ステロイド誘導体の製造法
技術分野
[0001] 本発明は、エストロンスルファターゼ阻害剤またはステロイド 5 a -レダクターゼ阻害 剤の合成中間体等として有用なステロイド誘導体の製造法に関する。
背景技術
[0002] 17位にパーフルォロアルキルスルホ -ルォキシ基を有するステロイド化合物に、ノ ラジウム化合物及び三級ホスフィン化合物の存在下、一酸化炭素及びアミンを反応 させて該パーフルォロアルキルスルホ -ルォキシ基を力ルバモイル基に変換する方 法はこれまで ヽくつか知られて!/ヽる(特許文献 1〜特許文献 4及び非特許文献 1〜非 特許文献 3参照)。これら文献に記載された方法では、ァミンとして一級アミンを用い た場合は収率よくァミノカルボ二ルイ匕反応が進行し、効率的に 17位のパーフルォロア ルキルスルホ -ルォキシ基を力ルバモイル基へと変換することができる。しかしながら 二級ァミン、特にかさ高い二級アミンを用いる場合、収率は中程度となる。具体的に は、パラジウム化合物としてジァセトキシビス (トリフエニルホスフィン)パラジウム、ァミン としてジイソプロピルアミンを用いた反応例が記載されて ヽるが、収率はそれぞれ 59% 、 67%と良好ではない (非特許文献 1及び非特許文献 2参照)。また、ノ ラジウム化合 物として酢酸パラジウム、三級ホスフィン化合物としてトリフエ-ルホスフィン、ァミンと してジイソプロピルアミンを用いた反応例が報告されて 、るが、収率は 59%と良好では ない (特許文献 4参照)。またパラジウム化合物として酢酸パラジウム、三級ホスフィン 化合物として 1,3-ビス (ジフエ-ルホスフイノ)プロパン、ァミンとしてジ n-プロピルアミン 、ジイソプロピルアミンまたは N-ェチルイソプロピルアミンを用いた反応例が報告され て!ヽるが収率の記載はな!/ヽ(特許文献 2参照)。本発明者らはジイソプロピルアミンを 用いてこの反応を追試した力 収率は 57%と良好ではな力つた。これは、二級アミンを 用いた場合、その立体障害のために反応が進行し難くなることが原因と考えられ、上 記各文献に記載された方法は収率面で優れた方法とは!、えず、工業的な大量製造 には適さない。
[0003] 特許文献 1:国際公開第 89/11282号パンフレット
特許文献 2:国際公開第 00/43408号パンフレット
特許文献 3:特開 2001-322995号公報
特許文献 4:特表平 03-504498号公報
非特許文献 1:ジャーナル ·ォブ ·メディシナル ·ケミストリ一(Journal of Medicinal Chemistry)、第 33卷、 937頁(1990年)
非特許文献 2:ジャーナル · ブ ·メディシナル ·ケミストリ一(Journal of Medicinal Chemistry)、第 33卷、 943頁(1990年)
非特許文献 3 :ステロィズ(Steroids)、第 63卷、 42δ頁(1998年)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] 本発明の目的は、エストロンスルファターゼ阻害剤またはステロイド 5- a -レダクタ一 ゼ阻害剤の合成中間体等として有用なステロイド誘導体の製造法を提供すること〖こ ある。
課題を解決するための手段
[0005] 本発明は、以下の(1)〜(9)に関する。
(1)式 (I)
[0006] [化 1]
[0007] [式中、二は単結合または二重結合を示し、
R1は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロア ルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキ- ル、置換もしくは非置換のァラルキル、置換もしくは非置換のァリール、 COR1A (式中 、 R1Aは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロ
アルキル、置換もしくは非置換の低級ァルケ-ル、置換もしくは非置換の低級アルキ -ル、置換もしくは非置換のァラルキルまたは置換もしくは非置換のァリールを表す) または COOR1B (式中、 R1Bは前記 R1Aと同義である)を表し、
R2は低級パーフルォロアルキルを表す。但し、 bl及び clに位置するニニの両方が同 時に二重結合になることはな 、]で表される化合物、式 (II)
[0008] [化 2]
HNR3R4
(II)
