明細書 トランスジエニック生物を作製する方法およびシステム 技術分野
本発明は、 細胞に外来核酸分子を導入するためのシステム、 キット、 組成物 に関する。 より詳細には、 トランスジエニック生物の作製およびそのための糸且 成物、 キット、 システムなどに関する。 背景技術
トランスジエニック生物は、 その応用の範囲の広さから、 現在非常に注目さ れている技術である。 しかし、 効率よく トランスジエニック生物を作製する方 法は、 それほど開発されておらず、 そのようなトランスジエニック生物の効率 よい作製方法の開発は注目されている。
最近、 トランスポゾンがトランスジエニック生物の作製に応用することが試 みられている。 トランスポゾン (または、 転移可能 (t r a n s p o s a b l e) エレメントとも呼ばれる) は、 反復配列が並んだ核酸分子または配列であ る。 トランスポザーゼは、 ある核酸分子への別の核酸の挿入を促進する酵素で ある。 通常、 トランスポザーゼは、 トランスポゾンの中にある。
トランスポゾンは、 比較的広範な範囲の生物から見出されており、 その現象 は普遍的であると考えられている。 転位はカツト&ペースト形式により行われ るとされている。 脊椎動物でもトランスポゾンが発見されており (Ra d i c e, A. D. ら、 1 994. Mo l . Ge n. Ge n e t . 244, 606— 612)、 T c 1/ma r i n e r、 h AT (h o b o/A c/T am) などの スーパーファミリーに属するトランスポゾンが種々の生物 (例えば、 魚類、 両 生類、 哺乳動物を含む) から同定されている (Oo s um i e t a l .、 1
995. Na t u r e 378, 873 ; I v i c s e t a l .、 1995. Mo 1. Ge n. Ge n e t. 247, 31 2-322 ; Ko g a e t a l .、 1996. Na t u r e 383, 30 ; L am e t a l .、 199 6. J. Mo l . B i o l . 257, 359— 366、 および L am, W. L. e t a l .、 P r o c. Na t l . Ac a d. S c i . USA 93, 108 70— 10875)。 トランスポザーゼは、 トランスポゾンのもとあった位置か らの切除および再組み込みを触媒または促進することが知られている (P 1 a s t e r k, RHA., 1999、 T I G 15 : 326— 332 ; P l a s t e r k RHA., 1996 Cu r r. To p. Mi c r o b i o l . I mm u n o 1. 204, 125— 143)。 トランスポゾンの自律メンバーは、 トラ ンス作用性因子である活性トランスポザーゼを発現することができることから、 自分自身が転位可能であるという性質も有する。 非自律エレメントは、 シス作 用性因子であり得、 この場合逆方向末端反復配列とも呼ばれる。 一部の逆方向 反復配列は、 1または複数の直列反復配列を含む。 このような配列は、 末端逆 方向反復配列 ( I R s ) 中に埋め込まれており、 相補性トランスポザーセの存 在下で別のエレメントからの移動の用いられ得る。
このような系を用いて種々の生物において外来遺伝子の導入が試みられてい る。
植物では、 Ac/D s、 S pmスーパーファミリーなどの転位可能エレメン トが利用されており、 すでに慣用的な技術となっている (O s b o r n e a n d B a k e r, 1995 Cu r r. Op i n. Ce l l B i o l . 7, 406— 413)。 動物でもまた、 近年になって試みが行われている。 ただし、 エレメントには種特異性があり、 なかなかうまくいかないことが多いといわれ ている。 非ショウジヨウバエ昆虫、 ゼブラフィッシュ、 哺乳動物などの細胞の 遺伝子开質転換のための D r o s ο p h i 1 a me l a n o g a s t e rの Pエレメントトランスポゾンの利用の試みはうまくいつていない (Ha n d 1
e r e t a l .、 1 9 93. Ar c h. I n s e c t B i o c h em. P h y s i o 1. 2 2, 3 73-3 84 ; G i b b s e t a 1. o l . Ma r . B i o l . B i o t e c h. 3, 3 1 7- 326 ;および R i o e t a l .、 1 98 8 J . Mo 1. B i o l . 200, 4 1 1一 4 1 5)。 そこで、 T c 1/ma r i n e rスーパーファミ リーに属するメンバーが種特異性をほ とんど要求しないことから現在注目されており、 ヒトなどの哺乳動物にまで応 用が試みられている。 このうち、 M i n o s、 T c Eなどもその応用が試みら れている。
S l e e p i n g B e a u t y (S B) は、 分子系統分類データーを利用 してサケ型 T c 1様トランスポゾン (S B) の転位を促進する活性として特定 された。 推定トランスポザーゼ遺伝子の共通配列はまず 8種類の魚由来のサケ サブフアミリー要素の不活性要素から推定し、 そしてこのような要素を不活性 にする変異を排除することにより操作されている。 トランスポザーゼを構築し、 その機能性ドメインを同定し、 そして生化学的機能を個別におよび全長トラン スポザーゼの観点から試験した。 トランスポザーゼはサケ要素の逆方向反復配 列内の 2つの結合部位に結合し、 そして基質特異性があり、 そのことは近縁な 魚類要素サブファミリ一間での交差移動を阻止できうる。 SB トランスポザー ゼは魚類のみでなく、 マウスおよびヒト細胞における操作トランスポゾンの染 色体 込みを有意に高める。 トランスポザーゼにおける特異的なモチーフのた めの要件および標的トランスポゾン内の特異的な配列は、 魚類おょぴ哺乳動物 細胞等における活性と共に、 SB トランスポザーゼを脊椎動物における生殖系 形質転換およぴ揷入式変異誘発のための最初の活性 DN Aトランスポゾンシス テムとして確立する。 本発明の一の観点において、 本癸明は核酸フラグメント であって:少なくとも 2つの逆方向反復配列の間に位置する核酸配列を含んで 成り、 その逆方向反復配列が SBタンパク質に結合でき、 そしてその核酸フラ グメントが細胞中の DN Aは組込まれることのできる核酸フラグメントに関連
する。 一の態様において、 細胞は動物、 例えば無脊椎動物または脊椎動物から 入手する。 好適な無脊椎動物には甲殻類または軟体動物、 例えば限定すること なく、 ェビ、 ホタテ、 ロブスター、 ハマグリまたはカキが含まれる。 好適な脊 椎動物の態様には魚類、 鳥類、 ならびに哺乳動物、 例えばマウス、 有蹄類、 ヒ ッジ、 ブタおよぴヒトから成る群より選ばれるものが挙げられる。 細胞の DN Aは細胞ゲノムまたは染色体外 DNA、 例えばェピソ一ムまたはプラスミドで あってよい。
DN Aを細胞に導入するための方法は知られており、 例えば、 DNA凝縮試 薬 (例えばリン酸カルシウム、 ポリエチレングリコール等)、 脂質含有試薬 (例 えばリボソーム、 多重層小胞体など) およびウィルス媒介法などがある。 これ らの方法は全てそれ自身の制約をもつ。 例えば、 DNA凝縮試薬およびウィル ス媒介法には、 サイズが限定されるという欠点がある。 核酸量もまた制約され る。 導入核酸の組み込みの促進もまた効率がよいというわけではない。
細胞に DN Aを導入するための新しい方法、 特に細胞の核酸の中への様々な サイズの核酸フラグメントの効率的な組込み、 特に細胞のゲノムへの DNAの 組込みを促進する方法のニーズが残っている。
Z. I v i e s e t a l. ; C e l l, 91 : 501— 510 (1997) は、 培養細胞でのトランスポゾンシステムの発現を報告しており、 成熟した哺 乳動物個体またはその臓器、 器官等ではトランスポゾンシステムの効果は確認 されていない。 動物細胞においては、 ショウジョゥバエの亜種 D r o s o p i 1 a ma u r i t i a n a力 ら ma r i n e r トランスポゾンが単離され、 これを用いてベクターが構築されている。
例えば D r o s o p h i l a me l a n o g a s t e rの P因子トランス ポゾンを用いて種々の異種生物染色体 DN Aへの組み込みが試みられたが、 種 特異性の理由から、 P因子ベクターの機能は維持されなかった。 D r o s o p i I a以外のイエバエ、 ハヤトビバエ、 ノミバエなどのハエを用いた実験で
は、いずれの場合も P因子の転位活性が維持されなかった(Ha n d l e r e t a 1. ; A r c h . I n s e c t B i o c h em Ph y s i o l" 2 2 : 3 73-384 (1 993))。 P因子おょぴリポーター遺伝子が組み込ま れたトランスジエニックゼブラフィッシュは、 遺伝的に安定した発現が得られ なかった (G i b b s e t a l. ; Mo l . Ma r. B i o l . B i o t e c h., 3 : 317-326 (1994))。 最も研究された真核生物トランスポ ゾンである Tc 1/ma r i n e r トランスポゾンを異種生物で用いた場合、 それらの種特異性は比較的低く転位が起こり易いことが知られている (Z. I v i e s e t a 1. Ce l l , 91 : 501— 510 (1 997))。 この T c 1/m a r i n e r - l i k e トランスポゾンより再構築されるトランス ポゾンおよびトランスポザーゼを含むトランスポゾンシステムの例に、 SBト ラシスポゾンおよび SBトランスポザーゼを含む前記 S 1 e e p i n g B e a u t y (SB) t r a n s p o s o n s y s t em力 sある。 この SBトフ ンスポゾンをヒ トの He 1 a細胞およびマウスの LMTK細胞へ導入した例 (Z. I V i c s e t a 1.; C e 1 1, 91: 501— 510 (2000))、 マウスの胚性幹(emb r y o n i c s t em: E S)細胞へ導入した例 ( a L u o . e t a 1. ; P r o c . Na t l . Ac a d. S c i . USA, 95 : 10760- 10773 (1 998)) · ヒ ト培養細胞に導入した線虫 (C a e n o r l l a b d i t i s e l e g a n s) 由来 T c 1 トランスポゾンに活 十生がみられた例 (G. S c h o u t e n e t a 1. Nu c l e i c Ac i d s Re s., 26 : 3013— 3017 (1998)) が報告されている。 しかしながら、 例えばマウスの胚性幹細胞へ SBトランスポゾンを導入した上 記例においては、 トランスポゾンの転位頻度は外来遺伝子が導入された細胞あ たり最大でも 1世代の 1細胞当たり 3. 5 X 10— 5回と極めて低く、 所望の細 胞を得るためには大量の細胞を扱う必要があった。 また、 ヒ ト He 1 a培養細 胞に導入した例は、 動物個体には適用できない。 哺乳動物におけるトランスポ
ゾンの導入については、 S Bトランスポゾンおよび S B トランスポザーゼ遣伝 子を体細胞ゲノム中に血液を介して導入して得られる。 トランスポゾンが転位 したマウス(SR Ya n t e t a l . Na t u r e Ge n e t i c s, 25 : 3 5 - 4 1
(2000)) が報告されている。 しかしながら、 この場合のトランスポゾン転 位頻度は、 該遺伝子が導入された肝臓細胞中わずか約 5— 6%であり、 この方 法では遺伝子導入の効率が悪く、 系統的にトランスジエニック動物を得ること もできない。 また、 これまでの方法では、 1動物個体の体内で数多くの遺伝子 にランダムに変異を導入することが困難であり、 その発現頻度も低いものであ つた。従って、遺伝子変異誘発のための一般的な方法を設計する必要があった。 従って、 上述のように、 これらの S Bなどを用いても、 細胞レベルで遺伝子 を導入しょうとした場合に、 首尾よく行かない場合が多く、 形質転換効率を上 げることが課題となっている。 本発明は、 形質転換効率をさらに上げるトランスポゾン系を開発し、 トラン スジヱニック生物の生産をより効率よく行うことを課題とする。
発明の要旨
上記課題は、 上記状況にかんがみ、 鋭意研究を重ねた結果、 部分的には、 導 入する核酸配列の少なくとも一部をメチル化することによって、 予想外に形質 転換効率が上昇したことを見出したことによって解決される。
本発明は、 トランスポゾンを用いて外来遺伝子を効率よく細胞に導入する技 術に関する。 より詳細には、 本発明は、 トランスポゾンを含む配列をメチル化 することによって、 トランスポゾンの転位活性を飛躍的に向上させ、 効率よく
トランスジエニック生物を作製する技術に関する。 メチル化は、 ゲノムに組み 込まれた後も保持されており、 実際のゲノムへの遺伝子の組み込みにも利用す ることが可能になった。 本発明を用いれば、 従来のトランスポゾンを用いたト ランスジヱニック生物の作製方法よりも、 格段に効率よく遺伝子を形質転換す ることができる。 従って、 本発明は、 以下を提供する。
(1) トランスポゾンをコードする核酸配列を有する、 単離された核酸分子 であって、 上記核酸配列は、 少なくとも 1つの核酸がメチルイ匕されている、 単 離された核酸分子。
(2) さらに、 所望の遺伝子をコードする核酸配列を有する、 項目 1に記載 の単離された核酸分子。
(3) 上記メチルイ匕は、少なくとも、 CG配列における Cにおいて存在する、 項目 1に記載の単離された核酸分子。
(4) 上記トランスポゾンは DNA型である、 項目 1に記載の単離された核 酸分子。
(5) 上記トランスポゾンは T c 1/ma r i n e r型に属する、 項目 1に 記載の単離された核酸分子。
(6) 上記トランスポゾンは S l e e p i n g B e a u t yを含む、 項目 1に記載の単離された核酸分子。
(7)上記所望の遺伝子は、上記トランスポゾンに作動可能に連結されるか、 または細胞内に導入されると上記トランスポゾンに作動可能に連結され得る、 項目 2に記載の単離された核酸分子。
(8) 外来遺伝子を宿主内に導入するために使用される、 項目 1に記載の単 離された核酸分子。
(9) 上記宿主は、 真核生物を含む、 項目 8に記載の単離された核酸分子。 フ
(10) 上記宿主は、哺乳動物を含む、項目 8に記載の単離された核酸分子。
(1 1) 上記宿主は、 げっ歯類を含む、項目 8に記載の単離された核酸分子。
(12) 上記核酸分子が挿入されるゲノム上の位置においてトランスポザー ゼが作用する、 項目 1に記載の単離された核酸分子。
(13) トランスポゾンをコードする核酸配列を有する遺伝子カセットであ つて、 上記核酸配列は、 少なくとも 1つの核酸がメチル化されている、 遺伝子 カセット。
(14) トランスポゾンをコードする核酸配列、 および所望の遺伝子をコー ドする核酸配列を有するベクターであって、 上記核酸配列は、 少なくとも 1つ の核酸がメチル化されている、 ベクター。
(15) 上記メチル化は、 少なくとも、 CG配列における Cにおいて存在す る、 項目 14に記載のベクター。
(16)上記トランスポゾンは DNA型である、項目 14に記載のベクター。
(1 7) 上記トランスポゾンは Tc l/ma r i n e r型に属する、 項目 1 4に記載のベクター。
(18) 上記トランスポゾンは S l e e p i n g B e a u t yを含む、 項 目 14に記載のベクター。
(19) 上記所望の遺伝子は、 上記トランスポゾンに作動可能に連結される 力 \ または細胞内に導入されると上記トランスポゾンに作動可能に連結され得 る、 項目 14に記載のベクター。
(20) 外来遺伝子を宿主內に導入するために使用される、 項目 14に記载 のべクター。
(21) 上記細胞は、 真核生物細胞を含む、 項目 20に記載のべクター。 (22) 上記細胞は、 哺乳動物細胞を含む、 項目 20に記載のベクター。 (23) 上記細胞は、 げっ歯類細胞を含む、 項目 20に記載のベクター。
(24) 上記核酸配列が揷入されるゲノム上の位置においてトランスポザー
ゼが作用する、 項目 14に記載のベクター。
(25) ゲノム上に挿入される外来核酸分子に対してトランスポザーゼを作 用させるための,祖成物であって、 上記糸且成物は、 トランスポゾンをコードする 核酸配列、 および上記外来核酸分子を含み、 上記トランスポゾンをコードする 配列はメチルイ匕されている、 糸且成物。
(26) トランスポゾンをコードする核酸配列、 および所望の遺伝子をコー ドする核酸配列を有する核酸分子を含む細胞であって、 上記核酸配列は、 少な くとも 1つの核酸がメチルイ匕されている、 細胞。
(27) 上記メチル化は、 少なくとも、 CG配列における Cにおいて存在す る、 項目 26に記載の細胞。
(28) 上記トランスポゾンは DNA型である、 項目 26に記載の細胞。
(29) 上記トランスポゾンは T c 1/ma r i n e r型に属する、 項目 2 6に記載の細胞。
(30) 上記トランスポゾンは S l e e p i n g B e a t yを含む、 項 目 26に記載の細胞。
(31) 上記所望の遺伝子は、 上記トランスポゾンに作動可能に連結される 力 \ または細胞内に導入されると上記トランスポゾンに作動可能に連結され得 る、 項目 26に記載の細胞。
(32) 外来遺伝子を宿主内に導入するために使用される、 項目 26に記載 の細胞。
(33) 上記細胞は、 真核生物細胞を含む、 項目 26に記載の細胞。
(34) 上記細胞は、 哺乳動物細胞を含む、 項目 26に記載の細胞。
(35) 上記細胞は、 げっ歯類細胞を含む、 項目 26に記載の細胞。
(36) トランスポゾンをコードする核酸配列、 および所望め遺伝子をコー ドする核酸配列を有する核酸分子を含む組織であって、 上記核酸配列は、 少な くとも 1つの核酸がメチル化されている、 組織。
(37) 上記メチル化は、 少なくとも、 CG配列における Cにおいて存在す る、 項目 36に記載の糸且織。
(38) 上記トランスポゾンは DNA型である、 項目 36に記載の糸且織。
(39) 上記トランスポゾンは T c 1/ma r i n e r型に属する、 項目 3 6に記載の組織。
(40) 上記トランスポゾンは S l e e p i n g B e a u t yを含む、 項 目 36に記載の組織。
(41) 上記所望の遺伝子は、 上記トランスポゾンに作動可能に連結される 力 または細胞内に導入されると上記トランスポゾンに作動可能に連結され得 る、 項目 36に記載の組織。
(42) 外来遺伝子を宿主内に導入するために使用される、 項目 36に記載 の組織。
(43) 上記組織は、 真核生物組織を含む、 項目 42に記載の組織。
(44) 上記組織は、 哺乳動物組織を含む、 項目 42に記載の組織。
(45) 上記,祖織は、 げっ歯類組織を含む、 項目 42に記載の組織。
(46) トランスポゾンをコードする核酸配列、 および所望の遺伝子をコー ドする核酸配列を有する核酸分子を含む生物であって、 上記核酸配列は、 少な くとも 1つの核酸がメチル化されている、 生物。
(47) 上記メチル化は、 少なくとも、 CG配列における Cにおいて存在す る、 項目 46に記載の生物。
(48) 上記トランスポゾンは DNA型である、 項目 46に記載の生物。 (49) 上記トランスポゾンは T c lZma r i n e r型に属する、 項目 4 6に記載の生物。
(50) 上記トランスポゾンは S l e e i n g B e a u t yを含む、 項 目 46に記載の生物。
(51)上記所望の遺伝子は、上記トランスポゾンに作動可能に連結される、
項目 46に記載の生物。
(5 2) 上記生物は、 真核生物を含む、 項目 46に記載の生物。 - (53) 上記生物は、 哺乳動物を含む、 項目 46に記載の生物。
(54) 上記生物は、 げっ歯類を含む、 項目 46に記載の生物。
(5 5) 上記所望の遺伝子は、 上記生物に由来しない、 項目 4 6に記載の生 物。
(5 6) トランスジエニック生物を作製するための方法であって、
A. トランスポゾンをコードする核酸配列を有する、 単離された核酸分子を 提供する工程;
B. 上記核酸分子で、 所望の生物の生殖細胞を形質転換する工程;
C . 上記生殖細胞において上記トランスポゾン'をコードする核酸配列がメチ ルイ匕している個体を選択する工程;
D . 形質転換された上記生殖細胞を用!/、て生物を再生する工程、
を包含する、 方法。
(5 7) 上記生物は、 真核生物を含む、 項目 56に記載の方法。
(58) 上記生物は、 哺乳動物を含む、 項目 56に記載の方法。
(5 9) トランスジエニック生物を作製するための方法であって、
A. トランスポゾンをコードする核酸配列を有する、 単離された核酸分子で あって、 上記核酸配列は、 少なくとも 1つの核酸分子がメチル化されている、 単離された核酸分子を提供する工程;
B. 上記核酸分子で、 所望の生物の生殖細胞を形質転換する工程;ならびに
C. 形質転換された上記生殖細胞を用いて生物を再生する工程、
を包含する、 方法。
(6 0) 上記生物は、 真核生物を含む、 項目 5 9に記載の方法。
(6 1) 上記生物は、 哺乳動物を含む、 項目 5 9に記載の方法。。
(6 2) 上記生物は、 げっ歯類を含む、 項目 5 9に記載の方法。
( 6 3 ) トランスジエニック生物を作製するためのキットであって、
A. トランスポゾンをコードする核酸配列を有する、 単離された核酸分子で あって、 上記核酸配列は、 少なくとも 1つの核酸分子がメチル化されている、 単離された核酸分子;
B . トランスポザーゼ、 を包含する、 キット。
( 6 4 ) さらに、 上記核酸分子おょぴトランスポザーゼの使用法を記載する 説明書を含む、 項目 6 3に記載のキット。
( 6 5 ) トランスポゾンをコードする核酸配列を有する、 単離された核酸分 子であって、 上記核酸配列は、 少なくとも 1つの核酸がメチル化されている、 単離された核酸分子の、 トランスジエニック生物の作製のための使用。 図面の簡単な説明
図 1は、 一過性トランスポゾン切り出しァッセィの結果を示す。 図 2は、 マウスゲノムの同一遺伝子座にメチルイヒまたは非メチル化のトラン スポゾンを有する細胞の樹立の様子を示す図である。 aは、 例示的実験のフロ 一チャートを示す。 bは、 サザンブロッ ト分析を示す。 c〜dは、 メチル化の 維持を確認する実験結果例である。 図 3は、 マウスゲノムにおける、 D N Aメチノレ化のトランスホ。ゾン切り出し 反応への効果を示す一例である。 図 4は、. トランスポゾンのゲノムへの挿入に及ぼす効果を示す例である。 a は、 例示的に使用されるプラスミ ド構成を示す。 bにおいて、 左は非メチル化 およぴ右はメチル化のものを示す。
図 5は、代表的なトランスポゾンの配列のァラインメントである。X01005 ( 1 〜: L610)、 Z29098 (15〜1787)、 Z29102 (15〜1787)、 U11641 (188〜 1451)、 U11652 ( 146〜 1442)、 L48685 (1~1455) のマルチプルァライメント [丸括弧内の数字は、 各登録番号の配列における塩 基範囲を示す]。 図中、 「GFPJ は GFP遺伝子を意味する。 本明細書では、 ときに、 S 1 e e p i n gB e a u t y (SB) トランスポゾンシステムにおけるトランスポ ゾンは S Bトランスポゾン、 トランスポザーゼは SBトランスポザーゼと記載 される。 一方、 図中においては、 「3:6」 は3 1 6 61 1 118 B e a u t yト ランスポザーゼ遺伝子を意味する。
(配列表の説明)
配列番号 1 : S B (S 1 e e p i n g B e a u t y) トランスポゾン DN A の配列 (GENBANK登録番号 L48685)。
配列番号 2 : S Bトランスポザーゼの核酸配列。
配列番号 3 : S Bトランスポザーゼのポリぺプチド配列。
配列番号 4 :左外側反復の核酸配列。
配列番号 5 :左内側配列の核酸配列。
配列番号 6 : TgTP— 1Uの核酸配列。
配列番号 7 : T g T P— 2 Lの核酸配列。
配列番号 8 : TgTP—2Uの核酸配列。
配列番号 9 : TgTP— 3 Lの核酸配列。
配列番号 10 : Ca e n o r h a b a i t i s e l e g a n s由来の転移性 要素 Te lの核酸配列 (GENBANK登録番号 X01005)。
配列番号 11 : Ca e n o r a b a i t i s e l e g a n s由来の転移性
W
