WO2004096322A1 - 血液透析装置及び液体漏洩物検出方法 - Google Patents

Abstract

透析器に血液を輸送する血液輸送手段、前記透析器に透析液を輸送する透析液輸送手段、及び前記透析器を介して患者の血液から余分な水分や老廃物を前記透析液の側に輸送する除水手段とを内部に備え、且つ、前記内部で発生した液体漏洩物を一定量内部に貯留するよう構成された筐体部を有する血液透析装置において、それぞれが前記筐体部の内部に貯留した液体漏洩物を検出する液体検出手段であって、（ａ）前記内部に貯留した液体漏洩物の液面高さが第１の鉛直方向高さ以上である場合に前記検出を行う第１の液体検出手段、及び（ｂ）前記内部に貯留した液体漏洩物の液面高さが前記第１の鉛直方向高さよりも高い第２の鉛直方向高さ以上である場合に前記検出を行う第２の液体検出手段を備えた血液透析装置及び該血液透析装置により実施可能な液体漏洩物の検出方法を提供する。

Description

血液透析装置及び液体漏洩物検出方法

技術分野 本発明は、 透析液や透析液製造用清浄水などの液体が内部で漏洩した際に適切 明

に対処できる手段を有する、 在宅透析に適した血液透析装置及ぴ液体漏洩物の検 出方法に関する。

食 a 背景技術 腎機能不全患者の増加に伴い、 人工透析 （以下、 血液透析ともいう） を受ける 患者の数も増加傾向にある。 かかる患者は、 通常、 病院や診療所など医療施設に おいて数日に一回の割合で数時間、 血液透析を受けることを余儀なくされ （この 種の血液透析を、 病院内で行う透析という意味で、 以下 「院内透析」 ということ がある。）、 これを解消するためには、 従来は腎臓移植を行うしかなかった。 血液透析は、 血液と透析液をセルロースやポリスルフォンなどの高分子膜を用 いた中空糸型や積層型半透膜モジュールの透析器 （以下、 「ダイァライザ一」、 あ るいは 「人工腎臓ユニット」 ということがある。） を介して循環し、血液中の老廃 物や過剰の水を除去するものである。 ところで、 近年の在宅医療の進展の中で、 上記した院内透析における通院の煩 わしさ等を解消するために、 患者が在宅で透析を行うための在宅血液透析装置が 開発され、 臨床応用の可能性が高まっている。 血液透析を医療機関ではなく患者宅において実施することによって、 上記した 院内透析に伴う通院の煩わしさが解消されるばかりではなく、 院内透析において 一般的であった週 3回透析を実施する隔日透析に代えて、 例えば週 6回、 短時間 の透析を実施する連日短時間透析が容易に実行'できる環境が整い、 この結果、 血 液透析の治療効果が向上する等のメリットがある。

ところで、 血液透析装置は透析液を用いて透析器を介して血液透析を行うため に、 透析液の循環回路、 透析液の作成や保持のための手段を備えているので、 こ れら各構成から何らかの理由で透析液や透析液製造用清浄水が漏れ出し、 血液透 析装置の筐体構造内部に溜まる、 更にはこの血液透析装置の外部へと漏れ出すこ とち起こり得る。

ところが、 院内透析で使用する血液透析装置で液漏れを検知するために液体検 知器を搭載したものは少ない。

これは、 院内透析においては血液透析装置を運転する際には、 医療従事者が傍 に在席しており、 万一液漏れが起こつた場合に、 液体検知器がなくてもトラブル による液漏れを発見した時点で医療従事者が直ちに適切な対処をすることで大き な問題が起きることはないためであると考えられる。 また、 施設の床は構造上多 少濡れても問題がなく、 拭き取りが容易なように配慮がなされているため、 液漏 れを発見した時点で医療従事者が直ちに適切な対処をすれば問題がないからだと 考えられる。

しかし、 在宅透析の場合は院内透析とは状況が異なり、 特別な対応が必要とな る。

すなわち、 液漏れにより液体が床にこぼれた場合、 畳やじゅうたんを損傷する 恐れがある。 更に医療従事者は常には血液透析装置の傍に在席していないので液 漏れが発生してもすぐに適正な対処をすることが難しい。 よって、 在宅透析に用いる血液透析装置においては、 液漏れが発生した場合に 速やかに漏れた液体を検知して、 液漏れが装置外に広がって被害が大きくならな いように装置の運転を停止させることが必要となる。

しかしながら、 透析液流路などを構成する配管継ぎ手の微小な破損による微小 量の液漏れが発生した場合は、 液漏れ発生後に保守 （血液透析装置の修理'） が必 要となるものの、 装置の運転上は特に問題はなく、 液漏れによる使用者 （患者） への被害はない。 よって微小量の液漏れの場合は、 装置の運転を即座に停止させ るよりも運転を継続した方が使用者にとって有益なこともある。

