出版社。日本文学、歴史・文化史・民俗学、芸能・演劇、映画・映像などの書籍を出版。
映画は世界を記録する ドキュメンタリー再考(日本映画史叢書 5)
ZEAMI―中世の芸術と文化〈03〉特集 生誕六百年記念金春禅竹の世界
かぐや姫幻想―皇権と禁忌
光と影の世紀―映画史の風景
源氏物語と物語社会
王朝の性と身体―逸脱する物語 (叢書・文化学の越境)
幻灯の世紀―映画前夜の視覚文化史
日本映画とナショナリズム 1931‐1945 (日本映画史叢書1)
時代劇伝説 チャンバラ映画の輝き(日本映画史叢書 4)
『青鞜』という場―文学・ジェンダー・“新しい女” (叢書・文化学の越境)
ZEAMI―中世の芸術と文化〈02〉特集・立ちあがる場と風景
近代演劇の来歴―歌舞伎の「一身二生」 (明治大学人文科学研究所叢書)
映画と「大東亜共栄圏」(日本映画史叢書 2)
源氏文化の時空 (叢書・「知」の森)
中世王権と即位潅頂―聖教のなかの歴史叙述
日本史の脱領域―多様性へのアプローチ (叢書・「知」の森)
『源氏物語』の新しい物語「宇治十帖」は、「橋姫」からはじまり、「椎が本」「総角(あげまき)」「早蕨(さわらび)」「宿り木」「東屋(あずまや)」「蜻蛉」「手習」と続き、「夢の浮橋」で終わる。 「光」の君の世界から、「夜」「闇」「漆黒」の薫り(薫中将=女三の宮と光源氏との子(実は女三の宮と柏木との不義の子))、匂い(匂宮=明石中宮と今上帝との子)の世界へ。 宇治とは憂路(うじ)でもあろうか。また、ノワールな倒錯の巻物でもある。 以下、『源氏物語』からの引用は、與謝野晶子『全訳 源氏物語』(角川文庫クラシックス)による。 <「橋姫」――濡れる薫の隙見(すきみ)> 「橋姫」は薫二十歳(匂宮二十一歳)か…
『源氏物語』の新しい物語「宇治十帖」は、「橋姫」からはじまり、「椎が本」「総角(あげまき)」「早蕨(さわらび)」「宿り木」「東屋(あずまや)」「蜻蛉」「手習」と続き、「夢の浮橋」で終わる。 「光」の君の世界から、「夜」「闇」「漆黒」の薫り(薫中将=女三の宮と光源氏との子(実は女三の宮と柏木との不義の子))、匂い(匂宮=明石女御と冷泉院との子)の世界へ。 宇治とは憂路(うじ)でもあろうか。また、ノワールな倒錯の巻物でもある。 以下、『源氏物語』からの引用は、與謝野晶子『全訳 源氏物語』(角川文庫クラシックス)による。 <「橋姫」――濡れる薫の隙見(すきみ)> 「橋姫」は薫二十歳(匂宮二十一歳)か…
民俗学者によるネット怪談のアプローチ 2024年刊行。筆者の廣田龍平(ひろたりゅうへい)は1983年生まれの研究者。専攻は文化人類学、民俗学。法政大学ほかの大学で非常勤講師を務めている方。 早川書房による感想まとめ記事はこちら。 廣田龍平の著作はこちら 単著 『〈怪奇的で不思議なもの〉の人類学 妖怪研究の存在論的転回 』青土社(2023年) 『妖怪の誕生 超自然と怪奇的自然の存在論的歴史人類学 』青弓社(2022年) 共著 『謎解き「都市伝説」 』彩図社(2022年) 『クィアの民俗学 LGBTの日常をみつめる 』実生社(2023年) 訳書 『日本妖怪考 百鬼夜行から水木しげるまで 』森話社(…
「剽窃」の読みは「ひょうせつ」です。いわゆる盗作のことです。読書中に登場した言葉です。知りませんでした。インプットです。 剽窃の文学史: オリジナリティの近代 作者:甘露 純規 森話社 Amazon
海の道 南方澳の南天宮 2023年6月22日、台湾宜蘭県蘇澳鎮 八重山と台湾の間は地理的に近接しており、人やモノがさまざまな方法で行き交った。時には非公式の航行に依存してでも、海の向こうとやりとりしたいモノや、国境線を越えたい人がいた。戦後の台湾引き揚げは、沖縄本島向けは原則として当局が船を用意し、スケジュールを組んで実施されたが、台湾から八重山向けに行われた引き揚げは、南方澳や基隆を発着する密航船も使われた。八重山と台湾を結ぶ海の道は、沖縄本島と台湾を結ぶ海の道とは異なっていた。 ・戦前(日本による台湾統治期) 貨客船の航路があった。 ●石垣~与那国~基隆 与那国島の漁民が台湾との間で漁撈を…
一条真也です。『妖怪の誕生』廣田龍平著(青弓社)を紹介します。「超自然と怪奇的自然の存在論的歴史人類学」というサブタイトルがついています。著者は、1983年生まれ。法政大学ほか非常勤講師。専攻は文化人類学、民俗学。訳書にマイケル・ディラン・フォスター『日本妖怪考――百鬼夜行から水木しげるまで』(森話社)など。 本書のカバー前そでには、「カッパ、カマイタチ、くねくね……私たちはなぜ、それらを妖怪と呼ぶことができるのか。18世紀末から現代までの自然/超自然、宗教、近代/非近代をめぐる議論、日本の知識人の言説や思想、学知を渉猟して、現代の妖怪概念が生成してきた過程を丁寧に分析する。妖怪と妖怪研究の関…
1. Coulter, Jeff(1979)『The Social Construction of Mind : Studies in Ethnomethodology and Linguistic Philosophy』, Macmillan. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA00638401 2. Coulter, Jeff(1998)『心の社会的構成 : ヴィトゲンシュタイン派エスノメソドロジーの視点』西阪仰訳, 新曜社. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA34939511 3. Descartes, René(2008)『情念論』谷川多佳子…
