WO2006126453A1 - ニットシミュレーション装置とシミュレーション方法及びそのプログラム - Google Patents

Abstract

　キャリアの位置が手前か奧かとループの接続関係等から、糸の巻き込みの有無を検出し、モニタに表示する。モニタでは、例えば糸に触れた際に巻き込みの有無により変形の度合いを変え、あるいは巻き込みの有無により色を変えて表示する。糸の巻き込みの有無を検出してユーザに表示できる。 　

Description

明 細 書

ニットシミュレーション装置とシミュレーション方法及びそのプログラム 技術分野

[0001] この発明はニットシミュレーションに関し、特に糸の巻き込みの有無をシミュレーショ ンして表示することに関する。

背景技術

[0002] 出願人は、編地の編成データを編地の画像に変換して、カラーモニタやカラープリ ンタに表示することを提案した (特許文献 1)。ところで複数の糸を用いる編地では、 一方の糸が他方の糸を巻き込む場合 (図 9)と巻き込まない場合 (図 10)とがある。糸 が巻き込まれている場合、編地の 2つの部分は連結されている。これに対して糸が卷 き込まれていない場合、 2つの部分の連結は弱ぐ例えば図 10では中央の部分は左 右の部分から独立しており、持ち上げたり左右に移動させたりすることができる。しか しながら、出願人の知る範囲で、従来のニットデザイン装置は、糸の巻き込みをシミュ レーシヨンするようにはなって 、な 、。

特許文献 1：特許 2631946号

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] この発明の課題は、糸の巻き込みの有無をシミュレーションで確認できるようにする ことにある（請求項 1〜11)。

この発明での追加の課題は、糸の巻き込みの有無を判別するための具体的な手法 を提供することにある。

この発明での追加の課題は、糸の巻き込みの有無を判別するための最適な手法を 提供することにある。

この発明での追加の課題は、ユーザが糸の巻き込みの有無を視覚的に容易に区 另 Uでさるよう〖こすること〖こある。

課題を解決するための手段

[0004] この発明のニットシミュレーション装置は、少なくとも一対の針床と、針床の針に糸を 供給しかつ針床の上部を針床に平行に移動するキャリアとを備えた横編機用の編成 データに対して、該編成データでの編成結果をシミュレーションするための装置にお いて、

複数のキャリア力 別々に糸を供給して別々の編目を形成する編地のエリアにおい て、前記複数のキャリア中の第 1のキャリア力もの第 1の糸により、一方の針床の針で 新たな編目を形成する際に、前記複数のキャリア中の他のキャリア力 の他の糸を卷 き込むか否かを判別するために、

前記第 1のキャリアと前記他のキャリアとの、前記一方の針床力 見た手前 Z奧の 関係を求めるための、識別手段と、

求めた手前 Z奧の関係及び前記編地エリアにおける編成順序に基づき、前記他の 糸を巻き込む力否かを判別するための、判別手段、とを設けたことを特徴とする。

[0005] この発明のニットシミュレーション方法は、少なくとも一対の針床と、針床の針に糸を 供給しかつ針床の上部を針床に平行に移動するキャリアとを備えた横編機用の編成 データに対して、該編成データでの編成結果をシミュレーションするための方法にお いて、

複数のキャリア力 別々に糸を供給して別々の編目を形成する編地のエリアにおい て、前記複数のキャリア中の第 1のキャリア力もの第 1の糸により、一方の針床の針で 新たな編目を形成する際に、前記複数のキャリア中の他のキャリア力 の他の糸を卷 き込むか否かを判別するために、

前記第 1のキャリアと前記他のキャリアとの、前記一方の針床力 見た手前 Z奧の 関係を求める識別ステップと、

求めた手前 Z奧の関係及び前記編地エリアにおける編成順序に基づき、前記他の 糸を巻き込む力否かを判別する判別ステップ、とを設けたことを特徴とする。

[0006] この発明のニットシミュレーションプログラムは、少なくとも一対の針床と、針床の針 に糸を供給しかつ針床の上部を針床に平行に移動するキャリアとを備えた横編機用 の編成データに対して、該編成データでの編成結果をシミュレーションするためのプ ログラムにおいて、

