WO2006011438A1

WO2006011438A1 - 車輪用軸受装置とその品質管理方法

Info

Publication number: WO2006011438A1
Application number: PCT/JP2005/013557
Authority: WO
Inventors: Akihiro Muranaka; Hiroaki Itakura; Shinji Morita; Yoshiaki Kuchiki
Original assignee: Ntn Corporation
Priority date: 2004-07-29
Filing date: 2005-07-25
Publication date: 2006-02-02
Also published as: US20080317397A1; US7878411B2; DE112005001862T5

Abstract

　実際の使用の状況を検出して履歴として記憶することのできる車輪用軸受装置を提供するために、非接触交信が可能なＩＣタグ９を車輪用軸受装置に取付ける。このＩＣタグ９は、車輪用軸受装置の検出対象を検出するセンサと一体化されまたは電気的に接続されたセンサ付きＩＣタグとし、非接触交信の経路とは別の入力系統で前記センサの検出信号が入力されるものとする。前記センサは、例えばコイルとし、相対回転によって前記センサ付きＩＣタグ９の近傍を通過する磁石１０を設けても良い。

Description

車輪用軸受装置とその品質管理方法

技術分野

[0001] この発明は、 ICタグおよびセンサを備えた車輪用軸受装置と、その ICタグを用いて管理し、トレーサビリティや、定期点検への対応の容易化を可能とした車輪用軸受の品質管理方法に関する。

背景技術

[0002] 非接触で交信が可能な RFID (無線周波数認識： Radio Frequency Identification) 技術を用いた ICタグは、小型が進み、物流関係で広く使用されてきている。また、近年、トレーサビリティの要求、つまり考慮の対象となっているものの履歴、適用、または所在を追求できることの要求が高くなつてきており、歯車やその他の機械部品において、 ICタグを取付け、 IDコードやこれに関連付けた各種の情報を記憶させて管理することが提案されている（例えば特開 2002— 049900号公報参照)。

[0003] また、車輪用軸受装置に回転センサやその他の各種のセンサを搭載し、車輪用軸受装置の知能化を図ったものが種々提案されている（例えば特開 2001— 021577 号公報参照)。

[0004] 車輪用軸受装置においても、トレーサビリティの要求が強ぐこれを従来の帳簿管理ゃコンピュータ管理力も進めたものとして、 ICタグを取付けたものを別に提案した（特願 2004— 206900号参照)。しかし、単に ICタグを取付けても、識別情報や、製造情報、物流情報等の管理にしか用いることができず、車輪用軸受装置が実際に使用された状況を記憶することができな、。

実際の使用状況が分かれば、定期点検や、残寿命の計算、今後の改良等に役立つと考えられる。

[0005] 実際の使用状況の検出は、車輪用軸受装置にセンサを設けることで行える。しかし、従来のセンサ付きの車輪用軸受装置の提案例は、いずれも現在状況を検出して自動車の各種の制御に使用されるものであり、検出結果を履歴として記憶する機能は持っていない。 [0006] 一方、自動車において、同じ車種であっても、車輪用軸受等の軸受にっき、どのェ場で、つ製造されたものを用いて、る力、あるいは軸受の製造番号などは管理されていない。

[0007] また、前述したように、近年、トレーサビリティの要求、つまり考慮の対象となって!/、るものの履歴、適用または所在の追跡ができることの要求が高くなつてきている。軸受等の機械要素商品の品質管理では、材料購入力も製造完了までの各製造工程 (材料購入、鍛造工程、熱処理工程、研削工程等)の品質，ロット等の製造履歴が、各機械要素商品と 1対 1、またはロット単位で分力るようにすることが望まれる。

自動車において、一般品の場合は、ロット管理となり、ロット単位で抜き取り検査等が行われるため、ロット単位で製造履歴が求められる。製造履歴がわカゝることで、将来の改善等の対処が容易となり、寿命診断も容易となる。また類似品の混入判別等も容易となる。特殊品では、個別に検査がなされており、 1対 1に対応して製造履歴がわ力るよう〖こすることが求められる。

このような製造履歴を明確にする品質管理方法として、従来は、工程毎に発生した情報を、伝票に記入したり、データベースの端末への入力を行う等して対処している

[0008] 一方、物流管理や在庫管理で、 ICタグが用いられつつあり、自動車等の物品の製造においても ICタグを用いた製造力も廃棄までの管理が提案されている（例えば特開 2002— 169858号公報参照)。 ICタグは、非接触で情報の記録および読取りが可能であり、また記憶容量が大きいことから、高度の管理が期待されている。

[0009] 車輪用軸受において、定期点検やその他の必要時に点検を行う時に、軸受の製造番号等の識別情報が判れば判別できる。また、車輪用軸受に刻印等に表示されている製造番号、あるいは製造年や製造場所の情報からも判別できる。

しかし、車輪用軸受に刻印等で付された製造番号や製造年や製造場所等の表示は、軸受を軸受ハウジングとなる部材力分解して見ないとわ力ない。そのため、分解および再組立の作業に手間がかかる。一般的には、車輪用軸受を取り外して製造番号等の情報を確認しなくてはならず、多大な手間と費用が力かっている。

[0010] また、従来の ICタグを用いた品質管理方法の提案例では、機械要素商品に取付けられた ICタグに機械要素商品に関する各種の情報を直接に記録し、または ICタグには識別情報を記録しておいて、データベースと照合することで、機械要素商品の材質やロット管理情報、各種履歴データ等がわ力るようにされている。しかし、機械要素商品に関する前記の情報だけでは、機械要素商品に生じた技術的現象が解明できない場合がある。例えば、各工程の加工条件の違い等によっても、品質に差が生じることがあり、このような加工条件の違いによる差は、検査結果からでは認識することができないことがある。

車輪用軸受は、複数の要素品で構成されており、組立後の車輪用軸受自体の検查結果等が分力つても、個々の要素品の品質の違いによる不具合までは特定できない。転動体を有する機械要素商品である車輪用軸受では、わずかな材質や精度の違いが車輪用軸受として大きな性能の差となるため、従来の ICタグを用いた品質管理方法の提案例では対応が難ヽ。

[0011] また、工程管理においても、従来の工程毎に伝票記入や端末入力を行う管理方法では、記入や入力に手間が力かるため、多数の情報をきめ細力べ記録することが難しい。特に、車輪用軸受のように複数の要素品を組み立てたものであって、各要素品が材料購入から鍛造工程、熱処理工程、および研削工程を経て、工程毎にロット生産されるものでは、各要素品の製造工程における管理が煩雑であり、情報の手書きによる記録や入力操作に手間がかかる。そのため、車輪用軸受の詳細な履歴情報の要求に十分に応じることが難しぐまた管理にコストがかかる。

[0012] そのため、 ICタグの適用を考えた力車輪用軸受では、自動車自体のような管理を適用することができない。前記特許文献 (特開 2002— 169858号公報）の提案例では、管理対象となる物品である自動車に ICタグを取付け、各工程の情報を記録している。 ICタグはフレーム等に取付ける。しかし、転がり軸受である車輪用軸受では、自動車におけるフレーム等のように完成した基準となる要素品がなぐ製造過程では各要素品が鍛造や熱処理等を経て製造されるため、車輪用軸受に ICタグを取付けることが難しい。また、転がり軸受である車輪用軸受では、内輪、外輪、転動体、あるいはハブ輪等のそれぞれが、材料購入、鍛造工程、熱処理工程、研削工程等を経て管理されるため、 ICタグを品質管理に適用しょうとした場合に、具体的にどのように用いるかが問題であり、効率的な ICタグの適用が難、。

発明の開示

[0013] この発明の第 1の目的は、情報の記録が可能な車輪用軸受装置を提供することである。

[0014] この発明の第 2の目的は、軸受を分解することなく簡単にかつ即座に製造履歴が分かり、定期点検等に対して迅速かつ適切に対処できる車輪用軸受の品質管理方法を提供することである。

[0015] この発明の第 1構成に係る車両用軸受装置は、車両用軸受に非接触で交信が可能で、かつ管理に関する情報または使用に力かる状況を記憶する ICタグが取り付けられている。ここで、管理に関する情報とは、製造、材料および検査を含む品質に関連するすべての情報をいう。使用に力かる状況とは、総回転数、温度、トルク等、車輪用軸受装置の寿命に影響するすべての使用条件をいう。

この構成によると、車輪用軸受に ICタグを取り付けることで、この車輪用軸受に管理に関する情報または使用に力かる状況を記録することができ、またその情報を非接触で読み取ることができて、車輪用軸受の識別やその他の管理を容易に行うことができる。

[0016] この発明の好まし、形態では、内周に複列の転走面を有する外方部材と、前記転走面に対向する転走面を有する内方部材と、前記両部材の対向する転走面間に介在した複列の転動体とを有し、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置において、非接触交信が可能な ICタグを取付け、この ICタグは、車輪用軸受装置の検出対象を検出するセンサと一体化されまたは電気的に接続されたセンサ付き ICタグとし、非接触交信の経路とは別の入力系統で前記センサの検出信号が入力されるものとした。

この構成〖こよると、車輪用軸受装置にセンサ付き ICタグを設け、非接触交信の経路とは別の入力系統でセンサの検出信号が入力されるものとしたため、前記センサで検出した実際の使用の状況を、 ICタグに履歴として記録することができる。そのため

、車輪用軸受装置の使用履歴を知ることができ、例えば定期点検や、残寿命の計算、今後の技術的改良等に役立てることができる。 [0017] この発明において、前記センサがコイルであって、前記センサ付き ICタグは前記外方部材および内方部材のうちの一方の部材に取付けられ、他方の部材に両部材の相対回転によって前記センサの近傍を通過する磁石を設け、前記 ICタグは前記コィルの出力を電源として利用するものとしても良い。前記磁石は円周方向の 1箇所であつても良ぐまた複数箇所に等配しても良い。

相対的に回転する部材の一方にコイルを、他方に磁石を設けるため、回転によりコィルに起電力が発生する。この起電力を、 ICタグの駆動に利用でき、また磁石の通過毎に発生する起電力により、車輪用軸受装置の回転が検出できる。

[0018] この構成の場合に、前記センサ付き ICタグに、前記磁石が通過したときの前記センサの信号をカウントして ICタグ内のメモリに記憶するカウント手段を設けても良い。これにより実際の回転数を記録できる。

[0019] また、前記センサ付き ICタグに、前記磁石が通過したときの前記センサの信号を回転速度に換算して前記 ICタグに記録する手段を設けても良い。

例えば、前記センサの設置位置での磁石の通過による磁界の強弱を記録し、回転速度に換算する。これにより、回転速度の履歴を記録することが可能になる。

[0020] 前記コイルおよび磁石を設ける場合に、シールに設けても良ヽ。例えば、前記外方部材と内方部材間の軸受空間の端部を密封するシールを設け、このシール力外方部材および内方部材のうちの一方の部材に取付けられるシール要素と他方の部材に取付けられるシール要素とを有する組合せ型のシールである場合に、 Vヽずれか一方のシール要素に前記センサ付き ICタグを取付け、他方のシール要素に前記磁石を取付ける。

この場合は、内外の部材に取付けられたシール要素の相対回転により、車輪用軸受装置の回転検出が行える。シールは、車輪用軸受装置の外部に露出する位置となるため、シールに ICタグを取付けると ICタグとの非接触交信が行い易い。また、内方部材ゃ外方部材のような複雑な工程を経て加工される部品に取付ける場合に比ベて、簡易に製造できるシールに ICタグや磁石を取付けるようにすると、 ICタグの取付けが簡単である。

[0021] この発明において、前記センサ付き ICタグに設けられたセンサが温度センサであつても良い。

この場合、軸受内部等の温度の履歴を記録できる。

[0022] この発明において、前記センサ付き ICタグに設けられれセンサが歪みセンサであり、前記外方部材および内方部材のうちの車輪取付用のフランジを有する部材の前記フランジの根元部に前記センサ付き ICタグを取付けても良、。

車輪取付用フランジの根元部は、車輪用軸受装置として荷重条件の厳しい箇所となる。例えば、内方部材がハブ輪とこのハブ輪の外周に嵌合した内輪等で構成される場合に、ハブ輪の車輪取付用フランジの根元部は、荷重条件が厳しい箇所となる。このような箇所にセンサ付き ICタグの歪みセンサを取付け、受けた応力の大きさと回数等を記録することができる。

[0023] この発明において、前記センサ付き ICタグに設けられるセンサが歪みセンサであり、前記外方部材および内方部材のうちの車輪およびブレーキロータが取付けられるフランジ有する部材の前記フランジに、このフランジの径方向の略中央付近力外径端まで間の範囲に位置して前記センサ付き ICタグを取付けても良い。

ブレーキロータが取付けられるフランジの外径部分にセンサ付き ICタグの歪みセンサが取付けられていると、ブレーキジャダ一、つまりブレーキ時のフランジ面の振れが記録できる。

[0024] この発明において、前記外方部材と内方部材間の軸受空間の両端をそれぞれ密封するシールを設け、このシールと転走面との間に前記センサ付き ICタグを設置し、このセンサ付き ICタグのセンサを水検出センサとしても良い。

車輪用軸受装置は、自動車の使用条件によっては、軸受内部への水の浸入がある。この水の浸入の経路と発生時期を特定することは、従来の軸受では困難である。例えば、水が浸入してグリース劣化が生じても、水が蒸発すると、水の浸入の事実がわからない。前記構成のように、センサ付き ICタグに水検出センサを設けて水浸入の主経路となる箇所に水検出センサを配置すると、水の浸入を監視できて、どの段階で浸入したか、あるいは浸入回数等を履歴として記録、点検時に確認することができる。

[0025] この発明にお、て、前記センサ付き ICタグに、この ICタグの非接触交信で得た電力を前記センサの駆動電力とする電源回路と、所定以上の動作電力があれば前記センサの入力を取り込んで所定の記憶処理を行うセンサ入力処理手段を設け、前記

ICタグに対して非接触交信で電力を常時または所定の条件充足時に給電する給電手段を、この車輪用軸受装置に、またはこの車輪用軸受装置が取付けられる車両に設けても良い。

センサには一般に電源が必要である力 ICタグの電源回路を利用してセンサを駆動するようにすれば、簡単に電力供給することができる。また、 ICタグに、所定以上の動作電力があれば前記センサの入力を取り込んで所定の記憶処理を行うセンサ入力処理手段を設けておくことで、センサの出力を安定して記録することができる。

[0026] この発明にお、て、前記車輪用軸受装置は、内周に複列の転走面を有する外方部材と、前記転走面に対向する転走面を有する内方部材と、前記両部材の対向する転走面間に介在した複列の転動体とを有し、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置において、車輪用軸受装置の検出対象を検出するセンサュニットを取付け、非接触交信が可能でかつ非接触交信の経路とは別の入力端子を有する外部入力端子付きの ICタグを設け、この ICタグの前記入力端子に前記センサュニットの信号線を接続したものである。

この構成の場合、 ICタグはセンサ付きとしないが、センサの出力を車両の制御目的等に用いると共に、履歴として ICタグに残すことができる。そのため、後の点検時に車輪用軸受装置の利用の履歴を確認でき、定期点検における寿命判定等に役立てることがでさる。

