稲田堤で酒飲みの楽園を発見する
僕が飲み屋に求める一番の条件はリラックスして飲めること。僕は基本的にリラックスしたくて酒を飲んでるという面が強いので、緊張を強いる店なんかは、どうしても敬遠してしまいますね。高級な店とか、おしゃれな店とか、女の子が相手してくれる店とか(笑)。
そしてもちろん食べ物が美味しくて、なおかつ安い。そんな条件を満たしてくれる店が僕にとってのいい店なのです。
そういう意味で昨日、最高の店に出会いました。あんなに幸せな気分でお酒を飲めることなんて、そうは無いと思いましたね。いや、本当はしょっちゅうそんな気分で酒飲んでるんですが、そんな中でも最高レベルというか。あれは酒飲みにとって天国そのものですよ。天国に一番近い飲み屋。
どこにその天国があるかというと、川崎市の稲田堤。多摩川のほとりにある、いわゆる川茶屋ですね。飲み屋というよりも休憩所。海の家とかを想像してもらえばいいと思います。
川を眺めながらビールを一杯。まぁ、もうそれだけで十分幸せな気持ちになれるのですが、このお店はその質素な外観に似合わず、料理もきっちりと美味しく、しかも安いんですね。
店の名前は「たぬきや」。聞けば創業は昭和10年。なんと70年以上もここで営業しているというのだから驚きます。
そもそも、盟友パリッコの名連載、「大衆酒場ベスト1000」の第66回「たぬきや(稲田堤)/牛もつ煮込み」でこの店の存在を知ってから、もう行きたくて行きたくてしょうがなかったんですね。でも稲田堤はあまりにも遠い。なかなか腰が上がりませんでした。ところが友人のMさんが「明日、たぬきや行くけど」と声をかけてくれまして、それじゃあ、ぜひぜひご一緒させて下さいということに。「あたしも行きたい」と妻もいうので同行。ええ、子供には夕飯作っておいて、これを食っとけと育児放棄(笑)。まぁ、もう高校一年生と小学六年生ですからね。大丈夫、大丈夫。
まぁ、いかに「たぬきや」が素晴らしいかということはパリッコのレポートを読んでいただければ十分なわけですが、この日は暑くもなく寒くもなくという絶好の天候。外のテーブルで多摩川を眺め、そして刻々と暮れていく空を眺め、ビールを飲み、雑談に華を咲かせ、と贅沢過ぎる一時を過ごしたのであります。
いや、ホント、ムードが最高なのですよ。開放感があるのは当然のこと、お店のおばちゃんたちも親切だし、料理はいちいち美味しいし、猫ちゃんもいるし、お客さんが連れて来た犬もいっぱいいるし(笑)。
今、こうやって思い出しながら書いていても、あの幸福感が蘇ってきて、顔がにやけてしまいますね。
昨日は絶好の天候だったわけですが、寒い日なんかに店の中で熱燗とか飲むのも、また楽しそう。なんかストーブの上でワンカップ温めてくれるみたいなんですよ。それと熱々のおでんとかね。いやぁ、考えるだけで幸せな気分になっちゃうな。
天国って、意外なところにあるもんなんですね。
あとはもう、写真を見て下さいな。
こんな感じの、正に川茶屋。
店内も素敵です。
川と電車とホッピーと
焼きそば大盛り500円。ごく普通の焼きそばなのに、なぜかすごく美味しい。
モツがワイルドにゴロゴロと入った絶品の煮込み450円。
にんにく焼き150円。味噌がいっぱい付いてきたので、それだけを舐めてつまみにしたり。
焼きフランク200円。「分けやすいように切っておいたわよー」とおばちゃん。最高。もちろんうまい。
みそおでん300円。ダシの効いた味噌だれが素晴らしい。普通のおでんも美味しかったー。
看板猫のミーコちゃん。相当なお年で、病気らしいんだけど、それでもお客さんにご挨拶は欠かさない健気さ。
たぬきや全景。夕方になると賑わってきます。
夕暮れになっていくのを眺めながら飲む。これ以上のつまみはないわけですよ。