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間欠泉的キャリアの薦め

10日間ほどセブ島の英語学校に滞在していました。日本から来ている生徒さんは、春休み中の大学生と、30代、40代の社会人が半々程度。

そのうち社会人の方と話していて「なるほど!」と思ったのは、その多くが転職の合間の留学であり、かつ、次の仕事を見つけることにほとんど不安のない人たちだと気づいた時でした。


今の日本で、退職して語学留学するなどインターバルをあけても再就職に困らないのは、どんな職業でしょう?

ひとつは、医療・介護系です。看護士や薬剤師はもちろん、介護士、保健士、医療関係の技師、理学療法士、言語聴覚士などのリハビリエキスパート。この分野は圧倒的な需給ギャップがあり、どこもかしこも常に求人がかかっています。

なので、いったん会社を辞めてブランクをつくっても、次の仕事には困らない。海外に英語を勉強しにいったり、旅行をしたり、リフレッシュしてから次の仕事に転職する、ということが可能になるのです。


もうひとつの職種は、IT関係のスキルを持つ人たちです。プログラマーであったりウエブデザイナーであったり、エンジニア以外でもウエブやスマホ、ソーシャルなんちゃら関係のお仕事の方々ですね。

この分野も今はほぼ失業を懸念する必要がありません。一定の経験とスキルがあれば、職場とは選べるものであり、引く手あまたなのでしょう。


ちきりんは今回、こういった職業に就くことの大きなメリットを現実に目にしました。再就職に不安を持たなくていい仕事を得ると、「何年か働いたら、何ヶ月かは休みをとる」という働き方が可能になるのです。


同じく英語を学びに来ていた、卒業まであと1年という学生さんが、「就職したらもう休めないから、残りの一年はひたすらダラダラしたい」と言ってたので、「20代のくせに、1970年代の日本人みたいなことを言うのね・・」とからかったのですが、今までの日本人はまさに「就職したら、次の長期休暇は定年後」を覚悟していました。

特に、「就職勝ち組」とされる大企業や公務員組織へ入った人の多くは、一生転職もしないので、長期休暇がとれるのは家族が死んだ時と新婚旅行だけ、とさえ言われます。

そういった企業から派遣されて海外留学する人が、留学中ひたすら旅行とゴルフと家族サービスに熱中するのも、「これが個人生活を堪能できる最後のチャンス!」という悲壮感をもっているからでしょう。


ところが大企業や公務員になるのではなく、需要が圧倒的に大きな市場において「手に職」をつけることで、それとは一線を画した新しい働き方を手に入れることができるのです。

それは一定期間働くごとに、リフレッシュや個人の趣味のために数ヶ月の休みを挟みながら働く「間欠泉的キャリア」です。

休みの間に世界放浪をしてもいいし、英語留学や中国留学を挟んでもいい。趣味について極めるため専門学校にいくもよし、子育てに没頭するもいいでしょう。

本当の意味で「手に職」があり、恒常的に人手不足の業界でキャリアを築くと、こういうキャリア形成が可能になるのです。


今までは公務員になるとか、大企業に入って一生働き続けることが得な(いい)キャリアだとされていました。

でも、ちきりんもそうなのですが、「たとえ大企業で環境や条件がよく、ステイタスが高くて仕事もおもしろい職場であったとしても、20代半ばから65歳まで40年間も働き続けるのは、あたしには無理!」という人は一定数いるはずなんです。

そういう場合、ちきりんのようにある程度のお金を貯めて引退するという方法もあるのですが、より現実的には、上に挙げたような分野でスキルと経験値を確保し、「働く」と「働かない」を繰り返して生きるという自由度を得る方法もあるわけです。


大企業に一生囲われて生きる「安泰だけれど中断できないキャリア」、それとは別の、「5年働いて数ヶ月休む」、「10年働いて2年間勉強する」、「3年働いて、半年は専業主夫」のような間欠泉的キャリア。

それぞれの人が、自分のむいている方を意識的に選べるようになったら、多彩な人生設計が可能になって、ちょっとはいい感じだよね、などと思ったのでした。



そんじゃーね


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