[0027] この発明の第 2構成に係る車輪用軸受の品質管理方法は、前記車輪用軸受装置を用い、前記 ICタグに、車輪用軸受に関する所定情報を記録して管理するものである。

ここで、所定情報には識別情報、品質管理に関する情報または使用にかかる状況を表す情報が含まれる。

[0028] この方法によると、軸受を分解することなく簡単にかつ即座に製造履歴が分かり、定期点検等に対して迅速かつ適切に対処することができる。

[0029] また、この発明の車輪用軸受の品質管理方法は、前記車輪用軸受に前記 ICタグを取付ける過程と、この車輪用軸受に取付けられた ICタグに、その車輪用軸受についての情報を記録する過程と、出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取つてその読み取り情報から、所定情報の確認を行う過程とを含む。この発明方法において、前記利用過程の ICタグの読み取りは、車輪用軸受が自動車に組付けられた状態のままで、タグリーダを用いて行い、このタグリーダに一体ィ匕された情報処理手段または前記タグリーダに有線または無線で接続された情報処理手段により、所定の点検対象の軸受であるカゝ否かの判定を行う処理を含むようにしても良ヽ。

[0030] この方法〖こよると、車輪用軸受に取付けられた ICタグに、その車輪用軸受についての情報を記録しておくため、出荷後の任意時に、車輪用軸受にタグリーダを近づけることで、 ICタグの記録情報を読み取り、所定情報の確認が行える。タグリーダに点検対象軸受の範囲等の情報を持っておけば、読み取り情報から、軸受の情報入手も行える。そのため、車輪用軸受を自動車から分解することなぐ例えばサービスマンが客先に伺ったり、ガソリンスタンド等で給油の合間等に軸受の情報を得て、その場で所定情報の確認が可能である。

この発明の車輪用軸受の品質管理方法は、次の第 1ないし第 5の車輪用軸受の品質管理方法を含む。

[0031] この発明における第 1の車輪用軸受の品質管理方法は、前記車輪用軸受に前記 I Cタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに対して取付ける過程と、

この車輪用軸受に取付けられた ICタグに、その車輪用軸受についての製造工程における情報を記録する過程と、

出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、所定情報の確認を行う過程とを含む。

[0032] 第 1の車輪用軸受の品質管理方法において、前記複数の要素品のうち、鍛造品における非機械カ卩工仕上面に、その面の加工完了後に前記 ICタグを取付け、この ICタグに、前記鍛造品における鍛造後の各製造工程の製造情報を、各製造工程で記録するようにしても良い。

車輪用軸受では、ハブ輪や内輪、あるいは外輪となる部材は一般に鍛造で製造される。この鍛造品は、形状や寸法精度の要求される箇所は旋削され、転走面ではさらに研削，研磨等が施されるが、鍛造状態のままで、あるいはショットブラスト等を施して、旋削等の機械加工を施さずに残される面もある。このような鍛造仕上げとなる面を

ICタグの取付に利用し、鍛造完了後に取付けておくことにより、後の各工程の情報を、その工程毎に ICタグに書き込むことが可能になる。そのため、加工情報や検査結果等の製造情報の ICタグへの書き込みが効率的に行える。

[0033] 例えば、前記鍛造後の各製造工程として、熱処理工程、旋削工程、および研削ェ程を含むことが一般的であり、これらの各工程の製造情報を工程毎に、前記鍛造品に取付けられた ICタグに記録しても良、。

[0034] この発明方法において、複数の要素品に前記 ICタグを取付け、各 ICタグの取付けられた要素品毎の製造情報を、前記各 ICタグにそれぞれ記録しても良い。この要素品は、複数の構成体からなるセンサ等のサブアセンブリであっても良い。

要素品毎の製造情報が分かれば、定期検査や他の必要時の検査において、より詳細な検証が行える。要素品毎の情報を後に知ることは、今までの管理方法では難しいが、要素品毎に ICタグを取付けることで可能になる。前記のように ICタグを鍛造品における非機械加工仕上面に取付けるようにした場合は、要素品毎に ICタグを取付けてその要素品毎の製造情報を記録することが容易に行える。

[0035] 車輪用軸受が、この車輪用軸受についての検出対象を検出するセンサを有するものである場合は、このセンサの検査時に、センサ関連部品に車輪用軸受についての情報を記録しても良い。前記センサは、例えば、アンチロッチブーキシステムの制御等のために設けられる回転センサ等である。

車輪用軸受において、回転センサ等のセンサを設けた場合、そのセンサは、一般的に出荷時に全数検査される。そのため、その検査時に出荷時の初期性能等の情報を ICタグに記録することができる。記録した情報は、調査等の必要なときに、いつでも読み出すことができる。

[0036] この発明における第 2の車輪用軸受の品質管理方法は、車輪用軸受にっき、車輪用軸受の識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する所定の製造情報を記憶し、記憶内容を前記識別情報により抽出可能なデータベースと、前記 ICタグとを用いる車輪用軸受の品質管理方法であって、車輪用軸受に ICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれか〖こ対して取付ける過程と、

前記 ICタグに、前記データベースに従い出荷時、または客先納入時までに、その車輪用軸受についての識別情報を記録し、かつその車輪用軸受についての製造ェ程における情報を記録する過程と、

出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を前記データベースと照合して得られた情報から、前記製造ェ程における情報の確認を行う情報読取り利用過程とを含む。

[0037] この発明における第 3の車輪用軸受の品質管理方法は、前記車輪用軸受にっき、所定の製造情報を記憶し、その記憶内容を抽出可能なデータベースと、前記 ICタグとを用いた車輪用軸受の品質管理方法であって、

車輪用軸受に ICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれか〖こ対して取付ける過程と、

前記車輪用軸受に取付けられた ICタグに、前記データベースに従いその車輪用軸受につ、ての所定の出荷情報を書き込む過程と、

出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を前記データベースと照合して得られた情報から、車輪用軸受につ、ての情報を確認する過程とを含む。

[0038] 前記第 1の車輪用軸受の品質管理方法は、より具体的には、車輪用軸受に前記 IC タグを取付け、この ICタグの記録情報だけから品質管理に関するトレーサビリティを可能にした方法であって、次の過程を含む方法としても良い。

この品質管理方法は、車輪用軸受にっき、非接触で情報の記録および読取りが可能な ICタグを用い、車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程等の各製造工程、並びに検査に至る所定の製造情報を記録して車輪用軸受を管理する品質管理方法であって、

車輪用軸受の製造時または製造完了時に ICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに取付ける過程と、

この車輪用軸受に取付けられた ICタグに、出荷時または客先納入時までに、その車輪用軸受についての前記各製造工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報および材料情報の少なくとも一方を記録する過程と、

前記出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、前記加工条件情報および材料情報の少なくとも一方の確認を行う情報読取り利用過程とを含む。

[0039] この方法によると、前記出荷後の任意時の情報読取り利用過程で、鍛造'旋削工程、熱処理工程、研削工程等のいずれかの加工条件情報または材料情報を確認することができる。加工条件情報等まで確認できるため、厳しい品質，精度が求められる車輪用軸受においても、不具合が生じた場合の原因解明等を容易に行うことができる。この方法の場合、別のデータベースを用いることなぐ ICタグのみで情報を管理することができるため、加工条件情報等を確認する施設において、データベースへの通信設備やアクセス権限等の有無にかかわらずに加工条件情報等の読み取りが行える。

[0040] 前記第 2の車輪用軸受の品質管理方法は、より具体的には、車輪用軸受に取付けられた前記 ICタグとデータベースとを用いて品質管理に関するトレーサビリティを可能にした方法であって、次の過程を含む。

この品質管理方法は、車輪用軸受にっき、識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理ェ程、研削工程等の各製造工程、および検査に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を前記識別情報により抽出可能なデータベースと、前記 ICタグとを用いて車輪用軸受を管理する品質管理方法であって、

前記車輪用軸受に取付けられた ICタグに、前記データベースに従い出荷時、または客先納入時までに、その車輪用軸受についての識別情報を記録し、かつその車輪用軸受についての前記各製造工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報および材料情報の少なくとも一方を記録する過程と、

前記出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を前記データベースと照合して得られた情報から、購入材料の確認、製造工程の確認、その加工条件情報および材料情報の少なくとも一方の確認、および検査成績の確認の、ずれかを行う情報読取り利用過程とを含む。

[0041] この管理方法においても、出荷後の任意時の情報読取り利用過程で、鍛造工程、熱処理工程、研削工程等の!/、ずれかの加工条件情報または材料情報を確認することができる。そのため、転動体を有し複数の要素品からなる車輪用軸受のように厳しい品質，精度が求められる車輪用軸受においても、不具合が生じた場合の原因解明等を容易に行うことができる。また、車輪用軸受に取付けられた ICタグには、識別情報を記録し、データベースに前記識別情報と対応して各種の情報を記録するため、限りある ICタグの記憶容量に頼らずに、多量の情報をデータベースから引き出すことができる。また ICタグの残りの記憶容量を、出荷後や客先納入後の各種の履歴管理等に利用することができる。

[0042] 前記第 3の車輪用軸受の品質管理方法は、車輪用軸受に取付けられた前記 ICタグとデータベースとを用いて品質管理に関するトレーサビリティを可能にした方法であって、次の過程を含む。

この品質管理方法は、車輪用軸受にっき、識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理ェ程、研削工程等の各製造工程、並びに検査に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を前記識別情報により抽出可能なデータベースと、前記 ICタグとを用いて車輪用軸受を管理する品質管理方法であって、

前記車輪用軸受に取付けられた ICタグに、前記データベースに従い出荷時、または客先納入時までに、その車輪用軸受についての識別情報を書き込み、かつその車輪用軸受についての製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項のうち、少なくとも一つの情報を記録する過程と、

前記出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を前記データベースと照合して得られた情報から、購入材料の確認、製造工程の確認、その加工条件および材料情報の少なくとも一方の確認、および検査成績の確認の、ずれかを行う情報読取り利用過程とを含む。

[0043] この方法の場合、前記出荷後の任意時における情報読取り利用過程で、 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報をキーとして前記データベースと照合してその照合により得られた情報から、購入材料の確認、製造ェ程の確認、その加工条件の確認、および検査成績の確認のいずれかを行うことができる。また、 ICタグに記録された製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項のいずれかが確認できる。これら製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項等は、各種の場面において即座に知りたいことが多ぐデータべースと照合することなぐ ICタグ力も直接に読み取れることが、設備面や手間の面で便利である。グリースには、高温用や低温用等、用途に応じた各種のものがあり、外見力では分力り難いため、 ICタグ力も読み採れると便利である。また、グリースは、経時的に品質が劣化するため、製造年月日と共に封入グリース銘柄が分力ると、客先納入時等に、そのまま使用できる力、グリース交換が必要であるか等の確認が容易に行え、誤って古いグリースの封入部品を客先へ納める懸念が解消できる。前記要素品間隙間は、転がり軸受におけるラジアル隙間等でなる。

[0044] この発明において、前記第 1ないし第 3のいずれの車輪用軸受の品質管理方法においても、次の過程を含めても良い。すなわち、前記車輪用軸受の前記要素品の材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、および研削工程に至る所定の製造情報を、要素品のロット番号別に準備された製造過程用の ICタグに各工程毎に記録する過程と、この記録した情報を読み取ってその読み取り情報の一部または全体を前記車輪用軸受に取付けられた ICタグに記録する過程とを含み、前記製造過程用の ICタグに記録する製造情報として、前記各製造工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報および材料情報の少なくとも一方を含む方法とする。

[0045] このように、要素品毎の製造過程で、その製造過程用の ICタグに、材料購入から鍛造工程、熱処理工程、および研削工程に至る製造情報を、要素品のロット番号別に準備された製造過程用の ICタグに各工程毎に記録するようにすると、手書き伝票に記録する場合に比べて詳細な情報の記録が行え、また例えば端末力データベースに入力する場合と異なり、情報を入力するべき箇所が ICタグであるために視覚的に認識できて、入力作業が明確となり、誤りが生じにくい。また、要素品の材料購入から研削工程の各工程にわたる種々雑多な全ての情報をデータベースに記録するものと異なり、これらの記録情報を ICタグで持っておくため、データベースの負担が軽ぐ管理が容易になる。このため、容易に、より詳細な情報の管理することができる。前記要素品のロット番号別に準備される ICタグは、工程毎にロット区分が変わる場合は、その変わる各ロット毎に準備する。

[0046] 要素品の製造時における製造情報の記録は、データベースに行うようにしても良い。すなわち、この発明において、前記第 1ないし第 3のいずれの車輪用軸受の品質管理方法においても、前記車輪用軸受の前記要素品の材料購入カゝら鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程、および検査に至る所定の製造情報を、製造時管理用のデータベースに要素品のロット番号または要素品個別の識別番号に関連付けて記録する過程と、この記録した情報を、前記車輪用軸受に取付けられた ICタグに記録する過程とを含むようにしても良、。

[0047] 要素品の製造過程における製造情報の管理にロット番号別に準備された製造過程用の ICタグを用いる管理方法としては、次の第 4,第 5の各方法が採用できる。

この発明における第 4の車輪用軸受の品質管理方法は、個別に検査される車輪用軸受の品質管理方法である。この車輪用軸受の品質管理方法は、材料購入から鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程である鍛造'旋削工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品を複数種類含んで組み立てられる車輪用軸受の品質管理方法であって、前記各要素品について、次の各過程 (1)〜(4)を含み、各要素品を組み立てた車輪用軸受について、後述の過程を採る。

[0048] (1) .各要素品の材料購入時に、材料ロット別に準備された前記 ICタグに、対応する材料ロットについての材料ロット番号および購入材料に関する情報を記録する過程。

(2) .前記鍛造'旋削工程で、前記材料ロット別の ICタグまたはこの材料ロット別の IC タグの記録情報を引き継、だ ICタグを鍛造 ·旋削ロット別に準備し、これらの ICタグに、対応する鍛造'旋削ロットについての鍛造'旋削ロット番号および鍛造'旋削工程で得られる情報を記録する過程。

(3) .前記熱処理工程で、鍛造'旋削ロット別の ICタグまたはこの鍛造'旋削ロット別の ICタグの記録情報を引き継、だ ICタグを熱処理ロット別に準備し、これらの ICタグに、対応する熱処理ロットについての熱処理ロット番号および熱処理工程で得られる情報を記録する過程。

[0049] (4) .前記研削工程の後の検査工程で、熱処理ロット別の ICタグまたはこの熱処理ロット別の ICタグの記録情報を引き継、だ ICタグを、要素品毎または検査の単位となる同種類の要素品の組毎に準備し、これら ICタグに、対応する研削ロット番号および検査工程で得られる情報を記録する過程。

前記各要素品を組み立てた各車輪用軸受には、組立前から組立後に至る間に IC タグを取付け、この車輪用軸受に取付けられた ICタグに、個別の車輪用軸受特有の製造番号、および前記車輪用軸受に用いられた各要素品の前記検査工程後の ICタグの記録情報のうち、少なくとも製造番号を記録する。データベースには前記製造番号と対応して、前記車輪用軸受に用いられた各要素品の前記検査工程後の ICタグの記録情報、および車輪用軸受の完成後の検査情報を記録する。

