WO2014002867A1

WO2014002867A1 - 減衰バルブ

Info

Publication number: WO2014002867A1
Application number: PCT/JP2013/066945
Authority: WO
Inventors: 高弘清永
Original assignee: カヤバ工業株式会社
Priority date: 2012-06-27
Filing date: 2013-06-20
Publication date: 2014-01-03
Also published as: US20150167774A1; JP2014005923A; CN104321555A; DE112013003177T5; US9228631B2; JP5713462B2; CN104321555B

Abstract

　減衰バルブは、作動流体を通過させるポートが形成されるバルブディスクと、前記バルブディスクの軸心部に設けられ、前記バルブディスクから軸方向に延設される軸部材と、前記バルブディスクに隣接するように前記軸部材の外周に装着され、前記ポートを開閉する環状のリーフバルブと、前記軸部材の外周に軸方向へ移動自在に設けられ、前記リーフバルブの反バルブディスク側に隣接して配置されるメインバルブと、前記メインバルブを介して前記リーフバルブをバルブディスク側へ向けて付勢する環状の皿ばねと、を備える。前記メインバルブは、前記リーフバルブの反バルブディスク側の端面に当接するとともに前記皿ばねのバルブディスク側の端部を支持するばね受部と、前記ばね受部の内周から軸方向に延設され、前記軸部材に対して軸方向に移動自在に設けられる筒状のカラーとを有する。前記皿ばねは、前記カラーの外周に装着される。

Description

減衰バルブ

　本発明は、減衰バルブに関する。

　減衰バルブは、例えば車両用の緩衝器に用いられる。減衰バルブは、緩衝器のピストンに形成されたポートの出口端を開閉する環状のリーフバルブを備えている。リーフバルブは、複数設けられ、軸方向に積層して配置される。

　リーフバルブは、内周側が固定されるとともに外周側が撓むように構成されている。ピストンのポートは、リーフバルブの外周側によって開閉される。減衰バルブにおいて、リーフバルブの撓み剛性を小さく設定すると、ピストン速度が低速である場合に減衰力が小さくなりすぎる。一方、リーフバルブの撓み剛性を大きく設定すると、ピストン速度が中高速である場合に減衰力が大きくなりすぎる。このように、減衰バルブでは、全ての速度領域において車両における乗り心地を満足させることは困難である。

　特開２０１１－６４２８５号公報には、ピストンのポートを開閉するとともに複数の切欠を有するリーフバルブと、リーフバルブに隣接して配置され、リーフバルブの内周側を固定するガイド部材と、ガイド部材の外周に摺動自在に配置されるメインバルブと、ガイド部材の外周に装着され、メインバルブを介してリーフバルブをピストン側へ付勢する皿ばねと、を備える減衰バルブが開示されている。

　上記した減衰バルブを備える緩衝器では、ピストン速度が低速である場合、リーフバルブが撓まず、ピストンのポートからの作動油がリーフバルブの切欠を通過することで、比較的大きな減衰力を確保できる。ピストン速度が中高速に達すると、ピストンのポートを通過する作動油の圧力がリーフバルブに作用し、皿ばねの付勢力に抗してリーフバルブの外周側が撓んでポートが大きく開放され、減衰力が過大となることが抑制される。このように、ピストン速度に応じて車両の乗り心地を向上させることができる。

　上述の減衰バルブでは、皿ばねは端部の外周縁でのみメインバルブに接触しており、またメインバルブは軸方向の厚さが薄い円環状の平板として形成されているため、メインバルブがガイド部材上をピストンから離間する方向へ後退する際にメインバルブがガイド部材に対して傾いてしまう。このようにメインバルブが傾くと、皿ばねの付勢力がリーフバルブの周方向でばらついて、リーフバルブとピストンとの間の隙間を流れる作動油の流れが安定せず、発生する減衰力にばらつきが生じてしまうという問題がある。

