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お知らせ Archive
ここがヘンだよ クローズアップ現代「マグロが捨てられる!?海の恵みをどう守るか」
事実誤認とミスリードばかりの番組が放映されたので、ツッコミを入れていきます。
番組では、政府による漁獲枠規制のごり押しを問題視して、解決策として千葉のキンメダイなど漁業者の話し合いによる自主管理の成功事例を紹介したうえで、国は漁獲規制を強引に進めようとせず、漁業者が自主的に話し合いでルールを決めるのを待てと主張しました。
番組の趣旨は、こちらのゲストのコメントに要約されています。
「これについては、やはり漁業者がそれぞれみんなで決めて時間をかけて決めたことだから、国が管理しなくても監視しなくてもしっかり守ってもらえるという大事な制度がワークするような状況になるんです。ただ、国がそのことを無視して出口管理だけ強めるというと、これは反発が起こりますよね。やはり、リスペクトが大事。現場に対するリスペクトがあって、ベストミックスに持っていくのが大事かと思います。」
漁業者の自主規制が機能するには、国の規制が不可欠
この番組が根本的に間違えているのは、漁業者の自主規制と、公的機関の規制はバッティングしないということです。むしろ、公的機関が適切な規制をしないと、自主規制は殆どの場合に機能しないのです。
漁業者の自主管理が可能なのは、話し合ってルールを決められる範囲に限られます。都道府県をまたぐ資源や、巻き網や定置網など複数の漁業が利用する資源では、そもそも利用者が話し合う機会が無いので、漁業者の話し合いでルールができることは期待できません。
自主的な取り組みが機能するには以下の条件があります。
- 定住性の小規模資源などグループで排他的に利用できる資源
- 漁法や漁船規模がほぼ均一、
- 漁業の将来を考えて、理論的に行動できるリーダがいる。
番組で紹介されたキンメダイの自主管理は、上記の①~③を満たしています。この取り組みを行っている漁業者のことは昔から知っているのですが、漁業の未来のことを考えている立派な人たちです。こちらは2017年のツイートです。
https://twitter.com/katukawa/status/871666472229117953
キンメダイの自主規制は良い取り組みではあるのですが、クロマグロの漁獲規制の解決策にはなり得ません。クロマグロのように、回遊性の魚種で、一本釣り、定置、巻き網、引き縄など多くの漁法が、北海道から沖縄まで広範囲で利用する資源の場合は、すべての漁業者が集まって話し合いをすること自体が不可能です。また、多岐にわたる漁法を、禁漁期や網目の制限などで公平に規制できるはずがありません。漁業者の話し合いと、漁具・漁法の規制(入り口管理)では、クロマグロなどの大規模資源は管理できないのです。
広域回遊をして、複数の漁法で利用されている資源は、「自分たちが獲らなくても、他の誰かが獲ってしまう」ということで、我慢した人が損をするだけで、規制になりません。千葉のキンメ漁師とは、クロマグロの漁獲規制を国に訴える際に連携したのですが、「キンメは自分たちで管理できるけど、サバやクロマグロは国にしっかりしてもらわないと困る」とぼやいていました。
広域資源で自主規制を機能させるには、ルールについて話し合いができる範囲まで、漁獲枠の個別配分を早急に進める必要があるのです。都道府県をまたぐ資源では、全体の調整ができるのは、国しかありません。国は漁獲枠の設定を急がずに、漁業者の自主的な取り組みを待つべきだという主張は、ナンセンスです。
過去70年間、自主規制は殆ど機能してこなかったという現実
クロマグロは国際機関WCPFCによる漁獲規制が導入されていますが、それ以外の国内資源について、日本政府は現在までほとんど規制をしていません。過去70年以上、漁獲規制については、現場をリスペクトして、漁業者に丸投げしてきたのです。みんなで話し合ってルールを決める時間は、十分にあったわけです。その結果が、漁獲量の直線的な減少です。事態に改善が見られるならまだしも、年々酷くなっている状況で、これまで通り何もせずに、変化が自然に起こるのを待つべきという主張は無責任でしょう。漁業者の自主規制が機能する前に資源も漁業もなくなるでしょう。
