「1994年米騒動!の巻」(ジャンプ・コミックス89巻収録)

今回は、平成5年~6年(1993年~1994年)にかけて日本で巻き起こった、米不足騒動をテーマにしたお話をお届けする。

米不足といえば、昨年の騒動が記憶に新しい。これは猛暑による不作や小麦などほかの穀物の価格上昇、インバウンドによる消費量の増加など複数の要因によるものだったが、平成の米不足の原因はというと……。

まずは1991年に起こった、20世紀最大規模といわれているフィリピンでの火山噴火にともない噴出した大量の物質がもたらした、1992年からの冷夏が挙げられる。それに加えて1993年の日本における梅雨前線の長期化もあり、米が市場から消え去った。

かくして、小売店では米の売り惜しみと買い占め、争奪戦が巻き起こり、タイからなかばむりやりに輸出してもらった米を捨てるなどの騒動が日本のあちこちで勃発。品種や炊き方のまったく異なる日本米とタイ米を混ぜたブレンド米の流通や、日本米との抱き合わせ販売など、販売方法にも問題はあったが、それにしてもかなり浅ましい行動を取る人が多かったのも事実だ。

本作では、そんな当時の世間の様子を、笑いに包みながらもかなり鋭く描写している。

ちなみに「令和」「平成」の米騒動があるなら「昭和」も!? と思うかもしれないが、「○○の米騒動」のルーツは「昭和」のひとつ前の元号「大正」の時代にあった。大きな要因は天候などではなく、日本の第一次世界大戦への参戦だ。

戦争による米の需要増加を見越した価格相場の操作や、特需がもたらした好景気は、物価の爆上げと庶民の困窮を呼んだ。それが富山県の農民による、商店への焼き討ちなどの一揆的な米騒動を呼び、各地に拡大していったのだ。

これが大正7年(1918年)に起きた、近代日本における「米騒動」の元祖だ。

それでは次のページから、平成5年~6年の米不足をめぐる大騒動をお楽しみください!!