複数のキャリア力 別々に糸を供給して別々の編目を形成する編地のエリアにおい て、前記複数のキャリア中の第 1のキャリア力もの第 1の糸により、一方の針床の針で 新たな編目を形成する際に、前記複数のキャリア中の他のキャリア力 の他の糸を卷 き込むか否かを判別するために、

前記第 1のキャリアと前記他のキャリアとの、前記一方の針床力 見た手前 Z奧の 関係を求めるための、識別命令と、

求めた手前 Z奧の関係及び前記編地エリアにおける編成順序に基づき、前記他の 糸を巻き込む力否かを判別するための、判別命令、とを設けたことを特徴とする。

[0007] 好ましくは、前記判別では、前記新たな編目の 1つ前の、前記第 1の糸で形成され た編目の位置で、前記 1つ前の編目が形成された後に前記他の糸はミスされており、 前記一方の針床から見て、前記ミスされた糸が前記 1つ前の編目よりも奧にあり、か つ前記一方の針床力も見て、キャリアの位置関係で第 1のキャリアが他のキャリアより も奧に有る際に、前記他の糸を巻き込むものと判別する。

[0008] より好ましくは、前記判別では、前記新たな編目が、前記第 1のキャリアからの第 1の 糸に関する、新たな編成コースの最初の編目である際に、糸の巻き込みの有無を判 別する。

[0009] 特に好ましくは、前記シミュレーションで得られた編地の画像を表示するためのカラ 一モニタを設けて、糸の巻き込みの有無をユーザが識別し得るように、該カラーモ- タ上にマークして、もしくは前記 1つ前の編目の位置のミスの糸と独立して移動自在 に、表示する。

[0010] この明細書において、ニットシミュレーション装置に関する記載は、特に断らない限 り、ニットシミュレーション方法やニットシミュレーションプログラムにも当てはまる。同様 にニットシミュレーション方法に関する記載は、特に断らない限り、ニットシミュレーショ ン装置やニットシミュレーションプログラムにも当てはまる。

発明の効果

[0011] この発明では、新たな編目を形成するために用いるキャリアと、同じエリアで給糸す る他のキャリアとの、少なくとも手前か奧かの関係を用いて、糸の巻き込みの有無を 判別する。キャリアが手前か奧かは糸の巻き込みの有無を判別するための基本的な 条件で、これ以外に編成の種類により他の条件が加わる。巻き込みが無い場合、複 数のキャリア力もの糸は互いに独立しており、編地はその部分で連結されて ヽな 、。 これに対して巻き込みがあると、複数のキャリアからの糸は互いに結合されて、編地 は連結されている。そこでこの発明では、糸の巻き込みの有無をシミュレーションし、 複数のキャリアを用いるエリアでも、糸間の連結の有無を判別できるようにする。

[0012] インターシャジャカードやジャカードでは、複数のキャリアから平行に糸を供給し、 一方の糸をニットし、他方の糸をミスすることにより、パターンを形成する。この場合、 新たな編目の 1コース下やその 1目〜数目分左右の位置が問題で、新たな編目と同 じ糸がその位置でニットされ、他の糸がその位置でミスされている場合に、巻き込み が生じ得る。巻き込みが生じるには他に、

1) 新たな編目と同じ糸による 1つ前の編目が形成された後に、他の糸がその位置で ミスされており、し力もミスされた糸がニットされた編目よりも奧にあり、

2) かつ新たな編目を形成するためのキャリアがミスされた糸のキャリアよりも奧にある 、ことが必要である。またここで手前 Z奧の関係は、編目を形成する針のある針床か ら、反対側の針床を見る方向に沿って定める。このようにすると、インターシャジャカ ードゃジャカードのパターンで、パターンの左右の境界が連結されて!、るかどうかを、 シミュレーションできる。

