WO2019189649A1

WO2019189649A1 - 有床義歯の製造方法、有床義歯及び有床義歯の製造装置

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Publication number: WO2019189649A1
Application number: PCT/JP2019/013775
Authority: WO
Inventors: 金澤　学; 弓夏副田; 麻衣子岩城; 俊夫荒木田; 多麻木羽田; 俊介水口
Original assignee: 国立大学法人東京医科歯科大学
Priority date: 2018-03-29
Filing date: 2019-03-28
Publication date: 2019-10-03
Also published as: JP7209375B2; US12004915B2; EP3777758A1; EP3777758A4; JPWO2019189649A1; US20210015592A1

Abstract

有床義歯の有床義歯データを作成すると共に、有床義歯が収容されるディスク枠のディスク枠データを作製し、ディスク枠データに基づいてディスク枠を造形する。次に、ディスク枠内に人工歯を排列して床レジンを硬化させることで、人工歯が埋入されたレジンディスクを作製し、有床義歯データに基づいてレジンディスクを切削して義歯床を削り出すことで、人工歯の基部側が義歯床に埋入された有床義歯を製造する。これにより、審美性に優れた人工歯を使用して、人工歯と義歯床とを強固に接合できると共に、人工歯の戻り精度が良好な有床義歯を製造できる。

Description

有床義歯の製造方法、有床義歯及び有床義歯の製造装置

　本発明は、義歯床に人工歯が排列された有床義歯の製造方法、有床義歯及び有床義歯の製造装置に関する。

　口腔内における歯科補綴物には、部分床義歯や全部床義歯などの有床義歯がある。有床義歯は、義歯床を土台として義歯床上に一つ又は複数の人工歯が排列された義歯であり、有床義歯は、義歯床の粘膜対向面が口腔内において歯肉粘膜面に密着されて装着される。

　近年、切削技術及び造形技術の向上に伴い、高精度な切削加工や造形が可能となっている。ここから、ＣＡＤ／ＣＡＭ技術を利用して人工歯や義歯床を製造して、有床義歯を製造する各種の方法が提案されている。

　例えば、特表２０１３－５１２６９５号公報では、義歯のデジタルデータを取得し、取得したデジタルデータから有床義歯を製造する方法が提案されている。特表２０１３－５１２６９５号公報の技術では、デジタルデータを歯列弓のモデルデータと義歯床のモデルデータとに分離し、切削技術又は造形技術を用いて、歯列弓のモデルデータから複数の人工歯を一体化した歯列弓を製造すると共に、義歯床のモデルデータから義歯床を製造する。この後、製造した歯列弓と義歯床とを接着あるいは接合することで、有床義歯を得るように提案している。

　ところで、口腔内に装着される有床義歯には、粘膜面との適合精度及び咬合関係の再現性が要求される。特に咬合関係の再現性が低下することで、口腔内において有床義歯が有効に機能しなくなる。これまでのＣＡＤ／ＣＡＭ技術を応用した有床義歯の製造方法は、粘膜面との良好な適合は得ることができるが、特許文献１の技術のように人工歯と義歯床とを製造して、製造した人工歯を義歯床に接合した場合、義歯のデジタルデータ通りに人工歯を正しく所定の位置に接合させる精度（人工歯の戻り精度）を得ることができず、咬合関係の再現性が得られないという問題がある。また、特許文献１の技術のような歯列弓では、個々の人工歯の審美性が悪くなる（審美性が得られなくなる）という問題がある。さらに、個別に製造された人工歯と義歯床とは、強固な接合が難しいという問題もある。

　本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、人工歯と義歯床とを強固に接合可能な有床義歯の製造方法、有床義歯及び有床義歯の製造装置の提供を目的とする。

　本発明の態様に係る有床義歯の製造方法は、製造する有床義歯について、義歯床の三次元の義歯床データ、及び前記義歯床に排列する人工歯と該人工歯の排列とを含む三次元の人工歯データを作製して、三次元の有床義歯データを作製するデータ作製ステップと、枠体内に前記人工歯データに基づいて前記人工歯を排列し、前記人工歯を排列した前記枠体内に前記義歯床を形成する床レジンを充填することでレジンブロックを作製するブロック作製ステップと、切削装置を用いて前記レジンブロックを前記有床義歯データに基づいて切削することで、前記義歯床に前記人工歯が排列された有床義歯を削り出す切削ステップと、を含む。

　本発明の態様に係る有床義歯は、義歯床の三次元の義歯床データ、及び前記義歯床に排列する人工歯と該人工歯の排列とを含む三次元の人工歯データを作製して、三次元の有床義歯データを作製するデータ作製ステップと、枠体内に前記人工歯データに基づいて前記人工歯を排列し、前記人工歯を排列した前記枠体内に前記義歯床を形成する床レジンを充填することでレジンブロックを作製するブロック作製ステップと、切削装置を用いて前記レジンブロックを前記有床義歯データに基づいて切削することで、前記義歯床に前記人工歯が排列された有床義歯を削り出す切削ステップと、を含む有床義歯の製造方法により製造されている。

