WO2024009435A1

WO2024009435A1 - 吸引装置、制御方法、及びプログラム

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Publication number: WO2024009435A1
Application number: PCT/JP2022/026839
Authority: WO
Inventors: 泰弘小野; 和俊芹田; 玲二朗川崎; 寛手塚; 知恵子梶原
Original assignee: 日本たばこ産業株式会社
Priority date: 2022-07-06
Filing date: 2022-07-06
Publication date: 2024-01-11

Abstract

吸引装置（１００）の制御部（１１６）は、エアロゾルの生成要求があったことに応じて、加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部（１２１）の制御を開始し、加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部（１２１）を制御している第１期間における吸引態様をあらわす情報を取得し、当該第１期間後の第２期間における加熱部（１２１）の制御態様を、加熱プロファイルにより規定された制御態様から、取得した第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更する。

Description

吸引装置、制御方法、及びプログラム

　本発明は、吸引装置、制御方法、及びプログラムに関する。

　従来から、例えば、香味成分が付与されたエアロゾルを生成し、生成したエアロゾルをユーザが吸引可能とする吸引装置が知られている。このような吸引装置は、典型的には、エアロゾル源を有する基材を、電気抵抗式又は誘導加熱式のヒータである加熱部（「加熱要素」とも称される）により加熱することで発生したエアロゾルをユーザに送達する。また、このような吸引装置には、あらかじめ用意された制御プロファイル（「加熱プロファイル」又は「目標温度プロファイル」とも称される）に従って、加熱部の温度制御を行うようにしたものもある（例えば下記特許文献１を参照）。

日本国特表２０１５－５２４２６０号公報

　加熱プロファイルは、典型的には、標準的な吸引が行われることを前提にして、ユーザが味わう香味が最適になるように設計されている。しかしながら、加熱プロファイルで前提とした標準的な吸引が吸引装置に対して必ずしも行われるとは限らない。例えば、吸引装置に対する吸引態様は、ユーザごとに個人差があるだけでなく、同じユーザであっても吸引時の気分等によって変化し得る。

　仮に、加熱プロファイルで前提とした標準的な吸引が行われていない状況下において、そのまま加熱プロファイル通りの制御が行われた場合には、例えば、十分なエアロゾル源が基材に残存しているのに加熱部による加熱が停止される、又は、基材のエアロゾル源が枯渇しているのに加熱部による加熱が無駄に継続される、といった事態が発生し得る。このような事態が発生するのは、吸引装置に対するユーザの満足度（換言すると吸引装置の商品性）を向上させる観点から好ましくない。

　本発明は、加熱プロファイルで前提とした標準的な吸引とは異なる吸引態様の吸引が行われたとしても、エアロゾル源を有する基材を適切に消費して、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが可能な吸引装置、制御方法、及びプログラムを提供する。

　第１発明は、
　エアロゾル源を有する基材を加熱してエアロゾルを生成する加熱部と、
　前記加熱部の温度の目標値である目標温度の時系列推移を規定した加熱プロファイルに基づいて、前記加熱部の動作を制御する制御部と、を備え、
　前記加熱部により生成されたエアロゾルをユーザが吸引可能とする吸引装置であって、
　前記制御部は、
　エアロゾルの生成要求があったことに応じて、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御を開始し、
　前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部を制御している第１期間における吸引態様をあらわす情報を取得し、
　前記第１期間後の第２期間における前記加熱部の制御態様を、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様から、前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更する、
　吸引装置である。

　第２発明は、
　エアロゾル源を有する基材を加熱してエアロゾルを生成する加熱部を備え、前記加熱部により生成されたエアロゾルをユーザが吸引可能とする吸引装置を制御するコンピュータが、
　エアロゾルの生成要求があったことに応じて、前記加熱部の温度の目標値である目標温度の時系列推移を規定した加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御を開始し、
　前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部を制御している第１期間における吸引態様をあらわす情報を取得し、
　前記第１期間後の第２期間における前記加熱部の制御態様を、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様から、前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更する、
　処理を実行する制御方法である。

　第３発明は、
　エアロゾル源を有する基材を加熱してエアロゾルを生成する加熱部を備え、前記加熱部により生成されたエアロゾルをユーザが吸引可能とする吸引装置を制御するコンピュータに、
　エアロゾルの生成要求があったことに応じて、前記加熱部の温度の目標値である目標温度の時系列推移を規定した加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御を開始し、
　前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部を制御している第１期間における吸引態様をあらわす情報を取得し、
　前記第１期間後の第２期間における前記加熱部の制御態様を、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様から、前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更する、
　処理を実行させるプログラムである。

　本発明によれば、加熱プロファイルで前提とした標準的な吸引とは異なる吸引態様の吸引が行われたとしても、エアロゾル源を有する基材を適切に消費して、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが可能な吸引装置、制御方法、及びプログラムを提供できる。

図１は、本実施形態の吸引装置を模式的に示す模式図である。図２は、本実施形態における加熱プロファイルの一例を示す図である。図３は、本実施形態の吸引装置に対して行われた吸引の一例を示す図である。図４は、第１取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値以上であった場合の制御態様の変更例を示す図（その１）である。図５は、第１取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値未満であった場合の制御態様の変更例を示す図（その１）である。図６は、第２取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第３所定値以上であった場合の制御態様の変更例を示す図である。図７は、第２取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第４所定値未満であった場合の制御態様の変更例を示す図である。図８は、本実施形態の吸引装置の制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図９は、第１取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値以上であった場合の制御態様の変更例を示す図（その２）である。図１０は、第１取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値未満であった場合の制御態様の変更例を示す図（その２）である。

　以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態にかかる吸引装置、制御方法、及びプログラムについて説明する。なお、以下において、同一又は類似の要素には同一又は類似の符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化することがある。

＜１．吸引装置の構成例＞
　本実施形態の吸引装置は、ユーザにより吸引される物質を生成し、生成した物質をユーザが吸引可能とする装置である。以下では、本実施形態の吸引装置により生成される物質がエアロゾルであるものとして説明するが、エアロゾルに限られず、例えば気体であってもよい。

　図１は、本実施形態の吸引装置を模式的に示す模式図である。図１に示すように、本実施形態の吸引装置１００には、吸引成分源であるエアロゾル源及び香味源を含む充填物等の香味発生基材を有するスティック型基材１５０が挿入される。吸引装置１００に挿入されたスティック型基材１５０は、その外周から加熱されることによって香味成分を含むエアロゾルを生成する。

　エアロゾル源は、例えば、グリセリン及びプロピレングリコール等の多価アルコール、又は水等の液体とすることができるが、液体に限られず、固体であってもよい。香味源は、生成されるエアロゾルに香味成分を付与するための構成要素であり、例えば、たばこ由来又は非たばこ由来の香味成分を含む。たばこ由来の香味成分としては、例えば、たばこ原料を顆粒状に成形したたばこ顆粒や、刻みたばこ等を挙げることができる。非たばこ由来の香味成分としては、例えば、たばこ以外の植物（例えばミント、漢方、又はハーブ）や、メンソール等の香料を挙げることができる。

　なお、たばこ由来又は非たばこ由来の香味成分がエアロゾル源に含まれるようにしてもよい。また、吸引装置１００がネブライザ等の医療用吸入器である場合、エアロゾル源には、薬剤が含まれるようにしてもよい。

　図１に示すように、吸引装置１００は、電源部１１１、センサ部１１２、通知部１１３、記憶部１１４、通信部１１５、制御部１１６、加熱部１２１、保持部１４０、及び断熱部１４４を含む。

　電源部１１１は、電力を蓄積する。そして、電源部１１１は、制御部１１６による制御に基づいて、吸引装置１００の各構成要素に電力を供給する。電源部１１１は、例えば、リチウムイオン二次電池等の充電式バッテリにより構成され得る。

　センサ部１１２は、吸引装置１００に関する各種情報を取得する。センサ部１１２は、例えば、コンデンサマイクロホン等の圧力センサ、流量センサ、温度センサ、又は電圧センサ等により構成され、ユーザによる吸引に伴う値を取得する。

　一例として、センサ部１１２は、吸引装置１００内の圧力を検出する圧力センサ（以下「パフセンサ」とも称する）を含んで構成され得る。後述するように、制御部１１６は、パフセンサの検出値に基づいて、吸引装置１００に対する吸引を検出できる。

　他の一例として、センサ部１１２は、吸引装置１００に対する吸引により生じた流量（以下、単に「流量」とも称する）を検出する流量センサを含んで構成され得る。さらに、他の一例として、センサ部１１２は、加熱部１２１（又は加熱部１２１付近の所定箇所）の温度を検出する温度センサ（以下「パフサーミスタ」とも称する）を含んで構成され得る。また、他の一例として、センサ部１１２は、加熱部１２１を構成する発熱抵抗体に印加される電位差（以下「電圧」とも称する）を検出する電圧センサを含んで構成され得る。

　また、センサ部１１２は、例えば、ユーザからの情報の入力を受け付ける操作ボタン又は操作スイッチ等の入力装置をさらに含んで構成され、ユーザから入力された情報を取得してもよい。

　通知部１１３は、情報をユーザに通知する。通知部１１３は、例えば、発光する発光装置、画像を表示する表示装置、音を出力する音出力装置、又は振動する振動装置等により構成され得る。発光装置としては、例えばＬＥＤ（Light Emitting Diode）が採用され得る。表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイ、又はＯＥＬＤ（Organic Electro Luminescence Diode）ディスプレイが採用され得る。音出力装置としては、例えば、音響を表現した電気信号を物理的な音（すなわち空気の振動）に変換可能に構成されたスピーカが採用され得る。振動装置としては、例えば、偏心錘と、この偏心錘を回転させるモータとを備えるバイブレータが採用され得る。

　記憶部１１４は、吸引装置１００の動作のための各種情報（例えば各種データや各種プログラム）を記憶する。記憶部１１４は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成され得る。記憶部１１４が記憶する情報としては、例えば、加熱プロファイルを挙げることができる。ここで、加熱プロファイルは、加熱部１２１の温度の目標値である目標温度（以下、単に「目標温度」とも称する）の時系列推移を規定した情報である。加熱プロファイルの一例については図２を用いて後述する。

　通信部１１５は、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行うことが可能な通信インタフェースである。かかる通信規格としては、無線通信の場合には、例えば、Ｗｉ－Ｆｉ（登録商標）、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）、又は近距離無線通信（Near Field Communication）等が採用され得る。有線通信の場合には、例えば、ＵＳＢ（Universal Serial Bus）の外部接続端子及びデータ通信ケーブル等により接続され得る。

　制御部１１６は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って吸引装置１００内の動作全般を制御する。制御部１１６が行う制御の一例については後述するため、ここでの説明を省略する。制御部１１６は、例えば、ＣＰＵ（Central　Processing　Unit）、又はマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。

　保持部１４０は、内部空間１４１を有し、内部空間１４１にスティック型基材１５０の一部を収容しながらスティック型基材１５０を保持する。保持部１４０は、内部空間１４１を外部に連通する開口１４２を有し、開口１４２から内部空間１４１に挿入されたスティック型基材１５０を保持する。例えば、保持部１４０は、開口１４２及び底部１４３を底面とする筒状体であり、柱状の内部空間１４１を画定する。保持部１４０は、スティック型基材１５０へ供給される空気の流路を画定する機能も有する。かかる流路への空気の入り口である空気流入孔は、例えば底部１４３に配置される。他方、かかる流路からの空気の出口である空気流出孔は、開口１４２である。

　スティック型基材１５０は、基材部１５１、及び吸口部１５２を含む。基材部１５１は、例えば、エアロゾル源を含んで構成される。スティック型基材１５０が保持部１４０に保持された状態において、基材部１５１の少なくとも一部は内部空間１４１に収容され、吸口部１５２の少なくとも一部は開口１４２から突出する。そして、開口１４２から突出した吸口部１５２をユーザが咥えて吸引すると、図示しない空気流入孔から内部空間１４１に空気が流入し、基材部１５１から発生するエアロゾルとともにユーザの口腔内に到達する。

　加熱部１２１は、例えば、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。一例として、本実施形態では、加熱部１２１は、フィルム状に構成され、保持部１４０の外周を覆うように配置されている。そして、加熱部１２１は、電源部１１１から給電されることにより発熱する。加熱部１２１が発熱すると、スティック型基材１５０の基材部１５１が外周から加熱され、エアロゾルが生成される。

　例えば、ユーザが吸引を開始したこと、及び／又は所定の情報が入力されたことが、センサ部１１２により検出された場合に、電源部１１１から加熱部１２１への給電が開始されるようにしてもよい。そして、その後、ユーザが吸引を終了したこと、及び／又は所定の情報が入力されたことが、センサ部１１２により検出された場合に、電源部１１１から加熱部１２１への給電が停止されるようにしてもよい。なお、電源部１１１から加熱部１２１への給電は、前述したように、制御部１１６によって制御され得る。

