WO2010016503A1 - 加飾缶体及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

本発明は、飲食品などの収納容器として重用されるシームレス缶などにおいて、缶体の胴部外面に光輝性の鏡面光沢に優れた加飾を施し、シームレス缶などの商品価値を高めるためになされた発明であり、缶胴外面に接着剤層を介して金属箔又は金属蒸着層を設け、更に印刷フィルムを積層した加飾缶体において、接着剤層に、加熱硬化する際に副生ガスを発生しない、内部ブロック硬化剤による熱硬化性樹脂接着剤を使用した、鏡面光沢に優れた加飾缶体である。

Description

加飾缶体及びその製造方法

　本発明は、鏡面光沢に優れた加飾缶体及びその製造方法に関し、具体的には、シームレス缶などの缶胴表面に金属層と印刷フィルム層を設ける際に、鏡面光沢を得るために特定の接着剤を使用した、鏡面光沢に優れた加飾缶体及びその製造方法に係わるものである。

　スチール缶やアルミ缶などの金属缶体は、ガラス瓶に比して軽量で耐衝撃性が高く、保存性や密封性に優れ、資源回収再利用も容易になされるので、プラスチック容器と同様に、飲食品収納用容器として、特にサイダーなどの清涼飲料やコーヒーなどの嗜好飲料或いはビールなどのアルコール性飲料の容器として重用され汎用されている。
　これらの缶体容器の胴部表面には、商品の収納内容物や商品名などを表示し、また消費者の購買意欲を高めるために、文字や意匠が印刷されている。そして、消費者の注意を引き販売を促進するために、商品缶体の胴部表面の意匠と装飾、いわゆる加飾が重要視され、最近では、特に、商品の缶体が際立ち、かつ高級感や購入者の歓心を得るために美的でインパクトのある（印象深い）加飾がいっそう重要になっている。

　そのために、缶体の胴部には以前から、直接に装飾模様が印刷され、或いは模様が印刷された樹脂フィルムが装着されているが、円筒面への鮮明な印刷は曲面印刷のために困難で、印刷フィルムを単に胴部に巻着しても雅趣のない単純な装飾になってしまう。また、金属の缶体においては、一般的に、美的意匠として鏡面光沢が重視され、アルミ缶ではその金属の明るく光輝な金属色が装飾模様の背景（下地）として意匠効果に生かされている。
　アルミ合金板やスチール板を絞り加工や絞りしごき加工或いはストレッチドロー加工することによって成形されるシームレス缶においては、側壁が過酷な加工を受けるため肌荒れして鏡面光沢が不足していた。アルミ缶は比較的金属色は優れているがより優れた鏡面性を望まれる場合がある。また、特にポリエステルフィルムなどをラミネートした樹脂被覆金属板から成形されたシームレス缶はアルミ缶においてもスチール缶においても、金属面が直接成形工具に触れない成形であるため、樹脂下の金属面の肌荒れがより大きく、鏡面光沢は得られなかった。溶接缶においては、すずめっき鋼板の表面粗度を極く小さくすることにより鏡面光沢缶が作られてきているが、そのような表面は製缶中の搬送などで、傷が付き易いという問題があった。
　そして、アルミ缶より廉価なスチール缶ではアルミ缶のような鏡面光沢は得られず、くすんだ灰色系統の地金色となるので、缶体の胴部に明るい金属粉末塗料を塗布したり、銀インキにより金属様の光沢のグラビア印刷を施した樹脂フィルムを装着して、鏡面光沢を顕出させる試みがなされているが、充分に明るい光輝な鏡面光沢は得られ難い。
　蒸着アルミニウムを顔料化したグラビアインキも存在するが、それにより印刷するとメタリック感が発現するとしても、缶体がレトルト処理を受けるとアルミ顔料が白化して光沢が低下してしまう。

　そこで、スチール缶などの金属缶体の胴部表面に、アルミなどの光輝性の金属箔や金属蒸着層を装着して、高級な鏡面光沢感を顕出させようとすることも提案されている（特許文献１）が、深みのある高級な鏡面光沢感は得られない。
　最近では、金属箔や金属蒸着層と模様を印刷した透明な樹脂フィルムを組み合わせ缶体の胴部に積層して、深みのある装飾模様と金属光沢の加飾を施す缶体が開示されている（特許文献２～４）。
　かかる加飾缶体は、スチール缶においても、深みのある装飾模様と光輝な鏡面光沢の相関により高級な加飾をもたらすものと期待されるが、試作しても装飾表面にブリスター（
微細な突起）が多数生じて、鏡面光沢が発現せず美麗で光輝な鏡面光沢装飾は得られていない。

特開２０００－２２９６４２号公報（要約を参照） 特開２０００－９５２４８号公報（要約及び図２（Ｃ）を参照） 特開２００５－１６７６号公報（要約及び図６を参照） 特開２００５－２０６１６０号公報（要約を参照）

　背景技術の段落０００３～０００４において概述したように、金属缶体のなかで、特にシームレス缶、とりわけそのスチール缶、では缶体表面に鏡面光沢が呈されず、印刷模様を施しても加飾されないので、そのために缶体の胴部表面を光輝性の鏡面光沢にすべきことが、要望され必要になっている。
　そして、金属箔や金属蒸着層と模様を印刷した透明な樹脂フィルムを組み合わせ缶体の胴部に積層して、深みのある装飾模様と鏡面光沢の加飾を施す缶体が開示され、かかる加飾缶体は、シームレス缶においても、深みのある装飾模様と光輝な鏡面光沢の相関により高級な加飾をもたらすものと期待されるが、試作しても装飾表面にブリスターが多数生じて外観不良となり、鏡面光沢が発現せず美麗で光輝な鏡面光沢装飾は得られていない。

　そこで、本発明者らは、飲食品などの収納容器として重用されるシームレス缶において、缶体の胴部表面に鏡面光沢に優れた加飾を施し、シームレス缶の商品価値を高めることを、発明が解決すべき課題とするものである。

　本発明者らは、上記の発明の課題を解決すべく、段落０００４に前記した、金属箔や金属蒸着層と模様を印刷した透明な樹脂フィルムを組み合わせ缶体の胴部に積層して、深みのある装飾模様と鏡面光沢の加飾を得ようとする缶体において、深みのある装飾模様と光輝な鏡面光沢の相関により高級な加飾をもたらすものと期待されるのに、試作しても装飾表面にブリスターが多数生じて外観不良となり、鏡面光沢が発現せず美麗で光輝な鏡面光沢装飾は得られていない、原因を考察したところ、金属箔又は金属蒸着層と缶体胴部の間には一般に熱硬化性樹脂接着剤層が存在するが、接着剤が硬化する際に硬化反応の副生ガスが生じ、ガスの逃げ場がないので、そのために装飾表面にガス圧によるブリスターが多数生じて、鏡面光沢が発現せず美麗で光輝な鏡面光沢装飾は得られていないことが判明した。
　なお、副生ガスの発生によりブリスターが生じる現象を図１に、金属蒸着層のない缶体（左図）と樹脂フィルムの印刷面に金属蒸着を施した缶体（右図）の模式断面図として開示している。