　本発明の態様に係る有床義歯の製造装置は、製造する有床義歯について、義歯床の三次元の義歯床データ、及び前記義歯床に排列する人工歯と該人工歯の排列とを含む三次元の人工歯データを作製して、三次元の有床義歯データを作製する設計部と、枠体内に前記人工歯データに基づいて前記人工歯が排列され、前記人工歯を排列した前記枠体内に前記義歯床を形成する床レジンが充填されたレジンブロックに対し、切削加工を行う切削装置と、前記有床義歯データに基づいて前記レジンブロックが切削されるように前記切削装置を制御して、前記義歯床に前記人工歯が排列された有床義歯を削り出す制御部と、を含む。

　以上説明したように本発明の態様によれば、人工歯と義歯床とを強固に接合した有床義歯を製造できる、という効果を有する。しかも、本発明の態様によれば、人工歯の戻り精度が良好で、審美性に優れた人工歯を使用することができて、高品質の有床義歯を製造できる。

本実施形態に係る有床義歯の斜視図である。製造システムの概略構成を示すブロック図である。有床義歯の製造工程の流れ図である。本実施形態に係るディスク枠を示す斜視図である。表示デバイスに表示される有床義歯及びディスク枠の三次元画像である。人工歯が排列されたディスク枠を示す斜視図である。一部に床レジンが充填されたディスク枠を示す斜視図である。床レジンが充填されたディスク枠を示す斜視図である。切削されたレジンディスクを示す斜視図である。

　本実施形態では、以下の態様を含む。
＜１＞　製造する有床義歯について、義歯床の三次元の義歯床データ、及び前記義歯床に排列する人工歯と該人工歯の排列とを含む三次元の人工歯データを作製して、三次元の有床義歯データを作製するデータ作製ステップと、枠体内に前記人工歯データに基づいて前記人工歯を排列し、前記人工歯を排列した前記枠体内に前記義歯床を形成する床レジンを充填することでレジンブロックを作製するブロック作製ステップと、切削装置を用いて前記レジンブロックを前記有床義歯データに基づいて切削することで、前記義歯床に前記人工歯が排列された有床義歯を削り出す切削ステップと、を含む有床義歯の製造方法。

＜２＞　前記切削ステップは、前記人工歯を前記人工歯データに基づいて切削することを含む＜１＞の有床義歯の製造方法。

＜３＞　前記人工歯は、前記人工歯データに基づいて前記枠体に対して位置決めされて前記枠体内の底板に排列される＜１＞又は＜２＞の有床義歯の製造方法。

＜４＞　前記人工歯が前記人工歯データに基づいて排列された際に、前記人工歯の咬合面側部分又は咬合面とは反対側の基部側部分が嵌入される嵌合部が前記枠体内の底板に設けられる＜1＞から＜３＞の何れか１の有床義歯の製造方法。

＜５＞　前記枠体内に排列される前記人工歯が、前記切削装置に対して位置決めされる位置決め部が前記枠体に設けられた＜１＞から＜４＞の何れか１の有床義歯の製造方法。

＜６＞　造形装置を用い、前記枠体を該枠体の三次元の枠体データに基づいて造形する造形ステップを含み、前記有床義歯データに合せて前記枠体データが作製される＜１＞から＜５＞の何れか１の有床義歯の製造方法。

＜７＞　前記枠体データは、前記有床義歯データで表される有床義歯画像が前記枠体データで表される枠体画像内に収容されるように相対位置が定められて作製される＜６＞の有床義歯の製造方法。
＜８＞　前記枠体データは、前記枠体画像の底板に前記有床義歯画像の人工歯の咬合面側部分又は咬合面とは反対側の基部側部分が重ねられることで、該重なり部分が前記枠体画像の底板から除かれて作製される、ことを含む＜７＞の有床義歯の製造方法。

＜９＞　＜１＞から＜８＞の何れか１の有床義歯の製造方法により製造された有床義歯。
＜１０＞　製造する有床義歯について、義歯床の三次元の義歯床データ、及び前記義歯床に排列する人工歯と該人工歯の排列とを含む三次元の人工歯データを作製して、三次元の有床義歯データを作製するデータ設計部と、枠体内に前記人工歯データに基づいて前記人工歯が排列され、前記人工歯を排列した前記枠体内に前記義歯床を形成する床レジンが充填されたレジンブロックに対し、切削加工を行う切削装置と、前記有床義歯データに基づいて前記レジンブロックが切削されるように前記切削装置を制御して、前記義歯床に前記人工歯が排列された有床義歯を削り出す制御部と、を含む有床義歯の製造装置。

　以下、図面を参照して本態様の実施形態を詳細に説明する。
　本実施形態では、有床義歯の製造を説明する。本実施形態では、ＣＡＤ（Computer Aided Design、コンピュータ支援による設計）技術及びＣＡＭ（Computer Aided Manufacturing、コンピュータ支援による製造）技術（ＣＡＤ／ＣＡＭ技術）を用いて被験者（患者）に適合した有床義歯を製造する。

　本実施形態に係る有床義歯は、上顎義歯であってもよく、下顎義歯であってもよい。また、本実施形態に係る有床義歯は、部分床義歯（一部義歯）であってもよく、全部床義歯（総義歯）であってもよい。

　図１には、本実施形態に係る下顎義歯及び全部床義歯としての有床義歯１０の外観が斜視図にて示されている。なお、図面では、Ｚ軸方向が上側とされ、Ｘ軸方向が口腔内における咽喉側に対応され、Ｙ軸方向が口腔内における左頬側に対応されている。