　本発明の目的は、発生する減衰力のばらつきを抑制することができる減衰バルブを提供することである。

　本発明のある態様によれば、減衰バルブは、作動流体を通過させるポートが形成されるバルブディスクと、前記バルブディスクの軸心部に設けられ、前記バルブディスクから軸方向に延設される軸部材と、前記バルブディスクに隣接するように前記軸部材の外周に装着され、前記ポートを開閉する環状のリーフバルブと、前記軸部材の外周に軸方向へ移動自在に設けられ、前記リーフバルブの反バルブディスク側に隣接して配置されるメインバルブと、前記メインバルブを介して前記リーフバルブをバルブディスク側へ向けて付勢する環状の皿ばねと、を備える。前記メインバルブは、前記リーフバルブの反バルブディスク側の端面に当接するとともに前記皿ばねのバルブディスク側の端部を支持するばね受部と、前記ばね受部の内周から軸方向に延設され、前記軸部材に対して軸方向に移動自在に設けられる筒状のカラーとを有する。前記皿ばねは、前記カラーの外周に装着される。

図１は、本実施形態による減衰バルブを備える緩衝器の一部縦断面図である。図２は、本実施形態による減衰バルブを備える緩衝器の伸側の減衰特性を示す図である。図３は、本実施形態の変形例による減衰バルブを備える緩衝器の一部縦断面図である。

　以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。

　図１に示すように、緩衝器１００は、筒状のシリンダ４０と、シリンダ４０の上端を封止するヘッド部材（図示省略）と、シリンダ４０の下端を封止する封止部材（図示省略）と、ヘッド部材を摺動自在に貫通する軸部材としてのピストンロッド５と、ピストンロッド５の先端５ａに固定されるピストン１と、ピストン１によってシリンダ４０内に形成される上方側の一方室４１及び下方側の他方室４２と、を備える。緩衝器１００のシリンダ４０内には作動流体として作動油が充填されている。なお、緩衝器１００は、シリンダ４０から出没するピストンロッド５の体積分のシリンダ４０内の容積変化を補償する図示しないリザーバ室又はエア室を備えている。

　緩衝器１００は、減衰バルブ５０を備えている。減衰バルブ５０は、緩衝器１００が伸長する時に減衰力を発生する伸側減衰バルブである。減衰バルブ５０は、軸部材であるピストンロッド５の先端５ａに設けられるとともに、作動油を通過させるポート２が形成されるピストン１（バルブディスク）と、ピストン１に隣接するように先端５ａの外周に装着され、ポート２を開閉する環状のリーフバルブ１０と、を備える。また、減衰バルブ５０は、リーフバルブ１０に隣接するようにピストンロッド５の先端５ａの外周に装着され、外径がリーフバルブ１０の外径よりも小さく形成される筒状のガイド部材１１と、ガイド部材１１の外周に軸方向へ摺動自在に装着され、リーフバルブ１０に隣接して設けられる環状のメインバルブ１２と、ガイド部材１１の外周に装着され、メインバルブ１２を介してリーフバルブ１０をピストン１側へ向けて付勢する環状の皿ばね１３と、ピストンロッド５の先端５ａに螺着されてピストン１を当該先端５ａに固定するナット１４を備える。

　減衰バルブ５０は、ピストン１がシリンダ４０に対して図１Ａ中上方に移動する時に、一方室４１から他方室４２へポート２を通じて移動する作動油に対してリーフバルブ１０で抵抗を与えて所定の圧力損失を生じさせることで、緩衝器１００に所定の減衰力を発生させる減衰力発生要素として機能する。

　バルブディスクとしてのピストン１は、有底筒状に形成される。ピストン１は、本体部１ａの軸心部にピストンロッド５の先端５ａが挿通される挿通孔１ｂと、一方室４１と他方室４２とを連通するポート２と、ポート２に連通するように本体部１ａの下面に形成される窓部３と、を備える。また、ピストン１は、ポート２の出口端となる窓部３よりも外側に形成され、本体部１ａよりリーフバルブ１０側に突出する環状の弁座１ｃと、弁座１ｃよりも外側に位置し、軸方向に延設される筒部１ｅと、を備える。ピストン１の筒部１ｅは、シリンダ４０の内周面に対して摺動する。

　なお、ピストン１は、緩衝器１００が収縮する時に、他方室４２から一方室４１へと向かう作動油の流れを許容する圧側のポート１ｄを有している。ポート１ｄは、本体部１ａの伸側のポート２よりも外周側に設けられている。