[0009] (式中、 R3及び R4は、同一または異なって置換もしくは非置換の低級アルキル、置換 もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしく は非置換の低級アルキ -ル、置換もしくは非置換のァラルキルまたは置換もしくは非 置換のァリールを表すか、または R3と R4が隣接する窒素原子と一緒になつて置換もし くは非置換の脂環式複素環基を形成する)で表される化合物及び一酸ィ匕炭素を、パ ラジウム化合物及び式 (III)
[0010] [化 3]
R6
R5— P、
R7
(III)
[0011] (式中、 R5は置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、 R6及び R7は、同一または異 なって置換もしくは非置換のァリールを表す)で表される三級ホスフィンィ匕合物の存 在下に反応させることを特徴とする、式 (IV)
[0012] [化 4]
[0013] (式中、二、
R
3及び R
4はそれぞれ前記と同義である。但し、 b2及び c2に位置する 二の両方が同時に二重結合になることはない)で表されるステロイド誘導体の製造 法。
(2) R3及び R4が同一または異なって置換もしくは非置換の低級アルキルである前記( 1)記載のステロイド誘導体の製造法。
(3) R1が CORla (式中、 Rlaは置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)または COORlb (式中、 Rlbは前記 Rlaと同義である)であり、 R3及び R4が同一または異なって置 換もしくは非置換の低級アルキルである前記(1)記載のステロイド誘導体の製造法。
(4) !?1が COCHまたは COOCHであり、 R2がトリフルォロメチルであり、 R3及び R4がイソ
3 3
プロピルである前記(1)記載のステロイド誘導体の製造法。
[0014] (5) R5がメチルであり、 R6及び R7がフエ-ルである前記(1)〜(4)の!、ずれかに記載の ステロイド誘導体の製造法。
(6)パラジウム化合物力 ^価パラジウム化合物である前記(1)〜(5)の 、ずれかに記載 のステロイド誘導体の製造法。
(7)パラジウム化合物がビス (ジベンジリデンアセトン)パラジウムまたはトリス (ジベンジ リデンアセトン)ジパラジウムである前記(1)〜(5)の 、ずれかに記載のステロイド誘導 体の製造法。
(8)式 (I)
[0015] [化 5]
[0016] (式中、二、 R1及び R2はそれぞれ前記と同義である。但し、 bl及び clに位置する二 の両方が同時に二重結合になることはない)で表される化合物、式 (II)
[0017] [化 6]
HNR3R4
(II)
[0018] (式中、 R3及び R4はそれぞれ前記と同義である)で表される化合物及び一酸ィ匕炭素を
、パラジウム化合物及び式 (III)
(Hi)
[0020] (式中、 R5、 R6及び R7はそれぞれ前記と同義である)で表される三級ホスフィンィ匕合物 の存在下に反応させ、式 (IV)
[0021] [化 8]
[0022] (式中、二、
R
3及び R
4はそれぞれ前記と同義である。但し、 b2及び c2に位置する
二の両方が同時に二重結合になることはない)で表されるステロイド誘導体を得るェ 程を含むことを特徴とする、式 (V)
[化 9]
[0024] (式中、 R3及び R4はそれぞれ前記と同義である)で表されるステロイド誘導体の製造 法。
(9) R3及び R4が同一または異なって置換もしくは非置換の低級アルキルである前記( 8)記載のステロイド誘導体の製造法。
発明の効果
[0025] 本発明により、エストロンスルファターゼ阻害剤またはステロイド 5 a -レダクターゼ阻 害剤の合成中間体等として有用なステロイド誘導体の製造法等が提供される。
発明を実施するための最良の形態
[0026] 以下、式 (I)、 (II)、 (III)、 (IV)及び (V)で表される化合物をそれぞれィ匕合物 (I)、 (II ) , (111)、(IV)及び (V)という。他の式番号の化合物についても同様である。
式 (1)、(11)、(111)、(IV)及び (V)の各基の定義において、
低級アルキルとしては、例えば直鎖状または分岐状の炭素数 1〜10のアルキル、具 体的にはメチル、ェチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、 sec-ブチル、 tert-ブチル、ペンチノレ、イソペンチル、ネオペンチル、 tert-ペンチル、へキシル、イソ へキシル、ヘプチル、ォクチル、イソオタチル、ノエル、デシル等が挙げられる。