　図１に示すように、有床義歯１０は、歯肉側の義歯床１２及び義歯床１２上に排列された複数の人工歯１４を備えている。義歯床１２は、平面視において略山形状（略弓状）とされており、頂部が口腔内の唇側とされる。また、義歯床１２は、上下方向い沿う断面（断面の図示は省略）が略山形状とされており、略山形状断面における頂部が歯槽部１６とされている。口腔内において下顎側の歯肉は、咽喉側部分が上顎側（上側）に向けて湾曲しており、義歯床１２の歯槽部１６には、歯肉の咽喉側湾曲部分を覆う咽喉側歯槽部１６Ａが形成されている。

　義歯床１２は、口腔内において咽喉側部分が舌側床翼部１８とされ、口腔内において唇側部分が唇側床翼部２０とされていると共に、唇側床翼部２０の両頬側（左右方向両側）が頬側床翼部２２とされている。義歯床１２では、唇側床翼部２０及び頬側床翼部２２の各々と舌側床翼部１８とが歯槽部１６において一体にされている。

　義歯床１２では、唇側床翼部２０及び頬側床翼部２２と舌側床翼部１８との間の内面が装着面２４とされている。義歯床１２（有床義歯１０）は、口腔内に装着される際、装着面２４が下顎の歯肉（歯茎）粘膜に密着される。

　複数の人工歯１４は、義歯床１２の歯槽部１６において、歯槽部１６の唇側から咽喉側（咽喉側歯槽部１６Ａ側）の各々に向かって略左右対称（平面視において略左右対称）に排列されている。また、人工歯１４の各々は、咬合面とは反対側の基部側の少なくとも一部が歯槽部１６に埋入されて植立状態にされている。

　図２には、本実施形態に係る製造装置としてのＣＡＤ／ＣＡＭ技術を利用した製造システム３０の概略構成が示されており、製造システム３０は、有床義歯１０の製造に用いられる。

　図２に示すように、製造システム３０には、制御部及び設計部が構成される主処理装置３２が設けられており、主処理装置３２には、例えば、パーソナルコンピュータが用いられる。また、製造システム３０には、造形装置（三次元造形装置）としての３Ｄプリンタ３４、及び切削装置としてのミリングマシン３６が設けられている。

　主処理装置３２は、ＣＰＵ、ＲＯＭ、ＲＡＭ等がバス（何れも図示省略）によって接続された主処理部３８を備えている。また、主処理装置３２は、不揮発性記憶媒体としてのＨＤＤ４０、キーボードやマウス等の入力デバイス４２、液晶モニタ（ＬＣＤ）等の表示デバイス４４、通信インターフェース４６、及び入出力インターフェース４８等を備えている。主処理装置３２では、主処理部３８、ＨＤＤ４０、入力デバイス４２、表示デバイス４４、通信インターフェース４６、及び入出力インターフェース４８が相互にデータ交換可能に接続されている。

　主処理装置３２は、主処理部３８においてＲＯＭに記憶されたＯＳ（オペレーティングシステム）をＣＰＵが読み出してＲＡＭに展開しながら実行することで動作する。また、ＨＤＤ４０には、各種のデータが記憶される記憶領域５０が設けられていると共に、アプリケーションプログラムが記憶されている。主処理部３８では、ＣＰＵがアプリケーションプログラムを読み出してＲＡＭに展開しながら実行することで、アプリケーションプログラムが機能する。なお、主処理装置３２は、通信インターフェース４６を介して、ＬＡＮや公衆通信回線網（インターネット）に接続されることで、ＬＡＮや公衆通信回線網を介したデータやプログラム等の送受信が可能となっている。主処理部３８は、通信インターフェース４６を介して取得されるプログラムを実行してもよい。

　ＨＤＤ４０に記憶されるアプリケーションプログラムには、ＣＡＤプログラム（三次元ＣＡＤソフトウェア）５２及びＣＡＭプログラム５４が含まれており、ＣＡＭプログラム５４には、造形プログラム５４Ａ及び切削プログラム５４Ｂが含まれている。また、主処理装置３２の入出力インターフェース４８には、３Ｄプリンタ３４及びミリングマシン３６が接続されており、３Ｄプリンタ３４及びミリングマシン３６は、主処理部３８によって制御される。

　主処理装置３２は、主処理部３８においてＣＡＤプログラム５２が読み出されて実行されることで、三次元データを作製する設計部として機能する。また、主処理装置３２は、主処理部３８において造形プログラム５４Ａ及び切削プログラム５４Ｂが読み出されて実行されることで、３Ｄプリンタ３４を用いた造形工程としての造形部、及びミリングマシン３６を用いた切削工程としての切削部として機能する。また、主処理部３８は、造形工程及び切削工程における制御部として機能する。

　以下に、製造システム３０における有床義歯１０の製造を説明する。
　製造システム３０では、有床義歯１０の製造に、枠体としてのディスク枠６０を用いている。図３には、製造システム３０を用いた有床義歯１０の製造工程が流れ図にて示され、図４には、ディスク枠６０の外観が斜視図にて示されている。