[0013] なお巻き込みは、例えば新たな編目力 前記第 1のキャリアからの第 1の糸に関す る、新たな編成コースの最初の編目である際に生じるので、他の編目に対しては巻き 込みの有無の判断を省略しても良い。

[0014] 巻き込みの有無は、文字や記号などで出力しても良いが、カラーモニタにシミュレ ーシヨン画像を表示し、巻き込みの有無で関係する部分の明度、彩度、色相等の力 ラーデータを変えて、あるいは関係する部分にネット状のマークなどを付して表示す ると分かり易い。また関係する部分を、ユーザがカラーモニタ上でマウスやスタイラス などで指定できるようにし、この部分を指定して移動させると、巻き込みのある場合と 無い場合とで、連動して動く部分が異なるようにしても良い。このようにすると、巻き込 みの有無をユーザは視覚的にかつ容易に確認できる。

図面の簡単な説明

[0015] [図 1]実施例のニットシミュレーション装置のブロック図 [図 2]実施例のニットシミュレーションプログラムのブロック図

[図 3]実施例での、キャリアの手前 Z奧の定義を模式的に示す図

[図 4]実施例のニットシミュレーション方法を示すフローチャート

[図 5]インターシャジャカードで、ミスステッチを巻き込む例を示す図

[図 6]インターシャジャカードで、ミスステッチを巻き込まな!/ヽ例を示す図

[図 7]1つ前の編目が新たな編目の 1コース下の右側にある例を示す図

[図 8]1つ前の編目が新たな編目の 1コース下の左側にある例を示す図

[図 9]インターシャジャカードで、ミスステッチを巻き込む編地を模式的に示す図

[図 10]インターシャジャカードで、ミスステッチを巻き込まない編地を模式的に示す図

[図 11]ジャカードでミスの糸を巻き込んでいる例を示す図

圆 12]2色ジャカードで、巻き込みの有無により編地構造が変化する例を模式的に示 す図

圆 13]筒状編地の端部での糸の巻き込みを説明する図

符号の説明

2 ニットシミュレーション装置 4 バス

5 カラーモニタ 6 キーボード 7 スタイラス

8 ディスクドライブ 9 LANインターフェース

10 メモリ 11 カラープリンタ 15 ニットデザイン部

16 編成データ記憶部 20 キャリア割り付け部

21 属性付与部 22 巻き込み検出部 23 巻き込み表示部

30 ニットシミュレーションプログラム

31 ニットシミュレーション命令 32 キャリア位置識別命令

33 巻き込み判別命令 34 巻き込み表示命令

35 カラー識別命令 36 操作 Z変形命令 40 横編機

42 前針床 43 後針床 44 キャリアレール

45, 46 キャリア 48 針 50 編地

52 ステッチ 53 ミスステッチ 54 1つ前の編目

55 編目 56 巻き込み部 60, 61 糸 62, 63 編目 64 ミスステッチ 65 編目

66 巻き込み部 70, 72 ジャカードコース

73, 74 コース 80 端部エリア

81 前ベッドで形成された編目列 82 後ベッドで形成された編目列

83 1つ前の編目 F 手前のキャリア B 奧のキャリア

N ニードノレノレープ S シンカーノレープ

発明を実施するための最良の形態

[0017] 以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。

実施例

[0018] 図 1〜図 13に、実施例を示す。これらの図において、 2はニットシミュレーション装置 で、 4はバス、 5はカラーモニタで、 7はスタイラスであり、カラーモニタ 5上の座標を指 定し、スタイラス 7に代えて、マウスやトラックボール、ジョイスティックなどを用いても良 い。 8はディスクドライブで、 9は LANインターフェースであり、ニットシミュレーションプ ログラムや、パターンデータ、編成データなどの入出力などを行う。 10はメモリで、二 ットシミュレーションプログラムなどを記憶し、また作業中の種々のデータゃシミュレ一 シヨン画像などを記憶する。 11はカラープリンタで、モニタ 5と同様に-ットシミュレ一 シヨン画像を出力する。