要素 T c 1のアミノ酸配列 (GENB ANK登録番号 X 0 1 005)。
配列番号 1 2 : D r o s o p h i l a h y d e i由来の M i n o s— 2の核 酸配列 (GENB ANK登録番号 Z 2 90 98)。
配列番号 1 3 : D r o s o p h i l a h y d e i由来の M i n o s— 2のァ ミノ酸配列 (GENB ANK登録番号 Z 29098)。
酉己列番号 1 4 : D r o s o p h i l a h y d e i由来の M i n o s— 3の核 酸配列 (GENBANK登録番号 Z 2 9 1 02)。
酉己列番号 1 5 : D r o s o p h i l a h y d e i由来の M i n o s— 3のァ ミノ酸配列 (GENB ANK登録番号 Z 2 9 1 02)。
酉己列番号 1 6 : Ha ema t o b i a i r r i t a n s由来の H i 2 ma r i n e rの核酸配列 (GENB ANK登録番号 U 1 1 64 1)。
酉己列番号 1 7 : Ha ema t o b i a i r r i t a n s由来の H i 2 ma r i n e rのアミノ酸配列 (GENB ANK登録番号 U 1 1 64 1)。
酉己歹! I番号 1 8 : Ch r y s o p e r l a p l o r a b u n d a由来の m a r i n e rの核酸配列 (G E N B ANK登録番号 U 1 1 6 52 )。
酉己列番号 1 9 : Ch r y s o p e r l a p l o r a b u n d a由来の m a r i n e rのアミノ酸配列 (G E N B ANK登録番号 U 1 1 6 5 2)。 発明の実施の形態
以下、 本発明を説明する。 本明細書の全体にわたり、 単数形の表現は、 特に 言及しない限り、 その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。 従 つて、 単数形の冠詞 (例えば、 英語の場合は 「a」、 「a I!」、 「t h e」 など、 独語の場合の 「e i n」、 「d e r」、 「d a s」、 「 d i e」 などおよびその格変 化形、 仏語の場合の 「u n」、 「u n e」、 「 1 e」、 「1 a」 など、 スペイン語に おける 「u n」、 「u n a」、 「e 1」、 「 1 a」 など、 他の言語における対応する 冠詞、 形容詞など) は、 特に言及しない限り、 その複数形の概念をも含むこと
が理解されるべきである。 また、 本明細書において使用される用語は、 特に言 及しない限り、 当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解される べきである。 したがって、 他に定義されない限り、 本明細書中で使用される全 ての専門用語および科学技術用語は、 本発明の属する分野の当業者によって一 般的に理解されるのと同じ意味を有する。 矛盾する場合、 本明細書 (定義を含 めて) が優先する。
(用語の定義および説明)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において 「トランスポゾン」 とは、 染色体上のある部位から別の部 位に移動 (転位) し得る核酸分子または核酸配列をいう。 代表的には、 トラン スポゾンは、 D N Aセグメント (D N A型トランスポゾン) である。 D N A型 トランスポゾンは、 トランスポザーゼにより活性化されて転位する。 トランス ポゾンとしては、 例えば、 S Bトランスポゾン (A c c . N o . L 4 8 6 8 5 ) (配列番号 1 )、 配列番号 1 0〜: 1 9に示す配列に含まれるものが挙げられるが それらに限定されない。 本明細書において 「トランスポザーゼ」 とは、 トランスポゾンを認識してそ の配列を転位させる触媒活性を有する酵素をいう。 トランスポザーゼとしては、 例えば、 S Bトランスポザーゼ (配列番号 2、 3 )、 配列番号 1 0〜1 9に示す 配列に含まれるものなどに示されるものが挙げられるがそれらに限定されない 本発明において、 トランスジエニック生物に用いられるトランスポゾン配列 およびトランスポザーゼ遺伝子は、 内因性のものでも外来性のものでも制限な く使用することができるが、 好ましくは外来性のトランスポゾン配列およびト ランスポゼ一ス遺伝子を用いることができる。
トランスポゾンは、 通常両末端に反復配列 (以下、 本明細書では 「トランス ポゾン配列」 という) を有し、 これがトランスポザーゼの認識部位である。 該 トランスポゾン配列は、 トランスポザーゼの作用により転位可能であれば、 不 完全な繰り返し部分を含み得るトランスポゾンが揷入される DNA中の、 トラ ンスポゾンに特有な長さの挿入認識サイトは標的配列と呼ばれる。 例えば S 1 e e p i n g B e a t y (S B) トフンスホンンシステム (Z . I v i c s、 e t a 1. C e l l 9 1 : 5 0 1— 5 1 0 (1 9 9 7)) の場合、 標的配列 は T Aであり、 トランスポゾン挿入後の配列は T A—トランスポゾン一 T Aで ある。 従って、 本明細書では、 トランスポゾン配列とは、 トランスポザーゼに より認識され、 目的となる生物において転位可能な天然または人工トランスポ ゾンの任意の配列を包含する。
トランスポゾンの標的配列としては、 例えば TA、 ATAT, TATAT A、 TACAなどが知られている。 これらの課題は、 本発明においてトランス ポゾンをメチル化することによって達成された。
トランスポゾンには、 主に自らの転位を触媒できる活性な酵素トランスポザ ーゼを内部にコードしている自己完結型と、 トランスポザーゼ活性を欠損した 非自己完結型とがある。 トランスポゾン配列またはトランスポザーゼ遺伝子を 各々有する生物を交配させて、 トランスポゾン配列おょぴトランスポザーゼ遺 伝子を有する生物を得る場合、 あるいは、 転位が固定されたトランスポゾン配 列を有する (トランスポザーゼ遺伝子を含まない) 生物を得る場合、 非自己完 結型のトランスポゾンを用いる。 トランスポゾンおよびトランスポザーゼを両 方含む生物またはシグニチヤ一部位を含みトランスポゾンおよびトランスポザ ーゼ遺伝子を含まない生物を得る場合、 自己完結型、 非自己完結型の両方のト ランスポゾンが利用できる。 自己完結型トランスポゾンは、後述する C r e 1 o x Pシステムを用いて、 即ち 1 o X P配列をトランスポザーゼ遺伝子の両側 に有する生物と C r eを有する非生物を交配することにより トランスポザーゼ
を切り出すことで、 非自己完結型に変換することができる。 さらに、 トランス ポゾンには宿主依存型のものと宿主非依存型のものがあり、 これらをいずれも 用い得る。 一般的には宿主非依存型のものを用い得る。
本発明においては、 トランスポゾンおよびトランスポザーゼ遺伝子を含むト ゼのみを切り出して用いるか、 またはトランスポザーゼを不活性化させて、 ト ランスポゾンを非自己完結型として用い得る。 本発明の実施に有用なトランス ポゾンシステムは、 生物細胞で転位可能な任意の配列を包含するものであり、 好ましくは、 ma r i n e rスーパーフアミリーのメンバーを用い得る。 例と して、 Tc l、 SB、 Mi n o s、 Tx r、 T c 3等のトランスポゾンファミ リ一、 Ca e n o r h a b d i t i s e l e g a n s、 丄 lo s l、 H y a 1 o p h o r a c e c r o p i a等の m a r i n e r トランスポゾンファミリ -• P o g o - T i g g e r, "4等の P o g o トランスポゾンフアミリーが挙 げられる (RH P l a s t e r k e t a 1. ; T r e n d s i n g e n e t i c s , 15 : N o . 8 : 326— 332 (1999))。 最も好ましく は、 S B, (S 1 e e p i n g B e a u t y). トランスポゾンを用い得る。 非 自己完結型トランスポゾンは、 自己完結型トランスポゾンのトランスポゼース 遺伝子を除去または不活性化することにより得ることができる。
本明細書において 「DNA型」 トランスポゾンとは、 DNAの転位を行う ト ランスポゾンをいうをいう。 通常のトランスポゾンは、 DNA型である。 代表 的な実施形態では、本発明は、 DNA型トランスポゾンを利用して実施される。 本明細書において、 「Tc lZma r i n e r型トランスポゾン」 とは、 Tc 1/ma r i n e rに類似したトランスポゾンをいう。 T c 1 /m a r i n e r型に属するトランスポゾンとしては、 例えば、 Mi n o s、 SB、 T c l、 ma r i n e rなどが挙げられるがそれに限定されない。 このスーパーフアミ リーは、 脊椎動物ゲノムが起源であるといわれている (Ra d i c eら、 1 9
94 ; Sm i t a n d R i g g s, 1 9 9 6 P r o c. Na t l . Ac a d. S c i . USA 9 3, 1443— 1448)。
本明細書において、「SB」または「S 1 e e p i n g B e a u t y」 とは、 T c 1/ma r i n e r型トランスポゾンであって、 哺乳動物またはその細胞 においてトランスポゾン活性を有するものをいう (I v i e s e t a 1., C e l l .9 1 : 50 1— 5 1 0、 1 9 9 7) をレヽう。
トランスポゾン配列に挟まれる部分には、 様々な DNA配列 (例えば、 マー カー遺伝子、遺伝子発現調節配列、所望の遺伝子など) を挿入することができ、 トランスポゾン配列の他に必要に応じて種々の構成要素を組み合わせたトラン スポゾン構築物を構築することができる。 本発明において、 トランスポゾン構 築物またはトランスポザーゼ遺伝子を導入する対象となる細胞は、 生物 (好ま しくは非ヒト生物) の個体に分化し得るポテンシャルをもつ細胞であればよく、 そのような細胞としては例えば幹細胞または受精卵がある。
本発明のトランスジエニック生物には、 トランスポゾン構築物およびトラン スポザーゼの一方または両方を含む f o u n d e r (第 1世 (代)だけでなく、 こ の f o u n d e rを基に確立されるトランスジエニック生物の系統も当然に本 発明に包含される。 さらに、 本発明のトランスジヱニック生物系統由来の臓器 (器官)、 糸且織、 卵、 精子、 および受精卵、 トランスジエニック生物の系統から 確立される株化細胞、 トランスジエニック生物の系統から作出される生物クロ ーン個体もまた本発明の範囲に含まれる。 本発明のトランスポゾン構築物は、 トランスポゾン配列の他に種々の構成要素を組み合わせて構築され、 幹細胞ま たは受精卵等に導入することができる。
本明細書において 「メチル化」 とは、 核酸分子にメチル基を付加することを いう。 同様の効果があれば、 メチル基は類似の基 (例えば、 低級アルキル基) などであってもよい。 メチル化は、 生体内ではメチル化酵素 (メチラーゼ) に よって触媒される。 ここでは、 メチル基は、 メチル基転移反応によって基質か
ら提供される。
1つの例示として、 メチル基は 5, 10—メチレンテトラヒドロ葉酸の酵素 的還元により 5—メチルテトラヒドロ葉酸として生成し、 ホモシスティンに一 種のコパミド酵素の作用で転移しメチォニンが作られる。 メチォニンは AT P の作用により S—アデノシルメチォニンになり, これがメチル供与体として 種々のメチル化合物の生成に用いられる。 コリンの酸化された形であるべタイ ンなどもメチル供与体として働くことがある。 各化合物に特異的なメチル基転 移酵素が数十種明らかにされており、 必要に応じて、 適切なものを当業者は選 択することができ、 本発明において使用することができる。 あるいは、 メチル 化は、 酵素を用いるほかに、 化学反応によって付加されてもよい。
本明細書においてメチル化の確認は、 当該分野において公知の任意の技術を 用いて行うことができる。 そのような方法としては、 例えば、 メチル化による 物理的挙動の変動の確認、 重亜硫酸改変配列決定 (Bisulfite modified sequence) (Gitan RS , et al. , Genome Res . Jan; 12: 158-64. 2002; Lilischkis R, et al. Diagn Mol Pathol . 2000;9:165-71.) ; ^挙 げられるがそれらに限定されない。
SBは、 代表的に、 各々の逆方向反復は少くとも 1の同方向反復を含む。 本 発明のこの態様の遺伝子転移システムは、 それゆえ、 2つの構成物: トランス ポザーゼおよびクローン化された非自律性 (即ち非自己揷入性) サケ科型因子 またはトランスポゾン基質 DN Aの逆方向反復を有するトランスポゾンを含む。 —緒にした場合、 これら 2つの構成物は活性なトランスポゾン活性を供する。 本明細書において、 「逆方向反復配列」 (i n v e r t e d r e p e t i t i v e s e q u e n c e) は、 トランスポゾンにおいて作動する配列であつ て、 構造上の特徴としては, 両末端の 1 5〜40塩基対が逆方向に繰返しのあ る配列があることが多い。 この逆方向反復配列は、 挿入配列であり、 転移因子 のひとつである。 各逆方向反復配列は好ましくは少なくとも一の直列反復配列
を含む (それ故、 I RZD Rと称される)。 トランスポゾン要素は直鎖状フラグ メントとして利用できる直鎖状核酸フラグメント (便宜上、 5 ' 末端から 3, 末端に至る)、 または例えばプラスミ ドの中で環状のものであってよい。 好適な 態様において、 各逆方向反復配列の中には 2つの直列反復配列がある。
本明細書において好ましい逆方向反復配列としては、 例えば、 T c 1 Zm a r i n e r型トランスポゾン、 S Bトランスポゾンの逆方向反復配列が挙げら れるがそれらに限定されない。 これらの中で、 S Bに結合するものは、 S Bト ランスポゾンの逆方向反復配列が挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において好ましい直列反復配列としては、 例えば、 T c 1 /m a r i n e r型トランスポゾン、 S Bトランスポゾンの直列反復配列が挙げられる がそれらに限定されない。 これらの中で、 S Bに結合するものは、 S Bトラン スポゾンの直列反復配列が挙げられるがそれらに限定されない。
同方向反復は、 代表的に、 約 2 5〜約 3 5塩基対の長さ、 好ましくは約 2 9 〜3 1塩基対の長さである。 し力 しながら、 これにかかわらず、逆方向反復は、 唯一の同方向反復を含み得る。 この場合、 それは実際には反復でないが、 以下 により詳しく記載するように、 共通の同方向配列に対して少くとも約 8 0 %の 同一性を有するヌクレオチド配列である。 トランスポゾン因子は、 直鎖フラグ メントまたは環状フラグメントとして、 例えばプラスミドにおいて用いること ができる (慣用的に、 5 ' 末端から 3 ' 末端に広がる) 直鎖核酸フラグメント である。
トランスポゾンの好ましい実施形態において、 各々の逆方向反復配列に 2つ の同方向反復がある。 (この実施形態において 4つになる) 同方向反復は、 類似 したヌクレオチド配列を有し得る。 この実施形態の核酸フラグメントの 5 ' 側 での逆方向反復は、 代表的に、 同方向反復 (即ち左外側の反復)、 介在領域、 お よび第 2の同方向反復 (即ち左内側反復) を含む。 この実施形態の核酸フラグ メントの 3 ' 側での逆方向反復は、 同方向反復 (即ち右内部反復)、 介在領域、
および第 2の同方向反応 (即ち右外側反復) を含む。
それらは核酸フラグメント上で互いに対して逆に向いているので、 核酸フラ グメントの 5' 逆方向反復内の同方向反復は、 核酸フラグメントの 3' 逆方向 反復内の同方向反復と比べて逆方向にある。 逆方向反復内の介在領域は、 一般 に、 少くとも約 150塩基対の長さ、 好ましくは少なくとも約 160塩基対の 長さである。 その介在領域は、 好ましくは約 200塩基対以下の長さ、 より好 ましくは約 180塩基対以下の長さである。 1つの逆方向反復の介在領域のヌ クレオチド配列は別の逆方向反復中の介在領域のヌクレオチド配列と同様であ つてもそうでなくてもよい。
本明細書において使用され得るほとんどのトランスポゾンは完全な逆方向反 復を有するが、 SBタンパク質に結合する逆方向反復は、 共通同方向反復と少 くとも約 80%の同一性、 好ましくは共通同方向反復と約 90%の同一性を有 する。 好ましい共通同方向反復は、 S Bトランスポゾンの配列のような配列が 挙げられるがそれらに限定されない。
SBタンパク質のコア結合部位と仮定される部位は、 配列番号 3の N末端か ら 1 23アミノ酸に存在する。 ヌクレオチド同一性は、 同方向反復と配列番号 1などに記載される配列との間の相同性を行うことにより決定される。
S Bタンパク質に結合する同方向反復配列の例としては、 SBトランスポゾ ンの配列が挙げられるがそれらに限定されない。 また、 左外側反復の例として f 、 g t t g a a g t c g g a a g t t t a c a c t t a g g力 s挙げられる力 S それらに限定されない。 左内側反復としては、 c c a g t g g g t c a g g a a g t t t a c a t a c a c t a a gが挙げられるがそれらに限定されない。 右内側反復としては、 左内側反復と類似する配列 (例えば、 90%以上の同 一性) が挙げられるがそれらに限定されない。 右外側反復としては、 左外側反 復配列と類似する配列 (例えば 90%以上の同一性) が挙げられるがそれらに 限定されない。
逆方向反復は、 ポリ (A) シグナル A A T A A Aを含んでいてもよい。 この ポリ (A) シグナルは、 核酸フラグメント中に存在するコーディング配列によ り利用され得、 ポリ (A) テールを m R N Aに付加する。 ポリ (A) テールの m R N Aへの付加は、 典型的には、 ポリ (A) テールのない同じ m R N Aと比 ベて m R N Aの安定性を増加させる。 好ましくは、 逆方向反復は、 各々の逆方 向反復配列中に 2つの同方向反復を含む核酸フラグメントの 3 側に存在する。 逆方向反復は、 細胞内の D N Aに揷入された核酸配列に隣接するようになる。 核酸配列は、 遺伝子のオープンリーディングフレームの全部または一部 (即ち タンパク質をコードする遺伝子の部分)、 単独でまたはオープンリーディングフ レームの全部もしくは一部を伴う 1または複数の発現調節配列 (即ち核酸中の 調節配列) を含み得る。 好ましい発現調節配列には、 これらに限らないが、 プ 口モーター、 ェンハンサー、 ボーダー調節因子、 遺伝子座調節領域またはサイ レンサーを含む。 好ましい実施形態において核酸配列は、 オープンリーデイン グフレームの少くとも一部に作用可能に連結されたプロモーターを含む。
トランスポゾンはトランスポザーゼの存在下で D N A上の第一の位置から第 二の位置へと移動できる (これを可動性ともいう)。 任意の可動カット一アンド —ペースト型トランスポゾンには 2つの基本的な成分であり、 それは活性トラ ンスポザーゼの起源と、 トランスポザーゼにより認識され、 かつ、 移動する D N A配列である。 D N A配列の移動は認識された D N A配列の間の介在核酸も 移動することを可能にする。
本明細書において 「外来遺伝子」 とは、 本発明の遺伝子転位によって導入さ れることが意図される遺伝子またはそれをコードする核酸分子をいう。 そのよ うな外来遺伝子は、 導入が意図される宿主とは異なる起源のものであっても、 その宿主由来であってもよい。 また、 導入が意図される限り、 その外来遺伝子 をコードする核酸配列は、 どのようなタンパク質をコードするものであっても よい。 そのような核酸配列によりコードされるタンパク質はマーカータンパク
質、 例えばグリーン蛍光タンパク質 (G F P)、 クロラムフエニコールァセチル トランスフェラーゼ (C AT)、 成長ホルモン (例えば遺伝子導入動物の成長を 促進するもの) /3—ガラクトシダーゼ (1 a c Z )、 ルシフェラーゼ (L U C)、 およびインスリン様増殖因子 (I G F ) などが挙げられるがそれらに限定され ない。
トランスジエニック生物の一の実施形態において、 タンパク質は細胞からの 単離のための生成物である。 バイオリアクターとしてのトランスジエニック生 物公知である。 タンパク質は、 例えば、 乳、 尿、 血液、 体液、 果実または卵の 中で大量に生産され得る。 乳、 尿、 血液、 体液、 果実または卵の中での発現を 促進するプロモーターが知られている。 そのようなものとしては、 カゼインプ 口モーター、 マウス尿'性タンパク質プロモーター、 —グロビンプロモーター およびオボアルブミンプロモーターが挙げられるがそれらに限定されない。 組 換タンパク質が細胞内でタンパク質を製造するためのその他の方法を利用して 製造されており、 本発明は、 そのような組み換えタンパク質を製造する工場を 生産するツールまたは技術として使用することができる。 これらまたはその他 のタンパク質をコードする核酸を本発明の核酸フラグメントの中に組込み、 そ して細胞に導入することができる。 細胞の D N Aの核酸フラグメントの効率的 な組込みは本発明の組成物が存在するときに起きる。 細胞が遺伝子導入動物の 組織または器官の一部であるとき、 大量の組換タンパク質が得られ得る。
(細胞 ·生物学)
本明細書において使用される 「細胞」 は、 当該分野において用いられる最も 広義の意味と同様に定義され、 多細胞生物の組織の構成単位であって、 外界を 隔離する膜構造に包まれ、 内部に自己再生能を備え、 遺伝情報およびその発現 機構を有する生命体をいう。 本明細書において使用される細胞は、 本発明の核 酸分子を導入することができる限り、 どのような由来であっても使用すること ができ、 天然に存在する細胞であっても、 人工的に改変された細胞 (例えば、
融合細胞、遺伝子改変細胞) であってもよい。細胞の供給源としては、例えば、 単一の細胞培養物であり得、 あるいは、 正常に成長したトランスジヱニック動 物の胚、 血液、 または体組織、 または正常に成長した細胞株由来の細胞のよう な細胞混合物が挙げられるがそれらに限定されない。 好ましくは、 形質転換ま たはトランスフエクシヨンが容易な細胞が使用される。 本発明において使用さ れる細胞は、 核酸分子を導入することが容易な細胞であることが好ましい。 本発明で用いられる細胞は、 どの生物由来の細胞 (たとえば、 任意の種類の 単細胞生物 (例えば、 細菌、 酵母) または多細胞生物 (例えば、 動物 (たとえ ば、 脊椎動物、 無脊椎動物)、 植物 (たとえば、 単子葉植物、 双子葉植物など) など)) でもよい。 例えば、 脊椎動物 (たとえば、 メクラウナギ類、 ャッメゥナ ギ類、 軟骨魚類、 硬骨魚類、 両生類、 爬虫類、 鳥類、 哺乳動物など) 由来の細 胞が用いられ、 より詳細には、 哺乳動物 (例えば、 単孔類、 有袋類、 貧歯類、 皮翼類、 翼手類、 食肉類、 食虫類、長鼻類、 奇蹄類、 偶蹄類、 管歯類、 有鱗類、 海牛類、 クジラ目、霊長類、 齧歯類、 ゥサギ目など) 由来の細胞が用いられる。 1つの実施形態では、 霊長類 (たとえば、 チンパンジー、 二ホンザル、 ヒ ト) 由来の細胞、 特にヒ ト由来の細胞が用いられるがそれに限定されない。 本発明 において用いられる細胞は、 上記細胞は、 幹細胞であってもよく体細胞であつ てもよい。 また、 そのような細胞は、 付着細胞、 浮遊細胞、 組織形成細胞およ ぴそれらの混合物などであり得る。
本発明において、 臓器が対象とされる場合、 そのような臓器はどのような臓 器でもよく、 また本発明が対象とする組織または細胞は、 生物のどの臓器また は器官に由来するものでもよい。 本明細書において 「臓器」 または 「器官」 と は、 互換可能に用いられ、 生物個体のある機能が個体内の特定の部分に局在し て営まれ, かつその部分が形態的に独立性をもっている構造体をいう。 一般に 多細胞生物 (例えば、 動物、 植物) では器官は特定の空間的配置をもついくつ かの組織からなり、 組織は多数の細胞からなる。 そのような臓器または器官と