　図４に示すように、ディスク枠６０は、有底筒状とされており、ディスク枠６０は、円筒状の枠部６２を備えている。枠部６２には、義歯床１２を形成するための床レジン７６が充填されるレジン充填部６４が形成されている。枠部６２内には、仕切り板６２Ａ及び略山形状（略五角形状）の仕切り部６２Ｂが設けられており、枠部６２、仕切り板６２Ａ及び仕切り部６２Ｂに囲われた空間がレジン充填部６４とされている。ディスク枠６０のレジン充填部６４には、底板６６が形成されており、レジン充填部６４は、底板６６によりディスク枠６０の軸方向の一側が閉塞されている。

　図３に示すように、本実施形態では、データ作製ステップとしてのデータ作製工程、造形ステップとしてのディスク枠作製工程、ブロック作製ステップとしてのレジンディスク作製工程、切削ステップとしての切削工程及び仕上げ工程が順に実行されることで、有床義歯１０が製造される。

〔データ作製工程〕
　データ作製工程は、設計工程でもあり、データ作製工程では、主処理装置３２においてＣＡＤプログラム５２が起動されて、製造する有床義歯１０の三次元データとしての有床義歯データ及びディスク枠６０の三次元データとしてのディスク枠データの作製（設計）が行われる。図５には、表示デバイス４４の表示画像の一例が斜視図にて示されている。

　図５に示すように、データ作製工程では、製造する有床義歯１０（義歯床１２及び人工歯１４）の三次元画像としての有床義歯画像１０Ａ、及びディスク枠６０の三次元画像としてのディスク枠画像６０Ａが表示デバイス４４に表示されるように、キーボード及びマウス等の入力デバイス４２が操作される。

　歯科医療の分野では、ＣＡＤ／ＣＡＭ技術が普及しており、被験者に適合した義歯床、人工歯、人工歯排列及び人工歯を義歯床に排列した有床義歯の設計が可能なＣＡＤ用アプリケーションソフトが各種提供されている。ＣＡＤプログラム５２には、専用のアプリケーションソフトを用いるだけでなく、提供されるＣＡＤ用アプリケーションソフトの何れかを適用してもよく、被験者に適合するように、義歯床１２に人工歯１４が排列された有床義歯１０の設計が行われる。

　また、歯科医療の分野では、審美性はいうまでもなく、耐久性、硬さ、形状などの各種の物性が考慮された既製の人工歯が各種提供されている。人工歯は、歯冠色レジンを用いて形成することができるが、歯冠色レジンで人工歯を形成するよりも、物性や審美性に定評のある既製の人工歯を用いるほうが効率的といえる。ここから、製造する有床義歯１０には、既製の人工歯から色や形状が被験者に適合するように選択した人工歯を人工歯１４として用いることが好ましい。人工歯１４の三次元データには、選択した既製の人工歯の三次元データが用いられる。

　これにより、製造する有床義歯１０について、義歯床１２、人工歯１４及び人工歯１４の排列が被験者に適合した三次元データが容易に得られる。すなわち、義歯床１２の三次元の義歯床データ、及び義歯床１２に排列する人工歯１４と人工歯１４の排列とを含む三次元の人工歯データに基づいて、三次元の有床義歯データが作製される。

　ディスク枠６０は、有床義歯１０及び切削工程に用いられるミリングマシン３６に合せて設計されて、ディスク枠６０の三次元データとしてのディスク枠データが作製される。図５に示すように、ディスク枠データは、ディスク枠画像６０Ａが枠部６２に位置決め部としてのリング部６８が付加されるように作製される。リング部６８は、ミリングマシン３６に対してのディスク枠６０の位置決めに用いられる。リング部６８は、枠部６２の軸方向中間部おいて外周面から外方に突出されると共に、枠部６２の全周に渡って形成されている。また、枠部６２の軸方向におけるリング部６８の位置（例えば、軸方向の中心位置）、幅（軸方向の寸法）、枠部６２の径方向に沿う突出高さは、ミリングマシン３６に合せて定められる。なお、ディスク枠６０の位置決め部は、切削工程に用いられるミリングマシン３６に合せて形成されるものであり、必ずしもリング部６８に限らない。

　また、ディスク枠データ（ディスク枠画像６０Ａ）は、枠部６２の直径方向の両側（本実施形態では、有床義歯画像１０Ａにおいて唇側と喉側）に対で保持孔７０が付加されるように作製される。一対の保持孔７０は、枠部６２を軸方向に貫通するように付加される。本実施形態では、平面視において一対の保持孔７０の軸心を結ぶ線がレジン充填部６４の対称線となるように、一対の保持孔７０が付加される。なお、保持孔７０もミリングマシン３６に合せて付加されるものであり、必ずしも保持孔７０に限らない。

　有床義歯データ及びディスク枠データを作製する際は、人工歯１４の咬合面側がレジン充填部６４の内の底板６６側に向けられると共に、義歯床１２及び人工歯１４の排列が、一対の保持孔７０の軸心を結ぶ線において左右に振り分けられて、有床義歯画像１０Ａとディスク枠画像６０Ａとが重ねられる。

