WO2024048313A1

WO2024048313A1 - ステータ

Info

Publication number: WO2024048313A1
Application number: PCT/JP2023/029758
Authority: WO
Inventors: 智彦竹味; 清隆古賀; 隆洋小淵; 大輔丸井
Original assignee: 株式会社アイシン
Priority date: 2022-08-30
Filing date: 2023-08-17
Publication date: 2024-03-07

Abstract

このステータでは、コイル部は、互いに接続される波巻きコイル部によって、周方向の一方側に沿って径方向の他方側の端から一方側の端まで順に段階的に波巻きされるとともに、第２コイルエンド部により周方向の向きを一方から他方へと変更して、周方向の他方側に沿って径方向の一方側の端から他方側の端まで順に波巻きされている。

Description

ステータ

　本発明は、ステータに関する。

　従来、複数のスロットが設けられたステータコアを有するステータが知られている。このようなステータは、たとえば、国際公開第２０２２／０７１０２９号に記載されている。

　上記国際公開第２０２２／０７１０２９号に記載のステータは、複数のスロットが設けられたステータコアと、ステータコアに装着されたコイル部とを備えている。コイル部は、導体連結体により構成されている。導体連結体は、スロット内を通過する複数の直線部と、ステータコアの軸方向の一方側に設けられた曲げ部を有する。コイル部では、２つの直線部が曲げ部を介して互いに繋がっている。また、上記国際公開第２０２２／０７１０２９号に記載のステータでは、コイル部の直線部が、複数のスロットの各々において、径方向に並ぶ４層のレイヤに配置されている。すなわち、１つのスロットにおいて、径方向に並んで４つの直線部が通過する。そして、導体連結体は、直線部を隣り合うレイヤに交互に通過させるようにステータコアを周回する。具体的には、導体連結体は、直線部が最も内側のレイヤと２番目に内側のレイヤとを交互に通過するように、周方向に沿ってステータコアをジグザグ状に周回した後に、直線部が通過するレイヤを途中で切り替えて、３番目に内側のレイヤと最も外側のレイヤとを交互に通過するように周方向に沿ってステータコアをジグザグ状に周回するように構成されている。

国際公開第２０２２／０７１０２９号

　しかしながら、上記国際公開第２０２２／０７１０２９号に記載のステータでは、最も内側のレイヤと２番目に内側のレイヤとを交互に通過したあと、３番目に内側のレイヤと最も外側のレイヤとを交互に通過するように、２番目に内側のレイヤから３番目に内側のレイヤへと接続されることによって交互に通過する２つのレイヤが途中で切り替えられる。そのため、交互に通過する２つのレイヤが切り替えられるように２番目に内側のレイヤから３番目に内側のレイヤへと接続される部分において他のコイルエンド部分の導体を跨ぐ必要があるため、コイルエンド部分のスロットの径方向における途中の部分において、ステータコアの軸方向における大きさが大きくなる。これにより、ステータが大型化するため、ステータコアの軸方向におけるコイル部の大きさを小さくすることが望まれている。

　この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の１つの目的は、ステータコアの軸方向におけるコイル部の大きさを小さくすることが可能なステータを提供することである。

　上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるステータは、軸方向に延びる複数のスロットを含むステータコアと、複数のスロットの各々に配置され、導線が波巻きされているコイル部と、を備え、コイル部は、複数のスロットの各々において、ステータコアの径方向に沿って並んだ状態で収容される複数のスロット収容部分と、互いに異なるスロットに収容されている複数のスロット収容部分のうちの、径方向の位置が互いに異なるスロット収容部分同士を一対ずつ接続する第１コイルエンド部分と、互いに異なるスロットに収容されている複数のスロット収容部分のうちの、径方向の位置が互いに共通のスロット収容部分同士を一対ずつ接続する第２コイルエンド部分と、を含み、第１コイルエンド部分は、接続するスロット収容部分の径方向の位置が、径方向の一方側に向かって径方向の他方側の端から一方側の端まで順に段階的に変更されるようにスロット収容部分同士を一対ずつ接続することによって、スロット収容部分と共にステータコアに周方向に沿って波巻きされた波巻きコイル部を形成し、第２コイルエンド部分は、スロット収容部分同士を一対ずつ接続することによって、順に段階的に波巻きされた少なくとも一対の波巻きコイル部同士を接続し、コイル部は、互いに接続される波巻きコイル部によって、周方向の一方側に沿って径方向の他方側の端から一方側の端まで順に段階的に波巻きされるとともに、第２コイルエンド部分により周方向の向きを一方から他方へと変更して、周方向の他方側に沿って径方向の一方側の端から他方側の端まで順に波巻きされている。なお、ここで言う「接続」とは、異なる導体部材同士を接合させることによって接続することのみならず、１つの導体として繋がって接続している状態をも含む広い概念として記載している。

　この発明の一の局面によるステータでは、上記のように、コイル部は、互いに接続される波巻きコイル部によって、周方向の一方側に沿って径方向の他方側の端から一方側の端まで順に段階的に波巻きされるとともに、第２コイルエンド部分により周方向の向きを一方から他方へと変更して、周方向の他方側に沿って径方向の一方側の端から他方側の端まで順に波巻きされている。これにより、複数のスロットの各々において、最も内側のレイヤと２番目に内側のレイヤとを交互に通過したあと、３番目に内側のレイヤと最も外側のレイヤとを交互に通過するように、径方向に隣り合うスロット収容部分を交互に接続する場合と異なり、２番目に内側のレイヤから３番目に内側のレイヤへと接続される部分のように接続されるスロット収容部分の径方向の位置を途中で切り替える部分を設けることなくスロット収容部分同士を接続することができる。そのため、径方向におけるスロットの途中の部分において他のコイル部を跨ぐように接続する部分を設けることなくスロット収容部分同士を接続できる。その結果、ステータコアの軸方向におけるコイル部の大きさを小さくすることができる。

　上記一の局面によるステータにおいて、好ましくは、互いに接続される波巻きコイル部の一方を形成する第１コイルエンド部分と、他方を形成する第１コイルエンド部分とは、接続するスロット収容部分の径方向の位置が互いに平行に段階的に変更されるように、スロット収容部分同士を一対ずつ接続する。

　このように構成すれば、互いに接続される波巻きコイル部の一方と他方とにおいて、接続されるスロット収容部分の径方向における位置が互いに平行に段階的に変更されるように配置されているため、互いに接続される波巻きコイル部の一方と他方との各々を構成する導体の形状を共通とすることができる。そのため、互いに接続される波巻きコイル部を折り返すように接続する場合にも、導体部材の形状の種類が増加することを抑制することができるので、コイル部を形成するための導体部材の種類が多くなることを抑制することができる。