突然だが、最近、自分の研究の今後の方向性をあれこれ考えている。内容的に、相談できる相手もあまり思い浮かばないし、ここに放流しておきたい。 私の博論のテーマは、後漢の鄭玄とその後の経学の展開(義疏など)についてである。色々なことを書いたのだが、大きな軸の一つに、過去の鄭玄研究に対する批判がある。過去の鄭玄研究では、鄭玄の学説や注釈の中に、鄭玄による(特定の政治的な)意図を読み込むという方法がよく用いられてきた。 ある人の思考や意図を研究するためには、当然ながら、当時の政治的・社会的背景を踏まえる必要がある。しかし、その人の著述の中に、政治的意図が主張されているかということは、場合によるとしか言い…
前回(2024/4/22)に引きつづき『猿丸集』歌の再確認をします。今回は第35歌です。 1.経緯 2020/7/6より、『猿丸集』の歌再確認として、「すべての歌が恋の歌」という仮説を検証中である。12の歌群を想定し、3-4-34歌まで、すべて類似歌とは異なる歌意の恋の歌であることを再確認した。歌は、『新編国歌大観』より引用する。 2.再考の結果概要 3-4-35歌 ① 『猿丸集』の第35番目の歌と、その類似歌と諸氏が指摘する歌は、次のとおり。 3-4-35歌 あだなりける女に物をいひそめて、たのもしげなき事をいふほどに、ほととぎすのなきければ ほととぎすながなくさとのあまたあればなをうとまれ…
溝口健二監督『残菊物語』は驚くほどのスピードで、原作小説掲載、新派上演を経て、映画化された。 一九三七年(昭和一二年)九月、『サンデー毎日』秋季特別号に村松楓風(しょうふう)の短篇小説『残菊物語』が掲載され、同年一〇月には巖谷三一(愼一)脚色、川尻清譚演出によって明治座新派興行で上演された(菊之助を花柳章太郎、お徳を水谷八重子、五代目菊五郎を喜多村緑郎)。花柳が原作を読み舞台化を希望したという。その好評により、二ヶ月後の一二月には明治座で同じく巖谷脚本、花柳主役で『続残菊物語』が上演されたが、これは原作の末章「残んの花」にあたる帰京後の菊之助の復活から、お徳と同じ病による死までである。 そして…
グループワーク(フィールドワーク)をすすめるさいの参考書を17冊えらんでみました。 88歳ひとり暮らしの 元気をつくる台所 作者:多良 美智子 すばる舎 Amazon 87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし 作者:多良 美智子 すばる舎 Amazon 総中流の始まり 団地と生活時間の戦後史 (青弓社ライブラリー) 作者:渡邉 大輔,相澤 真一,森 直人 青弓社 Amazon 団地と移民 課題最先端「空間」の闘い (角川新書) 作者:安田 浩一 KADOKAWA Amazon 再現・昭和30年代団地2DKの暮らし (らんぷの本) 作者:青木 俊也 河出書房新社 Amazon 郊外住宅地の再生と…
日本映画とナショナリズムの時代──娯楽・闘争・プロパガンダ 作者:岩本憲児 森話社 Amazon
Diffの記事を書いたのでお知らせしておきます。 diff.wikimedia.org Diffとは、Wikimedia(Wikipediaを含む)に関連する記事を掲載するメディアです。 私はWikipediaの編集に継続的に取り組んでおり、Wikipedia関係の記事はDiffにアップしていこうと思います。今回は、最近編集したWikipedia記事について、考えたことを(かなり真面目に)書きました。 記事で触れたWikipediaのリンクと書籍を一覧にしておきます。 セクシュアリティ・ムルデカ - Wikipedia 北京クィア映画祭 - Wikipedia 吉屋信子 - Wikipedia…
一条真也です。『心霊スポット考』及川祥平著(アーツアンドクラフツ)を読みました。「現代における怪異譚の実態」というサブタイトルがついています。著者は1983年、北海道生まれ。成城大学文芸学部准教授。博士(文学)。専門は民俗学。 主な著作に『偉人崇拝の民俗学』(勉誠出版、2017年)、『民俗学の思考法』(共編著、慶應義塾大学出版会、2021年)があります。 本書の帯 本書の帯には、「『恐るべき出来事』が呼び起こす場所と記憶の文化」と書かれています。アマゾンの内容紹介には、「『心霊スポット』という言葉が、雑誌・テレビのメディアに使用され始めたのは1990年代前半。その後、『神奈川ジェイソン村』『新…
棋客*1「光本順「クィア考古学の可能性」」https://chutetsu.hateblo.jp/entry/2024/01/16/120000 曰く、 光本順「クィア考古学の可能性」(『論叢クィア』第2号、2009)を読みました。一つの学問の指針を知ることができるよい論文でした。簡単にまとめておきます。 「クィア考古学」とは耳慣れない言葉かもしれませんが、第三波フェミニズムを受けてフェミニスト/ジェンダー考古学が生まれた後に、更にその不徹底な部分を再考・解体するために生まれたものだそうです。大きな方針は以下です。異性愛という強制への対抗 (異性愛規範・男性中心主義を導く)規範的な考古学的実践…