WO2012137953A1

WO2012137953A1 - 動物用栄養組成物

Info

Publication number: WO2012137953A1
Application number: PCT/JP2012/059594
Authority: WO
Inventors: 貴史吉村; 池本　一人; 賢司湯浅; 雅子山下
Original assignee: 三菱瓦斯化学株式会社
Priority date: 2011-04-08
Filing date: 2012-04-06
Publication date: 2012-10-11
Also published as: JP2014131961A

Abstract

　本発明は、持久力増強および／または疲労改善に用いるための組成物の提供を目的とする。本発明によれば、コエンザイムＱ１０、特には、コエンザイムＱ１０と海藻抽出物と分岐鎖アミノ酸とを含んでなる組成物が提供される。

Description

動物用栄養組成物

関連出願の参照

　本特許出願は、２０１１年４月８日に提出された日本出願である特願２０１１－８６６３４および２０１１年８月１２日に提出された日本出願である特願２０１１－１７６６７７の利益を享受する。この先の出願における全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。

　本発明は、コエンザイムＱ１０を含んでなる持久力増強および／または疲労改善に用いるための組成物に関する。本発明は、また、コエンザイムＱ１０、海藻抽出物及び分岐鎖アミノ酸を含有する動物用栄養組成物に関する。特に、本発明は、競走用動物への使用に関する。

　近年、競走用動物の競走能力の向上は、品種改良によっては限界にきており、飼料の改善や調教方法によって能力を向上させることも重要になってきている。そこで、栄養成分として抗疲労及び／又は持久力の増強等の効果のあるものが求められている。

　コエンザイムＱ１０（以下、「ＣｏＱ１０」と記すことがある。）は広く生物界に分布し、生体内の細胞中におけるミトコンドリアの電子伝達系構成成分として存在する生理学的成分である。ＣｏＱ１０はベンゾキノン誘導体であり、生体内において酸化と還元を繰り返すことで電子伝達系における伝達成分としての機能を担っている。生体内において、エネルギー生産及び抗酸化活性を示すことから、その有用性は広く知られている。例えば、鬱血性心不全薬として医薬用途に用いられている。医薬用途以外では、ビタミン類同様、栄養剤、栄養補助剤、更に、痴呆症などの老人性の疾患、アレルギー疾患に対する有用性、あるいは運動能力の増加等が報告されており、また、その安全性が高いことから有用な栄養補給の手段といえる。
　一方で、ＣｏＱ１０は脂溶性であり、水と混合しにくく、均一の溶液を作るのが困難である。また、水への分散性の低さが吸収性の低さにつながり、効果を発揮することが難しい。更に、水への分散性の悪さの為に、シリンジ等の容器に詰めると分離してつまりの原因になってしまう。

　海藻由来であるフロロタンニンは抗酸化作用、血管拡張作用、抗炎症作用や心疾患の予防効果を有することが知られている。血管拡張効果があるフロロタンニンは、特に激しい運動をするにあたり、血液循環促進に有意に機能する（特許文献１～３）。

　たんぱく質を構成する２０種類のアミノ酸のうち体内で合成できない必須アミノ酸が９種類ある。その中で分岐構造を持つアミノ酸にバリン、ロイシン、イソロイシンがある。これら分岐鎖アミノ酸は筋肉のエネルギー源となる唯一の必須アミノ酸である。人間が運動するなど筋肉が活動するときに主に筋肉でエネルギー源となり、運動時に効率よく利用できるエネルギー源である。またこの分岐鎖アミノ酸は激しい運動時における、筋肉中タンパク分解を抑制する働きがあり、運動する上において非常に有用な成分である。

　しかし、これまでに、ＣｏＱ１０、シアノコバラミン、葉酸及びピリドキシン塩酸塩を配合した栄養補助食品（特許文献４）等が知られているが、該文献中にはＣｏＱ１０の疲労改善作用や持久力増強効果について記載されていない。現状、栄養成分として抗疲労及び／又は持久力の増強等を目的とし、またその効果を裏付けたものはない。

　こうした背景から、新規な抗疲労作用剤及び／又は持久力増強剤、さらには、これを確実に供給可能とする容器での開発が望まれている。

特開平７－３３０５８４号公報特開２００３－１６９６３３号公報特開２００６－３２８０１０号公報特開２００２－２１２０９５号公報

　本発明者らは、コエンザイムＱ１０が、動物の持久力増強および/または疲労改善に有効であることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。

