WO2020067349A1 - 回転電機のロータ - Google Patents

Abstract

回転電機のロータ（１０）は、磁石挿入孔（４１０）を有するロータコア（２０）と、永久磁石（８１０）と、を備える。永久磁石（８１０）は、永久磁石（８１０）は、内径側湾曲面（８１１）の周方向中央部（８１０Ｃ）に内径側平坦部（８１５）を有し、磁石挿入孔（４１０）は、永久磁石（８１０）の内径側平坦部（８１５）と対向する内径側平坦壁面（４１５）を有する。永久磁石（８１０）の周方向中央部（８１０Ｃ）には、永久磁石（８１０）の外径側湾曲面（８１２）と、磁石挿入孔（４１０）の外径側壁面（４１２）との間に隙間部（Ｇ）が設けられている。

Description

回転電機のロータ

　本発明は、電動車両などに搭載される回転電機のロータに関する。

　従来から、回転電機に使用されるロータとして、ロータコアの内部に周方向に所定の間隔で複数個の永久磁石を配置した、いわゆるＩＰＭモータが知られている。このようなＩＰＭモータにおいて、永久磁石をロータコアに固定するための手段として、例えば、特許文献１や特許文献２に記載された技術が知られている。

　特許文献１には、ロータ外径側にかしめ用の孔を設け、ロータコアをリベットピンでかしめると同時に押圧によりロータコアを変形させることで、ロータコアと円弧磁石を面接触で固定する構成が開示されている。

　特許文献２には、ロータコアの正面から見て、磁石挿入孔の周方向両端部付近に設けられた支持突起に円弧磁石の周方向両端面を当接させることで、ロータコアと永久磁石を固定する構成が開示されている。

日本国特開２００７－３０６６８８号公報 日本国特開２０１４－１０００４８号公報

　しかしながら、特許文献１及び特許文献２の回転電機のロータでは、円弧磁石の周方向中央部において、円弧磁石の外径面とロータコアの磁石挿入孔の外径側壁面とが当接する。そのため、円弧磁石に製造誤差があると、ロータが高速で回転する際に、永久磁石の遠心力により、ロータコアの外周面に過大な応力が発生する虞があった。

　一方で、円弧磁石等の湾曲面を有する永久磁石は、平坦面からなる平板磁石よりも加工が難しく、寸法精度が低いため、円弧磁石の周方向中央部において、円弧磁石の外径面とロータコアの磁石挿入孔の外径側壁面とが当接しないようにするためには、磁石挿入孔を円弧磁石よりも十分に大きくする必要がある。しかし、円弧磁石と磁石挿入孔との間の隙間が大きくなるほど、回転電機の出力性能が低下してしまう。

　本発明は、回転電機の出力性能の低下を抑制しつつ、ロータの回転時に、ロータコアの外周面に過大な遠心応力が発生するのを回避できる回転電機のロータを提供する。

　本発明は、
周方向に沿って形成された複数の磁石挿入孔を有する略円環形状のロータコアと、
　前記複数の磁石挿入孔に挿入された複数の永久磁石と、を備え、
　前記永久磁石は、内径面に径方向内側に凸状に湾曲した内径側湾曲面と、外径面に径方向内側に凸状に湾曲した外径側湾曲面と、を有し、
　前記磁石挿入孔は、前記永久磁石の前記内径側湾曲面と対向する内径側壁面と、前記永久磁石の前記外径側湾曲面と対向する外径側壁面と、を有する、回転電機のロータであって、
　前記永久磁石は、前記内径側湾曲面の周方向中央部に内径側平坦部を有し、
　前記磁石挿入孔は、前記内径側壁面に前記永久磁石の前記内径側平坦部と対向する内径側平坦壁面を有し、
　前記永久磁石の前記内径側平坦部と前記磁石挿入孔の前記内径側平坦壁面とが、直接又は間接的に当接した状態で、前記永久磁石の周方向中央部には、前記永久磁石の前記外径側湾曲面と前記磁石挿入孔の前記外径側壁面との間に隙間部が設けられている。

