦う意思を無くしたことで消滅を免れることになる。




マークアレス


BEYONDにてAlvisが初めて主導で開発した、第四のザルヴァートル・モデル。
今の戦力を以てして尚、マレスペロ率いるベノンと戦うのは難しいというルヴィの見解と、「より強い器が要る」という一騎の要望によって作られることになった。

従来のザルヴァートル・モデルとの決定的な違いとして新たに建造した機体に島のファフナーのコアを移植するのではなく、
一騎の乗機となっていたマークツェン改「アキレス」を、エレメントである一騎の能力を解放してザルヴァートル・モデルに再構成(進化)するという手法が採られていることが挙げられる。
仕込みはAlivsスタッフによって事前に行われており、シミュレートでは一騎が力を解放することでザルヴァートル・モデルになる事は確認できていたようだが、
そのためには(かつてのザイン同様に)フェストゥムを大量に喰らう必要があり、ついでに余波もとんでもなく大きかったようで、ベノンとの戦いで戦況を劇的に変える一手として進化が戦略に組み込まれていた。
大気、海水を派手に巻き上げ竜巻を作り出しながら、ベノンのフェストゥム、ファフナー、果ては戦艦までも取り込むことで新生した。
保ら技術スタッフにも「ついに自らの手でバケモノを生み出してしまった」と恐れられている。

名前の由来はギリシ神話の軍神・・・ではなくドイツ語
゙全でを表す「Alles」。転じて存在と無に続く全能を表している。レゾンが華麗にスルーされているが第4次蒼穹作戦以降行方不明になっているから仕方ない。
ジークフリードシステムで一連の流れを見ていた彗は「勝てる…!」と評したが……

外見は、黒のベースカラーに青とオレンジのセンサーパーツが組み込まれており、背部の翼のようなユニットも相まって「スマートになったニヒト」という印象を受ける。
勿論飛行能力も有しており、スタビライザーはザイン同様青く発行する。

武装は背部の八本の同化ケーブルと、両腕に内蔵されたルガーランス。ついに固定武装になってしまった
機体そのものと直結していることから同化無しで絶大な威力を発揮し、劇中では荒ぶる釈迦のポーズ天と地への砲撃でベノン軍を壊滅に追い込んだ。
第二次L計画では島の防衛に就いたが、窮地に陥ったLボートを救うために単身突撃、直接描写が無いがまるでギャグのようなペースでフェストゥムの群れを壊滅させている。

生と死の循環を超えた一騎ですらもザルヴァートル化の負荷は非常に高かったらしく無の地平に逝きかけている。来主と甲洋の助けが無ければ戻ってこれなかった。
だがその後の負荷については特に確認されていない。
その後の描写で色彩能力や体温のあからさまな低下がみられるが、アレスへの変化以前からなのかは不明*3




最初こそ圧倒的な強さを見せつけたアレスだったが、最終決戦においては
  • マレスペロの防壁に阻まれ、生身のケイオスを消すことができない
  • マークレゾンの防壁を破れず一撃で退けられる
  • 敵が命を使って「変身」したマークアレスの不完全なコピー相手に苦戦を強いられる(最終的には同化によって一撃で戦闘不能に陥らせてはいるが)
など、何かパッとしない描写が目立つ。サジェストで「マークアレス 弱い」なんて出てくるぐらいにはパッとしない。
これはメタ的に言えば一騎が主人公、そして「戦士」としての役割を終えることを示唆したものであると考えられる他、
マークアレスは他のザルヴァートルモデルと違い1回しかザルヴァートル化しておらず、ゴルディアス結晶やミールのバフもろくに得られていないため、
純粋なポテンシャルとしては極めて高いが、各種バフ込の総合的な強さで言うとそこまで際立てなかった(比較対象がヤバすぎる)というところであろうか。

竜宮島での総士との一騎打ちではここまで一切使わなかったルガーランスの同化能力を使用してまで彼への壁として立ちはだかるが……


立体化


ROBOT魂

ザイン(新)、ニヒト(新)が発売。
ニヒトの同化ケーブルが取れやすい以外は出来もよろしく問題ないのだが、他のファフナーにも言えることだが現在お値段はプレミア価格。持っている諸君は大事にしよう。
『EXODUS』の放映を期の再販はまだですか

MODEROID

ROBOT魂の再販は叶わなかったものの、こちらが『THE BEYOND』の制作を期にザイン(新)が発売。
またニヒト(新)とアレスもそれぞれ発売。
いずれもパチ組でもほぼ完璧な色分けがされており、非常に高い再現度を誇る。

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最終更新:2024年06月27日 11:17

*1 『K』ではファフナールートに行かないとフェストゥムとの交戦機会がない。

*2 ちなみにこの直前に「美羽、乱暴なのやだ」と言っており「乱暴とは…?」とよく突っ込まれる

*3 操は第5次蒼穹作戦の失敗の際に「一騎はもう空が綺麗だと思わなくなる」と発言しており、色彩能力はこの頃から失っていた可能性はある