[0027] シクロアルキルとしては、例えば炭素数 3〜8のシクロアルキル、具体的にはシクロプ ロピノレ、シクロブチノレ、シクロペンチノレ、シクロへキシノレ、シクロへプチノレ、シクロオタ チル等が挙げられる。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖状、分岐状または環状の炭素数 2〜8のアル
ケ -ル、具体的にはビュル、ァリル、 1 -プロべ-ル、ブテュル、ペンテ-ル、へキセニ ル、ヘプテニル、ォクテニル、シクロペンテニル、シクロへキセニノレ、 2,6-ォクタジェニ ル等が挙げられる。
[0028] 低級アルキニルとしては、例えば直鎖状または分岐状の炭素数 2〜8のアルキニル 、具体的にはェチュル、 1-プロピエル、 2-プロビュル、ブチニル、ペンチ-ル、へキシ -ル、ヘプチュル、ォクチ-ル等が挙げられる。
ァリールとしては、例えば炭素数 6〜14の単環性、二環性または三環性のァリール、 具体的にはフエ-ル、ナフチル、インデュル、アントラ-ル等が挙げられる。
[0029] ァラルキルのアルキレン部分は、前記低級アルキル力 水素原子を 1つ除いたもの と同義である。ァラルキルのァリール部分としては、前記ァリールの定義で挙げた基 に加え、例えばシクロアルキルと縮合した二環性縮合環基等が挙げられ、具体的に はインダニル、 1,2, 3,4-テトラヒドロナフチル、 6,7,8,9-テトラヒドロ- 5H-ベンゾシクロへ プチル等が挙げられる。
[0030] 低級パーフルォロアルキルとしては、例えば直鎖状または分岐状の炭素数 1〜6の パーフルォロアルキル、具体的にはトリフルォロメチル、ペンタフルォロェチル、ヘプ タフルォロプロピル、ヘプタフルォロイソプロピル、ノナフルォロブチル、ノナフルォロ イソブチル、ゥンデカフルォロペンチル、ゥンデカフルォロイソペンチル、トリデカフル ォ口へキシル等が挙げられる。
[0031] 隣接する窒素原子と一緒になつて形成される脂環式複素環基としては、例えば少 なくとも 1個の窒素原子を含む 5員または 6員の単環性複素環基 (該単環性複素環基 は、他の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい)、 3〜8員の環が 縮合した二環または三環性で少なくとも 1個の窒素原子を含む縮環性複素環基 (該 縮環性複素環基は、他の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい) 等が挙げられ、より具体的にはピロリジニル、ピペリジ入ピぺラジュル、モルホリ入チ オモルホリノ、ホモピベリジ入ホモピぺラジュル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキ ノリ-ル、テトラヒドロイソキノリニル等が挙げられる。
[0032] 置換低級アルキル、置換低級ァルケ-ル及び置換低級アルキニルにおける置換 基としては、同一または異なって例えば置換数 1〜3の、ハロゲン、アミ入ニトロ、ヒド
口キシ、ォキソ、メルカプト、シァ入ホルミル、カルボキシ、力ルバモイル、シクロアル キル、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィエル、低級アルキルスルホ -ル、低 級アルカノィルォキシ、低級アルコキシカルボ-ル、低級アルカノィル、置換低級ァ ルカノィル [該置換低級アルカノィルにおける置換基 (a)としては、同一または異なつ て例えば置換数 1〜3の、ハロゲン等が挙げられる]、低級アルコキシ、置換低級アル コキシ [該置換低級アルコキシにおける置換基は前記置換低級アル力ノィルにおけ る置換基 (a)と同義である]、ジ低級アルキルアミ入置換ジ低級アルキルアミノ (該置 換ジ低級アルキルァミノの低級アルキル部分における置換基としては、同一または異 なって例えば置換数 1〜3のハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、低級アルコキシ、低級 アルコキシカルボ-ル等が挙げられる)、ァリール、置換ァリール {該置換ァリールに おける置換基 (b)としては、同一または異なって例えば置換数 1〜3の、ハロゲン、アミ ノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、シァノ、カルボキシ、力ルバモイル、シクロアルキル 、低級アルコキシカルボ-ル、低級アルカノィルォキシ、ジ低級アルキルアミ入ァリ ールォキシ、ァラルキルォキシ、低級アルキル、置換低級アルキル [該置換低級アル キルにおける置換基は前記置換低級アルカノィルにおける置換基 (a)と同義である] 、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ [該置換低級アルコキシにおける置換基は前 記置換低級アルカノィルにおける置換基 (a)と同義である]、低級アルカノィル、置換 低級アルカノィル [該置換低級アルカノィルにおける置換基は前記置換低級アル力 ノィルにおける置換基 (a)と同義である]、ァリール、置換ァリール [該置換ァリールに おける置換基は前記置換低級アルカノィルにおける置換基 (a)と同義である]等が挙 げられる }、ァリールォキシ、置換ァリールォキシ [該置換ァリールォキシにおける置 換基は前記置換ァリールにおける置換基 (b)と同義である]、ァラルキルォキシ、置 換ァラルキルォキシ [該置換ァラルキルォキシにおける置換基は前記置換ァリール における置換基 (b)と同義である]、芳香族複素環基、置換芳香族複素環基 [該置換 芳香族複素環基における置換基は前記置換ァリールにおける置換基 (b)と同義であ る]、脂環式複素環基、置換脂環式複素環基 [該置換脂環式複素環基における置換 基は前記置換ァリールにおける置換基 (b)と同義である]等が挙げられる。
ここで、低級アルキル、シクロアルキル及びァリールはそれぞれ前記と同義であり、
低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルカノィル、低級アルカノィルォ キシ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル及び ジ低級アルキルァミノの低級アルキル部分ならびにァリールォキシ及びァラルキルォ キシのァリール部分はそれぞれ前記低級アルキルならびにァリールと同義であり、ジ 低級アルキルァミノの 2つの低級アルキル部分は、同一でも異なっていてもよぐァラ ルキルォキシのアルキレン部分は前記低級アルキル力 水素原子を一つ除いたもの と同義である。
[0034] ハロゲンはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる 少なくとも 1個の原子を含む 5員または 6員の単環性芳香族複素環基、 3〜8員の環が 縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる少な くとも 1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基等が挙げられ、より具体的にはピリジ ル、ピリドニル、ピラジ -ル、ピリミジニル、ピリダジ -ル、キノリル、イソキノリル、フタラ ジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリル、ピラゾ リル、イミダゾリル、トリァゾリル、テトラゾリル、チェ-ル、フリル、チアゾリル、ォキサゾ リル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、イソォキサゾリル、ベンゾトリアゾリ ル、ベンゾチアゾリル、ベンゾォキサゾリル、プリニル、アタリジニル、カルバゾリル等 が挙げられる。
[0035] 脂環式複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる 少なくとも 1個の原子を含む 5員または 6員の単環性脂環式複素環基、 3〜8員の環が 縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる少な くとも 1個の原子を含む縮環性脂環式複素環基等が挙げられ、より具体的にはピロリ ジニル、ピロリドニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリ入モルホリニル
、チオモルホリ入チォモルホリエル、ホモピペリジ入ホモピペリジル、ホモピペラジニ ル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロフラ -ル、テトラヒドロビラ-ル、ジヒドロべンゾフラ-ル等が挙げられる。
[0036] 置換シクロアルキル、置換ァリール、置換ァラルキル及び隣接する窒素原子と一緒 になって形成される置換脂環式複素環基における置換基としては、前記置換低級ァ
ルキル、置換低級アルケニル及び置換低級アルキ-ルにおける置換基の定義で挙 げた基にカ卩え、低級アルキル、置換低級アルキル [該置換低級アルキルにおける置 換基は前記置換低級アルカノィルにおける置換基 ωと同義である]、低級ァルケ- ル、置換低級アルケニル [該置換低級アルケニルにおける置換基は前記置換低級ァ ルカノィルにおける置換基 (a)と同義である]、ァラルキル、置換ァラルキル [該置換ァ ラルキルにおける置換基は前記置換ァリールにおける置換基 (b)と同義である]等が 挙げられる。