キンメダイのような自主管理が可能な資源でも、千葉以外は減少傾向です。一部の例外を除いて、漁業者の自主規制の枠組みは機能していないのです。千葉のキンメ漁業のような例外的な成功事例があるからといって、現状を放置して良いわけではないのです。このように、数多くの事例の中から自らの論証に有利な例外的事例のみを選び、恣意的な結論を導くのは、チェリーピッキングと呼ばれる詭弁の一種です。
まとめ
番組制作者には、事実誤認が多く、漁獲規制の基本的な事が理解できていません。あたかも自主管理がバラ色の解決策であるかのごとくミスリードして、漁業者をリスペクトしてしばらく様子を見ようという間違えた結論を導いています。テレビには影響力がありますので、事実関係を確認した上で、まともな番組を放映していただきたいものです。
追記:
漁獲枠自体が悪いのではなく、その運用の仕組みに問題あるので、その点を改善する必要があります。
具体的には、次の2点:
- 定置や釣りへの漁獲枠の配分が少なすぎる
- 定置が漁獲枠を超過した場合に、全体のつじつまを合わせる仕組みを作る
定置網への漁獲枠配分が不当に小さいです。巻き網ばかりを優遇せずに、沿岸小規模漁業の生存のために必要な漁獲枠を確保すべきです。定置や一本釣りに獲らせて、枠が余ったら、巻き網に獲らせるぐらいでちょうど良いと思います。巻き網に潤沢な枠を配分するのは、資源が回復してからでも良いでしょう。
また、定置が獲りすぎるケースは当然想定すべきであって、その場合に、どこかから枠を融通できるようにしておくべきです。十分な枠を持っていて、マグロを捕るか捕らないかを選択できるのは巻網だけなので、現状では巻網の枠を使うことになるでしょう。定置が獲りすぎた分は、巻網の枠を当てることにする。モラルハザードにならないように、超過分の売り上げは国が回収し、巻き網に配分するような補償措置は必要かもしれません。
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【論点整理】クロマグロの規制を議論する国際会議が始まりました
クロマグロの漁獲規制について議論をする中西部太平洋マグロ類委員会の年次会合が、フィリピンで開催されています。昨年は規制が甘すぎると日本が集中砲火を浴びたのですが、今年はどうなるのか。論点を整理します。
つづきは、こちら
ヤフーニュース個人に投稿しています。
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NHK総合 NEW WEBに出演します。
本日23:30から、NHKのニュース番組(総合テレビ)に出演します。
夕方、NHKからサンマの情報提供をして欲しいと言われて、電話で色々話していたら、スタジオに来て欲しいということになり、急遽行くことになりました。東京在住は、楽でいいね。
- チャンネル
- [総合]
2015年10月16日(金) 午後11:30~午前0:00(30分)
- ジャンル
- ニュース/報道>定時・総合
ニュース/報道>天気
ニュース/報道>解説
- 番組内容
- サンマがとれない!食卓を直撃する不漁の原因は…海水温?エサ不足?とりすぎ?専門家と掘り下げる▽新たに200余を確認…与謝蕪村の知られざる句▽ナビは水無田気流さん
- 出演者ほか
- 【ナビゲーター】詩人…水無田気流,【キャスター】鎌倉千秋,【ニュースリーダー】小見誠広,【気象キャスター】斉田季実治
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4月15日のクローズアップ現代
視聴者の反応は、好評だったようです。
番組の内容がNHKのウェブサイトに公開されております。番組の一部が動画でご覧いただけます。
とても良く出来た動画だと思いますので、ぜひ、ご覧ください。
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BSジャパン「日経プラス10」に出演します
本日、夜10時から放送のBSジャパン「日経プラス10」に出演します。
食卓から魚が消える!?日本の「魚食」はどうなる
~ホッケ・アジ・クロマグロが深刻な不漁に…日本の海で何が起きているのか/繰り返される“乱獲”水産業界が陥った現実/漁業を知り尽くしたプロが語る「賢く食べて魚を増やす」方法とは/日本の漁獲規制は“抜け穴”だらけだった!?水産資源再生への道はあるのか~