しては、血管系に関連する臓器または器官が挙げられる。 1つの実施形態では、 本発明が対象とする臓器は、 皮膚、 血管、 角膜、 腎臓、 心臓、 肝臓、 臍帯、 腸、 神経、 肺、 胎盤、 勝臓、 脳、 四肢末梢、 網膜などが挙げられるがそれらに限定 されない。 植物の場合は、 「器官」 は、 カルス、 根、 茎、 幹、 葉、 花、 種子、 胚 芽、 胚、 果実、 胚乳などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において 「組織」 (t i s s u e ) とは、 多細胞生物において、 実質 的に同一の機能および/または形態をもつ細胞集団をいう。 通常 「組織」 は、 同じ起源を有するが、 異なる起源を持つ細胞集団であっても、 同一の機能およ ぴ /または形態を有するのであれば、 組織と呼ばれ得る。 従って、 本発明の幹 細胞を用いて,袓織を再生する場合、 2以上の異なる起源を有する細胞集団が一 つの組織を構成し得る。通常、組織は、臓器の一部を構成する。動物の組織は, 形態的、 機能的または発生的根拠に基づき、 上皮組織、 結合組織、 筋肉組織、 神経組織などに区別される。 植物では、 構成細胞の発達段階によって分裂組織 と永久組織とに大別され、 また構成細胞の種類によつて単一組織と複合組織と に分けるなど、 いろいろな分類が行われている。 本発明では、 ,袓織を用いてセ ンサまたはチップを構成することもできる。
本明細書において 「幹細胞」 とは、 自己複製能を有し、 多分化能 (すなわち 多能性) (「p 1 u r i p o t e n c y」) を有する細胞をいう。 幹細胞は通常、 組織が傷害を受けたときにその組織を再生することができる。 本明細書では幹 細胞は、 胚性幹 (E S ) 細胞または組織幹細胞 (組織性幹細胞、 ,袓織特異的幹 細胞または体性幹細胞ともいう)であり得るがそれらに限定されない。従って、 本発明では、 幹細胞の使用を直接使用することができる。
本明細書において 「体細胞」 とは、 卵子、 精子などの生殖細胞以外の細胞で あり、 その D NAを次世代に直接引き渡さない全ての細胞をいう。 体細胞は通 常、 多能性が限定されているかまたは消失している。 本明細書において使用さ れる体細胞は、 天然に存在するものであってもよく、 遺伝子改変されたもので
あってもよい。
本明細書において 「単離された」 とは、 通常の環境において天然に付随する 物質が少なくとも低減されていること、 好ましくは実質的に含まないをいう。 従って、 単離された細胞とは、 天然の環境において付随する他の物質 (たとえ ば、 他の細胞、 タンパク質、 核酸など) を実質的に含まない細胞をいう。 核酸 またはポリペプチドについていう場合、 「単離された」 とは、 たとえば、 組換え D N A技術により作製された場合には細胞物質または培養培地を実質的に含ま ず、 化学合成された場合には前駆体化学物質またはその他の化学物質を実質的 に含まない、核酸またはポリペプチドを指す。単離された核酸は、好ましくは、 その核酸が由来する生物において天然に該核酸に隣接している (f 1 a n k i n g ) 配列 (即ち、 該核酸の 5 ' 末端および 3 ' 末端に位置する配列) を含ま なレ、。
本明細書において、 「樹立された」 または 「確立された」 細胞とは、 特定の性 質 (例えば、 多分化能) を維持し、 かつ、 細胞が培養条件下で安定に増殖し続 けるようになった状態をいう。 したがって、 樹立された幹細胞は、 多分化能を 維持する。 本発明では、 安定した結果を提供することができることから、 この ような樹立された細胞を用いることが好ましい。
本明細書において 「分化 (した) 細胞」 とは、 機能および形態が特殊ィヒした 細胞 (例えば、 筋細胞、 神経細胞など) をいい、 幹細胞とは異なり、 多能性は ないか、 またはほとんどない。 分化した細胞としては、 例えば、 表皮細胞、 腌 実質細胞、 縢管細胞、 肝細胞、 血液細胞、 心筋細胞、 骨格筋細胞、 骨芽細胞、 骨格筋芽細胞、 神経細胞、 血管内皮細胞、.色素細胞、 平滑筋細胞、 脂肪細胞、 骨細胞、 軟骨細胞などが挙げられる。
本明細書において 「生物体」 は、 生命体として存在し得る 1個の個体として 存在し得る生物の一形態をいう。 従って、 植物の場合は、 例えば、 種子なども 含まれ得る。
(生化学 ·分子生物学)
本明細書において、 「遺伝子」 とは、 遺伝形質を規定する因子をいう。 通常染 色体上に一定の順序に配列している。 タンパク質の一次構造を規定するものを 構造遺伝子といい、 その発現を左右するものを調節遺伝子 (たとえば、 プロモ 一ター) という。 本明細書では、 遺伝子は、 特に言及しない限り、 構造遺伝子 および調節遺伝子を包含する。 したがって、 例えば、 トランスポザーゼ遺伝子 というときは、 通常、 トランスポザーゼの構造遺伝子およびトランスポザーゼ のプロモーターの両方を包含するが、 本発明の目的を達成することができる限 り、 トランスポザーゼの構造遺伝子のみをさしてもよい。 本明細書において通 常、 遺伝子とは、 調節領域、 コード領域、 ェキソン、 イントロンを含む。 本明 細書では、 「遺伝子」 は、 「ポリヌクレオチド」、 「ォリゴヌクレオチド」 および
「核酸」 ならびに Zまたは 「タンパク質」、 「ポリペプチド」、 「オリゴペプチド」 および「ペプチド」 を指すことがある。本明細書においてはまた、 「遺伝子産物」 は、 遺伝子によって発現された 「ポリヌクレオチド」、 「オリゴヌクレオチド」 および 「核酸」 ならびに Zまたは 「タンパク質」、 「ポリペプチド」、 「オリゴぺ プチド」 および 「ペプチド」 を包含する。 当業者であれば、 遺伝子産物が何た るかはその状況に応じて理解することができる。 したがって、 通常、 本明細書 において、 遺伝子は、 2本鎖 D N Aのみならず、 それを構成するセンス鎖およ ぴァンチセンス鎖といった各 1本鎖 D N Aを包含し、 またその長さに何ら制限 されるものではない。 従って、 本発明の遺伝子には、 特に言及しない限り、 ヒ トゲノム D NAを含む 2本鎖 D NA、 および c D NAを含む 1本鎖 D NA (セ ンス鎖)、 ならびにそのセンス鎖と相補的な配列を有する 1本鎖 D NA (アンチ センス鎖)、 およびそれらのフラグメントのいずれもが含まれる。
本明細書において配列 (例えば、 核酸配列、 アミノ酸配列など) の 「相同性」 とは、 2以上の遺伝子配列の、 互いに対する同一性の程度をいう。 従って、 あ る 2つの遺伝子の相同性が高いほど、 それらの配列の同一性または類似性は高
い。 2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、 配列の直接の比較、 または核 酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダィゼーション法によって調 ベられ得る。 2つの遺伝子配列を直接比較する場合、 その遺伝子配列間で D N A配列が、 代表的には少なくとも 5 0 %同一である場合、 好ましくは少なくと も 7 0 %同一である場合、 より好ましくは少なくとも 8 0 %、 9 0 %、 9 5 %、 9 6 %、 9 7 %、 9 8 %または 9 9 %同一である場合、 それらの遺伝子は相同 性を有する。 本明細書において、 配列 (例えば、 核酸配列、 アミノ酸配列など) の 「類似性」 とは、 上記相同性において、 保存的置換をポジティブ (同一) と みなした場合の、 2以上の遺伝子配列の、 互いに対する同一性の程度をいう。 従って、 保存的置換がある場合は、 その保存的置換の存在に応じて同一性と類 似性とは異なる。 また、 保存的置換がない場合は、 同一性と類似性とは同じ数 値を示す。
本明細書では、特に言及しない限り、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、 同一性および相同性の比較は、 配列分析用ツールである F A S T Aにおいてデ フォルトパラメータを用いて算出される。
本明細書において使用される用語 「タンパク質」、 「ポリペプチド」、 「オリゴ ペプチド」 および 「ペプチド」 は、 本明細書において同じ意味で使用され、 任 意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。 このポリマーは、 直鎖であっても分岐 していてもよく、 環状であってもよい。 アミノ酸は、 天然のものであっても非 天然のものであってもよく、 改変されたアミノ酸であってもよい。 この用語は また、 複数のポリぺプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。 この用語はまた、 天然または人工的に改変されたァミノ酸ポリマーも包含する。 そのような改変としては、 例えば、 ジスルフイド結合形成、 グリコシル化、 脂 質化、 ァセチル化、 リン酸化または任意の他の操作もしくは改変 (例えば、 標 識成分との結合体化) を包含する。 この定義にはまた、 例えば、 アミノ酸の 1 または 2以上のアナログを含むポリペプチド (例えば、 非天然のアミノ酸など
を含む)、 ペプチド様化合物 (例えば、 ぺプトイド) および当該分野において公 知の他の改変が包含される。 タンパク質の遺伝子産物は、 通常ポリペプチド形 態をとるが、同様の機能を有する限り、ポリべプチドの改変体であってもよい。 特定のアミノ酸配列を有するポリペプチドは、 そのフラグメント、 同族体、 誘 導体、 改変体を含む。
本明細書において使用される用語 「ポリヌクレオチド」、 「オリゴヌクレオチ ド 「核酸分子」 および 「核酸」 は、 本明細書において同じ意味で使用され、 任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。 この用語はまた、 「誘導体オリゴ ヌクレオチド」 または 「誘導体ポリヌクレオチド」 を含む。 「誘導体ォリゴヌク レオチド」 または 「誘導体ポリヌクレオチド」 とは、 ヌクレオチドの誘導体を 含むか、 またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドま たはポリヌクレオチドをいい、 互換的に使用される。 そのようなオリゴヌタレ ォチドとして具体的には、 例えば、 2, 一O—メチル一リポヌクレオチド、 ォ リゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチォエート結合に変換 された誘導体オリゴヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル 結合が N3' -P 5' ホスホロアミデート結合に変換された誘導体オリゴヌク レオチド、 オリゴヌクレオチド中のリポースとリン酸ジエステル結合とがぺプ チド核酸結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中 のゥラシルが C一 5プロピニルゥラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチ ド、 オリゴヌクレオチド中のゥラシルが C _ 5チアゾールゥラシルで置換され た誘導体ォリゴヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中のシトシンが C一 5プロ ピニルシトシンで置換された誘導体ォリゴヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド 中のシトシンがフエノキサジン修飾シトシン (p h e n o x a z i n e -mo d i f i e d c y t o s i n e) で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、 DNA中のリポースが 2, 一 O—プロピルリボースで置換された誘導体オリゴ ヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリボースが 2' —メ トキシェトキ
シリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドなどが例示される。 他にそ うではないと示されなければ、 特定の核酸配列はまた、 明示的に示された配列 と同様に、 その保存的に改変された改変体 (例えば、 縮重コドン置換体) およ び相補配列を包含することが企図される。 具体的には、 縮重コドン置換体は、 1またはそれ以上の選択された (または、 すべての) コドンの 3番目の位置が 混合塩基おょぴ Zまたはデォキシィノシン残基で置換された配列を作成するこ とにより達成され得る(B a t z e rら、 Nu c 1 e i c Ac i d Re s. 19 : 5081 (1991) ; Oh t s uk aら、 J. B i o l. C h e m. 2 60 : 2605-2608 (1985) ; Ro s s o l i n iら、 Mo l. C e 1 1. P r o b e s 8 : 91— 98 (1994))。 タンパク質などの遺伝子 は、 通常、 このポリヌクレオチド形態をとる。
本明細書において 「ヌクレオチド」 は、 糖部分がリン酸エステルになってい るヌクレオシドをいい、 DNA、 RNAなどを含み、 天然のものでも非天然の ものでもよい。 ここで、 ヌクレオシドは、 塩基と糖とが N—グリコシド結合を した化合物をいう。 「誘導体ヌクレオチド」 または 「ヌクレオチドアナログ」 と は、 天然に存在するヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機 能を有するものをいう。 そのような誘導体ヌクレオチドおよぴヌクレオチドア ナログは、 当該分野において周知である。 そのよ.うな誘導体ヌクレオチドおよ ぴヌクレオチドアナログの例としては、 ホスホロチォエート、 ホスホルアミデ ート、 メチルホスホネート、 キラルメチルホスホネート、 2— O—メチノレリポ ヌクレオチド、 ペプチド一核酸 (PNA) が含まれるが、 これらに限定されな い。 DNAは、 cDNA、 ゲノム DNA、 合成 DNAを含む。 な
1つの実施形態において、 改変体は、 天然に存在する対立遺伝子変異体、 天 然に存在しない変異体、 欠失、 置換、 付加、 および Zまたは挿入がなされた変 異体;コードされるポリペプチドの機能を実質的に変更しないポリヌクレオチ ド配列を意味し得る。
1つの実施形態において、 これらアミノ酸配列の改変 (変異等) は、 天然に おいて、 例えば変異、 翻訳後の修飾等により生じることもあるが、 天然由来の 遺伝子 (例えば本発明の具体例遺伝子) を利用して人為的にこれを行なうこと もできる。
1つの実施形態において、 上記ポリペプチドは、 対立遺伝子変異体、 ホモ口 グ、 天然の変異体で少なくとも 7 0 %、 好ましくは 8 0 %、 より好ましくは 9 5 %、 さらにより好ましくは 9 7 %相同なものを含む。
本明細書において、 「対応する」 アミノ酸または核酸とは、 それぞれあるポリ ぺプチド分子またはポリヌクレオチド分子において、 比較の基準となるポリぺ プチドまたはポリヌクレオチドにおける所定のアミノ酸と同様の作用を有する 力、 あるいは有することが予測されるアミノ酸または核酸をいい、 特に酵素分 子にあっては、 活性部位中の同様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をする アミノ酸をいう。 例えば、 あるトランスポゾン配列であれば、 そのトランスポ ゾン配列の特定の部分に対応するオルソログにおける同様の部分であり得る。 本明細書において、 「対応する」 遺伝子 (例えば、 核酸分子、 ポリペプチドな ど) とは、 ある種において、 比較の基準となる種における所定の遺伝子と同様 の作用を有するか、 または有することが予測される遺伝子をいい、 そのような 作用を有する遺伝子が複数存在する場合、 進化学的に同じ起源を有するものを いう。 従って、 ある遺伝子の対応する遺伝子は、 その遺伝子のオルソログある いは種相同体であり得る。 したがって、 マウストランスポゾン、 マウストラン スポザーゼなどに対応する遺伝子は、 他の動物においても見出すことができる。 そのような対応する遺伝子は、 当該分野において周知の技術を用いて同定する ことができる。 したがって、 例えば、 ある動物における対応する遺伝子は、 対 応する遺伝子の基準となる遺伝子 (例えば、 マウストランスポゾン、 マウスト ランスポザーゼなど)の配列をクエリ配列として用いてその動物(例えばヒト、 ラット、 ィヌ、 ネコ) の配列データベースを検索することによって見出すこと
ができる。 このような対応する遺伝子は、 ゲノムデータベースを利用すれば、 当業者は容易に得ることができる。 そのようなゲノム配列の入手方法は、 当該 分野において周知であり、 本明細書において他の場所に記載される。 本発明で は、 このような検索によつて得られた配列も利用可能である。
本明細書において 「フラグメント」 とは、 全長のポリペプチドまたはポリヌ クレオチド (長さが n ) に対して、 l〜n— 1までの配列長さを有するポリべ プチドまたはポリヌクレオチドをいう。 フラグメントの長さは、 その目的に応 じて、 適宜変更することができ、 例えば、 その長さの下限としては、 ポリぺプ チドの場合、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9、 1 0、 1 5, 2 0、 2 5、 3 0、 4 0、 5 0およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、 ここの具体的に列挙してい ない整数で表される長さ (例えば、 1 1など) もまた、 下限として適切であり 得る。 また、 ポリヌクレオチドの場合、 5、 6、 7、 8、 9、 1 0、 1 5, 2 0、 2 5、 3 0、 4 0、 5 0、 7 5、 1 0 0およびそれ以上のヌクレオチドが 挙げられ、 ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ (例えば、 1 1 など) もまた、 下限として適切であり得る。 本明細書において、 ポリペプチド およびポリヌクレオチドの長さは、 上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸 の個数で表すことができるが、 上述の個数は絶対的なものではなく、 同じ機能 (例えば、 マウストランスポゾン、 マウストランスポザーゼなどの機能) を有 する限り、 上限または加減としての上述の個数は、 その個数の上下数個 (また は例えば上下 1 0 %) のものも含むことが意図される。 そのような意図を表現 するために、 本明細書では、 個数の前に 「約」 を付けて表現することがある。 しかし、 本明細書では、 「約」 のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないこ とが理解されるべきである。 本発明では、 マウストランスポゾン、 マウストラ ンスポザーゼなどとして機能する、 すなわち、 転位活性を有する限り、 どのよ うなフラグメントであっても使用可能であることが理解される。
本明細書において使用される用語 「生体分子」 とは、 生体に関連する分子を
いう。
羋明細書において 「生体」 とは、 生物学的な有機体をいい、 動物、 植物、 菌 類、 ウィルスなどを含むがそれらに限定されない。 従って、 本明細書では生体 分子は、 生体から抽出される分子を包含するが、 それに限定されず、 生体に影 響を与え得る分子であれば生体分子の定義に入る。 したがって、 コンビナトリ アルケミストリで合成された分子、 医薬品として利用され得る低分子 (たとえ ば、 低分子リガンドなど) もまた生体への効果が意図され得るかぎり、 生体分 子の定義に入る。 そのような生体分子には、 タンパク質、 ポリペプチド、 オリ ゴぺプチド、 ぺプチド、 ポリヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド、 ヌクレオチ ド、 核酸 (例えば、 c D NA、 ゲノム D NAのような D NA、 mR NAのよう な R NAを含む)、 ポリサッカライド、 オリゴサッカライド、 脂質、 低分子 (例 えば、 ホルモン、 リガンド、 情報伝達物質、 有機低分子など)、 これらの複合分 子 (糖脂質、 糖タンパク質、 リポタンパク質など) などが包含されるがそれら に限定されない。 生体分子にはまた、 細胞への導入が企図される限り、 細胞自 体、組織の一部も包含され得る。 通常、 生体分子は、核酸、 タンパク質、脂質、 糖、 プロテオリピッド、 リポプロテイン、 糖タンパク質およびプロテオグリカ ンなどであり得る。 好ましくは、 生体分子は、 核酸 (D NAまたはR NA) ま たはタンパク質を含む。 別の好ましい実施形態では、 生体分子は、 核酸 (例え ば、 ゲノム D NAまたは c D NA、 あるいは P C Rなどによって合成された D NA)である。他の好ましい実施形態では、生体分子はタンパク質であり得る。 好ましくは、そのような生体分子は、ホルモンまたはサイトカインであり得る。 本明細書において 「化学合成物」 とは、 通常の化学技術を用いて合成され得 るすべての物質をいう。 従って、 化学合成物は、 化学物質の範囲内にある。 実 質的には化学物質は、 ほぼすベて合成することができる。 そのような合成技術 は、 当該分野において周知であり、 当業者は、 適宜そのような技術を組み合わ せて化学合成物を製造することができる。
本明細書において 「生物学的活性」 とは、 ある因子 (例えば、 ポリペプチド またはタンパク質) 力 生体内において有し得る活性のことをいい、 種々の機 能 (例えば、 転位活性) を発揮する活性が包含される。 ある因子がアンチセン ス分子である場合、 その生物学的活性は、 対象となる核酸分子への結合、 それ による発現抑制などを包含する。 例えば、 ある因子が酵素である場合、 その生 物学的活性は、 その酵素活性を包含する。 別の例では、 ある因子がリガンドま たはレセプターである場合、 そのリガンドまたはレセプターがそれぞれ対応す るレセプターまたはリガンドへの結合が生物学的活性に包含される。 その生物 学的活性が転写調節活性である場合は、 転写レベルまたはその変動を調節する 活性をいう。 例えば、 ある因子がトランスポゾンであるとき、 その生物学的活 性は転位活性である。 転位活性を測定する例は、 例えば、 実施例に記載される ような技術が挙げられ、 そのような生物学的活性は、 当該分野において周知の 技術によって決定することができる。
本明細書において、 「ストリンジヱントな条件でハイプリダイズするポリヌク レオチド」 とは、 当該分野で慣用される周知の条件をいう。 本発明のポリヌク レオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、 コロニー 'ハ イブリダィゼーシヨン法、 プラーク 'ハイブリダィゼーシヨン法あるいはサザ ンブロットハイプリダイゼーシヨン法等を用いることにより、 そのようなポリ ヌクレオチドを得ることができる。 具体的には、 コロニーあるいはプラーク由 来の DNAを固定化したフィルターを用いて、 0. 7〜1· 0Mの Na C l存 在下、 65°Cでハイブリダィゼーシヨンを行った後、 0. 1〜2倍濃度の S S C (s a l i n e— s o d i um c i t r a t e) 溶液 ( 1·倍濃度の S S C 溶液の組成は、 1 50mM 塩化ナトリウム、 1 5mM クェン酸ナトリウム である) を用い、 65°C条件下でフィルターを洗浄することにより同定できる ポリヌクレオチドを意味する。 ハイブリダィゼーシヨンは、 Mo 1 e c u 1 a r C l o n i n g 2 n d e d., Cu r r e n t P r o t o c o l s
i n Mo l e c u l a r B i o l o g y, Su p p l eme n t 1—3 8、 DNA C l o n i n g l : Co r e Te c h n i q u e s, A P r a c t i c a l Ap p r o a c h, S e c o n d Ed i t i o n, O x f o r d Un i v e r s i t y P r e s s (1 995) 等の実験書に記載 されている方法に準じて行うことができる。 ここで、 ストリンジヱントな条件 下でハイブリダイズする配列からは、 好ましくは、 A配列のみまたは T配列の みを含む配列が除外される。 「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」 とは、 上記ハイブリダイズ条件下で別のポリヌクレオチドにハイブリダイズすること ができるポリヌクレオチドをいう。 ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドと して具体的には、 本発明で具体的に示されるアミノ酸配列を有するポリべプチ ドをコードする DN Aの塩基配列と少なくとも 60%以上の相同性を有するポ リヌクレオチド、 好ましくは 80 %以上の相同性を有するポリヌクレオチド、 さらに好ましくは 95 %以上の相同性を有するポリヌクレオチドを挙げること ができる。
本明細書において 「プローブ」 とは、 インビトロおよぴ またはインビポな どのスクリーニングなどの生物学的実験において用いられる、検索の対象とな る物質をいい、 例えば、 特定の塩基配列を含む核酸分子または特定のアミノ酸 配列を含むペプチドなどが挙げられるがそれに限定されない。