　上記一の局面によるステータにおいて、好ましくは、第２コイルエンド部分は、複数のスロットの各々において径方向の最も外側に配置されているスロット収容部分同士を接続する最外コイルエンド部分と、径方向の最も内側に配置されているスロット収容部分同士を接続する最内コイルエンド部分との両方を含み、波巻きコイル部は、複数設けられており、複数の波巻きコイル部と、最外コイルエンド部分および最内コイルエンド部分とによって、周方向における巻線の向きが複数回変更されて波巻きされたコイル部が形成されている。

　このように構成すれば、複数の波巻きコイル部と、最外コイルエンド部分および最内コイルエンド部分とによって、周方向における巻線の向きが複数回変更されて波巻きされたコイル部が形成されているので、スロットの径方向の最も内側と最も外側との各々において周方向における巻線の向きを複数回変更しながら波巻きされるようにコイル部を構成することができる。そのため、１つのスロットに収容されるスロット収容部分の本数が多くなる場合にも、スロットの径方向の最も内側と最も外側との各々において複数回折り返すことによってコイル部を構成することができるので、ステータコアの軸方向におけるコイル部の大きさを小さくすることができる。

　上記一の局面によるステータにおいて、好ましくは、第１コイルエンド部分は、互いに異なるスロットに配置されているスロット収容部分のうちの、径方向において一つずつ外側または内側に互いにずれて配置されているスロット収容部分同士を一対ずつ接続する。

　このように構成すれば、径方向において一つずつ外側または内側に互いにずれて配置されているスロット収容部分同士を一対ずつ接続することによって、コイル部を構成することができるので、複数のスロットの各々にスロット収容部分を密に配置することができる。そのため、スロット内に配置された複数のスロット収容部分に対して効率よく接続しながら、接続されるスロット収容部分の径方向の位置が径方向の一方側に向かって順に段階的に変更されるようにスロット収容部分同士を一対ずつ接続することができる。

　上記一の局面によるステータにおいて、好ましくは、互いに接続される波巻きコイル部の一方を形成するスロット収容部分と、他方を形成するスロット収容部分とは、互いに隣り合うスロットに各々配置されている。

　ここで、互いに接続される波巻きコイル部の一方と他方との両方ともにおいて、スロット収容部分が共通のスロットに配置されている場合には、ステータと対向するロータに配置されている磁石に対するコイル部の位置関係が偏ることとなるため、波巻きコイル部に流れる電流に偏りが生じる。この点を考慮して、本発明では、互いに接続される波巻きコイル部の一方を形成するスロット収容部分と、他方を形成するスロット収容部分とを、互いに隣り合うスロットに各々配置することにより、波巻きコイル部に流れる電流に偏りが生じることを抑制することができる。

　なお、本出願では、上記一の局面によるステータにおいて、以下の構成も考えられる。

　（付記項１）
　互いに接続される波巻きコイル部の一方を形成するスロット収容部分と他方を形成するスロット収容部分とが、互いに隣り合うスロットに各々配置されている構成において、好ましくは、複数の波巻きコイル部と複数の第２コイルエンド部分とによって、周方向における巻線の向きが複数回変更されて波巻きされたコイル部が形成されており、コイル部を形成するスロット収容部分は、互いに隣り合う一対のスロットに交互に配置されている。

　このように構成すれば、周方向における巻線の向きが複数回変更されて波巻きされたコイル部を形成する場合にも、コイル部を形成するスロット収容部分を、互いに隣り合う一対のスロットに交互に配置することによって、コイル部に流れる電流に偏りが生じることを抑制することができる。

　（付記項２）
　上記一の局面によるステータにおいて、好ましくは、コイル部は、三相の交流電流の各々が流されるＵ相コイル部、Ｖ相コイル部、および、Ｗ相コイル部を含み、Ｕ相コイル部、Ｖ相コイル部、および、Ｗ相コイル部の各々は、スロット収容部分の径方向の位置が径方向の一方側に向かって順に段階的に変更されるようにスロット収容部分同士が一対ずつ第１コイルエンド部分により接続されることによって、第１コイルエンド部分とスロット収容部分とにより形成された波巻きコイル部を有するとともに、互いに接続される波巻きコイル部の一方と他方とが第２コイルエンド部分によって周方向における巻線の向きが変更されるように接続されている。

　このように構成すれば、Ｕ相、Ｖ相、および、Ｗ相の各々が流れるコイル部を形成する場合にも、スロット収容部分の径方向の位置が径方向の一方側に向かって順に段階的に変更されるようにＵ相、Ｖ相、および、Ｗ相の各々のコイル部を形成することによって、Ｕ相、Ｖ相、および、Ｗ相のコイル部を形成する場合に、ステータコアの軸方向におけるコイル部の大きさを小さくすることができる。

一実施形態による回転電機（ステータ）の平面図である。一実施形態によるＹ結線された３相のコイル部の回路図である。一実施形態によるステータの斜視図である。Ｕ相コイル部の第１コイル部の構成を示した図である。Ｕ相コイル部の第２コイル部の構成を示した図である。Ｕ相コイル部の第３コイル部の構成を示した図である。Ｕ相コイル部の第４コイル部の構成を示した図である。径方向の最外径側において１ターン目のスロット収容部分同士を接続する部分を説明するための図である。径方向の最内径側において８ターン目のスロット収容部分同士を接続する部分を説明するための図である。コイル部を構成する導体部材の構成を説明するための図である。

　以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。

　図１～図１０を参照して、本実施形態によるステータ１００を備える回転電機２００の構造について説明する。

　本願明細書では、「軸方向」とは、ステータコア１０（ロータ１５０）の回転軸線（符号Ｏ）に沿った方向（Ｚ方向：図１参照）を意味する。なお、軸方向の一方側をＺ１方向側、他方側をＺ２方向側とする。また、「周方向」とは、ステータコア１０の周方向（Ａ方向）を意味する。周方向の一方側をＡ１方向、他方側をＡ２方向とする。また、「径方向」とは、ステータコア１０（ロータ１５０）の回転軸線を基準とした半径方向（Ｂ方向）を意味する。そして、「径方向内側」および「内径側」とは、ステータコア１０の中心に向かう方向（Ｂ１方向）を意味する。また、「径方向外側」および「外径側」とは、ステータコア１０の外に向かう方向（Ｂ２方向）を意味する。

　図１に示すように、回転電機２００は、ステータ１００とロータ１５０とを備えている。ステータ１００およびロータ１５０の各々は、円環状に形成されている。ステータ１００およびロータ１５０は、互いに対向している。ロータ１５０は、ステータ１００の径方向内側（Ｂ１方向側）に配置されている。ロータ１５０は、複数の永久磁石（図示せず）が設けられている。すなわち、本実施形態の回転電機２００は、インナーロータ型の回転電機として構成されている。