　断熱部１４４は、加熱部１２１から他の構成要素への伝熱を防止する。例えば、断熱部１４４は、真空断熱材、又はエアロゲル断熱材等により構成され得る。

　以上、吸引装置１００の一構成例を説明した。もちろん、吸引装置１００は、上記の構成に限定されず、以下に例示する多様な構成をとり得る。

　一例として、加熱部１２１は、ブレード状に構成され、保持部１４０の底部１４３から内部空間１４１に突出するように配置されてもよい。その場合、ブレード状の加熱部１２１は、スティック型基材１５０の基材部１５１に挿入され、スティック型基材１５０の基材部１５１を内部から加熱する。他の一例として、加熱部１２１は、保持部１４０の底部１４３を覆うように配置されてもよい。また、加熱部１２１は、保持部１４０の外周を覆う第１の加熱部、ブレード状の第２の加熱部、及び保持部１４０の底部１４３を覆う第３の加熱部のうち、２以上の組み合わせとして構成されてもよい。

　他の一例として、保持部１４０は、内部空間１４１を形成する外殻の一部を開閉する、ヒンジ等の開閉機構を含んでいてもよい。そして、保持部１４０は、外殻を開閉することで、内部空間１４１に挿入されたスティック型基材１５０を挟持してもよい。その場合、加熱部１２１は、保持部１４０における当該挟持箇所に設けられ、スティック型基材１５０を押圧しながら加熱してもよい。

　また、エアロゾル源を霧化する手段は、加熱部１２１による加熱に限定されず、例えば誘導加熱であってもよい。また、吸引装置１００は、複数種類のエアロゾル源を有していてもよい。さらに、複数種類のエアロゾル源から生成された複数種類のエアロゾルが混合されて化学反応を起こすことで、さらに他の種類のエアロゾルが生成されてもよい。

＜２．加熱プロファイル＞
　目標温度の時系列推移を規定した情報である加熱プロファイルは、例えば、時間軸に沿って連続する複数の時間区間に含まれる各時間区間の時間長と目標温度とを規定した情報とすることができる。また、加熱プロファイルにおいて、時間区間の時間長を定めず、当該時間区間の目標温度を規定し、当該目標温度に到達することで当該時間区間を終了することとしてもよい。

　図２は、本実施形態における加熱プロファイルの一例を示す図である。図２における縦軸は、目標温度［℃］をあらわす。図２における縦軸は、時間［ｓｅｃ］をあらわし、より具体的には、加熱プロファイルに基づく制御が開始されてからの経過時間をあらわす。

　図２に示すように、本実施形態の加熱プロファイルは、時間軸に沿って連続する、第１時間区間Ｓ１、第２時間区間Ｓ２、第３時間区間Ｓ３、第４時間区間Ｓ４、第５時間区間Ｓ５、及び第６時間区間Ｓ６の、各時間区間の時間長と目標温度とを規定したものとなっている。

　第１時間区間Ｓ１、第２時間区間Ｓ２、第３時間区間Ｓ３、第４時間区間Ｓ４、第５時間区間Ｓ５、及び第６時間区間Ｓ６の各時間区間は、時系列に前からこの順で設けられている。そして、最後の時間区間である第６時間区間Ｓ６の終了に伴って、加熱部１２１による加熱（換言すると加熱部１２１への電力の供給）が停止される。これにより、図２中の一点鎖線で示すように、第６時間区間Ｓ６の終了後、加熱部１２１の温度は徐々に低下する。

　本実施形態の加熱プロファイルにおいて、第１時間区間Ｓ１は、時間長がｔｍ１［ｓｅｃ］とされ、且つ、目標温度がＴ１［℃］とされた時間区間である。第２時間区間Ｓ２は、時間長がｔｍ２［ｓｅｃ］とされ、且つ、目標温度がＴ１［℃］とされた時間区間である。第３時間区間Ｓ３は、時間長がｔｍ３［ｓｅｃ］とされ、且つ、目標温度がＴ２［℃］（ただしＴ２＜Ｔ１）とされた時間区間である。

　第４時間区間Ｓ４は、時間長がｔｍ４［ｓｅｃ］とされ、且つ、目標温度がＴ２［℃］とされた時間区間である。一例として、本実施形態では、第４時間区間Ｓ４が最長の時間区間とされている。すなわち、ｔｍ４は、前述のｔｍ１～ｔｍ３、及び後述のｔｍ５、ｔｍ６のいずれよりも長い。

　第５時間区間Ｓ５は、時間長がｔｍ５［ｓｅｃ］とされ、且つ、目標温度がＴ３［℃］（ただしＴ３＞Ｔ２且つＴ３＜Ｔ１）とされた時間区間である。第６時間区間Ｓ６は、時間長がｔｍ６［ｓｅｃ］とされ、且つ、目標温度がＴ３［℃］とされた時間区間である。前述したように、第６時間区間Ｓ６は、最後の時間区間であり、加熱部１２１による加熱が停止される直前の時間区間である。

　ところで、加熱プロファイルに含まれる時間区間は、大別すると、昇温区間、降温区間、及び温度維持区間の３種類に分けることができる。

　ここで、昇温区間は、加熱部１２１が昇温される（換言すると加熱部１２１の温度が上昇する）時間区間である。例えば、開始時における加熱部１２１の温度（例えば直前の時間区間の目標温度）よりも、目標温度の方が高いと想定される時間区間が、昇温区間となる。本実施形態の例では、第１時間区間Ｓ１及び第５時間区間Ｓ５が昇温区間となる。以下、第１時間区間Ｓ１を「第１昇温区間Ｓ１」とも称し、第５時間区間Ｓ５を「第２昇温区間Ｓ５」とも称する。

　また、降温区間は、加熱部１２１が降温される（換言すると加熱部１２１の温度が低下する）時間区間である。例えば、開始時における加熱部１２１の温度（例えば直前の時間区間の目標温度）よりも、目標温度の方が低いと想定される時間区間が、降温区間となる。本実施形態の例では、第３時間区間Ｓ３が昇温区間となる。以下、第３時間区間Ｓ３を「降温区間Ｓ３」とも称する。

　そして、温度維持区間は、加熱部１２１の温度を一定温度に維持するように制御部１１６が制御する時間区間である。例えば、開始時における加熱部１２１の温度（例えば直前の時間区間の目標温度）と、目標温度とが略等しいと想定される時間区間が、温度維持区間となる。本実施形態の例では、第２時間区間Ｓ２、第４時間区間Ｓ４、及び第６時間区間Ｓ６が温度維持区間となる。以下、第２時間区間Ｓ２を「第１温度維持区間Ｓ２」とも称し、第４時間区間Ｓ４を「第２温度維持区間Ｓ４」とも称し、第６時間区間Ｓ６を「第３温度維持区間Ｓ６」とも称する。

　なお、温度維持区間では、加熱部１２１の温度を一定温度に維持する制御が行われるものの、実際には、加熱部１２１の温度は変動し得る点に留意されたい。温度維持区間で加熱部１２１の温度が変動する要因としては、例えば、ユーザの吸引に伴う加熱部１２１の温度低下、又はＰＩＤ制御(Proportional-Integral-Differential Controller)におけるハンチング等を挙げることができる。

　以上のように、本実施形態の加熱プロファイルは、最初に設けられた第１昇温区間Ｓ１と、第１昇温区間Ｓ１の後に設けられ且つ目標温度が第１昇温区間Ｓ１よりも低い降温区間Ｓ３と、降温区間Ｓ３の後に設けられ且つ目標温度が降温区間Ｓ３よりも高い第３温度維持区間Ｓ６と、目標温度が第３温度維持区間Ｓ６よりも低い低温区間としての第２温度維持区間Ｓ４と、を含む。

　より詳細には、本実施形態の加熱プロファイルでは、第１昇温区間Ｓ１、第１温度維持区間Ｓ２、降温区間Ｓ３、第２温度維持区間Ｓ４、第２昇温区間Ｓ５、及び第３温度維持区間Ｓ６が、時系列に前からこの順で設けられている。そして、加熱部１２１の目標温度は、第１昇温区間Ｓ１及び第１温度維持区間Ｓ２ではＴ１［℃］とされ、降温区間Ｓ３及び第２温度維持区間Ｓ４ではＴ２［℃］（Ｔ２＜Ｔ１）とされ、第２昇温区間Ｓ５及び第３温度維持区間Ｓ６ではＴ３［℃］（Ｔ２＜Ｔ３＜Ｔ１）とされる。

　なお、吸引装置１００において、十分な量のエアロゾルが発生すると想定される期間は、「吸引可能期間（又はパフ可能期間）」とも称される。また、加熱が開始されてから吸引可能期間が開始されるまでの期間は、「予備加熱期間」とも称される。予備加熱期間において行われる加熱は、「予備加熱」とも称される。本実施形態の例では、第１昇温区間Ｓ１が予備加熱期間となる。また、第１温度維持区間Ｓ２、降温区間Ｓ３、第２温度維持区間Ｓ４、第２昇温区間Ｓ５、及び第３温度維持区間Ｓ６が吸引可能期間となる。

　例えば、吸引装置１００の通知部１１３は、吸引可能期間が開始するタイミング及び終了するタイミングをユーザに通知する。すなわち、通知部１１３は、第１温度維持区間Ｓ２が開始するタイミング（換言すると第１昇温区間Ｓ１が終了するタイミング）と、第３温度維持区間Ｓ６が終了するタイミングとにおいて、ユーザに対する通知を行う。このように、吸引可能期間が開始するタイミング及び終了するタイミングをユーザに通知することで、ユーザは、かかる通知を参考に、吸引可能期間において吸引装置１００に対する吸引を行うことが可能となる。

　また、吸引可能期間が開始するタイミング（すなわち第１温度維持区間Ｓ２が開始するタイミング）において行われる通知の態様と、吸引可能期間が終了するタイミング（すなわち第３温度維持区間Ｓ６が終了するタイミング）において行われる通知の態様とは、互いに異なるようにしてもよい。このように、吸引可能期間が開始するタイミング及び終了するタイミングのそれぞれで行われる通知の態様を異ならせることで、吸引可能期間が開始したこと及び終了したことを、ユーザにわかりやすく案内することが可能となる。

＜３．制御部＞
　吸引装置１００の制御部１１６は、加熱プロファイルに基づいて、加熱部１２１の動作を制御する。これにより、加熱プロファイルにより計画された通りにエアロゾルが生成される。加熱プロファイルは、典型的には、スティック型基材１５０から生成されるエアロゾルをユーザが吸引した際にユーザが味わう香味が最適になるように設計される。よって、加熱プロファイルに基づいて加熱部１２１の動作を制御することにより、ユーザが味わう香味を最適にすることができる。

　より具体的に説明すると、制御部１１６は、エアロゾルの生成要求があったことに応じて、加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部１２１の制御を開始する。ここで、エアロゾルの生成要求は、例えば、加熱開始を指示する操作とすることができる。一例として、加熱開始を指示する操作は、吸引装置１００に設けられた所定の操作ボタンの押下とすることができる。また、加熱開始を指示する操作は、吸引装置１００に対する吸引動作、又はスマートフォン等の他装置からの所定の情報の受信等であってもよい。制御部１１６は、例えば、センサ部１１２又は通信部１１５により取得された情報に基づいて、エアロゾルの生成要求を検出できる。

　加熱プロファイルに基づく加熱部１２１の制御について詳述すると、制御部１１６は、加熱プロファイルに基づく制御を開始してからの経過時間に対応する目標温度と、加熱部１２１の実際の温度（以下「実温度」とも称する）との乖離に基づいて、加熱部１２１の動作を制御する。より具体的には、このとき、制御部１１６は、加熱部１２１の実温度の時系列推移が、加熱プロファイルにおいて規定された目標温度の時系列推移と同様になるように、加熱部１２１の温度を制御する。

　加熱部１２１の温度制御は、例えば、公知のフィードバック制御によって実現できる。例えば、制御部１１６は、電源部１１１からの電力を、パルス幅変調（ＰＷＭ）又はパルス周波数変調（ＰＦＭ）によるパルスの形態で、加熱部１２１に供給させる。この場合、制御部１１６は、電力パルスのデューティ比を調整することによって、加熱部１２１の温度制御を行うことができる。

　フィードバック制御では、制御部１１６は、実温度と目標温度との差分等に基づいて、加熱部１２１へ供給する電力、例えば上記デューティ比を制御すればよい。また、フィードバック制御は、例えばＰＩＤ制御であってもよい。若しくは、制御部１１６は、単純なＯＮ－ＯＦＦ制御を行ってもよい。例えば、制御部１１６は、実温度が目標温度に達するまで加熱部１２１による加熱を実行し、実温度が目標温度に達した場合に加熱部１２１による加熱を停止し、実温度が目標温度より低くなると加熱部１２１による加熱を再度実行してもよい。

