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ディープラーニング研究の第一人者が語る最新のAI技術、最終目標は単一モデルでさまざまな質問に答えるAIの実現

リチャード・ソーチャー氏(Salesforce.com, inc. チーフサイエンティスト 兼 Salesforce Research所長)インタビュー/聞き手:巣籠悠輔氏(株式会社情報医療 CTO)

 セールスフォース・ドットコムは昨年12月、年次イベント「Salesforce World Tour 2016 Tokyo」を開催。その基調講演などに登壇するため、Salesforce.com, Inc. チーフサイエンティスト 兼 Salesforce Research所長のリチャード・ソーチャー氏が来日した。本稿では、同社のAI機能「Salesforce Einstein」の開発を主導し、自身もディープラーニング研究の第一人者である同氏に、最先端のAI研究やSalesforceでの研究活動について話を聞いた。なお、聞き手は、東京大学の学生時代にキュレーションサービス「グノシー」を開発した1人で、ディープラーニングに関する著書もある、株式会社情報医療 CTOの巣籠悠輔氏にお願いした。

 リチャード・ソーチャー氏は、ディープラーニングの研究開発を行うMetaMind社の設立者 兼 CEO/CTO。ディープラーニング分野では第一線の研究者でもある。MetaMind時代、彼が手掛けた画像認識AI(AI Platform)は、対象を正確に分類するだけでなく、猫の模様やパンの種類まで高い精度で見分けることができるという。MetaMindは2016年4月にSalesforceに買収。ソーチャー氏は同社のチーフサイエンティスト 兼 Salesforce Research所長として、ディープラーニング研究を続けるとともに、AI機能「Salesforce Einstein」(以下、Einstein)の開発を主導している。

 聞き手の巣籠悠輔氏は、Gunosy(現グノシー)の創業メンバーの1人。Gunosyではニュースレコメンドのためのアルゴリズムの研究などを行っていた。現在は、ディープラーニングによる画像解析や自然言語処理で医療分野でのイノベーションを目指すベンチャー企業「情報医療」にCTOとして在籍。東京大学の招へい講師も務めるなど、やはりAI研究の第一人者である。昨年、ディープラーニングに関する著書『Deep Learning Javaプログラミング 深層学習の理論と実装』を上梓した。

キーワードによる感情分析では自然言語処理はスケールしない

巣籠悠輔氏(以下、巣籠):私はWebマイニングからディープラーニングの研究に入っていきました。ソーチャーさんはどんなきっかけでAI、ディープラーニングに興味を持ったのでしょうか。

リチャード・ソーチャー氏(以下、ソーチャー):どこまでさかのぼるか難しいですが、高校時代に数学と言語学に興味を持っていたのが始まりです。その後、Lingustics Computer Scienceについて学びました。当時は言語学に数学やコンピュータによる処理を取り入れる動きは珍しいものでした。2006年から2008年ごろに話題になった、機械学習やAIは、さまざまな知識や学問が求められる領域であり、非常にワクワクしたのを覚えています。スタンフォード大学では、言語学と数学の2つの分野について人間の知能という視点で研究を続けました。

Salesforce チーフサイエンティスト 兼 Salesforce Research 所長 リチャード・ソーチャー氏
Salesforce チーフサイエンティスト 兼 Salesforce Research 所長 リチャード・ソーチャー氏

巣籠:AI研究の最先端が、機械学習からディープラーニングに変わった時期がありますが、どこをチャンスととらえましたか?

ソーチャー:スタンフォードでもトップの学生というのは、実は優秀なAIアルゴリズムを考えるというより、直感でパラメータをチューニングできる能力があることに気が付きました。例えば、自然言語処理における感情分析では、多くのエンジニアが、「すばらしい」「おどろいた」、あるいは「つまらない」「ひどい」といったキーワードでポジティブ感情、ネガティブ感情を判断してチューニングしています。しかし、実際の会話や感情では逆のこともあります。このように直感に頼るような技術では、スケールしていかないと感じました。

 当時、ディープラーニングは画像認識で利用され始めていましたが、自然言語処理で利用する研究者はいませんでした。しかし、いまでは、自動翻訳システムでも、生データを大量に用意して機械学習させていくより、ディープラーニングによって生成したAIモデルでスペイン語でも中国語でもすぐに翻訳してくれるシステムに変わってきています。ディープラーニングによって経営課題や問題を解決してほしいと考える投資家や企業も増えています。

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この記事の著者

中尾 真二(ナカオ シンジ)

フリーランスのライター、エディター。アスキーの書籍編集から始まり、翻訳や執筆、取材などを紙、ウェブを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは当時は言わなかったが)はUUCPの頃から使っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/9903 2017/02/14 14:00

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