　ディスク枠データは、ディスク枠画像６０Ａにおいて、有床義歯画像１０Ａ（義歯床１２及び人工歯１４）がレジン充填部６４内に収容されるように作製される。また、有床義歯画像１０Ａをディスク枠画像６０Ａに重ねる際には、人工歯１４の各々の咬合面側部分が、底板６６に嵌入されるように配置される。ディスク枠データにおいて底板６６は、各人工歯１４と重なる部分が凹状の嵌合部７２とされて除かれて、人工歯１４をディスク枠６０に位置決めする位置決め部として形成される。また、人工歯１４の咬合面側部分を底板６６に重ねることで、義歯床１２の咽喉側歯槽部１６Ａが底板６６に干渉する場合、ディスク枠データにおいて底板６６には、咽喉側歯槽部１６Ａとの干渉を防止する凹部７４が形成される。すなわち、レジン充填部６４は、有床義歯画像１０Ａの収容に必要な最小限の大きさであればよく、そのため、図４に示すように、本実施形態では、ディスク枠６０に仕切り板６２Ａ、仕切り部６２Ｂ、及び凹部７４を形成している。

　これにより、データ作製工程では、有床義歯データ（有床義歯画像１０Ａ）とディスク枠データ（ディスク枠画像６０Ａ）との相対位置が定められて、義歯床１２の三次元データとなる義歯床データと各人工歯１４（排列を含む）の三次元データとなる人工歯データとを含む有床義歯データ、及びディスク枠データが作製される。

〔ディスク枠作製工程〕
　ディスク枠作製工程では、主処理装置３２において造形プログラム５４Ａが起動され、ディスク枠６０の三次元データから３Ｄプリンタ３４によりディスク枠６０を造形する。

　ディスク枠作製工程においては、ラピッドプロトタイプ法を応用して立体像としてのディスク枠６０を作製する。ラピッドプロトタイプ法における造形手法としては、結合剤噴射法、指向性エネルギー体積法、材料抽出法、材料噴射法、粉末床溶融結合法、シート積層法、液槽光重合法のほか、積層造形法、光造形法、粉末造形法、熱溶解積層法、及びインクジェット法等がある。ディスク枠作製工程では、何れの手法が適用されてもよい。

　近年、造形材料として光硬化性樹脂液（光硬化性レジン）を使用して光造形法によって立体物を造形する三次元造形装置（３Ｄプリンタ）が普及しており、本実施形態では、光造形法が適用された３Ｄプリンタ（例えば、Form2：Formlabs社製の商品名）を用いている。

　３Ｄプリンタ３４を用いた光造形では、ディスク枠データを積層ピッチで分割した断面データ（スライスデータ）を用い、断面データに応じた光を光硬化性樹脂液中のプラットフォーム（トレイ）に照射し、光硬化性樹脂液を光硬化させることで、プラットフォームの下面に硬化層を形成する。また、硬化層が形成されたプラットフォームを積層ピッチずつ移動（上昇）させながら、断面データに応じた光照射を繰り返すことで硬化層を積層する。これにより、３Ｄプリンタ３４において、ディスク枠データからディスク枠６０が造形される。

　造形されたディスク枠６０には、枠部６２にリング部６８及び一対の保持孔７０が形成されると共に、レジン充填部６４の底板６６に各人工歯１４に対する嵌合部７２及び義歯床１２の咽喉側歯槽部１６Ａに対応する凹部７４が形成される。また、枠部６２には、仕切り板６２Ａ及び仕切り部６２Ｂが形成される。

〔レジンディスク作製工程〕
　レジンディスク作製工程では、ディスク枠６０の底板６６に人工歯１４を排列し、底板６６に人工歯１４を排列したレジン充填部６４内に、義歯床１２を形成する液状の床レジン７６を流し込む（レジン充填工程）。また、レジンディスク作製工程では、レジン充填部６４に流し込んだ床レジン７６を重合させて硬化させる（硬化工程）。

　図６Ａには、人工歯１４が排列された状態のディスク枠６０が斜視図にて示されている。また、図６Ｂには、床レジン７６の充填途中のディスク枠６０が斜視図にて示され、図６Ｃには、床レジン７６が充填されたディスク枠６０（下記レジンディスク７８に対応）が斜視図にて示されている。

　ディスク枠６０に排列する人工歯１４には、データ作製工程において適用（選択）した人工歯（既製の人工歯）が用いられる。そのため、ＣＡＤ／ＣＡＭ技術を用いない従来の全部床義歯と同様に、人工歯１４は、審美性に定評のあるものになる。ディスク枠６０の底板６６には、人工歯１４の各々の咬合面側部分に対応する凹みのある嵌合部７２が形成されている。

　ここから、図６Ａに示すように、人工歯１４の各々は、咬合面側部分が嵌合部７２に嵌入されて底板６６上に排列される。人工歯１４を排列する際には、底板６６の嵌合部７２の各々の内面に接着剤を塗布し、人工歯１４の各々を底板６６に接着する。これにより、人工歯１４は、底板６６上に位置決めされて、底板６６（ディスク枠６０）に対して接合されることで、人工歯データ通りに底板６６に排列されて仮止めされる。なお、人工歯データに基づいて人工歯１４を排列できれば、嵌合部７２は、凹状でなくてもよい。また、人工歯１４は、嵌合部７２によらない位置決め、接着剤等を用いない単なる嵌合部７２への嵌入、接着剤等による嵌合部７２への仮止めであってよい。