　かかる缶体においては、金属材料とプラスチック材料との接着性が非常に良好で、各種の接着物性も優れている、ポリウレタン樹脂系接着剤やポリエステル樹脂系接着剤或いはポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤やエポキシ樹脂系接着剤などの熱硬化性樹脂接着剤が使用されるが、このような接着剤においては、接着剤の硬化反応の際の副生成物（低分子化合物）のガス化によるガスの発生が不可避であり、例えば、ポリウレタン系樹脂などにおいては、加熱時の硬化反応の際に、硬化剤のイソシアネート基をブロックしていたブロック剤が解離しこれが昇華してガス体になる。

　そこで、本発明者らは、このような熱硬化性樹脂接着剤において、硬化反応の際に副生ガスの発生しない接着剤を探求したところ、内部ブロックイソシアネート硬化剤を使用すれば硬化反応の際に副生ガスが発生しないことを見い出すことができた。

　そして、内部ブロックイソシアネート硬化剤を使用したポリウレタン系樹脂やポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂接着剤を金属層と缶体の胴部の接着剤に採用することにより、金属箔や金属蒸着層と模様を印刷した透明な樹脂フィルムを組み合わせ缶体の胴部に積層する際に、装飾表面にブリスターが生じて外観不良となることが完全に阻止され、鏡面光沢が充分に発現して美麗で光輝な鏡面光沢装飾を、シームレス缶において初めて実現することができ、その結果として本発明の創作に至った。

　かくして、本発明は、「缶胴表面に接着剤層を介して金属箔又は金属蒸着層を設け、更に印刷フィルムを積層した加飾缶体において、接着剤層に加熱硬化する際にガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤を使用したことを特徴とする、鏡面光沢に優れた加飾缶体。」、及び「缶胴表面に接着剤層を介して金属箔又は金属蒸着層を設け、更に印刷フィルムを積層して加飾缶体を製造する方法において、接着剤層に加熱硬化する際にガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤を使用することにより、加飾表面にブリスター（微細突起）を生じさせずに缶胴表面を鏡面仕上げすることを特徴とする、鏡面光沢に優れた加飾缶体を製造する方法。」を基本発明とする。

　更に、本発明においては、上記の基本発明における代表的な実施の態様の発明として、ガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤が、内部ブロックイソシアネート硬化剤を使用する熱硬化性樹脂、特にポリウレタン樹脂系接着剤、ポリエステルポリウレタン系樹脂接着剤又はポリエステル樹脂系接着剤であり、接着剤が無機顔料を、特に二酸化チタンを含み、更に印刷フィルムに表面コートしたものであり、印刷フィルムと金属蒸着層の間に透明接着剤層を介して樹脂フィルムが設けられ、そして、印刷フィルムと金属蒸着層の間に、ホログラムパターン（光干渉による立体感模様）が設けられ、更にまた、飲食品が収納されレトルト処理された加飾缶体である。

　本発明は、段落００１２に前記した新規で特定の構成を要件とするものであるから、（ｉ）金属箔や金属蒸着層と模様を印刷した透明な樹脂フィルムを組み合わせ缶体の胴部に積層する際に、装飾表面にブリスターが生じて外観不良となることが完全に阻止され、鏡面光沢が充分に発現して美麗で光輝な鏡面光沢装飾を、シームレス缶において初めて実現することができ、（ｉｉ）当シームレス缶はレトルト処理を受けても鏡面光沢が劣化して白色化することは無く、（ｉｉｉ）缶体の胴部のラミネート各層の接着接合が強固であり、レトルト処理を受けても剥離することが無い、という格別の特徴（作用効果）を奏するものである。
　しかして、かかる新規な特別の構成の要件と、格別の特徴は、背景技術に列記した先行文献はもとより、他の特許文献においても窺うことはできない。
　なお、本発明において重要なことであるが、本発明の特別の構成の要件における合理性と有意性及び格別の特徴は、後記する実施例のデータ及び実施例と比較例の対照により実証されている。

　以上において、発明の課題を解決するための手段として、本発明の創作される経緯並びに本発明の基本的な構成及び特徴に沿って、本発明を概観的に記述したので、ここで、本願の発明全体を俯瞰すると、本発明は、次の発明単位群から構成されるものであって、［１］及び［１０］の発明を基本発明とし、それ以外の発明は、基本発明を具体化ないしは実施態様化するものである。なお、発明群全体をまとめて「本発明」という。

　［１］缶胴表面に接着剤層を介して金属箔又は金属蒸着層を設け、更に印刷フィルムを積層した加飾缶体において、接着剤層に加熱硬化する際にガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤を使用したことを特徴とする、鏡面光沢に優れた加飾缶体。
　［２］ガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤が、内部ブロックイソシアネート硬化剤を
使用する熱硬化性樹脂接着剤であることを特徴とする、［１］における鏡面光沢に優れた加飾缶体。
　［３］ガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤が、内部ブロックイソシアネート硬化剤を使用するポリウレタン樹脂系接着剤、ポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤又はポリエステル樹脂系接着剤のいずれか一種、或いは二種以上の混合物であることを特徴とする、［２］における鏡面光沢に優れた加飾缶体。
　［４］接着剤が無機顔料を含むことを特徴とする、［１］～［３］のいずれかにおける鏡面光沢に優れた加飾缶体。
　［５］印刷フィルムの外面に表面コートしたことを特徴とする、［１］～［４］のいずれかにおける鏡面光沢に優れた加飾缶体。
　［６］印刷フィルムと金属箔又は金属蒸着層の間に透明接着剤層を介して樹脂フィルムが設けられたことを特徴とする、［１］～［５］のいずれかにおける鏡面光沢に優れた加飾缶体。
　［７］印刷フィルムと金属蒸着層の間に、ホログラムパターンが設けられたことを特徴とする、［１］～［５］のいずれかにおける鏡面光沢に優れた加飾缶体。
　［８］飲食品が収納されレトルト処理されたことを特徴とする、［１］～［７］のいずれかにおける鏡面光沢に優れた加飾缶体。
　［９］缶体が樹脂被覆シームレス缶であることを特徴とする、［１］～［８］のいずれかにおける鏡面光沢に優れた加飾缶体。

　［１０］缶胴表面に接着剤層を介して金属箔又は金属蒸着層を設け、更に印刷フィルムを積層して加飾缶体を製造する方法において、接着剤層に加熱硬化する際にガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤を使用することにより、加飾表面にブリスター（微細突起）を生じさせずに缶胴表面を鏡面仕上げすることを特徴とする、鏡面光沢に優れた加飾缶体を製造する方法。
　［１１］ガスを発生しない接着剤が、内部ブロックイソシアネート硬化剤を使用する、ポリウレタン樹脂系接着剤、ポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤又はポリエステル樹脂系接着剤のいずれか一種、或いは二種以上の混合物であることを特徴とする、［１０］における鏡面光沢に優れた加飾缶体を製造する方法。
　［１２］　印刷フィルムと金属蒸着層の間に、ホログラムパターンを設けることを特徴とする、［１０］又は［１１］における鏡面光沢に優れた加飾缶体を製造する方法。

