日本経済新聞社が、3月23日から、「日本経済新聞電子版」を創刊する。購読受付開始は、今日、3月1日からだ。
電子版では、情報をいち早く提供するWeb刊、午前4時と午後3時に提供する朝刊/夕刊、そして、読者ごとの目的や関心に応じて電子版を使いやすくするパーソナライズ機能のMy日経を用意。さらに、記事検索サービスや携帯電話への配信サービスも行う。
日本経済新聞社の喜多恒雄代表取締役社長は、「若者を中心に、紙の新聞よりも、ネットで情報を得る人たちが増えている。だが、情報が本当なのか、発信源はどこか、事実を確認したものなのかといった点が不明確であり、情報の洪水のなかで確かなものがわかりにくくなっている。紙の新聞で培った正しい報道、価値のある言論を伝えることが報道の役割である。PCや携帯電話に、良質のジャーナリズムを提供することが課せられた役割だと考えている。そして、読者ニーズに細かく応えることも役割である」と、電子版開始の意図を説明する。
インターネット媒体として定着しているNikkei Netの名称を継承せずに、「日本経済新聞」と同じ題字を横組にして使ったのも、創刊以来135年に渡る歴史を持つブランド、価値を前面に打ち出すためのこだわりだ。社内ではこのロゴを「古くさい題字」とも表現するが、それが喜多社長が語る「良質のジャーナリズムの提供」という言葉につながるものになる。
その一方で、喜多社長は、次のようにも語る。
「紙の新聞はこれからも続くが、将来に向けて、大きな成長を期待することは難しい。デジタルで収益を得ることは不可避であり、デジタル分野での成長の中核は電子版になる。新聞各社は、厳しい経営環境のなかにあるが、新たなステージに入ることが必要。すぐに成功するとは思っていない。5年、10年かかるかもしれない。だが、いまスタートさせないと10年後の成功はない。欧米のメディアは様々な分野に挑戦している。当社も様々な分野に挑戦したい」との経営判断から取り組んだものだと、電子版を位置づける。
購読料は日本経済新聞の読者は月額1000円。新聞を購読せずにこの電子版だけを購読する読者は月額4000円。また、IDを登録すると一部有料部分も無料で読める登録読者、これまでの「NIKKEI NET」のように無料で配信される記事だけを読める一般読者の仕組みも残す。
この連載の記事
-
第35回
ビジネス
首位を狙わないキヤノンのミラーレス戦略 -
第34回
ビジネス
NEC PCとレノボの合弁はなぜ成功したのか? -
第33回
ビジネス
シャープ復活の狼煙、その切り札となるIGZO技術とは? -
第33回
ビジネス
任天堂はゲーム人口拡大の主役に返り咲けるのか? -
第32回
ビジネス
日本IBMの突然の社長交代にみる真の狙いとは? -
第31回
ビジネス
脱ガラパゴス? 国内TOPのシャープが目指す世界戦略 -
第30回
ビジネス
これまでの常識が通じないAndroid時代のインフラ開発 -
第29回
ビジネス
ビッグデータは我々になにをもたらすのか? -
第28回
ビジネス
Macの修理を支える、老舗保守ベンダーが持つ“2つの強み” -
第27回
ビジネス
スマホ時代に真価を発揮する、多層基板技術ALIVHとは? -
第26回
ビジネス
富士通が「出雲モデル」「伊達モデル」を打ち出したこだわりとは - この連載の一覧へ