月刊ビジネスアスキー 2009年2月号掲載記事
旭川市がマイクロソフトと提携し、ウェブデザインの街を目指す。IT技術者育成にも取り組む同市は、果たしてウェブ先進地域となれるだろうか。
北海道旭川市と、市内のIT関連企業など38社が加盟する旭川ICT協議会(AICT)は、マイクロソフトとの提携を発表。これに合わせて同市は「ウェブデザインの街・旭川」構想を打ち出し、地域産業の活性化に取り組む。
すでに旭川市の人気動物園である旭山動物園とAICTがマイクロソフトと提携し、2007年4月から公開している「Mother Earth ~母なる地球」という同園のウェブサイトを共同で制作している。
マイクロソフトのデベロッパー&プラットフォーム統括本部長・大場章弘氏は「このサイト制作でWPF(Windows Presentation Foundation、プレゼンテーションのサブシステムのこと)を活用し、動物の生態を伝えるウェブコンテンツを実現した」と語る。
今回の提携はこうした実績を生かし、角川映画の協力のもと、ウェブコンテンツの第1弾として「旭山バーチャル動物園」を制作する。マイクロソフトはここで最新ウェブ技術「Silverlight」と「Photosynth」を活用する。
さらに同社は、最新ウェブデザインソフトウェア「Microsoft Expression」の技術習得機会を用意し、ウェブデザインに関わる人材育成カリキュラムやトレーニング用ソフトウェアの提供も行なう。また、旭川産業高度化センターは、人材育成の拠点として「旭川ITジョイントセンター」を設立する。
西川将人市長は「旭川市は家具が地場産業であり、数多くのデザイナーも在住している。ウェブデザインの領域でも相乗効果をもたらすだろう。IT技術者育成、ウェブデザインに関する技術ノウハウの集積により、現在、56億円の市内IT関連事業規模を、100億円、200億円へと拡大させたい」と語る。
旭川市は、道内では札幌に次ぐ人口規模を誇るにもかかわらず、産業規模は室蘭、函館に続いて4番目。人口規模並みの産業規模に成長させる切り札として、ウェブデザインに注目したというわけだ。
果たして「ウェブデザインの街・旭川」構想は、地域活性化に寄与することができるか、今後を見守りたい。