[0019] ニットデザイン部 15は、キーボード 6やスタイラス 7などからの入力により、ニットのデ ザインデータを作成し、これを横編機での編成データに変換する。編成データ記憶 部 16は作成された編成データを記憶する。糸の巻き込みの有無を判別するため、キ ャリア識別部 20を設け、編成データを実行するために必要なキャリアに対して、キヤリ ァ番号を指定する。従来のニットシミュレーション装置のように、キャリア番号を指定せ ずに、またキャリア間の手前 Z奧の関係を指定せずに、シミュレーションすることを認 めると、糸の巻き込みの有無は判別できない。ここで、編成データ中で既にキャリア 番号が指定されている場合、その番号をそのまま用いる。キャリア番号が指定されて いない場合、カラーモニタ 5などを介してキャリア番号の指定をユーザに要求し、キー ボード 6など力も指定された値をキャリア番号とする。

[0020] 属性付与部 21は編成データ中の各編目（ステッチ）に対して、編目の属性を指定し 、属性には例えば表目か裏目か、ニットかタックかミスかなどの編目の種類と、自己の 編目の番号及び左右の編目の番号、並びに処理順の番号がある。編目の番号は例 えば編目が形成される順に付与し、処理順の番号は編目を形成したり目移ししたり する毎にカウントする番号で、目移しがなければ編目番号と同じ順序になる。目移し があれば、先に形成されて後で目移しされた編目は、途中で形成された編目よりも大 きな処理順の番号が割り当てられる。またミスの糸も形式的に編目と見なしてミスステ ツチと呼び、属性を指定する。同じ位置にニットの編目とミスの糸とが重なる場合、い ずれが編成に用いている針床に近いかは、編目の属性力 判別できる。

[0021] 1つのキャリアに関して、新しいコースの最初の編目には、 1つ前の編目を属性とし て追加する。この編目は同じ糸で同じキャリアにより形成され、編地の上下に関して 1 コース前の位置にあり、例えば新コースの最初の編目の直下あるいはその左右の位 置にある。

[0022] 巻き込み検出部 22は複数のキャリア間の手前 Z奥の関係と、編成データとを用い て、巻き込みの有無を検出する。巻き込み表示部 23は、カラーモニタ 5やカラープリ ンタ 11の画像に対して、巻き込みがある場合と無い場合とで、例えばカラーデータを 変更する。あるいはまた、カラーモニタ 5の画像に対して、ユーザであるデザイナが、 巻き込みの有無を確認した 、部分をスタイラス 7などで指定し、画面上で移動を指示 することを認める。これに対して巻き込みで接続された部分が、巻き込みがある場合 には指定された部分と同時に移動し、巻き込みがない場合には移動しないように、力 ラーモニタの表示画像を発生させる。カラーデータ以外の表示で、巻き込みの有無 をマークアップしても良い。また画面上での移動では、巻き込みの有無で画面上の 編地の変形が異なるようにすればょ 、。

[0023] 図 2のニットシミュレーションプログラム 30では、ニットシミュレーション命令 31で通常 のニットシミュレーションを行い、編成データをその編成データに従って編成された編 地の画像に変換する。このシミュレーション画像では、個々のループが糸筋などで表 現されるようにする。なおニットシミュレーション命令 31自体は、通常の-ットシミュレ ーシヨン装置に備わっている命令である。キャリア位置識別命令 32では、編成データ を実行するのに必要なキャリアに対して、編成データに従 、キャリア番号を割り付け、 編成データで指定されていない場合には、ユーザに指定を求める。なおユーザにキ ャリア番号の指定を求める代わりに、巻き込み有り Z無しなどの条件をユーザに提示 し、それに対する回答に従って、キャリア番号を割り付けても良い。