[0037] ここで、低級アルキル、低級ァルケ-ル及びァラルキルはそれぞれ前記と同義であ る。
次に、本発明を詳細に説明する。
製造法
化合物 (IV)は、化合物 (I)、化合物 (II)及び一酸化炭素を、パラジウム化合物及び 化合物(III)の存在下、不活性溶媒中で反応させることにより、得ることができる。
[0038] 化合物(II)は、化合物(I)に対して好ましくは 1〜100当量、より好ましくは 2〜20当量 用いられる。
パラジウム化合物としては、例えばテトラキス (トリフエニルホスフィン)パラジウム、ェ チレンビス (トリメチルホスフィン)パラジウム、エチレンビス (トリフエ-ルホスフィン)パラ ジゥム、スチレンビス (トリメチノレホスフィン)パラジウム、スチレンビス (トリフエニノレホスフ イン)パラジウム、トリス (エチレン)パラジウム、トリス (スチレン)パラジウム、ビス (トリ- tert- ブチルホスフィン)パラジウム、ビス (ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス (ジベンジ リデンアセトン)ジパラジウム、 1,1,-ビス (ジフエ-ルホスフイノ)フエ口センパラジウム、 パラジウムクロ口ホルムなどの 0価パラジウム化合物、塩化パラジウム、臭化パラジウム 、ヨウ化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルォロ酢酸パラジウム、ジクロロビス (ァセト -トリル)パラジウム、ジクロロビス (ベンゾ-トリル)パラジウム、ジクロロビス (トリフエ-ル ホスフィン)パラジウム、ジクロロビス (トリメチルホスフィン)パラジウム、ジァセトキシビス( トリフエ-ルホスフィン)パラジウム、ジァセトキシビス (トリメチルホスフィン)パラジウム、リ チウムへキサクロ口パラデート、ナトリウムへキサクロ口パラデート、カリウムへキサクロ 口パラデート、テトラ (ァセトニトリル)パラジウムビス (テトラフルォロボレート)、ビス [パラ
ジゥム(7? 3-ァリル)クロリド]、ビス [パラジウムビス(7? 3-ァリル)]等の 2価パラジウム化合 物等が挙げられる力 好ましくは 0価パラジウム化合物力 より好ましくは 3級ホスフィン 化合物を配位子に持たな 、0価パラジウム化合物が用いられる。パラジウム化合物の 使用量に特に制限はないが、通常化合物(I)に対してパラジウム原子として 0.00001 〜1当量、好ましくは 0.001〜0.3当量用いられる。
[0039] 化合物(III)としては、例えばメチルジフエ-ルホスフィン、ェチルジフエ-ルホスフィ ン、プロピルジフエニルホスフィン、ブチルジフエニルホスフィン、へキシルジフエニル ホスフィン、メチルジナフチルホスフィン等が挙げられる。化合物(III)の使用量は、含 有されるリン原子としてパラジウム原子に対して通常 1〜10当量、好ましくは 1〜4当量 用いられる。
[0040] 不活性溶媒としては、ジクロロメタン、クロ口ホルム、ジクロロェタン等のハロゲン化炭 化水素、 Ν,Ν-ジメチルホルムアミド(DMF)、 Ν,Ν-ジメチルァセトアミド、 1-メチル -2-ピ ロリジノン、 1,3-ジメチル -2-イミダゾリジノン等のアミド、トルエン、キシレン等の芳香族 炭化水素、テトラヒドロフラン、ジォキサン、ジェチルエーテル、シクロペンチルメチル エーテル等のエーテル、酢酸ェチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は、通常化合物 (I)に対して 1〜200倍重量、好ましくは 5〜20倍重量用 1ヽられる。
[0041] 反応に用いられる一酸化炭素の使用量に特に制限は無ぐ常圧下でも加圧下でも 反応を行うことができる。また、窒素、アルゴン等の反応に不活性なガスが共存してい てもよい。一酸化炭素の分圧としては、好ましくは 0.01〜20 MPa、より好ましくは 0.1〜 1 MPaの範囲で反応を行うことができる。
反応は、通常- 20 °Cから用いる溶媒の沸点の間、好ましくは 0〜60 °Cの温度で行 われ、 5分間から 24時間で終了する。
[0042] なお、原料化合物(I)は、 WO00/43408、特開 2001-322995に記載の方法あるいは それらに準じて得ることができ、原料化合物 (II)及び (III)は、市販品をそのまま、もし くは精製して用いることができる。
化合物(IV)から化合物 (V)への変換は、例えば、以下の方法によって行うことがで きる。 -OR1 (式中、 R1は前記と同義である)のスルファモイルォキシへの変換は、例え
