長崎市遠藤周作文学館

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長崎の観光でどこがおすすめかと聞かれたらぜひ行って欲しいのは長崎市遠藤周作文学館です。

場所は外海町という長崎市中心部から車で50分、ローカルバスだと乗り継いで一時間半程の距離で、気軽に行ける場所ではないのですが、私の中では、何度行っても忘れられない場所なのです。

今回は、バスに揺られて遠藤周作文学館を訪れました。

目次

遠藤周作「沈黙」の舞台

遠藤周作のファンでなくても、この東シナ海に突き出た外海町のこの場所に来たら、息を呑んでしまう美しさに心奪われます。

この日は11月。空気が澄んで、遠くの小島まで見渡せました。

テラスと海テラスと海

小説「沈黙」を読んで訪れるとより一層、文学館を回るのが楽しくなります。

美しい景色とは裏腹の激しいキリスト教信者への弾圧。

こんなにも祈りを捧げるのに、なぜ神は答えてくれないのか?それが「沈黙」のテーマになっています。

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神の「沈黙」

神とは信仰とは、なんなのだろうか。どれだけ祈ろうと現実はあまりに残酷な弾圧が、この隠れキリシタンの里で行われていました。

若い時にこの小説を読んだ時は、少し陰鬱で暗い小説だと思ったこともありました。

しかし歳を経てもう一度ページを開いてみたら、今までは違った視点で読めて夢中になって読んでしまいました。

私なら「踏み絵」踏んじゃうなあ。

背広をきた男の人背広をきた男の人
館内エントランスの遠藤周作氏の写真

展示室にて感想

館内では、数人の観光客しか人がおらず、じっくりと館内を見学させていただきました。

遠藤氏の実際使っていた机、文具など部屋を再現したようなコーナーもあり、生前の執筆活動が偲ばれました。その場にタバコを燻らせる遠藤氏が居て小説を書いているような場所になっていました。

館内は氏の多くの著作が年代ごとに置いてあり、「沈黙」の製作資料から晩年の作品である「深い河」映画化に際したポスターまで所狭しと並べてあったり一つ一つをゆっくりと観せていただきました。

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私自身は、「深い河」の方が共感し得る部分が多かったので、じっくりと作品資料、作品の原稿用紙など見学しました。

ポストカードポストカード
遠藤周作生誕100年の記念ポストカード

館内には生誕100年を記念したポストカードが置いてあり、自由のお取りくださいとのことなので頂いてきました。

ポストカードの後ろは作品の紹介やあらすじ、作品の中の印象的な言葉が書かれています。

回っていて気づいたのは、ずっと病気と戦われていたんだと思いました。若い時から晩年の時まで入退院を繰り返していたようです。

病気が癒えた間だけ執筆旅行に出かけたり小説を書いてるようでした。

フランスに留学している間も病気が再発して、帰国の途についたり、どんなにか悔しかっただろう。

子供の時分の父母の離婚、母の死、父親との軋轢、母親の影響からのキリスト教への入信。

作品を通して遠藤氏の内面の深いところまで理解できるような丁寧な展示のされ方でした。

ステンドグラスステンドグラス
館内エントランスのステンドグラス

未発表作品「影に対して」を購入

展示室を出たのは2時間あたり経ってからでしょうか。

疲れた目に優しく降り注いでくれるステンドグラスからの青い光に癒されました。

出口近くに遠藤周作の本を販売していたので購入してきました。

本本
館内で購入した本

こちらの文学館で発見された未発表小説だそうです。

2020年6月26日、長崎市遠藤周作文学館は寄託資料の中から本作(著書による草稿二枚および秘書による清書一〇四枚)が発見されたことを公表した。その後、「三田文学」二〇二〇年夏季号掲載。本書においては、同館より借り受けた写真版によって、小社編集部が新たにテキストを作成した。自家用の原稿用紙に印刷された自宅住所から六三年三月以降の執筆と目される。

遠藤周作「影に対して」巻末より

長崎からの帰りの飛行機でじっくりと読んでいたらあっという間に帰宅してしまいました。

本の巻末に1963年(遠藤周作氏40歳?)ほどに執筆された小説とのことですが、文章を読んで全く古さを感じませんでした。先月出版されたと言われても何の疑いも持たず読み進めることができると思うほど。

文章が美しい。当たり前ですね。(笑)

言葉で紡ぎ出される人物の描写、風景が脳内で綺麗に浮かび上がる文章の魔術(←私の言葉のセンスひど過ぎ)

小説を読んでいると展示室だけでは浮かび上がらなかった作者の心の中がまた深く理解できて、遠藤周作の小説がより好きになってきました。

遠藤周作氏の父親が離縁した母親についての物語が主なテーマなのですが、素晴らしく読み応えがありました。

なぜ未発表だったのだろうかと、答えの出ないことを考えるとまた、好奇心と読書の楽しさに心が満たされていきます。

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感想(0件)

本本
「影に対して」表紙の裏

表紙の裏には、遠藤周作氏の実際に書かれた原稿用紙を複写したものが掲載されていました。

大変小さな、緻密な文字で繊細な人だなという印象を受けました。

館内の展示室では、オリジナルの原稿が置いてあります。

青葉

ファン必見ですね!文学少女(おばさんか、、)の私はワクワクしました。

交通の便が悪いのでふらっと立ち寄ることはできないですが、絶対にお勧めしたい場所です。

長崎市遠藤周作文学館 長崎市東出津町77 月曜定休日 火曜〜日曜(9:00〜17:00)

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