　加熱部１２１の温度は、例えば、加熱部１２１を構成する発熱抵抗体の電気抵抗値を測定又は推定することによって取得（換言すると定量）できる。これは、発熱抵抗体の電気抵抗値が、温度に応じて変化するためである。発熱抵抗体の電気抵抗値は、例えば、発熱抵抗体での電圧降下量を測定することによって推定（すなわち取得）できる。発熱抵抗体での電圧降下量は、発熱抵抗体に印加される電位差を測定する電圧センサによって測定（すなわち取得）できる。他の一例として、加熱部１２１付近に設置された温度センサ（パフサーミスタ）によって加熱部１２１の温度を測定するようにしてもよい。

　また、制御部１１６は、加熱プロファイルに基づく制御を開始してから所定時間が経過したタイミングで、加熱部１２１による加熱を停止させる。加熱部１２１による加熱を停止させるタイミングは、例えば、加熱プロファイルにおける最後の時間区間（本実施形態の例では第３温度維持区間Ｓ６）が終了したタイミングである。

　すなわち、加熱部１２１による加熱開始後、時間経過に伴って、加熱されているスティック型基材１５０のエアロゾル源及び香味成分は徐々に減少していく。加熱部１２１による加熱は、典型的には、スティック型基材１５０のエアロゾル源及び香味成分の少なくとも一方が減少して、適切な量の香味成分が付与された十分な量のエアロゾルをユーザに送達できなくなると想定されるタイミングで停止されるようになっている。換言すると、加熱プロファイルは、標準的な吸引が行われることを前提にして、適切な量の香味成分が付与された十分な量のエアロゾルをユーザに送達できない程度に、スティック型基材１５０のエアロゾル源又は香味成分が減少すると想定されるタイミングで、最後の時間区間が終了するように設計される。

　また、スティック型基材１５０のエアロゾル源及び香味成分は、吸引装置１００に対する吸引が行われることによっても減少していく。したがって、制御部１１６は、加熱プロファイルに基づく制御を開始してから所定時間が経過する前であっても、加熱プロファイルに基づく制御を開始してから所定回数（例えば１５回）の吸引が行われた場合には、その時点で加熱部１２１による加熱を停止させるようにしてもよい。以下、このようにした場合に、加熱部１２１による加熱を停止させる条件となる吸引回数を「吸引可能回数」とも称する。

　さらに、制御部１１６は、例えば、吸引装置１００に設けられた所定の操作ボタンが押下されたタイミングで、加熱部１２１による加熱を停止させるようにしてもよい。このようにすれば、ユーザが所望のタイミングで、加熱部１２１による加熱を停止させることが可能となる。

　ところで、加熱プロファイルは、標準的な吸引が行われることを前提にして、ユーザが味わう香味が最適になるように設計されている。しかしながら、加熱プロファイルで前提とした標準的な吸引が吸引装置１００に対して必ずしも行われるとは限らない。例えば、吸引装置１００に対する吸引態様は、ユーザごとに個人差があるだけでなく、同じユーザであっても吸引時の気分等によって変化し得る。

　仮に、加熱プロファイルで前提とした標準的な吸引が行われていない状況下において、そのまま加熱プロファイル通りの制御が行われた場合には、十分なエアロゾル源及び香味成分がスティック型基材１５０に残存しているのに加熱部１２１による加熱が停止される、又は、適切な量の香味成分が付与された十分な量のエアロゾルをユーザに送達できない程度にスティック型基材１５０のエアロゾル源又は香味成分が枯渇しかけているのに（換言すると質の高い喫煙体験をユーザに提供できないのに）加熱部１２１による加熱が無駄に継続される、といった事態が発生し得る。このような事態が発生するのは、吸引装置１００に対するユーザの満足度（すなわち吸引装置１００の商品性）を向上させる観点から好ましくない。

　すなわち、加熱プロファイルで前提とした標準的な吸引とは異なる吸引態様の吸引が行われたとしても、エアロゾル源等を有するスティック型基材１５０を適切に消費して、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが、吸引装置１００の商品性向上の観点から望まれる。

　そこで、制御部１１６は、加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部１２１を制御している第１期間における、吸引装置１００に対する吸引態様（以下、単に「第１期間における吸引態様」とも称する）をあらわす情報を取得する。ここで、第１期間における吸引態様は、例えば、第１期間における吸引時間であってもよいし、第１期間における吸引量であってもよいし、第１期間における吸引強度であってもよい。さらに、第１期間における吸引態様は、第１期間における吸引時間、第１期間における吸引量、及び第１期間における吸引強度のうちの２以上の組み合わせ（例えば吸引時間と吸引強度の組み合わせ）であってもよい。なお、第１期間における吸引時間、第１期間における吸引量、及び第１期間における吸引強度の具体例については、取得対象期間における吸引時間、取得対象期間における吸引量、及び取得対象期間における吸引強度として、それぞれ後述する。

　そして、制御部１１６は、上記第１期間後の期間である第２期間における加熱部１２１の制御態様を、加熱プロファイルにより規定された制御態様から、取得した上記第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更する。これにより、第１期間における吸引態様が標準的な吸引とは異なるものであったとしても、その後の第２期間では、第１期間における吸引態様（すなわち第１期間において実際に行われた吸引）を考慮して加熱部１２１を適切に制御できる。よって、スティック型基材１５０を適切に消費して、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが可能となる。以下、制御部１１６について、より具体的に説明する。

＜４－１．取得対象期間＞
　制御部１１６は、例えば、加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部１２１を制御している所定の取得対象期間におけるセンサ部１１２の検出結果に基づいて、当該取得対象期間における吸引態様をあらわす情報を取得する。

　取得対象期間は、例えば、加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部１２１の制御が開始されたとき（すなわち加熱プロファイルに基づく制御が開始されたとき）から、所定時間が経過するまでの期間とすることができる。これにより、取得対象期間として、ある程度長い期間を確保することが可能となる。また、エアロゾルの生成要求があったときに加熱プロファイルに基づく制御が開始されることを考慮すると、取得対象期間は、エアロゾルの生成要求があったときから所定時間が経過するまでの期間ということもできる。

　本実施形態の例では、図２に示すように、取得対象期間として、第１取得対象期間Ａ１及び第２取得対象期間Ａ２が設けられている。

　第１取得対象期間Ａ１は、加熱プロファイルに基づく制御が開始されたとき（すなわち経過時間が０のとき）から、吸引装置１００の製造業者等によってあらかじめ設定された第１所定時間Ｔｍ１が経過した第１タイミングｔｉ１となるまでの期間である。例えば、第１所定時間Ｔｍ１は、加熱プロファイルに基づく制御が開始されたときから、加熱部１２１による加熱が停止されるまでの期間（すなわちｔｍ１＋ｔｍ２＋ｔｍ３＋ｔｍ４＋ｔｍ５＋ｔｍ６）の半分よりも短いものとされる。また、第１所定時間Ｔｍ１は、例えば、（ｔｍ１＋ｔｍ２＋ｔｍ３）＜Ｔｍ１＜（ｔｍ１＋ｔｍ２＋ｔｍ３＋ｔｍ４－Δｔａ）を満たすものとされる。これにより、第１タイミングｔｉ１は、第２温度維持区間Ｓ４中のタイミングとされる。なお、Δｔａについては後述する。

　第２取得対象期間Ａ２は、加熱プロファイルに基づく制御が開始されたとき（すなわち経過時間が０のとき）から、吸引装置１００の製造業者等によってあらかじめ設定された第２所定時間Ｔｍ２（ただしＴｍ２＞Ｔｍ１）が経過した第２タイミングｔｉ２となるまでの期間である。例えば、第２所定時間Ｔｍ２は、（ｔｍ１＋ｔｍ２＋ｔｍ３＋ｔｍ６＋ｔｍ５）＜Ｔｍ２＜（ｔｍ１＋ｔｍ２＋ｔｍ３＋ｔｍ４＋ｔｍ５＋ｔｍ６－Δｔｃ）を満たすものとされる。これにより、第２タイミングｔｉ２は、第３温度維持区間Ｓ６中のタイミングとされる。なお、Δｔｃについては後述する。

　なお、ここで説明した例では、加熱プロファイルに基づく制御が開始されたときから、第１所定時間Ｔｍ１が経過するまでの期間を、第１取得対象期間Ａ１としたが、これに限られない。

　例えば、加熱プロファイルに基づく制御が開始されたとき（すなわち加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部１２１の制御が開始されたとき）から、第１所定回数（例えば５回）の吸引が行われるまでの期間を、第１取得対象期間Ａ１としてもよい。このようにしても、第１取得対象期間Ａ１として、ある程度長い期間を確保することが可能となる。同様に、加熱プロファイルに基づく制御が開始されたときから、第１所定回数よりも多い第２所定回数（例えば１０回）の吸引が行われるまでの期間を、第２取得対象期間Ａ２としてもよい。なお、このようにした場合、第１所定回数及び第２所定回数は、０よりも大きく、且つ、前述した吸引可能回数未満の回数であるものとする。

　また、ここで説明した例では、第１取得対象期間Ａ１の開始時点を、加熱プロファイルに基づく制御が開始されたときとしたが、これに限られず、吸引可能期間が開始するとき（例えば第１温度維持区間Ｓ２が開始するタイミング）としてもよい。このようにしても、第１取得対象期間Ａ１として、ある程度長い期間を確保することが可能となる。同様に、第２取得対象期間Ａ２の開始時点も、加熱プロファイルに基づく制御が開始されたときに限られず、例えば、吸引可能期間が開始するときとしてもよい。

＜４－２．取得対象期間における吸引時間＞
　次に、制御部１１６が取得し得る「取得対象期間における吸引時間」について説明する。ここで、取得対象期間における吸引時間は、例えば、当該取得対象期間における１回の吸引による吸引時間の最大値、又は当該取得対象期間における複数回の吸引による吸引時間の積算値とすることができる。これにより、制御部１１６によって取得される取得対象期間における吸引時間を、当該取得対象期間における吸引態様をあらわすものとすることができる。

　図３は、本実施形態の吸引装置に対して行われた吸引の一例を示す図である。図３における横軸は、時期をあらわす。図３の（ａ）は、図３の横軸であらわされる各時期における加熱の有無（ＯＮ／ＯＦＦ）をあらわす。また、図３の（ｂ）は、図３の横軸であらわされる各時期における吸引の有無（ＯＮ／ＯＦＦ）をあらわす。そして、図３の（ｃ）は、図３の横軸であらわされる各時期における流量をあらわす。

　図３に示す例は、エアロゾルの生成要求があったときから所定時間（例えば第１所定時間Ｔｍ１）が経過するまでの取得対象期間ＡＸ（例えば第１取得対象期間Ａ１）において、１回目の吸引Ｐｆ１と、２回目の吸引Ｐｆ２との２回の吸引が行われた場合の例である。

　１回目の吸引Ｐｆ１は、時期ｔ１１から、時期ｔ１１後の時期ｔ１２まで行われており、その吸引時間はｔｍ１０である。ここで、吸引時間は、吸引が開始されたとき（１回目の吸引Ｐｆ１の場合は時期ｔ１１）から、その吸引が終了したとき（１回目の吸引Ｐｆ１の場合は時期ｔ１２）までの期間の長さ（すなわち時間）である。また、２回目の吸引Ｐｆ２は、時期ｔ１２後の時期ｔ２１から、時期ｔ２１後の時期ｔ２２まで行われており、その吸引時間はｔｍ２０（ただしｔｍ２０＞ｔｍ１０）である。

　より具体的に説明すると、制御部１１６は、前述したパフセンサによる検出値が所定の閾値未満の状態から当該閾値以上の状態に変化したときに、吸引装置１００に対する吸引が開始されたと判断する。上記の「吸引が開始されたとき」は、例えば、このように、吸引装置１００に対する吸引が開始されたと制御部１１６が判断したときとすることができる。また、制御部１１６は、パフセンサによる検出値が上記の閾値以上の状態から当該閾値未満の状態に変化したときに、吸引装置１００に対する吸引が終了したと判断する。上記の「吸引が終了したとき」は、例えば、このように、吸引装置１００に対する吸引が終了したと制御部１１６が判断したときとすることができる。すなわち、制御部１１６は、パフセンサの検出結果に基づいて、吸引時間を取得することができる。

　他の一例として、制御部１１６は、前述した流量センサによる検出値が所定の閾値未満の状態から当該閾値以上の状態に変化したときに、吸引装置１００に対する吸引が開始されたと判断してもよい。また、制御部１１６は、流量センサによる検出値が上記の閾値以上の状態から当該閾値未満の状態に変化したときに、吸引装置１００に対する吸引が終了したと判断してもよい。すなわち、制御部１１６は、流量センサの検出結果に基づいて、吸引時間を取得してもよい。

　図３に示す例では、取得対象期間ＡＸにおける１回の吸引による吸引時間の最大値は、ｔｍ２０となる。よって、取得対象期間における１回の吸引による吸引時間の最大値を、当該取得対象期間における吸引時間として制御部１１６が取得するようにした場合、制御部１１６は、取得対象期間ＡＸにおける吸引時間としてｔｍ２０を取得すればよい。