[0024] 巻き込み判別命令 33では、キャリアの手前 Z奥の位置関係と編成順序、及び編成 データ力 求めた編目の属性とを用いて、巻き込みの有無を判別する。巻き込み表 示命令 34では、巻き込みの有無をカラーモニタやプリンタなどで表示する。例えば卷 き込みの有無によりその部分のカラーデータを変更するため、カラー識別命令 35を 設ける。また巻き込みの有無が問題となる部分をユーザが指定して操作した場合に、 巻き込みの有無により変形の程度を変えるため、操作 Z変形命令 36を設ける。

[0025] 図 3に、横編機 40でのキャリア 45, 46等の手前と奥の関係を示す。 42は前針床、 43は後針床で、これらの上部にも針床やトランスファーベッドなどを設けても良い。 4 4はキャリアレールで、各レールの例えば左右に沿ってキャリア 45, 46等が走行し、 その下端の給糸口力 針床 42, 43の針に給糸する。 48は針床の針で、編成中の編 地を 50で示す。前針床の針 48で編目を形成する場合、前針床 42から後針床 43を 見る方向に沿って、ヤーンキャリア 45, 46等の手前と奥とを定義する。逆に後針床 4 3の針で編目を形成する場合、後針床 43から前針床 42を見る方向に沿って、手前 Z奥を定義する。横編機 40にはこれ以外に図示しない制御部とキャリッジがあり、制 御部で編成データを解釈してキャリッジを動作させ、キャリッジはキャリア 45, 46を連 行すると共に針 48等を制御する。

[0026] 図 4に、インターシャジャカードやジャカードの場合の、糸の巻き込みの有無の判別 方法を示す。糸の巻き込みは、個別のキャリアについてのコースの最初の編目で生 じるので、 1つのコースでの編成開始ステッチかどうかを判別する。これが YESの場合 、編成するステッチの 1つ前の位置の編目がミスの対象ステッチかどうかをチェックす る。言い換えると、編成する編目と同じ糸と同じキャリアで 1つ前に形成された編目と 重ねて、ミスの糸が存在するかどうかをチェックする。次にこれも YESの場合、ミスステ ツチはミス下かどうかを判別する。なおミスステッチはミスの糸を形式的に編目と見な して呼ぶ言い方である。またミス下は、新たな編目を編成する針が存在する針床から 、反対側の針床を見た際に、 1つ前の編目よりもミスステッチが奥にある場合である。 [0027] ミスステッチがミス下であれば、 1つ前の編目の後でミスステッチが形成されたか確 認する。 1つ前の編目が形成された後でミスステッチが形成されていれば巻き込みが 有り得るが、先にミスステッチが形成された後で 1つ前の編目が形成されていると、卷 き込みは生じない。ミスステッチが先に形成されている場合、ミスの糸の下側を後で 形成した 1つ前の編目の渡り糸が潜ることはない。逆に、 1つ前の編目が先に形成さ れて 、ると、ミスの糸が 1つ前の編目の渡り糸の上を交差するように通過することがあ り、この時に巻き込みが生じる。そしてミスの糸が 1つ前の編目の渡り糸の上部を交差 するように通過するのは、 1つ前の編目が手前でミスの糸が奧にあり、し力も 1つ前の 編目の糸のキャリアが奧で、ミスの糸のキャリアが手前の場合である。そこで新たな編 目を編成する糸のキャリアは、ミスステッチのキャリアより、手前にあるか奥にあるかを 識別し、奥にあればミスステッチに糸の巻き込み属性を付加する。

