「今日こそは計画通りに進めよう」
朝、コーヒーを片手にGoogleカレンダーを開き、タイムブロッキングした今日のスケジュールを確認。効率的に動けるはず、そう思っていたのに…
予想外に会議が長引き、上司からの急ぎのメール、同僚からの差し込み作業。丁寧に組んだ予定はどんどん削られ、気づけばスケジュールは崩壊。未消化タスクの山を前に「タイムブロッキングは効果的なはずなのに、なぜうまく活用できないんだろう」とため息。
タイムブロッキングを実践しているのに成果が出ない、むしろストレスを感じてしまう—そんな経験はありませんか?
タイムブロッキングがうまく機能しない原因には、見落としがちなポイントがあります。本記事では、無理なく続けられる実践的なコツを紹介します。
タイムブロッキングとは
タイムブロッキングとは、あらかじめ時間を区切って、特定の作業に割り当てる時間管理術のこと。みなさんも、Googleカレンダーで仕事の時間を割り振ったり、バーチカル手帳を使って勉強時間やプライベートの時間を確保したりと、知らず知らずのうちにタイムブロッキングを活用しているのではないでしょうか。
タイムブロッキングを活用するメリットについて、ワークマネジメントツールを提供するアメリカのソフトウェア企業Asanaの公式サイトでは「仕事のブロックをスケジューリングすることで、重要なタスクを確実にこなすことができるだけでなく、休息とセルフケアのための時間を確保でき」ると述べられています。*1
仕事のタスクを書き出し、優先順位をつけてスケジュールに組み込んでいくことで、効率的に作業を進められます。また、予定を詰め込みすぎていることにも気づきやすいので、休憩時間も確保しやすいのです。
<参考記事>
メリットばかりのように思えるタイムブロッキングですが、意外と挫折してしまうケースも多いもの。その原因はいったいどこにあるのでしょうか?
タイムブロッキングがうまくいかない理由
1. 予定時間内にタスクが終わらない
「予定した時間内にタスクが終わらない」「確保した時間に集中できない」など、タスクが進まず挫折するケース。
解決法:「タスクにかかる時間を正確に見積もる」「自分の生産性が高い時間を把握する」
2. タスクの数が多すぎて疲れてしまう
「分単位でタスクを詰め込み、少しでも予定が狂うと計画倒れ」「プライベートまで細かく分けて、ずれるとイライラ」など、完璧主義の罠。
解決法:予定変更は日常茶飯事と認識し、「余白時間」を確保する
3. 緊急の仕事や予定変更に対応できず、計画が崩れる
「割り込み作業で計画通りに進められない」など、予想外の出来事で中断せざるを得ないケース。
解決法:状況変化と優先順位の変更に柔軟に対応できるタイムブロッキングを工夫する
タイムブロッキングは誰でも取り入れやすい時間管理術ですが、これらの落とし穴で挫折することも。次項では、効果的な活用法を紹介します。
今度こそうまくいく! タイムブロッキング 4つのポイント
Point 1. タスクにかかる時間を把握する
タスクにかかる時間を把握しないまま「きっと1時間で終わるだろう」と適当に見積もるのは計画倒れのもとです。議事録や日報作成など、よく行う業務は一度タイマーで時間を計っておき、記録しておくと正確なスケジュールが立てられます。繰り返し行う業務は数回測定して平均を取るとより正確です。
例えば週次会議の議事録作成を「30分」と見積もっても、実際に50分かかるなら次の予定にも影響します。計測して把握することが大切です。
新しい業務など時間の見積もりが難しいものには、臨床心理士の中島美鈴氏が勧める方法が効果的です。
- 具体物を取り出して全体量を把握する
- ためしに10分だけやってみる *2
初めての資料作成なら「全20ページのグラフ作成と説明文200字」といった具体的な作業量を明確にし、最初の1ページに10分かけてみて進捗を確認します。これで残りの時間を現実的に見積もれます。
Point 2. 自分の生産性が高い時間を把握する
自分の生産性が高い時間帯を把握できれば、タイムブロッキングした時間内でスムーズに作業を進めることができます。
そうはいっても、「いつ生産性が高まるのかわからない」という人も多いはず。そんな場合は、とっかかりとして以下のような「時間帯ごとに向いている作業」を目安にタイムブロッキングを試してみると良いでしょう。メンタルコーチの大平信孝氏は、1日を5つの時間帯に区切り、取り組む行動を決めるといいと述べています。*3
実際に試してみることで、自分の生産性が高まったかをチェックできます。とはいえ、朝型・夜型などの体質もあるため、「自分には合わないな」と感じたら、柔軟に変更しましょう。たとえば同じタスクを午前と午後に行ない、作業量や質、感じた集中度を比較してみるのもいいかもしれません。
Point 3. 細かく予定を決めすぎない
仕事だけでなく、プライベートのスケジュールまで分刻みで作成してしまうと、常にスケジュールをチェックして動かねばならず、ストレスが溜まってしまいます。「タイムブロッキングは仕事中だけ行なう」と決め、プライベートは自然に任せるというようにすれば、ストレスなくタイムブロッキングを継続できます。
どうしてもプライベートな時間もタイムブロッキングしたい場合は、以下のようにおおざっぱに区切るのもおすすめです。
- 19時~22時 家のことをする
- 22時~24時 自分の時間
- 19時~19:30 自炊
- 19:30~20時 夕食(ニュースチェックもする)
- 20:00~20:30 お風呂(洗濯機も回す)
- 20:30~22時 掃除・片付け・家族との時間
- 22時~23時 勉強
- 23時~24時 明日のスケジュールチェック・仕事確認
Point 4.「バッファ時間」を確保する
予期せぬ差し込みにも柔軟に対応するためには、あらかじめバッファ時間を確保することが大切です。仕事の現場では、急な依頼や想定外のトラブル対応が発生するのは日常茶飯事。これらにスムーズに対応するための「時間的余白」が、バッファ時間です。
タイムコーディネーターの吉武麻子氏が、バッファ時間の確保の仕方について紹介しています。*4
ほかにも、午前と午後にそれぞれ1時間のバッファ時間を取るというのもいいでしょう。
突発的に別の業務が発生しても、バッファ時間があればそこで対応でき、もともと取り組む予定だったタスクもその先のバッファ時間で受け止めることができます。
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タイムブロッキングは、適切に活用すれば仕事の効率を大きく向上させる強力なツールです。しかし、時間の見積もりが甘かったり、予定を詰め込みすぎたりすると、逆にストレスの原因になります。
重要なのは、柔軟性を持たせながら続けること。明日からのスケジュール管理が、もっと快適になりますように。
1 Asana|カレンダーをタイムブロックしていますか?今すぐタイムブロッキングを始めるべき理由
*2 朝日新聞|「To Doリスト」を分解 未知で膨大な作業の攻略法
*3 プレジデントオンライン|「事務作業に一番適した時間帯はいつか」効率が劇的に上がる"仕事の時間割"
*4 プレジデントオンライン|「TO DOリスト」を毎日書き出してはいけない…「やろうと思っていたことが全然終わらない」の根本原因
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。