　また、取得対象期間ＡＸにおける複数回の吸引による吸引時間の積算値は、ｔｍ１０＋ｔｍ２０となる。よって、取得対象期間における複数回の吸引による吸引時間の積算値を、当該取得対象期間における吸引時間として制御部１１６が取得するようにした場合、制御部１１６は、取得対象期間ＡＸにおける吸引時間としてｔｍ１０＋ｔｍ２０を取得すればよい。すなわち、制御部１１６は、取得対象期間におけるすべての吸引による吸引時間の積算値を、当該取得対象期間における吸引時間として取得してもよい。

　また、例えば、吸引装置１００に対する吸引により生じた流量を検出可能な流量センサをセンサ部１１２が含んで構成される場合、制御部１１６は、流量センサの検出結果に基づいて、取得対象期間において流量が閾値以上である期間の長さを、当該取得対象期間における吸引時間として取得してもよい。このようにしても、制御部１１６によって取得される取得対象期間における吸引時間を、当該取得対象期間における吸引態様をあらわすものとすることができる。

　より具体的には、図３に示す例において、１回目の吸引Ｐｆ１の吸引時間ｔｍ１０のうちで、単位時間あたりの流量が所定の閾値ＴｈＸ以上である期間の長さをｔｍ１１とする。また、２回目の吸引Ｐｆ２の吸引時間ｔｍ２０のうちで、単位時間あたりの流量が閾値ＴｈＸ以上である期間の長さをｔｍ２１（ただしｔｍ２１＞ｔｍ１１）とする。

　このようにした場合、取得対象期間ＡＸにおいて、単位時間あたりの流量が閾値ＴｈＸ以上である期間の長さは、ｔｍ１１＋ｔｍ２１となる。よって、取得対象期間において流量が閾値以上である期間の長さを、当該取得対象期間における吸引時間として制御部１１６が取得するようにした場合、制御部１１６は、取得対象期間ＡＸにおける吸引時間としてｔｍ１１＋ｔｍ２１を取得すればよい。なお、閾値ＴｈＸは、例えば、吸引装置１００の製造業者等によって制御部１１６にあらかじめ設定される。

＜４－３．取得対象期間における吸引量＞
　次に、制御部１１６が取得し得る「取得対象期間における吸引量」について説明する。制御部１１６が以下に説明する取得対象期間における吸引量を取得するようにした場合、センサ部１１２は、例えば、前述した流量センサを含んで構成され得る。そして、制御部１１６は、流量センサの検出結果に基づいて、以下に説明する取得対象期間における吸引量を取得する。

　ここで、取得対象期間における吸引量は、例えば、当該取得対象期間における１回の吸引により生じた流量の最大値、当該取得対象期間における複数回の吸引により生じた流量の積算値、又は当該取得対象期間における単位時間あたりの流量の最大値とすることができる。これにより、制御部１１６によって取得される取得対象期間における吸引量を、当該取得対象期間における吸引態様をあらわすものとすることができる。

　図３に示す例において、１回目の吸引Ｐｆ１により生じた流量、より具体的には、１回目の吸引Ｐｆ１中の各時期における流量の積算値を、Ｆｗ１０とする。また、２回目の吸引Ｐｆ２により生じた流量、より具体的には、２回目の吸引Ｐｆ２中の各時期における流量の積算値を、Ｆｗ２０（ただしＦｗ２０＞Ｆｗ１０）とする。そして、取得対象期間ＡＸにおける単位時間あたりの流量の最大値は、２回目の吸引Ｐｆ２中の時期ｔ２３におけるＦｗ２１であったとする。

　図３に示す例では、取得対象期間ＡＸにおける１回の吸引により生じた流量の最大値は、Ｆｗ２０となる。よって、取得対象期間における１回の吸引により生じた流量の最大値を、当該取得対象期間における吸引量として制御部１１６が取得するようにした場合、制御部１１６は、取得対象期間ＡＸにおける吸引量としてＦｗ２０を取得すればよい。

　また、取得対象期間ＡＸにおける複数回の吸引により生じた流量の積算値は、Ｆｗ１０＋Ｆｗ２０となる。よって、取得対象期間における複数回の吸引により生じた流量の積算値を、当該取得対象期間における吸引量として制御部１１６が取得するようにした場合、制御部１１６は、取得対象期間ＡＸにおける吸引量としてＦｗ１０＋Ｆｗ２０を取得すればよい。すなわち、制御部１１６は、取得対象期間におけるすべての吸引により生じた流量の積算値を、当該取得対象期間における吸引量として取得してもよい。

　また、取得対象期間ＡＸにおける単位時間あたりの流量の最大値は、Ｆｗ２１である。よって、取得対象期間における単位時間あたりの流量の最大値を、当該取得対象期間における吸引量として制御部１１６が取得するようにした場合、制御部１１６は、取得対象期間ＡＸにおける吸引量としてＦｗ２１を取得すればよい。

　また、制御部１１６は、取得対象期間における吸引時間と、標準的な単位時間あたりの吸引量であるＦｗＸとに基づいて、取得対象期間における吸引量を取得してもよい。例えば、１回目の吸引Ｐｆ１により生じる流量の推定値をＦｗ１０’とすると、この推定値Ｆｗ１０’は、１回目の吸引Ｐｆ１の吸引時間ｔｍ１０と、標準的な単位時間あたりの吸引量ＦｗＸとを用いて、Ｆｗ１０’＝ｔｍ１０×ＦｗＸとあらわすことができる。同様に、２回目の吸引Ｐｆ２により生じる流量の推定値をＦｗ２０’とすると、この推定値Ｆｗ２０’は、２回目の吸引Ｐｆ２の吸引時間ｔｍ２０と、標準的な単位時間あたりの吸引量ＦｗＸとを用いて、Ｆｗ２０’＝ｔｍ２０×ＦｗＸとあらわすことができる。

　そして、上記の推定値Ｆｗ１０’及び推定値Ｆｗ２０’を用いると、取得対象期間ＡＸにおける複数回の吸引により生じた流量の積算値（推定値）は、Ｆｗ１０’＋Ｆｗ２０’であらわすことができる。よって、取得対象期間における複数回の吸引により生じた流量の積算値を、当該取得対象期間における吸引量として制御部１１６が取得するようにした場合、制御部１１６は、取得対象期間ＡＸにおける吸引量としてＦｗ１０’＋Ｆｗ２０’を取得するようにしてもよい。このようにすれば、センサ部１１２が流量センサを有していなくても、取得対象期間における吸引量を取得することが可能となる。すなわち、取得対象期間における吸引量の取得をより簡素な構成で実現できる。

＜４－４．取得対象期間における吸引強度＞
　次に、制御部１１６が取得し得る「取得対象期間における吸引強度」について説明する。ここで、吸引強度は、例えば、吸引装置１００に対して行われた吸引の強さ（換言すると「深さ」）をあらわす評価値とすることができる。

　例えば、吸引装置１００に対する吸引が強い（換言すると「深い」）ほど、当該吸引により生じる流量が多くなるため、加熱部１２１の温度の低下量（すなわち変化量）が大きくなる。よって、加熱部１２１の温度の変化量を、吸引強度として用いるようにしてもよい。このようにした場合、制御部１１６は、加熱部１２１の温度が急峻に下がっているほど、流量が多く吸引強度が高いと判断する。

　また、加熱部１２１を構成する発熱抵抗体の電気抵抗値が、加熱部１２１の温度によって変化することを考慮すると、発熱抵抗体の電気抵抗値の変化量を、吸引強度として用いるようにしてもよい。このようにした場合も、制御部１１６は、加熱部１２１の温度が急峻に下がっていることをあらわすように発熱抵抗体の電気抵抗値が変化すると、流量が多く吸引強度が高いと判断する。

　また、吸引装置１００に対する吸引が強いほど、当該吸引により生じる流量が多くなるため、吸引装置１００内の圧力の変化量も大きくなる。よって、吸引装置１００内の圧力の変化量を、吸引強度として用いるようにしてもよい。このようにした場合、制御部１１６は、吸引装置１００内の圧力が急峻に上がっているほど、流量が多く吸引強度が高いと判断する。

　また、吸引装置１００に対する吸引が強いほど、当該吸引により生じる流量が多くなるため、流量（例えば単位時間あたりの流量）自体を吸引強度として用いるようにしてもよい。このようにした場合、制御部１１６は、流量が多いほど、吸引強度が高いと判断する。

　より具体的に説明すると、例えば、センサ部１１２がパフサーミスタを含んで構成されているものとする。この場合、制御部１１６は、取得対象期間中、パフサーミスタの検出結果に基づいて、単位時間ごとの加熱部１２１（又は加熱部１２１付近の所定箇所）の温度の変化量を、単位時間ごとの吸引強度として取得する。そして、制御部１１６は、取得した単位時間ごとの吸引強度（ここでは例えば加熱部１２１の温度の変化量）のうちの最大値、又は、取得した単位時間ごとの吸引強度の積算値を、取得対象期間における吸引強度として取得する。

　他の一例として、センサ部１１２が前述の電圧センサを含んで構成されているものとする。この場合、制御部１１６は、取得対象期間中、電圧センサの検出結果に基づいて、単位時間ごとの発熱抵抗体の電気抵抗値の変化量を、単位時間ごとの吸引強度として取得してもよい。そして、制御部１１６は、取得した単位時間ごとの吸引強度（ここでは発熱抵抗体の電気抵抗値の変化量）のうちの最大値、又は、取得した単位時間ごとの吸引強度の積算値を、取得対象期間における吸引強度として取得してもよい。

　他の一例として、センサ部１１２がパフセンサを含んで構成されているものとする。この場合、制御部１１６は、取得対象期間中、パフセンサの検出結果に基づいて、単位時間ごとの吸引装置１００内の圧力の変化量を、単位時間ごとの吸引強度として取得してもよい。そして、制御部１１６は、取得した単位時間ごとの吸引強度（ここでは吸引装置１００内の圧力の変化量）のうちの最大値、又は、取得した単位時間ごとの吸引強度の積算値を、取得対象期間における吸引強度として取得してもよい。

　また、制御部１１６は、取得対象期間中に行われた吸引ごとの吸引強度を求めて、求めた吸引ごとの吸引強度のうちの最大値を、取得対象期間における吸引強度として取得してもよい。さらに、制御部１１６は、取得対象期間中に行われた所定回数の吸引のそれぞれにおける吸引強度を積算したものを、取得対象期間における吸引強度として取得してもよい。また、制御部１１６は、吸引ごとの吸引強度を求めるにあたって、当該吸引における吸引強度の最大値に、当該吸引の吸引時間を掛け合わせることにより算出される値を、当該吸引の吸引強度として求めるようにしてもよい。

　また、他の一例として、センサ部１１２が流量センサを含んで構成されている場合、制御部１１６は、例えば、前述した取得対象期間における単位時間あたりの流量の最大値を、取得対象期間における吸引強度として取得してもよい。

　なお、制御部１１６が取得対象期間における吸引時間、吸引量、及び吸引強度のうちのいずれを取得するようにするかは、吸引装置１００の製造業者等が適宜定めることができる。また、制御部１１６が取得対象期間における吸引時間を取得するようにした場合に、前述したいずれの値を取得対象期間における吸引時間として取得するようにするかについても、吸引装置１００の製造業者等が適宜定めることができる。同様に、制御部１１６が取得対象期間における吸引量を取得するようにした場合に、前述したいずれの値を取得対象期間における吸引量として取得するようにするかについても、吸引装置１００の製造業者等が適宜定めることができる。また、制御部１１６が取得対象期間における吸引強度を取得するようにした場合に、前述したいずれの値を取得対象期間における吸引強度として取得するようにするかについても、吸引装置１００の製造業者等が適宜定めることができる。

＜５．取得対象期間における吸引態様に基づく制御態様の変更＞
　次に、制御部１１６による、取得対象期間における吸引態様に基づく加熱部１２１の制御態様の変更例について説明する。前述したように、本実施形態の例では、第１タイミングｔｉ１までの第１取得対象期間Ａ１と、第２タイミングｔｉ２までの第２取得対象期間Ａ２との２つの取得対象期間が設けられている。以下では、まず、第１取得対象期間Ａ１における吸引態様に基づく加熱部１２１の制御態様の変更例について説明する。

　図４は、第１取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値以上であった場合の制御態様の変更例を示す図（その１）である。図４における縦軸は、目標温度［℃］をあらわす。図４における縦軸は、時間［ｓｅｃ］をあらわす。

　図４に示すように、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上であった場合、制御部１１６は、例えば、第２温度維持区間Ｓ４（すなわち第４時間区間Ｓ４）の時間長を、当初のｔｍ４［ｓｅｃ］から、ｔｍ４［ｓｅｃ］よりも短いｔｍ４ａ［ｓｅｃ］に変更（すなわち短縮）する。ここで、ｔｍ４ａは、例えば、ｔｍ４から一定値Δｔａ（ただしΔｔａ＞０）を減じたもの（すなわちｔｍ４ａ＝ｔｍ４－Δｔａ）とすることができる。なお、第１所定値Ｔｈ１及び一定値Δｔａは、例えば、吸引装置１００の製造業者等によって制御部１１６にあらかじめ設定される。