　本発明の目的は、持久力増強作用、抗疲労作用を有する動物用栄養組成物、すなわち、動物の持久力増強および/または疲労改善に用いるための組成物を提供することにある。

　本発明によれば、以下の発明が提供される。
（１）コエンザイムＱ１０を含んでなる、持久力増強および/または疲労改善に用いるための組成物。
（２）コエンザイムＱ１０が、大豆タンパクもしくはその加水分解物との混合物、または乳化組成物として使用される、（１）に記載の組成物。
（３）さらに、海藻抽出物および／または分岐鎖アミノ酸を含んでなる、（１）または（２）に記載の組成物。
（４）海藻抽出物が、褐藻類からの抽出物である、（３）に記載の組成物。
（５）褐藻類が、クロメ、アラメ又はカジメである、（４）に記載の組成物。
（６）海藻抽出物が、フロロタンニンを含んでなる抽出物である、（３）に記載の組成物。
（７）分岐鎖アミノ酸が、バリン、ロイシン又はイソロイシンである、（３）に記載の組成物。
（８）コエンザイムＱ１０と、海藻抽出物と、分岐鎖アミノ酸との重量比が、コエンザイムＱ１０：海藻抽出物：分岐鎖アミノ酸＝１：０．１～１：０．０５～０．５である、（３）～（７）のいずれかに記載の組成物。
（９）さらに、グルコサミン、メチルスルホニルメタン、コンドロイチン硫酸又はラクトビオン酸を含有する、（１）～（８）のいずれかに記載の組成物。
（１０）さらに、シトルリンを含んでなる、（１）～（９）のいずれかに記載の組成物。
（１１）粉末、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、錠剤、懸濁剤、座剤、クリーム、吸入剤、または注射剤の形態である、（１）～（１０）のいずれかに記載の組成物。
（１２）競走用動物用である、（１）～（１１）のいずれかに記載の組成物。
（１３）競走用動物が、馬である、（１２）に記載の組成物。
（１４）（１）～（１３）のいずれかに記載の組成物を充填した、動物用飼料容器。
（１５）容器がシリンジ形状である、（１４）に記載の動物用飼料容器。
（１６）コエンザイムＱ１０の有効量を動物に投与することを含んでなる、動物の持久力を増強する方法。
（１７）コエンザイムＱ１０の有効量を動物に投与することを含んでなる、動物の疲労を改善する方法。
（１８）持久力増強および／または疲労改善に用いるための薬剤を製造するための、コエンザイムＱ１０の使用。

　本発明により、吸収性が高く、均一に分散し、持久力増強作用、抗疲労作用を有する動物用栄養組成物、該組成物の製造方法及び該組成物を確実に供給可能な容器で提供することができる。本発明の動物用栄養組成物は、競走用動物向け飼料として特に有効である。本発明は、動物、特には、競走馬に用いるための、持久力増強および/または疲労改善に用いるための組成物を提供できる点で有利である。

図１は、実施例の持久力試験で使用したトレッドミルを示す。図２は、実施例のシリンジ押出し試験で使用したシリンジを示す。

発明の具体的説明

　本発明において用いられるＣｏＱ１０とは、２位にメチル基、５位および６位にメトキシ基、３位に１０個のイソプレン単位からなるイソプレノイド側鎖を有するベンゾキノン誘導体を意味する。

　本発明のＣｏＱ１０は、還元型でも酸化型でもどちらでもよい。これらの混合物であってもよい。

　酸化型ＣｏＱ１０は一般式（１）で示される化合物である。

　還元型ＣｏＱ１０は一般式（２）で示される化合物である。

　本発明に用いられるＣｏＱ１０は医薬や食品として服用又は食用可能なＣｏＱ１０であればその由来および製法は何ら限定されるものではない。市販のものを用いてもよいし、公知の方法により製造されたものを用いてもよい。

　本願発明による組成物において、ＣｏＱ１０の含量は、例えば、１～２５重量％、好ましくは、１～２０重量％、より好ましくは、１～１０重量％、さらに好ましくは、１～５重量％とすることができる。

　ＣｏＱ１０は融点の低い親油性の固体であり、水に難溶性のために経口投与における吸収性が低いことが知られている。このため、ＣｏＱ１０の分散安定性、結晶析出防止性などの性状の安定性及び生体吸収性を向上させる形態で使用することができる。

　本発明においては、ＣｏＱ１０は、動物性タンパク質もしくは植物性タンパク質、またはこれらの加水分解物を配合することができる。すなわち、ＣｏＱ１０は、ＣｏＱ１０と動物性タンパク質もしくは植物性タンパク質、またはこれらの加水分解物との混合物として使用することができる。動物性タンパク質としては、例えば、鶏卵タンパク質、乳タンパク質、肉タンパク質等が挙げられる。植物性タンパク質としては、例えば、大豆タンパク質、大豆ペプチド等が挙げられる。植物性タンパク質は、例えば、種子処理物（例えば、種子の粉砕粉末、種子の抽出物より得られた粉末等）を使用することができる（ＷＯ２０１０／０９８４３３号公報）。好ましくは、ＣｏＱ１０を、植物性タンパク質と、より好ましくは、大豆タンパクまたはその加水分解物と、さらに好ましくは、大豆タンパクの加水分解物と配合させることができる。配合割合は、大豆タンパクやその加水分解物が５～９９．９％である。好ましくは、ＣｏＱ１０と大豆タンパク質またはこれらの加水分解物との重量比が、ＣｏＱ１０を１とすると、０．１～１０、好ましくは、０．２～５、より好ましくは、０．２～０．５である。ＣｏＱ１０と大豆タンパク質またはこれらの加水分解物との混合物としては、例えば、市販のＢＩＯＱ１０－ＳＡ（三菱瓦斯化学製）を使用することができる。