　（ステータの構成）
　ステータ１００は、ステータコア１０を備えている。ステータコア１０は、ロータ１５０と半径方向に対向するように配置されている。また、ステータコア１０には、複数（たとえば、４８個）のスロット１１が設けられている。また、隣接するスロット１１の間には、ティース１２が設けられている。ステータコア１０は、たとえば、複数の電磁鋼板が回転中心軸方向（Ｚ１方向およびＺ２方向）に積層されており、磁束を通過可能に構成されている。また、ステータコア１０は、軸方向の一方側（Ｚ１方向側）と他方側（Ｚ２方向側）との各々に、端面１０ａを有する。また、ステータ１００は、コイル部２０を備えている。

　図２に示すように、コイル部２０は、外部の電源部に接続されており、電力（たとえば、三相交流の電力）が供給されるように構成されている。そして、コイル部２０は、電力が供給されることにより、磁界を発生させるように構成されている。コイル部２０は、三相（Ｕ相、Ｖ相、および、Ｗ相）の交流電流の各々が流されるＵ相コイル部３０、Ｖ相コイル部４０、および、Ｗ相コイル部５０を含む。

　Ｕ相コイル部３０は、互いに並列に接続されたＵ相の第１コイル部３１、第２コイル部３２、第３コイル部３３、および、第４コイル部３４を含む。また、Ｖ相コイル部４０は、互いに並列に接続されたＶ相の第１コイル部４１、第２コイル部４２、第３コイル部４３、および、第４コイル部４４を含む。また、Ｗ相コイル部５０は、互いに並列に接続されたＷ相の第１コイル部５１、第２コイル部５２、第３コイル部５３、および、第４コイル部５４を含む。そして、Ｕ相コイル部３０、Ｖ相コイル部４０、および、Ｗ相コイル部５０は、Ｙ結線（スター結線）されている。すなわち、Ｕ相、Ｖ相、および、Ｗ相の各々の交流電力が、動力線６１から、Ｕ相コイル部３０、Ｖ相コイル部４０およびＷ相コイル部５０にそれぞれ入力される。そして、Ｕ相コイル部３０、Ｖ相コイル部４０およびＷ相コイル部５０の各々の出力側は、中性線６２を介して互いに接続されている。

　図３に示すように、コイル部２０は、複数のスロット１１の各々に配置され、導線が波巻きされている。具体的には、コイル部２０は、スロット収容部分２１とコイルエンド部分２２とを含む。スロット収容部分２１は、軸方向（Ｚ方向）に延びるように形成された複数のスロット１１の各々に収容される。コイルエンド部分２２は、複数のスロット収容部分２１同士を一対ずつ接続する。具体的には、コイルエンド部分２２は、互いに異なるスロット１１に収容されているスロット収容部分２１同士を接続する。すなわち、ステータコア１０に配置された状態のコイル部２０は、一のスロット収容部分２１に対応する部分において、軸方向の一方側から他方側（Ｚ１方向側からＺ２方向側）に向かうように一のスロット１１内に配置された後、Ｚ２方向側のコイルエンド部分２２に対応する部分において、ステータコア１０のＺ２方向側に設けられた端面１０ａを沿うように渡って、他のスロット収容部分２１に対応する部分において、一のスロット１１とは異なる他のスロット１１に、軸方向の他方側から一方側（Ｚ２方向側からＺ１方向側）に向かうようにスロット１１内に配置される構成を有する。そして、コイル部２０は、Ｚ１方向側においても同様に、スロット収容部分２１から端面１０ａを沿うように渡って、さらに他の異なるスロット１１においてスロット収容部分２１に繋がるように形成されている。コイル部２０は、平角導線である導体部材７０（図１０参照）が波巻きされることにより構成されている。

　なお、コイル部２０において、Ｕ相コイル部３０、Ｖ相コイル部４０およびＷ相コイル部５０は、同様の構成を有する。そこで、以下では、Ｕ相コイル部３０について説明する。

　Ｕ相コイル部３０は、互いに並列に接続されている第１コイル部３１、第２コイル部３２、第３コイル部３３、および、第４コイル部３４が籠状に組み合わされた状態で、ステータコア１０に配置されている。また、第１コイル部３１、第２コイル部３２、第３コイル部３３、および、第４コイル部３４の各々の一方の端部は、動力線６１に接続されている。動力線６１からは、交流の電力が供給される。そして、第１コイル部３１、第２コイル部３２、第３コイル部３３、および、第４コイル部３４の各々の他方の端部は、中性線６２に接続されている。

　図４～図７に示すように、Ｕ相コイル部３０の第１コイル部３１、第２コイル部３２、第３コイル部３３、および、第４コイル部３４の各々は、４８個のスロット１１のうち、１番目（以下、「番目」を「＃」と記す）、＃６、＃７、＃１２、＃１３、＃１８、＃１９、＃２４、＃２５、＃３０、＃３１、＃３６、＃３７、＃４２、＃４３、および、＃４８のスロット１１に配置されている。ここで、＃１および＃４８のスロット１１、＃６および＃７のスロット１１、＃１２および＃１３のスロット１１、＃１８および＃１９のスロット１１、＃２４および＃２５のスロット１１、＃３０および＃３１のスロット１１、＃３６および＃３７のスロット１１、＃４２および＃４３のスロット１１は、それぞれ、周方向（Ａ方向）において互いに隣り合う２つのスロット１１である。なお、図４～図７は、上下方向をステータコア１０の径方向（Ｂ方向）、左右方向をステータコア１０の周方向（Ａ方向）となるように、円環形のステータコア１０を切り開いた形で示した図である。すなわち、図４～図７では、図の左右の端が互いに繋がっている。また、図示は省略するが、Ｖ相コイル部４０およびＷ相コイル部５０は、ステータコア１０において、Ｕ相コイル部３０から、それぞれ、スロット１１が２つずつおよび４つずつずれた状態で配置されている。

　複数のスロット収容部分２１は、複数のスロット１１の各々において、ステータコア１０の径方向（Ｂ方向）に沿って並んだ状態で収容されている。具体的には、本実施形態では、１つのスロット１１において、８本のスロット収容部分２１が径方向に一列に並んで配置されている。たとえば、１つのスロット１１において、最も外側（外径側：Ｂ２方向側）に配置されているスロット収容部分２１を１ターン目（１層目）として、最も内側（内径側：Ｂ１側）に配置されているスロット収容部分２１を８ターン目（８層目）とする。なお、図４～図７では、スロット収容部分２１は、黒地に白の数字で示された位置に白の数字の順に電流が流れるように配置されている。

