第4話までのTVer再生回数が1000万回を超えるなど、話題のドラマ「ホットスポット」(日本テレビ系)。エンタメに詳しいライターの村瀬まりもさんは「第8話で、宇宙人・高橋(角田晃広)の父は『甲府事件』の宇宙人という設定が明かされた。1975年2月に起こったこのUFO目撃談を調べてみると、当時は東京都心や奥多摩でもUFOを見たという報道があった」という――。
キービジュアルになった富士吉田市の本町通り
キービジュアルになった富士吉田市の本町通り(写真=Vitor Coelho Nisida/PD-author-FlickrPDM/Wikimedia Commons

富士山麓の町に宇宙人が出現するドラマ「ホットスポット」

もし、自分の身近に「UFOを見たことがある」「宇宙人と会ったことがある」と言う人がいたら? あなたはその目撃談を信じてあげられるだろうか。

バカリズムの奇想天外な脚本で話題のドラマ「ホットスポット」(日本テレビ系)は、富士山麓の田舎町で起こる「未知との遭遇」を描くコメディだ。

物語の始まりで、市川実日子演じるホテル従業員の清美は、トラックにひかれそうになったところを、同僚の高橋孝介(角田晃広)に超人的なスピードとパワーで持ち上げられ、命を救われた。高橋はそんなことができた理由を「実は俺、宇宙人なのね」と説明し、清美は最初は本気にしなかったが、手の指で10円玉を曲げてみせた彼を信用し、地元の女友達にも紹介。彼女たちは高橋のパワーをちゃっかり利用しつつも、お互いに助け合う仲になっていく。

第8話(3月2日放送)では、「宇宙人の父と地球人の母」のハーフだという高橋が、自らの生い立ちを初めて語った。それによると、昔、宇宙人の祖父と祖母と父(野間口徹)が地球に不時着し、自分たちの生存に不可欠な成分を含む温泉を求め、富士山麓の町で人間に紛れて暮らすようになった。父は、夫が宇宙人でも気にしない寛大な母(安藤サクラ)と結婚し、すっかり地球に根を下ろしていた。

角田晃広演じる高橋の父が「甲府事件」の宇宙人という設定

しかし、一度だけ異星人だとバレそうになったことがあり、それは高橋の父が「甲府のブドウ畑を散歩していて」、うっかり息子と間違えて男の子の肩をたたいてしまい、その子が「宇宙人に肩たたかれた」と言って大騒ぎになったときだという。父がいかにも宇宙人らしい銀色の防寒スーツを着ていたせいで新聞沙汰にもなってしまい、回想シーンではそのスーツと茶色い仮面のようなフードも映し出された。

このエピソードが、1975年(昭和50年)に報じられた宇宙人遭遇談、通称「甲府事件」と同じだとして話題になっている。UFOファンにとっては有名な話で、地元の甲府市では町おこしとして「甲府星人」のフィギュアやお菓子が売られ、写真撮影用のパネルなども設置されているが、全国的には知らなかった人も多いのではないだろうか。

「甲府事件」とは、今から50年前の1975年2月23日、山梨県甲府市の郊外で、小学2年生の男の子2人がUFOらしき飛行物体と、そこから降りてきた宇宙人を見たという話で、翌々日の山梨日日新聞でこう報じられた。