　本発明において、ＣｏＱ１０は包接体として用いることができる。ＣｏＱ１０を包接体として用いる場合には、例えば、シクロデキストリン等を用いて包接化処理することができる。包接化処理は、公知の方法に従って行うことができる。

　本発明において、ＣｏＱ１０は乳化組成物として用いることができる。ＣｏＱ１０の乳化組成物は、公知の乳化剤を使用して調製することができる。乳化剤としては、例えば、澱粉が挙げられる。澱粉としては、特に限定されないが、例えば、トウモロコシ、糯トウモロコシ、小麦、米、豆類、馬鈴薯、甘藷、タピオカ等の澱粉、あるいは、これらの澱粉に物理的または化学的処理を施した加工澱粉（湿熱処理澱粉、澱粉加水分解物等）が挙げられるが、好ましくは、加工澱粉である。好ましくは、ＣｏＱ１０と澱粉との重量比が、ＣｏＱ１０を１とすると、０．１～１０、好ましくは、０．５～５である。乳化処理は、公知の方法に従って行うことができる。ＣｏＱ１０の乳化組成物としては、例えば、市販のＭＧＣＰｕｒｅＳｏｒｂＱ１０（三菱瓦斯化学製）を使用することができる。

　本発明においては、ＣｏＱ１０は、生体吸収性を向上させるために、澱粉粒子に吸着させ、分散させることができる。澱粉粒子の配合量は５～９９．９％である。分散性向上として、シクロデキストリン包接や乳化処理することも可能である。すなわち、ＣｏＱ１０は、ＣｏＱ１０と澱粉との混合物として使用することもできるし、あるいは、包接体、乳化組成物として使用することもできる。

　本発明において、ＣｏＱ１０を乳化組成物として用いる場合には、例えばＣｏＱ１０を油相成分としてショ糖酢酸イソ酪酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸エステル等に溶解し、多価アルコール及び乳化剤を用いて乳化処理することができる。また、有機酸等の添加剤の存在下又は不存在下に、アラビアガム、寒天、水溶性コーンファイバー、デンプン、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、デキストリン、カルメロールナトリウム、ポリビニルピロリドン等の水溶性物質中にＣｏＱ１０を分散、乳化させることが出来る。

　後述の実施例によれば、コエンザイムＱ１０を含んでなるドリンク剤は、持久力を増強することができる。従って、コエンザイムＱ１０は、持久力増強および/または疲労改善に用いるための組成物に使用することができる。以下の理論に拘束されるわけではないが、コエンザイムＱ１０が細胞内でのエネルギー産生を促し、エネルギー不足を補うことにより持久力増強や疲労改善が実現されたと考えられる。

　本願明細書において、「持久力」とは、身体活動を持続して行う能力を意味する。例えば、競走馬が最後の勝負のための十分な体力をレース中盤まで確保できる能力、最後の勝負において最大能力をより長い時間発揮できる能力等が挙げられる。

　本願明細書において、持久力増強に用いるための組成物とは、持久力を増強する作用を示す組成物を意味する。持久力増強に用いるための組成物は、持久力増強剤として使用することができる。

　本願明細書において、「疲労」とは、身体的または精神的作業を連続して行ったときの作業能力の量的または質的な低下を意味する。例えば、競走馬における走行後の集中力の低下等が挙げられる。疲労回復の遅れは効率的な訓練の妨げとなる。

　本願明細書において、疲労改善に用いるための組成物とは、疲労状態を軽減させる作用、疲労状態を回復させる作用、あるいは疲労を予防する作用を示す組成物を意味する。疲労改善に用いるための組成物は、疲労改善剤として使用することができる。本願発明による疲労改善剤は、特に、身体的作業を連続して行うことにより起こる疲労を改善することができる。

　本発明による組成物は、好ましくは、持久力増強剤として用いることができる。

　本発明による組成物は、動物用栄養組成物として使用することができる。

　本発明による組成物は、飼料用組成物として使用することができる。

　本発明による組成物または動物用栄養組成物は、さらに、海藻抽出物を含むことができる。

　本発明で使用される海藻抽出物は、海藻からの抽出物であればよく、好ましくは、褐藻類より抽出されたもので、ポリフェノールであるフロロタンニンを含む成分からなる。褐藻類の具体例としては、クロメ、アラメ、カジメ等が挙げられる。海藻抽出物は、市販されているものを用いてもよい。あるいは、公知の方法に従って、海藻から抽出して得られたものであってもよい。

　本発明による組成物または動物用栄養組成物は、さらに、分岐鎖アミノ酸を含むことができる。

　本発明に用いる分岐鎖アミノ酸は、医薬又は食品として服用又は食用可能なアミノ酸であればその由来および製法は何ら限定されるものではない。市販のものを用いてもよい。あるいは、公知の方法に従って製造されたものであってもよい。分岐鎖アミノ酸の具体例としては、バリン、ロイシン、イソロイシンが挙げられる。