　すなわち、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上であった場合には、第１取得対象期間Ａ１におけるエアロゾル源及び香味成分の消費量が、加熱プロファイル設計時の想定よりも多いと考えられる。よって、この場合、スティック型基材１５０に含まれるエアロゾル源又は香味成分が、加熱プロファイル設計時の想定よりも早いペースで減少すると考えられる。

　そこで、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上であった場合、制御部１１６は、第２温度維持区間Ｓ４を短縮することで、その分、加熱部１２１による加熱が停止されるタイミングを早くする。これにより、スティック型基材１５０に含まれるエアロゾル源又は香味成分が枯渇しかけているのに加熱部１２１による加熱を無駄に継続させてしまうといった事態が発生するのを回避することが可能となる。さらに、加熱部１２１による無駄な加熱を抑制することで、電源部１１１の電力の浪費も抑制できる。

　図５は、第１取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値未満であった場合の制御態様の変更例を示す図（その１）である。図５における縦軸は、目標温度［℃］をあらわす。図５における縦軸は、時間［ｓｅｃ］をあらわす。

　図５に示すように、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値Ｔｈ２（例えば第２所定値Ｔｈ２＜第１所定値Ｔｈ１）未満であった場合、制御部１１６は、例えば、第２温度維持区間Ｓ４の時間長を、当初のｔｍ４［ｓｅｃ］から、ｔｍ４［ｓｅｃ］よりも長いｔｍ４ｂ［ｓｅｃ］に変更（すなわち延長）する。ここで、ｔｍ４ｂは、例えば、ｔｍ４に一定値Δｔｂ（ただしΔｔａ＞０）を加えたもの（すなわちｔｍ４ｂ＝ｔｍ４＋Δｔｂ）とすることができる。なお、第２所定値Ｔｈ２及び一定値Δｔｂは、例えば、吸引装置１００の製造業者等によって制御部１１６にあらかじめ設定される。また、一定値Δｔｂの絶対値は、前述した一定値Δｔａの絶対値と等しくてもよい。

　すなわち、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値Ｔｈ２未満であった場合には、第１取得対象期間Ａ１におけるエアロゾル源及び香味成分の消費量が、加熱プロファイル設計時の想定よりも少ないと考えられる。よって、この場合、スティック型基材１５０に含まれるエアロゾル源又は香味成分が、加熱プロファイル設計時の想定よりも長くスティック型基材１５０に残存すると考えられる。

　そこで、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値Ｔｈ２未満であった場合、制御部１１６は、第２温度維持区間Ｓ４を延長することで、その分、加熱部１２１による加熱が継続される期間（換言するとエアロゾルが生成される期間）を長くする。これにより、十分なエアロゾル源及び香味成分がスティック型基材１５０に残存しているのに加熱部１２１による加熱を停止させてしまうといった事態が発生するのを回避することが可能となる。

　また、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値Ｔｈ２以上、且つ第１所定値Ｔｈ１未満であった場合、制御部１１６は、例えば、第２温度維持区間Ｓ４（すなわち第４時間区間Ｓ４）の時間長を、当初のｔｍ４［ｓｅｃ］のままとする。これにより、第１取得対象期間Ａ１におけるエアロゾル源及び香味成分の消費量が、加熱プロファイル設計時の想定と大きく変わらないと考えられる場合には、引き続き、加熱プロファイルにより計画された通りにエアロゾルを生成することが可能となる。

　次に、第２取得対象期間Ａ２における吸引態様に基づく制御態様の変更例について説明する。図６は、第２取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第３所定値以上であった場合の制御態様の変更例を示す図である。図６における縦軸は、目標温度［℃］をあらわす。図６における縦軸は、時間［ｓｅｃ］をあらわす。

　図６に示すように、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第３所定値Ｔｈ３以上であった場合、制御部１１６は、例えば、第３温度維持区間Ｓ６（すなわち第６時間区間Ｓ６）の時間長を、当初のｔｍ６［ｓｅｃ］から、ｔｍ６［ｓｅｃ］よりも短いｔｍ６ａ［ｓｅｃ］に変更（すなわち短縮）する。ここで、ｔｍ６ａは、例えば、ｔｍ６から一定値Δｔｃ（ただしΔｔｃ＞０）を減じたもの（すなわちｔｍ６ａ＝ｔｍ６－Δｔｃ）とすることができる。なお、第３所定値Ｔｈ３及び一定値Δｔｃは、例えば、吸引装置１００の製造業者等によって制御部１１６にあらかじめ設定される。また、一定値Δｔｃは、前述した一定値Δｔａと等しくてもよい。

　すなわち、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第３所定値Ｔｈ３以上であった場合には、第２取得対象期間Ａ２におけるエアロゾル源及び香味成分の消費量が、加熱プロファイル設計時の想定よりも多いと考えられる。よって、この場合、スティック型基材１５０に含まれるエアロゾル源又は香味成分が、加熱プロファイル設計時の想定よりも早いペースで減少すると考えられる。

　そこで、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第３所定値Ｔｈ３以上であった場合、制御部１１６は、第３温度維持区間Ｓ６を短縮することで、その分、加熱部１２１による加熱が停止されるタイミングを早くする。これにより、スティック型基材１５０に含まれるエアロゾル源又は香味成分が枯渇しかけているのに加熱部１２１による加熱を無駄に継続させてしまうといった事態が発生するのを回避することが可能となる。さらに、加熱部１２１による無駄な加熱を抑制することで、電源部１１１の電力の浪費も抑制できる。

　図７は、第２取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第４所定値未満であった場合の制御態様の変更例を示す図である。図７における縦軸は、目標温度［℃］をあらわす。図７における縦軸は、時間［ｓｅｃ］をあらわす。

　図７に示すように、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第４所定値Ｔｈ４（例えば第４所定値Ｔｈ４＜第３所定値Ｔｈ３）未満であった場合、制御部１１６は、例えば、第３温度維持区間Ｓ６の時間長を、当初のｔｍ６［ｓｅｃ］から、ｔｍ６［ｓｅｃ］よりも長いｔｍ６ｂ［ｓｅｃ］に変更（すなわち延長）する。ここで、ｔｍ６ｂは、例えば、ｔｍ６に一定値Δｔｄ（ただしΔｔｄ＞０）を加えたもの（すなわちｔｍ６ｂ＝ｔｍ６＋Δｔｄ）とすることができる。なお、第４所定値Ｔｈ４及び一定値Δｔｄは、例えば、吸引装置１００の製造業者等によって制御部１１６にあらかじめ設定される。また、一定値Δｔｄは、前述した一定値Δｔｂと等しくてもよい。

　すなわち、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第４所定値Ｔｈ４未満であった場合には、第２取得対象期間Ａ２におけるエアロゾル源及び香味成分の消費量が、加熱プロファイル設計時の想定よりも少ないと考えられる。よって、この場合、スティック型基材１５０に含まれるエアロゾル源又は香味成分が、加熱プロファイル設計時の想定よりも長くスティック型基材１５０に残存すると考えられる。

　そこで、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第４所定値Ｔｈ４未満であった場合、制御部１１６は、第３温度維持区間Ｓ６を延長することで、その分、加熱部１２１による加熱が継続される期間（換言するとエアロゾルが生成される期間）を長くする。これにより、十分なエアロゾル源及び香味成分がスティック型基材１５０に残存しているのに加熱部１２１による加熱を停止させてしまうといった事態が発生するのを回避することが可能となる。

　また、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第４所定値Ｔｈ４以上、且つ第３所定値Ｔｈ３未満であった場合、制御部１１６は、例えば、第３温度維持区間Ｓ６（すなわち第６時間区間Ｓ６）の時間長を、当初のｔｍ６［ｓｅｃ］のままとする。これにより、第２取得対象期間Ａ２におけるエアロゾル源及び香味成分の消費量が、加熱プロファイル設計時の想定と大きく変わらないと考えられる場合には、引き続き、加熱プロファイルにより計画された通りにエアロゾルを生成することが可能となる。

＜６．制御部が実行する処理＞
　次に、加熱部１２１の制御態様を変更するために制御部１１６が実行する処理の一例について説明する。図８は、本実施形態の吸引装置の制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、図８に示す一連の処理を制御部１１６に実行させるプログラムは、例えば、記憶部１１４にあらかじめ記憶されている。

　図８に示すように、制御部１１６は、エアロゾルの生成要求があるまで待機し（ステップＳｐ１０：Ｎｏのループ）、エアロゾルの生成要求があると（ステップＳｐ１０：Ｙｅｓ）、加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部１２１の制御を開始する（ステップＳｐ１１）。また、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１及び第２取得対象期間Ａ２における吸引態様（すなわち、前述した吸引時間、吸引量、又は吸引強度）をあらわす情報を取得する処理（以下、「吸引態様取得処理」とも称する）を開始する（ステップＳｐ１２）。

　例えば、加熱プロファイルに基づく制御が開始されるときから第１取得対象期間Ａ１及び第２取得対象期間Ａ２が開始されるようにした場合は、加熱プロファイルに基づく制御が開始されたことに伴ってステップＳｐ１２が実行（すなわち吸引態様取得処理が開始）される。また、吸引可能期間が開始されるときから第１取得対象期間Ａ１及び第２取得対象期間Ａ２が開始されるようにした場合は、吸引可能期間が開始されたことに伴ってステップＳｐ１２が実行（すなわち吸引態様取得処理が開始）される。

　吸引態様取得処理は、例えば、上記の＜４－２．取得対象期間における吸引時間＞に記載したような吸引時間、＜４－３．取得対象期間における吸引量＞に記載したような吸引量、及び＜４－４．取得対象期間における吸引強度＞に記載したような吸引強度のうちの少なくともいずれか１つを処理である。吸引態様取得処理による取得対象となるパラメータは、吸引装置１００の製造業者等によりあらかじめ設定される。

　より具体的には、吸引態様取得処理において、例えば、制御部１１６は、吸引装置１００に対する吸引の有無を監視し、吸引装置１００に対する吸引を検出するごとに、当該吸引による吸引時間、当該吸引により生じた流量、又は当該吸引の吸引強度を取得する。そして、１回の吸引による吸引時間、流量、又は吸引強度の最大値を、取得対象期間における吸引時間、流量、又は吸引強度として取得するようにした場合、制御部１１６は、取得対象期間においてこれまでに行われた吸引によるもののうちの最大値と、今回の吸引による値とを比較して、大きい方を記憶部１１４に保持しておく。また、複数回の吸引による吸引時間、流量、又は吸引強度の積算値を、取得対象期間における吸引時間、流量、又は吸引強度として取得するようにした場合、制御部１１６は、取得対象期間においてこれまでに行われた吸引によるものの積算値に、今回の吸引による値も積算して、その積算結果を記憶部１１４に保持しておく。これらにより、記憶部１１４には、第１取得対象期間Ａ１及び第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が記憶され得る。

　また、制御部１１６は、吸引装置１００に対して行われた各吸引の吸引時間、流量、又は吸引強度の履歴を記憶部１１４に記憶しておき、第１タイミングｔｉ１又は第２タイミングｔｉ２になったと判定した際に（ステップＳｐ１３、Ｓｐ１８を参照）、上記の履歴を参照して、取得対象期間における吸引時間、流量、又は吸引強度を取得するようにしてもよい。

　そして、制御部１１６は、吸引態様取得処理を実行しながら第１タイミングｔｉ１となるのを待ち（ステップＳｐ１３：Ｎｏのループ）、第１タイミングｔｉ１となると（ステップＳｐ１３：Ｙｅｓ）、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上であるか否かを判定する（ステップＳｐ１４）。

　そして、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上であると判定すると（ステップＳｐ１４：Ｙｅｓ）、第２温度維持区間Ｓ４を短縮して（ステップＳｐ１５）、ステップＳｐ１８の処理に進む。

　また、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上でないと判定すると（ステップＳｐ１４：Ｎｏ）、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値Ｔｈ２未満であるか否かを判定する（ステップＳｐ１６）。

　そして、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値Ｔｈ２未満であると判定すると（ステップＳｐ１６：Ｙｅｓ）、第２温度維持区間Ｓ４を延長して（ステップＳｐ１７）、ステップＳｐ１８の処理に進む。

　また、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値Ｔｈ２未満でないと判定すると（ステップＳｐ１６：Ｎｏ）、そのままステップＳｐ１８の処理に進む。この場合、第２温度維持区間Ｓ４の時間長は、当初のｔｍ４［ｓｅｃ］のままとされる。

　そして、制御部１１６は、吸引態様取得処理を引き続き実行しながら第２タイミングｔｉ２となるのを待ち（ステップＳｐ１８：Ｎｏのループ）、第２タイミングｔｉ２となると（ステップＳｐ１８：Ｙｅｓ）、ステップＳｐ１２で開始した吸引態様取得処理を終了して、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第３所定値Ｔｈ３以上であるか否かを判定する（ステップＳｐ１９）。