　次に、図６Ｂに示すように、ディスク枠６０のレジン充填部６４内に液状の床レジン７６を流し込む。歯科医療の分野においては、義歯床１２を形成するための各種の床レジン（樹脂材料）が提供されており、床レジン７６としては、重合することで硬化するレジン（樹脂）が用いられる。また、床レジン７６としては、吸水性が低く寸度安定性に優れる、幅広い温度領域において耐衝撃性に優れる、耐摩耗性に優れ自己潤滑性を備える、耐薬品性に優れる、比重が小さい、耐候性に優れる、生体親和性に優れる等の義歯床としての各種の特性を備えたレジンが適用される。さらに、床レジン７６としては、被験者に適合する色が得られるレジンが適用される。本実施形態では、床レジン７６として常温重合レジン（例えば、フィットレジン：松風社製の商品名）を用いている。なお、床レジン７６は、常温重合レジンに限らず、加熱重合レジン、加圧重合レジン、光重合レジンなど、他のタイプのレジンを用いることができ、流し込みレジンに限定されるものではない。

　ここで、人工歯１４の各々は、底板６６に位置決めされると共に、仮止めされている。このため、液状の床レジン７６をレジン充填部６４に流し込んだ際に、人工歯１４が底板６６から外れたり、底板６６に対する人工歯１４の傾きが変ったりしてしまうのを抑制できて、人工歯１４の各々をディスク枠６０に対して位置決めされた状態に維持できる。

　次に、レジン充填部６４に流し込んだ床レジン７６を重合硬化させる。重合は、レジン充填部６４に液状の床レジン７６が充填されたディスク枠６０を所定の加熱重合環境下（例えば、０．２ＭＰａ、５０°Ｃ）に所定時間（例えば、３０ｍｉｎ）配置して重合促進しながら行う。

　これにより、図６Ｃに示すレジンディスク７８が製造される。このレジンディスク７８は、被験者に適合された形状及び排列の人工歯１４が床レジン７６に埋入された所謂カスタマイズドディスクとなっている。このレジンディスク７８では、外周部分を形成する枠部６２にリング部６８及び一対の保持孔７０が形成されている。

〔切削工程〕
　切削工程においては、有床義歯データ（義歯床データでもよい）を用いて、レジンディスク７８の切削加工を行う。図７には、切削工程において切削されたレジンディスク７８が斜視図にて示されている。

　切削工程では、ミリングマシン３６として、切削工具に対してホルダがＸ軸、Ｙ軸、Ｚ軸及びこれらのうちの２軸周りの５軸について同時制御及び数値制御可能な切削装置（例えば、ＤＷＸ５２Ｄ：ＤＧＳＨＡＰＡ社製の商品名）が用いられる。レジンディスク７８は、例えば、リング部６８がミリングマシン３６の円環状（リング状）のホルダに嵌め込まれると共に、一対の保持孔７０の各々にミリングマシン３６の位置決め用のピンが挿入される。これにより、レジンディスク７８がミリングマシン３６に位置決めされて保持固定される（装着状態の図示は省略）。

　また、切削工程では、主処理装置３２において切削プログラム５４Ｂが起動されると共に、有床義歯データが読み込まれ、主処理装置３２は、有床義歯データに基づいてレジンディスク７８を切削するようにミリングマシン３６を制御する。

　これにより、図７に示すように、レジンディスク７８では、レジン充填部６４内の床レジン７６が有床義歯データに合せて切削されて、床レジン７６から義歯床１２が削り出される。

　ここで、レジンディスク７８では、人工歯１４がディスク枠６０の底板６６に排列されて床レジン７６に埋入されている。有床義歯１０の三次元データに基づいてレジンディスク７８（ディスク枠６０の底板６６及び床レジン７６）が切削されることで、義歯床１２が削り出されると共に、人工歯１４を覆っている床レジン７６が人工歯１４の表面から除去される。また、人工歯１４の表面も切削される。これにより、義歯床１２と人工歯１４とが一体とされた有床義歯１０がレジンディスク７８から削り出される。

〔仕上げ工程〕
　仕上げ工程では、残ったレジンディスク７８から有床義歯１０を取り外して、義歯床１２及び各人工歯１４の表面仕上げ、被験者に合わせた調整等を行う。これにより、被験者に適合した有床義歯１０（図１参照）が得られる。

　なお、切削工程では、有床義歯１０の三次元データを用いて義歯床１２を削り出すと共に、人工歯１４に付着している床レジン７６を除去し、人工歯１４の表面を研磨するように切削した。これにより、ディスク枠６０の底板６６に人工歯１４を嵌合させる際の微妙な位置ずれ等によって人工歯１４の排列が製造する有床義歯１０の三次元データ（有床義歯データ）と完全に一致しない場合であっても、有床義歯１０を三次元データ通りの仕上りにでき、人工歯１４の戻り精度を向上できる。ただし、有床義歯１０の三次元データ通りに排列されている人工歯１４は、切削しなくてもよい。

　このように本実施形態では、義歯床１２に人工歯１４が排列された有床義歯１０を製造する際、義歯床１２の義歯床データ及び義歯床１２に排列された人工歯１４の人工歯データを含む有床義歯１０の有床義歯データを作製する。次に、人工歯１４の咬合面側が底板６６側とされて人工歯データに基づいて底板６６に人工歯１４が排列されたディスク枠６０のレジン充填部６４に液状の床レジン７６を流し込み、重合硬化させることで、人工歯１４が床レジン７６に埋入されたレジンディスク７８を作製する。作製されたレジンディスク７８は、有床義歯データに基づいて床レジン７６が切削されることで義歯床１２が削り出されて、人工歯１４の基部側が義歯床１２に埋入された有床義歯１０が製造される。