　ＣｏＱ１０と、海藻抽出物と、分岐鎖アミノ酸との配合割合は、ＣｏＱ１０を１とすると、重量比で海藻抽出物は０．１～１、好ましくは、０．２～０．８、より好ましくは、０．４～０．６とすることができ、また、分岐鎖アミノ酸は重量で０．０５～０．５、好ましくは、０．１～０．５、より好ましくは、０．２～０．３でとすることができる。

　本発明による組成物または動物用栄養組成物は、さらに、グルコサミン、メチルスルホニルメタン、コンドロイチン硫酸又はラクトビオン酸を含有させて関節強化を図ることもできる。

　本発明による組成物または動物用栄養組成物は、さらに、疲労回復成分として知られるシトルリンを配合することができる。例えば、シトルリンが大量に含まれる野生スイカ果汁として添加することができる。

　本発明による組成物または動物用栄養組成物は、必要に応じて各種栄養素、各種ビタミン類（ビタミンＡ、ビタミンＢ１、ビタミンＢ２、ビタミンＢ６、ビタミンＣ、ビタミンＥ等）、各種ミネラル類、食物繊維、多価不飽和脂肪酸、その他の栄養素（β-カロチン、リコピン、アスタキサンチンなどのカロチノイド、カルニチン、セサミン）、分散剤、乳化剤等の安定剤、甘味料、呈味成分（クエン酸、リンゴ酸等）、フレーバー、ローヤルゼリー、プロポリス、アガリクス等を配合することができる。ペパーミント、ベルガモット、カモンミール、ラベンダーなどのハーブ類を配合してもよい。

　本発明の組成物または動物用栄養組成物の形態としては、粉末、散剤、顆粒剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、タブレット、チュアブル錠、速崩錠、シロップ、液剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、粘付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。好ましくは、液剤とすることができる。

　本発明の組成物または動物用栄養組成物を粉末として使用する場合、本発明の組成物または動物用栄養組成物を、凍結乾燥、スプレードライ乾燥、加熱乾燥等の方法で乾燥することにより製造することができる。このようにして得られた粉末は、さらに、水等に溶解して液剤とすることができる。

　製剤化のために用いることができる添加剤には、例えば大豆油、サフラー油、オリーブ油、胚芽油、ひまわり油、牛脂、いわし油等の動物性油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤、精製水、乳糖、デンプン、結晶セルロース、Ｄ－マンニトール、レシチン、アラビアガム、ソルビトール液、糖液等の賦形剤、甘味料、着色料、ｐＨ調整剤、香料等が挙げられる。尚、液体製剤は、服用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また、錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしても良い。

　本発明による組成物または動物用栄養組成物は、各種動物に使用することができるが、好ましくは、競争用動物に使用することができる。競争用動物としては、例えば、馬、犬、鶏、鳩、ラクダ、豚等が挙げられるが、好ましくは、馬である。

　本発明の組成物または動物用栄養組成物の動物への投与方法としては、そのまま動物に与える方法、飼料に混合して与える方法、水等の溶液に分散させて与える方法等が挙げられる。

　本発明の組成物または動物用栄養組成物の動物への投与としては、経口投与であっても非経口投与であってもよいが、好ましくは、経口投与である。

　本発明の組成物または動物用栄養組成物を動物に与えるためには、該組成物を容器に充填しておくことが好ましい。充填する際は、該組成物を容器に合わせた形状としておくことが好ましい。本発明に使用する容器は内容物を外部に漏らすことがなければ良く、馬等の動物に与える際に、人力により搾り出す、又は押し出すような形状が好ましい。特に、図２に示すようなシリンジ形状の容器を用いることが好ましい。より具体的には、シリンジ出口にキャップ１を有し、シリンジの押し出し部に出口形状に合わせた突起２をもち、押し出し部が抜けないように外筒部に突起３を有するシリンジ形状の容器が好ましい。１のキャップ構造により、容器からの漏れ出しを防ぐことができる。突起２はシリンジの内容物を残さず出す事を可能とする。突起３はシリンジからシリンダー部が向け出すことを防ぐ構造となっており、輸送中、使用中の外れによる事故を防ぐ効果がある。

　シリンジの内容量は目的に合わせ０．１から２０００ｍｌが使用でき、好ましくは２５から１００ｍｌである。容器の材質は特に制限がなく使用できる。金属、ガラス、プラスチック等が使用でき、これら単独、または、場所によって使い分けることもできる。

　本発明の組成物または動物用栄養組成物の有効成分であるＣｏＱ１０は、動物に対し安全に用いられる。本発明による有効成分の投与量は、適宜決定することができる。例えば、本発明による有効成分を、１日当たり、０．５～５ｍｇ／ｋｇ体重、好ましくは１．５～２ｍｇ／ｋｇ体重の範囲で投与することができる。投与量の全量は、一度に与えてもよいし、２～３回程度に分けて与えてもよい。