　緩衝器１００では、ピストン１を有底筒状に形成することで、シリンダ４０に対する軸ぶれを回避するために必要な軸方向の摺接長さを確保しつつ、リーフバルブ１０等のバルブ構成部材の一部又は全部をピストン１内に収納することが可能となっている。本実施形態では、ピストン１の上端からナット１４が配置される下端までの長さを短くすることができ、ピストン周りの構成を小型化することができる。

　ピストン１の挿通孔１ｂ内にはピストンロッド５の先端５ａが挿入され、ピストンロッド５の先端５ａはピストン１の下方側に突出する。ピストンロッド５の先端５ａの外径は先端５ａより上方側の軸部の外径よりも小さく設定されており、上方側の軸部と先端５ａとの境界位置には段部５ｂが形成されている。

　ピストンロッド５の先端５ａの外周には、環状のバルブストッパ２２、スペーサ２１、環状のチェックバルブ２０、及びピストン１が上側から順番に組み付けられる。また、ピストンロッド５の先端５ａの外周には、ピストン１の下方に、環状のリーフバルブ１０、ガイド部材１１、メインバルブ１２、ワッシャ１５、皿ばね１３が組み付けられる。ピストンロッド５の先端５ａに形成されたねじ部５ｃにナット１４を螺着することによって、バルブストッパ２２、スペーサ２１、チェックバルブ２０、ピストン１、リーフバルブ１０、及びガイド部材１１がピストンロッド５の段部５ｂとナット１４とで挟持されてピストンロッド５に固定される。メインバルブ１２、ワッシャ１５、及び皿ばね１３は、ピストン１とナット１４との間で、ガイド部材１１に沿ってピストンロッド５の軸方向への移動が許容されている。

　減衰バルブ５０では、ポート１ｄの下端となる吸込側端は、ピストン１に隣接して設けられるリーフバルブ１０によって閉塞されないように、ポート２の開口端より外周側に配置されている。また、ポート２の上端となる吸込側端は、チェックバルブ２０に形成された孔２０ａによって閉塞されないようになっている。ポート２がチェックバルブ２０に閉塞されず、ポート１ｄがリーフバルブ１０に閉塞されなければ、その配置や形状について図示したものに限定されることはない。したがって、例えば、各ポート２，１ｄを同一円周上に配置し、弁座をいわゆる花弁型としてもよい。

　リーフバルブ１０は、ピストン１の本体部１ａの下側に隣接して配置されている。リーフバルブ１０は、環状平板として形成されている。リーフバルブ１０はピストンロッド５の先端５ａの外周に装着され、リーフバルブ１０の内周側はピストン１とガイド部材１１によって挟持された状態で固定される。リーフバルブ１０の外周側は自由端として構成され、リーフバルブ１０の外周縁は軸方向に撓むことができるようになっている。

　リーフバルブ１０の上面はピストン１の弁座１ｃに当接しており、これによりピストン１のポート２の開口端は閉塞される。減衰バルブ５０では、リーフバルブ１０は、一枚の環状平板から構成されているが、複数の環状平板を積層した積層リーフバルブとして構成されてもよい。環状平板の枚数は、緩衝器１００で必要とされる減衰特性（ピストン速度と減衰力との関係）によって任意に決定される。複数の環状平板を積層する場合、緩衝器１００で発生させる減衰特性によって各環状平板の外径を異ならせてもよい。

　ガイド部材１１は、円筒状部材として形成される。ガイド部材１１の外径は、リーフバルブ１０の外径よりも小さく設定されている。ガイド部材１１がリーフバルブ１０の内周側を支持するように軸部材であるピストンロッド５の先端５ａに装着されることで、リーフバルブ１０は外周側が撓む外開き弁体として構成される。

　ガイド部材１１の外周には、メインバルブ１２が摺動自在に装着されている。メインバルブ１２は、環状平板として形成され、皿ばね１３の上端（ピストン側の端部）を支承するばね受部１２ａと、当該ばね受部１２ａの内周から軸方向に延設され、ガイド部材１１の外周に摺動自在に装着される円筒状のカラー１２ｂと、を備える。

　メインバルブ１２は、ばね受部１２ａがリーフバルブ１０の下面（反ピストン側の端面）に当接するように配置されている。また、カラー１２ｂは、ガイド部材１１に沿ってピストンロッド５の軸方向へ移動可能に構成されており、メインバルブ１２の軸方向移動を案内する。