[0050] なお、前記材料購入、鍛造'旋削工程、熱処理工程、および研削工程の各工程は、材料購入力も要素品の完成までを、大別した各区分のことであり、前記各工程が複数の工程カゝらなる場合や、さらに工程名称に該当しない工程を含むものであっても良い。例えば、鍛造後に旋削し、熱処理を行うような場合、旋削工程は前記鍛造ェ程に含むものとする。また、前記 (2)〜(4)の鍛造'旋削工程、熱処理工程、および研削工程の各工程で得られる情報を記録する過程では、これら鍛造 · π:程、熱処理ェ程、および研削工程の加工条件情報を含めて記録しても良い。また、前記 (2)〜(4) の鍛造'旋削工程、熱処理工程、および研削工程の各工程で得られる情報を記録する過程では、これら鍛造'旋削工程、熱処理工程

、および研削工程の加工条件情報を含めて記録しても良い。

[0051] この品質管理方法によると、各要素品の材料購入力車輪用軸受の完成後の検査内容までの履歴情報が、データベースに記憶され、車輪用軸受に取付けられた ICタグには製造番号が記録されているため、製造番号をデータベースと照合することで、前記履歴情報を車輪用軸受と 1対 1の関係管理することができる。各要素品の工程毎に発生する情報は、工程毎にその工程のロット別に準備した ICタグにロット番号と共に記録するため、詳細な履歴情報を管理することができる。

したがって、将来の改善等の対処が容易となり、寿命診断も容易となる。前記工程毎の情報は、その工程のロット毎に準備した ICタグに記録するため、手書き伝票に記録する場合に比べて詳細な情報の記録が行え、また例えば端末力もコンピュータに入力する場合と異なり、情報を入力するべき箇所が ICタグであるために視覚的に認識できて、入力作業が明確となり、誤りが生じにくい。また、要素品の材料購入から研削工程の各工程にわたる種々雑多な全ての情報をコンピュータに記録するものと異なり、これらの記録情報を ICタグで持っておくため、コンピュータの負担が軽ぐ管理が容易になる。このため、容易に、より詳細な情報の管理することができる。また、車輪用軸受の製造番号は、車輪用軸受に取付けらた ICタグに記録するので、この ICタグを、製造後の各種の用途、例えば出荷管理、流通管理、顧客管理、メンテナンス管理等に用いることができる。

[0052] この発明における第 5の車輪用軸受の品質管理方法は、ロット別に検査される車輪用軸受の品質管理方法である。この車輪用軸受の品質管理方法は、材料購入から鍛造および旋削の少なくとも一方の工程である鍛造'旋削工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品を複数種類含んで組み立てられ、前記各要素品について、次の各過程 (1)〜(3) , (4) ' を含み、各要素品を組み立てた車輪用軸受について、後述の過程を採る。前記 (1)〜(3)の過程は、前記第 4の車輪用軸受の品質管理方法と同じであるが、再度示す。

[0053] · .これら各要素品の材料購入時に、材料ロット別に準備された前記 ICタグに、対応する材料ロットについての材料ロット番号および購入材料に関する情報を記録する過程。

• .前記鍛造'旋削工程で、前記材料ロット別の ICタグまたはこの材料ロット別の I Cタグの記録情報を引き継、だ ICタグを鍛造 ·旋削ロット別に準備し、これらの ICタグに、対応する鍛造'旋削ロットについての鍛造'旋削ロット番号および鍛造'旋削工程で得られる情報を記録する過程。

(3) .前記熱処理工程で、鍛造'旋削ロット別の ICタグまたはこの鍛造ロット別の I Cタグの記録情報を引き継、だ ICタグを熱処理ロット別に準備し、これら ICタグに、対応する熱処理ロットについての熱処理ロット番号および熱処理工程で得られる情報を記録する過程。

(4) ' .前記研削工程の後の検査工程で、熱処理ロット別の ICタグまたはこの熱処理ロット別の ICタグの記録情報を引き継、だ ICタグを研削ロット別に準備し、これら I Cタグに、対応する研削ロットについての研削ロット番号および検査工程で得られる情報を記録する過程。

前記各要素品を組み立てた各車輪用軸受に、組立前力も組立後に至る間に ICタグを取付け、この車輪用軸受に取付けられた ICタグに、製造ロット番号、および前記車輪用軸受に用いられた各要素品の前記検査工程後の ICタグの記録情報のうち、少なくとも製造ロット番号を記録し、データベースに前記製造ロット番号と対応して、前記車輪用軸受に用いられた各要素品の前記検査工程後の ICタグの記録情報、および車輪用軸受の完成後の検査情報を記録する。

[0054] なお、前記 (2)〜(4) ' の鍛造'旋削工程、熱処理工程、および研削工程の各工程で得られる情報を記録する過程では、これら鍛造'旋削工程、熱処理工程、および研削工程の加工条件情報を含めて記録しても良い。

[0055] この品質管理方法の場合、車輪用軸受の製造ロット別の管理となり、 1対 1の管理とはならないが、その他の事項については、前記第 1の車輪用軸受の品質管理方法で説明した各作用，効果が得られる。データベースに対する照合は、車輪用軸受に取付けられた ICタグ力得られるロット番号で行う。

[0056] この発明において、前記材料ロット別に準備される ICタグ、鍛造ロット別に準備される ICタグ、および熱処理工程別に準備される ICタグは、同じ材料ロットの材料を複数入れた容器類、同じ鍛造ロットの要素品を複数入れた容器類、および同じ熱処理ロットの要素品を入れた容器類にそれぞれ取付けても良、。

ICタグの容器類への取付は、直接に行っても良ぐまた容器に取付けられて視覚的に認識させるためのタグに取付けても良い。 ICタグの容器類への取付は着脱自在な取付であっても良い。

ICタグを容器類に取付けておくことで、ロット毎に準備される ICタグを、常に要素品と共に移動させることができ、 ICタグの取扱が容易である。また、要素品の搬送経路で ICタグへの情報の記録を行うことができる。

[0057] この発明において、前記車輪用軸受が、材料購入カゝら鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品とは別の要素品を含むものであって、この別要素品についての情報は、車輪用軸受の組み立て後に前記データベースに製造番号またはロット番号に対応せて記録するようにしてもよい。これにより、別要素品についての情報も、車輪用軸受の完成後に知ることができる。

[0058] 車輪用軸受の場合、前記材料購入カゝら鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品は、外輪、内輪、および転動体であるか、または外輪、内輪、ハブ輪、および転動体である。これらの工程を経ない別要素品としては、保持器、シール等がある。センサ付きとする場合は、センサおよびセンサ関連部品も別要素品となる。

[0059] 前記車輪用軸受は組み立て時にグリースが封入されるものであっても良ぐその場合、前記車輪用軸受に取付けられた ICタグに、その車輪用軸受の組み立て年月日を記録することが好ましい。

グリースは、経時的に劣化するため、組み立て年月日が分かれば管理が容易になる。

[0060] この発明において、前記車輪用軸受に取付けられた ICタグに、その車輪用軸受の出荷から客先納入までの所在等の情報を記録しても良い。これにより、出荷管理、流通管理、顧客管理、メンテナンス管理等が容易になる。

図面の簡単な説明

[0061] この発明は、添付の図面を参考にして以下の実施形態の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。この発明の範囲は添付のクレームによって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の番号は、同一部分を示す。

圆 1]この発明の第 1実施形態に力かる車輪用軸受装置の部分断面図およびそのシールの拡大断面図である。

[図 2]同車輪用軸受装置に用いたセンサ付き ICタグの回路ブロック図である。

[図 3]—般的な ICタグの例の回路ブロック図である。

圆 4]この発明の第 2実施形態の部分断面図である。

圆 5]この発明の第 3実施形態の部分断面図である。

圆 6]この発明の第 4実施形態の部分断面図である。

[図 7]同実施形態の車輪用軸受装置に用!、たセンサ付き ICタグの回路ブロック図である。

圆 8]この発明の第 5実施形態の部分断面図である。

[図 9]同実施形態の車輪用軸受装置に用いたセンサ付き ICタグの回路ブロック図である。

圆 10]この発明の第 6実施形態の部分断面図である。

圆 11]この発明の第 7実施形態の部分断面図である。

圆 12]この発明の第 8実施形態の部分断面図である。

圆 13]この発明の第 9実施形態の部分断面図である。

圆 14]この発明の第 10実施形態に係る品質管理方法の管理対象となる車輪用軸受の一例を示す車輪用軸受の部分断面図である。

圆 15]第 11実施形態に係る車輪用軸受の例の部分断面図、およびその一部の部分拡大図である。

圆 16]第 12実施形態に係る車輪用軸受の例の部分断面図である。

圆 17]第 13実施形態に係る車輪用軸受の例の部分断面図である。

[図 18]第 14実施形態に係る車輪用軸受の例の部分断面図である。

[図 19]第 15実施形態に係る車輪用軸受の例における保持器の部分正面図である。圆 20]第 16実施形態に係る車輪用軸受の例におけるセンサ設置部付近の部分断面図である。 [図 21]そのセンサの拡大正面図である。

[図 22]図 22は、そのセンサ取付リングの部分拡大側面図である。

[図 23]第 16実施形態に係る車輪用軸受の例におけるシールの各例の断面図である

[図 24]ICタグとタグ交信器との関係を示す説明図である。

[図 25]ICタグの回路例のブロック図である。

[図 26]ICタグの読み出し態様例の説明図である。

[図 27]第 17実施形態に係る車輪用軸受の例の断面図である。

[図 28]第 14実施形態に係る車輪用軸受の品質管理方法の説明図である。

[図 29]同車輪用軸受の品質管理方法におけるハブ輪の製造工程および ICタグの取付過程を示す説明図である。

[図 30]同車輪用軸受の品質管理方法における要素品の管理に係る説明図である。

[図 31]同車輪用軸受の品質管理方法における要素品の他の方法による管理にかかる説明図である。

[図 32]各 ICタグの記録内容の変化を示す説明図である。

[図 33]要素品の製造工程中における ICタグへの記録形態の概念説明図である。

[図 34]データベースと ICタグの関係を示す説明図である。

[図 35]車輪用軸受の各要素品の製造過程の説明図である。

[図 36]車輪用軸受の各要素品の製造過程の他の例の説明図である。

[図 37]要素品の容器類とその ICタグへの書き込み形態の概念を示す説明図である。発明を実施するための最良の形態

[0063] この発明の第 1実施形態を図 1,図 2と共に説明する。この車輪用軸受装置は、第 3 世代型の内輪回転タイプとした例である。なお、この明細書において、車両に取付けた状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と言、、車幅方向の中央寄りとなる側をインボード側と言う。図 1では、左側がアウトボード側、右側力 Sインポード側である。

[0064] この車輪用軸受装置は、車輪用軸受 Aに ICタグ 9および磁石 10を取り付けたものである。車輪用軸受 Aは、内周に複列の転走面 5を有する外方部材 (外輪） 1と、前記転走面 5に対向する転走面 6を有する内方部材 2と、これら外内の部材 1, 2の対向する転走面間 5, 6に介在した複列の転動体 3とを有する。外方部材 1と内方部材 2間の軸受空間の両端は、シール 7, 8により密封されている。この車輪用軸受装置は複列のアンギユラ玉軸受型とされていて、前記転走面 5, 6は断面円弧状であり、各軌道面 5, 6は接触角が背面合わせとなるように形成されている。転動体 3はボール力もなり、各列毎に保持器 4で保持されている。

[0065] 外方部材 1は、固定側の部材となるものであって、一体の部材カもなり、懸架装置のナックル (図示せず)等に固定される。外方部材 1はナックルへ固定するための車体取付用フランジ laを外周に有している。外方部材 1は鍛造品である。

内方部材 2は、ハブ輪 2Aとこのハブ輪 2Aのインボード側端の外周に嵌合した内輪 2B力なり、これらハブ輪 2Aおよび内輪 2Bに前記各列の転走面 6が形成されている。ハブ輪 2Aは、外方部材 1よりもアウトボード側に車輪取付用のフランジ 2Aaを有し、このフランジ 2Aaにブレーキロータと重ねてホイール（いずれも図示せず）力周方向複数本のボルトにより取付けられる。内輪 2Bは、ハブ輪 2Aのインボード側端に設けられた加締部 2Abにより、軸方向に固定されている。ハブ輪 2Aと内輪 2Bは、いずれも鍛造品である。

[0066] インボード側のシール 8は、外方部材 1の内径面に取付けられる第 1のシール要素 8Aと、内方部材 2の外周に取付けられる第 2のシール要素 8Bとでなる組合せ型のシールである。図 1 (B)に拡大して示すように、第 2のシール要素 8Bはスリンガとなるものであり、円筒部 8Baおよびその一端の外周に延びる立板部 8Bbとでなる断面 L字状の金属部材からなる。第 1のシール要素 8Aは、芯金 8Aaと弾性部材 8Abとでなり、弾性部材 8Abに、第 2のシール要素 8Bに先端が摺接する複数のリップ 8Abaを有している。

[0067] このインボード側のシール 8における第 2のシール要素 8Bにセンサ付きの ICタグ 9 を取付け、第 1のシール要素 8Aに、センサ付き ICタグ 9と対向して磁石 10を取付けている。磁石 10は、 1箇所のみに設けても良ぐまたシール要素 8Aの円周方向の複数箇所に等配して設けても良い。また、磁石 10はリング状に設けられて円周方向に並ぶ複数の磁極を有するものであっても良い。なお、図 1 (B)において、センサ付き I Cタグ 9を第 1のシール要素 8Aに取付け、これと対向して磁石 10を第 2のシール要素 8Bに取付けてもよい。例えば、同図のセンサ付き ICタグ 9と磁石 10の位置を入れかえてもよい。

[0068] センサ付き ICタグ 9は、 RFID技術を応用した RFIDタグに、図 2のようにコイルからなるセンサ 11を付加し、全体を榭脂モールド等で一体ィ匕したものである。このセンサ付き ICタグ 9は、図 3に示す一般の RFIDタグ^ と同様〖こ、 ICチップ 12とアンテナ 1 3を有している。 ICチップ 12は、中央処理装置（CPU) 14、メモリ 15、送受信回路 16 、および電源回路 17を有しており、電源回路 17はアンテナ 13から電源を得るものとされている。メモリ 15は、情報の記憶に電源が不要なものが用いられる。 RFIDタグは、伝送方式として静電結合、電磁結合、電磁誘導、マイクロ波、光などを用いる形式のものがあり、この実施形態のセンサ付き ICタグ 9においても、前記いずれの伝送形式のものとしても良いが、ここでは、電磁誘導形式のもの、またはマイクロ波のものが用いられる。送受信回路 16およびアンテナ 13は、伝送形式に応じた構成のものとされる。

[0069] このセンサ付き ICタグ 9は、前記 RFIDタグの基本構成において、アンテナ 13からの非接触交信の経路とは別の入力系統で CPU14に信号が入力される入力処理手段 18を設け、この入力処理手段 18にセンサ 11を接続したものである。入力処理手段 18はセンサ 11の電圧波形をパルス信号に波形処理する手段とされる。入力処理手段 18は、さらに入力信号を CPU 14の指令に応じて制御する入力ポートの機能を備えたものであっても良い。なお、入力処理手段 18は、センサ 11の種類によっては、センサ出力となるアナログ信号をディジタルデータに変換する AZD変としての機能を有するものとしてもよい。電源回路 17は、アンテナ 13から得る電力の他に、コイルからなるセンサ 11の起電力を電源として用いるものとされて、る。