[0028] 図 5,図 6に、巻き込みの有無を模式的に示す。ステッチ 52に続いて同じキャリアで ステッチ 55を編成するとする。ステッチ 55が編成する編目で、 53はミスステッチであ る。また 52が編目 55の 1つ前の編目である。図 5,図 6の F, Bはキャリアが手前か奥 かを示し、 Fは手前のキャリアを Bは奥のキャリアを示す。また Nは-一ドルループ、 S はシンカーループを示し、さらに 52〜55の符号は編目属性での編目番号を途中を 間引いて表している。

[0029] 図 5ではステッチ 52をキャリア Bで編成した後、ミスステッチ 53や編目 54をキャリア F で編成する。編目 54はこのコースで編成する最後の編目で、キャリッジはー且ここで 停止する。次にキャリア Bを用いて編目 55を編成する。ここで巻き込みの有無を判別 する。図 6ではステッチ 52をキャリア Fで編成した後、ミスステッチ 53や編目 54をキヤ リア Bで編成する。次にキャリア Fを用いて編目 55を編成する。ここで巻き込みの有無 を判別する。

[0030] 図 5の場合、ミスステッチ 53は、ステッチ 52よりも編成を行う針床力も見て、奥の側 にあり、ミス下に相当する。そして編成する編目 55の 1つ前の位置にはステッチ 52が あり、これはミスステッチ 53から見てミスの対象ステッチである。この場合、図 5のように 、編目 55をミスステッチ 53よりも奥のキャリア Bで編成する場合、シンカーループに卷 き込みが生じ、巻き込み部を 56で示す。編目 55を編成するために用いるキャリア Fが 、ミスステッチ 53に用いたキャリア Bよりも手前にある場合（図 6)、糸の巻き込みは生 じない。

[0031] 1つ前の編目は新たな編目の直下の編目のみが問題となるとは限らない。 1つ前の 編目が新たな編目の左右にあり、しかも巻き込みが生じる例を図 7,図 8に示す。図に お!ヽて、 55ίま新たな編目、 52', 52"ίま 1つ前の編目で、 53', 53"ίまミスステッチで、 56', 56"は巻き込み部である。

[0032] 図 9は糸の巻き込みがある場合のカラーモニタなどへの表示例を、図 10は糸の卷 き込みが無い場合の表示例を示す。これらは 1目幅のインターシャジャカードのパタ ーンで、図は編地を裏側から見て示し、中央の天竺ループは縦 1列につながるように 編成されている。図 9のように巻き込みがある場合、縦につながる天竺ループの下か ら上に行く部分にできるループの間をミスの糸が通り、これによつて縦につながった 天竺ループは周囲の編地本体に編み込まれ、しつ力りした組織となる。これに対し図 10のように、糸の巻き込みが無い場合、ミスの糸は天竺ループの後を通り、縦 1列に つながる天竺ループは上下両端でのみ周囲の編地と接続され、この部分がブリッジ 状に浮いている。図 10のようなデザインも、編地のバリエーションとして存在する。

[0033] 糸の巻き込みの有無は、巻き込みがある場合と無 、場合とで、カラーデータを変え て表示する。あるいは、スタイラスなどでその部分を指定して移動させると、巻き込み がある場合、周囲の編地も共に移動し、巻き込みがない場合、その部分のみが周囲 と独立して移動するように表示する。

[0034] 以上の例では、インターシャジャカードを例とした力 これは 2色ジャカードなどの一 般のジャカードでも同様である。このような例を図 11,図 12に示すと、 60, 61は糸で 、編目 62を形成した後に編目 63を形成し、 64は編目 62と重なるミスステッチである。 ここで糸 60を用いて編目 62の上部に編目 65を編成する。この場合、編目 65は糸 60 を供給するキャリアに関して、そのコースでの最初の編目であり、この場合は 1つ前の 編目 62はミスの対象ステッチで、ミスステッチ 64は編目 62よりも奥側にある。そこで 図 4のフローチャートと同様に、編目 65を形成するキャリア Β力 ミスステッチ 64に用 いたキャリア Fよりも奥側にあれば巻き込み部 66が形成され、この場合ミスステッチ 64 に糸の巻き込み属性を追加する。編目 65の形成に用いるキャリア力 ミスステッチ 64 に用いたキャリアよりも手前にあれば、糸の巻き込みは生じな!/、。