　カラー１２ｂの軸方向長さは、ガイド部材１１に対する軸方向移動時にメインバルブ１２がガイド部材１１に対して傾くことがない充分な長さに設定されている。メインバルブ１２は、ばね受部１２ａがリーフバルブ１０の下面（反ピストン側の端面）に面接触するように設けられ、リーフバルブ１０の下面を下側から支持している。

　メインバルブ１２のばね受部１２ａの下面と、ナット１４の上端面との間には、皿ばね１３が配置されている。メインバルブ１２のばね受部１２ａが皿ばね１３の上端を支持しており、ナット１４が皿ばね１３の下端を支持している。皿ばね１３の中心部分にはメインバルブ１２のカラー１２ｂを挿通させる挿通孔が形成されており、皿ばね１３は挿通孔を介してカラー１２ｂの外周に組み付けられる。皿ばね１３は、同形状の皿ばねが二枚が重ねられた状態で、カラー１２ｂの外周に設置されている。なお、皿ばね１３の枚数は、任意であり、必要とされる減衰特性に応じて最適な枚数が選択される。

　ナット１４は、ピストンロッド５の先端５ａの外周に形成されたねじ部５ｃに螺着されるナット本体１４ａと、ナット本体１４ａの上端（ピストン側の端部）からピストン側に突出形成される円筒状のばね支持部１４ｂと、ナット本体１４ａの上端であって、ばね支持部１４ｂの内周側に形成される環状の凹部１４ｃと、を備えている。

　ナット１４のばね支持部１４ｂの内径は、メインバルブ１２のカラー１２ｂの外径よりも僅かに大きく設定されている。ナット１４の凹部１４ｃは、カラー１２ｂの侵入を許容する環状溝として形成されている。このように、ナット１４は、メインバルブ１２がピストン１から離間して軸方向に後退しても、メインバルブ１２の後退を邪魔しないように構成されている。

　ナット１４は凹部１４ｃを備えているので、メインバルブ１２にカラー１２ｂを形成しても、ナット１４の螺合長とメインバルブ１２のストローク長とを確保することができる。また、ピストン１からナット１４の下端までの長さを短くすることができ、緩衝器１００のストローク長を犠牲にすることが無い。

　皿ばね１３の上端（ピストン側の端部）はメインバルブ１２のばね受部１２ａに支持されており、皿ばね１３の下端（反ピストン側の端部）はナット１４のばね支持部１４ｂに支持されている。皿ばね１３は、メインバルブ１２のばね受部１２ａとナット１４のばね支持部１４ｂとの間に圧縮状態で介装されている。皿ばね１３は、メインバルブ１２を介して、リーフバルブ１０をピストン１へ向けて付勢する。

　皿ばね１３の付勢力を調整するため、メインバルブ１２のばね受部１２ａと皿ばね１３の上端との間にはワッシャ１５が設けられている。減衰バルブ５０では、ワッシャ１５の配置枚数や軸方向長さによって、皿ばね１３の付勢力を調節することが可能となっている。なお、皿ばね１３の付勢力は、ガイド部材１１の軸方向長さや、メインバルブ１２のばね受部１２ａの軸方向長さ等によっても調節することができる。

　ところで、減衰バルブ５０を構成するリーフバルブ１０は、外縁から内周へ向けて形成される複数の切欠１０ａを備えている。切欠１０ａは、スリット状に形成されている。

　メインバルブ１２のばね受部１２ａの外径はピストン１の弁座１ｃの外径以上に設定されているため、リーフバルブ１０の切欠１０ａは、リーフバルブ１０の下方に配置されるメインバルブ１２によってリーフバルブ１０の上端及び外縁に位置する開口部分を残して閉塞される。切欠１０ａは、リーフバルブ１０が弁座１ｃに着座した状態でオリフィスとして機能する。

　なお、リーフバルブ１０が複数の環状平板を積層してなる積層リーフバルブである場合には、ピストン１に隣接する環状平板のみに切欠を設け、ピストン１側から数えて二枚目以降の環状平板には切欠を設けない。リーフバルブ１０に切欠１０ａを設けることに代えて、弁座１ｃに打刻されて形成されるオリフィスを設けてもよい。

　次に、緩衝器１００の減衰バルブ５０の作用について説明する。

　図１に示す緩衝器１００において、ピストン１がシリンダ４０内を上方に移動すると、一方室４１内の圧力が高まり、一方室４１内の作動油はポート２を通過して他方室４２内に移動しようとする。

