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ウェブ漫画家兼プログラマー、ライアン・ノースの「他人を気にしない」仕事術

ウェブ漫画家兼プログラマー、ライアン・ノースの「他人を気にしない」仕事術

著者matsuoka

2013.03.20

敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ第30回。『Evernote』のCEO、フィル・リービン氏に続く今回は、ウェブ漫画家ライアン・ノース（Ryan North）氏にインタビュー。

ノース氏は、2003年以来平日ほぼ休みなく、ウェブ漫画『ダイナソー・コミックス（Dinosaur Comics）』を次々と送り出してきた敏腕クリエイター。他にもコメディーアニメシリーズ『アドベンチャータイム（Adventure Time）』や、クラウドファンディングサイト「キックスターター（Kickstarter）」で資金調達が過去最高額を記録したゲームブックプロジェクト『To Be or Not To Be』の立役者でもあります。さらに、彼の活躍は漫画以外のジャンルにも広がっています。プログラミングスキルを活かし、オンライン広告サービス『プロジェクト・ワンダフル（Project Wonderful）』やウェブコミックの検索ツール『Oh No Robot』などを構築してきました。

漫画からオンラインサービスまで多方面で活躍を続けるノース氏に、日頃の仕事術についてインタビューしました。

氏名：ライアン・ノース（Ryan North）

職業：作家兼プログラマー。『ダイナソー・コミックス（Dinosaur Comics）』、『アドベンチャー・タイム（Adventure Time）』、『To Be or Not To Be』の執筆プロジェクトに従事。コンピュータプログラマーとして、広告ネットワーク『プロジェクト・ワンダフル（Project Wonderful）』を構築。

居住地：カナダ・トロント

現在のモバイル端末：サムソン『GALAXY S III（ギャラクシーS3）』（嫌いにならなかった初のモバイル端末）。これまでのスマホ遍歴は、ひどいモトローラ機とiPhone 3G。それほど頻繁に機種変更はしていないが、これらの過去2機は壊れたので、買い替えました。

現在のコンピューター：数少ないトリプルディスプレイ対応ラップトップPCのひとつレノボ『Thinkpad』。部品の一部を取り替え、アップグレードしつつ、何年も使っている自作マシン。

仕事スタイルを一言でいうと：注意散漫に

「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは何ですか？

ノース：自分の働き方を変えたものはいくつかあります。「Dropbox」は、簡単な自動バックアップツールとしても、複数のマシン間でのデータ同期ツールとしてもいいですね。文字、コードを問わず、ライティングのほとんどは『Textpad』を使っています。頻繁に利用している文字入力をサポートしてくれる、便利なテキストエディターです。またスマートフォンも、僕の働き方を変えたツールのひとつ。これを使ってどこででも思いついたアイデアを書き留めています。以前は書き留めたものを自分宛にメールで送信していましたが、今はEvernoteに保存しています。

音楽再生には、長年『Winamp』を使っています。グローバルホットキーに対応しており、停止・早送り・巻き戻しなどをキーボードから操作できます。音はよくないですが、集中した状態をキープしながら音楽を操作できるのが素晴らしいです。無意識に音楽を早送りしていることもあるほど、慣れてしまっています。僕にとって、効率性がすべてです。綿密な計画のもと、Windowsマシンのタスクバーを画面の「上」に配置しました。マウスを手にしているとき、画面下より上のほうが近いからです。この置き換えのおかげで、わずかな時間を節約できています。

僕は基本的にコンピュータとインターネットさえあればひとりきりでも楽しく過ごせます。ただある時点で食料と水が必要になるでしょうね。

仕事場はどんな感じですか？

ノース：主に自宅の仕事場で仕事をしています。動きまわりやすいようにスタンディングデスク、多額の資金を投じた高級オフィスチェアがあります。椅子はベッドに次いで多くの時間を過ごす家具なので、相応のお金を充てる価値があると思ったのです。時々、プロジェクト・ワンダフルのオフィスにも行きます。同じように机を置いてありますが、どちらかというと社交的になって誰かと話したい時に行くみたいです。

僕はマルチモニターの大ファンでもあります。真ん中のモニターは仕事用、左はリサーチやステータス管理、右はメールとTwitter用にしています。本当に集中しているときは、メールは最小限にとどめています。