　本実施形態では、コイルエンド部分２２は、部分２３、部分２４、および、部分２５を有する。図４～図７では、実線で示されたコイルエンド部分２２（部分２３、部分２４、および、部分２５）は、ステータコア１０のＺ１方向側に配置されており、破線で示されたコイルエンド部分２２（部分２３）は、ステータコア１０のＺ２方向側に配置されていることを示している。なお、部分２３は、請求の範囲における「第１コイルエンド部分」の一例である。また、部分２４は、請求の範囲における「第２コイルエンド部分」および「最外コイルエンド部分」の一例である。また、部分２５は、請求の範囲における「第２コイルエンド部分」および「最内コイルエンド部分」の一例である。また、図４～図７では、コイルエンド部分２２（部分２３、部分２４、および、部分２５）がＺ方向から見て直線として模式的に図示されているが、コイルエンド部分２２（部分２３、部分２４、および、部分２５）は、Ｚ方向から見て湾曲した形状を有していてもよい。

　部分２３は、互いに異なるスロット１１に収容されている複数のスロット収容部分２１のうち、径方向（Ｂ方向）の位置が互いに異なるスロット収容部分２１同士を一対ずつ接続する。具体的には、部分２３は、接続するスロット収容部分２１の径方向の位置（ターン数）が、径方向の一方側に向かって順に段階的に変更されるようにスロット収容部分２１同士を接続する。すなわち、部分２３は、周方向の一方側（Ａ１方向側）に向かってターン数が増加するようにスロット収容部分２１同士を一対ずつ接続する。そして、コイル部２０では、部分２３とスロット収容部分２１とによって、各々がステータコア１０に互いに共通の周方向に沿って波巻きされた４つの波巻きコイル部２０ａ、波巻きコイル部２０ｂ、波巻きコイル部２０ｃ、および、波巻きコイル部２０ｄが形成されている。

　本実施形態では、波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの各々において、複数の部分２３とスロット収容部分２１とが接続されることによって、最外径側（１ターン目）に配置されたスロット収容部分２１から最内径側（８ターン目）に配置されたスロット収容部分２１までが、順に接続されている。すなわち、複数の部分２３は、スロット１１において径方向の他方側（たとえば、Ｂ２方向側）の端である１ターン目の位置に配置されているスロット収容部分２１から、一方側（たとえば、Ｂ１方向側）の端である８ターン目の位置に配置されているスロット収容部分２１まで、接続するスロット収容部分２１の径方向の位置が順に段階的に変更されるようにスロット収容部分２１同士を一対ずつ接続する。本実施形態では、部分２３は、互いに異なるスロット１１に配置されているスロット収容部分２１のうち、径方向（Ｂ方向）において一つずつ外側または内側に互いにずれて配置されているスロット収容部分２１同士を一対ずつ接続する。すなわち、波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの各々において、部分２３は、８ターン目から１ターン目まで順に１ターンずつずれながらスロット収容部分２１同士を接続する。

　波巻きコイル部２０ａ～２０ｄは、少なくとも一往復（本実施形態では二往復）するように設けられている。すなわち、波巻きコイル部２０ａ～２０ｄは、流れる電流が周方向に沿って少なくとも一往復（本実施形態では二往復）するように設けられている。言い換えれば、４つの波巻きコイル部２０ａ～２０ｄによってコイル部２０に流れる電流の周方向に沿う向き（周方向における巻線の向き）が、少なくとも１回（本実施形態では３回）変更されている。１つの波巻きコイル部２０ａは、スロット収容部分２１と部分２３とによって、ステータコア１０の周方向の一方側（たとえば、Ａ１方向）に向かって電流が流れるように、周方向の一方側に沿って、径方向の一方側（Ｂ１方向側）に向かって順に段階的に波巻きされる。そして、波巻きコイル部２０ａに接続される波巻きコイル部２０ｂは、波巻きコイル部２０ａとは反対側の周方向の他方側（たとえば、Ａ２方向）に向かって電流が流れるように、周方向の他方側に沿って、径方向の他方側（Ｂ２方向側）に向かって順に段階的に波巻きされる。波巻きコイル部２０ｃおよび波巻きコイル部２０ｄも、同様に、それぞれ、周方向の一方側および他方側に向かって電流が流れるように波巻きされる。そして、波巻きコイル部２０ａ、波巻きコイル部２０ｂ、波巻きコイル部２０ｃ、および、波巻きコイル部２０ｄがこの順に接続されることによって、コイル部２０におけるＵ相コイル部３０の第１コイル部３１、第２コイル部３２、第３コイル部３３、および、第４コイル部３４の各々として形成される。すなわち、第１コイル部３１、第２コイル部３２、第３コイル部３３、および、第４コイル部３４の各々は、周方向の向きを３回折り返しながら（変更しながら）ステータコア１０に配置されている。

　本実施形態では、波巻きコイル部２０ａ～２０ｄは、部分２４および部分２５のいずれかによって互いに接続される。部分２４および部分２５の各々は、互いに異なるスロット１１に収容されている複数のスロット収容部分２１のうち、径方向の位置（ターン数）が互いに共通のスロット収容部分２１同士を一対ずつ接続する。部分２４および部分２５の各々は、スロット収容部分２１同士を一対ずつ接続することによって、互いに共通の周方向に沿って径方向の他方側の端から一方側の端まで順に段階的に波巻きされた少なくとも一対の波巻きコイル部２０ａ～２０ｄ同士を接続する。したがって、コイル部２０は、互いに接続される波巻きコイル部２０ａ～２０ｄによって、周方向の一方側に沿って径方向の他方側（たとえば、Ｂ２方向側）の端から一方側（たとえば、Ｂ１方向側）の端まで順に段階的に波巻きされるとともに、部分２４および部分２５により周方向の向きを一方から他方（たとえば、Ａ１方向側からＡ２方向側）へと変更して、周方向の他方側に沿って径方向の一方側の端から他方側の端まで順に波巻きされている。具体的には、部分２４は、複数のスロット１１の各々において、径方向の最も外側（１ターン目）に配置されているスロット収容部分２１同士を接続する。部分２５は、複数のスロット１１の各々において、径方向の最も内側（８ターン目）に配置されているスロット収容部分２１同士を接続する。そして、部分２４または部分２５によって、スロット収容部分２１同士が一対ずつ接続されることによって、部分２３およびスロット収容部分２１により形成された波巻きコイル部２０ａ～２０ｄのうちの互いに接続される一往復分の一方と他方とが折り返すように（周方向における巻線の向きが変更されるように）接続される。たとえば、第１コイル部３１では、４つの波巻きコイル部２０ａ～２０ｄと、１つの部分２４と、２つの部分２５とによって、複数回折り返されて（周方向おける巻線の向きが複数回変更されて）波巻きされた１つの導体（巻線）が形成されている。