[0070] また、センサ付き ICタグ 9には、センサ 11から入力処理手段 18を介して入力されたデータに所定の処理を施してメモリ 15に記録するセンサ入力処理手段 19が設けられている。センサ入力処理手段 19は、 CPU14に所定の動作を行わせるプログラムからなり、 CPU 14の制御用のプログラムを記述した ROM (図示せず）や別の ROM 等に設けられる。 [0071] センサ入力処理手段 19は、カウント手段 19aと回転速度換算手段 19bとを含むものとされている。

カウント手段 19aは、磁石 10が通過したときのセンサ 11の信号をカウントして ICタグ 9内のメモリ 15に記憶する手段であり、オン信号の積算値を記録する。

回転速度換算手段 19bは、磁石 10が通過したときのセンサ 11の信号を回転速度に換算して ICタグ 9のメモリ 15に記録する手段であり、例えば所定時間毎にセンサォン信号のカウント値を時間で除算して速度データとする。速度データはメモリ 15の容量に余裕があれば全て履歴して記録することが好まし、が、サンプリング間隔を広げたり、あるいは設定速度以上の場合のみ記録する等の処理を施してメモリ使用量を節減するようにしても良い。

[0072] この構成の車輪用軸受装置によると、センサ付き ICタグ 9を設け、非接触交信の経路とは別の入力系統でセンサ 11の検出信号が入力されるものとしたため、センサ 11 で検出した実際の使用の状況を、前記 ICタグ 9に履歴として記録することができる。そのため、車輪用軸受装置の使用履歴を知ることができ、定期点検や、不備の発生時の解明、残寿命の計算、今後の改良等に役立てることができる。

[0073] この第 1実施形態では、前記センサ 11がコイルであるため、回転によりセンサ 11に起電力が発生する。この起電力を、 ICタグ 9の駆動に利用でき、また磁石 11の通過毎に発生する起電力により、車輪用軸受装置の回転が検出できる。この磁石 11が通過したときのセンサ 11の信号はカウント手段 19aによりカウントされ、メモリ 15に記録される。また、回転速度換算手段 19bは、磁石 10の通過による磁界の強弱を記録し、回転速度に換算する。これにより、回転速度の履歴を記録することが可能になる。

[0074] 前記 ICタグ 9は、この第 1実施形態ではシール 8に設けており、シール 8は、車輪用軸受装置の外部に露出する位置となるため、 ICタグ 9との非接触交信が行い易い。また、外方部材 1や、ハブ輪 2A、内輪 2B等のような複雑な工程を経て加工される部品に取付ける場合に比べて、簡単に製造されるシール 8にセンサ 11および磁石 10 を取付けると、その取付作業が容易に行える。

[0075] なお、前記第 1実施形態では、センサ付き ICタグ 9および磁石 10をシール 8に取付けた場合につき説明したが、図 4に示す第 2実施形態のように、両列の転走面 5, 5, 6, 6間で、センサ付き ICタグ 9を外方部材 1に取付け、これに対向して磁石 10を内方部材 2に取付けても良い。

また、図 5に示す第 3実施形態のように、外方部材 1のアウトボード側の端面にセンサ付き ICタグ 9を取付け、これに対向してハブ輪 2Aのフランジ 2Aaの側面に磁石 10 を取付けても良い。

[0076] 図 6,図 7は、この発明の第 4実施形態を示す。この車輪用軸受装置は、図 7に示す温度センサ 11 Aを有するセンサ付き ICタグ 9Aを、軸受空間の内部において、車輪用軸受装置に取付けたものである。センサ付き ICタグ 9Aは、例えば両列の転走面 6 , 6間で内方部材 2の外径面に取付ける。

[0077] センサ付き ICタグ 9Aは、図 2に示す第 1の実施形態におけるセンサ付き ICタグ 9と同様に、アンテナ 13からの非接触交信の経路とは別の入力系統で CPU14に信号が入力される入力処理手段 18Aを設け、この入力処理手段 18Aに温度センサ 11 A を接続したものである。前記入力処理手段 18Aは、例えば AZD変等カゝらなる。センサ付き ICタグ 9Aには、この他に、温度センサ 11Aの入力を取り込んでメモリ 15 への所定の記憶処理を行うセンサ入力処理手段 19Aが設けられている。センサ入力処理手段 19Aは、 CPU14を制御するプログラム力なり、センサ付き ICタグ 9A内の ROM (図示せず)等に記録されている。センサ入力処理手段 19Aは、所定電圧以上の動作電力があれば動作するものとし、電力不足時の対処としている。

[0078] また、温度センサ 11Aは、コイルの場合と異なり、一般に電源を必要であるため、その駆動電力は、センサ付き ICタグ 9Aに内蔵の電源回路 17から得るものとしている。電源回路 17は、アンテナ 13から非接触交信で得て CPU14や送受信回路 16を駆動するものであり、センサ 11Aの駆動のために、コンデンサ（図示せず)等を設けて蓄電が可能なものとしている。

[0079] このセンサ付き ICタグ 9Aについては、駆動のためには電力を与えることが必要であり、このセンサ付き ICタグ 9Aに対して非接触交信で電力を常時または所定の条件充足時に給電する給電手段 20 (図 6)を設けている。給電手段 20は、例えば、タイヤノ、ウス内等に設けられる。この非接触の給電手段 20の代わりに、図 7の電源回路 17 に配線接続できる端子（図示せず)を設け、この端子に電池または発電機を配線接続しても良い。発電機としては、車輪用軸受装置にアンチロックブレーキシステムの制御等のための発電タイプの回転検出器（図示せず)を設ける場合に、その起電力を利用できる。この第 4実施形態におけるその他の構成は、図 1,図 2に示す第 1実施形態と同様である。

[0080] この第 4実施形態の場合、温度センサ付きの ICタグ 9Aを設けたことにより、軸受内部等の温度の履歴を記録できる。

[0081] 図 8,図 9は、この発明の第 5実施形態を示す。この第 5実施形態は、図 6,図 7に示す実施形態において、温度センサ 11A付きの ICタグ 9Aに代えて、歪みセンサ 11B 付きの ICタグ 9Bを設けたものである。歪みセンサ付きセンサ付き ICタグ 9Bは、ハブ輪 2Aのフランジ 2Aaの根元部に取付けている。歪みセンサ 11B付き ICタグ 9Bは、図 7の温度センサ付き ICタグ 9Aにおいて、温度センサ 11 Aに代えて、図 9のように歪みセンサ 11Bを設けたものである。この第 5実施形態におけるその他の構成は、図 6 ,図 7に示す第 4実施形態と同じである。

[0082] ハブ輪 2Aの車輪取付用フランジ 2Aaの根元部は、車輪用軸受装置として荷重条件の厳、箇所となる。このような箇所にセンサ付き ICタグ 9Bの歪みセンサ 11Bを取付け、受けた応力の大きさと回数等を記録する。これにより、定期点検時等にその記録を読み、疲労限界に達する前に車輪用軸受装置を交換することができる。

[0083] 図 10は、この発明の第 6実施形態を示す。この第 6実施形態は、図 8に示す第 5実施形態において、歪みセンサ付き ICタグ 9Bを、ハブ輪 2Aのフランジ 2Aaに取付けたものである。センサ付き ICタグ 9Bの取付位置は、このフランジ 2Aaのインボード側の側面における外径縁としている。必ずしも外径縁でなくても、フランジ 2Aaの径方向の略中央付近力も外径端までの範囲であっても良い。また、例えば図 11に示す第 7実施形態のように、フランジ 2Aaに凹部 21を設け、この凹部 21内にセンサ付き ICタグ 9Bを取付けても良い。凹部 21は貫通した孔であっても良い。これらの開口 21は、軽量ィ匕のためにフランジ 2Aの肉を盗んだ部分等が利用できる。

[0084] ハブ輪 2Aには、ブレーキロータ 22が、ホイール（図示せず）と共に車輪取付用のボルト 23で取付けられる。ボルト 23は、フランジ 2Aを貫通した圧入孔 24に圧入されたものである。ブレーキロータ 22は、ブレーキディスクであっても、ブレーキドラムであつても良い。この実施形態におけるその他の構成は、図 8,図 9に示す第 5実施形態と同様である。

[0085] この第 6実施形態のように、ブレーキロータ 22が取付けられるフランジ 2Aの外径部分にセンサ付き ICタグ 9Bの歪みセンサ 11B (図 9)が取付けられていると、ブレーキジャダ一、つまりブレーキ時のフランジ面の振れが記録できる。これにより、定期点検で事前にフランジ振れの精度確認ができる。

[0086] なお、歪みセンサ付きセンサ付き ICタグ 9Bは、前記各実施形態の他に、例えば車輪取付用ボルト 23の根元部に設置しても良い。この場合、センサ付き ICタグ 9Bに、受けた応力の大きさと回数を記録することができ、この記録データを非接触で読み出すことで、ボルト 23の疲労限界に達する前に車輪用軸受装置を交換することができる。

また、センサ付き ICタグ 9Bを、転走面 5, 6に複数取付け、各歪みセンサ 11Bの検出値をメモリ 15に記録することで、応力最大位置を確認することができ、これより正確な接触角を確認することができる。

[0087] 図 12はこの発明の第 8実施形態を示す。この第 8実施形態は、図 6,図 7に示す第 4実施形態において、温度センサ付 11A付きの ICタグ 9Aに代えて、水検出センサ（図示せず）を有するセンサ付き ICタグ 9Cを設けたものである。水センサ付き ICタグ 9 Cは、図 7のセンサ付き ICタグ 9Aにおいて、温度センサ 11Aに代えて水検出センサを設けたものである。

水センサ付き ICタグ 9Cの取付位置は、外方部材 1と内方部材 2間の軸受空間内とする。例えば、シール 7, 8と転走面 5, 6との間における外方部材 1の内周面や、内方部材 2の外周面とする。この実施形態におけるその他の構成は、図 6,図 7に示す第 4実施形態と同様である。

[0088] この第 8実施形態の場合、軸受内への水の浸入履歴が ICタグ 9Cに記録できる。車輪用軸受装置は、使用条件によっては、軸受内部への水の浸入がある。この水の浸入の経路と発生時期を特定することは、従来の軸受では困難である。例えば、水が浸入してグリース劣化が生じても、水が蒸発すると、水の浸入の事実がわ力ない。前記構成のように、センサ付き ICタグ 9Cに水検出センサを設けて水浸入の主経路となる箇所に水検出センサを配置すると、水の浸入を監視でき、どの段階で浸入した力あるいは浸入回数等を履歴として記録し、定期点検時等に確認することができる

[0089] 図 13は、この発明の第 9実施形態を示す。この例は、図 1,図 2に示す第 1実施形態において、センサ付き ICタグ 9および磁石 10を設ける代わりに、車輪用軸受装置の検出対象を検出するセンサユニット 25を取付け、このセンサユニット 25のセンサ出力を記録する ICタグ 9Dを設けたものである。この場合の ICタグ 9Dは、図 3に示す一般的な RFIDタグ等の非接触交信が可能な ICタグにぉ、て、非接触交信の経路とは別の外部入力端子 9Daを有するものである。この外部入力端子付きの ICタグ 9Dは、センサユニット 25内に設ける力またはセンサユニット 25の信号を自動車の ECU (電気制御ユニット） 26に伝える信号線に接続して設ける。センサユニット 25におけるセンサ 25aは、回転センサ、または変位センサ等である。この実施形態におけるその他の構成は、図 1に示す第 1実施形態と同様である。

[0090] この構成の場合、 ICタグ 9Dはセンサ付きとしないが、センサ 25aの出力を車両の制御目的等に用いると共に、履歴として ICタグ 9Dに残すことができる。そのため、後の点検時に車輪用軸受装置の利用の履歴を確認でき、定期点検における寿命判定等に役立てることができる。

[0091] なお、前記第 1〜第 9実施形態は、いずれも第 3世代型の車輪用軸受装置に適用した場合につき説明したが、この発明は、世代形式を問わず適用することができる。また、前記各実施形態は内輪回転型の車輪用軸受装置に適用した場合につき説明したが、この発明は外輪回転型の車輪用軸受装置にも適用することができる。

[0092] 次に、車輪用軸受の品質管理方法について説明する。図 14は、この発明の品質管理方法の管理対象となる車輪用軸受 Aの一例を示した第 10実施形態であって、図 1に示す車輪用軸受装置と同一部分は同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。

[0093] ハブ輪 2Aは、外輪 1よりもアウトボード側部分の外周に車輪取付用のフランジ 39を有し、このフランジ 39の円周方向複数箇所にボルト圧入孔 40が設けられている。各ボルト圧入孔 40には、車輪取付ボルト 41が圧入される。ハブ輪 2Aのフランジ 39よりもアウトボード側には、ブレーキパイロット 42およびホイールパイロット 43が設けられている。また、ハブ輪 2Aは内径孔 44を有しており、この内径孔 44に等速自在継手の外輪のステム部（図示せず）が挿入されてスプライン嵌合する。前記ステム部の先端の雄ねじ部に螺合したナットの締め付けによって、内方部材 2と等速自在継手外輪とがー体に回転可能に結合される。

[0094] この車輪用軸受 Aにおける内方部材 2に、非接触交信型の ICタグ 9Eが取付けられている。 ICタグ 9Eの取付位置は、ハブ輪 2Aのホイールパイロット 43よりも内径側のアウトボード側端面 2Aaとされている。ただし、この端面 2Aaが等速自在継手外輪との結合用のナット（図示せず)の座面となる場合は、その座面となる部分を除く範囲に取付ける。

ICタグ 9Eは、この例では、前記端面 2Aaの表面に貼り付けによって取付けられている。なお、 ICタグ 9Eは、金属表面に取付可能のものを用いるか、または絶縁材または誘電体等の電波障害防止材（図示せず)を介在させた上に、 ICタグ 9Eを取付けるようにしている。

[0095] 図 24,図 25と共に、前記 ICタグ 9Eにっき、具体的に説明する。 ICタグ 9Eに対する情報の読み書きは、タグ交信器 50により行われる。 ICタグ 9Eが読み書きの両方が可能なタイプのものである場合は、タグ交信器 50として、 ICタグリーダ Zライタが用いられ、 ICタグ 9Eが読み出し専用のものである場合は、タグ交信器 50として書き込み機能のないタグリーダが用いられる。タグ交信器 50は、 ICタグ 9Eに対向させるアンテナ 51を有している。 ICタグ 9Eは、非接触で情報の記録および読取りが可能なもの、または上書き不能なものであり、 ICチップ (集積回路のチップ） 52と、アンテナ 53とで構成される。これら ICチップ 52とアンテナ 53は、例えば榭脂（図示せず)で一体に包囲される。 ICタグ 9Eには種々の形式，形状，大きさのものがあり、短冊状や板状の物の他、例えば lmm未満の大きさの角状や球状の物などがある。また、対象物に直接に印刷等で形成される ICタグ 9Eもある。記憶容量も種々異なるものがあるが、用途や取付対象となる梱包容器の大きさ，種類等に応じて適宜選択すればよい。