[0035] 図 12に筒状の 2色ジャカードの編地の例を示すと、 70, 72はジャカードコースで、 編み端において糸の巻き込みがあれば図 12のコース 73のように続き、巻き込みがな ければ 74で示すようにコースが続くことになる。コース 74を含むような編地は内径が 小さくなり着にくぐ巻き込みの有無で編地の性質が異なる。

[0036] 図 13に筒状編地の端部のエリア 80での糸の巻き込みの発生を示す。 81は前べッ ド形成された編目列、 82は後ベッド形成された編目列で、奧側のキャリア Bを用いて 1つ前の編目 83の次の新たな編目を形成する。キャリア Bはキャリア Fよりも奧にあり、 編目 83の編成後に編目 84が編成されて!、るので、 1つ前の編目 83の次の編目を編 成すると、糸の巻き込みが生じる。一方ここで編目 84の次の編目をキャリア Fで編成 しても、編目 84が編目 83よりも後で編成されているので、巻き込みは生じない。

[0037] 実施例では以上のように巻き込みの有無を判別し、これをユーザに表示でき、ユー ザはこの表示力も意図通りのデザインかを確認できる。巻き込みの有無により編地の 性質は大きく異なるので、この発明は重要である。例えば周囲の編地力も浮いている パターンをデザインしたの力、周囲の編地にコースの端部で固定されている編地をデ ザインしたの力 デザイナはモニタ上で確認できる。

Claims

請求の範囲

[1] 少なくとも一対の針床と、針床の針に糸を供給しかつ針床の上部を針床に平行に移 動するキャリアとを備えた横編機用の編成データに対して、該編成データでの編成 結果をシミュレーションするための装置において、

複数のキャリア力 別々に糸を供給して別々の編目を形成する編地のエリアにおい て、前記複数のキャリア中の第 1のキャリア力もの第 1の糸により、一方の針床の針で 新たな編目を形成する際に、前記複数のキャリア中の他のキャリア力 の他の糸を卷 き込むか否かを判別するために、

前記第 1のキャリアと前記他のキャリアとの、前記一方の針床力 見た手前 Z奧の 関係を求めるための、識別手段と、

求めた手前 Z奧の関係及び前記編地エリアにおける編成順序に基づき、前記他の 糸を巻き込む力否かを判別するための、判別手段、とを設けたことを特徴とする、ニッ トシミュレーシヨン装置。

[2] 前記判別手段は、

前記新たな編目の 1つ前の、前記第 1の糸で形成された編目の位置で、前記 1つ 前の編目が形成された後に前記他の糸はミスされており、

前記一方の針床から見て、前記ミスされた糸が前記 1つ前の編目よりも奧にあり、 かつ前記一方の針床から見て、前記識別手段で求めたキャリアの位置関係で第

1のキャリアが他のキャリアよりも奧に有る際に、

前記他の糸を巻き込むものと判別するようにしたことを特徴とする、請求項 1のニッ トシミュレーシヨン装置。

[3] 前記判別手段は、前記新たな編目が、前記第 1のキャリアからの第 1の糸に関する、 新たな編成コースの最初の編目である際に、糸の巻き込みの有無を判別するように したことを特徴とする、請求項 2のニットシミュレーション装置。

[4] 前記シミュレーションで得られた編地の画像を表示するためのカラーモニタと、

糸の巻き込みの有無をユーザが識別し得るように、該カラーモニタ上にマークして、 もしくは前記 1つ前の編目の位置のミスの糸と独立して移動自在に、表示するための 確認手段とを設けたことを特徴とする、請求項 2のニットシミュレーション装置。