　本発明によれば、回転電機の出力性能の低下を抑制しつつ、ロータの回転時に、ロータコアの外周面に過大な遠心応力が発生するのを回避できる。

本発明の第１実施形態の回転電機のロータの正面図である。 図１の外径側磁石部周辺の拡大図である。 本発明の第２実施形態の回転電機のロータの外径側磁石部周辺の拡大図である。

　以下、本発明の回転電機のロータの各実施形態を、添付図面に基づいて説明する。

　まず、本発明の第１実施形態の回転電機のロータについて図１～図２を参照しながら説明する。

　図１に示すように、一実施形態の回転電機のロータ１０は、ロータシャフト（不図示）の外周部に取り付けられるロータコア２０と、ロータコア２０の内部に周方向に所定の間隔で形成された複数の磁極部３０（本実施形態では１２個）と、を備え、ステータ（不図示）の内周側に配置されている。

　ロータコア２０は、同一形状の略円環状の電磁鋼板２００が軸方向に複数積層されて形成されている。ロータコア２０は、円環中心Ｃと同中心のロータシャフト孔２１を有する。さらに、円環中心Ｃと各磁極部３０の中心とを結ぶ、各磁極部３０の中心軸をｄ軸（図中ｄ－ａｘｉｓ）、ｄ軸に対し電気角で９０°隔てた軸をｑ軸（図中ｑ－ａｘｉｓ）とした場合、ロータコア２０は、各磁極部３０に対応するように、ロータコア２０の外径側にｄ軸を横切るように形成された外径側磁石挿入孔４１０と、外径側磁石挿入孔４１０の内径側にｄ軸を挟んで径方向外側に向かって広がる略ハの字状に形成された一対の内径側磁石挿入孔４２１、４２２と、内径側磁石挿入孔４２１、４２２のｄ軸側端部に形成され、それぞれ径方向に延びる一対のリブ５１０、５２０と、一対のリブ５１０、５２０間に形成された空隙部６０と、を有する。外径側磁石挿入孔４１０及び内径側磁石挿入孔４２１、４２２は、いずれも径方向内側に凸となる円弧形状を有する。

　各磁極部３０は、外径側磁石部３１０及び内径側磁石部３２０を含む磁石部３００を有する。外径側磁石部３１０は、外径側磁石挿入孔４１０に挿入され、径方向内側に凸となるように配置された外径側永久磁石８１０から構成される。内径側磁石部３２０は、一対の内径側磁石挿入孔４２１、４２２にそれぞれ挿入され、径方向内側に凸となるように配置された一対の内径側永久磁石８２１、８２２から構成される。

　外径側永久磁石８１０及び一対の内径側永久磁石８２１、８２２は、径方向に磁化されている。また、外径側永久磁石８１０及び一対の内径側永久磁石８２１、８２２は、隣り合う磁極部３０と磁化方向が異なり、磁極部３０が周方向で交互に磁化方向が異なるように配置されている。

　ここで、ロータ１０の正面視において、円環中心Ｃを下方、ｄ軸方向外径側を上方として見て、一対の内径側磁石挿入孔４２１、４２２は、ｄ軸に対して左側に第１内径側磁石挿入孔４２１、右側に第２内径側磁石挿入孔４２２が配置され、一対のリブ５１０、５２０は、ｄ軸を挟んで左側に第１リブ５１０、右側に第２リブ５２０が配置され、一対の内径側永久磁石８２１、８２２は、ｄ軸を挟んで左側に第１内径側永久磁石８２１、右側に第２内径側永久磁石８２２が配置されている。

　さらに、第１内径側永久磁石８２１と外径側永久磁石８１０との距離Ｄ１１及び第２内径側永久磁石８２２と外径側永久磁石８１０との距離Ｄ１２は、いずれも、ｑ軸からｄ軸に近づくに従って長くなっている。