音楽を聴きながら仕事をするのが多いですが、うまくいかないときは止めます。カフェに行くのを何度か試しましたが、それほど生産性は上がりませんでした。自分でコントロールできる程度に散漫な状態で仕事をするのが一番いいようです。

仕事中、どんな音楽を聴いていますか？

ノース：山のように音楽を聴いています。歌詞のある音楽や音声コンテンツは気が散るので、NPRやCBC、Savage LoveのPodcastは、生産性を上げたいときは聴きません。いい音楽もダメですね。良すぎると気が散るからです。基本的に集中しているときの曲はそこそこにとどめ、生産性が必要ないときのために素敵なものを取っておきます。あと、マッシュアップが大好きです。複数の曲を一度に聴けるのはいいですね。

お気に入りの時間節約術、またはライフハックは何ですか？

ノース：マルチタスクです。僕は犬を飼っているので、一日1～2時間は散歩に出るか、ドッグランで時間を過ごさねばなりません。かつては「時間の無駄だな」と思っていましたが、今は話の筋を考えたり、ジョークを見つけたりする時間に充てています。公園で犬と遊んで充電しながら、生産性も担保できます。歩きながら独り言を言っていることもあります。作中で自然な台詞をやりとりさせるほうが好きなので、声に出すと、よりよい言いまわしになるのです。少々変に見られるかもしれませんが構いません。僕の最大のライフハックは「知らない人にどう思われるかを気にしない」です。

愛用中のToDoリストマネージャーは何ですか？

ノース：いくつか試しましたが、結局、『todo.txt』を使っています。

携帯電話とコンピューター以外で「これは必須」のガジェットはありますか？

ノース：眼鏡です。これがなければ、スマートフォンもコンピュータも見えず、悲惨です。

日常のことで「これは他の人よりうまい」ということは何ですか？

ノース：僕は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー（Back To The Future）』のノベライズ本について、世界中の誰よりも多くの時間を割いて考えてきたと自負しています。Tumblrページ「B to the F」で公開しているレビューがその証明です。「一日たりとも『バック・トゥ・ザ・フューチャー』について考えない日はない」なんて人、他にいないでしょう？

睡眠習慣はどのようなものですか？

ノース：子どもの頃は朝7時のスクールバスに間に合うように6時に起床していました。大学院に通うようになって、起床時間が朝7時になりました。今でもほぼ朝7時ジャストに目が覚め、眠くなってくるとベッドに入ります。通常は午後11時から12時ですね。睡眠は本当に大事にしています。

あなたはどちらかというと内向的ですか、それとも外向的ですか？

ノース：完全に内向的です。しかし、仲間たちを愛していますし、そのおかげで徐々に外向的になってきていると思います。友達と僕とで「友達マンション」みたいな大きな一軒家で一緒に暮らしてみたいですね。

あなたが受けたものと同じ質問をしてみたい相手はいますか？

ノース：インタビュワーが僕だけなら、英俳優のパトリック・スチュワート（Patrick Stewart）氏です。彼がインタビューのために僕を自宅に招待してくれるといいですね。ともに語りはじめると、スチュワートさんが彼独特の大きな声で、僕の希望や夢について聞いてくれます。そして、人生や愛、不安について語り合うのです。これ、マジですよ。

これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください。

ノース：「学ぶことを止めるな」と「好きな仕事が見つかれば、それを仕事と感じなくなるはずだ」です。昔あるとき、親父が僕を引っ張ってこう言いました。「勉強するのを止めちゃだめだぞ。別のテーマもどんどん学べ。好きな仕事が見つかれば、仕事させられている気にはならない」。

この他、読者やファンの皆さんに何か伝えたいことがあればどうぞ。

ノース：僕はメールをもらうのが好きですが、返信できる時間が限られてしまっています。お返事したい気持ちは山々なので、返信しなくても、僕のことを嫌いにならないでください。

Tessa Miller（原文／訳：松岡由希子）

■HOW I WORKシリーズ　第1～20回までのまとめ

・「HOW I WORK」まとめ＜1＞～人気ツールとメール術

・「HOW I WORK」まとめ＜2＞～タスクと時間の管理術

・「HOW I WORK」まとめ＜3＞～ベストなアドバイス

■敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ仕事術シリーズ

・人気TV番組『怪しい伝説』のアダム・サヴェッジに学ぶ「多芸多才のコツ」

・開発者必見！ギークでもアナログな「bitly」チーフ、ヒラリー・メイソンの仕事術