　そして、制御部１１６は、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第３所定値Ｔｈ３以上であると判定すると（ステップＳｐ１９：Ｙｅｓ）、第３温度維持区間Ｓ６を短縮して（ステップＳｐ２０）、図８に示す一連の処理を終了する。

　また、制御部１１６は、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第３所定値Ｔｈ３以上でないと判定すると（ステップＳｐ１９：Ｎｏ）、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第４所定値Ｔｈ４未満であるか否かを判定する（ステップＳｐ２１）。

　そして、制御部１１６は、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第４所定値Ｔｈ４未満であると判定すると（ステップＳｐ２１：Ｙｅｓ）、第３温度維持区間Ｓ６を延長して（ステップＳｐ２２）、図８に示す一連の処理を終了する。

　また、制御部１１６は、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第４所定値Ｔｈ４未満でないと判定すると（ステップＳｐ２１：Ｎｏ）、そのまま図８に示す一連の処理を終了する。この場合、第３温度維持区間Ｓ６の時間長は、当初のｔｍ６［ｓｅｃ］のままとされる。

　以上に説明したように、制御部１１６は、加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部１２１を制御している第１取得対象期間Ａ１におけるセンサ部１１２の検出結果に基づいて、第１取得対象期間Ａ１における吸引態様をあらわす情報を取得する。そして、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１後の期間における加熱部１２１の制御態様を、加熱プロファイルにより規定された制御態様から、第１取得対象期間Ａ１における吸引態様に基づく制御態様に変更する。

　具体的には、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上である場合には、第２温度維持区間Ｓ４の時間長を、加熱プロファイルで規定されたｔｍ４［ｓｅｃ］よりも短くする。これにより、第１取得対象期間Ａ１におけるエアロゾル源や香味成分の消費量が加熱プロファイル設計時の想定よりも多いと考えられる場合には、第２温度維持区間Ｓ４を短縮して、加熱プロファイル通りに制御した場合に比べて、加熱部１２１による加熱が停止されるタイミングを早くすることができる。よって、スティック型基材１５０に含まれるエアロゾル源又は香味成分が枯渇しかけているのに加熱部１２１による加熱が無駄に継続されてしまうといった事態が発生するのを回避することが可能となる。

　同様に、制御部１１６は、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第３所定値Ｔｈ３以上である場合には、第３温度維持区間Ｓ６の時間長を、加熱プロファイルで規定されたｔｍ６［ｓｅｃ］よりも短くする。これにより、第２取得対象期間Ａ２におけるエアロゾル源や香味成分の消費量が加熱プロファイル設計時の想定よりも多いと考えられる場合には、第３温度維持区間Ｓ６を短縮して、加熱プロファイル通りに制御した場合に比べて、加熱部１２１による加熱が停止されるタイミングを早くすることができる。よって、スティック型基材１５０に含まれるエアロゾル源又は香味成分が枯渇しかけているのに加熱部１２１による加熱が無駄に継続されてしまうといった事態が発生するのを回避することが可能となる。

　また、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値Ｔｈ２未満である場合には、第２温度維持区間Ｓ４の時間長を、加熱プロファイルで規定されたｔｍ４［ｓｅｃ］よりも長くする。これにより、第１取得対象期間Ａ１におけるエアロゾル源や香味成分の消費量が加熱プロファイル設計時の想定よりも少ないと考えられる場合には、第２温度維持区間Ｓ４を延長して、加熱プロファイル通りに制御した場合に比べて、加熱部１２１による加熱が継続される期間（換言するとエアロゾルが生成される期間）を長くすることができる。よって、十分なエアロゾル源及び香味成分がスティック型基材１５０に残存しているのに加熱部１２１による加熱を停止させてしまうといった事態が発生するのを回避することが可能となる。

　同様に、制御部１１６は、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第４所定値Ｔｈ４未満である場合には、第３温度維持区間Ｓ６の時間長を、加熱プロファイルで規定されたｔｍ６［ｓｅｃ］よりも長くする。これにより、第２取得対象期間Ａ２におけるエアロゾル源や香味成分の消費量が加熱プロファイル設計時の想定よりも少ないと考えられる場合には、第３温度維持区間Ｓ６を延長して、加熱プロファイル通りに制御した場合に比べて、加熱部１２１による加熱が継続される期間（換言するとエアロゾルが生成される期間）を長くすることができる。よって、十分なエアロゾル源及び香味成分がスティック型基材１５０に残存しているのに加熱部１２１による加熱を停止させてしまうといった事態が発生するのを回避することが可能となる。

　なお、以上に説明した例では、第１取得対象期間Ａ１と第２取得対象期間Ａ２とを取得対象期間として設けて、制御部１１６が、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度に基づき第２温度維持区間Ｓ４の時間長を、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度に基づき第３温度維持区間Ｓ６の時間長を、それぞれ変更し得るようにしたが、これに限られない。

　例えば、取得対象期間として第１取得対象期間Ａ１のみを設けて、制御部１１６が、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度に基づき第２温度維持区間Ｓ４の時間長のみを変更し得るようにしてもよい。又は、取得対象期間として第１取得対象期間Ａ１のみを設けて、制御部１１６が、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度に基づき第３温度維持区間Ｓ６の時間長のみを変更し得るようにしてもよい。若しくは、取得対象期間として第１取得対象期間Ａ１のみを設けて、制御部１１６が、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度に基づき第２温度維持区間Ｓ２及び第３温度維持区間Ｓ６の時間長をそれぞれ変更し得るようにしてもよい。他の一例として、取得対象期間として第２取得対象期間Ａ２のみを設けて、制御部１１６が、第２取得対象期間Ａ２における吸引時間、吸引量、又は吸引強度に基づき第３温度維持区間Ｓ６の時間長のみを変更し得るようにしてもよい。

　第１取得対象期間Ａ１のみとする等、取得対象期間をなるべく短くすることで、取得対象期間における吸引態様（吸引時間、吸引量、又は吸引強度）をあらわす情報を取得する処理に要する制御部１１６の負担を低減することが可能となる。

　例えば、前述したように、加熱プロファイルに基づく制御が開始されたときから加熱部１２１による加熱が停止されるまでの期間の半分よりも短い第１取得対象期間Ａ１のみとすることで、加熱プロファイルに基づく制御が行われる期間の前半部分でのみ、取得対象期間における吸引態様をあらわす情報を取得する処理を制御部１１６が実行すればよくなる。よって、加熱プロファイルに基づく制御が行われる期間の後半部分では、取得対象期間における吸引態様をあらわす情報を取得する処理を制御部１１６が実行しないようにすることができ、制御部１１６の処理負担の低減を図れる。

　また、例えば、第１取得対象期間Ａ１及び第２取得対象期間Ａ２に加えて他の取得対象期間もさらに設けるといったように、取得対象期間を３つ以上としてもよい。取得対象期間を細やかに設けることにより、各取得対象期間における吸引態様に応じて、加熱部１２１の制御態様をより細やかに変更することが可能となる。

　また、制御部１１６は、第２取得対象期間Ａ２等の取得対象期間における吸引態様に応じて、加熱部１２１による加熱が停止される直前の時間区間である第３温度維持区間Ｓ６の時間長を変更する。これにより、加熱部１２１による加熱が停止される直前の時間区間である第３温度維持区間Ｓ６となるまでは、ユーザの吸引態様によらず（すなわち、第２取得対象期間Ａ２等の取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が、所定値以上又は所定値未満であった場合にも）、加熱プロファイルにより計画された通りにエアロゾルを生成させることが可能となる。

　また、以上に説明した例では、第２温度維持区間Ｓ４や第３温度維持区間Ｓ６といった加熱部１２１の温度が略一定に保たれる温度維持区間を、時間長が変更される対象となる時間区間とした。温度維持区間の代わりに、昇温区間又は降温区間といった加熱部１２１の温度が変化する時間区間（例えば第２昇温区間Ｓ５）を、時間長が変更される対象となる時間区間とすることも考えられる。しかしながら、このようにすると、加熱部１２１の温度が変化する時間区間を短縮した場合に、時間が不足して加熱部１２１の温度が目標温度に達しない、又は、目標温度に達するために加熱部１２１の温度が急激に変化する、といった事態が発生し得る。このような事態が発生するのは、質の高い喫煙体験をユーザに提供する観点から好ましくない。

　これに対し、第２温度維持区間Ｓ４や第３温度維持区間Ｓ６といった加熱部１２１の温度が略一定に保たれる温度維持区間を、時間長が変更される対象となる時間区間とした場合には、当該時間区間を短縮したとしても、加熱部１２１の温度が目標温度に達しない、又は加熱部１２１の温度が急激に変化する、といった事態が発生し難い。よって、温度維持区間を、時間長が変更される対象となる時間区間とすることで、当該時間区間の時間長を変更したとしても、ユーザの喫煙体験の質が低下し得る事態が発生するのを抑制することが可能となる。

　また、以上に説明した例では、目標温度が相対的に低い低温区間である第２温度維持区間Ｓ４を、時間長が変更される対象となる時間区間とした。第２温度維持区間Ｓ４のような低温区間は、目標温度が相対的に高い時間区間に比べて、単位時間あたりに加熱部１２１に供給される電力が少なくなる。よって、第２温度維持区間Ｓ４のような低温区間を、時間長が変更される対象となる時間区間とすることで、加熱部１２１が消費する電力の増加を抑制しながら、当該時間区間を延長できる。また、第２温度維持区間Ｓ４のような低温区間は、典型的には、時間長がある程度長く設定されており、時間長を変更する余地が十分に確保されているため、時間長の変更も容易である。

　また、以上に説明した例では、第１取得対象期間Ａ１等の取得対象期間における吸引態様に基づき、その後の時間区間の時間長を変更するようにしたが、これに限られない。例えば、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１等の取得対象期間における吸引態様に基づき、その後の時間区間の目標温度を変更するようにしてもよい。

　以下、制御部１１６が、第１取得対象期間Ａ１等の取得対象期間における吸引態様に基づき、その後の時間区間の目標温度を変更するようにした場合の一例について具体的に説明する。なお、以下の説明では、以上に説明した例と異なる箇所のみを中心に説明し、以上に説明した例と同様の箇所についてはその説明を適宜省略又は簡略化する。

　図９は、第１取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値以上であった場合の制御態様の変更例を示す図（その２）である。図１０は、第１取得対象期間における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値未満であった場合の制御態様の変更例を示す図（その２）である。図９及び図１０における縦軸は、目標温度［℃］をあらわす。図９及び図１０における縦軸は、時間［ｓｅｃ］をあらわす。また、図９及び図１０に示す例では、第１取得対象期間Ａ１のみが取得対象期間として設けられているものとする。

　図９に示すように、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上であった場合、制御部１１６は、例えば、第３温度維持区間Ｓ６（すなわち第６時間区間Ｓ６）の目標温度を、当初のＴ３［℃］から、Ｔ３［℃］よりも高いＴ３ａ［℃］に変更する（すなわち上昇させる）。ここで、Ｔ３ａは、例えば、Ｔ３に一定値ΔＴａ（ただしΔＴａ＞０）を加えたもの（すなわちＴ３ａ＝Ｔ３＋ΔＴａ）とすることができる。なお、一定値ΔＴａは、例えば、吸引装置１００の製造業者等によって制御部１１６にあらかじめ設定される。

　スティック型基材１５０を加熱したときに発生するエアロゾル及び当該エアロゾルに付与される香味成分は、加熱する温度と、加熱時にスティック型基材１５０に残存しているエアロゾル源及び香味成分の量と、に依存する。より具体的には、スティック型基材１５０を加熱したときに発生するエアロゾル及び当該エアロゾルに付与される香味成分は、加熱する温度が高いほど多くなり、また、加熱時にスティック型基材１５０に残存しているエアロゾル源及び香味成分の量が多いほど多くなる。

　第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上である場合には、スティック型基材１５０に残存しているエアロゾル源及び香味成分の量が加熱プロファイル設計時の想定よりも少ないと考えられる。よって、このような場合には、加熱プロファイルで規定された目標温度で加熱しても、エアロゾル又は当該エアロゾルに付与される香味成分が不足し、質の高い喫煙体験をユーザに提供できないおそれがある。

　そこで、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上である場合には、第３温度維持区間Ｓ６の目標温度を、加熱プロファイルで規定された目標温度よりも高くする。これにより、加熱プロファイル通りに制御するようにした場合に比べて、第３温度維持区間Ｓ６において生成されるエアロゾル及び当該エアロゾルに付与される香味成分を増加させることができる。よって、第３温度維持区間Ｓ６においても、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが可能となる。

　また、図１０に示すように、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値Ｔｈ２未満であった場合、制御部１１６は、例えば、第３温度維持区間Ｓ６（すなわち第６時間区間Ｓ６）の目標温度を、当初のＴ３［℃］から、Ｔ３［℃］よりも低いＴ３ｂ［℃］に変更する（すなわち低下させる）。ここで、Ｔ３ｂは、例えば、Ｔ３から一定値ΔＴｂ（ただしΔＴａ＞０）を減じたもの（すなわちＴ３ｂ＝Ｔ３－ΔＴｂ）とすることができる。なお、一定値ΔＴｂは、例えば、吸引装置１００の製造業者等によって制御部１１６にあらかじめ設定される。

