◆Grasby, Al 1984 The Tyranny of Prejudice, Australian Educa Press, Melbourne=(アル・グラスビー)20020323 藤森 黎子訳,『寛容のレシピ――オーストラリア風多文化主義を召し上がれ』,NTT出版,252p. ISBN:4-7571-4039-8 2415 [amazon]/[bk1] ※ *m01
□内容説明[bk1]
オーストラリアの経験に学んで、人種差別のない多文化主義(マルチカルチュラリズム)の社会をつくる。それが再び日本を世界にとって魅力ある国にする道だ…。多文化主義先進国オーストラリアの事例を紹介。
□著者紹介[bk1]
〈グラスビー〉1926年ブリスベーン生まれ。オーストラリアの労働党の中心メンバーとして第一線にたつ政治家。ホイットラム政権移民大臣、初代コミュニティー問題コミッショナー等を務めた。
◆Gutmann, Amy ed. 1994 Multiculturalism: Examining the Politics of Recognition,Princeton University Press=19961018 佐々木毅・辻康夫・向山恭一訳,『マルチカルチュラリズム』,岩波書店,240+3p. 2600 ※ http://www.arsvi.com内のファイル
◆Cordeiro, Paula A. ; Regan, Timothy ; Martinez, Linda Pitt 1994 Multiculturalism and TQE, Sage=20030831 平沢 安政 訳,『多文化・人権教育学校をつくる――TQE理論にもとづく実践的ガイド』,明石書店,202p. ISBN:4-7503-1781-0 2200 [amazon] ※ *m01
◆Kymlicka, Will 1995 Multicultural Citizenship: A Liberal Theory of Minority Rights, Oxford University Press=19981210 石山 文彦・山崎 康仁 監訳,『多文化時代の市民権――マイノリティの権利と自由主義』,晃明書房,428p. ISBN:4-7710-1062-5 5300 [amazon] ※ *m01
「多文化主義(multiculturalism)ということばは、1970年代の初めにカナダとオーストラリアで新たな国民統合の形態を示す国是として採用されて以来、急速に普及した。もちろん新語であって、英語の辞書(Randam Houseの新版)によれば65年、フランス語の辞書(Le Petit Robertの新版)によれば71年の日付が記されている。この英語とフランスの日付のずれは、多文化主義が英語圏からヨーロッパに広がっていったことを想像させると同時に、地域による多文化主義の差異を予想させる。英語やフランス語の多文化主義は一般的には、ある集団や共同体のなかで複数の文化が共存している状態を指すと同時に、そのような多文化の共存を好ましいと考え積極的にその推進をはかろうとする政策や思想的立場を意味する。
多言語主義(multilingualism)も新語であり、現在では多文化主義にともなってあらわれ、多文化主義ほどに定着していない印象を与えるが、実際は(197)多文化主義より古い用語である。[…]文化には言語が含まれる。したがって、多文化主義政策は論理的には多言語主義をともなうはずである。だが、多文化主義は現実には、カナダは二言語多文化主義であり、オーストラリアは一言語多言語主義であることからも分かるように、必ずしも多言語主義を含まない。一見明らかなこの論理矛盾をどう考えればよいのだろうか。そこには文化と言語の一様ではない複雑な関係が示されていると同時に、多文化主義のある種の詐術が隠されている。」(pp.197-198)