[5] 少なくとも一対の針床と、針床の針に糸を供給しかつ針床の上部を針床に平行に移 動するキャリアとを備えた横編機用の編成データに対して、該編成データでの編成 結果をシミュレーションするための方法において、

複数のキャリア力 別々に糸を供給して別々の編目を形成する編地のエリアにおい て、前記複数のキャリア中の第 1のキャリア力もの第 1の糸により、一方の針床の針で 新たな編目を形成する際に、前記複数のキャリア中の他のキャリア力 の他の糸を卷 き込むか否かを判別するために、

前記第 1のキャリアと前記他のキャリアとの、前記一方の針床力 見た手前 Z奧の 関係を求める識別ステップと、

求めた手前 Z奧の関係及び前記編地エリアにおける編成順序に基づき、前記他の 糸を巻き込む力否かを判別する判別ステップ、とを設けたことを特徴とする、ニットシミ ユレーシヨン方法。

[6] 前記判別ステップでは、

前記新たな編目の 1つ前の、前記第 1の糸で形成された編目の位置で、前記 1つ 前の編目が形成された後に前記他の糸はミスされており、

前記一方の針床から見て、前記ミスされた糸が前記 1つ前の編目よりも奧にあり、 かつ前記一方の針床から見て、前記識別ステップで求めたキャリアの位置関係で 第 1のキャリアが他のキャリアよりも奧に有る際に、

前記他の糸を巻き込むものと判別するようにしたことを特徴とする、請求項 5のニッ トシミュレーシヨン方法。

[7] 前記判別ステップでは、前記新たな編目が、前記第 1のキャリア力もの第 1の糸に関 する、新たな編成コースの最初の編目である際に、糸の巻き込みの有無を判別する ようにしたことを特徴とする、請求項 6のニットシミュレーション方法。

[8] 前記シミュレーションで得られた編地の画像を表示するためのカラーモニタを設ける と共に、

糸の巻き込みの有無をユーザが識別し得るように、該カラーモニタ上にマークして、 もしくは前記 1つ前の編目の位置のミスの糸と独立して移動自在に、表示するための 確認ステップを設けたことを特徴とする、請求項 6のニットシミュレーション方法。

[9] 少なくとも一対の針床と、針床の針に糸を供給しかつ針床の上部を針床に平行に移 動するキャリアとを備えた横編機用の編成データに対して、該編成データでの編成 結果をシミュレーションするためのプログラムにおいて、

複数のキャリア力 別々に糸を供給して別々の編目を形成する編地のエリアにおい て、前記複数のキャリア中の第 1のキャリア力もの第 1の糸により、一方の針床の針で 新たな編目を形成する際に、前記複数のキャリア中の他のキャリア力 の他の糸を卷 き込むか否かを判別するために、

前記第 1のキャリアと前記他のキャリアとの、前記一方の針床力 見た手前 Z奧の 関係を求めるための、識別命令と、

求めた手前 Z奧の関係及び前記編地エリアにおける編成順序に基づき、前記他の 糸を巻き込む力否かを判別するための、判別命令、とを設けたことを特徴とする、 -ッ トシミュレーシヨンプログラム。

[10] 前記判別命令では、

前記新たな編目の 1つ前の、前記第 1の糸で形成された編目の位置で、前記 1つ 前の編目が形成された後に前記他の糸はミスされており、

前記一方の針床から見て、前記ミスされた糸が前記 1つ前の編目よりも奧にあり、 かつ前記一方の針床から見て、前記識別命令で求めたキャリアの位置関係で第

1のキャリアが他のキャリアよりも奧に有る際に、

前記他の糸を巻き込むものと判別するようにしたことを特徴とする、請求項 9のニッ トシミュレーシヨンプログラム。

[11] 前記判別命令では、前記新たな編目が、前記第 1のキャリア力 の第 1の糸に関する

、新たな編成コースの最初の編目である際に、糸の巻き込みの有無を判別するように したことを特徴とする、請求項 10のニットシミュレーションプログラム。