　第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値Ｔｈ２未満である場合には、スティック型基材１５０に残存しているエアロゾル源及び香味成分の量が加熱プロファイル設計時の想定よりも多いと考えられる。よって、このような場合には、加熱プロファイルで規定された目標温度で加熱すると、エアロゾル又は当該エアロゾルに付与される香味成分が過剰となり、質の高い喫煙体験をユーザに提供できないおそれがある。

　そこで、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値Ｔｈ２未満である場合には、第３温度維持区間Ｓ６の目標温度を、加熱プロファイルで規定された目標温度よりも低くする。これにより、加熱プロファイル通りに制御するようにした場合に比べて、第３温度維持区間Ｓ６において生成されるエアロゾル及び当該エアロゾルに付与される香味成分を減少させることができる。よって、第３温度維持区間Ｓ６においても、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが可能となる。

　以上に説明したように、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１等の取得対象期間における吸引態様に基づき、その後の時間区間の目標温度を変更するようにしてもよい。

　さらに、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１等の取得対象期間における吸引態様に基づき、その後の時間区間の時間長及び目標温度の両方を変更するようにしてもよい。

　一例として、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上である場合には、第３温度維持区間Ｓ６の時間長を前述のｔｍ６ａ［ｓｅｃ］に短縮するとともに、第３温度維持区間Ｓ６の目標温度を前述のＴ３ａ［℃］に高めるようにしてもよい。

　他の一例として、制御部１１６は、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第２所定値Ｔｈ２未満である場合には、第３温度維持区間Ｓ６の時間長を前述のｔｍ６ｂ［ｓｅｃ］に延長するとともに、第３温度維持区間Ｓ６の目標温度を前述のＴ３ｂ［℃］に低下させるようにしてもよい。

　このように、制御部１１６が、第１取得対象期間Ａ１等の取得対象期間における吸引態様に基づき、その後の時間区間の時間長及び目標温度の両方を変更するようにしても、エアロゾル源を有するスティック型基材１５０を適切に消費して、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが可能となる。

　また、吸引装置１００は、複数の加熱プロファイルを有していてもよい。例えば、スティック型基材１５０として、香味成分にメンソールが含まれる「メンソールタイプ」と、香味成分にメンソールが含まれない「レギュラータイプ」との２種類がある場合に、メンソールタイプ用の加熱プロファイルと、レギュラータイプ用の加熱プロファイルとを設けることが考えられる。

　このようにした場合、制御部１１６は、例えば、スティック型基材１５０の種別（すなわちメンソールタイプであるかレギュラータイプであるか）を判別可能に構成される。一例として、制御部１１６は、スティック型基材１５０の種別を示す情報をセンサ部１１２の入力装置を介してユーザから受け付けることで、受け付けた情報に基づいて、スティック型基材１５０の種別を判別することができる。

　他の一例として、センサ部１１２は、種別によって異なるスティック型基材１５０における所定の物理量（例えば光の透過率や反射率、又は電気抵抗値等）を検出してもよい。そして、制御部１１６は、センサ部１１２によって検出された物理量に基づいて、スティック型基材１５０の種別を判別してもよい。

　そして、制御部１１６は、スティック型基材１５０の種別の判別結果に基づいて、吸引装置１００が有する複数の加熱プロファイルのうちから、今回の加熱部１２１の制御に用いる加熱プロファイルを選択し、選択した加熱プロファイルに基づいて加熱部１２１を制御する。例えば、制御部１１６は、スティック型基材１５０の種別をメンソールタイプと判別した場合にはメンソールタイプ用の加熱プロファイルを選択し、レギュラータイプと判別した場合にはレギュラータイプ用の加熱プロファイルを選択する。

　このように、制御部１１６が、スティック型基材１５０の種別を判別し、その判別結果に基づいて加熱プロファイルを選択することで、スティック型基材１５０の種別に応じた適切な加熱プロファイルによって加熱部１２１を制御することが可能となる。よって、スティック型基材１５０の種別によらず、ユーザが味わう香味を最適にすることができ、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが可能となる。

　なお、本実施形態で説明した加熱プロファイルは、このように、スティック型基材１５０の種別の判別結果に基づき制御部１１６によって選択された加熱プロファイルであってもよい。

　また、複数の加熱プロファイルがある場合、取得対象期間は、加熱プロファイルごとに異なっていてもよい。同様に、時間長又は目標温度が変更される対象となる時間区間も、加熱プロファイルごとに異なっていてもよい。さらに、時間長の変更量（例えば前述のΔｔａ～Δｔｄ）、又は目標温度の変更量（例えば前述のΔＴａ、ΔＴｂ）も、加熱プロファイルごとに異なっていてもよい。

　また、制御部１１６は、加熱プロファイルにより規定された時間長又は目標温度（すなわち制御態様）をベースにした上で、当該時間長又は目標温度を、第１取得対象期間Ａ１等の取得対象期間における吸引態様に基づき変更する。

　一例として、図４に示したように、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上であった場合、制御部１１６は、第２温度維持区間Ｓ４の時間長を、加熱プロファイルにより規定されたｔｍ４［ｓｅｃ］から一定値Δｔａ［ｓｅｃ］を減じたｔｍ４ａ［ｓｅｃ］とする。他の一例として、図９に示したように、第１取得対象期間Ａ１における吸引時間、吸引量、又は吸引強度が第１所定値Ｔｈ１以上であった場合、制御部１１６は、第３温度維持区間Ｓ６の目標温度を、加熱プロファイルにより規定されたＴ３［℃］に一定値ΔＴａ［℃］を加えたＴ３ａ［℃］とする。

　このように、加熱プロファイルにより規定された時間長又は目標温度をベースにした上で、当該時間長又は目標温度を、第１取得対象期間Ａ１等の取得対象期間における吸引態様に基づき変更することで、吸引装置１００の構成が煩雑化するのを抑制しながら、スティック型基材１５０を適切に消費して、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが可能となる。

　これに対して、例えば、それぞれが互いに異なる吸引態様に対応する多数の加熱プロファイルを吸引装置１００にあらかじめ用意しておき、制御部１１６が、ユーザの吸引態様に応じた加熱プロファイルを適宜選択するといった方法も考えられる。しかしながら、このようにした場合には、多数の加熱プロファイルが必要となり、また、これら多数の加熱プロファイルを記憶するために記憶部１１４の大容量化も必要になったりする。よって、このようにした場合には、吸引装置１００の構成が煩雑化するおそれある。

　以上に説明したように、本実施形態によれば、加熱プロファイルで前提とした標準的な吸引とは異なる吸引態様の吸引が行われたとしても、エアロゾル源を有するスティック型基材１５０を適切に消費して、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが可能な吸引装置１００を提供できる。

　なお、前述した実施形態で説明した吸引装置１００の制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータ（プロセッサ）で実行することにより実現できる。本プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶され、記憶媒体から読み出されることによって実行される。また、本プログラムは、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体に記憶された形で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。また、本プログラムを実行するコンピュータは、例えば、吸引装置１００に含まれるもの（例えば吸引装置１００が有するＣＰＵ）とすることができるが、これに限られず、吸引装置１００と通信可能な他装置（例えばスマートフォン又はサーバ装置）に含まれるものでもあってもよい。

　以上、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。

　本明細書等には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、前述した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。

　（１）　エアロゾル源を有する基材（スティック型基材１５０）を加熱してエアロゾルを生成する加熱部（加熱部１２１）と、
　前記加熱部の温度の目標値である目標温度の時系列推移を規定した加熱プロファイルに基づいて、前記加熱部の動作を制御する制御部（制御部１１６）と、を備え、
　前記加熱部により生成されたエアロゾルをユーザが吸引可能とする吸引装置（吸引装置１００）であって、
　前記制御部は、
　エアロゾルの生成要求があったことに応じて、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御を開始し、
　前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部を制御している第１期間における吸引態様をあらわす情報を取得し、
　前記第１期間後の第２期間における前記加熱部の制御態様を、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様から、前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更する、
　吸引装置。

　（１）によれば、加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部を制御している第１期間後の第２期間における加熱部の制御態様を、第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更できる。これにより、第１期間における吸引態様が加熱プロファイルで前提とした標準的な吸引とは異なるものであったとしても、その後の第２期間では、第１期間において実際に行われた吸引を考慮して加熱部を適切に制御できる。よって、基材を適切に消費して、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが可能となる。

　（２）　（１）に記載の吸引装置であって、
　前記加熱プロファイルは、時間軸に沿って連続する複数の時間区間（第１時間区間Ｓ１～第６時間区間Ｓ６）に含まれる各時間区間の時間長と前記目標温度とを規定した情報であり、
　前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様は、前記第２期間に含まれる時間区間のうちのいずれかの前記時間長を、前記第１期間における吸引態様に応じて変更したものである、
　吸引装置。

　（２）によれば、第１期間後の第２期間に含まれるいずれかの時間区間の時間長を、第１期間における吸引態様に応じて変更できる。これにより、第１期間における吸引態様によって、加熱部による加熱が停止されるタイミングを早くしたり、加熱部による加熱が継続される期間を長くしたりすることができる。よって、十分なエアロゾル源が基材に残存しているのに加熱部による加熱を停止させてしまう、又は、基材に含まれるエアロゾル源が枯渇しかけているのに加熱部による加熱を無駄に継続させてしまう、といった事態が発生するのを回避することが可能となる。

　（３）　（２）に記載の吸引装置であって、
　前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様は、前記第２期間に含まれる時間区間のうちの、前記加熱部による加熱が停止される直前の時間区間（第６時間区間Ｓ６）の前記時間長を、前記第１期間における吸引態様に応じて変更したものである、
　吸引装置。

　（３）によれば、時間長が変更される対象となる時間区間が、加熱部による加熱が停止される直前の時間区間であるため、加熱部による加熱が停止される直前の時間区間となるまでは、ユーザの吸引態様によらず、加熱プロファイルにより計画された通りにエアロゾルを生成させることが可能となる。

　（４）　（２）に記載の吸引装置であって、
　前記複数の時間区間は、最初に設けられた第１昇温区間（第１時間区間Ｓ１）と、前記第１昇温区間の後に設けられ且つ前記目標温度が前記第１昇温区間よりも低い降温区間（第３時間区間Ｓ３）と、前記降温区間の後に設けられ且つ前記目標温度が前記降温区間よりも高い第２昇温区間（第５時間区間Ｓ５）と、前記目標温度が前記第２昇温区間よりも低い低温区間（第４時間区間Ｓ４）と、を含み、
　前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様は、前記第２期間に含まれる時間区間のうちの前記低温区間の前記時間長を、前記第１期間における吸引態様に応じて変更したものである、
　吸引装置。

　（４）によれば、時間長が変更される対象となる時間区間が、目標温度が相対的に低い低温区間であるため、加熱部が消費する電力の増加を抑制しながら、当該時間区間を延長できる。

　（５）　（２）に記載の吸引装置であって、
　前記複数の時間区間は、前記加熱部の温度を一定温度に維持するように前記制御部が制御する温度維持区間（第４時間区間Ｓ４、第６時間区間Ｓ６）を含み、
　前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様は、前記第２期間に含まれる時間区間のうちの前記温度維持区間の前記時間長を、前記第１期間における吸引態様に応じて変更したものである、
　吸引装置。

　（５）によれば、時間長が変更される対象となる時間区間が、加熱部の温度が略一定に保たれる温度維持区間であるため、当該時間区間の時間長を変更したとしても、ユーザの喫煙体験の質が低下し得る事態が発生するのを抑制することが可能となる。

　（６）　（１）に記載の吸引装置であって、
　前記加熱プロファイルは、時間軸に沿って連続する複数の時間区間（第１時間区間Ｓ１～第６時間区間Ｓ６）に含まれる各時間区間の時間長と前記目標温度とを規定した情報であり、
　前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様は、前記第２期間に含まれるいずれかの時間区間の前記目標温度を、前記第１期間における吸引態様に応じて変更したものである、
　吸引装置。

　（６）によれば、第１期間後の第２期間に含まれるいずれかの時間区間の目標温度を、第１期間における吸引態様に応じて変更できる。これにより、第１期間における吸引態様が加熱プロファイルで前提とした標準的な吸引とは異なるものであったとしても、第２期間において、適切な量のエアロゾルを生成させることができ、質の高い喫煙体験をユーザに提供ことが可能となる。

　（７）　（１）から（６）のいずれかに記載の吸引装置であって、
　前記第１期間は、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御が開始されたとき又は吸引可能期間が開始されたときから、所定時間（第１所定時間Ｔｍ１、第２所定時間Ｔｍ２）が経過するまで又は所定回数の吸引が行われるまでの期間である、
　吸引装置。