　これにより、磁極部３０の周方向長さが大きくなることを抑制できるので、ロータ１０が大型化するのを抑制できる。また、ロータ１０におけるｑ軸に沿った磁路（以下、ｑ軸磁路とも呼ぶ）を広くとることができ、回転電機のリラクタンストルクを大きくできるので、回転電機の出力性能を向上できる。さらに、第１内径側永久磁石８２１及び第２内径側永久磁石８２２と、外径側永久磁石８１０とによるマグネット磁束がｄ軸に集約されやすくなり、回転電機のマグネットトルクを効率的に利用でき、回転電機の出力性能を向上できる。

　以降、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、ロータ１０の正面視において、円環中心Ｃを下方、ｄ軸方向外径側を上方と定義して説明する。図２～３には、ロータ１０の上方をＵ、下方をＤ、左側をＬ、右側をＲ、として示す。

　図２に示すように、外径側永久磁石８１０は、周方向中央部８１０Ｃと、周方向左端部８１０Ｌと、周方向右端部８１０Ｒとが一体に形成され、同じ円弧中心Ｃ１０を有する径方向内側に向かって凸状の円弧形状の内径側湾曲面８１１及び外径側湾曲面８１２と、左側端面８１３と、右側端面８１４と、を有する。さらに、外径側永久磁石８１０の内径側湾曲面８１１の周方向中央部８１０Ｃには、ｄ軸と略直交する向きに形成された内径側平坦部８１５が設けられている。また、外径側永久磁石８１０の外径側湾曲面８１２の周方向両端部８１０Ｌ、８１０Ｒには、ｄ軸と略直交する向きに形成された外径側左端平坦部８１６及び外径側右端平坦部８１７が設けられている。本実施形態において、外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５は、外径側永久磁石８１０の内径側湾曲面８１１の周方向中央部８１０Ｃを切り欠くように形成されている。

　外径側磁石挿入孔４１０は、外径側永久磁石８１０の内径側湾曲面８１１と対向する円弧形状の内径側壁面４１１と、外径側永久磁石８１０の外径側湾曲面８１２と対向する円弧形状の外径側壁面４１２と、左側壁面４１３と、右側壁面４１４と、を有する。さらに、外径側磁石挿入孔４１０の内径側壁面４１１の周方向中央部には、外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５と対向する内径側平坦壁面４１５が設けられている。また、外径側磁石挿入孔４１０の外径側壁面４１２の周方向両端部には、外径側永久磁石８１０の外径側左端平坦部８１６及び外径側右端平坦部８１７と対向する外径側左端平坦壁面４１６及び外径側右端平坦壁面４１７が設けられている。

　ここで、外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５の長さＬ８５は、外径側磁石挿入孔４１０の内径側平坦壁面４１５の長さＬ４５よりも短くなっている。また、外径側永久磁石８１０の外径側湾曲面８１２の円弧半径ｒ１０は、外径側磁石挿入孔４１０の外径側壁面４１２の円弧半径ｒ４２よりも小さくなっている。

　さらに、外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５と、外径側磁石挿入孔４１０の内径側平坦壁面４１５との間には、発泡シート９０が設けられている。

　ロータ１０の製造の際、外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５に発泡シート９０を貼付した後、外径側永久磁石８１０を外径側磁石挿入孔４１０に挿入し、加熱等により発泡シート９０を発泡させる。発泡シート９０が発泡することによって、外径側永久磁石８１０は、外径側に押圧され、外径側湾曲面８１２が外径側磁石挿入孔４１０の外径側壁面４１２と当接した状態で、ロータコア２０に固定される。

　外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５の長さＬ８５は、外径側磁石挿入孔４１０の内径側平坦壁面４１５の長さＬ４５よりも短くなっているので、外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５は、発泡シート９０を挟んで、間接的に外径側磁石挿入孔４１０の内径側平坦壁面４１５と当接する。

　これにより、外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５と外径側磁石挿入孔４１０の内径側平坦壁面４１５との当接面が安定するので、外径側永久磁石８１０がロータコア２０に固定される位置のバラつきを低減できる。

　また、外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５の長さＬ８５は、外径側磁石挿入孔４１０の内径側平坦壁面４１５の長さＬ４５よりも短くなっているので、外径側永久磁石８１０を外径側磁石挿入孔４１０に挿入するのが容易となり、生産性が向上する。