[0096] ICタグ 9Eとしては、例えば RFID技術を応用した RFIDタグが利用できる。 RFID形式の ICタグは、伝送方式として静電結合、電磁結合、電磁誘導、マイクロ波、光などを用いる形式のものがあり、このうちいずれの形式のものを用いても良い。例えば電磁誘導形式のもの、またはマイクロ波のものが用いられる。

[0097] 図 25は、 ICタグ 9Eの具体的回路例を示す。この ICタグ 9Eの ICチップ 52は、中央処理装置 (CPU) 54、メモリ 55、送受信回路 56、および電源回路 57を有しており、電源回路 57はアンテナ 53から電源を得るものとされている。メモリ 55は、情報の記憶に電源が不要なものが用いられる。

図 14の車輪用軸受 Aによると、この軸受装置を構成する要素品に ICタグ 9Eを取付けたので、車輪用軸受 Aのロット番号や製造番号等の識別情報を記録したり、さらに I Cタグ 9Eに製造履歴情報を記録することも可能になる。製造履歴情報としては、製造場所、製造年月日、加工条件情報、加工後の寸法、その他各種の検査結果等がある。予圧に関する情報を ICタグ 9Eに記録しても良い。 ICタグには非接触交信型のものを用いるため、適宜の ICタグ交信器 50を用いることにより、車両に車輪用軸受 Aを取付けたままで、例えば図 26に示すように、 ICタグ 9Eの記録情報を読み出すことができる。そのため、定期点検時やその他の必要時に、車輪用軸受について知りたい情報を容易に知ることができる。タグ交信器 50に、交信を行うタグリーダ部 50aの他に、 ICタグ 9Eの読み取り情報の結果を処理する情報処理手段 50bを設けておけば、製造番号等から、所定の点検対象品である力否かの判別もその場で行える。また、 ICタグ 9Eに大容量のものを用いれば、車輪用軸受 Aを構成する各要素品の全ての製造履歴を ICタグ 9Eに記憶させることもできる。その場合、データベース等の照合することなぐ車輪用軸受 Aについての製造履歴を容易に読み出すことができる。

[0098] 図 14の車輪用軸受 Aの例では、 ICタグ 9Eの取付位置力鍛造品であるハブ輪 2A のホイールパイロット 43よりも内径側のアウトボード側端面 2Aaとされている。この面 2 Aaは後に旋削加工を施さない面であるため、ハブ輪 2Aの鍛造直後に ICタグ 9Eを取付けることができる。ただし、鍛造直後にショットブラストを施す場合は、その後に IC タグ 9Eを取付ける。これより、鍛造後の各工程、例えば一次旋削、高周波焼入れ、 2 次旋削、研磨等までの全工程の履歴を、その工程の都度記録して残すことができる。熱処理は、転走面 6の表面硬化等のために行われるが、高周波焼入が採用されるため、鍛造直後に ICタグ 9Eを取付けても、 ICタグ 9Eに熱処理の影響があまり伝わらないようにできる。

また、このアウトボード側端面 2Aaは、車輪用軸受 Aを車両に取付けた状態において、車両の外側を向く面であるため、車輪用軸受 Aを車両に取付けたままで、タグ交信器 50等を近づけることで、容易に記憶情報の読み出しが行える。

[0099] 図 15は、この発明の品質管理方法の管理対象となる車輪用軸受 Aの第 11実施形態を示す。図 14の例では、 ICタグ 9Eをノヽブ輪 2Aの表面に直接に貼り付けるようにした力図 15の例では、ハブ輪 2Aにタグ取付用凹部 45を設け、このタグ取付用凹部 4 5内に ICタグ 9Eを設けている。この場合に、電波吸収対策として、タグ取付用凹部 4 5の内面を覆う絶縁部材 46を設け、この絶縁部材 46に埋め込み状態に前記 ICタグ 9 Eを取付けることが好ましい。絶縁部材 46は、金属と ICタグ 9Eとが電気的に干渉を生じないギャップが得られれば良ぐ例えば榭脂製の部材である。この場合、榭脂モ一ルドにより ICタグ 9Eをタグ取付用凹部 45内に固定しても良い。また、 ICタグ 9Eを絶縁部材 46で被覆した後、その被覆付きの ICタグ 9Eをタグ取付用凹部 45内に取付けても良い。

[0100] このようにタグ取付用凹部 45の内面を覆う絶縁部材 46を設けることで、金属表面における電波の障害等の問題を生じることなぐ ICタグ 9Eの読み出しが可能になる。また埋め込み状態に取付けると、他の器物との干渉の問題や脱落の問題が生じ難い。この例におけるその他の構成は、図 14に示す第 10実施形態と同様である。

[0101] なお、図 15 (B)のようにタグ取付用凹部 45の内面を覆う絶縁部材 46を設け、この絶縁部材 46に埋め込み状態に前記 ICタグ 9Eを取付ける構成、あるいは ICタグ 9E を絶縁部材 46で覆ってタグ取付用凹部 45内に埋め込む構成は、ハブ輪 2Aに取付ける場合に限らず、外輪 1や、シール 7, 8の芯金など、金属部品に ICタグ 9Eを取付ける場合に一般に適用することができる。

[0102] ハブ輪 2Aにおいて、 ICタグ 9Eを取付ける箇所は、この他に、例えば図 16に示す第 12実施形態のように、フランジ 39のインボード側の側面であっても良い。この面は、車輪用軸受 Aの車両への取付後も周辺に空間が得られ、 ICタグ 9Eとの交信が行い易い。

[0103] 図 17に示す第 13実施形態のように、 ICタグ 9Eは外輪 1に取付けても良い。取付位置は、車体取付用フランジ laよりもアウトボード側の外周面が好ましい。この外周面部分は、車輪用軸受の車両への取付後も周辺に空間が得られ、 ICタグ 9Eとの交信が行い易い。外輪 1は一般に鍛造品とされるため、この場合も、鍛造直後に ICタグ 9 Eを取付けることで、鍛造後の各製造工程の情報を記録することができる。

[0104] 図 17に示す第 13実施形態では、 ICタグ 9Eを外輪 1とハブ輪 2Aの両方に取付けており、その場合、外輪 1およびノヽブ輪 2Aの ICタグ 9Eに、これら外輪 1およびノヽブ輪 2Aの鍛造後の情報を記録しておくことができる。

なお、内輪 2Bも鍛造品であり、これに ICタグ 9Eを取付けても良い。

[0105] 図 18に示す第 14実施形態では、ハブ輪 2Aのフランジ 39のボルト圧入孔 40に圧入された車輪取付ボルト 41の端面に ICタグ 9Eを取付けた例を示す。同図では、車輪取付ボルト 41の両端に ICタグ 9Eを図示している力いずれか片方に取付ける。すなわち、頭部と軸部先端のいずれか一方に ICタグ 9Eを取付ける。この場合も、 ICタグ 9Eは、表面に設けても埋め込み状態に設けても良い。車輪取付ボルト 41の端面も、車輪用軸受の車両への取付後も周辺に空間が得られ、 ICタグ 9Eとの交信が行い易い。

[0106] ICタグ 9Eにはコンパクトな構成のものがあり、このような ICタグ 9Eを用いることにより、前記ボルト端面や、図 14に示すノヽブ輪 2Aのホイールパイロット 43よりも内径側部分など、刻印やレーザマーキングが困難な場所にも ICタグ 9Eを取付けることができる

[0107] ICタグ 9Eの取付箇所は、前記の他に、図 19の第 15実施形態のように、保持器 4としても良い。保持器 4が合成樹脂製のものであると、金属表面に直接に取付けられない ICタグ 9Eであっても、支障なく取付けることができる。

[0108] 図 20ないし図 22に示す第 16実施形態、図 23 (A)に示す第 17実施形態は、いずれも車輪用軸受 Aにおいて、センサ関連部品に ICタグ 9Eを取り付けた各種の例を示す。前記第 16実施形態は、回転センサ 48を設けた例であるが、回転以外の検出対象、例えば温度や荷重等を検出するセンサ（図示せず)を設ける場合も同様である。

[0109] 図 20の第 16実施形態は、図 14の第 10実施形態において、内方部材 2にェンコ一ダ 47を取付け、外輪 1にセンサキャップ 49を介して回転センサ 48を取付けたものである。エンコーダ 47は、芯金 47aと多極磁石 47bとでなる磁気エンコーダである。回転センサ 48には、ホール素子や磁気抵抗素子等を有するものが用いられる。回転センサ 48は、アンチロックブレーキシステムの制御等に使用されるものでる。なお、この例の場合、内輪 2Bは、ハブ輪 2Aの加締部 2Acで固定されている力車輪用軸受 A としてのその他の構成は、図 14に示す第 10実施形態と同様である。

[0110] このように回転センサ 48等のセンサ類を取付けた車輪用軸受 Aの場合は、センサ関連部品となる前記エンコーダ 47や、前記回転センサ 48、これらの取付用部品等に ICタグ 9Eを取付けても良、。

例えば、図 20の例のように、センサキャップ 49に ICタグ 9Eを取付けても、また図 21 の例のように回転センサ 48に ICタグ 9Eを取付けても良い。この他に、回転センサ 48 を図 22の様なセンサリング 50を介して外輪 1に取付ける場合に、センサリング 60に I Cタグ 9Eを取付けても良、。

[0111] 回転センサ 48等のセンサは、一般的に出荷時に全数が検査される。そのため、その検査時に出荷時の初期性能等の情報を ICタグ 9Eに書き込むことができ、書き込み工程を別に設けることが不要で、効率の良い書き込みが行える。従来から型番や製品ロット等の製品情報は製品自体に刻印等で表示されるか、または梱包箱に記載される力製品自体や梱包箱に記載できる内容は最少限に限られる。前記のようにセンサ関連部品に ICタグ 9Eを取付けることで、出荷時の多量の情報を記録することができ、書き込んだ情報は、調査等の必要なときに、いつでも読み出すことができる。

[0112] 図 23 (A) , (B)は、シール 8に ICタグ 9Eを取付けた各例を示す。これらの例は、いずれもシール 8力固定側シール 8aとスリンガ 8bとでなる組み合わせ型のものとされている。固定側シール 8aは図 14に示す第 10実施形態の外輪 1に取付けられ、回転側シール 8bは内方部材 2に取付けられる。また、固定側シール 8aは、芯金 8aaとゴム等の弾性部材 8abとでなる。回転側シール 8bは、エンコーダ 47の芯金を兼ねており、多極磁石 47bが設けられている。

[0113] 図 23 (A)の例では、 ICタグ 9Eは、固定側シール 8aの軸受外向きの端面に取付ける力、または回転側シール 8bにおける軸受外側を向く面に取付けられている。同図では各場所に取付けた例を同じ図に示しており、 2か所に ICタグ 9Eを図示している力これら 2か所の ICタグ 9Eは選択的に設けられる。

図 23 (B)の例は、固定側シール 8aの弾性部材 8abに、外輪 1の端面へ延びる部分 8acを一体に設け、この部分 8acに ICタグ 9Eを埋め込み状態に設けて、る。

これら図 23 (A) , (B)の例は、いずれも ICタグ 9Eが軸受外向きとなる面に取付けられているため、交信が行い易い。図 23 (B)の例では、弾性部材 8ab内に ICタグ 9Eを埋め込み状態に設けているため、金属に直接に設置できない ICタグ 9Eでも使用が可能であり、また埋め込み状態のために ICタグ 9Eが保護される。

[0114] なお、前記各例は、いずれも第 3世代型の車輪用軸受にっき説明したが、この発明の車輪用軸受の品質管理方法は第 1〜第 4世代型のいずれの世代型の車輪用軸受にお！/、ても適用することができる。

[0115] また、図 27に示す第 18実施形態のように、外輪回転タイプの車輪用軸受 A1にも適用できる。同図の車輪用軸受 A1は、外輪 31Aと一対の内輪 32C, 32Cとを有し、これら内外輪 32C, 31 Aの複列の転走面 36A, 35Aの間に転動体 33Aが介在している。各列の転動体 33Aは、保持器 34Aにより保持されている。また、内外輪 32C, 31A間の軸受空間の両端はシール 37A, 38Aにより密封されている。

[0116] 次にこの発明の第 10実施形態に係る車輪用軸受の品質管理方法を図 28と共に説明する。図 28は、車輪用軸受 Aの製造から廃棄までの流れの各段階と、その各段階での ICタグ 9Eを利用した品質管理過程を示す。この車輪用軸受 Aの品質管理方法は、車輪用軸受に ICタグ 9Eを取付け、この ICタグ 9Eに車輪用軸受 Aに関する材料購入から、鍛造工程、熱処理工程、研削工程および検査に至る所定の製造情報を記録し、 ICタグ 9E力読み取った記録情報から、車輪用軸受の品質管理に関するトレーサビリティを可能にする方法である。前記鍛造過程は、鍛造の後に旋削を含む過程であっても良ぐ鍛造せずに素材力旋削を行う過程であっても良い。

この車輪用軸受の品質管理方法は、次の ICタグ取付過程 Rl、製造情報の記録過程 R2、および記録情報の読取り利用過程 R3を含む。

[0117] (ICタグ取付過程 R1)

この過程では、車輪用軸受 Aの製造時または製造完了時に ICタグ 9Eを車輪用軸受 Aに取付ける。この場合に、車輪用軸受を構成する要素品 95の一つに ICタグ 9E を取付けてから、車輪用軸受 Aを組み立てても良ぐまた車輪用軸受 Aの組立が完了してから車輪用軸受に ICタグ 9Eを取付けても良い。前記要素品 95は、例えば図 1 4の例の外輪 1,ハブ輪 2A,内輪 2B,転動体 3等のことであり、これらを特に区別する必要のない場合は、要素品 95と総称する。

[0118] (製造情報の記録過程 R2)

この過程では、この車輪用軸受 Aに取付けられた ICタグ 9Eに、出荷時または客先納入時までに、その車輪用軸受 Aについての材料購入から、鍛造工程、熱処理工程、研削工程、および検査に至る所定の製造情報を記録する。この記録する製造情報には、鍛造工程、熱処理工程、研削工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報を含ませる。前記車輪用軸受 Aについての材料購入、鍛造工程、熱処理工程、および研削工程は、車輪用軸受 Aの各要素品 95についての材料購入、鍛造工程、熱処理工程、および研削工程のことである。加工条件情報は、例えば鍛造ェ程ではプレス圧やサイクルタイム等であり、熱処理工程では熱処理温度、熱処理時間、熱処理方法等であり、研削工程では砲石回転速度や切り込み速度、送り速度等である。前記製造情報として、加工条件の他に、その車輪用軸受についての製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項のうち、少なくとも一つの情報を記録することが好ましい。また各種検査結果も記録することが好ましい。各種検査結果には各要素品 95毎の検査結果と、完成品としての検査結果とが含まれる。また、これらの製造情報の他に、車輪用軸受 Aの識別情報を記録することが好ましい。車輪用軸受 Aの識別情報は、個々の車輪用軸受 Aに個別の識別情報、例えば製造番号であっても、また車輪用軸受 Aのロット別の識別情報、例えばロット番号であっても良い。製造情報の記録は、一度に行っても、また何回かに分けて行っても良い。例えば、車輪用軸受 Aの組立が完了して完成品検査をしたときに、検査結果や検査条件にかかる情報を記録し、後に残りの製造情報を記録しても良ぐまた前記検査の情報を含めて全ての製造情報を一度に記録しても良い。