　具体的には、図４に示すように、第１コイル部３１では、＃３７のスロット１１の最外径側（１ターン目）に配置されたスロット収容部分２１（白の数字の番号１の部分）に対して動力線６１が接続されている。そして、スロット１１に沿ってＺ２方向に向かってスロット収容部分２１が延びた後、＃３７から＃３１に渡ってＺ２方向側のコイルエンド部分２２として部分２３が延びている。そして、ステータコア１０のＺ２方向側において、部分２３は、＃３１のスロット１１において最外径側から一つ内側にずれて２ターン目に配置されているスロット収容部分２１（番号２の部分）に接続される。その後、部分２３は、＃２５のスロット１１の３ターン目、＃１９のスロット１１の４ターン目、＃１３のスロット１１の５ターン目の順に、Ｚ１方向側とＺ２方向側とにおいて交互にスロット収容部分２１に接続され、ターン数を１つずつ内側に増やしながら＃４３のスロット１１の８ターン目のスロット収容部分２１（番号８の部分）まで接続する。このようにして、８個のスロット収容部分２１と７個の部分２３とによって接続された波巻きコイル部２０ａが形成される。

　そして、＃４３のスロット１１の８ターン目のスロット収容部分２１（白の数字の番号８の部分）から、＃４８のスロット１１の８ターン目のスロット収容部分２１（番号９の部分）まで、ステータコア１０のＺ１方向側において部分２５が折り返す（巻線の周方向の向きを変更する）ように設けられている。部分２５によって折り返された後、番号９の部分が設けられた＃４８のスロット１１から、周方向のＡ２方向側に向きを変更して、＃４２のスロット１１まで、波巻きコイル部２０ｂが、波巻きコイル部２０ａと同様に形成される。そして、第１コイル部３１は、＃４２のスロット１１の１ターン目のスロット収容部分２１（番号１６の部分）から、＃１のスロット１１の１ターン目のスロット収容部分２１（番号１７の部分）まで、ステータコア１０のＺ１方向側において部分２４が設けられていることにより、波巻きコイル部２０ｂから波巻きコイル部２０ｃに折り返される。その後、第１コイル部３１は、同様にして、部分２５により波巻きコイル部２０ｃから波巻きコイル部２０ｄに折り返される。このようにして、３回折り返した４つの波巻きコイル部２０ａ～２０ｄにより、１つの第１コイル部３１が形成される。なお、波巻きコイル部２０ｄは、＃６のスロット１１の１ターン目のスロット収容部分２１（番号３２の部分）から、中性線６２に接続される。

　すなわち、コイルエンド部分２２のうちの部分２３では、２ターン目から３ターン目と、４ターン目から５ターン目と、６ターン目から７ターン目とを接続する部分がＺ１方向側に配置されている。また、１ターン目同士を接続する部分２４と８ターン目同士を接続する部分２５は、全てＺ１方向側に配置される。なお、動力線６１および中性線６２も、Ｚ１方向側において接続されている。

　図５～図７に示すように、第２コイル部３２、第３コイル部３３、および、第４コイル部３４の各々も、第１コイル部３１と同様に、４つの波巻きコイル部２０ａ～２０ｄが折り返されることによって、複数回折り返して（周方向における巻線の向きが複数回変更されて）波巻きされたコイル部２０の一部として構成されている。

　また、本実施形態では、波巻きコイル部２０ａ～２０ｄのうちの一往復分の一方（互いに接続される波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの一方）を形成する部分２３と、一往復分の他方（互いに接続される波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの他方）を形成する部分２３とは、接続するスロット収容部分２１の径方向の位置が互いに平行に段階的に（スロープ状に）変更されるようにスロット収容部分２１同士を一対ずつ接続する。また、複数の波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの各々において、部分２３が跨ぐスロット１１の個数（ピッチ）は共通である。具体的には、部分２３は、ターンを１つ分ずらしてスロット収容部分２１同士を繋ぐ間に、５つのスロット１１を跨いでスロット収容部分２１同士を接続する。言い換えれば、複数の波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの各々において、部分２３のピッチ数は、全て「６」となる。部分２３は、ステータコア１０の一方側（Ｚ１方向側）と他方側（Ｚ２方向側）とで、共通のピッチを有する。なお、ここで言う「平行」とは、部分２３に接続されるスロット収容部分２１の径方向の位置が周方向に沿って配置されている状態で平行であることを意味する。すなわち、図４～図７のように円環形のステータコア１０を切り開いた形で示した状態でスロット収容部分２１の位置が平行となることを意味する。

　なお、部分２４および２５の各々では、ピッチ数５とピッチ数７との２種類が存在する。たとえば、図４の第１コイル部３１では、スロット１１の＃４２と＃１との間にピッチ数が７の部分２４が設けられ、＃４３と＃４８との間と、＃７と＃１２との間との各々に、ピッチ数が５の部分２５が設けられている。これに対して、図５の第２コイル部３２では、スロット１１の＃４３と＃４８との間にピッチ数が５の部分２４が設けられ、＃４２と＃１との間と、＃６と＃１３との間との各々に、ピッチ数が７の部分２５が設けられている。

　そして、図８および図９に示すように、径方向の位置が互いに共通するスロット１１に配置されているスロット収容部分２１に接続される部分２４同士、または、部分２５同士であって、ピッチ数の互いに異なる部分２４同士、または、部分２５同士は、軸方向（Ｚ方向）から見て互いに重なり合うように配置されている。ピッチ数の大きい部分２４または部分２５が、ピッチ数の小さい部分２４または部分２５の上方側（Ｚ１方向側）に配置されている。具体的には、ピッチ数が７である部分２４および部分２５が、それぞれ、ピッチ数が５である部分２４および２５を上方側において覆うように配置される。

　また、図４～図７に示すように、複数の波巻きコイル部２０ａ～２０ｄのうちの互いに接続される一往復分の一方（互いに接続される波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの一方）を形成するスロット収容部分２１と、一往復分の他方（互いに接続される波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの他方）を形成するスロット収容部分２１とは、互いに隣り合うスロット１１に各々配置されている。また、複数回折り返された（周方向における巻線の向きが複数回変更されて波巻きされた）コイル部２０を形成するスロット収容部分２１は、互いに隣り合う一対のスロット１１に交互に配置されている。具体的には、Ｕ相コイル部３０、Ｖ相コイル部４０、および、Ｗ相コイル部５０の各々は、互いに隣り合う一対のスロット１１に径方向に沿って交互に配置されている。

　たとえば、図４のＵ相の第１コイル部３１において、波巻きコイル部２０ａ～２０ｄを形成するスロット収容部分２１は、周方向において互いに隣り合う２つのスロット１１である＃１および＃４８、＃６および＃７、＃１２および＃１３、＃１８および＃１９、＃２４および＃２５、＃３０および＃３１、＃３６および＃３７、＃４２および＃４３に収容されている。そして、波巻きコイル部２０ａ～２０ｄのうちの隣り合う（一往復分）同士では、スロット収容部分２１は、互いに異なるスロット１１に交互に配置されている。そして、図５～図７のＵ相の第２コイル部３２、第３コイル部３３、および、第４コイル部３４も、Ｕ相の第１コイル部３１と同様である。これにより、Ｕ相の第１コイル部３１、第２コイル部３２、第３コイル部３３、および、第４コイル部３４の各々同士において、ロータ１５０の図示しない永久磁石に対する位置関係が偏ることを抑制することができる。