　また、発泡シート９０は、外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５と、外径側磁石挿入孔４１０の内径側平坦壁面４１５との間に設けられるので、ロータ１０の製造の際、外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５に発泡シート９０を貼付すればよく、発泡シート９０の位置決めが容易であり、生産性が向上する。

　さらに、外径側永久磁石８１０の外径側湾曲面８１２の周方向両端部８１０Ｌ、８１０Ｒには、外径側左端平坦部８１６及び外径側右端平坦部８１７が設けられており、外径側磁石挿入孔４１０の外径側壁面４１２の周方向両端部には、外径側永久磁石８１０の外径側左端平坦部８１６及び外径側右端平坦部８１７と対向する外径側左端平坦壁面４１６及び外径側右端平坦壁面４１７が設けられているので、発泡シート９０が発泡することによって、外径側永久磁石８１０が外径側に押圧されると、外径側永久磁石８１０は、外径側左端平坦部８１６及び外径側右端平坦部８１７が、外径側磁石挿入孔４１０の外径側左端平坦壁面４１６及び外径側右端平坦壁面４１７と当接した状態で、ロータコア２０に固定される。

　これにより、外径側永久磁石８１０が外径側磁石挿入孔４１０と当接する位置のバラつきを低減できる。さらに、内径側平坦部８１５に貼付された発泡シート９０が発泡するので、外径側永久磁石８１０の外径側への押圧方向のバラつきを低減できる。したがって、外径側永久磁石８１０がロータコア２０に固定される位置のバラつきを低減できる。

　また、外径側磁石挿入孔４１０に樹脂等を注入する必要なく、外径側永久磁石８１０をロータコア２０に固定することができる。

　また、外径側永久磁石８１０は、外径側に押圧されて、ロータコア２０に固定されているので、外径側永久磁石８１０をより外径側に配置することができ、回転電機の出力性能を向上できる。

　また、発泡シート９０は、外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５に貼付されているので、ロータ１０の製造において、外径側永久磁石８１０を外径側磁石挿入孔４１０に挿入する際に、発泡シート９０が外径側永久磁石８１０から剥がれるのを防止できる。また、ロータ１０の製造の際に発泡シート９０の位置決めが容易であり、生産性が向上する。

　外径側永久磁石８１０の周方向中央部８１０Ｃには、外径側永久磁石８１０の外径側湾曲面８１２と、外径側磁石挿入孔４１０の外径側壁面４１２との間に隙間部Ｇが設けられている。

　これにより、外径側永久磁石８１０の周方向中央部８１０Ｃにおいて、外径側永久磁石８１０と外径側磁石挿入孔４１０は接触しないので、ロータ１０の回転時に、ロータコア２０の外周面に過大な遠心応力が発生することを回避できる。さらに、隙間部Ｇによって、外径側永久磁石８１０及びロータコア２０の変形を許容できるので、外径側永久磁石８１０及びロータコア２０の冷熱応力を低減できる。

　また、外径側永久磁石８１０の外径側湾曲面８１２の円弧半径ｒ１０は、外径側磁石挿入孔４１０の外径側壁面４１２の円弧半径ｒ４２よりも小さくなっているので、外径側永久磁石８１０の周方向中央部８１０Ｃにおいて、外径側永久磁石８１０の外径側湾曲面８１２と、外径側磁石挿入孔４１０の外径側壁面４１２との間に、確実に隙間部Ｇを確保できる。

　なお、外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５、外径側左端平坦部８１６及び外径側右端平坦部８１７は、例えば円弧磁石を切削加工する等、任意の方法によって形成することができる。平坦な面は、円弧形状等の湾曲した面よりも高精度で加工できる。このため、内径側平坦部８１５、外径側左端平坦部８１６及び外径側右端平坦部８１７を有する外径側永久磁石８１０は、通常の円弧磁石よりも寸法精度が向上する。

　これにより、外径側磁石挿入孔４１０を小さくすることができ、回転電機の出力性能の低下を抑制できる。

　ここで、外径側永久磁石８１０、第１内径側永久磁石８２１、及び第２内径側永久磁石８２２は、例えば、熱間加工プロセスを用いた成形により形成されたリング状磁石を径方向に切断した円弧磁石を用いることができる。