　（７）によれば、第１期間として、ある程度長い期間を確保することが可能となる。

　（８）　（７）に記載の吸引装置であって、
　前記第１期間は、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御が開始されたとき又は吸引可能期間が開始されたときから前記所定時間が経過するまでの期間であり、
　前記所定時間は、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御が開始されたとき又は吸引可能期間が開始されたときから前記加熱部による加熱が停止されるまでの期間（ｔｍ１＋ｔｍ２＋ｔｍ３＋ｔｍ４＋ｔｍ５＋ｔｍ６）の半分よりも短い、
　吸引装置。

　（８）によれば、加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部が制御される期間の後半部分では、第１期間における吸引態様を取得する処理を制御部が実行しないようにすることができ、制御部の処理負担の低減を図れる。

　（９）　（１）から（８）のいずれかに記載の吸引装置であって、
　前記加熱プロファイルは、あらかじめ用意された複数の加熱プロファイルのうち選択された一の加熱プロファイルであり、
　前記制御部は、前記基材の種別を判別可能に構成され、
　前記一の加熱プロファイルは、前記基材の種別の判別結果に基づき前記制御部によって選択された加熱プロファイルである、
　吸引装置。

　（９）によれば、基材の種別に応じた適切な加熱プロファイルによって加熱部を制御することが可能となる。

　（１０）　（１）から（９）のいずれかに記載の吸引装置であって、
　前記第１期間における吸引態様は、前記第１期間における吸引時間、前記第１期間における吸引量、又は前記第１期間における吸引強度のうちのいずれか又はこれらのうちの２以上の組み合わせである、
　吸引装置。

　（１０）によれば、第２期間における加熱部の制御態様を、第１期間における吸引時間、第１期間における吸引量、又は第１期間における吸引強度に応じて変更することが可能となる。

　（１１）　（１０）に記載の吸引装置であって、
　前記第１期間における吸引態様は、前記第１期間における吸引量を少なくとも含み、
　前記第１期間における吸引量は、前記第１期間における１回の吸引により生じた流量の最大値（Ｆｗ２０）、前記第１期間における複数回の吸引により生じた流量の積算値（Ｆｗ１０＋Ｆｗ２０）、又は前記第１期間における単位時間あたりの流量の最大値（Ｆｗ２１）のいずれかである、
　吸引装置。

　（１１）によれば、第２期間における加熱部の制御態様を、第１期間における１回の吸引により生じた流量の最大値、第１期間における複数回の吸引により生じた流量の積算値、又は第１期間における単位時間あたりの流量の最大値に応じて変更することが可能となる。

　（１２）　（１０）に記載の吸引装置であって、
　前記第１期間における吸引態様は、前記第１期間における吸引時間を少なくとも含み、
　前記第１期間における吸引時間は、前記第１期間において吸引により生じた流量が閾値（閾値ＴｈＸ）以上である期間の長さ（ｔｍ１１＋ｔｍ２１）、前記第１期間における１回の吸引による吸引時間の最大値（ｔｍ２０）、又は前記第１期間における複数回の吸引による吸引時間の積算値（ｔｍ１０＋ｔｍ２０）である、
　吸引装置。

　（１２）によれば、第２期間における加熱部の制御態様を、第１期間において吸引により生じた流量が閾値以上である期間の長さ、第１期間における１回の吸引による吸引時間の最大値、又は第１期間における複数回の吸引による吸引時間の積算値に応じて変更することが可能となる。

　（１３）　（１０）に記載の吸引装置であって、
　前記第１期間における吸引態様は、前記第１期間における吸引強度を少なくとも含み、
　前記第１期間における吸引強度は、前記第１期間における単位時間ごとの吸引強度のうちの最大値、又は前記第１期間における単位時間ごとの吸引強度の積算値である、
　吸引装置。

　（１３）によれば、第２期間における加熱部の制御態様を、第１期間における単位時間ごとの吸引強度のうちの最大値、又は第１期間における単位時間ごとの吸引強度の積算値に応じて変更することが可能となる。

　（１４）　エアロゾル源を有する基材（スティック型基材１５０）を加熱してエアロゾルを生成する加熱部（加熱部１２１）を備え、前記加熱部により生成されたエアロゾルをユーザが吸引可能とする吸引装置（吸引装置１００）を制御するコンピュータ（制御部１１６）が、
　エアロゾルの生成要求があったことに応じて、前記加熱部の温度の目標値である目標温度の時系列推移を規定した加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御を開始し（ステップＳｐ１１）、
　前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部を制御している第１期間における吸引態様をあらわす情報を取得し（ステップＳｐ１２）、
　前記第１期間後の第２期間における前記加熱部の制御態様を、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様から、前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更する（ステップＳｐ１４～Ｓｐ１７、ステップＳｐ１９～Ｓｐ２２）、
　処理を実行する制御方法。

　（１４）によれば、加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部を制御している第１期間後の第２期間における加熱部の制御態様を、第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更できる。これにより、第１期間における吸引態様が加熱プロファイルで前提とした標準的な吸引とは異なるものであったとしても、その後の第２期間では、第１期間において実際に行われた吸引を考慮して加熱部を適切に制御できる。よって、基材を適切に消費して、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが可能となる。

　（１５）　エアロゾル源を有する基材（スティック型基材１５０）を加熱してエアロゾルを生成する加熱部（加熱部１２１）を備え、前記加熱部により生成されたエアロゾルをユーザが吸引可能とする吸引装置（吸引装置１００）を制御するコンピュータ（制御部１１６）に、
　エアロゾルの生成要求があったことに応じて、前記加熱部の温度の目標値である目標温度の時系列推移を規定した加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御を開始し（ステップＳｐ１１）、
　前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部を制御している第１期間における吸引態様をあらわす情報を取得し（ステップＳｐ１２）、
　前記第１期間後の第２期間における前記加熱部の制御態様を、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様から、前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更する（ステップＳｐ１４～Ｓｐ１７、ステップＳｐ１９～Ｓｐ２２）、
　処理を実行させるプログラム。

　（１５）によれば、加熱プロファイルにより規定された制御態様で加熱部を制御している第１期間後の第２期間における加熱部の制御態様を、第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更できる。これにより、第１期間における吸引態様が加熱プロファイルで前提とした標準的な吸引とは異なるものであったとしても、その後の第２期間では、第１期間において実際に行われた吸引を考慮して加熱部を適切に制御できる。よって、基材を適切に消費して、質の高い喫煙体験をユーザに提供することが可能となる。

　１００　吸引装置
　１１２　センサ部（検出部）
　１１６　制御部
　１２１　加熱部
　１５０　スティック型基材（基材）
　Ｓ１　第１時間区間（時間区間、第１昇温区間）
　Ｓ２　第２時間区間（時間区間）
　Ｓ３　第３時間区間（時間区間、降温区間）
　Ｓ４　第４時間区間（時間区間、低温区間、温度維持区間）
　Ｓ５　第５時間区間（時間区間、第２昇温区間）
　Ｓ６　第６時間区間（時間区間、温度維持区間）

Claims

　エアロゾル源を有する基材を加熱してエアロゾルを生成する加熱部と、
　前記加熱部の温度の目標値である目標温度の時系列推移を規定した加熱プロファイルに基づいて、前記加熱部の動作を制御する制御部と、を備え、
　前記加熱部により生成されたエアロゾルをユーザが吸引可能とする吸引装置であって、
　前記制御部は、
　エアロゾルの生成要求があったことに応じて、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御を開始し、
　前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部を制御している第１期間における吸引態様をあらわす情報を取得し、
　前記第１期間後の第２期間における前記加熱部の制御態様を、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様から、前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更する、
　吸引装置。
　請求項１に記載の吸引装置であって、
　前記加熱プロファイルは、時間軸に沿って連続する複数の時間区間に含まれる各時間区間の時間長と前記目標温度とを規定した情報であり、
　前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様は、前記第２期間に含まれる時間区間のうちのいずれかの前記時間長を、前記第１期間における吸引態様に応じて変更したものである、
　吸引装置。
　請求項２に記載の吸引装置であって、
　前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様は、前記第２期間に含まれる時間区間のうちの、前記加熱部による加熱が停止される直前の時間区間の前記時間長を、前記第１期間における吸引態様に応じて変更したものである、
　吸引装置。
　請求項２に記載の吸引装置であって、
　前記複数の時間区間は、最初に設けられた第１昇温区間と、前記第１昇温区間の後に設けられ且つ前記目標温度が前記第１昇温区間よりも低い降温区間と、前記降温区間の後に設けられ且つ前記目標温度が前記降温区間よりも高い第２昇温区間と、前記目標温度が前記第２昇温区間よりも低い低温区間と、を含み、
　前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様は、前記第２期間に含まれる時間区間のうちの前記低温区間の前記時間長を、前記第１期間における吸引態様に応じて変更したものである、
　吸引装置。
　請求項２に記載の吸引装置であって、
　前記複数の時間区間は、前記加熱部の温度を一定温度に維持するように前記制御部が制御する温度維持区間を含み、
　前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様は、前記第２期間に含まれる時間区間のうちの前記温度維持区間の前記時間長を、前記第１期間における吸引態様に応じて変更したものである、
　吸引装置。
　請求項１に記載の吸引装置であって、
　前記加熱プロファイルは、時間軸に沿って連続する複数の時間区間に含まれる各時間区間の時間長と前記目標温度とを規定した情報であり、
　前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様は、前記第２期間に含まれるいずれかの時間区間の前記目標温度を、前記第１期間における吸引態様に応じて変更したものである、
　吸引装置。
　請求項１から６のいずれか１項に記載の吸引装置であって、
　前記第１期間は、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御が開始されたとき又は吸引可能期間が開始されたときから、所定時間が経過するまで又は所定回数の吸引が行われるまでの期間である、
　吸引装置。
　請求項７に記載の吸引装置であって、
　前記第１期間は、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御が開始されたとき又は吸引可能期間が開始されたときから前記所定時間が経過するまでの期間であり、
　前記所定時間は、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御が開始されたとき又は吸引可能期間が開始されたときから前記加熱部による加熱が停止されるまでの期間の半分よりも短い、
　吸引装置。
　請求項１から８のいずれか１項に記載の吸引装置であって、
　前記加熱プロファイルは、あらかじめ用意された複数の加熱プロファイルのうち選択された一の加熱プロファイルであり、
　前記制御部は、前記基材の種別を判別可能に構成され、
　前記一の加熱プロファイルは、前記基材の種別の判別結果に基づき前記制御部によって選択された加熱プロファイルである、
　吸引装置。
　請求項１から９のいずれか１項に記載の吸引装置であって、
　前記第１期間における吸引態様は、前記第１期間における吸引時間、前記第１期間における吸引量、又は前記第１期間における吸引強度のうちのいずれか又はこれらのうちの２以上の組み合わせである、
　吸引装置。
　請求項１０に記載の吸引装置であって、
　前記第１期間における吸引態様は、前記第１期間における吸引量を少なくとも含み、
　前記第１期間における吸引量は、前記第１期間における１回の吸引により生じた流量の最大値、前記第１期間における複数回の吸引により生じた流量の積算値、又は前記第１期間における単位時間あたりの流量の最大値のいずれかである、
　吸引装置。
　請求項１０に記載の吸引装置であって、
　前記第１期間における吸引態様は、前記第１期間における吸引時間を少なくとも含み、
　前記第１期間における吸引時間は、前記第１期間において吸引により生じた流量が閾値以上である期間の長さ、前記第１期間における１回の吸引による吸引時間の最大値、又は前記第１期間における複数回の吸引による吸引時間の積算値である、
　吸引装置。
　請求項１０に記載の吸引装置であって、
　前記第１期間における吸引態様は、前記第１期間における吸引強度を少なくとも含み、
　前記第１期間における吸引強度は、前記第１期間における単位時間ごとの吸引強度のうちの最大値、又は前記第１期間における単位時間ごとの吸引強度の積算値である、
　吸引装置。
　エアロゾル源を有する基材を加熱してエアロゾルを生成する加熱部を備え、前記加熱部により生成されたエアロゾルをユーザが吸引可能とする吸引装置を制御するコンピュータが、
　エアロゾルの生成要求があったことに応じて、前記加熱部の温度の目標値である目標温度の時系列推移を規定した加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御を開始し、
　前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部を制御している第１期間における吸引態様をあらわす情報を取得し、
　前記第１期間後の第２期間における前記加熱部の制御態様を、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様から、前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更する、
　処理を実行する制御方法。
　エアロゾル源を有する基材を加熱してエアロゾルを生成する加熱部を備え、前記加熱部により生成されたエアロゾルをユーザが吸引可能とする吸引装置を制御するコンピュータに、
　エアロゾルの生成要求があったことに応じて、前記加熱部の温度の目標値である目標温度の時系列推移を規定した加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部の制御を開始し、
　前記加熱プロファイルにより規定された制御態様で前記加熱部を制御している第１期間における吸引態様をあらわす情報を取得し、
　前記第１期間後の第２期間における前記加熱部の制御態様を、前記加熱プロファイルにより規定された制御態様から、前記第１期間における吸引態様に基づく制御態様に変更する、
　処理を実行させるプログラム。