通常プローブとして用いられる核酸分子としては、 目的とする遺伝子の核酸 配列と相同なまたは相補的な、 少なくとも 8の連続するヌクレオチド長の核酸 配列を するものが挙げられる。 そのような核酸配列は、 好ましくは、 少なく とも 9の連続するヌクレオチド長の、 より好ましく 10の違続するヌクレオチ ド長の、 さらに好ましくは 1 1の連続するヌクレオチド長の、 12の連続する ヌクレオチド長の、 13の連続するヌクレオチド長の、 14の連続するヌクレ ォチド長の、 1 5の連続するヌクレオチド長の、 20の連続するヌクレオチド 長の、 25の連続するヌクレオチド長の、 30の連続するヌクレオチド長の、
40の連続するヌクレオチド長の、 50の連続するヌクレオチド長の、 核酸配 列であり得る。プローブとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、 少なくとも 70 %相同な、 より好ましくは、 少なくとも 80 %相同な、 さらに 好ましくは、 90%相同な、 9 5%相同な核酸配列が含まれる。
本明細書において、 「検索」 とは、 電子的にまたは生物学的あるいは他の方法 により、 ある核酸塩基配列を利用して、 特定の機能および または性質を有す る他の核酸塩基配列を見出すことをいう。 電子的な検索としては、 B LAST (A l t s c h u l e t a l ., J . Mo l . B i o l . 2 1 5 : 403— 4 1 0 (1 9 90))、 FASTA (P e a r s o n & L i pma n, P r o c. Na t l . Ac a d. S c i ., USA 85 : 2444— 2448 (1 988))、 Sm i t h a n d Wa t e rma n法(Sm i t h a n d W a t e r ma n, J. Mo l . B i o l . 14 7 : 1 9 5— 1 9 7 (1 98 1))、 およぴ N e e d 1 e m a n a n d Wu n s c h法 (N e e d l e ma n a n d Wu n s c h, J . Mo l . B i o l . 48 : 443— 4 53 (1 9 70)) などが挙げられるがそれらに限定されない。 生物学的な検索としては、 ストリンジェントハイブリダィゼーシヨン、 ゲノム DNAをナイロンメンブレ ン等に貼り付けたマクロアレイまたはガラス板に貼り付けたマイクロアレイ (マイクロアレイアツセィ)、 PCRおよび i n s i t uハイブリダィゼー シヨンなどが挙げられるがそれらに限定されない。 本発明では、 このような検 索によって同定されたトランスポゾン、 トランスポザーゼ、 トランスポゾン配 列などもまた、 使用され得る。
本明細書において 「高度にストリンジェントな条件」 は、 核酸配列において 高度の相補性を有する DN A鎖のハイブリダィゼーションを可能にし、 そして ミスマッチを有意に有する DNAのハイブリダィゼーシヨンを除外するように 設計された条件をいう。 ハイブリダィゼーシヨンのストリンジエンシーは、 主 に、 温度、 イオン強度、 およびホルムアミドのような変性剤の条件によって決
定される。 このようなハイブリダィゼーシヨンおよび洗浄に関する 「高度にス トリンジェントな条件」 の例は、 0. 0 0 1 5M 塩化ナトリウム、 0. 00 1 5M クェン酸ナトリウム、 6 5〜6 8°C、 または 0. 0 1 5M 塩化ナト リウム、 0. 00 1 5M クェン酸ナトリウム、および 50% ホルムアミド、 42°Cである。 このような高度にストリンジェントな条件については、 S am b r o o k e t a I . , Mo l e c u l a r C 1 o n i n g : A L a b o r a t o r y Ma nu a l、 第 2 fe、 C o l d S p r i n g H a r b o r L a b o r a t o r y (C o l d S p r i n g Ha r b o r , N, Y. 1 9 8 9) ;および An d e r s o n e t a 1. Nu c l e i c A c i d Hy b r i d i z a t i o n. : a P r a c t i c a l a p r o a c h、 I V、 I R L P r e s s : L i m i t e d (O f o r d, E n g
■、一' ■■
1 a n d), L i m i t e d, O f o r d, En g l a n dを参照のこと。 必 要により、 よりストリンジェントな条件 (例えば、 より高い温度、 より低いィ オン強度、 より高いホルムアミ ド、 または他の変性剤) を、 使用してもよい。 他の薬剤が、 非特異的なハイブリダィゼーシヨンおよび/またはパックグラウ ンドのハイブリダイゼーションを減少する目的で、 ハイブリダイゼーション緩 衝液および洗浄緩衝液に含まれ得る。 そのような他の薬剤の例としては、 0. 1 %ゥシ血清アルブミン、 0. 1 %ポリビエルピロリ ドン、 0. 1 %ピロリン 酸ナトリウム、 0. 1%ドデシル硫酸ナトリウム (NaD o d S04または SD S), F i c o l K D e n h a r d t溶液、 超音波処理されたサケ精子 D N A (または別の非相補的 DNA) および硫酸デキストランであるが、 他の適切な 薬剤もまた、 使用され得る。 これらの添加物の濃度および型は、 ハイブリダィ ゼーシヨン条件のストリンジエンシーに実質的に影響を与えることなく変更さ れ得る。 ハイブリダィゼーシヨン実験は、 通常、 ρΗ6· 8〜7. 4で実施さ れるが;代表的なイオン強度条件において、ハイプリダイゼーシヨンの速度は、 ほとんど Η独立である。 An d e r s o n e t a 1. Nu c l e i c
W
Ac i d Hy b r i d i z a t i o n ^ P r a c t i c a l A p p r o a c h、 第 4車、 I R L P r e s s L i m i t e d (O f o r d, E n g 1 a n d) を参照のこと。
DNA二重鎖の安定性に影響を与える因子としては、 塩基の組成、 長さおよ ぴ塩基対不一致の程度が挙げられる。 ハイブリダィゼーシヨン条件は、 当業者 によって調整され得、 これらの変数を適用させ、 そして異なる配列関連性の D N Aがハイプリッドを形成するのを可能にする。 完全に一致した DN A二重鎖 の融解温度は、 以下の式によって概算され得る。
Tm (°C) =8 1. 5 + 1 6. 6 ( l o g [N a +]) +0. 4 1 (%G + C) 一 600/N— 0. 72 (%ホルムアミ ド)
ここで、 Nは、 形成される二重鎖の長さであり、 [Na+] は、 ハイブリダィ ゼーシヨン溶液または洗浄溶液中のナトリゥムイオンのモル濃度であり、 %G + Cは、 ハイブリッド中の (グァニン +シトシン) 塩基のパーセンテージであ る。 不完全に一致したハイブリッドに関して、 融解温度は、 各 1%不一致 (ミ スマッチ) に対して約 1°Cずつ減少する。
本明細書において 「中程度にストリンジェントな条件」 とは、 「高度にス リ ンジヱントな条件」 下で生じ得るよりも高い程度の塩基対不一致を有する DN A二重鎖が、 形成し得 条件をいう。 代表的な 「中程度にストリンジェントな 条件」 の例は、 0. 0 1 5M 塩化ナトリウム、 0. 00 1 5M タエン酸ナ トリウム、 50〜6 5°C、 または 0. 0 1 5M 塩化ナトリウム、 0. 00 1 5M タエン酸ナトリゥム、および 20%ホルムアミド、 3 7〜50°Cである。 例として、 0. 0 1 5M ナトリウムイオン中、 50。Cの 「中程度にストリン ジェントな」 条件は、 約 2 1%の不一致を許容する。
' 本明細書において 「高度」 にストリンジヱントな条件と 「中程度」 にストリ ンジヱントな条件との間に完全な区別は存在しないことがあり得ることが、 当 業者によって理解される。 例えば、 0. 0 1 5M ナトリウムイオン (ホルム
アミドなし) において、 完全に一致した長い DN Aの融解温度は、 約 7 1°Cで ある。 6 5°C (同じイオン強度) での洗浄において、 これは、 約 6%不一致を 許容にする。 より離れた関連する配列を捕獲するために、 当業者は、 単に温度 を低下させ得る力、 またはイオン強度を上昇し得る。
約 20ヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチドプローブについて、 1M N a C 1における融解温度の適切な概算は、
Tm= (1つの A— T塩基につき 2°C) + (1つの G— C塩基対につき 4°C) によって提供される。 なお、 6 Xクェン酸ナトリウム塩 (S S C) におけるナ トリゥムイオン濃度は、 1Mである (S u g g sら、 D e v e l o pme n t a 1 B i o l o g y U s i n g P u r i f i e d Ge n e s、 6 83 頁、 B r ownおよび F o x (編) (1 98 1) を参照のこと)。
トランスポゾン、 トランスポザーゼまたはその改変体もしくはフラグメント などのタンパク質をコードする天然の核酸は、例えば、配列番号 1、 2、 1 0、 1 2、 1 4、 1 6、 1 8などの核酸配列の一部またはその改変体を含む PC R プライマーおょぴハイブリダィゼーションプローブを有する c DNAライブラ リーから容易に分離される。 好ましいトランスポザーゼまたはその改変体もし くはフラグメントなどをコードする核酸は、 本質的に 1 %ゥシ血清アルブミン (B S A) ; 50 OmM リン酸ナトリウム (N a P 04) ; 1 mM EDTA; 42 °Cの温度で 7 % SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液、 および 本質的に 2 X S S C (6 0 0 mM N a C 1 ; 6 0 mM クェン酸ナトリウ ム); 50°Cの 0. 1% SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリ ンジェント条件下、 さらに好ましくは本質的に 50°Cの温度での 1 %ゥシ血清 アルブミン (B SA) ; 50 OmM リン酸ナトリゥム (Na P04) ; 1 5%ホ ルムアミド; ImM EDTA ; 7% SDS を含むハイブリダィゼーシ ヨン緩衝液、 および本質的に 50°Cの 1 X S S C (30 OmM N a C 1 ; 3 OmM クェン酸ナトリウム); 1 % SDSを含む洗浄緩衝液によつて定義さ
れる低ストリンジヱント条件下、 最も好ましくは本質的に 5 0°Cの温度での 1%ゥシ血清アルブミン (B SA); 20 OmM リン酸ナトリゥム (Na PO
4) ; 1 5 %ホルムァミド; 1 mM EDTA; 7 % S D Sを含むハイプリダイ ゼーシヨン緩衝液、 および本質的に 6 5 °Cの 0. 5 X S S C (1 5 0mM N a C 1 ; 1 5 mM クェン酸ナトリウム) ; 0. 1% S D Sを含む洗浄緩衝液 によって定義される低ストリンジェント条件下に配列番号 1、 2、 1 0、 1 2、 14、 1 6、 1 8などに示される核酸配列の 1つまたはその一部とハイブリダ ィズし得る。
本明細書において 「プローブ」 とは、 インビトロおよび/またはインビポな どのスクリーニングなどの生物学的実験において用いられる、 検索の対象とな る物質をいい、 例えば、 特定の塩基配列を含む核酸分子または特定のアミノ酸 配列を含むペプチドなどが挙げられるがそれに限定されない。
通常プローブとして用いられる核酸分子としては、 目的とする遺伝子の核酸 配列と相同なまたは相捕的な、 少なくとも 8の連続するヌクレオチド長の核酸 配列を有するものが挙げられる。 そのような核酸配列は、 好ましくは、 少なく とも 9の連続するヌクレオチド長の、 より好ましくは少なくとも 1 0の連続す るヌクレオチド長の、 さらに好ましくは少なくとも 1 1の連続するヌクレオチ ド長の、 少なくとも 1 2の連続するヌクレオチド長の、 少なくとも 1 3の連続 するヌクレオチド長の、 少なくとも 14の連続するヌクレオチド長の、 少なく とも 1 5の連続するヌクレオチド長の、 少なくとも 20の連続するヌクレオチ ド長の、 少なくとも 2 5の連続するヌクレオチド長の、 少なくとも 30の連続 するヌクレオチド長の、 少なくとも 40の連続するヌクレオチド長の、 少なく とも 5 0の連続するヌクレオチド長の、 少なくとも核酸配列であり得る。 プロ ーブとして使用される核酸配列には、 上述の配列に対して、 少なくとも 70% 相同な、 より好ましくは、 少なくとも 8 0 %相同な、 さらに好ましくは、 少な くとも 90 %相同な、 少なくとも 9 5 %相同な核酸配列が含まれる。 このよう
なプローブを用いて本発明において使用され得るトランスポゾンを得ることが できる。
本明細書における 「プライマー」 とは、 高分子合成酵素反応において、 合成 される高分子化合物の反応の開始に必要な物質をいう。 核酸分子の合成反応で は、 合成されるべき高分子化合物の一部の配列に相補的な核酸分子 (例えば、 DNAまたは RNAなど) が用いられ得る。
遺伝子工学分野において通常プライマーとして用いられる核酸分子としては、 目的とする遺伝子の核酸配列と相補的な、 少なくとも 8の連続するヌクレオチ ド長の核酸配列を有するものが挙げられる。 そのような核酸配列は、 好ましく は、 少なくとも 9の連続するヌクレオチド長の、 より好ましく 1 0の連続する ヌクレオチド長の、 さらに好ましくは 1 1の連続するヌクレオチド長の、 1 2 の連続するヌクレオチド長の、 1 3の連続するヌクレオチド長の、 14の連続 するヌクレオチド長の、 1 5の連続するヌクレオチド長の、 1 6の連続するヌ クレオチド長の、 1 7の連続するヌクレオチド長の、 1 8の連続するヌクレオ チド長の、 1 9の連続するヌクレオチド長の、 20の連続するヌクレオチド長 の、 2 5の連続するヌクレオチド長の、 30の連続するヌクレオチド長の、 4 0の連続するヌクレオチド長の、 50の連続するヌクレオチド長の、 核酸配列 であり得る。 プローブとして使用される核酸配列には、 上述の配列に対して、 少なくとも 70%相同な、 より好ましくは、 少なくとも 80%相同な、 さらに 好ましくは、 90%相同な、 9 5%相同な核酸配列が含まれる。 プライマーと して適切な配列は、 合成 (増幅) が意図される配列の性質によって変動し得る 力 当業者は、 意図される配列に応じて適宜プライマーを設計することができ る。 そのようなプライマーの設計は当該分野において周知であり、 手動でおこ なってもよくコンピュータプログラム (例えば、 LAS ERGENE, P r i me r S e l e c t , DNAS t a r) を用いて行ってもよい。 このようなプ ライマーを用いて本発明に用いるトランスポゾンを作製することができる。
本明細書において、 「ェピトープ」 とは、 抗原決定基を意味する。 従って、 ェ ピトープには特定の免疫グロプリンによる認識に関与するアミノ酸残基のセッ ト、 または、 T細胞の場合は、 T細胞レセプタータンパク質および/もしくは 主要組織適合性複合体 (MHC) レセプターによる認識について必要であるァ ミノ酸残基のセットが包含される。 この用語はまた、 「抗原決定基」 または 「抗 原決定部位」 と交換可能に使用される。 免疫系分野において、 インビポまたは インビトロで、 ェピトープは、 分子の特徴 (例えば、 一次ペプチド構造、 二次 ペプチド構造または三次ペプチド構造および電荷) であり、 免疫グロブリン、 T細胞レセプターまたは HL A分子によって認識される部位を形成する。 ぺプ チドを含むェピトープは、 ェピトープに独特な空間的コンフオメーシヨン中に 3つ以上のアミノ酸を含み得る。 一般に、 ェピトープは、 少なくとも 5つのこ のようなアミノ酸からなり、 代表的には少なくとも 6つ、 7つ、 8つ、 9つ、 または 1 0のこのようなアミノ酸からなる。 ェピトープの長さは、 より長いほ ど、 もとのペプチドの抗原性に類似することから一般的に好ましいが、 コンフ オメーシヨンを考慮すると、 必ずしもそうでないことがある。 アミノ酸の空間 的コンフオメーシヨンを決定する方法は、 当該分野で公知であり、 例えば、 X 線結晶学、 および 2次元核磁気共鳴分光法を含む。 さらに、 所定のタンパク質 におけるェピトープの同定は、 当該分野で周知の技術を使用して容易に達成さ れる。 例えば、 G e y s e nら、 P r o c. Na t l . Ac a d. S c i . U S A 8 1 : 3 9 98 (1 984) (所定の抗原における免疫原性ェピトープの 位置を決定するために迅速にぺプチドを合成する一般的な方法);米国特許第 4, 708, 8 7 1号 (抗原のェピトープを同定し、 そして化学的に合成するため の手 WS);および G e y s e nら Mo 1 e c u 1 a r I mmu n o 1 o g y 23 : 709 (1 986) (所定の抗体に対して高い親和性を有するペプチドを 同定するための技術) を参照されたい。 同じェピトープを認識する抗体は、 単 純な免疫アツセィにおいて同定され得る。 このように、 ペプチドを含むェピト
ープを決定する方法は、 当該分野において周知であり、 そのようなェピトープ は、 核酸またはアミノ酸の一次配列が提供されると、 当業者はそのような周知 慣用技術を用いて決定することができる。 .
従って、 ペプチドを含むェピトープとして使用するためには、 少なくとも 3 ァミノ酸の長さの配列が必要であり、 好ましくは、 この配列は、 少なくとも 4 アミノ酸、 より好ましくは 5アミノ酸、 6アミノ酸、 7アミノ酸、 8アミノ酸、 9アミノ酸、 1 0アミノ酸、 1 5アミノ酸、 2 0アミノ酸、 2 5アミノ酸の長 さの配列が必要であり得る。 ェピトープは、 市販のキット (例えば、 P e p S e t™ (クラボウ)) を用いて当業者が容易に決定することができる。 本発明で は、 あるシグナル伝達において役割を果たすタンパク質のェピトープを提示す ることによって、 シグナル伝達を測定する系を利用してもよい。
本明細書においてある核酸分子またはポリペプチドに 「特異的に結合する因 子」とは、その核酸分子またはポリペプチドに対するその因子の結合レベルが、 その核酸分子またはポリべプチド以外の核酸分子またはポリべプチドに対する その因子の結合レベルと同じかまたはそれよりも高い因子をいう。 そのような 因子としては、 例えば、 対象が核酸分子の場合、 対象となる核酸分子に対して 相補的な配列を有する核酸分子、 対象となる核酸配列に対して結合するポリべ プチド (例えば、転写因子など) などが挙げられ、対象がポリペプチドの場合、 抗体、 単鎖抗体、 レセプタ一—リガンドの対のいずれか一方、 酵素—基質のい ずれか一方などが挙げられるがそれらに限定されない。 本明細書において、 こ のような特異的に結合する因子(例えば、カルシウムに特異的に結合する因子、 特定の遺伝子産物に対する抗体など) は、 シグナル伝達を測定する際に利用さ れ得る。
(ポリぺプチドまたはポリヌクレオチドの改変)
本発明では、 トランスポゾン、 トランスポザーゼなどの機能的ポリペプチド を使用する場合、 同様の機能 (転位活性など) が達成することができる限り、
その改変体を使用してもよい。
ここで、 あるタンパク質分子において、 配列に含まれるあるアミノ酸は、 相 互作用結合能力の明らかな低下または消失なしに、 例えば、 カチオン性領域ま たは基質分子の結合部位のようなタンパク質構造において他のアミノ酸に置換 され得る。 あるタンパク質の生物学的機能を規定するのは、 タンパク質の相互 作用能力および性質である。 従って、 特定のアミノ酸の置換がアミノ酸配列に おいて、 またはその DNAコード配列のレベルにおいて行われ得、 置換後もな お、 もとの性質を維持するタンパク質が生じ得る。 従って、 生物学的有用性の 明らかな損失なしに、 種々の改変が、 本明細書において開示されたペプチドま たはこのべプチドをコ一ドする対応する DN Aにおいて行われ得る。
上記のような改変を設計する際に、 アミノ酸の疎水性指数が考慮され得る。 タンパク質における相互作用的な生物学的機能を与える際の疎水性アミノ酸指 数の重要性は、 一般に当該分野で認められている (Ky t e. Jおよび D o o 1 i t t l e, R. F. J . M o 1. B i o l . 1 5 7 (l): 1 05- 1 32, 1 98 2)。アミノ酸の疎水的性質は、生成したタンパク質の二次構造に寄与し、 次いでそのタンパク質と他の分子 (例えば、酵素、基質、 レセプター、 DNA、 抗体、 抗原など) との相互作用を規定する。 各アミノ酸は、 それらの疎水性お よび電荷の性質に基づく疎水性指数を割り当てられる。 それらは:イソ口イシ ン (+4. 5) ;パリン (+4. 2) ; ロイシン (+3. 8) ;フヱニルァラニン (+ 2. 8) ;システィンノシスチン (+2. 5) ;メチォニン (+ 1. 9) ;ァ ラニン (+ 1. 8) ;グリシン (一 0. 4);スレオニン (一 0. 7) ;セリン (一 0. 8); トリプトファン (一0. 9) ;チロシン (一1. 3) ;プロリン (一1. 6) ; ヒスチジン (一 3. 2) ; グルタミン酸 (一 3. 5) ; グルタミン (一3. 5) ;ァスパラギン酸 (一3. 5) ;ァスパラギン (一 3. 5) ; リジン (一3. 9) ;およびアルギニン (一 4. 5)) である。
あるアミノ酸を、 同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、
そして依然として同様の生物学的機能を有するタンパク質 (例えば、 酵素活性 において等価なタンパク質) を生じさせ得ることが当該分野で周知である。 こ のようなァミノ酸置換において、 疎水性指数が土 2以内であることが好ましく、 土 1以内であることがより好ましく、 および ±0. 5以内であることがさらに より好ましい。 疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であること が当該分野において理解される。 米国特許第 4, 5 54, 1 0 1号に記載され るように、 以下の親水性指数がアミノ酸残基に割り当てられている :アルギニ ン (+3. 0) ; リジン (+3. 0) ;ァスパラギン酸 (+ 3. 0± 1) ;グルタ ミン酸 (+ 3. 0± 1) ;セリン (+0. 3) ;ァスパラギン (+ 0. 2) ;ダル タミン (+0. 2);グリシン (0);スレオニン (一 0. 4) ;プロリン (一 0. 5± 1) ;ァラニン (一 0. 5) ; ヒスチジン (一 0. 5) ;システィン (一1. 0) ;メチォニン (一 1. 3) ;バリン (一 1. 5) ; ロイシン (一 1. 8) ;ィ ソロイシン (一 1. 8) ;チロシン (一2. 3);フエ二ルァラニン (一 2. 5) ; およびトリブトファン (一3. 4)。 アミノ酸が同様の親水性指数を有しかつ依 然として生物学的等価体を与え得る別のものに置換され得ることが理解される。 このようなアミノ酸置換において、 親水性指数が ± 2以内であることが好まし く、 ± 1以内であることがより好ましく、 および ±0. 5以内であることがさ らにより好ましい。
例えば、 下記の RNAコドン (それ故、 対応の DNAコドンでは Tが Uに置 き代わる) が各特定のアミノ酸をコードするのに交換可能に利用できることが 当業界において周知である:フエ二ルァラニン (?116または ) UUUまた は UUCロイシン ( 6 11または ) UUA, UUG, CUU, CUC, CU Aまたは CUGイソロイシン ( I 1 eまたは I) AUU, AUCまたは AUA メチォニン (Me tまたは M) AUGパリン (V a 1または V) GUU, GU C, GUA, GUGセリン (3 6 1:または3) UCU, UCC, UCA, UC G, AGU, AGCプロリン ( ]: 0または?) CCU, CCC, CCA, C