　（導体部材の構造）
　図１０に示すように、コイル部２０は、複数の導体部材７０を接続することによって波巻きされた導線として形成されている。具体的には、コイル部２０では、複数の導体部材７０が接続（接合）されることによって、スロット収容部分２１と、コイルエンド部分２２（部分２３、部分２４、および、部分２５）との各々が形成される。複数の導体部材７０の各々は、逆Ｕ字形状を有している。導体部材７０は、一対のスロット収容部分２１と、一対のスロット収容部分２１をステータコア１０の軸方向の一方側（Ｚ１側）において接続するコイルエンド部分２２とを含む。導体部材７０において、部分２３、部分２４、および、部分２５の各々ごとにコイルエンド部分２２の形状は異なる。ステータ１００では、導体部材７０は、スロット１１の各々にスロット収容部分２１が収容されるように配置された後に、Ｚ２方向側のコイルエンド部分２２が周方向の外側に向かって折り曲げられるとともに、異なる導体部材７０のＺ２方向側のコイルエンド部分２２とレーザ接合などにより接合される。

　また、本実施形態では、７種類の導体部材７０を用いてコイル部２０が構成される。コイル部２０では、一対のスロット収容部分２１と部分２３とを構成する３種類の導体部材７０と、一対のスロット収容部分２１と部分２４とを構成する２種類の導体部材７０と、一対のスロット収容部分２１と部分２５とを構成する２種類の導体部材７０とが用いられる。一対のスロット収容部分２１と部分２３とを構成する３種類の導体部材７０は、Ｚ１方向側において、部分２３が、それぞれ、２ターン目から３ターン目を接続する導体部材７０と、４ターン目から５ターン目を接続する導体部材７０と、６ターン目から７ターン目を接続する導体部材７０との３種類である。一対のスロット収容部分２１と部分２４とを構成する２種類の導体部材７０と、一対のスロット収容部分２１と部分２５とを構成する２種類の導体部材７０とは、各々ピッチ数が５と７との２種類である。

　（本実施形態の効果）
　本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。

　本実施形態では、上記のように、コイル部２０は、互いに接続される波巻きコイル部２０ａ～２０ｄによって、周方向の一方側に沿って径方向の他方側の端から一方側の端まで順に段階的に波巻きされるとともに、部分２４および２５（第２コイルエンド部分）により周方向の向きを一方から他方へと変更して、周方向の他方側に沿って径方向の一方側の端から他方側の端まで順に波巻きされている。これにより、複数のスロット１１の各々において、最も内側のレイヤ（ターン）と２番目に内側のレイヤとを交互に通過したあと、３番目に内側のレイヤと最も外側のレイヤとを交互に通過するように、径方向に隣り合うスロット収容部分２１を交互に接続する場合と異なり、２番目に内側のレイヤから３番目に内側のレイヤへと接続される部分のように接続されるスロット収容部分２１の径方向の位置を途中で切り替える部分を設けることなくスロット収容部分２１同士を接続することができる。そのため、径方向におけるスロット１１の途中の部分において他のコイル部２０を跨ぐように接続する部分を設けることなくスロット収容部分２１同士を接続できる。その結果、ステータコア１０の軸方向におけるコイル部２０の大きさを小さくすることができる。

　また、複数のスロット１１の各々において、径方向の一方側の端から他方側の端に向かって段階的に接続されるスロット収容部分２１が配置されるように波巻きコイル部２０ａ～２０ｄを構成することができるので、波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの端部を径方向の一番内側または一番外側に配置することができる。そのため、動力線６１または中性線６２などをコイル部２０に接続する場合に、スロット１１の途中の導体（導体部材７０）に接続する場合に比べて、製造工程が複雑化することを抑制することができる。

　また、複数のスロット１１の各々における径方向の途中の位置において、周方向における巻線向きを変更する場合には、軸方向と径方向との両方の干渉を考慮に入れて導体を配置する必要があるため、軸方向における導体の大きさが大きくなると考えられる。加えて、周方向における巻線向きを変更する部分同士を軸方向に重ねて配置する場合には、干渉を考慮してより軸方向における大きさが大きくなる。これに対して、本実施形態では、部分２４および部分２５（第２コイルエンド部分）が径方向の一番内側または一番外側において波巻きコイル部２０ａ～２０ｄ同士を接続しているため、径方向における配置の自由度が高くなる。そのため、径方向の一番内側または一番外側において部分２４同士、または、部分２５同士を軸方向に重ねて配置する場合にも、径方向の途中の位置において周方向における巻線の向きを変更する場合に比べて、軸方向における導体の大きさが大きくなることを抑制することができる。

　本実施形態では、上記のように、互いに接続される波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの一方と他方とにおいて、接続されるスロット収容部分２１の径方向における位置が互いに平行に段階的に変更されるように配置されているため、互いに接続される波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの一方と他方との各々を構成する導体（導体部材７０）の形状を共通とすることができる。そのため、互いに接続される波巻きコイル部２０ａ～２０ｄを折り返すように接続する場合にも、導体部材７０の形状の種類が増加することを抑制することができるので、コイル部２０を形成するための導体部材７０の種類が多くなることを抑制することができる。

　本実施形態では、上記のように、複数の波巻きコイル部２０ａ～２０ｄと、部分２４（最外コイルエンド部分）および部分２５（最内コイルエンド部分）とによって、周方向における巻線の向きが複数回変更されて波巻きされたコイル部２０が形成されているので、スロット１１の径方向の最も内側と最も外側との各々において周方向における巻線の向きを複数回変更しながら波巻きされるようにコイル部２０を構成することができる。そのため、１つのスロット１１に収容されるスロット収容部分２１の本数が多くなる場合にも、スロット１１の径方向の最も内側と最も外側との各々において複数回折り返すことによってコイル部２０を構成することができるので、ステータコア１０の軸方向におけるコイル部２０の大きさを小さくすることができる。

　本実施形態では、上記のように、径方向において一つずつ外側または内側に互いにずれて配置されているスロット収容部分２１同士を一対ずつ接続することによって、コイル部２０を構成することができるので、複数のスロット１１の各々にスロット収容部分２１を密に配置することができる。そのため、スロット１１内に配置された複数のスロット収容部分２１に対して効率よく接続しながら、接続されるスロット収容部分２１の径方向の位置が径方向の一方側に向かって順に段階的に変更されるようにスロット収容部分２１同士を一対ずつ接続することができる。