　本発明においては、（ｉ）金属箔や金属蒸着層と模様を印刷した透明な樹脂フィルムを組み合わせ缶体の胴部に積層する際に、装飾表面にブリスターが生じて外観不良となることが完全に阻止され、鏡面光沢が充分に発現して美麗で光輝な鏡面光沢装飾を、シームレス缶などにおいて初めて実現することができ、（ｉｉ）当シームレス缶はレトルト処理を受けても鏡面光沢が劣化して白色化することは無く、（ｉｉｉ）レトルト処理を受けても缶体の胴部のラミネート各層の接着接合が強固である、という格別の効果が奏される。

副生ガスの発生によりブリスターが生じる現象を図示する模式断面図である。 本発明における、スチール製のシームレス缶体胴部外面における加飾部の積層構造を図示する模式断面図である。 本発明における、ホログラムパターンが付与された、缶体胴部外面における加飾部の積層構造を図示する模式断面図である。

　以上において、本発明については、本発明の創作に至る経緯及び本発明の課題を解決するための手段、及び本発明の基本的な構成と特徴に沿って記述したが、以下においては、
段落００１６及び００１７に前述した本発明群の発明についての実施の形態を、図面を参照しながら、具体的に詳しく説明する。

　１．本発明の鏡面光沢に優れた加飾缶体について
（１）基本構成
　本発明の加飾缶体の基本構成は、缶胴表面に接着剤層を介して金属箔又は金属蒸着層を設け、更に印刷フィルムを積層した加飾缶体において、接着剤層に加熱硬化する際にガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤を使用したことを特徴とする、鏡面光沢に優れた加飾缶体である。
　鏡面光沢は、鏡面の反射光の様な、美麗な光輝性金属調の加飾意匠をいい、光沢を有さない艶消し加飾と対照をなす。
　なお、鏡面光沢は厳密には、「ＪＩＳ Ｚ ８７４１（鏡面光沢度測定方法）」に定める測定方法があるが（特開平８－３７８１号公報の段落０００８を参照）、本発明においては視覚感覚意匠模様なので視覚において評価する。
　缶体としては、シームレス缶は成形加工が厳しいため、本来には光輝な鏡面光沢を呈さないので、シームレス缶体、とりわけそのスチール缶、の加飾において本発明の目的及び作用効果が最も顕現される。特に樹脂被覆シームレス缶体の場合には成形による金属表面の凹凸が大きいため、その作用効果は著しい。そして金属箔又は金属蒸着層としてはアルミニウム（本願明細書では「アルミ」と略記している場合がある。）が、その固有の明るい光輝な金属色と鏡面光沢性からして最も好ましい。
　また、他の缶体として溶接缶にも適用できる。溶接缶は、ＬＴＳ（ローテインスチール、低すずめっき鋼板）、ＴＮＳ（すずニッケルめっき鋼板）、ぶりきなどの金属板シートを外面印刷し、内面塗装したのちにブランクに切断して円筒形にした後、サイドシームを溶接して作成されるが、金属板シートの外面に金属蒸着した樹脂フィルムを接着剤を介して積層することにより本発明の作用効果が得られる。この仕様にすることにより、金属板の粗度を極く小さくすることなしに鏡面光沢缶体を得ることができるため、製造歩留まりがよい。

（２）本発明の加飾缶体の具体例
　本発明の加飾缶体の代表的な具体例としては、樹脂被覆シームレススチール缶の缶胴表面に装着された白色ポリエステル樹脂フィルムに、内部ブロックイソシアネート硬化剤によるポリエステル系樹脂接着剤層を介して、アルミ金属箔又はアルミ金属蒸着層を設け、必要により更にポリエステル系樹脂フィルム或いはアンカーコートを施し、更に商品名や装飾模様を印刷した印刷フィルムを必要に応じて透明接着剤層を介して積層し、その上に表面コート（仕上げニス）を施した、鏡面光沢と装飾に優れた加飾缶体である。
　本発明の加飾缶体の代表例としての、樹脂被覆シームレススチール缶体胴部表面における加飾部の積層構造が、模式図として図２に例示され、上記の具体例の層構成が図示されている。

　２．加飾部の積層構造の各層について
（１）缶胴外面フィルム
　缶胴外面フィルムは、樹脂被覆シームレス缶体において設けられるものであり、容器製造中における廃棄溶剤の低減や使用水量低減の効果がある。一般に、スチール缶においては酸化チタンなどの白色顔料入りポリエステル樹脂フィルムが使用され、アルミ缶においては透明ポリエステル樹脂フィルムが使用される。予め樹脂被覆されていない金属板から成形されるシームレス缶体の場合や、溶接缶の場合には、缶胴外面フィルムは必要ない。

（２）接着剤
　缶体の胴部表面に、好ましくは缶胴外面フィルムを介して、胴部表面に金属箔又は金属蒸着層（好ましくは、樹脂フィルム面或いは印刷フィルム面に予め層形成されている。ま
た、以下においては「金属箔又は金属蒸着層を含めた総称」として「金属層」と呼称する場合がある。）を接合するための接着剤である。金属層を設けたフィルムの樹脂フィルム面を缶胴金属或いは缶胴外面フィルムに接合する接着剤の態様などもある。
　具体的には、缶胴外面フィルム及び金属層と加熱加圧により接合し易く、接合性が良好な熱硬化型の接着剤が挙げられ、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエステルポリウレタン系、エポキシ系などの熱硬化性接着剤が好ましく使用される。また、ポリエステル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）やエチレンメタクリレート共重合体（ＥＭＭＡ）などの熱可塑性樹脂を使用することも可能である。熱可塑性樹脂の場合、融点がレトルト処理温度以上であることが好ましい。耐レトルト性の観点からは、熱硬化性接着剤がより好ましい。

　本発明において主として使用されるポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエステルポリウレタン系などの熱硬化性接着剤においては、各技術分野において、接着剤として汎用されているものである。
　ポリウレタン系接着剤は、ポリイソシアネートとポリオールからなるウレタンプレポリマーを主剤とし、ポリエステル系接着剤は、不飽和結合をもったポリエステル樹脂であって少なくとも一部に不飽和酸を含む酸成分とアルコールを結合させて得られる、熱硬化性ポリエステル樹脂を主剤とし、ポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤は、ポリオールとポリカルボン酸との縮合重合反応により生成したポリエステルポリオールを、更にポリイソシアネートを介してウレタン反応させて生成した樹脂を主剤とし、いずれもイソシアネート硬化剤やメラミン樹脂などの硬化剤により硬化されるものである。

　接着剤に使用される熱硬化成分（硬化剤）としては、内部ブロックタイプイソシアネート硬化剤が使用される。その硬化剤としては、ウレトジオン基を有するイソシアネートあるいはウレトイミン基を有するイソシアネートが例示される。
　接着剤に使用される溶剤は特に限定されるものではないが、通常に塗料又は接着剤に用いられている酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
　接着剤層は、一般に１～６μｍの厚みとすることが好ましく、更には２～５μｍにすることがより好ましい。また、予め缶胴面上に設けても、或いは予め缶胴外面フィルム上に設けてもよい。