　投与のタイミングは、特に限定されないが、身体的または精神的作業（例えば、競走馬であればレース等）の１～２週間程度前から毎日、更には、身体的または精神的作業（例えば、競走馬であればレース等）終了後も１週間程度投与することが好ましい。持久力増強を目的とする場合は、特に、身体的または精神的作業の１～２週間程度前から毎日投与することが好ましい。疲労改善を目的とする場合は、特に、身体的または精神的作業（例えば、競走馬であればレース等）終了後に１週間程度投与することが好ましい。

　本発明によれば、コエンザイムＱ１０の有効量を動物に投与することを含んでなる、動物の持久力を増強する方法が提供される。本発明によれば、また、コエンザイムＱ１０の有効量を動物に投与することを含んでなる、動物の疲労を改善する方法が提供される。これらの方法において投与されるコエンザイムＱ１０としては、上記の本発明による組成物を利用することができる。ここで、これらの方法からは、医療行為を除くことができる。また、動物からはヒトを除くことができる。

　本発明によれば、持久力増強および/または疲労改善に用いるための薬剤を製造するための、コエンザイムＱ１０の使用が提供される。この使用において用いられる持久力増強および/または疲労改善に用いるための薬剤は、上記の本発明による組成物を利用することができる。

　本発明によれば、持久力増強および/または疲労改善に用いるための組成物を製造するための、コエンザイムＱ１０の使用が提供される。この使用において用いられる持久力増強および/または疲労改善に用いるための組成物は、上記の本発明による組成物を利用することができる。

　本発明によれば、コエンザイムＱ１０を含んでなることを特徴とする、持久力増強および/または疲労改善に用いるための組成物の製造方法が提供される。

　本発明の好ましい態様によれば、コエンザイムＱ１０を含んでなる持久力増強に用いるための組成物（持久力増強剤）であって、コエンザイムＱ１０が、大豆タンパクまたはその加水分解物との混合物として使用される組成物が提供される。

　本発明の好ましい態様によれば、コエンザイムＱ１０を含んでなる持久力増強に用いるための組成物（持久力増強剤）であって、コエンザイムＱ１０が乳化組成物として使用される組成物が提供される。

　本発明の好ましい態様によれば、コエンザイムＱ１０を含んでなる持久力増強に用いるための競走用動物用組成物（持久力増強剤）であって、コエンザイムＱ１０が、大豆タンパクまたはその加水分解物との混合物として使用される組成物が提供される。ここで、競走用動物は馬であることが好ましい。

　本発明の好ましい態様によれば、コエンザイムＱ１０を含んでなる持久力増強に用いるための競走用動物用組成物（持久力増強剤）であって、コエンザイムＱ１０が乳化組成物として使用される組成物が提供される。ここで、競走用動物は馬であることが好ましい。

　本発明によれば、また、以下の発明が提供される。
〔１〕コエンザイムＱ１０、海藻抽出物及び分岐鎖アミノ酸を含有する動物用栄養組成物。
〔２〕重量比が、コエンザイムＱ１０：海藻抽出物：分岐鎖アミノ酸＝１：０．２～０．８：０．１～０．５である〔１〕記載の動物用栄養組成物。
〔３〕前記コエンザイムＱ１０が澱粉粒子又は大豆タンパクとの混合物であることを特徴とする〔２〕記載の動物用栄養組成物。
〔４〕海藻抽出物が褐藻類より抽出されたものであることを特徴とする〔３〕記載の動物用栄養組成物。
〔５〕分岐鎖アミノ酸がバリン、ロイシン又はイソロイシンであることを特徴とする〔４〕記載の動物用栄養組成物。
〔６〕前記褐藻類がクロメ、アラメ又はカジメであることを特徴とする〔５〕記載の動物用栄養組成物。
〔７〕前記褐藻類がフロロタンニンを含むことを特徴とする〔６〕記載の動物用栄養組成物。
〔８〕グルコサミン、メチルスルホニルメタン、コンドロイチン硫酸又はラクトビオン酸を含有する〔１〕から〔７〕のいずれかに記載の動物用栄養組成物。
〔９〕野生スイカ果汁を含有する〔１〕から〔８〕のいずれかに記載の動物用栄養組成物。
〔１０〕〔１〕から〔９〕のいずれかに記載の競争馬用栄養組成物。