　一般に、熱間押出し成形等の熱間加工プロセスを用いた成形によりリング状磁石を形成する場合、熱間押出し成形することにより、ランダムに配向していたリング状磁石素材の結晶群に径方向の圧縮応力が作用し、リング状磁石素材の結晶群は、圧縮応力方向と同方向に配向する。その結果、径方向に配向した異方性リング状磁石が得られる。

　したがって、高性能な磁化特性を持ったリング状磁石を得るためには、リング状磁石素材の結晶群に作用する応力が全域で均一となることが望ましい。しかし、リング状磁石素材のリング半径が小さく、リング状磁石素材の肉厚が大きい場合は、リング状磁石素材の結晶群に作用する応力が不均一となり、リング状磁石の配向度が低下してしまう。また、リング状磁石素材の肉厚が不均一の場合も、リング状磁石素材の結晶群に作用する応力が不均一となり、リング状磁石の配向度が低下してしまう。よって、リング状磁石素材の結晶群に作用する応力が全域で均一となるためには、（リング状磁石素材の肉厚）／（リング状磁石素材のリング半径）の値が、所定範囲内にある必要があり、円弧磁石の磁石量を増やすに際し、高性能な磁化特性を持った円弧磁石を複数層に配置するには、板厚に応じて円弧磁石の円弧半径も大きくする必要がある。

　第１内径側永久磁石８２１の板厚ｄ２１及び第２内径側永久磁石８２２の板厚ｄ２２は、外径側永久磁石８１０の板厚ｄ１０よりも大きくなっている。これにより、第１内径側永久磁石８２１及び第２内径側永久磁石８２２の磁石量を増やすことができ、回転電機のマグネットトルクを大きくできるので、回転電機の出力性能を向上できる。

　また、第１内径側永久磁石８２１の板厚ｄ２１及び第２内径側永久磁石８２２の板厚ｄ２２を大きくした分、第１内径側永久磁石８２１の円弧半径ｒ２１及び第２内径側永久磁石８２２の円弧半径ｒ２２は、外径側永久磁石８１０の円弧半径ｒ１０よりも大きくなっている。これにより、高性能な磁化特性を持つ外径側永久磁石８１０、第１内径側永久磁石８２１、及び第２内径側永久磁石８２２を用いることができるので、回転電機の出力性能を向上できる。なお、外径側永久磁石８１０の円弧半径ｒ１０、第１内径側永久磁石８２１の円弧半径ｒ２１及び第２内径側永久磁石８２２の円弧半径ｒ２２は、円弧中心から永久磁石の内周側の円弧面までの長さとする。

　ここで、外径側永久磁石８１０の円弧半径ｒ１０と、外径側永久磁石８１０の板厚ｄ１０との比であるｄ１０／ｒ１０と、第１内径側永久磁石８２１の円弧半径ｒ２１と、第１内径側永久磁石８２１の板厚ｄ２１との比であるｄ２１／ｒ２１と、第２内径側永久磁石８２２の円弧半径ｒ２２と、第２内径側永久磁石８２２の板厚ｄ２２との比であるｄ２２／ｒ２２とは、所定範囲で略同一の値であることが好ましい。より好ましくは、第１内径側永久磁石８２１の円弧半径ｒ２１と第２内径側永久磁石８２２の円弧半径ｒ２２とが同一、かつ、第１内径側永久磁石８２１の板厚ｄ２１と第２内径側永久磁石８２２の板厚ｄ２２が同一であり、第１内径側永久磁石８２１と第２内径側永久磁石８２２とが同一形状となっている。

［第２実施形態］
　続いて、本発明の第２実施形態のロータ１０について図３を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第１実施形態のロータ１０と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略又は簡略化し、第１実施形態のロータ１０との相違点について詳細に説明する。第１実施形態の外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５は、外径側永久磁石８１０の内径側湾曲面８１１の周方向中央部８１０Ｃを切り欠いた形状となっている。