　本発明においては、上記のとおり、金属材料とプラスチック材料との接着性が非常に良好で、各種の接着物性も優れている、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤やポリエステルポリウレタン系接着剤或いはエポキシ樹脂系接着剤などの熱硬化性樹脂接着剤が好適に使用されるが、段落０００８に前記したとおり、このような接着剤においては、従前では、接着剤の硬化反応の際の副生成物（低分子化合物）のガス化によるガスの発生が不可避であり、例えば、ポリウレタン系樹脂において、加熱時の硬化反応の際に、硬化剤のイソシアネート基をブロックしていたブロック剤が解離しこれが昇華してガス体になる。このガス体は缶体胴部と金属層の間にあるので、ガスの逃げ場がなく、そのために装飾表面にガス圧によるブリスターが多数生じて、鏡面光沢が発現せず美麗で光輝な鏡面光沢装飾は得られない。
　なお、ブロック剤は、周知のとおり、オキシム、ラクタム、エステル、ケトン、アミドなどの低分子化合物である。

　したがって、本発明においては、このような熱硬化性樹脂接着剤において、硬化反応の際に副生ガスの発生しない接着剤の使用が必須の要件となり、具体的には、硬化剤のイソシアネート基を内部ブロックした、内部ブロックイソシアネート硬化剤を使用する。内部ブロックイソシアネートとして、ウレトジオン基を有するイソシアネートを使用した場合
の反応、及びウレトイミン基を有するイソシアネートを使用した場合の反応を、それぞれ次式に示す。

  それにより、金属箔や金属蒸着層と模様を印刷した透明なフィルムを組み合わせ缶体の胴部に積層する際に、装飾表面にブリスターが生じて外観不良となることが完全に阻止され、鏡面光沢が発現して美麗で光輝な鏡面光沢装飾を実現することができる。
　内部ブロックイソシアネート硬化剤の配合量は、主剤樹脂１００重量部に対して０．１重量部～２０重量部が好ましい。上限を超えた場合、余分のイソシアネートが残り密着性低下がおこりやすく、下限を下回った場合、硬化剤不足により密着性低下がおこりやすいためである。
　なお、その他のアルキッド樹脂やフェノール樹脂などの硬化性接着剤でも、硬化反応の際に、アルコールやホルムアルデヒドなどの低分子ガスを副生する。また、熱可塑性樹脂接着剤も副生ガスを生じないため、使用することができる。但し、熱可塑性樹脂は、金属やプラスチックとの接着力が概して熱硬化性樹脂よりも低いので、熱硬化性樹脂接着剤のほうがより好ましい。また、レトルト処理を要する内容物用缶体の場合には、熱可塑性樹脂の融点がレトルト処理温度以上の融点であることが必要となる。

　なお、本発明の側面的な特徴のひとつとして、接着剤層が無機顔料（特に、酸化チタン）を含むことにより、鏡面光沢性が更に向上される。
　接着剤層が無機顔料を含むことによる鏡面光沢性向上の機構は、充分に解明できているとはいえないが、次のように考えられる。
　金属蒸着層は樹脂フィルム（二軸延伸フィルム）に蒸着されており、樹脂フィルムには、オーブンでの接着剤層の焼付け時に１７０～２１０℃の熱がかかり、樹脂フィルムの熱収縮が発生し、それに伴い金属蒸着層にクラックが発生して、鏡面光沢が低下する現象が
生じることがあるが、このとき缶体との間の接着剤に無機顔料が入っていると、樹脂フィルムの熱収縮が抑えられるため、金属蒸着層にクラックが入りにくいものと推察される。
　接着剤層中への無機顔料の配合量は、主剤樹脂１００重量部に対して１重量部～１００重量部が好ましい。上限を超えた場合、顔料が多すぎて密着性不足がおこりやすく、下限を下回った場合、顔料が少なすぎてクラック防止効果が不十分の場合がある。

（３）金属箔又は金属蒸着層
　本発明においては、金属箔としては、アルミ箔の他に、展延性のある銅、銀、亜鉛、ニッケルなどの単体又は合金を薄膜化したものが挙げられる。
　金属箔の厚みは、３～２０μｍ程度が使用され、好ましくは５～１０μｍの厚さのもので、缶胴外面フィルム又は印刷フィルム上に透明接着層を介してラミネートされている。なお、厚さが３μｍ未満の金属箔は、取り扱いが困難であり、２０μｍを超えると、コストアップにつながり好ましくない。

　金属蒸着層では、金属を蒸着するための基材となる樹脂フィルムとしては、透明であることが好ましい。金属蒸着層を樹脂フィルムの缶体側に設けることにより、印刷フィルムと金属蒸着層の間に透明な樹脂フィルムが挟まれた構成になり、金属蒸着層で反射した光線と印刷画面が立体的な加飾効果を奏することになるため、好ましい。また、金属蒸着層を樹脂フィルムの外面側に設けることも可能である。更に、印刷フィルムの印刷面側にアンカーコート層を介して金属蒸着層を設けることや、印刷フィルムの印刷面と反対側に金属蒸着層を設け、金属蒸着膜を缶体側に配置することも可能である。

　金属蒸着層を設ける樹脂フィルムとしては、５～３０μｍの厚さが好ましく、更には１０～２０μｍ程度がより好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど、比較的透明性が高くて耐熱性に優れた熱可塑性樹脂フィルムが使用される。樹脂フィルムとしては、無延伸フィルムや一軸延伸フィルムも使用されるが、二軸延伸フィルムを使用することがより好ましい。また、印刷フィルムと同じ熱特性及び機械特性をもつ樹脂フィルムが好ましく、両フィルムの膜厚も同程度にすることが好ましい。
　基材である樹脂フィルムの片面に蒸着層が積層され、蒸着層に用いる金属としては、アルミニウム、銅、クロム、銀などが挙げられるが、中でもシルバー調の金属色を有しかつ鏡面光沢が優れるという加飾効果かつコストと汎用性の点からアルミニウムが最も好ましく用いられる。
　例示として、アルミ蒸着は、アルミニウムを真空蒸着法などの常法により蒸着して得られる層であり、アルミニウムによりシルバー調の金属色とともに鏡面光沢を得ることができる。蒸着層の厚さは、２００～８００Åの厚みの範囲内で蒸着することが好ましく、更には３００～６００Åであることがより好ましい。２００Å未満では充分な鏡面光沢を得ることができず隠蔽力も劣り、８００Åを超えると、充分な鏡面光沢を得ることはできるものの、蒸着処理に時間がかかるため生産性が低下する惧れがある。

　缶体の胴部の金属材料の種類にかかわらず、金属層の種類を変えることで、アルミニウムを用いるとシルバー色、銅を用いるとブロンズ色、真鍮を用いるとゴールド色、クロムニッケルを用いるとダークシルバー色などの色調の異なる金属色とともに鏡面光沢を加飾することができる。
　このような金属層を積層することによって、金属による反射で光輝性が高く鮮やかなメタリック感を呈すると共に、印刷層よりも缶体側の金属層による鏡面光沢の反射光の影響を受けることで、印刷層の色及び模様と金属層の鏡面光沢が組み合わされた、光輝性の高い鏡面光沢色を利用した装飾模様による加飾効果を得ることができる。すなわち、透明な樹脂フィルムを透過した光が、印刷層が形成されていない部分（及び印刷層が光を透過する場合は印刷層）を通して浸入し、透明接着層を透過し、金属層で反射して再度透明な樹
脂フィルムを透過し表出する際に、金属層のメタリック反射光と印刷層の印刷模様とが重なって見え、深みのある立体感と鏡面光沢を背景色とした浮き出し模様感が醸し出され、印刷層に表示した模様や文字などを見る人に対して強い印象を与えることができる。