　ここで、レジンディスク７８では、ディスク枠６０の底板６６に人工歯１４が接着されている上に、人工歯１４の基部側が床レジン７６に重合して、人工歯１４が床レジン７６に強固に接合されており、人工歯１４が義歯床１２に強固に接合されている。このため、有床義歯１０では、人工歯１４が義歯床１２から外れたり浮いたりしてしまうのが抑制される。また、有床義歯１０では、人工歯１４が埋入された状態で床レジン７６から義歯床１２が削り出されるので、人工歯１４の戻り精度を良好にできる。なお、人工歯１４と義歯床１２との接合は、化学的な接合だけでなく、人工歯１４の基部側と床レジン７６とを嵌合させるなどの物理的な接合としてもよい。

　また、人工歯と義歯床とを別々に製造して、人工歯を義歯床に嵌め込むようにした場合、人工歯の基部側にアンダーカットがあると、義歯床への人工歯の嵌め込みが難しくなる。これに対して、人工歯１４が排列されたレジン充填部６４に液状の床レジン７６を流し込むので、人工歯１４のアンダーカット部分を床レジン７６に適切に埋入できて、人工歯１４を義歯床１２に強固に（隙無く）接合できる。

　さらに、有床義歯１０では、人工歯データに基づいて人工歯１４がディスク枠６０に対して位置決めされて排列される。このため、義歯床１２に対して人工歯１４の位置がずれるのを抑制できて、有床義歯１０を高精度に製造できる。

　また、ディスク枠６０の底板６６に嵌合部７２を形成して、嵌合部７２に人工歯１４の咬合面側の部分を嵌合させている。これにより、ディスク枠６０に対して人工歯１４を容易にかつ精度よく位置決めできると共に、人工歯１４に位置ずれの生じるのを抑制できて、人工歯１４の戻り精度を良好にできる。しかも、ディスク枠６０の底板６６には、義歯床１２の咽喉側歯槽部１６Ａに対応する凹部７４が形成されている。このため、人工歯１４の咬合面側を嵌合部７２に嵌め込んだために、咽喉側歯槽部１６Ａ部分の床レジン７６が不足して、咽喉側歯槽部１６Ａを適切な形状に切り出すことができなくなってしまうのを防止できて、欠け等の無い適切な形状の有床義歯１０を製造できる。

　さらに、ディスク枠６０には、リング部６８及び一対の保持孔７０が形成されているので、ディスク枠６０を用いて製造したレジンディスク７８をミリングマシン３６に精度よく位置決めできる。このため、ミリングマシン３６に対して人工歯１４を精度よく位置決めできて、義歯床１２に対して人工歯１４に位置ずれが生じるのを効果的に抑制できる。

　また、データ作製工程では、ディスク枠６０に有床義歯１０を重ねて、有床義歯データ及びディスク枠データを作製し、作製したディスク枠データを用いてディスク枠６０を造形している。これにより、有床義歯１０のサイズに適合したディスク枠６０を製造できる。

　さらに、ディスク枠６０には、仕切り板６２Ａ及び仕切り部６２Ｂが設けられ、底板６６に凹部７４が形成されて、義歯床１２を削り出し可能な量のレジンが充填可能な必要最小限の容積のレジン充填部６４が形成されている。このため、レジンディスク７８を製造する際の床レジン７６の容量を抑制できて、コスト低下を図ることができる。しかも、光造形法によってディスク枠６０を造形しているので、被験者に適合する有床義歯１０の製造が容易になると共に、製造コストを抑制できる。

　また、有床義歯データ及びディスク枠データを作製する際、ディスク枠画像６０Ａの底板６６に有床義歯画像１０Ａの人工歯１４の咬合面側部分を重ねている。このため、ディスク枠６０の底板６６に人工歯１４を適正に位置決めして排列できる。しかも、ディスク枠６０に対して人工歯１４の位置決めを容易にできる。

　なお、以上説明した本実施の形態では、略円筒状のディスク枠６０を用いたが、枠体は、有底筒状に限らず、内部に人工歯１４を排列し、床レジン７６を充填できればよい。また、枠体の高さは、充填した床レジン７６によって義歯床１２が形成できる高さであればよい。さらに、枠体の外形は平面視円形に限らず、三角形や四角形などの多角形であってもよく、半円形などであってもよい。枠体として平面視の外形が多角形状又は半円形状にすることで、角部を切削装置に対する位置決めに用いることができるので、保持孔７０等の位置決め孔を省略できる。

　また、本実施形態では、図６Ｃに示すように、ディスク枠６０の上端まで床レジン７６を充填したが、義歯床１２を形成できる程度（例えば、図６Ｂよりも僅かに多くなる程度）に床レジン７６を充填した状態で切削加工を行ってもよい。