　一方、図３に示すように、本実施形態の外径側永久磁石８１０の内径側平坦部８１５は、外径側永久磁石８１０の内径側湾曲面８１１から径方向内側に突出するように形成されている。

　これにより、外径側永久磁石８１０の磁石量を減らすことなく内径側平坦部８１５を形成することができるので、回転電機の出力性能が低下することなく、内径側平坦部８１５を形成することができる。

　なお、前述した実施形態は、適宜、変形、改良、等が可能である。

　例えば、第１実施形態及び第２実施形態では、外径側永久磁石８１０の内径側湾曲面８１１及び外径側湾曲面８１２は、同じ円弧中心Ｃ１０を有する径方向内側に向かって凸状の円弧形状としたが、例えば、外径側永久磁石８１０は、内径側湾曲面８１１の円弧半径が、外径側湾曲面８１２の円弧半径よりも大きくなっており、外径側永久磁石８１０は、周方向中央部８１０Ｃから周方向両端部８１０Ｌ、８１０Ｒに向かって板厚が減少する、略三日月形状としてもよい。さらに、外径側永久磁石８１０の内径側湾曲面８１１及び外径側湾曲面８１２は、円弧形状に限らず、径方向内側に向かって凸状に湾曲した任意の形状を有していてもよい。

　また、第１実施形態及び第２実施形態では、外径側永久磁石８１０について説明したが、第１内径側永久磁石８２１及び第２内径側永久磁石８２２についても、外径側永久磁石８１０と同様の構成を有していてもよい。さらに、第１実施形態及び第２実施形態において、内径側磁石部３２０の第１内径側永久磁石８２１及び第２内径側永久磁石８２２は、省略することができる。すなわち、磁石部３００は、外径側磁石部３１０の外径側永久磁石８１０のみからなっていてもよい。

　また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。

　（１）　周方向に沿って形成された複数の磁石挿入孔（外径側磁石挿入孔４１０）を有する略円環形状のロータコア（ロータコア２０）と、
　前記複数の磁石挿入孔に挿入された複数の永久磁石（外径側永久磁石８１０）と、を備え、
　前記永久磁石は、内径面に径方向内側に凸状に湾曲した内径側湾曲面（内径側湾曲面８１１）と、外径面に径方向内側に凸状に湾曲した外径側湾曲面（外径側湾曲面８１２）と、を有し、
　前記磁石挿入孔は、前記永久磁石の前記内径側湾曲面と対向する内径側壁面（内径側壁面４１１）と、前記永久磁石の前記外径側湾曲面と対向する外径側壁面（外径側壁面４１２）と、を有する、回転電機のロータ（ロータ１０）であって、
　前記永久磁石は、前記内径側湾曲面の周方向中央部（周方向中央部８１０Ｃ）に内径側平坦部（内径側平坦部８１５）を有し、
　前記磁石挿入孔は、前記内径側壁面に前記永久磁石の前記内径側平坦部と対向する内径側平坦壁面（内径側平坦壁面４１５）を有し、
　前記永久磁石の前記内径側平坦部と前記磁石挿入孔の前記内径側平坦壁面とが、直接又は間接的に当接した状態で、前記永久磁石の周方向中央部（周方向中央部８１０Ｃ）には、前記永久磁石の前記外径側湾曲面と前記磁石挿入孔の前記外径側壁面との間に隙間部（隙間部Ｇ）が設けられている、回転電機のロータ。

　（１）によれば、永久磁石の周方向中央部には、永久磁石の外径側湾曲面と、磁石挿入孔の外径側壁面との間に隙間部が設けられているので、永久磁石の周方向中央部において、永久磁石と磁石挿入孔は接触しない。これにより、ロータの回転時に、ロータコアの外周面に過大な遠心応力が発生することを回避できる。さらに、隙間部によって、永久磁石及びロータコアの変形を許容できるので、永久磁石及びロータコアの冷熱応力を低減できる。
　また、永久磁石の内径面は、周方向中央部に設けられた内径側平坦面を有し、磁石挿入孔の内径側壁面は、磁石挿入孔の周方向中央部に設けられた内径側平坦壁面を有する。平坦な面は高精度で加工できるため、永久磁石及び磁石挿入孔の寸法精度が向上する。これにより、磁石挿入孔を小さくすることができ、回転電機の出力性能の低下を抑制できる。

