前回・前々回の記事につづき、J-pop DJの方法を記載していきます。
今回はDig編です。
Dig編といっても、今はストリーミングサービスやwebストアがありますので、探し方の話はあまりしません。webですぐ購入できてしまいますので。どう探すかではなく何を探すかといった方向の話を主にします。つまりJ-popの歴史と分類のような、座学チックな話になります。
どんなJ-popをつなげると「うまい」のかというと、文脈(前回の記事ではタグ)が近いものなのです。そのためには、タグってどういうものがあるのか、つまり、楽曲をどのように分けたらよいのかという話になります。
時代による分類
平成のJ-POPを7つの時代に分けてみたらいろいろ見えてきた 〜LL教室の試験に出ないJ-POPイベントふりかえり - 森の掟
上記サイトではこの7つの分類をしています。詳しくはリンク先を見ていただきたいのですが、それぞれの特徴はざっくり以下のとおりです。
- プレJ-pop期
- いわゆるシティポップの延長線
- プリンセスプリンセス「Diamonds」、LINDBERG「今すぐKiss Me」
- ビーイング期
- ミスチル・ドリカム+渋谷系
- Mr.Children「Innocent World」、小沢健二「今夜はブギー・バック」
2000年代(携帯電話・インターネットの普及)
- TK期
- 小室哲哉が代表格 シンセの強い、いわゆるデジタルJ-pop
- globe「Departures」、華原朋美「I’m Proud」
- JK期
- さくら期
2010年代(CD不況、東日本大震災)
- AKB期
- アイドル戦国時代
- AKB48「ヘビーローテーション」、西野カナ「会いたくて会いたくて」
- LDH期
- 踊る動画 ネット発の音楽が広がった
- 星野源「恋」、三代目 J Soul Brothers「R.Y.U.S.E.I」
この分類のよいところは、J-popが時代によって特徴づけられているところです。ですから、同じ期の楽曲でつなぐと「なつかしさ」「あの頃」を演出することができるのです。また、年代で区切られているため、自分で楽曲がどの期に入るのか分類しやすいのもポイントです。
ただし、音楽性として必ずしもまとまってはおらず、ロック色が強い楽曲といかにもポップスな曲が同じ期に入っているということもあります。ですので、曲調に親和性が少なく繋ぐのが難しいのです。
感性による分類
上記サイトでは感性をもとに10個に分類しています。
topic1:切ない恋愛系ソング
topic2:苦悩、憂鬱系ロック
- Wizard CLUB / UVERworld(2013)
- カルマ / BUMP OF CHICKEN(2005)
topic3:パワフルな励まし系ロック
- FANTASISTA / Dragon Ash(2002)
- ねがい / B'z(1995)
topic4:軽やか・明るい、さわやか系J-POP
topic5:励ます、優しい・あたたかい系ソング
- 崖の上のポニョ /藤岡藤巻と大橋のぞみ(2007)
- おどるポンポコリン / B.B.クイーンズ(1990)
topic6:軽やか・明るい、アイドルグループ系ソング
topic7:温かい・穏やか、感動的バラード/メロウ系ソング
topic8:人生、ゆったり、ほろ苦い系ソング
- 夢うぐいす / 天童よしみ(2003)
- プロポーズ / 純烈(2018)
topic9:ラップ、R&B、ヒップホップ、ダンサブル系ソング
- Chase the Chance / 安室奈美恵(1995)
- traveling / 宇多田ヒカル(2001)
topic10:夢・頑張る、あたたか、さわやか系ソング
- Daylight / 嵐(2016)
- 二人セゾン / 欅坂46(2016)
この分類のよいところは、感情を揺さぶれるところです。失恋ソングでまとめたり、ダンス調の曲でまとめたり、演出の手札が増えます。
しかし、トピック数が10と多く、新たに楽曲を分類するとなると手間がかかるのが欠点です。例えば、キリンジの「エイリアンズ」ってどこに入るんだろう……と迷ってしまいますよね。繊細な音なのだけれど、別れがテーマではないし、バラードが近いのかな? など。
わたしの分類
私は感覚的に、楽しさ「POP」落ち着き「CHILL」激しさ「HARD」の3つに分類しています。
落ち着いたバラードはCHILLとPOPの間、HIPHOPはCHILLとHARDの間、シンセが特徴的なcapsuleや小室哲哉はPOPとHARDの間に置いています。あまり細かく分けすぎても頭が追い付けないので、ものすごく好きなジャンル以外はこういうざっくりとした分け方でとらえています。
そして、この距離的に近いジャンルのもの同士ならばつなぎやすいのではないか、と思っています。
アゲ・サゲの2種類だけで区別している人も居るかもしれません。CHILLはサゲでHARDはアゲですね。私も最初はこの2つで分けていたのですが、しかし、次のような曲はどちらにも分類できないため、もう一つの軸が必要となったのです。
分類について まとめ
J-popのDJはある曲の文脈と別曲の文脈を並べることで相違を提示し演出しています。つまり、A曲とB曲がどちらも平成アイドル曲であった場合、「平成アイドル」というなつかしさを場で共有できます。例えばアイドル戦国時代の曲を使えば、その頃の話で盛り上がるのです。これが楽しいのです。具体的には、フライングゲット/AKB48(BPM:131)→サイレントマジョリティー/欅坂46(BPM:132)などです。
そのため、曲から想起されるイメージをある程度まとめておくのが便利なのです。音楽的なジャンル分け(PopsやRockなど)とは別に雰囲気によるジャンル分けがあるとよいのです。
その3つの例が、時代による分類、感性による分類、わたしの分類(感覚的な分類)でした。2つめと3つめは、結果は似ていますが、分類のしやすさが大きく異なります。結局、自分で曲を探して手に入れてプレイするわけですので、自分で分類しやすい方がおトクなのです。
具体的な作業としては以下のとおりです
・気になった曲を自分で分類してみる(どの分類法でもOK)
・同じグループに入っている曲でつなげてみる
曲を探す
上の作業をするにあたって、「同じグループに入ってる曲」のストックがない。という問題にぶつかります。
これには2つ解決策があります。一つ目はひたすら曲を聞き、自分で分類していくことです。もうひとつは似ている曲を探してくれるサービスを使う方法です。
spotifyの選曲でもいいですね。気になる曲を4つほどいれたプレイリストをつくって、サービスがオススメする曲を更新し、気になった曲をプレイリストに入れていくのです。
また、カラオケや企業のランキングサイトも参考になります。
新しい曲を調べるにはタワレコ、流行りの曲を調べるにはショート動画がオススメです。
以上、Dig編として自分なりのJ-pop分類法をまとめました。
これを通して、J-pop DJが増えて、J-popイベントも充実していくことを願っています!