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減塩に糖質カット。山梨発「いちやまマート」のブレない信念

TRiP EDiTOR編集部
TRiP EDiTOR編集部
2017/06/08

スーパーの安売り競争が激しさを増す中、「健康的な食生活を提案するスーパー」という独自の路線を確立し、支持を集めているローカルスーパーが、山梨県を中心に展開する「いちやまマート」です。「テレビ東京『カンブリア宮殿』(mine)では、放送内容を読むだけで分かるようにテキスト化して配信。なぜ、いちやまマート三科社長はここまで健康にこだわるのでしょうか? そこには商売という枠を超えた「信念」がありました。

減塩に糖質カット……山梨発の健康スーパー

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南アルプスなどの山々に囲まれた山梨県甲府市。ここに熱烈ファンを持つスーパーいちやまマート徳行店がある。店内をのぞくと、各種のミニパン49円、鳥の胸肉は100グラム39円と、かなり大胆な値付けだ。でもこのスーパーの最大の特徴は安さではないという。

店内で目立つのが膨大な量のノボリやポップ。「減塩」と書かれたノボリの下を見てみると、そこには塩分を40%もカットしたあじの干物に、イカの塩辛も塩分50%オフ。血圧を気にしている人には嬉しい品揃えだ。体重が気になる人にもってこいの「糖質カットコーナー」も。ズラリと並んだお弁当はすべて炭水化物などの糖質を抑えて作っているという。カツ丼も糖質4%カットだ。

どうやってカツ丼の糖質をカットしているのか。まず違うのが豚肉を包む衣。普通は小麦のパン粉だが、いちやまは大豆のフレークを使う。これで大幅に糖質を抑えられる。さらにご飯にも秘密が。普通のお米に、ある物を加えているのだ。プルプルした丸い粒はこんにゃく米。割合はお米4に対しこんにゃく米6。これで糖質を抑えながら、美味しいご飯になる。こうして生まれた「カツ煮丼」だが、それでも値段は430円。

「他の商品より手間ひまはかかりますが、お客様の健康のために作っております」と、デリカ部の最上勇紀は言う。

いちやまマートの特徴をひと言で言うなら「健康的な食生活を提案するスーパー。熱烈ファンを抱え、現在、山梨県を中心に13店舗を展開。売上高は232億円(2015年度)。地元では一目置かれたスーパーなのだ。

そんな健康スーパーを作った三科雅嗣には、時間と情熱をかけて作った特別な商品がある。無添加をコンセプトに作ったいちやまマートのプライベートブランド、「美味安心」だ。

未来を担う子供達のために」と書いてあるのは、国産小麦にこだわった、かりんとうやクッキーなどのお菓子類。「美味安心」ブランドはお菓子だけでも60種類以上ある。

パンはグルテンフリーの「コシヒカリパン」。グルテンフリー食品は食材から小麦などを抜いた健康食。米粉だけで作った食パンだ。この米粉パンは1斤で538円。プライベートブランドといえば、メーカー品と同じような物が安く買えるイメージがあるが、「美味安心は決して安くない


例えば一番人気の「和豚もちぶたジャンボ焼売」は6個入り430円。無添加にこだわり、肉も良質な国産豚を使っているので、どうしてもこれくらいの値段になる。「グルテンフリー カレー・ルー」は1瓶625円。小麦を抜く代わりに果物や野菜をふんだんに使用。肉を入れれば簡単に美味しいグルテンフリーのカレーが味わえる。こうした美味しくて安心な商品が店内のいたるところに。その数400アイテムを揃えている。

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山梨から全国に広がるプライベートブランド

いちやまマートの魚の粕漬けの製造を請け負うのは、甲府市内の食品メーカー「中部食品」。「美味安心」の商品は地域のメーカーに委託して作ってもらっている。このメーカーとはいちやまマートが創業した時以来、50年以上の付き合いだという。

この日は、今までにない大幅に減塩した魚の粕漬けを作るための打合せ。もともと塩分控え目にはしていたが、三科はさらに3割塩分カットしたいとリクエストした。しかし、これがなかなか難しい。塩分を減らせば、味がぼやけてしまうのだ。

そこでまず、塩から変えてみることに。わざわざ取り寄せたのは長崎県の五島灘の塩味はそのままに塩分を30%カットできるという。さらにうまみを増すため、魚をつける酒粕にカツオや昆布のエキスを加えた。やり直しを繰り返し、今回が4回目の試作だった。

試食をした三科の反応は、「ずいぶん美味しいですね。塩分が下がっているにもかかわらず、うま味が増している。すごくいい商品になりましたね」。中部食品の有野義人社長は、「食べ物は命に通じるもの本来の食べ物を作るという原点に返れる。作るのは大変ですが、楽しいです」と語る。

今まで世の中になかった発明品を作り手と一つになって作る。「美味安心」はそんなプライベートブランドなのだ。

そんな「美味安心」の最近の自信作が、青森産のリンゴを1本の中に6個も詰め込んだ「りんごジュース」だ。人工甘味料や香料は一切使わず素材の味を活かした贅沢な逸品だ。1本409円と、値段はメーカー品の2倍するが、「美味安心」の売り場で試飲をすると、ほとんどの客がこちらを選んでいく。

この「美味安心」、実は東京のスーパーでも買うことができる。四谷にある「ショッピングセンター丸正総本店」。中をのぞいてみると、人だかりができていた。開かれていたのは「美味安心」の試食会。お客が試食していたのはグルテンフリーのカレー。このスーパーが「美味安心」を扱うようになったのは6年前から。最近は特に手応えがあると言う。

「扱い始めた当初より売上が300%アップしています。やはり食べていただくと、納得していただける」(鳥居圭介店長)

現在、「美味安心」の販売契約をしているスーパーは全国80社。1000店舗以上で売られるようになった。

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