　（２）　（１）に記載の回転電機のロータであって、
　前記ロータコアの正面から見て、
　前記永久磁石の前記内径側平坦部の長さ（長さＬ８５）は、前記磁石挿入孔の前記内径側平坦壁面の長さ（長さＬ４５）よりも短い、回転電機のロータ。

　（２）によれば、永久磁石の内径側平坦部の長さは、磁石挿入孔の内径側平坦壁面の長さよりも短くなっているので、永久磁石を外径側磁石挿入孔に挿入するのが容易となり、生産性が向上する。
　また、永久磁石の内径側平坦部の長さは、磁石挿入孔の内径側平坦壁面の長さよりも短くなっているので、永久磁石の内径側平坦部は、確実に直接的又は間接的に磁石挿入孔の内径側平坦壁面と当接する。これにより、永久磁石の内径側平坦部と磁石挿入孔の内径側平坦壁面との当接面が安定するので、永久磁石がロータコアに固定される位置のバラつきを低減できる。

　（３）　（１）または（２）に記載の回転電機のロータであって、
　前記永久磁石の前記内径側平坦部と、前記磁石挿入孔の前記内径側平坦壁面との間には、発泡シート（発泡シート９０）が設けられている、回転電機のロータ。

　（３）によれば、発泡シートは、永久磁石の内径側平坦部と、磁石挿入孔の内径側平坦壁面との間に設けられるので、ロータの製造の際、発泡シートの位置決めが容易であり、生産性が向上する。さらに、平坦な面に配置された発泡シートが発泡するので、永久磁石が磁石挿入孔の外径側壁面と当接する位置のバラつきを低減できる。これにより、永久磁石がロータコアに固定される位置のバラつきを低減できる。

　（４）　（１）～（３）のいずれかに記載の回転電機のロータであって、
　前記永久磁石の前記外径側湾曲面は、径方向内側に向かって凸状の円弧形状を有し、
　前記磁石挿入孔の前記外径側壁面は、径方向内側に向かって凸状の円弧形状を有し、
　前記永久磁石の前記外径側湾曲面の円弧半径（円弧半径ｒ１０）は、前記磁石挿入孔の前記外径側壁面の円弧半径（円弧半径ｒ４２）よりも小さい、回転電機のロータ。

　（４）によれば、永久磁石の外径側湾曲面の円弧半径は、磁石挿入孔の外径側壁面の円弧半径よりも小さくなっているので、永久磁石の周方向中央部において、永久磁石の外径側湾曲面と、磁石挿入孔の外径側壁面との間に、確実に隙間部を確保できる。

　（５）　（１）～（４）のいずれかに記載の回転電機のロータであって、
　前記永久磁石の前記外径側湾曲面の周方向両端部（周方向両端部８１０Ｌ、８１０Ｒ）には、外径側平坦部（外径側左端平坦部８１６、外径側右端平坦部８１７）が設けられており、
　前記磁石挿入孔の前記外径側壁面の周方向両端部には、外径側平坦壁面（外径側左端平坦壁面４１６、外径側右端平坦壁面４１７）が設けられている、回転電機のロータ。

　（５）によれば、永久磁石の外径側湾曲面の周方向両端部には、外径側平坦面が設けられており、磁石挿入孔の外径側壁面の周方向両端部には、外径側平坦壁面が設けられているので、永久磁石が外径側に移動すると、永久磁石は、外径側平坦部が磁石挿入孔の外径側平坦壁面と当接する。これにより、永久磁石が磁石挿入孔と当接する位置のバラつきを低減でき、永久磁石がロータコアに固定される位置のバラつきを低減できる。

　（６）　（１）～（５）のいずれかに記載の回転電機のロータであって、
　前記永久磁石の前記内径側平坦部は、前記永久磁石の前記内径側湾曲面から径方向内側に突出するように形成されている、回転電機のロータ。