CGスレオニン (Th rまたは T) ACU, ACC, ACA, ACGァラニン (A l aまたは A) GCU, GCG, GCA, GCCチロシン (Ty rまたは Y) UAUまたは UACヒスチジン (H i sまたは H) CAUまたは CACグ ルタミン (01 11または<3) CAAまたは CAGァスパラギン (As nまたは N) AAUまたは AACリジン (し 5または1 AAAまたは AAGァスパ ラギン酸 ( 3 または13) GAUまたは GACグルタミン酸 (G l uまたは E) GAAまたは GAGシスティン (〇7 3または0 UGUまたは UGCァ ルギニン (Ar gまたは R) CGU, CGC, CGA, CGG, AGA, AG Cグリシン (G l yまたは G) GGUまたは GGCまたは GGAまたは GGG 終止コドン UAA, UAGまたは UGA さらに、 特定の D N A配列を修飾 して特定の細胞タイプは好適なコドンを採用することができる。 例えば、 E. c o 1 iのための好適なコドン用法は、 動物おょぴヒ トにとっての好適なコド ン用法と同じように公知である。 このような変更は当業者に周知であり、 本発 明の一部を構成する。
このようにして作製した改変体もまた、 本発明の範囲内にあり、 任意のその ような改変体が本発明において利用され得る。
(抗原 ·抗体)
本明細書において用いられる用語 「抗体」 は、 ポリクローナル抗体、 モノク ローナル抗体、 ヒト抗体、 ヒト化抗体、 多重特異性抗体、 キメラ抗体、 および 抗イディォタイプ抗体、 ならびにそれらの断片、 例えば F (a b') 2および F a bフラグメント、 ならびにその他の組換えにより生産された結合体を含む。 さらにこのような抗体を、 酵素、 例えばアルカリホスファターゼ、 西洋ヮサビ ペルォキシダーゼ、 aガラクトシダーゼなど、 に共有結合させまたは糸且換えに より融合させてよい。
本明細書中で使用される用語 「モノクローナル抗体」 は、 同質な抗体集団を 有する抗体糸且成物をいう。 この用語は、 それが作製される様式によって限定さ
れない。 この用語は、 全免疫グロブリン分子ならびに F a b分子、 F (a b ') 2フラグメント、 Fvフラグメント、 およびもとのモノクローナル抗体分子の免 疫学的結合特性を示す他の分子を含む。 ポリクローナル抗体およびモノクロー ナル抗体を作製する方法は当該分野で公知であり、 そして以下でより十分に記 載される。
モノクローナル抗体は、 当該分野で周知の標準的な技術 (例えば、 Ko h l e rおよび M i l s t e i n, Na t u r e 256 : 495 (1975)) また はその改変(例えば、 Bu c kら I n V i t r o 18 : 377 (1982)) を使用して調製される。 代表的には、 マウスまたはラットを、 タンパク質キヤ リアに結合したタンパク質で免疫化し、 追加免疫し、 そして脾臓 (および必要 に応じていくつかの大きなリンパ節)を取り出し、そして単一細胞を解離する。 必要に応じて、 この脾臓細胞は、 非特異的接着細胞の除去後、 抗原でコーティ ングされたプレートまたはゥエルに細胞懸濁液を適用することにより、 スクリ 一二ングされ得る。 抗原に特異的なィムノグロプリンを発現する B細胞がプレ ートに結合し、 そして懸濁液の残渣でもリンス除去されない。 次いで、 得られ' た B細胞 (すなわちすべての剥離した脾臓細胞) をミエローマ細胞と融合させ て、 ハイプリ ドーマを得、 このハイブリ ドーマを用いてモノクローナル抗体を 産生させることができる。
本明細書において 「抗原」 (a n t i g e n) とは、 抗体分子によって特異的 に結合され得る任意の基質をいう。 本明細書において 「免疫原」 (immun o g e n) とは、 抗原特異的免疫応答を生じるリンパ球活性化を開始し得る抗原 をいう。 したがって、 トランスポザーゼまたはその下流の産物は、 抗原または 免疫原として使用され、 抗原抗体反応を利用して本発明のセンサを実現するこ とができる。
(遺伝子操作)
本明細書において、 「遺伝子カセット」 とは、 遺伝子をコードする DNAと、
これに作動可能に (すなわち、 その D NAの発現を制御し得るように) 連結さ れた植物遺伝子プロモーターとを含む核酸配列、 ならびに、 必要に応じてプロ モーターと、 これに作動可能に (すなわち、 インフレームに) 連結された異種 遺伝子とを含む核酸配列をいう。 このカセットは、 必要に応じて他の調節エレ メントと組み合わせて使用することもまた、 本発明の範囲に含まれる。 好まし い発現カセットは、 特定の制限酵素で切断され、 容易に回収され得る遺伝子力 セットである。
本明細書において遺伝子操作について言及する場合、 「ベクター」 または 「組 み換えベクター」 とは、 目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入さ せることができるベクターをいう。 そのようなベクターとしては、 原核細胞、 酵母、 動物細胞、 植物細胞、 昆虫細胞、 動物個体おょぴ植物個体などの宿主細 胞において自立複製が可能、 または染色体中への組込みが可能で、 本発明のポ リヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示 される。 ベクターのうち、 クローニングに適したベクターを 「クローニングべ クタ一」 という。 そのようなクローニングベクターは通常、 制限酵素部位を複 数含むマルチプルクローニング部位を含む。 そのような制限酵素部位おょぴマ ルチプルクローニング部位は、 当該分野において周知であり、 当業者は、 目的 に合わせて適宜選択して使用することができる。 そのような技術は、 本明細書 に記載される文献 (例えば、 S a m b r o o kら、 前出) に記載されている。 本明細書において 「発現ベクター」 とは、 構造遺伝子およびその発現を調節 するプロモーターに加えて種々の調節エレメントが宿主の細胞中で作動し得る 状態で連結されている核酸配列をいう。 調節エレメントは、 好ましくは、 ター ミネ一ター、 薬剤耐性遺伝子のような選択マーカーおよび、 ェンハンサーを含 み得る。 生物 (例えば、 動物) の発現ベクターのタイプおよび使用される調節 エレメントの種類が、 宿主細胞に応じて変わり得ることは、 当業者に周知の事 項である。
原核細胞に対する組換えベクターとしては、 p cDNA3 (十)、 B 1 u e s c r i p t -SK ( + /— )、 p GEM— T、 pEF— BOS、 pEGFP、 pHAT、 pUC 18、 p FT-DE ST™42 GATEWAY ( I n v i t r o g e n) などが例示される。
動物細胞に対する組換えベクターとしては、 p cDNAI/Amp、 p c D NAI、 p CDM8 (いずれもフナコシより市販)、 AGE 107 [特開平 3 -229 (I nv i t r o g e n), p AGE 103 [J. B i o c h e m. , 101, 1307 (1987)]、 p AMo、 p AMo A [ J . B i o l . Ch em., 268, 22782-22787 (1993)]、 マウス幹細胞ウィルス (Mu r i n e S t em Ce l l V i r u s) (MS CV) に基づいたレ トロウィルス型発現ベクター、 PEF— BOS、 p EGFPなどが例示される。 植物細胞に対する組換えベクターとしては、 p PCV I CEn4HPT、 p CGN1548、 pCGN1549、 pB I 221、 pB I 121などが挙げ られるがそれらに限定されない。
本明細書において 「ターミネータ一」 とは、 通常遺伝子のタンパク質をコー ドする領域の下流に位置し、 DN Aが mRN Aに転写される際の転写の終結、 ポリ A配列の付加に関与する配列をいう。 ターミネータ一は、 mRNAの安定 性に関与して遺伝子の発現量に影響を及ぼすことが知られている。
本明細書において「プロモーター」 とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、 またその頻度を直接的に調節する DNA上の領域をいい、 通常 RNAポリメラ ーゼが結合して転写を始める塩基配列である。 したがって、 本明細書において ある遺伝子のプロモーターの働きを有する部分を「プロモーター部分」 という。 プロモーターの領域は、 通常、 推定タンパク質コード領域の第 1ェキソンの上 流約 2 k b p以内の領域であることが多いので、 DNA解析用ソフトウエアを 用いてゲノム塩基配列中のタンパク質コード領域を予測すれば、 プロモータ領 域を推定することはできる。 推定プロモーター領域は、 構造遺伝子ごとに変動
するが、 通常構造遺伝子の上流にあるが、 これらに限定されず、 構造遺伝子の 下流にもあり得る。 好ましくは、 推定プロモーター領域は、 第一ェキソン翻訳 開始点から上流約 2 k b p以内に存在する。
本明細書において 「ェンハンサー」 とは、 目的遺伝子の発現効率を高めるた めに用いられる配列をいう。 そのようなェンハンサ一は当該分野において周知 である。 ェンハンサ一は複数個用いられ得るが 1個用いられてもよいし、 用い なくともよレヽ。
本明細書において 「サイレンサー」 とは、 遺伝子発現を抑制し静止する機能 を有する配列をいう。 本発明では、 サイレンサーとしてはその機能を有する限 り、 どのようなものを用いてもよく、 サイレンサーを用いなくてもよい。
本明細書において「作動可能に連結された(る)」 とは、所望の配列の発現(作 動) がある転写翻訳調節配列 (例えば、 プロモーター、 ェンハンサー、 サイレ ンサ一など) または翻訳調節配列の制御下に配置されることをいう。 プロモー ターが遺伝子に作動可能に連結されるためには、 通常、 その遺伝子のすぐ上流 にプロモーターが配置されるが、 必ずしも隣接して配置される必要はない。 本明細書において、 核酸分子を細胞に導入する技術は、 どのような技術でも よく、例えば、形質転換、形質導入、 トランスフエクシヨンなどが挙げられる。 そのような核酸分子の導入技術は、 当該分野において周知であり、 かつ、 慣用 されるものであり、 例えば、 Au s u b e l F. A. ら編 (1988)、 Cu r r e n t P r o t o c o l s i n Mo l e c u l a r B i o l o g y、 Wi l e y、 New Yo r k, NY; S amb r o o k Jら (1 98 7) Mo l e c u l a r C l o n i n g : A L a b o r a t o r y Ma n u a 1 , 2 n d E d. およびその第三版, Co l d S p r i n g Ha r b o r L a b o r a t o r y P r e s s, C o l d S p r i n g H a r b o r, NY、 別冊実験医学 「遺伝子導入 &発現解析実験法」 羊土社、 1 997などに記載される。 遺伝子の導入は、 ノーザンブロット、 ウェスタンブ
口ット分析のような本明細書に記載される方法または他の周知慣用技術を用い て確認することができる。
また、 ベクターの導入方法としては、 細胞に DNAを導入する上述のような 方法であればいずれも用いることができ、 例えば、 トランスフヱクシヨン、 形 質導入、 形質転換など (例えば、 リン酸カルシウム法、 リボソーム法、 DEA Eデキストラン法、 エレクト口ポレーシヨン法、 パーティクルガン (遺伝子銃) を用いる方法など)、 リポフエクシヨン法、 スフエロプラスト法 [P r o c. N a t 1. Ac a d. S c に USA, 84, 1929 (1 978)]、 酢酸リチ ゥム法 [J. B a c t e r i o 1., 153, 1 63 (1 983)]、 P r o c. Na t l . Ac a d. S c i . USA, 75, 1929 (1 978) 記載の方 法が挙げられる。
本明細書において 「遺伝子導入試薬」 とは、 核酸 (通常遺伝子をコードする 力 それに限定されない) の導入方法において、 導入効率を促進するために用 いられる試薬をいう。 そのような遺伝子導入試薬としては、 例えば、 カチオン 性高分子、 カチオン性脂質、 ポリアミン系試薬、 ポリイミン系試薬、 リン酸力 ルシゥムなどが挙げられるがそれらに限定されない。 トランスフヱクシヨンの 際に利用される試薬の具体例としては、 種々なソースから市販されている試薬 が挙げられ、 例えば、 E f f e c t e n e T r a n s f e c t i o n Re a g e n t (c a t. n o. 301425, Q i a g e n, CA), Tr a n s F a s t TM T r a n s f e c t i o n Re a g e n t (E 2431 , P r ome g a, W I ), T f x TM- 20 Re a g e n t (E 2391 , P r ome g a, WI), Sup e r F e c t T r a n s f e c t i o n R e a g e n t (301305, Q i a g e n, C A), P o l y F e e t Tr a n s f e c t i o n Re a g e n t (301 105, Q i a g e n, C A), L i p o f e c tAMI NE 2000 Re a g e n t (1 1668 - 01 9, I n v i t r o g e n c o r p o r a t i o n, C A), J e t PE I (X 4 )
c o n e. (101-30, P o l yp l u s-t r a n s f e c t i o n, F r a n c e) およひ Έ x G e n 500 (R 051 1, F e rme n t a s I n c., MD) などが挙げられるがそれらに限定されない。 本発明においては、 本発明の核酸分子を細胞に導入する際にこのような遺伝子導入試薬が使用され 得る。 '
遺伝子導入効率は、 単位面積 (例えば、 1mm2など) あたりの導入外来物質 (導入遺伝子) (例えば、 レポーター遺伝子の産物、蛍光タンパク質 GFPなど) の導入 (発現) 細胞数、 または総信号 (蛍光タンパク質の場合は、 蛍光) 量を 測定することによって算定することができる。
本明細書において 「形質転換体」 とは、 形質転換によって作製された細胞な どの生命体の全部または一部 (組織など) をいう。 形質転換体としては、 原核 生物、 酵母、 動物、 植物、 昆虫などの細胞などの生命体の全部または一部 (組 織など) が例示される。 形質転換体は、 その対象に依存して、 形質転換細胞、 形質転換組織、 形質転換宿主などともいわれる。 本発明において用いられる細 胞は、 形質転換体であってもよい。
本発明において遺伝子操作などにおいて原核生物細胞が使用される場合、 原 核生物細胞としては、 E s c h e r i c h i a属、 S e r r a t i a属、 B a c i 1 1 u s 、 B r e v i b a c t e r i u mノ禺、 Co r y n e b a c t e r i u m属、 Mi c r o b a c t e r i u m属、 P s e u d omo n a s属な どに属する原核生物細胞、 例えば、 E s c h e r i c h i a c o l i XL 1— B l u e、 E s c h e r i c h i a c o l i XL 2_B l u e、 E s c h e r i c h i a c o l i DH 1が例示される。あるいは、本発明では、 天然物から分離した細胞も使用することができる。
本明細書において遺伝子操作などにおいて使用され得る動物細胞としては、 マウス · ミエローマ細胞、 ラット · ミエローマ細胞、 マウス 'ハイプリ ドーマ 細胞、 チャイニーズ 'ハムスターの細胞である CHO細胞、 BHK細胞、 ァフ
リカミドリザル腎臓細胞、 ヒト白血病細胞、 HB T 5 6 3 7 (特開昭 6 3— 2 9 9)、 ヒト結腸癌細胞株などを挙げることができる。 マウス · ミエローマ細胞 としては、 p s 20、 NSOなど、 ラット ' ミエローマ細胞としては YB 2Z 0など、 ヒ ト胎児腎臓細胞としては HEK2 93 (ATCC : CRL— 1 5 7 3) など、 ヒ ト白血病細胞としては BALL— 1など、 アフリカミドリザル腎 臓細胞としては COS— 1、 COS- 7, ヒ ト結腸癌細胞株としては HCT— 1 5、 ヒ ト神経芽細胞腫 SK— N— SH、 SK-N-SH- 5 Y, マウス神経 芽細胞腫 Ne u r o 2 Aなどが例示される。 あるいは、 本発明では、 初代培養 細胞も使用することができる。
本明細書において遺伝子操作などにおいて使用され得る植物細胞としては、 カルスまたはその一部および懸濁培養細胞、 ナス科、 イネ科、 アブラナ科、 バ ラ科、 マメ科、 ゥリ科、 シソ科、 ユリ科、 ァカザ科、 セリ科などの植物の細胞 が挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において遺伝子発現 (たとえば、 mRNA発現、 ポリペプチド発現) ,の 「検出」 または 「定量」 は、 例えば、 mRNAの測定おょぴ免疫学的測定方 法を含む適切な方法を用いて達成され得る。 分子生物学的測定方法としては、 例えば、 ノーザンプロット法、 ドットブロット法または PCR法などが例示さ れる。 免疫学的測定方法としては、 例えば、 方法としては、 マイクロタイター プレートを用いる EL I SA法、 R I A法、 蛍光抗体法、 ウェスタンブロット 法、 免疫組織染色法などが例示される。 また、 定量方法としては、 EL I SA 法または R I A法などが例示される。 アレイ (例えば、 DNAアレイ、 プロテ インアレイ) を用いた遺伝子角军析方法によっても行われ得る。 DNAアレイに ついては、 (秀潤社編、 細胞工学別冊 「DNAマイクロアレイと最新 PCR法」) に広く概説されている。 プロテインアレイについては、 Na t G e n e t . 2002 D e c ; 3 2 S u p p l : 5 26 -3 2に詳述されている。 遺伝 子発現の分析法としては、 上述に加えて、 RT— PCR、 RACE法、 S S C
P法、 免疫沈降法、 t w o _ h y b r i dシステム、 インビトロ翻訳などが挙 げられるがそれらに限定されない。 そのようなさらなる分析方法は、 例えば、 ゲノム解析実験法 ·中村祐輔ラボ ·マニュアル、 編集 ·中村祐輔 羊土社 ( 2 0 0 2 ) などに記載されており、 本明細書においてそれらの記載はすべて参考 として援用される。
本明細書において遺伝子、 ポリヌクレオチド、 ポリぺプチドなど遺伝子産物 の 「発現」 とは、 その遺伝子などがインビポで一定の作用を受けて、 別の形態 になることをいう。 好ましくは、 遺伝子、 ポリヌクレオチドなどが、 転写およ ぴ翻訳されて、 ポリペプチドの形態になることをいうが、 転写されて mR NA が作製されることもまた発現の一形態であり得る。 より好ましくは、 そのよう なポリべプチドの形態は、 翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。
「発現量」 とは、 目的の細胞などにおいて、 ポリペプチドまたは mR NAが 発現される量をいう。 そのような発現量としては、 本発明の抗体を用いて E L I S A法、 R I A法、 蛍光抗体法、 ウェスタンプロット法、 免疫組織染色法な どの免疫学的測定方法を含む任意の適切な方法により評価される本発明ポリべ プチドのタンパク質レベルでの発現量、 またはノーザンブロット法、 ドットブ ロット法、 P C R法などの分子生物学的測定方法を含む任意の適切な方法によ り評価される本発明のポリペプチドの m R N Aレベルでの発現量が挙げられる。 「発現量の変化」 とは、 上記免疫学的測定方法または分子生物学的測定方法を 含む任意の適切な方法により評価される本発明のポリペプチドのタンパク質レ ベルまたは m R N Aレベルでの発現量が増加あるいは減少することを意味する。 従って、 本明細書において遺伝子、 ポリヌクレオチド、 ポリペプチドなどの 「発現」 または 「発現量」 の 「減少」 とは、本発明の因子を作用させたときに、 作用させないときよりも、発現の量が有意に減少することをいう。好ましくは、 発現の減少は、ポリぺプチドの発現量の減少を含む。本明細書において遺伝子、 ポリヌクレオチド、 ポリペプチドなどの 「発現」 または 「発現量」 の 「増加」
とは、 細胞内に遺伝子発現に関連する因子 (例えば、 発現されるべき遺伝子ま たはそれを調節する因子) を導入したときに、 作用させないときよりも、 発現 の量が有意に増加することをいう。 好ましくは、 発現の増加は、 ポリペプチド の発現量の増加を含む。 本明細書において遺伝子の 「発現」 の 「誘導」 とは、 ある細胞にある因子を作用させてその遺伝子の発現量を増加させることをいう。 したがって、 発現の誘導は、 まったくその遺伝子の発現が見られなかった場合 にその遺伝子が発現するようにすること、 およびすでにその遺伝子の発現が見 られていた場合にその遺伝子の発現が増大することを包含する。
本明細書において、 遺伝子が 「特異的に発現する」 とは、 その遺伝子が、 特 定の部位または時期において他の部位または時期とは異なる (好ましくは高い) レベルで発現されることをいう。 特異的に発現するとは、 ある部位 (特異的部 位) にのみ発現してもよく、 それ以外の部位においても発現していてもよい。 好ましくは特異的に発現するとは、 ある部位においてのみ発現することをいう。 本発明によって生物に導入される遺伝子は、 特異的に発現するように改変され ていてもよい。
本明細書において 「生物学的活性」 とは、 ある因子 (例えば、 ポリペプチド またはタンパク質) 1 生体内において有し得る活性のことをいい、 種々の機 能 (例えば、 転写促進活性) を発揮する活性が包含される。 例えば、 コラーゲ ンがそのリガンドと相互作用する場合、 その生物学的活性は、 結合体の形成ま たは他の生物学的変化を包含する。 別の好ましい実施形態では、 そのような生 物学的活性は、 遺伝子転位活性などであり得る。 遺伝子転位活性は、 その目的 とする遺伝子をコードする配列の移動を任意の方法によって確認することによ つて判定され得る。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、 その酵素活性を包含する。 別の例では、 ある因子がリガンドである場合、 その リガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。 そのような生物学的活性 は、 当該分野において周知の技術によって測定することができる (M o 1 e c
u 1 a r C l o n i n g、 Cu r r e n t P r o t o c o l s (本明細書 において引用) などを参照)。
本明細書において 「キット」 とは、 通常 2つ以上の区画に分けて、 提供され るべき部分 (例えば、 試薬、 粒子など) が提供されるユニットをいう。 混合さ れて提供されるべきでなく、 使用直前に混合して使用することが好ましいよう な組成物の提供を目的とするときに、 このキットの形態は好ましい。 そのよう なキットは、 好ましくは、 提供される部分 (例えば、 試薬、 粒子など) をどの ように処理すべきかを記載する説明書を備えていることが有利である。 このよ うな説明書は、 どのような媒体であってもよく、 例えば、 そのような媒体とし ては、紙媒体、伝送媒体、記録媒体などが挙げられるがそれらに限定されない。 伝送媒体としては、 例えば、 インターネット、 イントラネット、 エタストラネ ット、 LANなどが挙げられるがそれらに限定されない。 記録媒体としては、 CD-ROM, CD-R, フレキシブルディスク、 DVD— R〇M、 MD、 ミ 二ディスク、 MO、 メモリースティックなどが挙げられるがそれらに限定され ない。
(トランスジエニック生物)
トランスジヱニックマウスを作製するための一般的な技術は、 国際公開 WO 01/13150 (Lu dw i g I n s t. Ca n c e r Re s.) に記載 されている。 米国特許第 4, 873, 19 1号 (Wa gn e r e t a 1.) は、 哺乳動物接合体への DNAのマイクロインジェクションによって得られた、 外因性 DNAを有する哺乳動物を教示している。 さらに転位性遺伝因子 (トラ ンスポゾン) を内因性 DNAに挿入あるいはさらに転位させることで、 該 DN Aの構造変化を起こしてこれを不活性化させ、 動植物等の変異体を効率的に作 出する方法が研究されてきている。 トランスポゾンを利用した、 染色体への特 定遺伝子の導入 ·付加等が可能となってきている。
このほかにもまた、 トランスジエニック生物を作り出すための様々な方法は、
例えば、 M. Ma r kku l aら、 Re v. R e p r o d., 1, 97— 106 (1996) ; R. T. Wa l lら J. Da i r y S c i ., 80, 2213
— 2224 (1997) ; J. C. Da l t on、 ら、 Adv. Exp. Me d.