従来、 血液透析装置の液漏れへの対応に関しては、 例えば、 在宅で使用する血 液透析装置の保守の最適化と治療支援を行う在宅人工透析支援システムにおいて、 透析中あるいは透析準備中における血液透析装置の機器情報を検出して中央情報 収集センタ■ ·送信する技術が開示されている （特開 2 0 0 1— 3 4 6 8 7 0号 公報)。 しかしながら当該公報では、個々の液漏れの状態に応じて最適な対応を行 うことについては、 一切記載も示唆もされていない。

さらに、 血液透析装置のモニタリングを想定して血液透析装置内の液体漏れ量 の検出手段を校正することを意図した 「流体が流れている系内の漏れの存在を検 出する方法と装置」が開示されている（特表 2 0 0 2 - 5 1 9 6 3 0号公報）力 個々の液漏れの状態に応じて最適な対応を行うことについては、 一切記載,も示唆 もされていない。

このように、 これまで、 血液透析装置において液漏れが発生した場合に個々の 液漏れの状態に応じて最適な対応をすることができる血液透析装置あるいは、 液 体漏洩物の検出方法は提供されていなかった。 ·

本発明の目的は、 血液透析装置内で液体の漏洩が発生した場合に、 個々の漏洩 の状態に応じて最適な対応を実行することによって、 血液透析装置を使用する患 者の安全性、 及び利便性を向上させる血液透析装置及ぴ液体漏洩物検出方法を提 供することである。 発明の開示 .

すなわち本発明は、 透析器に血液を輸送する血液輸送手段、 前記透析器に透析 液を輸送する透析液輸送手段、 及び前記透析器を介して患者の血液から余分な水 分や老廃物を前記透析液の側に輸送する除水手段とを内部に備え、 かつ、 前記内 部で発生した液体漏洩物を""定量貯留するよう構成された筐体部を有する血液透 析装置であって、 次の 2つの液体検出手段を備えた血液透析装置を提供するもの である。

( a ) 前記筐体部の内部に貯留した液体漏洩物の液面高さが第 1の鉛直方向高さ 以上である場合に前記液体漏洩物の検出を行う第 1の液体検出手段。

( b ) 前記筐体部の内部に貯留した液体漏洩物の液面高さが前記第 1の鉛直方向 高さよりも高く、 かつ第 2の鉛直方向高さ以上である場合に前記液体漏洩物の検 出を行う第 2の液体検出手段。

また本発明は、 透析器に血液を輸送する血液輸送手段、 前記透析器に透析液を 輸送する透析液輸送手段、 及び前記透析器を介して患者の血液から余分な水分や 老廃物を前記透析液の側に輸送する除水手段とを内部に備え、 かつ、 前記内部で 発生した液体漏洩物を一定量貯留するよう構成された筐体部を有する血液透析装 置であって、 上記第 1の液体検出手段及び第 2の液体検出手段を備えた血液透析 装置の筐体内部の液体漏洩物を検出する方法であって、 下記ステップ （a ) 及び ( b ) を含むことを特徴とする液体漏洩物検出方法を提供するものである。 ( a ) 前記筐体内部に貯留した液体漏洩物の液面高さが第 1の鉛直方向高さ以上 である場合に前記筐体部の内部に貯留した液体漏洩物を検出するステップ。

( b ) 前記筐体内部に貯留した液体漏洩物の液面高さが前記第 1の鉛直方向高さ よりも高く、 かつ第 2の鉛直方向高さ以上である場合に前記筐体部の内部に貯留 した液体漏洩物を検出するステップ。 ―

また本発明は、 前記ステップ （a ) により前記液体漏洩物を検出し、 且つ、 前 記ステップ （b ) により前記液体漏洩物を検出しない場合に、 前記液体漏洩物の 発生を知らせる警報を発するとともにこの血液透析装置の運転を続行し、 且つ、 前記ステップ （a ) 及び前記ステップ （b ) により前記液体漏洩物を検出した場 合に、 前記透析液輸送手段と前記除水手段との少なくとも一方の運転を停止する ステップを有する請求の範囲第 6項に記載の液体漏洩物検出方法を提供するもの である。 図面の簡単な説明

図 1は本発明の第 1の実施例において、 微小量の液漏れが発生した状態を示す 要部拡大図である。

図 2は図 1の血液透析装置において多量の液漏れが発生した状態を示す要部拡 大図である。

図 3は図 1の血液透析装置の構成と、 メンテナンスセンター等への通信接続と を示す構成図である。

図 4は本発明の第 2の実施例の要部拡大図である。

図 5は図 4の血液透析装置が備えるフロート式の液体検知器の構成図である。 図 6は図 1の血液透析装置及び図 4の血液透析装置がともに備える透析部の構 9

6 成図である。 発明を実施するための最良の形態

本発明の血液透析装置は、 透析器に血液を輸送する血液輸送手段、 前記透析器 に透析液を輸送する透析液輸送手段、 及び前記透析器を介して患者の血液から余 分な水分や老廃物を前記透析液の側に輸送する除水手段を有し、 さらに該血液透 析装置内部で発生した液体漏洩物を一定量貯留するよう構成された筐体部を有す る。 上記各手段は該筐体部の内部に納められている。