ば WO99/03876、 WO00/43408,ジャーナル'ォブ 'メデイシナル'ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)、第 33卷、 937頁(1990年)、テトラへドロン'レターズ( Tetrahedron Letters)、第 33卷、 937頁(1990年)等に記載の方法に準じて行うことが できる。 a2、 b2及び Zまたは c2に位置する二重結合の還元は、例えばレクエイル 'デ ス 'トフノヽックス'キ^ックス'テス'ノヽイス'ノヽス (Recueil des Travaux Chimiques des ?& 3-8&3)、第91 (8)卷、 1095頁(1972年)等に記載の方法に準じて行うことができる。
[0043] 上記各製造法における目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、 例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィーなどに付し て単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反 応に供することも可能である。
化合物 (1)、 (II)及び (III)の中には、幾何異性体、光学異性体等の立体異性体、互 変異性体等の各種異性体が存在し得るものもあるが、本発明のステロイド誘導体の 製造法にぉ 、ては、これらを含め全ての可能な異性体及びそれらの任意の比率の 混合物を用いることができる。さらに化合物(IV)及び (V)に中にも幾何異性体、光学 異性体等の立体異性体、互変異性体等の各種異性体が存在し得るものがあるが、 本発明のステロイド誘導体の製造法は、これらを含め全ての可能な異性体及びそれ らの任意の比率の混合物の製造に適用することができる。
[0044] 化合物(IV)及び (V)の塩を取得した 、とき、化合物(IV)及び (V)が塩の形で得ら れるときはそのまま精製すればよぐまた、遊離の形で得られるときは、化合物 (IV)及 び (V)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すれば よい。
また、化合物(IV)及び (V)、ならびにそれらの塩は、水あるいは各種溶媒との付カロ 物の形で存在することもある力 これらの付加物も本発明に包含される。
[0045] 本発明によって得られる化合物(IV)の具体例を表 1に示す。
[0046] [表 1]
表 1
[0047] 以下に、本発明を実施例及び比較例によりさらに具体的に説明する力 本発明の 範囲はこれらの実施例に限定されることはない。
実施例 1
[0048] 17-ジイソプロピル力ルバモイル- 1,3,5(10), 16-エストラテトラエン- 3-ィルアセテート ( 化合物 1)の合成
17- (トリフルォロメタンスルホ -ルォキシ) -1,3, 5(10),16-エストラテトラエン- 3-ィルァ セテート(2.00 g)及びトリス (ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(64.0 mg)をフラスコ に量り取り、フラスコ内部を一酸ィ匕炭素で置換した後、メチルジフエ-ルホスフィン (52 μ L)、 DMF (20 mL)及びジイソプロピルアミン(12.6 mL)をカ卩えて室温で 5時間撹拌 した。反応液にトルエン(100 mL)及び 3 mol/L塩酸 (60 mL)をカ卩えて分液し、有機 層を 5%食塩水(100 mL)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を
濃縮後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-へキサン:酢酸ェチル =4: 1 )で精製して、化合物 1 (1.71 g, 90%)を無色結晶として得た。
融点:114 °C (分解)
1H-NMR (CDC1 , δ , ppm) 1.09 (s, 3H), 1.08—1.69 (m, 14H), 1.93—2.00 (m, 2H),
3
2.10-2.17 (m, IH), 2.28 (s, 3H), 2.28—2.33 (m, 3H), 2.87-2.94 (m, 2H), 3.45 (brs, IH), 4.27 (brs, IH), 5.67 (d, J = 1.5 Hz, IH), 6.81 (d, J = 2.4 Hz, IH), 6.86 (dd, J = 2.4, 8.5 Hz, IH), 7.27 (d, J = 8.5 Hz, IH)
MASS [ESI(+)] m/z 424 (M+H)+, 382, 323, 253.