　緩衝器１００の伸縮速度としてのピストン速度が低速である場合、リーフバルブ１０の外周部分は皿ばね１３の付勢力に抗して撓むことができず、ポート２は皿ばね１３によって付勢されたリーフバルブ１０によって閉塞されたままとなる。したがって、一方室４１からの作動油は、弁座１ｃに着座するリーフバルブ１０に形成された切欠１０ａを通過して、他方室４２内へ導かれる。リーフバルブ１０の切欠１０ａはオリフィスとして機能するものであるため、切欠１０ａを通過する作動油には抵抗が付与される。

　ピストン速度が低速領域内にある場合、減衰バルブ５０での減衰特性（ピストン速度と減衰力の関係）は図２の実線で示す通りとなり、ピストン速度が速くなるにつれて急激に減衰力は大きくなる。つまり、低速領域では減衰係数は比較的大きく設定されている。

　これに対して、ピストン速度が中高速に達し、一方室４１内の圧力と他方室４２内の圧力との差が大きくなると、作動油によるリーフバルブ１０の押し下げ力が大きくなる。この押し下げ力が皿ばね１３の付勢力に打ち勝って、リーフバルブ１０の外周側（外周縁）が撓むと、ポート２が開弁される。

　リーフバルブ１０が撓むと、弁座１ｃとリーフバルブ１０との間に隙間が形成され、ポート２が開放される。弁座１ｃとリーフバルブ１０との間の隙間は、ピストン速度に比例して大きくなる。このようにピストン速度が中高速領域内にある場合、減衰バルブ５０での減衰特性は図２の実線で示す通りとなり、ピストン速度に応じて減衰力は比例的に増加はするものの、その増加割合は低速領域のものと比べて小さい。つまり、中高速領域では、減衰特性の傾きは小さく、減衰係数は低速領域よりも小さくなっている。

　本実施形態による減衰バルブ５０では、リーフバルブ１０を付勢する部材としてコイルスプリングではなく皿ばね１３を用いている。皿ばね１３によれば、部材の軸方向長さをコイルスプリングよりも短くでき、さらにリーフバルブ１０の撓み量も十分に確保できる。そのため、ピストン速度が中高速領域にある場合において減衰係数を小さくでき、全ての速度領域において車両における乗り心地を損なうことがない。

　減衰バルブ５０では、メインバルブ１２がカラー１２ｂを備えており、軸部材として機能するガイド部材１１に対してカラー１２ｂが摺動することで、メインバルブ１２の軸方向移動を案内する。そのため、メインバルブ１２がピストン１から離間するように後退する際、当該メインバルブ１２がガイド部材１１やピストンロッド５の先端５ａに対して傾くことがなく、皿ばね１３の付勢力をリーフバルブ１０の周方向に対して均一に作用させることができる。その結果、リーフバルブ１０とピストン１の弁座１ｃとの間に形成される隙間の間隔がポート２の開閉のたびにばらつくことが無く、減衰バルブ５０において安定的に減衰力が発生する。したがって、減衰バルブ５０によれば、発生する減衰力のばらつきを抑制することが可能となる。

　減衰バルブ５０では、メインバルブ１２のカラー１２ｂの外周に皿ばね１３を装着するため、カラー１２ｂを設けても、ピストン１からナット１４までの長さを短くすることができる。また、皿ばね１３をメインバルブ１２のカラー１２ｂに組み付けた後、これら皿ばね１３及びメインバルブ１２をピストンロッド５の先端５ａに組み付けることができるので、組付工程時に皿ばね１３がばらけてしまうことがなく、組付作業が容易となる。

　減衰バルブ５０では、ナット１４が凹部１４ｃを備えているので、メインバルブ１２にカラー１２ｂを設けても、ナット１４の螺合長とメインバルブ１２のストローク長とを確保することができる。また、ピストン１からナット１４の下端までの長さを短くすることができ、緩衝器１００のストローク長を犠牲にすることが無い。