　本発明によれば、また、以下の発明が提供される。
〔１〕コエンザイムＱ１０、海藻抽出物及び分岐鎖アミノ酸を含有する動物用栄養組成物。
〔２〕重量比が、コエンザイムＱ１０：海藻抽出物：分岐鎖アミノ酸＝１：０．２～０．８：０．１～０．５である〔１〕記載の動物用栄養組成物。
〔３〕前記コエンザイムＱ１０が澱粉粒子又は大豆タンパクとの混合物であることを特徴とする〔２〕記載の動物用栄養組成物。
〔４〕海藻抽出物が褐藻類より抽出されたものであることを特徴とする〔３〕記載の動物用栄養組成物。
〔５〕分岐鎖アミノ酸がバリン、ロイシン又はイソロイシンであることを特徴とする〔４〕記載の動物用栄養組成物。
〔６〕前記褐藻類がクロメ、アラメ又はカジメであることを特徴とする〔５〕記載の動物用栄養組成物。
〔７〕前記褐藻類がフロロタンニンを含むことを特徴とする〔６〕記載の動物用栄養組成物。
〔８〕グルコサミン、メチルスルホニルメタン、コンドロイチン硫酸又はラクトビオン酸を含有する〔１〕から〔７〕のいずれかに記載の動物用栄養組成物。
〔９〕野生スイカ果汁を含有する〔１〕から〔８〕のいずれかに記載の動物用栄養組成物。
〔１０〕競走馬用である〔５〕から〔９〕のいずれかに記載の動物用栄養組成物。
〔１１〕粉末、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、懸濁剤、座剤、クリーム、吸入剤又は注射剤の形態である〔６〕～〔１０〕のいずれか１項に記載の動物栄養組成物。
〔１２〕〔６〕から〔１１〕記載の栄養組成物を充填した動物用飼料容器。
〔１３〕容器がシリンジ形状である〔１２〕記載の動物用飼料容器。

　以下、実施例および比較例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例にのみ限定されるものではない。

組成物の調製
実施例１
　ＣｏＱ１０粉末（三菱瓦斯化学製）８０g、大豆タンパク加水分解物（日清オイリオ社製）２０ｇをポリ袋に入れて混合した。これを水溶化ＣｏＱ１０（大豆タンパク）とする。なお、この水溶化ＣｏＱ１０（大豆タンパク）は、ＢＩＯＱ１０－ＳＡ（三菱瓦斯化学製）に相当するものである。
　下記組成物１００ｇを通常の方法にて配合し、均一な溶液Ａを調整した。
＜ドリンク剤（溶液Ａ）＞
水溶化ＣｏＱ１０（大豆タンパク）５ｇ
グルコサミン　５ｇ
メチルスルホニルメタン　３ｇ
コンドロイチン硫酸　０．５ｇ
ヒヤルロン酸　０．２ｇ
ラクトビオン酸　２ｇ
海藻抽出物（シアノール）　２ｇ
クエン酸　０．５ｇ
ロイシン　０．５ｇ
イソロイシン　０．３ｇ　
バリン　０．３ｇ
ＮａＣｌ　０．５ｇ
ビタミンＥ　５ｇ
グラニュー糖　２０ｇ　
野生スイカ果汁　５０．２ｇ
水　　　　残分

実施例２
　ＣｏＱ１０粉末（三菱瓦斯化学製）４０g、澱粉粒子４０ｇ、デキストリン１５ｇ、グリセリン５ｇをホモジナイザーに入れ、６０℃に加温して乳化処理をした。これを水溶化ＣｏＱ１０（澱粉）とする。なお、この水溶化ＣｏＱ１０（澱粉）は、ＭＧＣＰｕｒｅＳｏｒｂＱ１０（三菱瓦斯化学製）に相当するものである。
　下記組成物１００ｇを通常の方法にて配合した結果、均一な溶液Ｂを調製することができた。
＜ドリンク剤（溶液Ｂ）＞
水溶化ＣｏＱ１０（澱粉）１０ｇ
グルコサミン　５ｇ
メチルスルホニルメタン　３ｇ
コンドロイチン硫酸　０．５ｇ
ヒヤルロン酸　０．２ｇ
ラクトビオン酸　２ｇ
海藻抽出物（シアノール）　２ｇ
クエン酸　０．５ｇ
ロイシン　０．５ｇ
イソロイシン　０．３ｇ　
バリン　０．３ｇ
ＮａＣｌ　０．５ｇ
ビタミンＥ　５ｇ
グラニュー糖　２０ｇ　
野生スイカ果汁　５０．２ｇ
水　　　　残分

実施例３
　ＣｏＱ１０粉末（三菱瓦斯化学製）を使用し、下記組成物１００ｇを調製したところ、ＣｏＱ１０が分離して均一な溶液にならなかった。
＜ドリンク剤＞
ＣｏＱ１０　４ｇ
グルコサミン　５ｇ
メチルスルホニルメタン　３ｇ
コンドロイチン硫酸　０．５ｇ
ヒヤルロン酸　０．２ｇ
ラクトビオン酸　２ｇ
海藻抽出物（シアノール）　２ｇ
クエン酸　０．５ｇ
ロイシン　０．５ｇ
イソロイシン　０．３ｇ　
バリン　０．３ｇ
ＮａＣｌ　０．５ｇ
ビタミンＥ　５ｇ
グラニュー糖　２０ｇ　
野生スイカ果汁　５０．２ｇ
水　　　　残分