　なお、金属蒸着層（アルミ）或いは金属箔（アルミ箔）をレトルト処理において１００℃以上の水蒸気雰囲気に曝した場合、金属アルミが高温高湿化で水酸化物や酸化物に変化するため、金属アルミとして持っていた鏡面光沢性が低下することがある。
　本発明の側面的な特徴のひとつであるが、この対策として、金属アルミ面への水蒸気や酸素の透過量を低減するために、缶体最表面に表面コート層（仕上げニス）を設けることが有効である。また、印刷フィルムと金属蒸着フィルムを別に作成してラミネートすることによりポリエステル樹脂層を厚くでき、鏡面光沢性と耐レトルト性を共に向上させることもできるのである。

（４）印刷フィルム
　本発明の缶体を被覆する印刷フィルム（加飾フィルム）の基材となる樹脂フィルムとしては、５～３０μｍの厚さ、好ましくは１０～２０μｍ程度である、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど、比較的透明性が高くて耐熱性に優れた熱可塑性樹脂フィルムが使用される。
　印刷層に用いられる樹脂フィルムは、より缶体側に設けた金属層からの鏡面反射光を活かすため透明な樹脂フィルムであることが好ましく、また、透明性を保った着色にすることで特殊な加飾効果を得ることもできる。また、印刷フィルムの印刷面は、樹脂フィルムの缶体側に設けても缶体と反対側に設けてもよいが、耐レトルト性がより優れるように樹脂フィルムの缶体側に設けることが好ましい。
　樹脂フィルムとしては、無延伸フィルムや一軸延伸フィルムも使用することができるが、強度に優れているため二軸延伸フィルムが好ましい。
　なお、印刷フィルムと金属層を接合する接着剤は特に限定されず、通常の透明な接着剤が適宜に使用される。

　ポリエステルフィルムとしては、エチレンテレフタレートやエチレンブチレート及びエチレンイソフタレートを主たる構成成分としたものが好ましく用いられる。
　他の成分を共重合することもでき、例えば、共重合するジカルボン酸成分としては、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、及び、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、更に、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
　共重合するグリコール成分としては、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール、及びシクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、更にジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリオキシエチレングリコールなどが挙げられる。　
　上記のジカルボン酸成分及びグリコール成分については、２種以上を併用することもできる。

　熱可塑性樹脂フィルムとしてナイロンフィルムを使用する場合には、ナイロン６６、ナイロン６１０、ナイロン６１２などのジアミンとジカルボン酸との縮重合物、及びナイロン６、ナイロン１１、ナイロン１２のようなラクタムの開環重合物も用いることができる。
　このような樹脂フィルムの製造は、常法によって行うことができ、Ｔ－ダイ法やインフレーション製膜法でフィルムに成形して、所望により一軸延伸、二軸延伸などの延伸処理を行って製造することができる。

　なお、樹脂フィルムへのコロナ処理やプラズマ処理や火炎処理などの公知の接着性向上表面処理、及びポリウレタン樹脂や変性ポリエステル樹脂系などの接着性向上のためアンカーコート層を設けることも可能である。また、樹脂フィルムには、フィルム用配合剤、例えば非晶質シリカなどのアンチブロッキング剤、各種帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを公知の処方に従って配合することができる。

　（５）印刷層
　樹脂フィルムの片面に、印刷ローラーを用いて或いはグラビア法などの適宜な印刷手段を使って、単色或いは複数色（例えば、２～１０色）の印刷インキにより、複数色の場合は順次繰り返して、商品名や装飾模様の印刷を行うことにより印刷層を形成する。
　印刷インキは、熱硬化性のウレタン系樹脂からなるインキを使用することが好ましく、その印刷方法としては、上記のグラビア印刷のほか、フレキソ印刷やオフセット印刷などの各種の印刷方法を適宜選択することが可能である。色数を豊富に使って色調豊かで美麗な文字や模様を印刷するには、グラビア印刷により印刷層を形成することが好ましい。

（６）表面コート層（仕上げニス）
　印刷フィルムを被覆した後、フィルム表面に潤滑性をもたらすため、或いは、加飾層の保護のために、潤滑剤を含有させた透明熱硬化性樹脂を表面コート（仕上げニス）層として塗布することが好ましい。
　透明熱硬化性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などを基本とし、これにメラミン樹脂などのアミノ樹脂或いはフェノール樹脂などを硬化剤として加え、更に、パラフィン、ポリエチレン、シリコンなどの潤滑剤を０．１～３重量％配合させたものが使用される。
　表面コート層の厚みとしては、０．１～１０μｍ程度、好ましくは０．５～５μｍ程度にされる。

　なお、表面コート層を形成した缶体は焼付けされる。焼付けとは、接着剤を硬化させ缶体と完全に接着させるため、並びに、表面コート層を、その層中に含まれる溶剤を除去し、乾燥と硬化をさせるために行う処理であり、一般に１７０～２３０℃で、およそ０．５～２分間加熱する。

（７）ホログラムパターン
　本発明においては、印刷フィルムと金属蒸着層の間に、ホログラムパターンを設けることもできる。
　ホログラムパターンは、光の干渉による縞模様を立体的（微細凹凸）に顕現する加飾模様として知られており、本発明の鏡面光沢に優れた加飾缶体における、金属光沢と印刷摸様による美麗で光輝な意匠を有する鏡面光沢ラベルに、更に雅趣深い立体装飾効果を相乗的に加飾することができる。
　ホログラムパターンを設けた、缶体胴部外面における加飾部の積層構造は、図３に模式断面図として例示されている。

　上記のホログラム付き鏡面光沢ラベルの製造方法としては、以下の方法が例示される。（ｉ）印刷フィルムの印刷面にポリエステル系あるいはウレタン系などの２液硬化型樹脂材料（接着剤）を塗布ロールで塗布し、（ｉｉ）次いで、ホログラムパターンの付与されたフィルム（延伸ポリプロピレンフィルム（ＯＰＰフィルム）など）の母型のホログラムパターン面を２液硬化型樹脂材料面に接触させ、押圧させて重ね合わせ、必要により加熱し、（ｉｉｉ）重ね合わせ後に硬化した２液硬化型樹脂材料と母型フィルムを剥離し、これによって、印刷フィルムのインキ面側接着剤層の表面にホログラムパターンを形成することができる。更に、（ｉｖ）ホログラムパターン面に金属（アルミなど）蒸着をし、ホ
ログラムパターンの凹凸に沿った蒸着層を形成すれば、ホログラムパターンと金属蒸着層の形成を一度に行うこともでき、その際には、（ｖ）次いで、アルミ蒸着層面に本願接着剤を塗工して、鏡面光沢ラベルを作製することになる。