　ここで、互いに接続される波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの一方と他方との両方ともにおいて、スロット収容部分２１が共通のスロット１１に配置されている場合には、ステータ１００と対向するロータ１５０に配置されている磁石に対するコイル部２０の位置関係が偏ることとなるため、波巻きコイル部２０ａ～２０ｄに流れる電流に偏りが生じる。この点を考慮して、本実施形態では、上記のように、互いに接続される波巻きコイル部２０ａ～２０ｄの一方を形成するスロット収容部分２１と、他方を形成するスロット収容部分２１とを、互いに隣り合うスロット１１に各々配置することにより、波巻きコイル部２０ａ～２０ｄに流れる電流に偏りが生じることを抑制することができる。

　［変形例］
　なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更（変形例）が含まれる。

　たとえば、上記実施形態では、波巻きコイル部２０ａ～２０ｄのうちの一往復分のうちの一方を形成する部分２３（第１コイルエンド部分）と、他方を形成する部分２３とは、接続するスロット収容部分２１の径方向の位置が互いに平行に段階的に変更される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一往復分の一方と他方とで、スロット収容部分の径方向の位置が互いに平行ではなくてもよい。

　また、上記実施形態では、４つの波巻きコイル部２０ａ～２０ｄによって、３回折り返されたコイル部２０が形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、２つの波巻きコイル部によって、１回だけ折り返すようにコイル部を構成してもよい。その場合には、径方向の一方側として径方向の内側の端に周方向における巻線の向きを変更する第２コイルエンド部分を配置してもよいし、径方向の外側の端に周方向における巻線の向きを変更する第２コイルエンド部分を配置してもよい。すなわち、第２コイルエンド部分は、最内コイルエンド部分と最外コイルエンド部分とのいずれか一方であってもよい。また、周方向の一方側と他方側とを上記実施形態におけるステータの例と反対の向きとしてもよい。

　また、上記実施形態では、部分２３（第１コイルエンド部分）は、互いに異なるスロット１１に配置されているスロット収容部分２１のうちの、径方向において一つずつ外側または内側に互いにずれて配置されているスロット収容部分２１同士を一対ずつ接続する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第１コイルエンド部分を、スロット収容部分の２つ分以上ずれて配置されたスロット収容部分同士を接続するようにしてもよい。すなわち、互いに２ターン以上ずれたスロット収容部分同士を接続するようにしてもよい。

　また、上記実施形態では、波巻きコイル部２０ａ～２０ｄのうちの一往復分のうちの一方を形成するスロット収容部分２１と、他方を形成するスロット収容部分２１とは、互いに隣り合うスロット１１に各々配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一往復分の波巻きコイル部の一方を形成するスロット収容部分と、一往復分の波巻きコイル部の他方を形成するスロット収容部分とを、共通のスロットに配置するようにしてもよい。また、一往復分の波巻きコイル部の一方を形成するスロット収容部分と、一往復分の波巻きコイル部の他方を形成するスロット収容部分とを、互いに離間したスロットに配置するようにしてもよい。

　また、上記実施形態では逆Ｕ字形状の導体部材７０によってコイル部２０が形成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、棒状の導体部材をスロット収容部分としてスロット内に配置したあと、棒状の導体部材とは別個の導体部材を接合することによってコイルエンド部分を形成するようにしてもよい。また、ステータコアの軸方向の一方側と他方側から、逆Ｕ字形状の導体部材とＵ字形状の導体部材とを組み合わせることによってコイル部を形成するようにしてもよい。また、コイル部を、連続の波巻き導体によって形成してもよい。

　また、上記実施形態では、Ｕ相コイル部３０、Ｖ相コイル部４０、および、Ｗ相コイル部５０の各々が４並列のコイルを構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Ｕ相コイル部、Ｖ相コイル部、および、Ｗ相コイル部の各々は並列構成でなくてもよいし、２並列の構成であってもよい。

　また、上記実施形態では、ステータコア１０に４８個のスロット１１が設けられており、各々のスロット１１には、８本のスロット収容部分２１が径方向に並んで収容される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ステータコアのスロット数は４８以外でもよい。また、１つのスロットに収容されるスロット収容部分の本数も８本以外であってもよい。

　［本実施形態のまとめ］
　本実施形態は、少なくとも以下の構成を備える。

　ステータ（１００）は、軸方向に延びる複数のスロット（１１）を含むステータコア（１０）と、複数のスロット（１１）の各々に配置され、導線が波巻きされているコイル部（２０）と、を備え、コイル部（２０）は、複数のスロット（１１）の各々において、ステータコア（１０）の径方向に沿って並んだ状態で収容される複数のスロット収容部分（２１）と、互いに異なるスロット（１１）に収容されている複数のスロット収容部分（２１）のうちの、径方向の位置が互いに異なるスロット収容部分（２１）同士を一対ずつ接続する第１コイルエンド部分（２３）と、互いに異なるスロット（１１）に収容されている複数のスロット収容部分（２１）のうちの、径方向の位置が互いに共通のスロット収容部分（２１）同士を一対ずつ接続する第２コイルエンド部分（２４、２５）と、を含み、第１コイルエンド部分（２３）は、接続するスロット収容部分（２１）の径方向の位置が、径方向の一方側に向かって径方向の他方側の端から一方側の端まで順に段階的に変更されるようにスロット収容部分（２１）同士を一対ずつ接続することによって、スロット収容部分（２１）と共にステータコア（１０）に周方向に沿って波巻きされた波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）を形成し、第２コイルエンド部分（２４、２５）は、スロット収容部分（２１）同士を一対ずつ接続することによって、順に段階的に波巻きされた少なくとも一対の波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）同士を接続し、コイル部（２０）は、互いに接続される波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）によって、周方向の一方側に沿って径方向の他方側の端から一方側の端まで順に段階的に波巻きされるとともに、第２コイルエンド部分（２４、２５）により周方向の向きを一方から他方へと変更して、周方向の他方側に沿って径方向の一方側の端から他方側の端まで順に波巻きされている。

　このように構成すれば、複数のスロット（１１）の各々において、最も内側のレイヤと２番目に内側のレイヤとを交互に通過したあと、３番目に内側のレイヤと最も外側のレイヤとを交互に通過するように、径方向に隣り合うスロット収容部分（２１）を交互に接続する場合と異なり、２番目に内側のレイヤから３番目に内側のレイヤへと接続される部分のように接続されるスロット収容部分（２１）の径方向の位置を途中で切り替える部分を設けることなくスロット収容部分（２１）同士を接続することができる。そのため、径方向におけるスロット（１１）の途中の部分において他のコイル部（２０）を跨ぐように接続する部分を設けることなくスロット収容部分（２１）同士を接続できる。その結果、ステータコア（１０）の軸方向におけるコイル部（２０）の大きさを小さくすることができる。

　互いに接続される波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）の一方を形成する第１コイルエンド部分（２３）と、他方を形成する第１コイルエンド部分（２３）とは、接続するスロット収容部分（２１）の径方向の位置が互いに平行に段階的に変更されるように、スロット収容部分（２１）同士を一対ずつ接続する。