B i o l ., 411, 419-428 (1997) ;および H. Lub o nら、 Tr a n s f u s. Me d. Re v., 10, 131— 143 (1996) など が挙げられるがそれらに限定されない。 これらの文献の各々は、 本明細書にお いて参考として援用される。
そのような中、 最近 10年間ほどで、 遺伝子機能の解析を目的として、 胚性 幹 (ES) 細胞の相同組換えを介したトランスジエニック (ノックアウト、 ノ ックインを含む) 動物の解析が重要な手段となってきている。
高等生物では、 例えば、 ネオマイシン耐性遺伝子を用いる陽性選択おょぴ H
S Vのチミジンキナーゼ遺伝子またはジフテリァ毒素遺伝子を用いる陰性選択 により組換え体の効率的な選別が行われている。 P CRまたはサザンプロット 法により相同組換え体の選択が行われる。 すなわち、 標的遺伝子の一部を陽性 選択用のネオマイシン耐性遺伝子等で置換し、 その末端に陰性選択用の HSV
TK遺伝子等を連結したターゲティングベクターを作成し、 エレクトロポレー シヨンにより E S細胞に導入し、 G418およびガンシクロビルの存在下で選 択して、 生じたコロニーを単離し、 さらに PCRまたはサザンブロットにより 相同組換え体を選択する。
このように、 内在する標的遺伝子を置換または破壊して、 機能が喪失したか または変更された変異を有するトランスジエニック (標的遺伝子組換え) マウ スを作製する方法は、 標的とした遺伝子だけに変異が導入されるので、 その遺 伝子機能の解析に有用である。
所望の相同,袓換え体を選択した後、 得られた組換え E S細胞を胚盤注入法ま たは集合キメラ法により正常な胚と混合して ES細胞と宿主胚とのキメラマウ スを作製する。 胚盤注入法では、 E S細胞を胚盤胞にガラスピぺットで注入す
る。 集合キメラ法では、 E S細胞の塊と透明帯を除去した 8細胞期の胚とを接 着させる。 E S細胞を導入した胚盤胞を偽妊娠させた代理母の子宮に移植して キメラマウスを得る。 E S細胞は、 全能性を有するので、 生体内では、 生殖細 胞を含め、 あらゆる種類の細胞に分ィ匕することができる。 E S細胞由来の生殖 細胞を有するキメラマウスと正常マウスを交配させると E S細胞の染色体をへ テロに有するマウスが得られ、 このマウス同士を交配すると E S細胞の改変染 色体をホモに有するトランスジエニックマウスが得られる。 得られたキメラマ ウスから改変染色体をホモに有するトランスジエニックマウスを得るには、 雄 性キメラマウスと雌性野生型マウスとを交配して、 F 1世代のへテロ接合体マ ウスを産出させ、 生まれた雄性および雌性のへテロ接合体マウスを交配して、 F 2世代のホモ接合体マウスを選択する。 F 1および F 2の各世代において所 望の遺伝子変異が導入されているか否かは、 組換え E S細胞のアツセィと同様 に、 サザンブロッテイング、 P C R、 塩基配列の解読など当該分野において慣 用される方法を用いて分析され得る。
しかし、 現在行われているトランスジヱニック動物の作製技術では、 多様な 遺伝子機能を選択的に解析することが困難であるという欠点を有する。 また容 易にトランスジエニック生物を作製できないという欠点も存在する。
また、 現行のトランスジヱニック動物の作製は、 目的の遺伝子を同定した後 に、 上述のようにその目的の遺伝子を一から置換または破壌および置換するこ とが必要であり、 非常に労力および時間がかかる上、 熟練した研究者でも必ず うまくいくとは限らない。 従って、 未だに労働集約的な作業を要する仕事であ る。
そのため、 多様な遺伝子機能を選択的に解析することができないという問題 を克服する次世代技術として、 C r eレコンビナーゼの細胞種特異的発現と C r e - 1 o x Pの部位特異的組み換えを併用する技術が注目されている。 C r e - 1 o x Pを用いるトランスジエニックマウスは、 標的遺伝子の発現を阻害
しなレ、位置にネォマイシン耐性遺伝子を導入し、 後に削除するェキソンをはさ むようにして 1 o X P配列を挿入したターゲティングベクターを E S細胞に導 入し、 その後相同組換え体を単離する。 この単離したクローンからキメラマウ スを得、 遺伝子改変マウスが作製される。 次に、 大腸菌の P 1ファージ由来の 部位特異的組換え酵素 C r eを組織特異的に発現するトランスジエニックマウ スとこのマウスを交配させると、 C r eを発現する糸且織中でのみ遺伝子が破壌 される (ここでは、 C r eは、 1 o x P配列 (34 b p) を特異的に認識して、 2つの 1 o x'P配列にはさまれた配列で組換えを起こさせ、 これが破壌される)。 臓器特異的なプロモータに連結した C r e遺伝子を有するトランスジエニック マウスと交配させるか、 または C r e遺伝子を有するウィルスベクターを使用 して、 成体で C r eを発現させることができる。
特定の遺伝子を解析する方法としてジーントラップ (遺伝子トラップ) 法が 注目されている。 ジーントラップ法では、 プロモータを有しないレポーター遺 伝子が細胞に導入され、 その遺伝子が偶発的にゲノム上に挿入されると、 レポ 一ター遺伝子が発現することを利用して、 新規な遺伝子を単離 (トラップ) さ れる。 ジーントラップ法は、 マウス初期胚操作法, 胚性幹細胞培養法, 相同組 換えによる遺伝子ターグティング法に基づく、 効率的な揷入変異と未知遺伝子 同定のための方法である (S t a n f o r d WL., e t a 1. , N a t r e Ge n e t i c s 2 : 7 5 6— 76 8 (200 1))。 ジーントラップ 法では、 遺伝子の導入ならぴに揷入変異体の選択およびその表現型解析が比較 的に容易である。
ジーントラップ法では、 例えば、 スプライシング ァクセプター配列とポリ A付加シグナルとの間に l a c Zと n e oとの融合遺伝子である 一 g e oを 連結したジーントラップベクターを ES細胞に導入し、 G41 8で選択すると、 E S細胞で発現している遺伝子を偶然にトラップしたクローンだけが選択され る。
W 200
このようにして得られたクローンからキメラ胚を作製すると、 トラップした 遺伝子の発現パターンにより、 さまざまな X— g a 1の染色パターンを示す。 このようにして、 ジーントラップ法では、 未知の遺伝子が単離され、 その遺伝 子発現パタ一ンが解析され、 またその遺伝子が破壌される。 本発明を用いれば、 トランスポザーゼ遺伝子を有するトランスジエニック生 物と、 非自己完結型トランスポゾン含有トランスジェニック生物とを交配して、 「トランスポザーゼ遺伝子およびトランスポゾン含有トランスジヱニック生 物」 を得ることができる。 ここでは、 非自己完結型トランスポゾンとは、 それ 自身では転位が不可能なものをいう。 自己完結型トランスポゾンとは、 それ自 身で転位が可能なものをいう。 この方法によると、 同様の親を交配させること により、 同一遺伝子をもつ仔哺乳動物を新たに得ることができる。 この方法に よれば、 トランスポゾン構築物のみが導入されたことによる哺轧動物における 表現型に与える影響をあらかじめ知ることができる。 同様に、 トランスポザー ゼ構築物のみが導入されたことによる哺乳動物における表現型に与える影響を あらかじめ知ることができる。 あるいは、 トランスポザーゼ遺伝子おょぴトラ ンスポゾンを初めから導入した、 交配によらない 「トランスポザーゼ遺伝子お ょぴトランスポゾン含有トランスジエニック生物」 を得ることもできる。 この 方法によれば親同士を交配する必要がないため、 手間や時間、 コスト面で効率 がよい。 従って、 本発明では、 このようなトランスジエニック生物の作製方法 を適用することができる。 。
この 「トランスポザーゼ遺伝子およびトランスポゾン含有トランスジヱニッ ク生物」 において、 トランスポゾンは転位可能な状態で含まれるため染色体上 の任意の部位に転位可能であり、 この転位により染色体上の任意部位の遺伝子 機能を破壊、 低下ないし活性化することが可能である。
さらに、 「トランスポザーゼ遺伝子およびトランスポゾン配列含有トランスジ
エニック生物」 と 「トランスポザーゼを含まない生物」 を交配して、 「トランス ポゾンを有するがトランスポザーゼ遺伝子を有しない生物」 を得ることができ る。 トランスポザーゼが 1 o X Pで挟まれている場合、 C r eを含む生物と交 配してもよい。
好ましい実施形態では、 ほぼ全細胞に (i) 少なぐとも、 1つのトランスポ ザーゼ遺伝子および少なぐとも 1つの非自己完結型トランスポゾシあるいは自 己完結型トランスポゾン、 ならびに (i i) 少なくとも 1つのシグニチヤ一部 位を有するトランスジヱニック生物」 は、 「GFPを任意成分として内部に含む トランスポゾン配列 (TP) とトランスポザーゼ遺伝子 (SB) を両方有する トランスジエニック生物 (以下、 「TP— SB生物」 ということがある)」 に対 応し、 「GFPを任意成分として内部に含むトランスポゾン配列 (TP) を有す るがトランスポザーゼ遺伝子 (SB) を有しない生物 (以下、 「TP生物」 とい うことがある)」 と、 「トランスポザーゼ遺伝子 (SB) を有するがトランスポ ゾン配列を有しない生物 (以下、 「 SB哺乳動物」 ということがある)」 を交配 して得られるものである。
1つの実施形態において、 本発明のこのトランスジエニック生物はトランス ポゾンあるいはシダニチヤ一部位を有する動物幹細胞または受精卵から誘導さ れているので、 本質的に全ての細胞においてトランスポザーゼ遺伝子を有する はずであるが、 トランスポゾンが切り出される際にシグニチヤ一部位を残さず かつ転位しないこともあり得ることから、 「ほぼ全細胞」 と表現することができ る。 本明細書では、 「ほぼ全細胞」 はこのような特別な細胞を除く全細胞を意味 する。 上記生物は、 その各細胞においてトランスポゾンがランダムに転位して おり、 そのため、 トランスポゾンにより導入された遺伝子変異に関して個体全 体として統一的な変異が見いだされないものである。
別の実施形態において、 本発明のトランスジエニック哺乳動物のうち 「TP 一 SB哺乳動物」 と 「トランスポザーゼを含まない生物」 を交配して得られる
ものは、 「T P _ S B哺乳動物」 のシグニチヤ一配列に基づく遺伝子変異が受精 卵の段階で既に存在し、 哺乳動物個体のほぼ全細胞で共通のシグニチヤ一部位 を含むものである。
本発明においては、 所望のトランスジエニック生物をプレスクリーニングし 得る。 プレスクリーニングの方法としては、 例えばジーントラップ法を用いる ことカできる (Z amb r ow i c z e t a l. ; Na t u r e, 3 9 2 : 608 - 6 1 1 (1 9 98) ; Go s s l e r e t a l . ; S c i e n c e, 244 : 463-46 5 (1 98 9) ; S k a l l n e s, WC. e七 a 1 · ; G e n e s D e v. 6 : 90 3 * 9 1 8 (1 9 9 2) ; F r i e d r i c h, G. e t a L ; G e n e s D e v. 5 : 1 5 1 3— 1 5 23 (1 9 9 1))。 このように、 プレスクリーニングを行うことにより遺伝子機能の解明に有望な. トランスジエニック生物を予め選抜 L仁その後 2世代以上の交配あるいはその 他適宜の手段により、 1対の染色体の両遺伝子が変異したトランスジエニック 生物を得ることができる。
遺伝子破壌してその表現型を解析する手法は、 遺伝子機能を解明するための 有効な手段である。 哺乳動物個体、 特にマウスで網羅的に遺伝子破壌を起こし 表現型を解析するためには、 克服しなければレ、けない大きな問題点が二つある。 一番目は、 網羅的に遺伝子破壊を起こし表現型を目安に遺伝子機能を採る手法、 いわゆるフォヮ一ドジエネティッタスが整備されていないことである。 二番目 は、 遺伝子が一対 (両対立遺伝子) あるために片側の遺伝子を破壌しただけで は表現型が現れないことである。 両対立遺伝子変異を導入するためには、 現在 のところ片側の遺伝子が破壌された個体同士の交配に依存している。 つまり、 両対立遺伝子変異導入個体を得るための交配に長時間をかける必要性がある。 —番目の問題点は、 本発明において改良されたトランスポゾンシステムでよ りょく克服できる。 二番目の問題点は、 迅速な両対立遺伝子変異導入法により 克服できる二番目の問題点を克服するための具体的手段として、 両対立遺伝子
変異を有する細 5胞が高頻度に現れる B 1 o om遺伝子ノックアウトマウスを 用いることができる (G. Lu o e t a 1. ; Na t u r e Ge n e t i c s, 26 : 424 - 42 9 (2000))。 但し、 完全な B 1 o om遺伝子ノ ックアウトマウスは致死性であり (N. Ch e s t e r e t a 1. ; G e n e s a n d D e v. : , 1 2 : 338 2— 3 3 93 (1 9 98))、 二番目の 問題点を克服できない可能性がある。 そこで、 本発明者らは、 B 1 o om遺伝 子の発現を自由に調節できうる様なマウスを t e t OFFのシステム (CT, B o n d e t a l . ; S c i e n c e, 28 9 : 1 942- 1 946 (200 0)) を用いて作製中である (図 8参照)。 B 1 o om遺伝子は DNAヘリカー ゼをコードし、その活性が欠損すると、 s i s t e r c h r oma t i d e x c h a n g e (S CE) が起こり、 同時に別の c h r oma t i dとの交換 も起こる。 従って、 B 1 o om遺伝子を欠損させると、 4倍体の状態で組換え が起こり、 一対の遺伝子が両方とも変異した細胞を、 個体の一部で生じさせ得 る。
例として B 1 o om遺伝子の ONZOFFをテトラサイクリン依存的に行うよ うにしておくと (A. K i s t n e r e t a l . P r o c. N a t l . A c a d. S c i。. USA, 9 3 : 1 0 93 3— 1 0 93 8 (1 9 9 6)) T— テトラサイタリンを与えるまたは与えない時期を調節することで、 時期特異的 により多くの組換えを誘発し、 一対の変異遺伝子を有する細胞に導くことがで きる。 従って、 交配を繰り返すことなく、 一対の遺伝子の変異した生物を得る ことができる。 時期特異的に変異を導入するには、 例えば、 ペレット (p e 1 1 e t) を持続的に生物母体に経口投与することで、 一対の遺伝子の変異した 胎児を得ることができる。
B 1 o om遺伝子を調節可能に発現させるための一例としてのテトラサイク リンレギュレータブノレュニット (T e t r a c y c l i n r e g u l a t a b 1 e u n i t) のような手段の導入は、 トランスポゾンシステムと組み合
わせて行う。 例えば、 トランスポゾンコンストラクト、 トランスポザーゼ、 自 己完結型トランスポゾンなどが導入される受精卵等に予め B 1 o om遺伝子を 調節可能に発現する手段を導入しておいて交配を行う。 得られたトランスポゾ ン転位部位が導入されたマウスに、 B I o om遺伝子の発現を抑制する手段(例 えばテトラサイクリンの投与) を実施することで、 トランスポゾンシステムに より得られた遺伝子の変異を両対立遺伝子に導入し、 表現型の確認を迅速に行 うことができる。 本発明において選択マーカー遺伝子を用いない場合は、 該ト ランスジエニック生物の細胞から DNAを抽出し、 サザンプロット法により転 位の有無を調べることで、 スクリーニングを行ない得る。 本発明によれば、 動 物体内で、 効率のよいトランスポゾン配列の転位を達成することができる。 ト ランスポゾンを用いた変異の導入法によれば、 他の方法に比べ、 多種多様な表 現型をもつ生物を効率よくかつランダムに得ることが可能となる。 本発明のト ランスジヱニック生物は、 遺伝子機能研究において、 多様な遺伝子変異を導入 することにより、 複雑な生命現象を解明するためのツールとしてきわめて有用 である。
また、 P r o c . N a t l . Ac a d. S c に USA, v o l . 9 5 : 1 0 76 9 - 1 0 7 73, 1 9 9 8に記載されるように、 細胞におけるトランス ポゾンの発現頻度は細胞あたり最大で 3. 5 1 0—5回/1世代あたりの 1細 胞と極めて低い。 これに対して、 本発明による個体でのトランスポゾン発現率 は、 例えば実施例においては全マウス中 42%、 GFP遺伝子陽性マウス中最 大 80%であり、 著しく高いという特徴をもつ。 このようにトランスポゾン発 現システムが動物またはその組織、 器官などの細胞集合体となることでトラン スポゾンの転位効率が飛躍的に高めることが容易になつたのは、 本発明におい て初めて見出された知見である。
本発明の 1実施態様によれば遺伝子機能を鮮明する手段として、 ランダムに トランスポゾン構築物を導入したトランスジエニック生物群の中から、 マーカ
一あるいは他の手段によりランダムに導入された変異を有する個体を見出すこ とが可能である。 遺伝子機能を網羅的に解析するには、 トランスポゾンがゲノ ムのより多くの部位へ転位する必要がある。 本発明によれば、 「ほぼ全細胞に
( i ) 少なくとも 1つのトランスポザーゼ遺伝子おょぴ少なくとも 1つの非自 己完結型トランスポゾンあるいは自己完結型トランスポゾンならびに (i i ) 少なくとも 1つのシグ-チヤ一部位を有するトランスジヱニック生物」 を得る ことができる。 例えばマウスを対象とした本願実施例による 、 細胞 1 0個当 たり 1個以上の割合でシグニチヤ一部位を導入することができ、 その結果種々 雑多な細胞をモザイク状にもつそのような 「種マウス」 が得られ、 該マウスは 1個体当たり約 1万以上の転位部位を有するとの結果を得ている。 従って、 異 なる種マウスから変異マウスを作製することにより、 約 3万以上あるとされる 遺伝子のほぼ全てについて網羅的に変異導入することも可能である。 このよう に、 変異を有する生物個体を解析する際、 本発明では遺伝子変異の発現頻度が 極めて高いので、 複数の変異をもつ生物が 1個体得られれば、 多くの変異の機 能変化を一度で分析することができ、 遺伝子機能の解明を極めて効率的に行う ことができる。 また、 変異導入の対象としてマウスを例にとると、 従来の E S 細胞への変異導入法であれば、 1つの細胞からわずか 1匹のトランスジヱニッ クマウスしか得られなかった。
一方、 本発明のトランスジヱニック生物作製方法によれば、 得られた 「ほぼ 全細胞に少なくとも 1つの非自己完結型トランスポゾンおよび少なくとも 1つ のシグニチヤ一部位からなる群がら選ばれる少なくとも 1種を有するトランス ジエニック生物 (例えばマウス)」 を種マウスとすると、 1匹の個体から 1万種 類のトランスジエニック個体を産ませることができる (図 9参照)。 即ち、 1匹 のマウスから膨大な種類の転位をもつ子が産まれるとの利点があり」、 生命現象 を解明するために種女雑多な変異個体を得ることができる。
本発明によれば、 得られたトランスジヱニック生物を交配することで、 転位
が固定された遺伝子解明上有用な生物を得ることが司能である。 ここで 「転位 が固定された」 とは、 活性なトランスポザーゼを有さないためトランスポゾン の転位によるシグニチヤ一部位数が増加しないことを意味する。 具体的には、 少なくとも 1つのシグニチヤ一部位を有しトランスポゾンが存在するがトラン スポザーゼが存在しないまたは不活性である場合、 少なくとも 1つのシグニチ ヤー部位を有するがトランスポゾンが存在しない場合のいずれかを指す。 この ようなトランスジヱニック哺乳動物個体が得られれば、 1個体を調べることで、 対応する 1種の遺伝子機能をシンプルに解析することができる。 また、 特定の 変異を有する個体について、 その成長過程に伴い該変異の影響を調べることが できる。 また、 こうした生物の中で何らかの機能を欠損したものについて、 例 えばスプライスァクセプターを含むトランスポゾン配列を用い、 トランスポザ ーゼをその受精卵に加えるかあるいはトランスポザーゼを有する生物と交配す ることで該トランスポゾン配列を除去し、 その結果機能が回復するかどうかを 見ることにより、 特定の機能に関与する原因遺伝子を確認することができる。 本発明では、 トランスポゾンにより変異を導入しているため、 突然変異誘発物 質などを用いて変異を導入するのと比較して、 どこに変異が導入されたのかを シグニチヤ一配列あるいはトランスポゾン構築物由来の配列を利用して P C R 等の適当な方法により、 容易に検出することができる。 また、 本発明の実施態 様においては、培養細胞でなく個体の生物で遺伝子変異を導入することにより、 個体レベルでの遺伝子機能の解析が可能である。 また、 生物個体を生存させた ままの状態では操作が困難な組織に対しても、 外部から手を加えることなしに、 個体体内で遺伝子変異を導入し得る。 さらに、 同じ組織内であっても転位部位 が異なり、 従って遺伝的に異なる一群の細胞が存在するので、 血液系、 免疫系 などの任意の組織 ·臓器 ·器官で、 増殖、 分化等にお吐る細胞系譜を系統的に 調べることができる.