　なお、上記の母型フィルムを製造するには、先に、樹脂フィルム製母型の形成に用いる原型を公知の方法で形成する、即ち例えば、フォトレジストを塗布した乾板にレーザー干渉膜を露光して、その干渉縞の濃度に応じた凹凸のレジストパターンを形成し、次に、パターン面に金属を蒸着して薄膜を形成して導電性を持たせ、その上にニッケルをメッキし、最後に、このメッキ層を剥離することにより、ニッケル上に微細な凹凸状のホログラムパターンが精密に転写された原型が形成される。
　この原型を、ＯＰＰフィルムなどの母型材料の表面に対して、加熱下で押圧（熱圧成形）すると、原型に形成された微細な凹凸状のホログラムパターンが、樹脂フィルム製母型材料の表面にホログラムパターンとして転写され、ホログラム転写用のフィルム製母型が製造される。

（８）缶体材料
　缶体としては、シームレス缶が本来には光輝な鏡面光沢を呈さないので、シームレス缶の加飾において本発明の作用効果が最も顕現される。また、シームレス缶のうちでも、とりわけスチール缶が光輝な金属色を呈さないので本発明の作用効果が顕現しやすい。
　缶体の材料としては、各種表面処理鋼板やアルミニウムなどの軽金属板、或いはこれらの鋼板や金属板の表面に樹脂フィルムを積層した樹脂被覆金属板を使用することができる。
　表面処理鋼板としては、ＴＦＳ（ティンフリースチール）などのクロム酸処理鋼板、アルミメッキ鋼板、亜鉛メッキ鋼板、錫メッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板などを用いることができる。必要に応じてリン酸塩処理やクロメート処理などの表面処理を行ったものを用いることができる。
　軽金属板としては、アルミニウム板やアルミニウム合金板を用いることができ、更に、ジルコニウムやチタンの酸化物を主成分とする化成皮膜或いはポリアクリル酸－ジルコニウム塩の複合皮膜などにより表面処理されていてもよい。
　樹脂被覆金属板は、アルミニウム合金系基板やスチール系基板の表面に、樹脂フィルムを積層することにより得られる。積層する面は、缶体の内面側、外面側、或いは両面でもよい。積層する樹脂としては、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど、比較的透明性が高くて加工性及び耐熱性に優れた熱可塑性フィルムが使用される。積層方法としては、Ｔダイからの直接コート、Ｔダイから一旦無延伸フィルムにしてから熱ラミネートする方法、二軸延伸フィルムを熱ラミネートする方法などの一般的な方法で作成される。

　３．本発明の鏡面光沢に優れた加飾缶体の製造方法について
（１）基本的方法
　本発明の鏡面光沢に優れた加飾缶体の製法は、基本的には、缶胴表面に熱硬化性樹脂接着剤層を介して金属箔又は金属蒸着層を設け、更に印刷フィルムを積層して加飾缶体を製造する方法において、接着剤層に加熱硬化する際にガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤を使用することにより、加飾表面にブリスター（微細突起）を生じさせずに缶胴表面を鏡面仕上げすることによって、鏡面光沢に優れた加飾缶体を製造する方法である。
　そして、ガスを発生しない接着剤が、内部ブロックイソシアネート硬化剤を使用する、ポリウレタン樹脂系接着剤、ポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤又はポリエステル樹脂系接着剤或いはエポキシ樹脂系接着剤が好適である。

（２）鏡面光沢ラベルの製造
　ここでは、シームレス缶胴に設ける、印刷樹脂フィルム及び金属層を含んだ接着用フィ
ルムを鏡面光沢ラベルと呼称する。
　印刷層を樹脂フィルムの片面側に施す方法、金属箔を印刷フィルムに積層する方法、金属蒸着層を印刷フィルムに積層する方法、及び金属蒸着層を樹脂フィルムに積層したのち更に印刷フィルムと積層する方法が代表的なので、それらについて説明する。

　先ず、予めコイル巻きした状態の製品として別途に用意された長尺の樹脂フィルムを基材として、この長尺樹脂フィルムを巻き戻し走行させながら、該フィルムの片面にグラビア印刷などの印刷法にて印刷層を形成する（印刷フィルム）。
　次に、印刷フィルムの印刷層表面に接着剤を塗布し、更にその上に金属箔をラミネートする。或いは、印刷フィルムの印刷層表面にアンカーコートを塗布した上に、真空蒸着法などの常法により金属を蒸着する。
　更に、上記の接着剤を塗布した印刷フィルムとは別に、樹脂フィルムに真空蒸着法などの常法により金属を蒸着した蒸着フィルムを作製し、印刷フィルムの接着剤側と蒸着フィルムの樹脂側をラミネートして、ラミネートフィルムを作製する。またこのとき、印刷フィルムの接着剤側と蒸着フィルムの蒸着層側をラミネートして、ラミネートフィルムを作成してもよい。
　上記で作製した、金属層を設けた樹脂フィルムの缶体側に、コーターを用いて接着剤を設けて、鏡面光沢ラベルを作成する。

　上記のように製造された長尺鏡面光沢ラベルは、長尺フィルムの幅方向に亘って一条（１個の缶体分のサイズ）で形成されているものであってもよく、複数条（複数個の缶体分のサイズ）となるように施されているものでもよい。

（３）鏡面光沢シームレス缶の製造
　上記のようにして得られた長尺の鏡面光沢ラベルを、その横幅が缶胴の周長よりもやや長い寸法に切断して一缶ごとの大きさのラベルを作製する。次いで、シームレス缶の缶胴を加熱し、シームレス缶胴に上記ラベルを巻き回して缶胴外周面に被覆する。このとき、ラベルの両端双方を重ね合わせてオーバーラップ部となるように積層して、ロールで押圧する。

　その際の鏡面光沢ラベルを缶胴に被覆する条件として、速度は１０～３００ｍ／分、缶胴温度は１４０℃～２００℃、加圧ロールによる圧力は線圧として２５０～７５０Ｎ／ｃｍ、好ましい条件として、速度については、生産性を上げることから、１５０ｍ／分以上とするのが効果的であり、また、貼り合わせ時の缶胴温度については、接着剤の熱硬化温度や溶融粘度にもよるが、印刷層を保護する観点から１５０～１９０℃とするのが好ましく、また、圧力については、接着性に対してはより高い方が有効であるが、寸法の安定性を考慮すると、５００Ｎ／ｃｍ前後が好適である。

　上記のように鏡面光沢ラベルを被覆されたシームレス缶体は、表面に表面コート層を塗布されたのち、焼付けオーブンで表面コート層と接着剤の焼付け硬化をされる。その後、缶胴開口部近傍はネックイン加工機によりネックイン加工、及びフランジング装置によりフランジ加工を施され、鏡面光沢シームレス缶が完成する。また、表面の表面コート層は、シームレス缶胴に被覆してから塗布するのではなく、印刷フィルムやラミネートフィルムの外面側に表面コート層を塗布して焼付けたのちに缶胴側に接着剤を塗布した鏡面光沢ラベルを作製して、その後に上記方法でシームレス缶胴に被覆してもよい。