[0119] (製造過程で ICタグを取付け、工程毎に記録する場合の例）

ICタグ 9Eの車輪用軸受 Aへの取付けは、例えば図 29にハブ輪 2Aの場合の例を示すように、鍛造直後に行うようにしても良い。図 14の例で説明したように、鍛造後に機械加工を施さない面であると、 ICタグ 9Eを鍛造直後に取付けても良い。鍛造後にショットブラスト等を施す場合は、その処理を後に ICタグ 9Eを取付ける。

ハブ輪 2Aは、その後に、旋肖 ij、高周波熱処理、および研削 (研磨または超仕上げを含む)の工程を経て製造されるが、鍛造直後に ICタグ 9Eを取付けた場合、その後の各工程の製造情報を、工程毎に ICタグ 9Eに記録して行くことができる。熱処理は転走面 6の高周波熱処理であるため、取付けられた ICタグ 9Eを熱で損傷する問題が回避できる。

図 29は、要素品 95がハブ輪 2Aの場合の例である力外輪 1や内輪 2B等の鍛造品についても、ハブ輪 2Aと同様に、鍛造直後に ICタグ 9Eを取付け、その要素品 95 につ、ての製造情報を、各工程毎に ICタグ 9Eに記録して行くことができる。

[0120] このようにハブ輪 2A等の各要素品 95に記録した情報は、後に車輪用軸受 Aのいずれかの要素品 95等に取付けられた ICタグ 9Eに全て転記しておき、一つの ICタグ 9Eで全ての要素品 95につ、ての情報が読み取れるようにしても良、。その場合の全情報を記録しておく ICタグ 9Eは、車輪用軸受 Aを自動車に取付けたままで読み取りが行い易い箇所が好ましい。例えば、図 14の例のように、ハブ輪 2Aのホイールパィロット 43よりも内径側の端面 2Aaの ICタグ 9Eとしても良ぐまた図 20,図 21等と共に説明したセンサ 48やセンサ関連部品に取付けた ICタグ 9Eとしても良い。

[0121] (情報読取り利用過程 R3)

この過程は、出荷後の任意時に、前記 ICタグ 9Eの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、少なくとも前記加工条件情報の確認を行う過程である。

車輪用軸受 Aの完成カゝら廃棄までの一般的な流れとしては、図 28のように、車輪用軸受 Aの組立完成から、完成品検査、出荷、倉庫での保管、営業所での保管、客先納入 (顧客自動車メーカーによる購入、自動車への車輪用軸受の組み込み）、顧客または販売会社における自動車の販売ルート (または自動車のリースのルート）と、自動車の使用者での購入および使用、廃棄、という流れとなる。特注品の場合は、出荷後に直接に客先に納入されることもある。

ICタグ 9Eに記録された情報の読取りおよび利用は、出荷後の任意の段階で、必要に応じて行われ、その読取り情報力必要な情報の確認が行われる。例えば、自動車の所有者での使用の段階で、整備工場や、自動車の所在する現場等で、車輪用軸受 Aに取付けられている ICタグ 9Eから、その車輪用軸受についての材質や性能等の各種の情報が読み取られ、技術的な解析が行われる。このときに、記録情報に各要素品 95の材質や検査結果だけでなぐ加工条件情報が含まれていると、原因解明が容易にかつ精度良く行われる。

[0122] ICタグ 9Eの情報読み取りに際して、自動車に取付けられている車輪用軸受 Aは、自動車に取付けたままで、例えば図 26と共に前述したように自動車にタグ交信器 50 を近づけることで行える。そのため簡単かつ迅速に、車輪用軸受 Aについての情報が得られる。

例えば、タグ交信器 50に設けられた情報処理手段 50bに、軸受の点検対象範囲の情報を記憶させておき、またタグ交信器 50に付設の情報処理手段に前記点検対象範囲の情報を記憶させておき、 ICタグ 9Eの読み取り情報と点検対象範囲の情報とを比較して点検対象品力否かの判別結果を出力させるようにしてもよい。対象範囲の情報は、例えば製造番号の範囲の情報であっても、また製造年や製造場所の範囲の情報であっても良い。図 26の例は、タグ交信器 50は携帯型のものであって、タグリーダ部 50aと情報処理手段 50bと有するものを用いている。タグ交信器 50は、タグリーダ Zライタであっても良、。

[0123] 図 28において、情報読取り利用過程 R3における付カ卩的な利用として、車輪用軸受 Aに取付けられた ICタグ 9Eにおけるメモリの空き容量部分力出荷管理や、在庫管理、流通管理、メンテナンス管理等に適宜用いられる。

[0124] この車輪用軸受の品質管理方法によると、出荷後の任意時の情報読取り利用過程 R3で、鍛造工程、熱処理工程、研削工程等のいずれかの加工条件情報を確認することができるため、転動体 3を有し複数の要素品 95からなり、厳しい品質，精度が求められる車輪用軸受 Aにおいても、技術的な解明等を容易に行うことができる。また、この方法の場合、別のデータベースを用いることなぐ ICタグ 9Eのみで情報を管理することができるため、加工条件情報を確認する施設において、データベースへの通信設備やアクセス権限等の有無にかかわらずに加工条件情報の読み取りが行える。 [0125] 前記実施形態は、 ICタグ 9Eにできるだけの製造情報を記録してぉ、て、その記録情報により品質管理を行う方法であるが、データベース 70と併用しても良い。

すなわち、データベース 70として、車輪用軸受 Aの識別情報に関連付けてその車輪用軸受 Aに関する材料購入から、鍛造工程、熱処理工程、研削工程および検査に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を前記識別情報により抽出可能なものを準備しておく。このデータベース 70と、車輪用軸受 Aに取付けられた ICタグ 9Eとを用いて品質管理を行う。この場合、前記各過程 R1〜R3では次の処理を行う。

[0126] (ICタグ取付過程 R(l) )

この過程 R1は、前記実施形態と同じである。

(製造情報の記録過程 R2)

この過程では、車輪用軸受 Aに取付けられた ICタグ 9Eに、前記データベース 70に従い、出荷時、または客先納入時までに、その車輪用軸受 Aについての製造番号またはロット番号等の識別情報を記録し、かつその車輪用軸受 Aについての製造情報を記録する。この記録する製造情報には、各要素品 95の鍛造工程、熱処理工程、研削工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報を含ませる。データべ一ス 70を併用するため、 ICタグ 9Eへ記録する製造情報は、 ICタグ 9Eから直接に読取ることが便利な情報だけに限っても良い。例えば、車輪用軸受 Aについての製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項などは、 ICタグ 9Eに記録しておくことが好ま、。

(情報読取り利用過程 R3)

この過程では、前記出荷後の任意時に、 ICタグ 9Eの記録情報を読み取って、その読み取り情報から、または読み取られた識別情報を前記データベース 70と照合してその照合により得られた情報から、購入材料の確認、製造工程の確認、その加工条件情報の確認、および検査成績の確認等のいずれかを行う。 ICタグ 9Eやデータべース 70に記録されて、るその他の各種の利用を行っても良!、。

[0127] この管理方法においても、出荷後の任意時の情報読取り利用過程 R1で、鍛造ェ程、熱処理工程、研削工程等のいずれかの加工条件情報を確認することができる。そのため、厳しい品質，精度が求められる車輪用軸受 Aにおいても、技術的な解明等を容易に行うことができる。また、車輪用軸受 Aに取付けられた ICタグ 9Eには、識別情報を記録し、データベース 70に前記識別情報と対応して各種の情報を記録するため、限りある ICタグ 9Eの記憶容量に頼らずに、多量の情報をデータベース 70から引き出すことができる。また ICタグ 9Eの残りの記憶容量を、出荷後や客先納入後の各種の履歴管理等に利用することができる。この管理方法およびデータベース 70 の詳細は、後に図 30以降の各図と共に説明する。

[0128] 前記各実施形態にお!、て、製造情報の記録過程 R2で記録するための各種の製造情報の収集は、製造時管理用のデータベース 71に記録しておいて、車輪用軸受 A の ICタグ 9Eに記録するようにしても良ぐまた車輪用軸受に取付けられる ICタグ 9Eとは別の製造過程用の ICタグ 9Fを利用して行っても良、。製造過程用の ICタグ 9Fは、車輪用軸受 Aに取付けらる ICタグ 9Eと同様に、 RFIDタグ等が用いられる力車輪用軸受 Aに取付ける ICタグ 9Eに比べて、外形寸法の大きなものを用いることができる。

製造時管理用のデータベース 71に記録しておく方法では、車輪用軸受 Aの要素品 95の材料購入から、鍛造工程、熱処理工程、研削工程、および検査に至る所定の製造情報を、製造時管理用のデータベース 71に要素品 95のロット番号または要素品個別の識別番号に関連付けて記録する過程と、この記録した情報を、前記車輪用軸受 Aに取付けられた ICタグ 9Eに記録する過程とを含む。なお、製造時管理用のデータベース 71は、例えば、コンピュータネットワークにおける 1台または複数台のコンピュータ (図示せず）に設けられる。

[0129] 製造過程用の ICタグ 9Fを利用する方法は、後に図 30以降の各図と共に詳述する力概略を示すと次のとおりである。この方法では、車輪用軸受 Aの要素品 95の材料購入から鍛造工程、熱処理工程、および研削工程に至る所定の製造情報を、要素品 95のロット番号別に準備された製造過程用の ICタグ 9Fに各工程毎に記録する過程と、この記録した情報を読み取ってその読み取り情報の一部または全体を前記車輪用軸受 Aに取付けられた ICタグ 9Eに記録する過程とを含む。製造過程用の IC タグ 9Fに記録する製造情報として、鍛造工程、熱処理工程、および研削工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報を含むようにする。 [0130] 製造過程用の ICタグ 9Fを利用する方法は、特注品等のように個別に検査される車輪用軸受 Aの場合と、一般品等のようにロット別に検査される車輪用軸受 Aの場合と力 Sある。一般的にはロット別検査とされる。図 30は個別検査品（特注品）の場合を示し、図 31はロット別検査品（一般品）の場合を示す。個別検査品 (特注品）とロット別検査品（一般品）とで、研削工程後の検査、および組立後の検査が個別検査かロット別検査かで異なる他は、同じであるため、まず、個別検査品（特注品）について説明し、ロット別検査品（一般品）については、個別検査品（特注品）との違いを説明する。

[0131] この品質管理方法の管理対象とする車輪用軸受 Aは、複数種類の要素品 95 ((1) 〜(！ 1) (nは自然数））を組み立てたものであって、それら複数種類の要素品 95 ((1)〜 (n)が、材料購入 S1から、鍛造工程 S2、熱処理工程 S3、および研削工程 S4、を経て製造されるものである。前記各要素品 95 ((1)〜(n))は、図 14に示すような内輪回転タイプのものである場合は、外輪 1、ハブ輪 2A、内輪 2B、および転動体 3である。車輪用軸受が図 27に示すような外輪回転タイプのものである場合、外輪 31A、内輪 32 C、および転動体 33Aである。

車輪用軸受 Aは、前記材料購入 S1から、鍛造工程 S2、熱処理工程 S3、および研削工程 S4を経て製造される要素品 95とは別の要素品 96を含むものであっても良い。別要素品としては、保持器 4 (図 14)およびシール 7, 8等がある。図 20の例のようなセンサ付きの車輪用軸受 Aである場合は、センサ 48およびその他のセンサ関連部品も別の要素品 96となる。

前記材料購入 S1から、鍛造工程 S2、熱処理工程 S3、および研削工程 S4の各ェ程は、材料購入力も要素品の完成までを、大別した各区分のことであり、前記各工程が複数の工程カゝらなる場合や、さらに工程名称に該当しない工程を含むものであつても良い。各工程 S1〜S4の名称は、その区分した工程を代表する処理の名称である。

[0132] この管理方法は、前記各要素品 95 ((1)〜(！ !))について次の各過程 (1)〜(4)を含み、各要素品 95を組み立てた車輪用軸受 Aについて、後述の過程を採る。なお、各工程のロットは、製造工程の下流側で分かれることがある力併合はしない。

. '材料購入 (S1)時の管理過程。各要素品 95の材料購入時に、材料ロット 80別に準備された ICタグ 9Fに、対応する材料ロット 80につヽての材料ロット番号、および購入材料に関する情報を記録する。

(2) .鍛造工程 (S2)の管理過程。

材料ロット 80別の ICタグ 9F、またはこの材料ロット 80別の ICタグ 9Fの記録情報を引き継いだ ICタグ 9Fを鍛造ロット 81別に準備し、これら ICタグ 9Fに、対応する鍛造ロット 81につ、ての鍛造ロット番号、および鍛造工程で得られる情報を記録する。

(3) .熱処理工程 (S3)の管理過程。

鍛造ロット 81別の ICタグ 9F、またはこの鍛造ロット 81別の ICタグ 9Fの記録情報を引き継いだ ICタグ 9Fを熱処理ロット 82別に準備し、これらの ICタグ 9Fに、対応する熱処理ロット 82についての熱処理ロット番号、および熱処理工程で得られる情報を記録する。

(4) .研削工程 (S4)およびその後の検査工程時の管理過程。

熱処理ロット 82別の ICタグ 9F、またはこの熱処理ロット 82別の ICタグ 9Fの記録情報を引き継いだ ICタグ 9Fを、研削ロット 83別に準備し、これらの ICタグ 9Fに、対応する研削ロット 83についての加工条件の記録を行う。また、研削ロット 83別の ICタグ 9F、またはこの研削ロット 83別の ICタグ 9Fの記録情報を引き継いだ ICタグ 9Fを、要素品 95毎または検査の単位となる同種類の要素品 95の組毎に準備し、これら ICタグ 9Fに、対応する研削ロット番号、および検査工程で得られる情報を記録する。

[0133] 前記各要素品 95 ((1)〜(！ !)）を組み立てた各車輪用軸受 Aには、組立前から組立後に至る間に、完成後使用のための ICタグ 9Eを取付け、この車輪用軸受 Aに取付けられた ICタグ 9Eに、個別の車輪用軸受 Aに特有の製造番号、および前記車輪用軸受 Aに用いられた各要素品 95 ((1)〜(n》の前記検査工程後の ICタグ 9Fの記録情報のうち、少なくとも製造番号を記録する。データベース 70には前記製造番号と対応して、前記車輪用軸受 Aに用いられた各要素品 95 ((1)〜(n)の前記検査工程後の ICタグ 9Fの記録情報、および車輪用軸受 Aの完成後の検査情報を記録する。

[0134] 前記各工程 (S(l)〜（S4)で用いられる ICタグ 9Fは、各工程を通じて同じものであつても良く、工程によって別の ICタグ 9Fを用い、前工程の ICタグ 9Fの記録情報の転記をしても良い。下流側の工程でロットが別れる場合は、新たな ICタグ 9Fを準備し、前の工程の記録情報の転記をしても良ぐまた予め、ロット分かれるロット数分だけ IC タグ 9Fを準備しておき、各工程を通じて同じ ICタグ 9Fに情報を追加記録するようにしても良い。