本発明によれば、 本発明の新規な生物、 特にマウスは、 遺伝子機能解明のた
めの便利なモデルシステムを提供する。 本発明のこの実施態様は、 生きた動物 モデルにおいて遺伝性疾患の研究のための疾患モデルシステムを提供し得る。 該システムにおいて、 動物モデルに導入される疾患遺伝子としては、 ヒ ト疾患 原因遺伝子、 または生物におけるその相同遺伝子が c D NAの遺伝子全長、 c D NAの遺伝子断片、 ゲノム D N Aの遺伝子全長、 あるいはゲノム D NAの遺 伝子断片であるものが挙げられる。 疾患原因遺伝子は、 生物に導入して、 得ら れたトランスジエニック生物をヒト疾患モデル動物として研究に供し得るもの であればいずれでも良く、 特に限定されないが、 ヒト疾患原因遺伝子であるの が好適である。 本発明によれば、 種々のェンハンサーを含むトランスポゾンが 癌原遺伝子の近傍に転位した場合、 これらを包含する細胞においては結果的に 癌が発現するため、 これにより癌原遺伝子をスクリーニングできる。 特に、 ト ランスポゾン配列おょぴトランスポザーゼ遺伝子を両方含むトランスジヱニッ ク生物を用いた場合、 癌原遺伝子の発現はクローナルであるため、 癌は組織だ けでなく全体に転移し得る。 また同時に、 各動物細胞内で転位による遺伝子機 能の低下、 破壌ないし活性化がランダムに進行しているので、 複数の癌が同一 個体内で発生することも予測され、 癌に関与する遺伝子機能の解明を効率よく 進めることができる。 さらに、 同一個体内で複数の癌を認めた場合、 各々の癌 細胞においてトランスポゾンベクタ一の揷入部位が同じかどうかを調べること によって、 癌細胞が同一の細胞に由来しているかどうかを調べることができ、 癌の転移のメカニズム研究に寄与し得る。
本発明では、 本発明のトランスジエニック生物を臓器提供用ドナーとして使 用することができる。 例えば、 ヒトへの異種間臓器移植のドナーとして考えら れる臓器として、 具体的には神経細胞、 心臓、 肺、 肝臓、 膝臓、 腎臓、 角膜、 皮膚などが挙げられる。 この場合、 導入される遺伝子は、 例えば異種間での臓 器移植に拒絶反応を低減する機能を有する遺伝子あるいは生着率の上昇を期待 し得る機能を有する遺伝子が好ましい。
トランスジヱニック生物の作製についてはまた、 米国特許第 5, 464, 7 64号公報;米国特許第 5, 48 7, 9 9 2号公報;米国特許第 5, 6 27, 0 5 9号公報;特開 200 1— 543 3 7号公報; Go s s l e r , A. e t a 1. (1 9 8 9), S c i e n c e 244, 46 3— 46 5 ; Wu r s t, W. e t a l . (1 995), G e n e t i c s 1 3 9, 88 9 -8 9 9 ; Z amb r ow i c z , B. P. e t a l . (1 99 8), N a t u r e 3 9 2, 608— 6 1 1 P r o c. Na t l . Ac a d. S c i . USA, V o 1. 8 6, 8 9 3 2-8 93 5, 1 98 9 ; Na t u r e, Vo l . 34 2, 43 5 -438, 1 98 9 ;村松正實、 山本雅編集、 『実験医学別冊 新訂 遺 伝子工学ハンドブック 改訂第 3版』 (1 9 9 9年、 羊土社発行) 中特に 23 9 から 2 56頁;相沢慎一 (1 99 5) 実験医学別冊 「ジーンターゲティングー E S細胞を用いた変異マウスの作製」 などが挙げられるがそれらに限定されな レ、。
本明細書において、 「ノックアウト」 とは、 遺伝子について言及されるとき、 その遺伝子を破壌 (欠損) または機能不全にさせることをいう。 従って、 ノッ クアウトの概念は、 トランスジエニックの中に含まれる。
本明細書において、 「ノックアウト生物」 とは、 ある遺伝子がノックアウトさ れた生物 (例えば、 マウス) をいう。 従って、 ノックアウト生物の概念は、 ト ランスジエニック生物の中に含まれる。
本明細書においてトランスジエニックの対象とされる 「生物」 は、 トランス ポゾンが作用し、 そのような系が機能し得る任意の生物が含まれる。 このよう な生物には、 動物、 植物、 細菌などが含まれるがそれらに限定されない。
本明細書において、 「動物」 は、 核酸配列 (好ましくは遺伝子をコードする外 来配列) の導入を目的とすることができるものであればどのような動物であつ てもよい。 従って、 動物には、 脊椎動物および無脊椎動物が包含される。 動物 としては、 哺乳動物 (例えば、 マウス、 ィヌ、 ネコ、 ラット、 サル、 ブタ、 ゥ
シ、 ヒッジ、 ゥサギ、 ィルカ、 クジラ、 ャギ、 ゥマなど)、 鳥類 (例えば、 ニヮ トリ、 ゥズラなど)、 両生類 (例えば、 力エルなど)、 爬虫類、 昆虫 (例えば、 ショウジヨウバエなど) などが挙げられる。 好ましくは、 動物は、 哺乳動物で あり得、 より好ましくは、 ノックアウトを作製することが容易な動物(例えば、 マウス) であり得る。 別の好ましい形態では、 動物は、 ヒトのモデル動物とし て適切であることが判明している動物 (例えば、 サル) であり得る。 ある実施 形態では、 動物は、 非ヒト動物または非ヒト哺乳動物であり得るが、 それに限 定されない。 例えば、 ブタ、 サル'ゥシ ·ゥマ 'ャギ、 ヒッジ、 ネコ、 ィヌ、 ゥサギ、 マウス、 ラット、 またはハムスター等であり、 より好ましくは、 マウ スまたはラットである。 ここで本発明の生物には、 特に言及しない限り、 哺乳 動物個体だけでなく個体の一部および個体の有する臓器、 器官も包含される。 これらはヒト疾患モデルとして、 また臓器移植用ドナーとして有用である。 本明細書において用いられる 「植物」 とは、 植物界に属する生物の総称であ り、 クロロフィル、 かたい細胞壁、 豊富な永続性の胚的組織の存在, および運 動する能力がない生物により特徴付けられる。 代表的には、 植物は、 細胞壁の 形成. クロロフィルによる同化作用をもつ顕花植物をいう。 「植物」 は、 単子葉 植物おょぴ双子葉植物のいずれも含む。好ましい植物としては、例えば、イネ、 コムギ、 トウモロコシ、 ォォムギ、 ソルガムなどのイネ科に属する単子葉植物 が挙げられる。 より好ましくは、 植物は、 イネであり得る。 イネとしては、 ジ ャポニ力種、 インディ力種のものが挙げられるがそれらに限定されない。 より 好ましくは、 イネは、 ジャポニカ種のものであり得る。 本明細書において、 ィ ネの品種としては、例えば日本晴、二ホンマサリ、 コシヒカリ、 あきたこまち、 どんとこい、 ヒノヒカリなどが挙げられるがそれらに限定されない。 インディ 力種の品種としては、 T e t e p、 B a s m a t i、 I R 8、 湖南早などが挙 げられるがそれらに限定されない。好ましい植物は作物に限られず、花、樹木、 芝生、 雑草なども含まれる。 特に他で示さない限り、 植物は、 植物体、 植物器
官、 植物組織、 植物細胞、 および種子のいずれをも意味する。 植物器官の例と しては、 根、 葉、 茎、 および花などが挙げられる。 植物細胞の例としては、 力 ルスおよぴ懸濁培養細胞が挙げられる。
イネ科の植物の例としては、 Or y z a、 Ho r d e num、 S e c a 1 e、 S c c c h a r um、 E c h i n o c h l o a, または Z e aに属する植物が 挙げられ、 例えば、 イネ、 ォォムギ、 ライムギ、 ヒェ、 モロコシ、 トウモロコ シなどを含む。
本発明の生産方法に用いられる植物は、 好ましくは単子葉植物であり、 より 好ましくは、 イネ科植物である。 さらに好ましくは、 イネであり得る。
上述の生物において、 遺伝子の導入技術はマイクロインジェクション、 核酸 フラグメントと陽イオン脂質小胞体または DNA凝縮試薬との組合せ;ならび に核酸フラグメントをウィルスベクターに導入し、 そしてこのウィルスベクタ 一を細胞と接触させること、 ならびに粒子ボンバードメントおよびエレクトロ ポレーシヨンから成る群より選ばれる方法を含む。
本明細書において使用され得るウィルスベクター.はレトロウイルスベクター、 アデノウィルスベクター、 ヘルぺスウィルスまたはアデノ関連ウィルスベクタ 一からなる群より選ばれるものが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において 「レトロウイルス」 とは、 RN Aの形で遺伝情報を有し、 逆転写酵素によって RNAの情報から DNAを合成するウィルスをいう。 した がって、「レトロウイルスベクター」 とは、レトロウイルスを遺伝子の担い手(ベ クタ一) として使用した形態をいう。 本発明において使用される 「レトロウイ ノレスベタター」 としては、 例えば、 Mo 1 o n e y Mu r i n e L e u k em i a V i r u s (MML V), Mu r i n e S t em Ce l l V i r u s (MS CV) にもとづいたレトロウイルス型発現ベクターなどが挙げら れるがそれらに限定されない。
好ましくは、 レトロウイルスベクターとしては、 pGe n—、 pMSCVな フ 0
どが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される場合 「ジーントラップ (法)」 とは、 目的の細胞 に、 例えば、 プロモーターを欠いたレポーター遺伝子を導入し、 染色体上で活 性化されているプロモーターの下流に揷入された場合にのみレポーター活性が 検出できること利用した遺伝子の同定方法をいう。 このようなジーントラップ は、 「ジーントラップベクター」 を、 真核生物の宿主染色体中に導入して、 宿主 遺伝子を破壌することにより達成される。 レポーター遺伝子が揷入された遺伝 子は、 レポーターとの複合タンパク質を発現するため、 そのタンパク質をモニ ターすることによって遺伝子を同定することが可能である。 したがって、 相同 組換えと同様に本来の遺伝子座にレポーター遺伝子が組み込まれるため、 転写 調節が完全なレポーター系を作ることができる。 この手法を用いることによつ て、 遺伝子破壊によって変異体を単離する手法では、 得られなかった遺伝子の 同定を行うことができる。 したがって、 本発明では、 このようなジーントラッ プ法もまた利用することができる。
本明細書において 「ジーントラップベクター」 とは、 真核生物遺伝子の m R N Aが成熟 m R N Aとなる過程においてスプライシングを受ける現象を利用し て、 遺伝子中へ挿入されたベクターを選択するためのベクターである。 ジーン トラップベクターとしては、 (1 ) プロモーターを有さないレポーター遺伝子の コ一ド領域、 およびスプライスァクセプタ一部位を含む D N A配列を含むベク ター、 または (2 ) プロモーターを有するレポーター遺伝子のコード領域、 お よびスプライスドナー部位を含む D N A配列を含むベクター、 ならびに (3 ) これら (1 ) および (2 ) の両方の D N A配列を含むベクターが挙げられるが これらに限定されない。
上述のようなスプライスァクセプター配列を含むジーントラップベクターは、 必要に応じて、 ポリ A付加シグナルを含んでもよい。 スプライスドナー配列を 含むジーントラップベクターは、 必要に応じて、 ェンハンサー領域、 および/
または mR NA不安定化領域を含んでもよい。 ポリ A付加シグナルとしては、 「AA TAAA」 が挙げられるが、 これに限定されない。
本発明において使用するプロモーターとしては、 MC 1プロモーター、 R N A p o 1 I Iプロモーターなどが挙げられるがそれらに限定されない。 本発明において使用されるェンハンサ一としては、 ポリオ一マウィルスェン ハンサー (P Y F 4 4 1 ) などが挙げられるがそれらに限定されない。
本発明において使用されるスプライスドナー配列としては、 マウス h p r t 遺伝子ェキソン 8スプライスドナーが挙げられるがそれらに限定されない。 本発明において使用されるスプライスァクセプター配列としては、 ヒ ト b c 1一 2遺伝子ェキソン 3スプライスァクセプターが挙げられるがそれらに限定 されない。
本明細書において使用される 「レポーター」 分子または 「レポーター」 遺伝 子とは、細胞内において遣伝子発現の指標として使用することのできる分子(例 えば、 ポリペプチド) または遺伝子をいう。 そのような分子としては、 公知の レポータータンパク質を用いることができ、 例えば、 クロラムフエニコールァ セチルトランスフェラーゼ (C AT)、 j3—グルクロニダーゼ (GU S )、 β— D _ガラクトシダーゼ、 ルシフェラーゼ、 グリーン蛍光タンパク質 (G F P )、 またはェクオリンなどが挙げられる。 ここで、 遺伝子の導入方法自体は、 当該 分野において公知の技術をもちいて所望の材料を用いて行うことができる。 そ のような場合、 例えば、 目的とする胚性幹細胞に、 例えば、 プロモーターを欠 いたレポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ遺伝子、 グリーン蛍光遺伝子、 β—ガラクトシダーゼ遺伝子 (1 a c Z )、 アルカリホスファターゼ遺伝子、 C r eレコンビナーゼ遺伝子など) を導入し、 染色体上で活性化されているプロ モーターの下流に揷入された場合にのみレポーター活性が検出する。 使用され るベクターはこのレポーター遺伝子のほか、 選択マーカー遺伝子 (例えば、 ネ ォマイシン耐性遺伝子、 ハイグロマイシン耐性遺伝子、 ピュー口マイシン耐性
遺伝子、 レスキューマーカー遺伝子 (例えば、 アンピシリン耐性遺伝子 +コリ シン E 1複製開始起点) などを含んでいてもよい。 ここで、 選択マーカー遺伝 子は、 ベクターが入った宿主を選択するために使用される。 レスキューマーカ 一遺伝子は、 ベクターをレスキューするために使用される (J o y n e r , A. L. e dノ, G e n e T a r g e t i n g, 2 nd e d i t i o n" (O x f o r d Un i v e r s i t y P r e s s , 2000 ) を参照のこと)。 上述のような技術を用いることによって、 胚性幹細胞が生成される。 この改変 胚性幹細胞は、 遺伝子がトラップされている。 ここで、 トラップされていると は、 ゲノムへのトラップベクターの挿入により内在性遺伝子が破壊され、 同時 にそのベクターによって破壊された遺伝子がマ—キングされた状態をいう。 特定の配列を有するオリゴヌクレオチドの調製は、 当該分野において周知の 技術を用いて行うことができ、 例えば、 J o y n e r , A. L. e d . " G e n e T a r g e t i n g, 2nd e d i t i o n (O f o r d U n l v e r s i t y P r e s s , 2000 ) に記載される方法で行うことができる。 オリゴヌクレオチドは、 必要に応じて、 蛍光、 放射能などで標識することがで きる。 そのような標識方法は当該分野において周知であり、 本明細書において 引用される文献に記載されている。
(スクリーニング)
本明細書において 「スクリーニング」 とは、 目的とするある特定の性質をも つ生物または物質などの標的を、 特定の操作/評価方法で多数を含む集団の中 から選抜することをいう。 スクリーニングのために、 本発明の方法または生物 を使用することができる。 本発明では、 種々のトランスジエニック生物が作製 されることから、 任意の核酸分子およびその機能調節因子をスクリーニングす ることができる。
本発明では、 任意の核酸分子を本発明の核酸分子、 方法またはシステムを利 用することによってスクリーニングすることができる。 本発明はまた、 そのよ
うなスクリ一ユングによって同定された化学物質またはその組み合わせを包含 することが企図される。
本発明のトランスポゾンシステムは種々の分野に応用できる。 例えば、 1) 本発明の方法を利用して生物の染色体への遺伝子材料を効率的に揷入すること ができる; 2) 揷入変異因子としてのトランスポゾンの利用により、 生命体の 成長、 維持、 調節および発育に関わる遺伝子の同定、 単離および特性を決定す ることができる (例えば、 Ka i s e rら、 1995 「Eu k e r y o t i c t r a n s p o s a b l e, e l eme n t s a s t o o l s t o s t d y g e n e s t r u c t u r e a n d f un c t i. o n」 M o b i l e Ge n e t i c E l eme n t s, I RL P r e s s, p p. 69- 100) 1 3) 生命体の成長、 維 、 調節および発育を調節する転写調節 配列の同定、 単離およびをの同定することができる (例えば、 An d e r s o nら、 1996, Mo l . Ma r. B i o l . B i o t e c h., 5, 105— 1 13)。 一例において、 本発明の方法およびシステムは無菌遺伝子導入マウス. を作るために利用できる。 活性化遺伝子を有 る同腹群を交配させ、 生物的封 じ込めまたは養殖魚の成長率を最大にするために無菌子孫を作ることができる。
(遺伝子治療)
本発明の用途としては、 核酸フラグメントを修飾して細胞に遺伝子治療を施 す遺伝子を組込むことが挙げられる。 遺伝子は組織特異的プロモーターのコン トロール下、 または汎存プロモーター、 またはその遺伝子を必要とする細胞に おける遺伝子の発現のための 1もしくは複数のその他の発現コントロール領域 のコントロール下に置く。 遺伝子治療に使用される遺伝子としては、 例えば、 嚢胞性,镍維症のための C F T R遺伝子、 肺疾患のための α— 1一アンチトリプ シン、 免疫系疾患のためのアデノシンデァミナーゼ (ADA)、 血液細胞疾患の ための 1 X因子およびインターロイキン一 2 (I L— 2)、 ならびに癌治療のた めの腫瘍壌死因子 (TNF) などが挙げられるがそれらに限定されない。
遺伝子治療に使用することが可能な遺伝子配列は公知のデーターベース、 例 ぇば& 6 11 8 & 11 ¾:、 D D B J、 EM B L等において検索し、 入手できる。 さらに、 本発明は、 ライプラリーで作業するまたはそれをスクリーニングす るための工程の一部として、 配列の機能を評価するため、 またはタンパク質発 現をスクリーニングするため、 または特定の細胞タイプに対する特定のタンパ ク質または特定の発現コント口ール領域に対する効果を評価するために利用す ることができる。 1つの実施形態において、 組換え配列のライプラリー、 例え ばコンビナトリアルライブラリ一または遺伝子シャフリングの生成物を本発明 の核酸フラグメントの中に糸且込んで、 一定の逆方向反復配列の間に配置された 様々な核酸配列を有する核酸フラグメントのライブラリーを作る。 次いでこの ライブラリーを前述の通り S Bタンパク質と一緒に細胞の中に導入する。
本発明の利点は、 それが逆方向反復配列の間に配置される介在核酸配列のサ ィズを著しく制約しないというトランスポゾントランスジエニック生物作製シ ステムの利点をフルに活用することができることである。 この S Bタンパク質 は 1 . 3キロベース (k b ) 〜約 5 . 0 k bのトランスポゾンを組込むのに利 用されており、 m a r i n e r トランスポザーゼは約 1 3 k bまでのトランス ポゾンを移動させた。 S Bタンパク質を用いて細胞の D N Aの中に組込むこと のできる核酸配列のサイズにわかっている制限はない。 発明を実施するための最良の形態 以下に好ましい実施形態の説明を記載するが、 この実施形態は本発明の例示 であり、 本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理 解されるべきである。
1つの局面において、 本発明は、 トランスポゾンをコードする核酸配列を有 する、 単離された核酸分子であって、 少なくとも 1つの核酸がメチル化されて
いる、 単離された核酸分子を提供する。 このような核酸分子は、 予想外に、 宿 主内でのトランスポゾン活性を保持し、 活性化することができるという優れた 効果を持つ。 このような効果により、 本発明は、 どのような生物であってもト ランスジエニック生物を作ることが可能になったという優れた有用性を有する。 好ましい実施形態において、 本発明の核酸分子は、 所望の遺伝子をコードす る核酸配列を有する。 ここで含まれる所望の遺伝子は、 どのような遺伝子であ つてもよく、 その遺伝子は、 核酸分子が使用される用途によって適宜選択する ことができる。
好ましい実施形態において、 本発明において使用される核酸分子におけるメ チル化は、 少なくとも、 C G配列における Cにおいて存在することが有利であ り得る。理論に束縛されないが、 C G配列にメチル基が存在することによって、 染色体がへテ口クロマチン化するという現象が生じることが考えられ、 トラン スポゾンの転位効率に多大な効果を与えるからである。
本発明において使用されるトランスポゾンは、 どのような形態であってもよ いが、 好ましくは、 D N A型が用いられる。 D N A型であれば、 メチル化の効 果が発揮されやすいからである。 好ましくは、 本発明において使用されるトラ ンスポゾンは T c 1 /m a r i n e r型に属する。 この型に属するトランスポ ゾンは、 染色体内に組み込まれたときに染色体がヘテロクロマチン化するとい う現象が生じることが考えられ、 トランスポゾンの転位効率に多大な効果を与 えるからである。
もっとも好ましい実施形態では、 本発明によって用いられるトランスポゾン は S l e e p i n g B e a u t yを含む。 このトランスポゾンは、 本明細書 において他の場所において詳述したように、 種の壁を簡単に越えて利用するこ とが可能であるからである。
好ましくは、 本発明の核酸分子では、 所望の遺伝子は、 トランスポゾンに作 動可能に連結されるか、 または細胞内に導入されるとトランスポゾンに作動可
能に連結され得るように構成される。 トランスポゾンが作動するように連結す るには、 例えば、 逆方向反復配列を適宜配置したりすることが挙げられるがそ れらに限定されない。
好ましい実施形態では、 本発明の核酸分子は、 外来遺伝子を宿主内に導入す るために使用される。 外来遺伝子を宿主内に導入することは、 たとえ、 本発明 の核酸分子がィンビトロで効果が見られたとしても予想すらできない効果であ る。 ましてや、 メチル化の効果がまったくわかっていない状況では、 予想の鍵 すらないことに鑑みると、 本発明のメチル化による外来遺伝子の宿主ない導入 の効率化は格別の効果であるといえる。
本明細書において、 本発明が対象とする生物 (宿主) は、 トランスポゾンが 作動する限りどのような生物であってもよく、 真核生物を含むがそれに限定さ れない。好ましくは、本発明が対象とする宿主は、哺乳動物 (例えば、 マウス、 ラットなどのげつ歯類;霊長類など) を含むがそれに限定されない。 トランス ポゾンが作動するかどうかは、 ここの動物を実験することによつて確認するこ とができる。
本発明の好ましい実施形態において、 本発明の核酸分子では、 その核酸分子 が揷入されるゲノム上の位置においてトランスポザーゼが作用することが有利 である。 このように構成されることによって、 遺伝子の転位がスムーズに行わ れることができる。
別の局面において、 本発明は、 トランスポゾンをコードする核酸配列を有す る遺伝子カセットであって、 該核酸配列は、 少なくとも 1つの核酸がメチルイ匕 されている、 遺伝子カセットを提供する。 ここで、 含まれる核酸分子は、 上述 のような特徴を有し得る。 本明細書において 「遺伝子カセット」 には、 他の要 素が付着していてもよい。
別の局面において、 本発明は、 トランスポゾンをコードする核酸配列、 およ ぴ所望の遺伝子をコードする核酸配列を有するベクターであって、 該核酸配列
は、 少なくとも 1つの核酸がメチル化されている、 ベクターを提供する。 ここ で、 トランスポゾンをコードする配列およびメチル化については、 本明細書の 他の場所において記載されている。 ベクターは通常環状をしているがそれに限 定されない。 ベクターには、 遺伝子の転写、 翻訳、 発現を調節する要素が付着 されていてもよレ、。 そのような要素は、 好ましくは作動可能に連結され得る。 好ましくは、 このベクターは、 外来遺伝子を宿主内に導入するために使用さ れる。 本発明のベクターは、 従来不可能であったかまたは困難であった生物種 でさえ、 トランスジエニック生物を作製することが可能になったという効果が 達成される。 特に、 S Bではトランスジエニック生物が作製できないとされて いた哺乳動物において、 ベクターを用いた形態でトランスジエニック生物を作 製することができるようになつたということは、 簡便に外来遺伝子を挿入する ことができる系が利用可能になったことを意味する。 したがって、 このような 系の有用性は、 多大である。
本発明のベクターは、 核酸配列が挿入されるゲノム上の位置においてトラン スポザーゼが作用するように構成することができる。 本発明において、 「シグ二 チヤ一部位」 とは、 トランスポゾン配列が切り出されて転位した結果として現 れる部位を指す。 例えば、 本発明で S B トランスポゾンを用いた場合、 シグニ チヤ一部位は、 標的配列である T Aの重複の間にトランスポゾン末端配列の 3 塩基が揷入された 「T A c a g T A」 あるいは 「T A c t g T A」 という配列 を含む。 但し、 トランスポゾンが移動してもシグニチヤ一部位が上記特定の完 全な配列を有しない場合もあり、 本発明においては、 こうした不完全な配列を 含む部位もシグニチヤ一部位と見なすことができる。
別の実施形態において、 本発明では、 本発明の核酸配列が挿入されるゲノム 上の位置においてトランスポザーゼが作用するようにベクターが構築される。 このような構築は、 本発明においてトランスポゾンをコードする配列部分が少 なくともメチル化されていることによって達成され得る。
別の実施形態において、 本発明は、 ゲノム上に挿入される外来核酸分子に対 してトランスポザーゼを作用させるための組成物を提供する。 この組成物は、 トランスポゾンをコードする核酸配列、 および該外来核酸分子を含み、 該トラ ンスポゾンをコ一ドする配列はメチル化されていることを特徴とする。 ここで、 外来核酸分子はメチルイ匕されていてもメチル化されていなくてもよい。
