4655mの峠越え「タジキスタンの温泉」入ってきた 美しい風景が続くも過酷な道のりに四苦八苦
日本は宿泊施設を伴う温泉が約2900カ所、源泉数にいたっては約2万8000もあるという温泉大国である。ほかに温泉が多い国とされるアイスランドやイタリアでも4桁には遠くおよばない。
外国であっても、温泉があるとなれば行ってみたくなるのが日本人の性(さが)ではないだろうか。
筆者は2024年8月、平均標高が5000mを超えることから「世界の屋根」とよばれるタジキスタンのパミール高原に乳白色の露天風呂があると知り、入浴してきた。
その温泉への過酷な道のり、そして温泉はどのようなものだったのか、ふりかえってみたい。
キルギスから国境を越えて
パミール高原には、キルギスのオシュからタジキスタンのホルグまで約1400kmのパミールハイウェイが貫いている。ハイウェイといっても1931年に旧ソ連軍が領土南端に軍を送る目的でつくった道路で、いまも未舗装の悪路が多くを占める。
道中は、キルギスとタジキスタンの国境越えがまずやっかいだ。かつては乗り合いの車が存在していたが、両国の関係悪化にともない国境は2021年に閉鎖。2023年から再開したが、外国人しか通過できなくなった。
この国境を通過するのに許可証が必要となるが、Caravanistan.comというサイトの掲示板によれば、指定された4つの旅行会社のいずれかを通じて取得する必要があるという。なぜこの4社なのかは不明であるが、従うしかない。わかるのはメッセンジャーアプリ「Whats App」の連絡先のみだ。
1400㎞のほとんどで、バスなどの公共交通機関は存在しない。そのため、許可証を申請する旅行会社で車をチャーターすることにした。
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