各工程 (S1)〜（S4)において、 ICタグ 9Fに記録される各ロット番号および各工程の情報は、図 32のように工程毎に追加されることになる。

[0135] 各工程において、 ICタグ 9Fは、例えば要素品 95を入れる運搬用の容器類 85に取付けておく。容器類 85は、例えば、かご、箱、またはパレット等である。この場合に、 I Cタグ 9Fの容器類 85への取付は、直接に行っても良ぐまた図 37に示すように、容器類 85に取付けられる視覚による識別用のタグ 86に取付けても良、。 ICタグ 9Fの容器類 85への取付は着脱自在な取付であっても良い。 ICタグ 9Fを容器類 85に取付けておくことで、ロット毎に準備される ICタグ 9Fを、常に要素品 95と共に移動させることができ、 ICタグ 9Fの取扱が容易である。また、要素品 95のコンペャ等による搬送経路 87で ICタグ 9Fへの情報の記録を行うことができる。

[0136] 前記各管理過程の詳細を説明する。

.材料購入 (S1)時の管理過程。

材料は、一般的には鋼材の塊、鋼板、鋼管、鋼線等の形態で購入される。購入した材料は例えば材料ロット単位で各種の品質検査を行う。この管理過程で ICタグ 9Fに記録する購入材料の情報は材料の出所情報と品質情報とに分けられる。出所情報は、販売元の会社名や、その会社の工場所在地等である。品質情報は、組織硬さ、非金属介在物の情報等である。品質情報は、材料購入後に行った材料検査の結果を ICタグ 9Fに記録する力販売元力得た情報を記録しても、また両方を記録しても良い。この過程での ICタグ 9Fへの情報の記録方法は、例えば購入管理コンピュータ (図示せず)等力得た情報を記録用の端末を介して行う。

[0137] (2) .鍛造工程 (S2)の管理過程。

鍛造工程 (S2)は、車輪用軸受 Aの種類やその要素品 95の種類によって種々の形態がある。図 35は車輪用軸受 Aの各要素品 95の工程例を示す。内輪および外輪となる要素品 95、あるいはハブ輪となる要素品 95では、鍛造工程として（S 2)、これら内輪，外輪，ハブ輪の粗形状に形成する鍛造と、その鍛造品を旋削する工程とを含む。鋼球等の転動体となる要素品 95では、鍛造工程として（S2)として、型打ち、ブラッシング、および生研磨の工程が含まれる。

[0138] なお、図 35の例において、外輪およびハブ輪については、他の事業所で鍛造されたものを受け入れ、後の加工を行う例を示す。図 36の例は、ハブ輪および内輪を旋削品の状態で受け入れる例である。このように、車輪用軸受の製造工場としては、材料やその加工をある程度行って、るものなど、各種の段階で受け入れることがある。鍛造品や旋削品の状態で受け入れる場合は、その鍛造品や旋削品を製造した製造元力製造情報を入手し、後に ICタグ 9E, 9Fやデータベース 70, 71に記録する。この場合の製造情報としては、前記出所情報と品質情報とがあり、品質情報としては、旋削品の場合は旋削後の寸法情報等も含まれる。

[0139] 鍛造工程 (S2)での ICタグ 9Fへの情報の記録は、鍛造工程 (S2)の全体で 1回としても良ぐまた鍛造工程 (S2)の中の各工程毎に行うようにしても良い。例えば、要素品 95が内輪，外輪，またはハブ輪であって、鍛造および旋削が行われる場合、旋削後に測定した幅寸法、内径寸法、溝寸法、面取寸法等の情報を ICタグ 9Fに記録する。要素品 95が転動体である場合、図 35,図 36の例では完成品を受け入れる場合を示すが、これを素材力製造する場合は、型打ちの後に寸法、歪、外観等の情報を記録し、ブラッシング後、および生研磨の後に、それぞれ測定を行って寸法、真球度、外観等の情報を記録する。また、加工条件情報を記録する。

[0140] この過程での ICタグ 9Fへの情報の記録方法は、例えばこれらの鍛造工程 (S2)等の各工程毎に用いられる工程管理用または検査管理用等の製造時管理用のデータベース 71 (図 33)により、端末 88を介して行うようにする。オペレータによる手入力が必要な情報については、キーボード等の入力手段 89により、製造時管理用のデータベース 71を介して、または直接に端末 88から記録する。

前工程の材料ロット 80よりも鍛造ロット 81の方が多くなる場合は、新たな ICタグ 9F を準備し、これに ICタグ複製手段 90を用いて材料ロット 80の ICタグ 9Fの記録情報を転記し、この転記よつて情報を受け継、だ ICタグ 9Fに対して鍛造工程の情報を記録する。以下の各工程においても、ロット数が増える場合は、前記と同様にして新たな I Cタグ 9Fに転記する。 [0141] (3) .熱処理工程 (S3)の管理過程。

熱処理を行ったときは、後に検査を行う。要素品 95が内輪，外輪，ハブ輪の場合は、硬さ、変形、組織等の検査を行う。要素品 95が転動体である場合は、硬さ、組織等の検査を行う。熱処理工程の情報としては、これらの検査結果を記録する。この他に熱処理条件等を記録しても良、。

[0142] (4) .研削工程 (S4)およびその後の検査工程時の管理過程。

研削工程 (S4)は、車輪用軸受の種類やその要素品 95の種類によって種々の形態がある。要素品 95が内輪，外輪，またはハブ輪である場合、研削工程 (S4)として、幅研削、外径研削、溝研削、内径研削、溝超仕上げ等を行う。要素品 95が転動体である場合は、粗研磨、中研磨、精研磨、ラッピング等を行う。これらの各工程では、その工程の完了品の検査を行う。 ICタグ 9Fに記録する情報は、研削工程 (S4)における前記の各工程毎の加工条件の情報等である。この加工条件の情報は、例えば砥石の種類や加工速度等である。研削工程が完了した後、検査を行い、その結果を ICタグ 9Fに記録する。検査結果情報としては、各種の寸法、例えば、内外輪の幅研削では、寸法、幅不同、外観等であり、外輪の外径研削では外径寸法、真円度、円筒度、外観等である。内外輪の溝研削では、研削対象箇所の寸法、真円度、ラジアル振れ、アキシアル振れ、溝心差等である。内輪の内径研削では、内径寸法、真円度等である。内外輪の溝超仕上げでは寸法、外観等である。要素品 95が転動体の場合は、研削工程 (S4)における粗研削やその他の各工程後の検査結果の寸法や真円度等、研削工程 (S4)の完了品である完成状態の要素品 95の検査結果となる外観、寸法、真球度、径の相互差、硬さ、音響、顕微鏡検査結果等である。

[0143] 研削工程 (S4)では、特注品等の場合は全数検査であり、全数検査の場合、 ICタグ 9Fは要素品 95の個数だけ準備され、その ICタグ 9Fに対応する要素品 95の研削ロット番号と、個々の検査結果等の情報を記録する。研削ロット番号に加えて、個々の要素品 95を識別する番号を付加して記録しても良い。要素品 95が転動体等のように一つの車輪用軸受 Aに多数用いられる場合は、一つの車輪用軸受 Aに用いられる要素品 95の組、または各列毎に用いられる要素品 95の組を一つの要素品 95とみなして一つの ICタグ 9Fを準備し、その組毎の情報を記録しても良!、。 [0144] 車輪用軸受 Aの組立、およびその後の管理過程。

前記のように製造された各要素品 95は、組立工程で一つの車輪用軸受 Aに組み立てられる。この車輪用軸受 Aに、組立前から組立後に至る間に、前述のように ICタグ 9Eを取付ける。すなわち、要素品 95の単独の状態で ICタグ 9Eを取付けても、組立の完了後に取付けても良、。

[0145] 各車輪用軸受 Aは、組立が完了すると、完成品検査として各種の検査を行う。この検査は、例えば前記 ICタグ 9Eの取付後に行うが、取付形態によっては取付前に行つても良い。完成品検査としては、内径、外径、幅寸法、真円度、円筒度、ラジアル振れ、アキシアル振れ、横振れ、隙間等の各要因につき検査を行う。完成品検査は、特注品等の個別検査品の場合は、車輪用軸受 Aの全数につき行う。

[0146] 車輪用軸受 Aを組み立てる過程で、その車輪用軸受 Aを構成する各要素品 95の I Cタグ 9Fの記録情報は、図 34のように、データベース 70により製造番号に対応して記録される。また、完成品検査の検査結果についても、製造番号に対応して記録される。製造番号は個別の車輪用軸受特有の番号であり、例えばシリアル番号とされる。車輪用軸受 Aが前記のような工程を経過しない別要素品（例えば保持器） 96を含むものである場合、その別要素品 96の情報もデータベース 70に記録する。

車輪用軸受 Aに前記のように取付けられた ICタグ 9Eには、少なくとも前記の製造番号を記録する。この ICタグ 9Eには、製造番号の他に、各要素品 95の ICタグ 9Fの記録情報や、完成品検査の結果等を記録しても良い。車輪用軸受 Aに取付けられた I Cタグ 9Eに、完成品検査の結果を記録する場合、検査工程で ICタグ 9Eに検査結果を記録し、この ICタグ 9E力もデータベース 70に情報を転記しても良い。また、車輪用軸受 Aだけでなぐ車輪用軸受 Aの梱包 72 (図 28)にもこの ICタグ 9Eを取付け、製造番号等を記録しても良い。

[0147] データベース 70は、図 34のようにコンピュータネットワーク 97上に設けられた管理コンピュータシステム 98に設けられる。このデータベース 70の記憶部 70aに、各車輪用軸受についての前記の記録情報 Fが記録される。コンピュータネットワーク 97は、例えばインターネット等の広域ネットワークや、この広域ネットワークに工場内のローカルエリアネットワークが結合したものである。データベース 70は、記憶部 70aとこの記憶部 70aに対する入出力や検索の管理を行うデータベース管理部 70bとでなる。データベース 70は、概念的に一つの品質管理用のデータベースとして認識できるものであれば良ぐ物理的には複数に分かれたデータベースの集まりであっても、また他の各種の目的のデータベースと情報を共有するものであっても良い。例えば、データベース 70は、コンピュータネットワーク 97上に分散して設けられた複数のコンビユータで構成されるものであっても、また前記製造時管理用のデータベース 71や技術情報管理用等のデータベースと記録情報を共有するものであっても良い。

データベース 70は、コンピュータネットワーク 97を介して、車輪用軸受製造工場内の各情報処理機器の他に、技術部門や、倉庫、営業所、顧客企業の事業所の情報処理機器 99、および携帯端末等に接続されたものである。

この品質管理方法によると、各要素品 95の材料購入力も車輪用軸受 Aの完成後の検査内容までの履歴情報が、管理コンピュータシステム 98に記憶され、車輪用軸受に取付けられた ICタグ 9Eには製造番号が記録されているため、製造番号を管理コンピュータシステム 98と照合することで、前記履歴情報を車輪用軸受 Aと 1対 1の関係管理することができる。例えば、出荷後の任意の段階で、その車輪用軸受 Aの使用者や、保守サービスを行うもの等が、車輪用軸受の履歴情報を知ることができる。車輪用軸受 Aの各要素品 95の製造工程毎に発生する情報は、工程毎にその工程の口ット別に準備した ICタグ 9Fにロット番号と共に記録するため、詳細な履歴情報を管理することができる。したがって技術的な解析や将来の改善等の対処が容易となり、寿命診断や、機械故障を防止する事前の対策も容易となる。

前記工程毎の情報は、その工程のロット毎に準備した ICタグ 9Fに記録するため、手書き伝票に記録する場合に比べて詳細な情報の記録が行え、また例えば端末からコンピュータに入力する場合と異なり、情報を入力するべき箇所が ICタグ 9Fであるために視覚的に認識できて、入力作業が明確となり、誤りが生じにくい。また、要素品 95の材料購入力も研削工程の各工程にわたる種々雑多な全ての情報をコンビユータに記録するものと異なり、生産工程ではこれらの記録情報を ICタグ 9Fで持っておくため、コンピュータの負担が軽ぐ管理が容易になる。このため、容易に、より詳細な情報の管理することができる。 [0149] また、車輪用軸受 Aの製造番号は、車輪用軸受 Aに取付けられた ICタグ 9Eに記録するので、この ICタグ 9Eの残った記憶領域を自由に使用でき、製造後の各種の用途、例えば出荷管理、流通管理、顧客管理、メンテナンス管理等に用いることができる。

すなわち車輪用軸受 Aは、図 28と共に前述したように、組立完成、検査、出荷の後、一般的に倉庫に配送され、営業所力顧客自動車メーカーへ納品される。特注品の場合は、出荷の後、直接に顧客に納品されることもある。顧客自動車メーカーでは、車輪用軸受 Aを自動車に組み込んで販売し、自動車を購入した自動車保有者が自動車の使用により車輪用軸受 Aを使用し、耐久年数等で廃棄することになる。このような各過程で、車輪用軸受 Aに取付けられた ICタグ 9Eの製造番号を読み取って履歴情報を知る他に、 ICタグ 9Eの残りの記憶領域を利用した各種の利用が図れる。

[0150] つぎに、車輪用軸受 Aが一般品のようにロット別検査品である場合につき、図 31と共に説明する。ロット別検査品の管理では、各要素品 95((1)〜(！ 1) )について、次の各過程 ((1)〜(3) , (4) ' )を含み、各要素品 95を組み立てた車輪用軸受 Aについて、後述の過程を採る。材料購入から熱処理工程までの管理過程（1)〜(3)は、ロット別検査品についても個別検査品と同じであるため、これらの管理過程（1)〜(3)の説明は省略する。

(1) .材料購入 (S1)時の管理過程。

(2) .鍛造工程 (S 2)の管理過程。

(3) .熱処理工程 (S3)の管理過程。

(4) ' .研削工程 (S4)およびその後の検査工程時の管理過程。

研削工程（S4)の後の検査工程で、熱処理ロット 82別の ICタグ 9F、またはこの熱処理ロット 82別の ICタグ 9Fの記録情報を引き継いだ ICタグ 9Fを、研削ロット 83別に準備し、これらの ICタグ 9Fに、対応する研削ロット 83についての研削ロット番号および検査工程で得られる情報を記録する。研削工程 (S4)における加工は、ロット別検査品も個別検査品も同じである。この管理過程 (4) ' で記録する情報は研削ロット 83別の検査結果の情報ある力要素品 95についても検査項目はロット別検査品も個別検查品も同じであり、それらの検査結果を記録する。検査項目をロット別検査品と個別検査品とで異ならせても良いが、それらの検査結果の ICタグ 9Fへの記録は、検査項目にかかわらずに同様に行う。

車輪用軸受 Aの組立、およびその後の管理過程。

各要素品 95を組み立てた各車輪用軸受 Aに、組立前から組立後に至る間に ICタグ 9Eを取付け、この車輪用軸受 Aに取付けられた ICタグ 9Eに、製造ロット番号、および前記車輪用軸受 Aに用いられた各要素品 95 ((1)〜(n))の前記検査工程後の IC タグ 9Fの記録情報のうち、少なくとも製造ロット番号を記録し、データベース 70に前記製造ロット番号と対応して、前記車輪用軸受 Aに用いられた各要素品 95 ((1)〜(n) )の前記検査工程後の ICタグ 9Fの記録情報、および車輪用軸受 Aの完成後の検査情報を記録する。