HRMS [ESI(+)] C H NO (M+H)に対する計算値: 424.2852、実測値: 424.2845
27 38 3
実施例 2
17-ジイソプロピル力ルバモイル- 1,3,5(10),9(11),16-エストラペンタエン- 3-ィルァセ テート (化合物 2)の合成
17- (トリフルォロメタンスルホ -ルォキシ) - 1,3,5(10),9(11),16-エストラペンタエン- 3- ィルアセテート(4.39 g)及びトリス (ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(45.7 mg)を フラスコに量り取り、フラスコ内部を一酸ィ匕炭素で置換した後、メチルジフエ-ルホス フィン(41 μ L)、 DMF (43 mL)、ジイソプロピルアミン(27.5 mL)を加えて室温で 3時 間撹拌した。反応液にトルエン (250 mL)及び 2 mol/L塩酸(100 mL)をカ卩えて分液し 、有機層を 2 mol/L塩酸 (50 mL)及び 5%食塩水(100 mL)で洗浄した後、無水硫酸 マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ ィー(トルエン:酢酸ェチル = 10: 1)で精製して、化合物 2 (3.48 g, 84%)を淡黄色結晶 として得た。
融点:161 °C (分解)
'H-NMR (CDC1 , δ , ppm) 1.05 (s, 3H), 1.21 (brs, 12H), 1.41—1.53 (m. IH),
3
1.69-1.79 (m, IH), 2.01—2.34 (m, 4H), 2.28 (s, 3H), 2.39—2.48 (m, 2H), 2.82-2.95 (m, 2H), 3.47 (brs, IH), 4.28 (brs, IH), 5.70 (dd, J = 1.5, 3.1 Hz, IH), 6.21—6.23 (m, IH), 6.82 (d, J = 2.5 Hz, IH), 6.85 (dd, J = 2.5, 8.6 Hz, IH), 7.60 (d, J = 8.6 Hz, IH)
MASS [ESI(+)] m/z 422 (M+H)+, 380, 361, 338, 251.
HRMS [ESI(+)] C H NO (M+H)に対する計算値: 422.2695、実測値: 422.2683
27 36 3
実施例 3
[0050] Ν,Ν-ジイソプロピル- 3- (メトキシカルボ-ルォキシ)- 1,3,5(10), 16-エストラテトラエン -17-カルボキサミド (化合物 3)の合成
3- (メトキシカルボ-ルォキシ) -1,3,5(10),16-エストラテトラエン- 17-ィルトリフルォロ メタンスルホネート(2.00 g)及びトリス (ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(39.4 mg) をフラスコに量り取り、フラスコ内部を一酸ィ匕炭素で置換した後、メチルジフエ-ルホ スフイン(32 μ L)、 DMF(20 mL)、ジイソプロピルアミン(12.2 mL)を加えて室温で 4.5 時間撹拌した。反応液に酢酸ェチル(150 mL)及び 1 mol/L塩酸(100 mL)を加えて 分液し、有機層を 5%食塩水(100 mL)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し た。有機層を濃縮後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸ェ チル =5 : 1)で精製して、化合物 3 (1.71 g, 89%)を淡黄色結晶として得た。
融点:131 °C (分解)
1H-NMR (CDC1 , δ , ppm) 1.09 (s, 3H), 1.30 (brs, 12H), 1.41—1.71 (m. 7H),
3
1.91-2.01 (m, 2H), 2.07-2.18 (m, 1H), 2.27-2.40 (m, 3H), 2.86—2.94 (m, 2H), 3.42 (brs, 1H), 3.90 (s, 3H), 4.31 (brs, 1H), 5.67—5.68 (m, 1H), 6.88 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.93 (dd, J = 2.6, 8.4 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 8.4 Hz, 1H)
MASS [ESI(+)] m/z 440 (M+H)+, 398, 356, 235.