https://twitter.com/nikkeiplus…/…/595473094782767105/photo/1
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異動のご挨拶
- 2015-04-02 (木)
- お知らせ
4月1日づけで、東京海洋大学に異動しました。産学・地域連携推進機構というところで、地域と大学をつなぐ仕事をします。品川にオフィスがあるので、遊びに来てください。
これまでは、教育・研究が主要業務で、その合間に地域を回っていましたが、今後は地域を回るのが主要業務になります。東京海洋大学は、釜石、気仙沼に拠点が有り、月に何度かは訪問することになります。往復にいろいろな場所をまわろうとおもいます。東北には頻繁にお邪魔することになると思います。震災から4年が経過しました。5年を復興の一区切りとすると、今年度は最後の1年です。今まで以上に現場を回って、地域の漁業を未来につなげるお手伝いが出来ると思います。
クロマグロやニホンウナギの絶滅危惧種指定などがあり、水産資源の持続性が社会問題になりつつあります。東京に拠点を移したことで、今まで以上にメディア対応が出来ると思います。水産資源に関する勉強会も開きたいですね。
よろしくお願いします 🙂
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島耕作が漁業問題に参戦!
- 2014-11-29 (土)
- お知らせ
当サイトが、長年宣伝してきた個別漁獲枠制度に強い味方が現れました。
モーニングに連載中の「会長 島耕作」で水産資源管理のことを取り上げていただきました。俺の著書「漁業という日本の問題」をベースに、個別漁獲枠制度について、かなり詳しくかいてあります。とても良い内容なので、皆さんもぜひ読んでください。
国民的な漫画に取り上げてもらえれば、これまで漁業に関心が無かった多くの層に、漁業の現場で何が起こっているかを知ってもらうことが出来ます。実に有りがたい話です。
新シリーズは、「大臣 島耕作」が抵抗勢力と闘いながら、漁業改革を進める展開を期待しています。
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シーフードスマートTV ウナギ編・第1回
今、なにかと話題のウナギについて、情報を整理する必要があると考えて、築地の生田さん(Seafood Smart)と一緒にインタビュー取材を行いました。
なんと、8回連続で、1~4回目がウナギの専門家で、IUCNの専門委員のメンバーでもある海部健三さん(中央大学)、5~8回目が「うなぎ 地球環境を語る魚」の著者である井田徹治さん(共同通信)です。
とても濃厚な内容なのですが、まずは一回目を公開です!!
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水産業の苦境を打開するのに必要なのは、補助金では無く、資源管理
産経ビジネスに漁業の復興関連の記事があった。この記事から、日本の水産業が元気が無い理由が透けて見えるような気がしたので、整理してみようと思う。まずは記事に目を通して欲しい。
三陸の水産業者、苦境打開へ 世界に活路もアピール不足 三陸地方の水産業者が、海外展開に活路を見いだしている。東日本大震災から3年が過ぎても続く苦境を打開しようと、国や自治体も支援に乗り出した。だが、宮城県気仙沼市が5月に実施した欧州視察事業からは、国を挙げてのPR力不足や、衛生基準などを満たすハードルの高さが見えてきた
Sankei Biz 2014.6.21 07:10
「PR力不足」、「衛生基準の不備」、「人手不足」という問題があるのは確かなんだけど、「これらの他国では当たり前のようにできていることが、なぜ日本ではできないか」という根本的な問題を考えないといけない。これらの構造的な問題は、被災地だけのものでもないし、被災後に新たに発生したものでもない。そもそも漁獲規制が緩い日本では、価値が出る前に魚を獲り尽くしてしまうので、水産業では利益が出ない。だから、マーケティングや衛生管理などに投資ができないのである。乱獲された魚を高く買う先進国はないので、PR力や衛生基準の前に、持続性に取り組まなければならない。相手に買ってもらえる生産体制を作るのが先なのだ。