実施例４
　実施例１、２で調製した溶液を凍結乾燥することで粉末を作製することができた。

実施例５
　実施例４で得られた粉末０．１ｇに水１００ｍｌを再添加することで均一な溶液を作ることができた。

実施例６
　増粘剤としてプロテインを用いて、下記組成物１００ｇを通常の方法にて配合し、均一な溶液Ｃを調整した。
＜ドリンク剤（溶液Ｃ）＞
水溶化ＣｏＱ１０（大豆タンパク）２５ｇ
プロテイン４ｇ
グルコサミン　５ｇ
メチルスルホニルメタン　３ｇ
コンドロイチン硫酸　０．５ｇ
ヒヤルロン酸　０．２ｇ
ラクトビオン酸　２ｇ
海藻抽出物（シアノール）　２ｇ
クエン酸　０．５ｇ
ロイシン　０．５ｇ
イソロイシン　０．３ｇ　
バリン　０．３ｇ
ＮａＣｌ　０．５ｇ
ビタミンＥ　３ｇ
グラニュー糖　２０ｇ　
野生スイカ果汁　３３．２ｇ
水　　　　残分

実施例７
　水溶化ＣｏＱ１０（澱粉）を用いて、下記組成物１００ｇを通常の方法にて配合した結果、均一な溶液Ｄを調製することができた。
＜ドリンク剤（溶液Ｄ）＞
水溶化ＣｏＱ１０（澱粉）３５ｇ
グルコサミン　５ｇ
メチルスルホニルメタン　３ｇ
コンドロイチン硫酸　０．５ｇ
ヒヤルロン酸　０．２ｇ
ラクトビオン酸　２ｇ
海藻抽出物（シアノール）　２ｇ
クエン酸　０．５ｇ
ロイシン　０．５ｇ
イソロイシン　０．３ｇ　
バリン　０．３ｇ
ＮａＣｌ　０．５ｇ
ビタミンＥ　３ｇ
グラニュー糖　１５ｇ　
野生スイカ果汁　３２．２ｇ
水　　　　残分

比較例１
　ＣｏＱ１０粉末（三菱瓦斯化学製）を使用し、下記組成物１００ｇを調製したところ、ＣｏＱ１０が分離して均一な溶液にならなかった。
＜ドリンク剤＞
ＣｏＱ１０　３５ｇ
グルコサミン　５ｇ
メチルスルホニルメタン　３ｇ
コンドロイチン硫酸　０．５ｇ
ヒヤルロン酸　０．２ｇ
ラクトビオン酸　２ｇ
海藻抽出物（シアノール）　２ｇ
クエン酸　０．５ｇ
ロイシン　０．５ｇ
イソロイシン　０．３ｇ　
バリン　０．３ｇ
ＮａＣｌ　０．５ｇ
ビタミンＥ　３ｇ
グラニュー糖　１５ｇ　
野生スイカ果汁　３２．２ｇ
水　　　　残分

生体吸収性試験
　実施例１、２で作製した水溶化ＣｏＱ１０について生体吸収性の確認を行った。
摂餌方法
　８週齢のＳＤ系ラット（オス、一群３匹、体重２５０～３００ｇ）に対し、実施例１、２で作製した各々の水溶化ＣｏＱ１０、通常のＣｏＱ１０を、ＣｏＱ１０量として１００ｍｇ／ｋｇラット重となるように経口的に強制摂取させた後、投与３時間後に尾静脈よりヘパリン加真空採血管を用いて採血し、血漿を分離した。

血中ＣｏＱ１０量の測定
　得られた血漿を１ｍｌ分取し、血漿中のＣｏＱ１０の全量が酸化型になるように、２％ＦｅＣｌ３－エタノール溶液を２．５ｍｌ加えて混合し、還元型ＣｏＱ１０を酸化型ＣｏＱ１０に変換した。次いで、ヘキサンを５ｍｌ加えて激しく混合し、血漿中の酸化型ＣｏＱ１０を抽出した後、遠心分離し、ヘキサン層を別の試験管に採取した。この操作を３回繰り返し得られたヘキサン抽出液１５ｍｌをエバポレーターにて減圧濃縮（１０～１００ｔｏｒｒ）し、その後、イソプロパノールを０．２ｍｌ加えて溶解した。得られたイソプロパノール溶液０．２ｍｌを、下記の条件でＨＰＬＣにより分析し、血漿１ｍｌ中の濃度を算出した。
ＨＰＬＣ分析条件：
カラム；ＹＭＣ　ＰＡＣＫ　ＯＤＳ－Ａ、移動相；メタノール：ヘキサン＝４：１（Ｖ：Ｖ）、検出波長；２７５ｎｍ、流速；１．０ｍｌ／ｍｉｎ、カラム温度３０℃