なお、ロット別検査品の管理は、特に説明した事項の他は、個別検査品について説明した内容と同じ管理である。

[0151] この管理方法の場合、車輪用軸受 Aの製造ロット別の管理となり、 1対 1の管理とはならないが、その他の事項については、前記第 1の車輪用軸受 Aの品質管理方法で説明した個別検査品についての場合と同じ各作用，効果が得られる。管理コンビュータシステム 98に対する照合は、車輪用軸受 Aに取付けられた ICタグ 9E力も得られるロット番号で行う。

[0152] 以上のとおり、図面を見ながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。したがって、そのような変更および修正は、添付のクレーム力も定まるこの発明の範囲内のものと解釈される。

Claims

請求の範囲

[1] 車輪用軸受に非接触で交信が可能で、かつ管理に関する情報または使用にかかる状況を記憶する ICタグが取り付けられた車輪用軸受装置。

[2] 請求項 1において、前記車輪用軸受装置は、内周に複列の転走面を有する外方部材と、前記転走面に対向する転走面を有する内方部材と、前記両部材の対向する転走面間に介在した複列の転動体とを有し、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置であって、

前記 ICタグは、車輪用軸受装置の検出対象を検出するセンサと一体ィ匕されまたは電気的に接続されたセンサ付き ICタグとし、非接触交信の経路とは別の入力系統で前記センサの検出信号が入力されるものとした車輪用軸受装置。

[3] 請求項 2にお、て、前記センサがコイルであって、前記センサ付き ICタグは前外方部材および内方部材のうちの一方の部材に取付けられ、他方の部材に両部材の相対回転によって前記センサの近傍を通過する磁石を設け、前記 ICタグは前記コイルの出力を電源として利用するものとした車輪用軸受装置。

[4] 請求項 3において、前記センサ付き ICタグに、前記磁石が通過したときの前記センサの信号をカウントして ICタグ内のメモリに記憶するカウント手段を設けた車輪用軸受装置。

[5] 請求項 3において、前記センサ付き ICタグに、前記磁石が通過したときの前記センサの信号を回転速度に換算して前記 ICタグに記録する手段を設けた車輪用軸受装置。

[6] 請求項 3において、前記外方部材と内方部材間の軸受空間の端部を密封するシールを設け、このシールは、外方部材および内方部材のうちの一方の部材に取付けられるシール要素と他方の部材に取付けられるシール要素とを有する組合せ型のシールであり、いずれか一方のシール要素に前記センサ付き ICタグを取付け、他方のシール要素に前記磁石を取付けた車輪用軸受装置。

[7] 請求項 2において、前記センサが温度センサである車輪用軸受装置。

[8] 請求項 2において、前記センサが歪みセンサであり、前記外方部材および内方部材のうちの車輪取付用のフランジを有する部材の前記フランジの根元部に前記センサ付き ICタグを取付けた車輪用軸受装置。

[9] 請求項 2において、前記センサが歪みセンサであり、前記外方部材および内方部材のうちの車輪およびブレーキロータが取付けられるフランジ有する部材の前記フランジに、このフランジの径方向の略中央付近力外径端まで間の範囲に位置して前記センサ付き ICタグを取付けた車輪用軸受装置。

[10] 請求項 2において、前記外方部材と内方部材間の軸受空間の両端をそれぞれ密封するシールを設け、このシールと転走面との間に前記センサ付き ICタグを設置し、このセンサ付き ICタグのセンサを水検出センサとした車輪用軸受装置。

[11] 請求項 2において、前記センサ付き ICタグに、この ICタグの非接触交信で得た電力を前記センサの駆動電力とする電源回路と、所定以上の動作電力があれば前記センサの入力を取り込んで所定の記憶処理を行うセンサ入力処理手段を設け、前記 ICタグに対して非接触交信で電力を常時または所定の条件充足時に給電する給電手段を、この車輪用軸受装置に、またはこの車輪用軸受装置が取付けられる車両に設けた車輪用軸受装置。

[12] 請求項 1において、前記車輪用軸受装置は、内周に複列の転走面を有する外方部材と、前記転走面に対向する転走面を有する内方部材と、前記両部材の対向する転走面間に介在した複列の転動体とを有し、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置であって、

車輪用軸受装置の検出対象を検出するセンサユニットを取付け、非接触交信が可能でかつ非接触交信の経路とは別の入力端子を有する外部入力端子付きの前記 I Cタグを設け、この ICタグの前記入力端子に前記センサユニットの信号線を接続した車輪用軸受装置。

[13] 請求項 1に記載の車輪用軸受装置を用い、前記 ICタグに、車輪用軸受に関する所定情報を記録して管理する車輪用軸受の品質管理方法。

[14] 請求項 13において、車輪用軸受に前記 ICタグを取付ける過程と、この車輪用軸受に取付けられた ICタグに、前記所定情報を記録する過程と、出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、前記所定情報の確認を行う利用過程とを含む車輪用軸受の品質管理方法。 [15] 請求項 14において、前記利用過程の ICタグの読み取りは、車輪用軸受が自動車に組付けられた状態のままで、タグリーダを用いて行い、このタグリーダに一体ィ匕された情報処理手段または前記タグリーダに有線または無線で接続された情報処理手段により、所定の点検対象の軸受である力否かの判定を行う処理を含む車輪用軸受の品質管理方法。

[16] 請求項 13において、車輪用軸受に前記 ICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに対して取付ける過程と、

出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、所定情報の確認を行う過程とを含む、

車輪用軸受の品質管理方法。

[17] 請求項 16において、前記複数の要素品のうち、鍛造品における非機械加工仕上面に、その面の加工完了後に前記 ICタグを取付け、この ICタグに、前記鍛造品における鍛造後の各製造工程の製造情報を、各製造工程で記録する車輪用軸受の品質管理方法。

[18] 請求項 17において、前記鍛造後の各製造工程として、熱処理工程、旋削工程、および研削工程を含む車輪用軸受の品質管理方法。

[19] 請求項 14において、車輪用軸受を構成する複数の要素品に前記 ICタグを取付け

、各 ICタグの取付けられた要素品毎の製造情報を、前記各 ICタグにそれぞれ記録する車輪用軸受の品質管理方法。

[20] 請求項 14において、車輪用軸受がこの車輪用軸受についての検出対象を検出するセンサを有するものであり、このセンサの検査時に、センサ関連部品に車輪用軸受についての情報を記録する車輪用軸受の品質管理方法。

[21] 請求項 13において、車輪用軸受の識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する所定の製造情報を記憶し、記憶内容を前記識別情報により抽出可能なデータべ一スと、前記 ICタグとを用いる車輪用軸受の品質管理方法であって、

出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を前記データベースと照合して得られた情報から、前記製造ェ程における情報の確認を行う情報読取り利用過程とを含む、

車輪用軸受の品質管理方法。

[22] 請求項 13において、所定の製造情報を記憶し、その記憶内容を抽出可能なデータベースと、前記 ICタグとを用いた車輪用軸受の品質管理方法であって、

出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を前記データベースと照合して得られた情報から、車輪用軸受につ、ての情報を確認する過程とを含む、

車輪用軸受の品質管理方法。

[23] 請求項 22において、前記 ICタグに書き込む車輪用軸受についての前記所定の出荷情報は、その車輪用軸受についての識別情報を含み、前記データベースは、車輪用軸受の識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する所定の製造情報を記憶し、記憶内容を前記識別情報により抽出可能なものである車輪用軸受の品質管理方法。

[24] 請求項 22において、前記 ICタグに書き込む車輪用軸受についての所定の出荷情報として、製造年についての情報を含む車輪用軸受の品質管理方法。

[25] 請求項 22において、前記 ICタグに書き込む車輪用軸受についての所定の出荷情報として、製造場所について情報を含む車輪用軸受の品質管理方法。

[26] 請求項 13において、前記 ICタグを用い、車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程等の各製造工程、並びに検査に至る所定の製造情報を記録して車輪用軸受を管理する品質管理方法であって、

前記出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、前記加工条件情報および材料情報の少なくとも一方の確認を行う情報読取り利用過程とを含む、

車輪用軸受の品質管理方法。

請求項 13において、識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程等の各製造工程、および検査に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を前記識別情報により抽出可能なデータベースと、前記 ICタグとを用いて車輪用軸受を管理する品質管理方法であって、

前記出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を前記データベースと照合して得られた情報から、購入材料の確認、製造工程の確認、その加工条件情報および材料情報の少なくとも一方の確認、および検査成績の確認の、ずれかを行う情報読取り利用過程とを含む、車輪用軸受の品質管理方法。 [28] 請求項 13において、識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程等の各製造工程、並びに検査に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を前記識別情報により抽出可能なデータベースと、前記 ICタグとを用いて車輪用軸受を管理する品質管理方法であって、

前記出荷後の任意時に、前記 ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を前記データベースと照合して得られた情報から、購入材料の確認、製造工程の確認、その加工条件および材料情報の少なくとも一方の確認、および検査成績の確認の、ずれかを行う情報読取り利用過程とを含む、

車輪用軸受の品質管理方法。

[29] 請求項 26において、前記車輪用軸受の前記要素品の材料購入から鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、および研削工程に至る所定の製造情報を、要素品のロット番号別に準備された製造過程用の ICタグに各工程毎に記録する過程と、この記録した情報を読み取ってその読み取り情報の一部または全体を前記車輪用軸受に取付けられた ICタグに記録する過程とを含み、前記製造過程用の ICタグに記録する製造情報として、前記各製造工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報および材料情報の少なくとも一方を含む車輪用軸受の品質管理方法。

[30] 請求項 26において、前記車輪用軸受の前記要素品の材料購入から鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程等の各製造工程、並びに検査に至る所定の製造情報を、製造時管理用のデータベースに要素品のロット番号または要素品個別の識別番号に関連付けて記録する過程と、この記録した情報を、前記機械要素商品に取付けられた ICタグに記録する過程とを含む車輪用軸受の品質管理方法。

請求項 13において、材料購入から、鍛造および旋削の少なくとも一方の工程である鍛造'旋削工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品を複数種類含んで組み立てられ、個別に検査される車輪用軸受の品質管理方法であって、前記各要素品について、

これら各要素品の材料購入時に、材料ロット別に準備された前記 ICタグに、対応する材料ロットについての材料ロット番号および購入材料に関する情報を記録する過程と、

前記鍛造'旋削工程で、前記材料ロット別の ICタグまたはこの材料ロット別の ICタグの記録情報を引き継いだ ICタグを鍛造'旋削ロット別に準備し、これらの ICタグに、対応する鍛造'旋削ロットについての鍛造'旋削ロット番号および鍛造'旋削工程で得られる情報を記録する過程と、前記熱処理工程で、鍛造ロット別の ICタグまたはこの鍛造ロット別の ICタグの記録情報を引き継、だ ICタグを熱処理ロット別に準備し、これらの ICタグに、対応する熱処理ロットにつ!、ての熱処理ロット番号および熱処理工程で得られる情報を記録する過程と、

前記研削工程の後の検査工程で、熱処理ロット別の ICタグまたはこの熱処理ロット別の ICタグの記録情報を引き継いだ ICタグを、要素品毎または検査の単位となる同種類の要素品の組毎に準備し、これら ICタグに、対応する研削ロット番号および検査工程で得られる情報を記録する過程とを含み、かつ

前記各要素品を組み立てた各車輪用軸受に、組立前力も組立後に至る間に ICタグを取付け、この車輪用軸受に取付けられた ICタグに、個別の車輪用軸受特有の製造番号、および前記車輪用軸受に用いられた各要素品の前記検査工程後の ICタグの記録情報のうち、少なくとも製造番号を記録し、データベースには前記製造番号と対応して、前記車輪用軸受に用いられた各要素品の前記検査工程後の ICタグの記録情報、および車輪用軸受の完成後の検査情報を記録する過程、

とを含む車輪用軸受の品質管理方法。 [32] 請求項 13において、材料購入から、鍛造および旋削の少なくとも一方の工程である鍛造'旋削工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品を複数種類含んで組み立てられ、ロット別に検査される車輪用軸受の品質管理方法であって、前記各要素品について、

前記鍛造'旋削工程で、前記材料ロット別の ICタグまたはこの材料ロット別の ICタグの記録情報を引き継いだ ICタグを鍛造'旋削ロット別に準備し、これらの ICタグに、対応する鍛造'旋削ロットについての鍛造'旋削ロット番号および鍛造'旋削工程で得られる情報を記録する過程と、

前記熱処理工程で、鍛造'旋削ロット別の ICタグまたはこの鍛造'旋削ロット別の IC タグの記録情報を引き継いだ ICタグを熱処理ロット別に準備し、これら ICタグに、対応する熱処理ロットについての熱処理ロット番号および熱処理工程で得られる情報を記録する過程と、

前記研削工程の後の検査工程で、熱処理ロット別の ICタグまたはこの熱処理ロット別の ICタグの記録情報を引き継、だ ICタグを研削ロット別に準備し、これら ICタグに

、対応する研削ロットにっ、ての研削ロット番号および検査工程で得られる情報を記録する過程とを含み、かつ

前記各要素品を組み立てた各車輪用軸受に、組立前力も組立後に至る間に ICタグを取付け、この車輪用軸受に取付けられた ICタグに、製造ロット番号、および前記車輪用軸受に用いられた各要素品の前記検査工程後の ICタグの記録情報のうち、少なくとも製造ロット番号を記録し、データベースに前記製造ロット番号と対応して、前記車輪用軸受に用いられた各要素品の前記検査工程後の ICタグの記録情報、および車輪用軸受の完成後の検査情報を記録する過程、

とを含む車輪用軸受の品質管理方法。

[33] 請求項 31において、前記材料ロット別に準備される ICタグ、鍛造'旋削ロット別に準備される ICタグ、および熱処理工程別に準備される ICタグは、同じ材料ロットの材料を複数入れた容器類、同じ鍛造'旋削ロットの要素品を複数入れた容器類、および同じ熱処理ロットの要素品を入れた容器類にそれぞれ取付ける車輪用軸受の品質管理方法。

[34] 請求項 31において、前記車輪用軸受が、材料購入から、鍛造 ·旋削工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品とは別の要素品を含むものであり、この別の要素品についの情報は、車輪用軸受の組み立て後に前記データベースに製造番号またはロット番号に対応させて記録する車輪用軸受の品質管理方法。

[35] 請求項 13において、車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品として、外輪、内輪、転動体、および選択的にハブ輪を含む車輪用軸受の品質管理方法。

[36] 請求項 13において、前記車輪用軸受は、組み立て時にグリースが封入されるものであり、前記車輪用軸受に取付けられた ICタグに、その車輪用軸受の組み立て年月日を記録する車輪用軸受の品質管理方法。

[37] 請求項 13において、前記車輪用軸受に取付けられた ICタグに、その車輪用軸受の出荷から客先納入までの所在等の情報を記録する車輪用軸受の品質管理方法。