HRMS [ESI(+)] C H NO (M+H)に対する計算値: 440.2801、実測値: 440.2804
27 38 4
実施例 4
[0051] メチルジフヱ-ルホスフィン及び酢酸パラジウムを用 、た化合物 1の合成
17- (トリフルォロメタンスルホ -ルォキシ) -1,3, 5(10),16-エストラテトラエン- 3-ィルァ セテート(100 mg)及び酢酸パラジウム(1.6 mg, 3 mol%)をフラスコに量り取り、フラス コ内部を一酸化炭素で置換した後、メチルジフエ-ルホスフィン(2.6 L, 6 mol%)、 DMF (1 mL)及びジイソプロピルアミン(0.63 mL)をカ卩えて室温で 5時間撹拌した。反 応後にァセトニトリルをカ卩え、化合物 1の生成率を液体高速クロマトグラフィー(HPLC) 分析により算出した。生成率を第 2表に示す。なお、 HPLCの測定条件は以下の通り である。
HPLC測定条件
機器:日立製作所製
カラム: YMC ODS-AM AM- 312, 150 mm X 6.0 mm (YMC株式会社製)
移動相:ァセトニトリル Z0.04 mol/Lリン酸二水素カリウム水溶液 =2Zl
温度: 40 °C
流速: 1.0 mL/分
検出: UV(215 nm)
実施例 5
メチルジフエ-ルホスフィン及びトリス (ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを用いた 化合物 1の合成
17- (トリフルォロメタンスルホ -ルォキシ) -1,3, 5(10),16-エストラテトラエン- 3-ィルァ セテート(100 mg)及びトリス (ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(3.2 mg, 3 mol%)を フラスコに量り取り、フラスコ内部を一酸ィ匕炭素で置換した後、メチルジフエ-ルホス フィン(2.6 L, 6 mol%)、 DMF (1 mL)及びジイソプロピルアミン(0.63 mL)をカ卩えて室 温で 5時間撹拌した。反応後にァセトニトリルを加え、化合物 1の生成率を液体高速ク 口マトグラフィー (HPLC)分析により算出した。生成率を第 2表に示す。なお、 HPLCの 測定条件は実施例 4と同様である。
比較例 1〜3:パラジウム化合物として酢酸パラジウム、三級ホスフィン化合物としてトリ フエ-ルホスフィン、トリ (p-トルィル)ホスフィンまたは 1,3- (ジフエ-ルホスフイノ)プロパ ンを用いたィ匕合物 1の合成
17- (トリフルォロメタンスルホ -ルォキシ) -1,3, 5(10),16-エストラテトラエン- 3-ィルァ セテート(100 mg)及び酢酸パラジウム(1.6 mg、パラジウム原子として 3 mol%)をフラス コに量り取り、フラスコ内部を一酸ィ匕炭素で置換した後、三級ホスフィンィ匕合物(リン 原子として 6 mol%)、 DMF (1 mL)及びジイソプロピルアミン(0.63 mL)をカ卩えて室温で 4〜6時間撹拌した。反応後にァセトニトリルを加え、化合物 1の生成率を液体高速ク 口マトグラフィー (HPLC)分析により算出した。生成率を第 2表に示す。なお、 HPLCの 測定条件は実施例 4と同様である。
比較例 4:テトラキス (トリフエ-ルホスフィン)パラジウムを用 、た化合物 1の合成
17- (トリフルォロメタンスルホ -ルォキシ) -1,3, 5(10),16-エストラテトラエン- 3-ィルァ セテート(100 mg)及びテトラキス (トリフエ-ルホスフィン)パラジウム(8.1 mg、パラジゥ ム原子として 3 mol%)をフラスコに量り取り、フラスコ内部を一酸ィ匕炭素で置換した後、 DMF (1 mL)及びジイソプロピルアミン(0.63 mL)をカ卩えて室温で 5時間撹拌した。反 応後にァセトニトリルをカ卩え、化合物 1の生成率を液体高速クロマトグラフィー(HPLC) 分析により算出した。生成率を第 2表に示す。なお、 HPLCの測定条件は実施例 4と同 様である。
比較例 5:パラジウム化合物としてトリス (ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、三級ホ スフインィ匕合物としてトリフエ-ルホスフィンを用いたィ匕合物 1の合成
17- (トリフルォロメタンスルホ -ルォキシ) -1,3, 5(10),16-エストラテトラエン- 3-ィルァ セテート(100 mg)及びトリス (ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(3.2 mg、パラジウム 原子として 3 mol%)をフラスコに量り取り、フラスコ内部を一酸ィ匕炭素で置換した後、ト リフエ-ルホスフィン(3.7 mg、リン原子として 6 mol%)、 DMF (1 mL)及びジイソプロピ ルァミン(0.63 mL)を加えて室温で 5時間撹拌した。反応後にァセトニトリルをカロえ、 化合物 1の生成率を液体高速クロマトグラフィー (HPLC)分析により算出した。生成率 を表 2に示す。なお、 HPLCの測定条件は実施例 4と同様である。
[表 2]
表 2
第 2表の結果から、三級ホスフィン化合物としてメチルジフエ-ルホスフィンを用いた 場合には、他の三級ホスフィンィ匕合物を用いた場合と比較して高 、収率で化合物 1 が得られることがゎカゝる。
産業上の利用可能性
本発明により、エストロンスルファターゼ阻害剤またはステロイド 5 a -レダクターゼ阻 害剤の合成中間体等として有用なステロイド誘導体の製造法等が提供される。