　４．本発明の鏡面光沢に優れた加飾缶体の用途について
　本発明の加飾缶体の用途は、飲食品の収納容器に最も適しているが、医薬品や化粧品やエアゾール製品その他の用途にも使用し得る。レトルト処理される飲食品の収納にも好適に使用される。
　天然鉱水やサイダーなどの清涼飲料又はコーヒーや紅茶などの嗜好飲料或いは発泡酒やビールなどのアルコール性飲料などの用途が代表的である。

　以下においては、各実施例によって、各比較例を対照して図面を参照しながら、本発明を実例としてより具体的に示して、本発明の構成の各要件の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を実証する。

［図面による実施例］
　本願の第一の基本発明（段落００１６に［１］として記載）において、本発明の加飾缶体の代表例としての、シームレス缶体胴部表面における加飾部の積層構造が、模式図として図２に例示されている。
　図２における、具体例の層構成は、シームレス缶の缶胴外面の白色ポリエステル樹脂フィルムに、内部ブロックイソシアネート硬化剤によるポリエステル系樹脂接着剤層を介して、アルミ金属蒸着層を設けた透明樹脂フィルムと商品名や装飾模様を印刷した印刷フィルムとを積層した鏡面光沢ラベルを積層したのちに、表面コート層（仕上げニス層）を設けた加飾缶体の積層構造である。
　図３における具体例の層構成は、印刷フィルムと金属蒸着層の間に、ホログラムパターンを設け、金属光沢と印刷摸様による美麗で光輝な意匠を有する鏡面光沢ラベルに、更に雅趣深い立体装飾効果を相乗的に加飾する、加飾缶体の積層構造である。

［シームレス缶の作製］
　素板厚０．２４ｍｍ、調質度Ｔ３－ＣＡのティンフリースチール板（表面処理被覆量として金属クロム量１２０ｍｇ／ｍ^２、クロム酸化物量１５ｍｇ／ｍ^２とした）の缶内面になる側に厚さ２０μｍの２軸延伸ポリエチレンテレフタレート／イソフタレート共重合体フィルムを、一方、缶外面になる側に酸化チタンを２０重量％含有する厚さ１５μｍの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート／イソフタレート共重合体フィルムをフィルムの融点で両面同時に熱接着し、直ちに水冷することにより樹脂被覆金属板を得た。
　この樹脂被覆金属板にグラマーワックスを均一に塗布した後、直径１４３ｍｍの円板に打ち抜き、絞り加工後ストレッチドロー加工することにより直径５２ｍｍで高さ１１２ｍｍの薄肉化深絞リカップを得た。
　この後、常法に従ってドーミング成形を行った後、上記の薄肉化深絞りカップを２１５℃で１分間熱処理し、フィルムの加工歪みを取り除くと共に、潤滑剤を揮発させた。次いで、開口端部の縁切りを行い、高さ１０６ｍｍのシームレスカップを得た。

［鏡面光沢ラベルの作製］
　厚みが１２μｍの透明二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム（ＰＥＴフィルム）の片面に常法に従ってコロナ処理を施し、コロナ処理側にグラビア印刷で厚さ２μｍの印刷インキ層を設け印刷フィルムを作成した。
　また、印刷フィルムに使用した二軸延伸フィルムと同一素材の厚さ１２μｍのフィルムの片面側に真空蒸着法で金属アルミニウムを５００Åの厚みに蒸着して、蒸着フィルムを作製した。
　印刷フィルムの印刷インキ面側にポリエステルポリウレタン樹脂からなる透明接着剤をグラビアコーターにて４μｍの厚さに塗布したのち、蒸着フィルムの樹脂面側とラミネートし、６０℃３日間の熱処理をしてラミネートフィルムを作成した。
　作製したラミネートフィルムの蒸着層側に、表１に示す仕様のポリエステル樹脂系接着剤をグラビアコーターにて厚さ５μｍに設けて鏡面光沢ラベルを作製した。
　表１には、接着剤の主剤樹脂の種類、硬化剤の種類と混合量、接着剤中の無機顔料の種類と含有量を示した。硬化剤混合量及び無機顔料含有量は、主剤であるポリエステル樹脂１００部に対しての重量部で表した。尚、表１中では、「内部ブロックイソシアネート硬
化剤」を、「内部ＢＩ」と表記した。

［鏡面光沢シームレス缶の作製］
　上記で作成した鏡面光沢ラベルを、幅は缶胴高さで長さは缶胴周に加えて５ｍｍのオーバーラップ部を有する長さのサイズに切断し、１６０℃に加温した上記シームレスカップの外面に加圧しながら巻いてオーバーラップ部を接着させたのち、更に外面にポリエステルアミノ系の仕上げニスを厚さ３μｍに塗布し、２００℃、１分の焼付けをオーブンで行った。作製したカップの開口部側をネッキング加工したのちフランジ加工して、鏡面光沢シームレス缶を作製した。焼付処理から２４時間以上室温で保管したのち、下記評価を行った。

［評価方法］
（ｉ）鏡面光沢性評価（レトルト前）
　作製した鏡面光沢シームレス缶について、缶外面からの目視により鏡面光沢性の視覚評価を行い、４段階で評価した。評価基準は、非常に良好（◎）、良好（○）、ほぼ良好（△）、不良（×）である。◎、○、△が、許容範囲である。
（ｉｉ）鏡面光沢性評価（レトルト後）
　作製した鏡面光沢シームレス缶を１３０℃・３０分の蒸気レトルト処理を行った後、缶外面からの目視により鏡面光沢性の視覚評価を行い、４段階で評価した。評価基準は、非常に良好（◎）、良好（○）、ほぼ良好（△）、不良（×）である。◎、○、△が、許容範囲である。
（ｉｉｉ）ラベル密着性（レトルト後）
　作製した鏡面光沢シームレス缶における鏡面光沢ラベルの缶胴との密着性を評価するため、鏡面光沢シームレス缶を１３０℃・３０分の蒸気レトルト処理を行い乾燥させた後、１ｍｍ間隔に缶高さ方向と缶円周方向にそれぞれ６本ずつのスクラッチをカッターで付与して２５ピースの碁盤目を作り、セロテープ（ニチバン社商品名）を粘着し１回剥離をしたのち、下記の基準でラベル密着性の評価を行った。評価基準は、剥離無し（◎）、剥離１０％未満（○）、剥離１０％以上～５０％未満（△）剥離５０％以上（×）である。◎、○、△が、許容範囲である。
（ｉｖ）総合評価
　（ｉ）～（ｉｉｉ）のうち最も悪い評価を、各実施例と比較例における個々の総合評価とした。

［実施例１］
　接着剤として、主剤であるポリエステル樹脂（バイロン６７０、Ｍｎ＝２０，０００、Ｔｇ＝７℃、東洋紡製）１００重量部に対してウレトジオン基を有する内部ブロックイソシアネート硬化剤を５重量部添加した。同様にして酸化チタン（Ｒ－５８０、石原産業社製）を５０重量部と、シランカップリング剤（ＫＢＭ－４０３、信越化学工業製）を０．５重量部と溶剤を加えて攪拌し接着剤を得て、鏡面光沢シームレス缶を作製した。仕上げニスは３μｍの厚さに設けた。内部ブロックイソシアネート硬化剤は１４０℃で反応開始するものであった。結果を表１に掲示する（以下の各実施例及び比較例において同様である。）