別の局面において、 本発明は、 トランスポゾンをコ ドする核酸配列、 およ ぴ所望の遺伝子をコードする核酸配列を有する核酸分子を含む細胞を提供する。 ここで、 この核酸配列は、 少なぐとも 1つの核酸がメチル化されていることが 特徴である。 このような細胞を用いることによって、 トランスジエニック生物 を容易に作製することができることが本発明によって判明した。 従って、 本発 明は格別の有用性を有する。 本発明の細胞に含まれ得る核酸分子は、 上述のト ランスポゾンをコ一ドする配列を含むものであれば、 どのようなものであって もよい。 ただし、 そのような配列は、 保持される細胞において機能的であるこ とが好ましい。 好ましくは、 そのような細胞は、 外来遺伝子を宿主内に導入す るために使用される。 このような宿主は、 その細胞と同じ種類であることが好 ましいが必ずしも必要というわけではない。
本発明の細胞は、 どのような種類の細胞であってもよいが、 好ましくは、 真 核生物細胞を含み、 より好ましくは、哺乳動物細胞を含み、 さらに好ましくは、 げっ歯類細胞を含むがそれらに限定されない。 より好ましくは、 マウス、 ラッ トなどのモデル動物のものが有用である。 むしろ、 本発明の細胞は、 導入する 核酸分子の性質、 目的、 核酸分子が導入されるべき宿主との関係で決定される べきである。 本発明の細胞に含まれる核酸分子は、 本発明のベクターであって あよい。
別の局面において、 本発明は、 トランスポゾンをコードする核酸配列、 およ び所望の遺伝子をコードする核酸配列を有する核酸分子を含む組織を提供する。 ここで、 この核酸配列は、 少なくとも 1つの核酸がメチル化されていることが
特徴である。 このような組織を用いることによって、 トランスジヱニック生物 を容易に作製することができることが本発明によって判明した。 従って、 本発 明は格別の有用性を有する。 本発明の組織に含まれ得る核酸分子は、 上述のト ランスポゾンをコ一ドする配列を含むものであれば、 どのようなものであって もよい。 ただし、 そのような配列は、 保持される組織において機能的であるこ とが好ましい。 好ましくは、 そのような組織は、 外来遺伝子を宿主内に導入す るために使用される。 このような宿主は、 その糸且織と同じ種類であることが好 ましいが必ずしも必要というわけではない。
本発明の組織は、 どのような種類の組織であってもよいが、 好ましくは、 真 核生物組織を含み、 より好ましくは、哺乳動物組織を含み、 さらに好ましくは、 げっ歯類組織を含むがそれらに限定されない。 より好ましくは、 マウス、 ラッ トなどのモデル動物のものが有用である。 むしろ、 本発明の組織は、 導入する 核酸分子の性質、 目的、 核酸分子が導入されるべき宿主との関係で決定される べきである。 本発明の組織に含まれる核酸分子は、 本発明のベクターであって あよい。
別の局面において、 本発明は、 トランスポゾンをコードする核酸配列、 およ ぴ所望の遺伝子をコードする核酸配列を有する核酸分子を含む生物を提供する。 この生物では、 上記核酸配列は、 少なくとも 1つの核酸がメチル化されている ことが特徴である。 本努明の生物に含まれ得る核酸分子は、 上述のトランスポ ゾンをコードする配列を含むものであれば、 どのようなものであってもよい。 ただし、 そのような配列は、 保持される生物において機能的であることが好ま しい。 好ましくは、 そのような生物は、 外来遺伝子を宿主内に導入するために 使用される。 このような宿主は、 その生物と同じ種類であることが好ましいが 必ずしも必要というわけではない。 このような生物は、 トランスジエニック生 物を作製するために有用である。
本発明の生物は、 どのような種類の生物であってもよいが、 好ましくは、 真
核生物生物を含み、 より好ましくは、哺乳動物生物を含み、 さらに好ましくは、 げっ歯類生物を含むがそれらに限定されない。 より好ましくは、 マウス、 ラッ トなどのモデル動物のものが有用である。 むしろ、 本発明の生物は、 導入する 核酸分子の性質、 目的、 核酸分子が導入されるべき宿主との関係で決定される べきである。 本発明の生物に含まれる核酸分子は、 本発明のベクターであって よい。
好ましい実施形態において、 本発明の生物は、 所望の遺伝子がその生物に由 来しないものであることが好ましい。 そのような場合、 所望の遺伝子は、 外来 遺伝子という。外来遺伝子として導入されるものは、 どのようなものでもよく、 目的の遺伝子によって変動し得る。
別の局面において、 本発明は、 トランスジエニック生物を作製するための方 法に関する。 この方法は、 A. トランスポゾンをコードする核酸配列を有する、 単離された核酸分子を提供する工程; B . 該核酸分子で、 所望の生物の生殖細 胞を形質転換する工程; C . 該生殖細胞において該トランスポゾンをコードす る核酸配列がメチル化している個体を選択する工程; D . 形質転換された該生 殖細胞を用いて生物を再生する工程、 を包含する。
トランスポゾンをコードする核酸配列を有する、 単離された核酸分子を提供 することは、 当該分野において公知であり、 あるいは、 周知である技術を用い て達成され得る。 該核酸分子で、 所望の生物の生殖細胞を形質転換することも また、 当該分野における周知技術 (例えば、 本明細書において記載されるよう な遺伝子組み換え技術) を用いて行うことができる。 生殖細胞においてトラン スポゾンをコードする核酸配列がメチル化している個体を選択することもまた、 当該分野において周知の方法を用いて行うことができる。 具体的には、 この生 殖細胞から核酸分子 (例えば、 D NA) をメチル化が破壌されないように取り 出し、 その核酸分子を脱メチル化し、 質量が変化するかどうか、 およびそのメ チル化されている部分の配列を必要に応じて決定することによって行うことが
できる。 形質転換された生殖細胞を用いて生物を再生するもまた、 植物に応じ て適宜適切な方法を当業者は選択することができる。
好ましい実施形態において、 本発明のトランスジエニック生物が対象とする 生物は、 真核生物である。 本発明におけるトランスポゾンのメチル化の効果が より発揮されやすいからである。
別の好ましい実施形態において、 本発明のトランスジエニック生物が対象と する生物は、 哺乳動物を含む。 本発明におけるトランスポゾンのメチル化の効 果がより.発揮されやすいからである。 ここで、 より好ましくは、 この哺乳動物 は、 げっ歯類動物であり、 より好ましくは、 マウス、 ラットなどのモデル動物 である。
別の局面において、 本発明は、 トランスジエニック生物を作製するための方 法を提供する。 この方法は、 A. トランスポゾンをコードする核酸配列を有す る、 単離された核酸分子であって、 該核酸配列は、 少なくとも 1つの核酸分子 がメチル化されている、 単離された核酸分子を提供する工程; B . 該核酸分子 で、 所望の生物の生殖細胞を形質転換する工程;ならびに C . 形質転換された 該生殖細胞を用いて生物を再生する工程、 を包含する。
トランスポゾンをコードする核酸配列を有する、 単離された核酸分子であつ て、 該核酸配列は、 少なくとも 1つの核酸分子がメチル化されている、 単離さ れた核酸分子を提供する工程は、 本明細書において上述されたように、 十分に 説明されており、 当該分野において周知の技術を用いて行うことができる。 本発明の方法において、 核酸分子で、 所望の生物の生殖細胞を形質転換する こともまた、 当該分野において周知の技術を用いて実施することができる。 本発明の方法において、 形質転換された該生殖細胞を用いて生物を再生する こともまた、 生物に応じて適宜適切な方法を選択することによって、 当業者は 容易に実施することができる。
別の好ましい実施形態において、 本発明のトランスジエニック生物が対象と
する生物は、 哺乳動物を含む。 本発明におけるトランスポゾンのメチル化の効 果がより発揮されやすいからである。 ここで、 より好ましくは、 この哺乳動物 は、 げっ歯類動物であり、 より好ましくは、 マウス、 ラットなどのモデル動物 である。 本発明は、 このように、 モデル動物を、 容易に、 ほぼ自動的に確率の 高い方法で、 トランスジエニック体とすることができるようになった。従って、 本発明は、 従来技術にはない格別な効果を有する。
別の局面において、 本発明はまた、 トランスジエニック生物を作製するため のキットを提供する。 ここで、 このキットでは、 A. トランスポゾンをコード する核酸配列を有する、 単離された核酸分子であって、 該核酸配列は、 少なく とも 1つの核酸分子がメチル化されている、 単離された核酸分子; B . トラン スポザーゼが包含される。
本発明のキットに含まれる核酸分子は、 本明細書において上述したように、 トランスポゾンをコードする部分がメチル化されており、 そのような核酸分子 は、 天然由来またはメチル化酵素によって人工的に作製することができる。 ま た、 トランスポザーゼは、 キットに含まれるトランスポゾンに対して作動する ことができるものが使用され得る。
1つの実施形態において、 本発明のキットには、 核酸分子おょぴトランスポ ザーゼの使用法を記載する説明書が備えられる。 この説明書は、 紙媒体であつ てもよいが、 伝送媒体 (例えば、 ネットワーク上の情報) であってもよい。 こ の説明書には、 核酸分子の扱い、 形質転換法、 培養法、 再生法、 トランスポゾ ンのインキュベーション法など、 トランスジエニック生物に関する種々のプロ トコルが記載されている。 記載は、 単言語であってもよいが、 二言語以上の言 語が併記されていてもよい。
別の局面において、 本癸明は、 トランスポゾンをコードする核酸配列を有す る、 単離された核酸分子であって、 該核酸配列は、 少なくとも 1つの核酸がメ チル化されている、 単離された核酸分子の、 トランスジエニック生物の作製の
ための使用に関する。 このようなメチル化された核酸分子の、 トランスジヱニ ック生物への使用は従来知られておらず、 自明ではない概念である。 このよう な核酸分子に関する説明は、 本明細書において上述したとおりであり、 種々の 改変が可能である。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、 その全体が、 各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考と して援用される。
以上、 本発明を、 理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してき た。 以下に、 実施例に基づいて本発明を説明するが、 上述の説明おょぴ以下の 実施例は、 例示の目的のみに提供され、 本発明を限定する目的で提供したので はない。 従って、 本発明の範囲は、 本明細書に具体的に記載された実施形態に も実施例にも限定されず、 請求の範囲によってのみ限定される。 実 施 例
以下に実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、 この発明は以下の 例に限定されるものではない。 以下の実施例において用いられる試薬などは、 例外を除き、 S i g m a ( S t . L o u i s, U S A)、和光純薬(大阪、 日本)、 などから市販されるものを用いた。 動物の取り扱いは、 大阪大学医学部におい て規定される規準を遵守して行った。 本発明で用いる発現ベクターの作製方法 を具体例を挙げて説明する。なお、このような例で用いられる出発プラスミド、 プロモーター等の構成要素を同等のもので置き換えて実施することは当業者に とって容易である。 以下、 本発明の内容を実施例を用いてより具体的に説明するが、 本発明はこ れらに何ら限定されるものではない。
(方法)
•サザンプロット分析
ゲノム DNAは、 制限酵素で消化され、 0. 7%ァガロースゲルで分画し、 Hy B o n d · N +ナイロンメンブレン (Ame r s h am) に移した。 EG F Pを含む p CX ·
EGEP (Ok a b e M. e t a 1.. FEB S Le t t. 407, 3 13— 9 (1997)) の 0. 7kb E c o R I断片をトランスポゾン特異的 バンドを検出するためのプローブとして使用した。 ハイプリダイゼーシヨン及 ぴ洗浄を標準的な方法(J. S amb r o o k e t a 1.前出) (1989)) により行った。 トランスジヱニックマウスのトランスポゾンコピー致を評価す るために、 ティル DNAのバンドを B i o i m a g i n g s y s t emを用 いてトランスポゾンの単一コピーを含む ES細胞クローンに由来するゲノム D N Aのものと比較した。
PCR分析
トランスポゾンの切り出しは、 以下のプライマーセットを用いた PC Rによ り検出した: T g TP— 2 L, 5, — ACACAGGAAACAGCTATG ACCATGATTACG-3' (配列番号 7) および TgTP_lU, 5, 一
6)。 各プライマーは、 それぞれ pTr a n s CX— GFP : Ne oの I R/D R (R) および I RZDR (L) の外側に位置する。 PCRは、 Ho t S t a r T a q s y s t em (Q i a g e n) を用い、 以下の条件下に行った:
95。C15分、 50サイクル (94°C1分、 59°C1分、 72°C1分)、 次い で最終工程で 72 °C 10分の 1サイクル
トランスジエニックマウスの遺伝子型は、 以下のプライマー対を用いて決定 した:
GFP遺伝子に関して (EGFP—1U, 5' - C A C G C T G G T G A C
CAGCCTGACCTA3 ' およぴ EGF P— 1 L, 5 ' -CTTGATG CCGTTCTCTGCTTGTCG— 3,) および
S Bトランスジーンに関して (SB— 2U, 5, — TCCTAGAGATG AACGTACTTTGGT- 3 ' および SB 1 L, 5 ' 一 ATCCAGA皿 AATTTTCCTTGCTCATG— 3,)。
PCR条件は、 アニーリング温度を 5 5 °Cとし、 サイクル数を 30とした以 外は、 上記 25, と同じであった。 得られた PCR産物は、 GF P遺伝子に関 し 3 1 3 b pおよび S Bトランスジーンに関し 46 6 b pであった。 トランス ポゾンの新規組込部位でのブランキング配列は、 既述のように P C R増幅した ( I V i c z , Z. e t a 1 C e 1 1 9 1, 50 1— 1 0 (1 99 7))。 P CR産物はダイターミネータ一おょぴ AB I 3 7 3 A DNA配列決定機 (Ap p p l i e d B i o s y s t em s) を用いて直接配列決定した。 GFP発現の測定
出生直後のマウスの尾の先端を切除し、 直ちに GFP - s p e c i f i e d F i l t e r (ォリンパス、 東京、 日本) およぴォリンパス蛍光倒立顕微鏡を 用いて X 40の倍率で蛍光強度を観察する。 尾全体に GFP発現を有するマウ スをポジテイブと判定した。
(実施例 1 :一過性トランスポゾン切り出しアツセィ)
まず、 本実施例において、 トランスポゾンをコードする配列のメチル化が一 過的に切り出し能を上げるかどうかを確かめた。
(方法)
トランスポゾン DN A (p T r a n s CX— EGF P ; n e o、 Ho r i e e t a l ., 2 0 0 1、 P r o c N a t l A c a d S c i U S A. ; 98 : 9 1 9 1— 6) を、 S s s l C p Gメチラーゼ (New En g
l a n d B i o 1 a b s ; 5 0 mM N a C 1, 1 0 mMT r i s— H C 1, p H 7. 9 , 1 0 mM Mg C l 2、 lmM DTT, 1 6 0 Μ SAM, 0. 2 J/ 1 S s s I ) を用いてあらかじめメチル化しておいた。 メチル化自 体の確認はメチル化感受性 N o t 1で消化されないことを確認することによつ て行った。
次に、 マウス赤白血病細胞 (ME L細胞、 J . Mo 1 . B i o l . 2 9 2 : 7 7 9 - 7 8 5, 1 9 9 9) に、 トランスポゾン DNAと S 1 e e p i n g B e a u t y (S B) 転位酵素 (P CMV— S B、 P. H a c k e t t博士より 入手) とともに導入した。 細胞から (DN e a s y T i s s u e K i t , Q I AGEN) を用いて全 DNAを抽出し、 プラスミドベクター上にプライマ 一を用いて P CR (T g TP— 1 U、 T g TP- 2 L (前出の配列)) を行い、 切り出し反応が起こった場合に増幅される 3 5 8 b pの P CR産物を検出した。 検出は、 ァガロースによる電気泳動の後、 ェチジゥムブロマイドによる染色に よって行った。 対象としてサイズマーカーも電気泳動した。 切り出しシステム の構成例を図 1 aに示す。
(結果)
本実施例の結果を図 1 bに示す。 写真からも明らかなように、 メチル化した トランスポゾンを転位酵素とともに導入した細胞において、 メチル化していな いトランスポゾンょりも顕著に高頻度に切り出し反応が起きていたことが明ら かになつた。 図中、 CAGは、 CAGプロモーターを示し、 EGF Pは緑色蛍 光タンパク質を示し、 p Aはポリ A付加シグナルを示す。' Lは左 I R/DRを 示し、 Rは右 I RZDRを示す。 Mは、 メチル化を示し、 Nは非メチル化を示 す。 NCはネガティブコントロール (ME L細胞ゲノム DNA) を示す。 従って、 メチル化することによって、 トランスポゾンにおいて顕著な効果が
奏されることが明らかになった
(実施例 2 :マウスゲノムの同一遺伝子座にメチル化または非メチルイ匕トラ ンスポゾンを有する細胞の樹立)
次に、 細胞レベルでメチル化の転位活性に対する効果があるかどうかを実証 した。
(方法)
2つの逆向きの 1 o X P配列の間にトランスポゾンを配置したプラスミドべ クタ一 (PBS 185) を構築し、 S s s I CpGメチラーゼにより トラン スポゾンをコードする配列をメチルイ匕した。 次に、 このプラスミド DNAと C r e組み換え酵素発現ベクターを、 逆向きの 1 o X P配列の間にハイグロマイ シン耐性遺伝子とヘルぺスウィルスチミジンキナーゼの融合遺伝子 (HYTK) を、 外来遺伝子 (トランスジーン) として有する MEL細胞 (株: RL5、 R L 6 E. E. B o uh a s s i r a, J . M o 1. B i o l . 292 : 77 9 - 785, 1999) に導入した。 C r e組み換え酵素によりプラスミドと ゲノム上の 1 o X Pとの間で組み換えが起こり、 トランスポゾンをゲノムの特 定部位に有する細胞を樹立した。これによつて、ゲノム上の同一部位において、 メチノレ化が及ぼす切り出し反応の効率化を図ることができた。 樹立した細胞に S B転位酵素を導入し、 切り出し反応を実施例 1に記載のように行って P CR により検出した。 この実験フローチャートを図 2 aに示す。 図 l aでは、 黒の 矢は Ι ο χΡ部位を示し、 白およびグレイの矢は PCRプライマーを示す。 C MVは CMVプロモーターを示す。
(結果)
組み換えが正しく行われたことを示す結果をサザンブロットとして図 2わに 示す。 この図には、 右側に各株の制限酵素地図を示す。 クローン 5M1、 5M
2、 5M3は、 RL 5由来のメチル化トランスポゾンを導入した細胞株であり、 クローン 5N 1、 5N2、 5N3は、 R L 5由来の非メチル化トランスポゾン を導入した細胞株を示す。 また、 6M1は、 RL 6由来のメチル化トランスポ ゾンを導入した細胞株を示す。 6 N1は、 RL 6由来の非メチル化トランスポ ゾンを導入した細胞株を示す。 予想されたサイズのバンドが検出された。 従つ て、 C r e— 1 o X Pを介した糸且換えが正しく起こったことが示された。 ここ では、 プローブとして EGF Pを用いた。。 また、 導入したメチル化および非メチル化が維持されていることも確認した。 その結果を図 2 cに示す。 実験は、 メチル化感受性制限酵素 Hp a I I、 Ne w En g l a n d B i o l a b s) を用いたサザンブロット分析を行った。 左に方向 Aおよび右に方向 Bの制限酵素地図およびサザンブロット分析の結 果を示す。 いずれの場合も、 バンドパターンより導入したメチル化は維持され ており、 非メチル化の場合は新たなメチル化が導入されていないことが確認さ れた。
(実施例 3 :マウスゲノムの同一部位において DN Aメチル化がトランスポ ゾン切り出し反応に^して及ぼす影響)
実施例 2で樹立した細胞株に S B転位酵素 (PCMV_SB、 P. Ha c k e t t、 U. o f M i n n e s o t aより入手) を導入し、 48時間後にゲ ノム DNAを回収した。 ゲノムの回収は、 ゲノム抽出キット (DNe a s y T i s s u e K i t , Q I AGEN) を用いて行った。 n e s t e d PCR によってトランスポゾンの切り出しを検出した。 各細胞株に対して 1 0回の P CR反応を行った。 1 s t PCRにおいて 1 μ gのゲノム DNAを铸型に用 いて反応を行った。 用いたプライマーを示す:
1 - 1) T gTP- lU (配列番号 6)
TP- 2 L (配列番号 7 )
TTTTCCTTGGAAGG;;配配列列番番号号 88)) ((22 nn dd PP CCRR;; nn ee ss tt ee dd PP CCRR)) 22 -- 22)) TT gg TTPP-- 33 LL
AA AA AAGG GG ;;配配列列番番号号 99)) ((22 nn dd PP CCRR;; nn ee ss tt ee dd PP CCRR))
ここのの結結果果得得らられれたた試試料料のの 11 μμ 11をを nn ee ss tt ee dd PP CCRRのの铸铸型型ととししてて用用いいてて 次次のの実実験験をを行行っったた。。 ネネガガテティィブブココンントトロローールル ((NNCC)) ととししてて、、 各各細細胞胞株株ののゲゲノノ ムム DDNNAAをを用用いいたた。。 メメチチルルイイ匕匕をを導導入入ししたたトトラランンススポポゾゾンンににおおいいてて、、 切切りり出出しし反反 応応のの頻頻度度がが顕顕著著にに上上昇昇 ((少少ななくくとともも 11 00倍倍以以上上)) ししてていいるるここととがが明明ららかかににななつつ た。
このような結果から、 トランスポゾンをコードする部分のメチル化によって、 トランスポゾンの切り出し反応が促進されることが実証された。
(実施例 4 : トランスポゾンのゲノムへの揷入に及ぼすメチル化の効果) この実施例では、 本発明者らは、 トランスポゾンのプラスミド DNAからゲ ノムへの挿入を検出を行った。 プロモータートラップ型トランスポゾンを構築 した。 この構築方法を以下に簡便に示す。 X li o l断片 (p RO SA g e o 由来) を E c o R I — B a mH I断片 (p T r a n s CX— GF P) と置換す る。
マウスゲノムの遺伝子内部にトラップ型トランスポゾンを挿入し、 アミノ酸 の読み枠が一致すれば _ g e o (p ROSA/3 g e o (G e n e s &D e v e 1 o p me n t 5 : 1 5 1 3— 1 5 2 3, 1 9 9 1) が発現し、 細胞が抗 生物質 G4 1 8 (G e n e t i c i n, I n v i t r o g e n) に対して耐性 となる仕組みを利用した。 ここで使用したプラスミドの構造を図 4 aに示す。 図 4 aにおける略号は、 S A:スプライス ·ァクセプター、 β— g e o : β— g a 1とネオマイシン耐性遺伝子との融合遺伝子
プロモータートラップ型トランスポゾンを S s s I Cp Gメチラーゼでメ チル化し、 S B転位酵素とともにマウス胚性幹細胞(E S細胞)(R I E S細胞、 A, Na g y) に導入した。 導入後、 G 4 1 8によって 7日間選択を行った。 メタノール固定の後、 ギムザ (N a k a r a i T e s q u e、 熊本、 日本) 染色した。
その結果を図 4 bに示す。 シャーレ上の青色斑点の数から明らかなように、 非メチル化トランスポゾンに比べて、 メチル化トランスポゾンによって顕著に G4 1 8耐性コロニーが上昇していることが判明した。 従って、 トランスポゾンのゲノムへの挿入に対してメチル化が効率を顕著に 上昇していることが実証された。
(実施例 5 : トランスジエニックマウスの作製)
実施例 4に示されるような系を用いて、 トランスジエニックマウスを作製し た。 手短に述べると、 実施例 4で得た E S細胞を胚盤胞に打ち込み、 それを偽 妊娠マウスの子宮に戻してマウスを誕生させた。 このマウスでも、 トランスポ ゾンのゲノムへの挿入に対してメチル化が効率を顕著に上昇させることが実証 された。 (実施例 6 :天然における例)
次に、 メチル化がトランスジエニック生物の生産に有用であることを実証し た。 手短に述べると、 メチルイ匕されているトランスポゾン DNAとトランス ポザーゼ RNAを同時に受精卵に打ち込むことによってマウスを作製した。 こ のマウスでも、 トランスポゾンのゲノムへの挿入に対してメチル化が効率を顕 著に上昇させることが実証された。
(実施例 7 :別のトランスポゾンでの例)
次に、 実施例 1において使用した S B系の代わりに T c 1 /m a r i n e r の一つとして、 T e l (ァクセッション番号 X 0 1 0 0 5 ) を用いて、 実施例 1〜3と同様の実験を行った。 このマウスでも、 トランスポゾンのゲノムへの 挿入に対してメチル化が効率を顕著に上昇させることが実証された。
(実施例 8 :別のトランスポゾンでの例)
次に、 実施例 1において使用した S B系の代わりに m i n o s _ 2 (ァクセ ッシヨン番号 Z 2 9 0 9 8 ) を用いて実施例 1〜3と同様の実験を行った。 こ のマウスでも、 トランスポゾンのゲノムへの揷入に対してメチル化が効率を顕 著に上昇させることが実証された。 以上のように、 本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、 本発明は、 特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであること が理解される。 本明細書において引用した特許、 特許出願および文献は、 その 内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書 に対する参考として援用されるべきであることが理解される。 産業上の利用可能性
本発明を用いれば、 トランスジエニック生物 (特に、 哺乳動物のような脊椎 動物) を効率よく作製することができるようになった。 このような生物は、 モ デル動物、 スクリーニング、 薬理試験などで非常に有用である。