　上記の実施例１、２で作製した各々の水溶化ＣｏＱ１０、通常のＣｏＱ１０についてラットでの吸収性試験の結果（二匹の平均値）を以下の表１に示す。

　本発明の水溶化ＣｏＱ１０を使用することで、生体吸収性が向上していることが分かった。

持久力試験
　実施例２で作製した水溶化ＣｏＱ１０の持久力増強作用について確認を行った。
試験方法
　ＳＰＦ－ＩＣＲ系マウスの雄　６週齢（日本チャールス・リバー(株)より購入）を用いた。該マウスは入荷後試験を終了するまで室温：２３±２℃、湿度：５５±６％、照明を１２時間点灯、１２時間消灯に設定した飼育室で飼育した。実験動物用床敷（ホワイトフレーク，日本チャールス・リバー（株））を敷いたポリカーボネート製ケース（東洋理工(株)）に１ケージあたり３匹ずつ収容し、スチール製架台（日本ケージ（株））上に配置して飼育した。試験期間中は、マウス用固型飼料ＭＦ（オリエンタル酵母工業（株））と水道水を自由に摂取させた。１週間の予備飼育期間中に図１に示すトレッドミル（多連トレッドミルシステムＴＭＳー４，メルクエスト）を用いて予備走行をおこない、体重及び走行能力が各群同等となるように群分けをし、一群３匹で４群用意した。

　ＣｏＱ１０が１００ｍｇ／ｋｇマウス投与量となる様に、以下の各サンプルを３週間連続強制経口投与を行った。（但し、土日は休みとする。）1サンプル当たり3匹のマウスを用いた。尚、水、馬ドリンクはそのまま投与し、水溶化ＣｏＱ１０（大豆タンパク）及びＣｏＱ１０は大豆油へ分散して経口投与した。
〈サンプル〉
1. 水　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（そのまま投与）
2. 実施例２で調製したドリンク剤　　　　　　　（そのまま投与）

　持久力測定は、経口投与後３０分後におこない、投与前、投与５日目、投与１２日目、投与１９日目に実施した。具体的には、トレッドミルを用いて強制走行（傾斜１０度、速度２０ｍ／分）をさせる。暫くするとマウスは疲労してトレッドミルから刺激グリッド上に乗る。通常、マウスは刺激グリッド上から逃げるが、強制走行後、疲労して刺激グリッド上から１分間逃げ出さなくなるまでの時間を測定した。

　サンプル１を服用したマウスに対し、実施例２で調製したドリンクを服用させたマウスは、刺激グリッドから１分間逃げ出さなくなるまでの時間が、１．５倍から５倍長くなった。これから、ＣｏＱ１０を用いたドリンク剤は持久力を強化させることが可能であることが分かった。

シリンジ押出し試験
実施例１１～１３、比較例１－１
　図２の形状で内容量５０ｍｌ、プラスチックで出来たシリンジに入れた各内容物について、シリンジのキャップを外し、出口を真下にして１０秒間液たれするか否か、また、ピストンに圧力を加え、２～１０秒間でスムーズに全量押し出せるか否か試験を行った。結果を表２に示す。

　本発明の動物用栄養組成物は、競走用動物向け飼料として特に有効である。競争用動物としては、例えば、馬、犬、鶏、鳩、ラクダ等が挙げられ、馬の分野で好適に利用可能である。

１　キャップ
２　突起２
３　突起３

Claims

　コエンザイムＱ１０を含んでなる、持久力増強および/または疲労改善に用いるための組成物。
　コエンザイムＱ１０が、大豆タンパクもしくはその加水分解物との混合物、または乳化組成物として使用される、請求項１に記載の組成物。
　さらに、海藻抽出物および／または分岐鎖アミノ酸を含んでなる、請求項１または２に記載の組成物。
　海藻抽出物が、褐藻類からの抽出物である、請求項３に記載の組成物。
　褐藻類が、クロメ、アラメ又はカジメである、請求項４に記載の組成物。
　海藻抽出物が、フロロタンニンを含んでなる抽出物である、請求項３に記載の組成物。
　分岐鎖アミノ酸が、バリン、ロイシン又はイソロイシンである、請求項３に記載の組成物。
　コエンザイムＱ１０と、海藻抽出物と、分岐鎖アミノ酸との重量比が、コエンザイムＱ１０：海藻抽出物：分岐鎖アミノ酸＝１：０．１～１：０．０５～０．５である、請求項３～７のいずれか一項に記載の組成物。
　さらに、グルコサミン、メチルスルホニルメタン、コンドロイチン硫酸又はラクトビオン酸を含有する、請求項１～８のいずれか一項に記載の組成物。
　さらに、シトルリンを含んでなる、請求項１～９のいずれか一項に記載の組成物。
　粉末、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、液剤、懸濁剤、座剤、クリーム、吸入剤、または注射剤の形態である、請求項１～１０のいずれか一項に記載の組成物。
　競走用動物用である、請求項１～１１のいずれか一項に記載の組成物。
　競走用動物が、馬である、請求項１２に記載の組成物。
　請求項１～１３のいずれか一項に記載の組成物を充填した、動物用飼料容器。
　容器がシリンジ形状である、請求項１４に記載の動物用飼料容器。
　コエンザイムＱ１０の有効量を動物に投与することを含んでなる、動物の持久力を増強する方法。
　コエンザイムＱ１０の有効量を動物に投与することを含んでなる、動物の疲労を改善する方法。
　持久力増強および/または疲労改善に用いるための薬剤を製造するための、コエンザイムＱ１０の使用。