［実施例２］
　内部ブロックイソシアネートを２０重量部添加した以外は、実施例１と同様にして鏡面光沢シームレス缶を作製した。
［実施例３］
　内部ブロックイソシアネートを０．１重量部とした以外は、実施例１と同様にして鏡面光沢シームレス缶を作製した。
［実施例４］
　仕上げニス層を設けないこと以外は、実施例１と同様にして鏡面光沢シームレス缶を作製した。
［実施例５］
　接着剤中の酸化チタンを１００重量部とした以外は、実施例１と同様にして鏡面光沢シームレス缶を作製した。
［実施例６］
　接着剤中の酸化チタンを１重量部とした以外は、実施例１と同様にして鏡面光沢シームレス缶を作製した。
［実施例７］
　接着剤中に酸化チタンを加えなかったこと以外は、実施例１と同様にして鏡面光沢シームレス缶を作製した。
［実施例８］
　蒸着フィルムに替えて、アルミ箔（スーパーホイル　７μｍ　東洋アルミニウム製）を使用した以外は実施例１と同様にして鏡面光沢シームレス缶を作製した。なお、実施例４，８～１０においては、表１の欄外に記載されているように、他の実施例とは部分的に異なる層構成となっている。
［実施例９］
　印刷フィルムの透明接着層と蒸着フィルムの蒸着面側とをラミネートして、蒸着フィルムの樹脂面上に接着剤を塗布して鏡面光沢ラベルを作製した以外は、実施例１と同様にして、鏡面光沢シームレス缶を作製した。
［実施例１０］
　印刷フィルムの樹脂面側（印刷面と反対側）に金属アルミニウムを蒸着し、その蒸着面上に接着剤を塗布して鏡面光沢ラベルを作製した以外は、実施例１と同様にして、鏡面光沢シームレス缶を作製した。

［比較例１］
　接着剤の硬化剤として、内部ブロックイソシアネートに替えて、ブロックＨＤＩ（Ｂ－８８２Ｎ　三井化学ポリウレタン製）を５重量部添加した以外は、実施例１と同様にして鏡面光沢シームレス缶を作製した。オーブンでの焼付け後、接着剤が硬化反応する際のガス発生によると考えられるブリスターが多数発生し外観が悪化した。
　以上における各実施例と比較例の加飾部分の条件と評価結果をまとめて表１に掲載した。

［実施例と比較例の結果の考察］
　以上における各実施例は本願の請求項１における構成の要件を満たしており、特に主として内部ブロック硬化剤を使用しているので、硬化剤の硬化時にガスが発生せず、非常に優れた鏡面光沢が得られている。レトルト処理後も鏡面光沢は低下せず、レトルト耐性も
高く、各層の密着性も良好である。
　なお、実施例４では、仕上げニスが塗布されていないので、レトルト後の鏡面光沢の評価が△（ほぼ良好）となり、実施例７では、無機顔料が接着剤に添加されていないので、レトルト前後の鏡面光沢が△（ほぼ良好）となり、実施例８、９、１０では、金属層（金属箔あるいは蒸着層）の外面側に樹脂フィルム層が１層少ないので、レトルト後の鏡面光沢の評価が○（良好）になっている。
　一方、比較例においては、内部ブロック硬化剤を使用していないので、接着剤の硬化時にガスが発生して、鏡面光沢が得られず、レトルト処理後の各層の密着性も悪化してレトルト耐性も備わっていない。
　よって、本発明における構成の要件の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性が明らかにされている。

産業上の利用分野

　本発明は、金属箔や金属蒸着層と模様を印刷した透明な樹脂フィルムを組み合わせ缶体の胴部に積層して、鏡面光沢が充分に発現して美麗で光輝な鏡面光沢装飾を、シームレス缶などにおいて初めて実現することができ、レトルト処理を受けても缶体の胴部のラミネート各層の接着接合が強固であるので、本発明の加飾缶体の利用分野は、主として、飲食品の収納容器であり、特にレトルト処理される飲食品の収納に適しており、医薬品や化粧品やエアゾール製品などの分野にも好適に使用し得る。
 

Claims (12)

1. 缶胴表面に接着剤層を介して金属箔又は金属蒸着層を設け、更に印刷フィルムを積層した加飾缶体において、接着剤層に加熱硬化する際にガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤を使用したことを特徴とする、鏡面光沢に優れた加飾缶体。
2. ガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤が、内部ブロックイソシアネート硬化剤を使用する熱硬化性樹脂接着剤であることを特徴とする、請求項１に記載された鏡面光沢に優れた加飾缶体。
3. ガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤が、内部ブロックイソシアネート硬化剤を使用するポリウレタン樹脂系接着剤、ポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤又はポリエステル樹脂系接着剤のいずれか一種、或いは二種以上の混合物であることを特徴とする、請求項２に記載された鏡面光沢に優れた加飾缶体。
4. 接着剤が無機顔料を含むことを特徴とする、請求項１～請求項３のいずれかに記載された鏡面光沢に優れた加飾缶体。
5. 印刷フィルムの外面に更に表面コートしたことを特徴とする、請求項１～請求項４のいずれかに記載された鏡面光沢に優れた加飾缶体。
6. 印刷フィルムと金属箔又は金属蒸着層の間に透明接着剤層を介して、樹脂フィルムが設けられたことを特徴とする、請求項１～請求項５のいずれかに記載された鏡面光沢に優れた加飾缶体。
7. 印刷フィルムと金属蒸着層の間に、ホログラムパターンが設けられたことを特徴とする、請求項１～請求項５のいずれかに記載された鏡面光沢に優れた加飾缶体。
8. 飲食品が収納されレトルト処理されたことを特徴とする、請求項１～請求項７のいずれかに記載された鏡面光沢に優れた加飾缶体。
9. 缶体が樹脂被覆シームレス缶であることを特徴とする、請求項１～請求項８のいずれかに記載された鏡面光沢に優れた加飾缶体。
10. 缶胴表面に接着剤層を介して金属箔又は金属蒸着層を設け、更に印刷フィルムを積層して加飾缶体を製造する方法において、接着剤層に加熱硬化する際にガスを発生しない熱硬化性樹脂接着剤を使用することにより、加飾表面にブリスター（微細突起）を生じさせずに缶胴表面を鏡面仕上げすることを特徴とする、鏡面光沢に優れた加飾缶体を製造する方法。
11. ガスを発生しない接着剤が、内部ブロックイソシアネート硬化剤を使用
    する、ポリウレタン樹脂系接着剤、ポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤又はポリエステル樹脂系接着剤のいずれか一種、或いは二種以上の混合物であることを特徴とする、請求項１０に記載された鏡面光沢に優れた加飾缶体を製造する方法。
12. 印刷フィルムと金属蒸着層の間に、ホログラムパターンが設けられたことを特徴とする、請求項１０又は請求項１１に記載された鏡面光沢に優れた加飾缶体を製造する方法。
     
     
     

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