　（６）によれば、永久磁石の内径側平坦部は、永久磁石の内径側湾曲面から径方向内側に突出するように形成されているので、永久磁石の磁石量を減らすことなく内径側平坦部を形成することができる。

　なお、本出願は、２０１８年９月２８日出願の日本特許出願（特願２０１８－１８５５２２）に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

１０　ロータ
２０　ロータコア
４１０　外径側磁石挿入孔（磁石挿入孔）
４１１　内径側壁面
４１２　外径側壁面
４１５　内径側平坦壁面
４１６　外径側左端平坦壁面（外径側平坦壁面）
４１７　外径側右端平坦壁面（外径側平坦壁面）
８１０　外径側永久磁石（永久磁石）
８１０Ｃ　周方向中央部
８１０Ｌ　周方向左端部（周方向両端部）
８１０Ｒ　周方向右端部（周方向両端部）
８１１　内径側湾曲面
８１２　外径側湾曲面
８１５　内径側平坦部
８１６　外径側左端平坦部（外径側平坦部）
８１７　外径側右端平坦部（外径側平坦部）
９０　発泡シート
Ｇ　隙間部
Ｌ４５、Ｌ８５　長さ
ｒ１０、ｒ４２　円弧半径 

Claims (6)

1. 　周方向に沿って形成された複数の磁石挿入孔を有する略円環形状のロータコアと、
   　前記複数の磁石挿入孔に挿入された複数の永久磁石と、を備え、
   　前記永久磁石は、内径面に径方向内側に凸状に湾曲した内径側湾曲面と、外径面に径方向内側に凸状に湾曲した外径側湾曲面と、を有し、
   　前記磁石挿入孔は、前記永久磁石の前記内径側湾曲面と対向する内径側壁面と、前記永久磁石の前記外径側湾曲面と対向する外径側壁面と、を有する、回転電機のロータであって、
   　前記永久磁石は、前記内径側湾曲面の周方向中央部に内径側平坦部を有し、
   　前記磁石挿入孔は、前記内径側壁面に前記永久磁石の前記内径側平坦部と対向する内径側平坦壁面を有し、
   　前記永久磁石の前記内径側平坦部と前記磁石挿入孔の前記内径側平坦壁面とが、直接又は間接的に当接した状態で、前記永久磁石の周方向中央部には、前記永久磁石の前記外径側湾曲面と前記磁石挿入孔の前記外径側壁面との間に隙間部が設けられている、回転電機のロータ。
2. 　請求項１に記載の回転電機のロータであって、
   　前記ロータコアの正面から見て、
   　前記永久磁石の前記内径側平坦部の長さは、前記磁石挿入孔の前記内径側平坦壁面の長さよりも短い、回転電機のロータ。
3. 　請求項１または２に記載の回転電機のロータであって、
   　前記永久磁石の前記内径側平坦部と、前記磁石挿入孔の前記内径側平坦壁面との間には、発泡シートが設けられている、回転電機のロータ。
4. 　請求項１～３のいずれか一項に記載の回転電機のロータであって、
   　前記永久磁石の前記外径側湾曲面は、径方向内側に向かって凸状の円弧形状を有し、
   　前記磁石挿入孔の前記外径側壁面は、径方向内側に向かって凸状の円弧形状を有し、
   　前記永久磁石の前記外径側湾曲面の円弧半径は、前記磁石挿入孔の前記外径側壁面の円弧半径よりも小さい、回転電機のロータ。
5. 　請求項１～４のいずれか一項に記載の回転電機のロータであって、
   　前記永久磁石の前記外径側湾曲面の周方向両端部には、外径側平坦部が設けられており、
   　前記磁石挿入孔の前記外径側壁面の周方向両端部には、外径側平坦壁面が設けられている、回転電機のロータ。
6. 　請求項１～５のいずれか一項に記載の回転電機のロータであって、
   　前記永久磁石の前記内径側平坦部は、前記永久磁石の前記内径側湾曲面から径方向内側に突出するように形成されている、回転電機のロータ。 

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