　以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。

　本実施形態の減衰バルブ５０では、ナット１４にばね支持部１４ｂを設けている。しかしながら、図３に示す減衰バルブ５０のように、ナット１４とは別部材としてばね支持部材１６を設けてもよい。ばね支持部材１６は、円筒状部材であって、メインバルブ１２のカラー１２ｂの外周に取り付けられる。ばね支持部材１６の上端は皿ばね１３の下端を支持し、ばね支持部材１６の下端はナット１４に当接する。ばね支持部材１６の内径は、メインバルブ１２のカラー１２ｂの外径よりも僅かに大きく設定されている。このように、ばね支持部材１６を別部材として備える減衰バルブ５０であっても、図１に示した減衰バルブと同様の効果を得ることできる。ただし、図１に示すようにナット１４にばね支持部１４ｂを一体的に設ける場合には、メインバルブ１２の軸方向移動時や振動入力時にばね支持部１４ｂがナット１４から離間することがない。したがって、離間したばね支持部１４ｂがナット１４等と衝突することがなく、余計な騒音を発生させることがない。

　本実施形態では、軸部材としてのピストンロッド５の外周にガイド部材１１を装着してリーフバルブ１０の内周を支持するようにしている。しかしながら、ガイド部材１１を廃止し、ピストンロッド５の先端５ａの外周に、メインバルブ１２及び皿ばね１３を直接装着してもよい。この場合、皿ばね１３が軸方向に収縮してメインバルブ１２がピストン１から後退する際、メインバルブ１２とともにリーフバルブ１０もピストン１から後退することとなる。このように構成しても、減衰バルブ５０で発生する減衰力のばらつきを抑制することが可能となる。

　また、本実施形態では、軸部材をピストンロッド５の先端５ａとしているが、ピストンロッド５とは異なる軸部材をバルブディスクとしてのピストン１に直接設けてもよい。

　本実施形態では、減衰バルブ５０は、緩衝器１００のピストン部分に設けられる伸側減衰バルブとしたが、ピストン部分に設けられる圧側減衰バルブとしてもよく、ベースバルブに組み込まれる減衰バルブとしてもよい。

　本願は２０１２年６月２７日に日本国特許庁に出願された特願２０１２－１４３９３１に基づく優先権を主張し、これら出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims

　作動流体を通過させるポートが形成されるバルブディスクと、
　前記バルブディスクの軸心部に設けられ、前記バルブディスクから軸方向に延設される軸部材と、
　前記バルブディスクに隣接するように前記軸部材の外周に装着され、前記ポートを開閉する環状のリーフバルブと、
　前記軸部材の外周に軸方向へ移動自在に設けられ、前記リーフバルブの反バルブディスク側に隣接して配置されるメインバルブと、
　前記メインバルブを介して前記リーフバルブをバルブディスク側へ向けて付勢する環状の皿ばねと、を備え、
　前記メインバルブは、前記リーフバルブの反バルブディスク側の端面に当接するとともに前記皿ばねのバルブディスク側の端部を支持するばね受部と、前記ばね受部の内周から軸方向に延設され、前記軸部材に対して軸方向に移動自在に設けられる筒状のカラーとを有し、
　前記皿ばねは、前記カラーの外周に装着される減衰バルブ。
　請求項１に記載の減衰バルブであって、
　前記リーフバルブに隣接し、前記リーフバルブの内周側を支持するように前記軸部材の外周に装着され、外径が前記リーフバルブの外径よりも小さく設定された筒状のガイド部材をさらに備え、
　前記カラーは、前記ガイド部材の外周に摺動自在に装着される減衰バルブ。
　請求項１に記載の減衰バルブであって、
　前記軸部材に螺着されるナットをさらに備え、
　前記ナットは、ナット端からバルブディスク側に突出する筒状部材であって、前記皿ばねの反バルブディスク側の端部を支持するばね支持部を有し、
　前記ばね支持部の内径は、前記カラーの外径よりも大きく設定される減衰バルブ。
　請求項３に記載の減衰バルブであって、
　前記ナットは、前記ばね支持部の内周側において前記カラーの侵入を許容する凹部を備える減衰バルブ。
　請求項１に記載の減衰バルブであって、
　前記軸部材に螺着されるナットと、
　一端が前記皿ばねの反バルブディスク側の端部を支持し、他端が前記ナットに当接するように配置されるばね支持部材と、をさらに備え、
　前記ばね支持部材の内径は、前記カラーの外径よりも大きく設定される減衰バルブ。