　また、本実施形態では、ディスク枠６０の底板６６に人工歯１４の咬合面側部分が嵌入される嵌合部７２を形成した。しかしながら、枠体には、人工歯の咬合面とは反対側の基部側が嵌入される嵌合部が形成されてもよい。枠体に人工歯の基部側が嵌入される嵌合部を形成して、嵌合部に人工歯の基部側を嵌入させることで、人工歯の基部側を枠体に位置決めして排列することができる。

　この場合、枠体の作製に用いるレジンに制限はないが、枠体には、床レジンと同様のレジンを用いることが好ましい。また、枠体には、人工歯の排列に合わせた隆起部を形成し、この隆起部に嵌合部を形成してもよい。これにより、枠体を義歯床の一部として用いることができる。

　また、枠体に人工歯を排列する際、人工歯の基部側は、接着剤等の固着手段が用いられて、枠体に強固に固着されることが好ましい。また、人工歯の基部側を固定した枠体を用いてレジンブロックを作製する際は、図６Ｂに示すように、有床義歯において人工歯の基部側が義歯床に埋入する程度に床レジンを充填すればよく、これにより、枠体に充填する床レジンの量を抑制できる。

　したがって、枠体に人工歯の基部側を位置決めした場合においても、被験者に適合された形状及び排列の人工歯１４が床レジン７６に埋入された所謂カスタマイズドディスクとなるレジンブロックの製作が可能になる。このようにして製作されたレジンブロックをミリングマシン３６等の切削装置を用い、有床義歯データに基づいて切削加工することで、有床義歯データに基づいた有床義歯が製造される。なお、この場合、有床義歯は、枠体に対して図７とは異なる向き（上下が反転された向き）で削り出される。

　このようにして製造された有床義歯は、枠体の一部が義歯床として用いられるのと共に、人工歯の基部側が床レジンに埋入されているので、人工歯と義歯床とをより強固に接合できる。また、有床義歯には、審美性に優れた人工歯を用いることができる。さらに、有床義歯データに基づいてレジンブロックが切削されて有床義歯が削り出されるので、人工歯の戻り精度が良好な有床義歯を製造できる。

　さらに、本実施形態では、製造システム３０の主処理装置３２において、義歯床データ及び人工歯データを含む有床義歯１０の三次元の有床義歯データを作製したが、製造する有床義歯１０の有床義歯データは、主処理装置３２とは異なる他のＣＡＤ装置によって作製されたものであってもよい。この場合、製造システム３０では、データ作製ステップにデータ取得ステップを含むように機能すればよい。また、製造システム３０では、主処理装置３２が他のＣＡＤ装置によって作製された有床義歯データを、ネットワーク回線や可搬式（又は携帯式）記憶媒体（ＵＳＢメモリなど）を介して取得し、取得した有床義歯データを用いて有床義歯１０を製造すればよい。

　また、本実施形態では、下顎義歯及び全部床義歯としての有床義歯１０を例に説明したが、有床義歯は、これに限るものではなく、有床義歯は、部分床義歯であってもよい。また、有床義歯は、下顎義歯に限らず上顎義歯であってもよい。

　日本国特許出願２０１８－０６５２５６号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
　本明細書に記載された全ての文献、特許出願及びその技術規格には、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記載された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims

　製造する有床義歯について、義歯床の三次元の義歯床データ、及び前記義歯床に排列する人工歯と該人工歯の排列とを含む三次元の人工歯データを作製して、三次元の有床義歯データを作製するデータ作製ステップと、
　枠体内に前記人工歯データに基づいて前記人工歯を排列し、前記人工歯を排列した前記枠体内に前記義歯床を形成する床レジンを充填することでレジンブロックを作製するブロック作製ステップと、
　切削装置を用いて前記レジンブロックを前記有床義歯データに基づいて切削することで、前記義歯床に前記人工歯が排列された有床義歯を削り出す切削ステップと、
　を含む有床義歯の製造方法。
　前記切削ステップは、前記人工歯を前記人工歯データに基づいて切削することを含む請求項１に記載の有床義歯の製造方法。
　前記人工歯は、前記人工歯データに基づいて前記枠体に対して位置決めされて前記枠体内の底板に排列される請求項１又は請求項２に記載の有床義歯の製造方法。
　前記人工歯が前記人工歯データに基づいて排列された際に、前記人工歯の咬合面側部分又は咬合面とは反対側の基部側部分が嵌入される嵌合部が前記枠体内の底板に設けられた請求項１から請求項３の何れか１項に記載の有床義歯の製造方法。
　前記枠体内に排列される前記人工歯が、前記切削装置に対して位置決めされる位置決め部が前記枠体に設けられた請求項１から請求項４の何れか１項に記載の有床義歯の製造方法。
　請求項１から請求項５の何れか１項に記載の有床義歯の製造方法により製造された有床義歯。
　製造する有床義歯について、義歯床の三次元の義歯床データ、及び前記義歯床に排列する人工歯と該人工歯の排列とを含む三次元の人工歯データを作製して、三次元の有床義歯データを作製する設計部と、
　枠体内に前記人工歯データに基づいて前記人工歯が排列され、前記人工歯を排列した前記枠体内に前記義歯床を形成する床レジンが充填されたレジンブロックに対し、切削加工を行う切削装置と、
　前記有床義歯データに基づいて前記レジンブロックが切削されるように前記切削装置を制御して、前記義歯床に前記人工歯が排列された有床義歯を削り出す制御部と、
　を含む有床義歯の製造装置。