不同沈下
ふどうちんか
不同沈下とは、地盤や建物の基礎が場所によって不均一に沈下することです。
不同沈下とは、地盤や建物の
基礎が、場所によって不均一な沈下が生じることで、これによって建物に亀裂が入ったり、
基礎の破損や建物が傾くなど、大きな被害が発生することがあります。
不同沈下では地盤の沈下が水平でないため、建物が傾くと部分的に荷重が加わり、ねじれによって損傷を受けたり、
柱や
梁など構造にも影響を及ぼすことがあります。
不同沈下の原因には、軟弱地盤に荷重の偏った建物が立っている場合、
造成地における
切り土と
盛り土の
境界などで十分に締め固めできていない場合、建物の下の軟弱地盤の厚さが一様でない場合、雨水や地下水の浸透や汲み上げで地盤が動く場合などがあります。
不同沈下は建物倒壊の危険もあるため、地盤補強工事などの対応が必要です。
基礎
基礎とは、建物の最下部にあり、上物の荷重を地盤に伝える構造です。建物を安全に支えるために、極めて重要なものです。
基礎の種類には、布基礎(連続フーチング基礎)、ベタ基礎、杭基礎などがあります。布基礎は壁面に沿ってコンクリート構造が連続する形状の基礎です。「布」とは、水平の意味があり、「フーチング」とは断面が逆T字型の底が広がった基礎底盤で、布基礎では床下の地面は土のままとなります。これに対してベタ基礎は、建物の底全体を鉄筋入りのコンクリートで固める構造です。かつては、木造在来工法では布基礎が、2X4工法やプレハブ工法ではベタ基礎が一般的でしたが、最近では在来工法でもベタ基礎を採用する例が多いようです。
寺社や古民家など、日本の伝統的な建築物は、1本ずつの柱単独に設けられる独立基礎(独立フーチング基礎)が用いられてきました。固い支持基盤まで杭を打ち込む杭基礎などの方法も取られます。
境界
境界とは、登記された土地の地番と地番の境界をいいます。地番は1区画ごとに一筆としてつけられ、この一筆ごとの土地の境が境界となります。
境界は塀や垣根によって仕切られていることがありますが、目印が明確になっていないとトラブルの原因となりかねません。トラブルを防止する上で、境界の位置関係を明確にすることは大変重要です。
不動産登記法では、土地の分筆の登記の申請などの際には、地積測量図の図面上に位置関係を示す境界標を表示することとなっています。境界標には、木の杭や自然の立木などもありますが、腐食や動いてしまう可能性があるものは適当ではありません。境界石やコンクリート標などの永続性のある境界標を埋設するのが望ましいといえます。
境界標を設置する場合には、測量の専門家である土地家屋調査士などに依頼するのがいいでしょう。
柱
柱とは、建物の軸組みで、土台に対して垂直に立てて、屋根や床の荷重を土台や基礎に伝えるものです。木造軸組工法やラーメン構造では、梁などとともに建物を支える最も重要な部材です。
柱の太さは、柱の位置や部屋の大きさ、支える重さによって決めます。木造2階建て以上の場合には、土台から軒まで通った継ぎ目のない「通し柱」が建物の四隅に使われます。「通し柱」は、上下階を構造的に一体化させて耐震性を高めるために重要なものです。各階ごとに梁や胴差しなどで区切られた柱を、「管柱(くだばしら)」といいます。「管柱」も各階の荷重を受ける構造体です。このほか、柱と柱の間に壁の補強のために入れる柱を「間柱(まばしら)」と呼びます。また、壁に取り付けた装飾用の柱を「付け柱」といいます。
梁
梁とは、建築物の骨組みのなかで、建物に対して水平方向に渡し、屋根や床など建物の上からの荷重を柱に伝えて建物を支える部材をいいます。柱と連結して支える梁を「大梁」、柱に直接つながっていない梁を「小梁」といいます。元来は、屋根の棟木(むなぎ)に対して直角に渡したものを梁と呼び、水平に渡したものは桁(けた)と呼んでいました。そのため、棟木と水平方向の建物の奥行きを梁方向、直角に交わる方向を桁方向といいます。また、屋根を支える梁を小屋梁(こやばり)、床を支える梁を床梁(ゆかばり)と呼びます。
木造建築では、梁には松や米松、杉などが使われます。また、「現し」といって、梁を露出させて意匠を施すものもあります。
造成地
造成地とは、宅地開発された土地のことで、住宅地としてのインフラや環境が整備されている土地をいいます。一定規模以上の「宅地造成」には、都道府県知事の開発許可が必要です。
造成地は規模が大きくなると、新しいコンセプトで街づくりが進められ、タウン内の交通安全性や緑地化、無電柱化など、良好な住環境が整備されていることが多くなります。また、計画的に道路が配置され、境界線も明確です。
一方、宅地の造成は、切り土、盛り土、埋め立て、地盤改良などによって行われるため、造成地のなかには地盤面で盤石でないものもあります。
盛り土
盛り土とは、傾斜地や低地を宅地造成するときに、土砂を盛って平らな敷地にする造成です。宅地造成には、斜面を削って平らにする「切り土」と、古い地盤の上に土を盛って平らにする「盛り土」があります。「切り土」の地盤は比較的安定していますが、「盛り土」は十分な締め固めができていないと、地震や大雨などで地盤が緩み、地滑りや液状化を起こす危険があります。また、建物の重さによって不同沈下を起こすことがあります。
過去の災害でも、「盛り土」での被害は少なくありません。宅地造成規制法によって規制区域内の宅地造成には都道府県知事の許可が必要ですが、同法が施行された1962年以前の造成については規制がありません。
なお、大規模盛土造成地について情報公開している自治体もあります。敷地の安全性を確認する上では、不動産会社や自治体に問い合わせることも、一つの方法です。
地盤の強度が不十分であれば、地盤改良工事が必要となります。
切り土
切り土とは、傾斜地を宅地造成するときに、斜面を削って平らな敷地にする造成です。もともとの地面を削るので、地盤の強度は維持されるといわれています。
また、宅地造成では、切り土で出た土を盛り土に使うことも多いようです。
切り土の場合も、高さが2mを超える崖が生ずる場合は、宅地造成規制法によって規制区域内の工事には都道府県知事の許可が必要です。
豪雨や豪雪による落石や崖の崩壊などに対して、切り土がどの程度の安全性をもつかは、土壌の質や形状、擁壁の状況によって異なります。