　このように構成すれば、互いに接続される波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）の一方と他方とにおいて、接続されるスロット収容部分（２１）の径方向における位置が互いに平行に段階的に変更されるように配置されているため、互いに接続される波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）の一方と他方との各々を構成する導体の形状を共通とすることができる。そのため、互いに接続される波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）を折り返すように接続する場合にも、導体部材の形状の種類が増加することを抑制することができるので、コイル部（２０）を形成するための導体部材の種類が多くなることを抑制することができる。

　第２コイルエンド部分（２４、２５）は、複数のスロット（１１）の各々において径方向の最も外側に配置されているスロット収容部分（２１）同士を接続する最外コイルエンド部分（２４）と、径方向の最も内側に配置されているスロット収容部分（２１）同士を接続する最内コイルエンド部分（２５）との両方を含み、波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）は、複数設けられており、複数の波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）と、最外コイルエンド部分（２４）および最内コイルエンド部分（２５）とによって、周方向における巻線の向きが複数回変更されて波巻きされたコイル部（２０）が形成されている。

　このように構成すれば、複数の波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）と、最外コイルエンド部分（２４）および最内コイルエンド部分（２５）とによって、周方向における巻線の向きが複数回変更されて波巻きされたコイル部（２０）が形成されているので、スロット（１１）の径方向の最も内側と最も外側との各々において周方向における巻線の向きを複数回変更しながら波巻きされるようにコイル部（２０）を構成することができる。そのため、１つのスロット（１１）に収容されるスロット収容部分（２１）の本数が多くなる場合にも、スロット（１１）の径方向の最も内側と最も外側との各々において複数回折り返すことによってコイル部（２０）を構成することができるので、ステータコア（１０）の軸方向におけるコイル部（２０）の大きさを小さくすることができる。

　第１コイルエンド部分（２３）は、互いに異なるスロット（１１）に配置されているスロット収容部分（２１）のうちの、径方向において一つずつ外側または内側に互いにずれて配置されているスロット収容部分（２１）同士を一対ずつ接続する。

　このように構成すれば、径方向において一つずつ外側または内側に互いにずれて配置されているスロット収容部分（２１）同士を一対ずつ接続することによって、コイル部（２０）を構成することができるので、複数のスロット（１１）の各々にスロット収容部分（２１）を密に配置することができる。そのため、スロット（１１）内に配置された複数のスロット収容部分（２１）に対して効率よく接続しながら、接続されるスロット収容部分（２１）の径方向の位置が径方向の一方側に向かって順に段階的に変更されるようにスロット収容部分（２１）同士を一対ずつ接続することができる。

　互いに接続される波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）の一方を形成するスロット収容部分（２１）と、他方を形成するスロット収容部分（２１）とは、互いに隣り合うスロット（１１）に各々配置されている。

　ここで、互いに接続される波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）の一方と他方との両方ともにおいて、スロット収容部分（２１）が共通のスロット（１１）に配置されている場合には、ステータ（１００）と対向するロータ（１５０）に配置されている磁石に対するコイル部（２０）の位置関係が偏ることとなるため、波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）に流れる電流に偏りが生じる。この点を考慮して、本実施形態では、互いに接続される波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）の一方を形成するスロット収容部分（２１）と、他方を形成するスロット収容部分（２１）とを、互いに隣り合うスロット（１１）に各々配置することにより、波巻きコイル部（２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ）に流れる電流に偏りが生じることを抑制することができる。

　１０　ステータコア
　１１　スロット
　２０　コイル部
　２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ　波巻きコイル部
　２１　スロット収容部分
　２３　部分（第１コイルエンド部分）
　２４　部分（第２コイルエンド部分、最外コイルエンド部分）
　２５　部分（第２コイルエンド部分、最内コイルエンド部分）
　１００　ステータ

Claims

　軸方向に延びる複数のスロットを含むステータコアと、
　前記複数のスロットの各々に配置され、導線が波巻きされているコイル部と、を備え、
　前記コイル部は、
　　前記複数のスロットの各々において、前記ステータコアの径方向に沿って並んだ状態で収容される複数のスロット収容部分と、
　　互いに異なる前記スロットに収容されている前記複数のスロット収容部分のうちの、前記径方向の位置が互いに異なる前記スロット収容部分同士を一対ずつ接続する第１コイルエンド部分と、
　　互いに異なる前記スロットに収容されている前記複数のスロット収容部分のうちの、前記径方向の位置が互いに共通の前記スロット収容部分同士を一対ずつ接続する第２コイルエンド部分と、を含み、
　前記第１コイルエンド部分は、接続する前記スロット収容部分の前記径方向の位置が、前記径方向の一方側に向かって前記径方向の他方側の端から一方側の端まで順に段階的に変更されるように前記スロット収容部分同士を一対ずつ接続することによって、前記スロット収容部分と共に前記ステータコアに周方向に沿って波巻きされた波巻きコイル部を形成し、
　前記第２コイルエンド部分は、前記スロット収容部分同士を一対ずつ接続することによって、順に段階的に波巻きされた少なくとも一対の前記波巻きコイル部同士を接続し、
　前記コイル部は、互いに接続される前記波巻きコイル部によって、前記周方向の一方側に沿って前記径方向の他方側の端から一方側の端まで順に段階的に波巻きされるとともに、前記第２コイルエンド部分により前記周方向の向きを一方から他方へと変更して、前記周方向の他方側に沿って前記径方向の一方側の端から他方側の端まで順に波巻きされている、ステータ。
　互いに接続される前記波巻きコイル部の一方を形成する前記第１コイルエンド部分と、他方を形成する前記第１コイルエンド部分とは、接続する前記スロット収容部分の前記径方向の位置が互いに平行に段階的に変更されるように、前記スロット収容部分同士を一対ずつ接続する、請求項１に記載のステータ。
　前記第２コイルエンド部分は、前記複数のスロットの各々において前記径方向の最も外側に配置されている前記スロット収容部分同士を接続する最外コイルエンド部分と、前記径方向の最も内側に配置されている前記スロット収容部分同士を接続する最内コイルエンド部分との両方を含み、
　前記波巻きコイル部は、複数設けられており、
　複数の前記波巻きコイル部と、前記最外コイルエンド部分および前記最内コイルエンド部分とによって、前記周方向における巻線の向きが複数回変更されて波巻きされた前記コイル部が形成されている、請求項１に記載のステータ。
　前記第１コイルエンド部分は、互いに異なる前記スロットに配置されている前記スロット収容部分のうちの、前記径方向において一つずつ外側または内側に互いにずれて配置されている前記スロット収容部分同士を一対ずつ接続する、請求項１に記載のステータ。
　互いに接続される前記波巻きコイル部の一方を形成する前記スロット収容部分と、他方を形成する前記スロット収容部分とは、互いに隣り合う前記スロットに各々配置されている、請求項１に記載のステータ。