また、PR活動をやるなら、業界の自己負担が大原則だ。ノルウェーの場合は、ノルウェー水産物審議会がマーケティングをしている。日本でも、ノルウェー大使館と連携と獲りながら、活動をしている。その原資はすべて業界負担である。
前述の法律に基づき、ノルウェーの全ての水産物輸出業者は、NSC に登録し、賦課金を拠出することが義務付けられている。
NSC の財源は、各水産物の輸出ごとに徴収される賦課金である。賦課金は魚種に関係なく輸出額に対して一律 0.75%に設定されている。http://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_enkatu/pdf/h23_taisei_5norwey.pdf
業界が身銭をきっているから、NSCの活動は具体的な成果を常に問われている。組織防衛のために、必死になって、プロモーションをしている。日本の場合は、「初めに補助金ありき」である。他人の財布感覚で、タレントを呼んで、自己満足的なイベントをしておわり。広告代理店が儲けるだけで、後には何も残らない。
まとめるとこんなかんじ
○ これまでの水産物ブランド化事業→補助金で話題作り→効果が無い
○ ブランドを育てるために必要な要素
①差別化できる水産物の安定供給 → 資源管理・持続性認証
②適切なマーケティング → 受益者負担・専門組織
日本の水産物ブランド化の取り組み(補助金事業)はことごとく失敗してきた。ブランドを育てるために必要な要素が欠けているからである。水産物ブランド化の前提としては、差別化できる水産物を安定供給できる体制を整えないといけない。そのためにやるべきことは資源管理と持続性認証(水産エコラベル)である。水産エコラベルは、単価が高い欧米に魚を売る上でもはや必須と言える。①の条件と整えた上で、②適切なマーケティングを行う必要がある。そのための必要条件は、受益者負担とそのための専門組織をつくることだ。
人手不足の原因は、日本の水産業は利益が出ないから、安い賃金しか出せないことである。震災前から、日本の水産加工業は中国人研修生という安い労働力に依存していた。それでも利益が出ずに衰退の一途を辿っていた。ノルウェーは、人手不足で、賃金が高くても人があつまらないから、仕方なく設備投資をして省人化を進めている。日本とノルウェーでは、おかれた状況が違うのである。ノルウェーの近代的な加工設備を補助金で導入したところで、減価償却すら難しいだろう。今の日本がノルウェーから見習うべき点は、近代的な設備ではなく、そういう投資を可能にする前提としての資源管理なのだ。
地域の雇用という観点からは、日本に必要な施策は省人化では無く、水産業の黒字化であることは自明だろう。たとえば、こちらの動画(2:55~)はニュージーランドの離島の水産加工場である。ニュージーランド政府の厳しい漁獲規制のおかげで、水産業が利益を上げているために、機械化を進めなくても十分な賃金が支払われている。
これまでも、「あれが無い」、「これが無い」といって、補助金に依存してきた日本の水産業は衰退の一途を辿っている。海外に目を向ければ、資源管理をしっかりしている漁業国は軒並み利益を伸ばしている。水産業の苦境を打開するのに必要なのは、補助金では無く、資源管理なのである。
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プライムニュース でウナギについて議論をしました
プライムニュースに出演して、ウナギについて議論をしました。
6月17日(火)
『ニホンウナギ絶滅危機 捕獲量取り戻すには 魚食文化どう守る 』
12日、国際自然保護連合(IUCN)はニホンウナギを絶滅の恐れがある絶滅危惧種に指定した。IUCNの判断には法的拘束力がないため、ウナギの捕獲がただちに禁止されることはないが、ワシントン条約で規制対象を決める際の根拠となることから、今後、輸出などの規制につながる可能性がある。
縄文時代の遺跡からもウナギの骨が発掘されるなど、古くから日本人が親しんでいたウナギ。伝統的な食文化を守るためには必要なこととは。
横山農水政務官らを迎え、ウナギ捕獲の現状から日本の食文化まで多角的に議論する。
- ゲスト
- 横山信一 農水政務官
勝川俊雄 三重大学生産資源学部准教授
生田與克 NPO法人魚食文化の会理事長
あと10日間はハイライト動画をウェブで視聴できます。
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