該筐体部の底部、 すなわち本発明の血液透析装置の底部には、 液体が貯留可能 な構造部を有することが望ましい。

本発明の血液透析装置は、 在宅での透析に使用可能であり、 連日短時間透析 が実施可能である。

また、 本発明の血液透析装置は、 第 1の液体検知手段、 及び第 2の液体検知手 段を有する。

さらに本発明の血液透析装置は、 前記第 1の液体検出手段が前記液体漏洩物の 検出を行い、 且つ前記第 2の液体検出手段が前記検出を行わない場合に、 前記液 体漏洩物の発生を知らせる警報を発するとともに前記血液透析装置の運転を続行 し、 且つ前記第 1の液体検出手段及び前記第 2の液体検出手段が前記検出を行つ た場合に、 前記透析液輸送手段と前記除水手段との少なくとも一方の運転を停止 させる制御を行う制御部を備えることが可能である。

該第 1の液体検知手段は、 例えば 3 0 ± 2 0 m 1以上のわずかな液漏れを検知 し、 該第 2の液体検知手段は、 例えば 3 5 0 ± 1 5 O m l以上という多量の液漏 れを検知する。 このような構成においては、 例えば透析液の流路などを構成する配管継ぎ手の 微小な破損による微小液漏れが発生した場合は第 1の液体検知手段のみがこの液 漏れを検出する。

この第 1の液体検知手段のみが検知する微小の液漏れは、 血液透析装置内の温 湿度条件によっては暫時蒸発してしまうかもしれない。 このような微小な液漏れ が発生した場合には、 血液透析装置を停止させずに稼動し続けて血液透析作業を 継続し、 同時に警報を発する、 すなわち修理が必要であることを示す情報を血液 透析装置内部に記録し、 装置の使用者に示して修理を促すことが出来る。

該警報としては、 アラームやアナウンス等の音による警報、 ランプの点灯 '点 滅等による光による警報、 装置に設けた表示部に文字や絵を表示することによる 警報、 あるいはメンテナンスセンター等に情報を自動送信することによる警報を 挙げることができる。 ，

上記 「表示部に文字や絵を表示することによる警報」 においては、 液漏れの状 況を表示すること、 また液漏れの状況に応じた対応、 すなわち装置の使用者に修 理を促すこと等が可能である。

一方、 多量の液漏れが生じた場合は、 該血液透析装置底部に設けた液体が貯留 可能な構造部から装置外部に液が漏れ出る前に、 第 1の液体検知手段及ぴ第 2の 液体検知手段の両方が液漏れを検出し、 装置の運転を停止させることができる。 さらに使用者に対して、緊急に修理が必要であることを通知することができる。 このようにして、患者の安全と液漏れ被害の拡大をくい止めることが可能である。 このような多量の液漏れが発生した場合には、 血液透析装置に何らかの問題が 発生したことは確かである。

そこで、 このような何らかの問題を早期に解決するため、 本発明の血液透析装 置は、 多量の液漏れが発生したという情報を、 電話回線などの通信手段を用いて メンテナンスセンターなどに自動送信する手段を有することができる。 また、 液 漏れが発生したという情報を血液透析装置に記憶手段を設けて該記憶手段に記憶 させておくことも可能である。

本発明の血液透析装置により、 血液透析装置の使用者が液漏れを知ったがメン テナンスセンタ一への修理依頼がされない、 あるいは該修理依頼が遅れるという 事態を防ぎ、 適切なタイミングで修理を実施することが可能になる。 さらに使用 者は自発的にメンテナンスセンター等に連絡する必要がないので、 使用者の手間 が省けるという利点がある。

本発明の血液透析装置により、 患者の安全を確保し、 透析液が装置外の床など にあふれ出して家庭のフローリング、 じゅうたん、 畳などを浸水して損傷するこ とを防止することが可能である。

なお、 家庭のフローリング、 じゅうたん、 畳などを濡らして損傷することを防 止し、 患者の利便性を高める観点から、 本発明の血液透析装置は、 透析中だけで はなく、 透析液作成、 プライミング、 返血、 洗浄 ·性能試験、 熱水殺菌、 待機、 あるいは洗浄など、 装置から液漏れが発生しうる全ての運転状態において、 液漏 れ検知及ぴその後の対応 （液漏れ発生の通知や運転の停止） が可能である。

R O水精製部を内部に有しなレ、血液透析装置にぉレ、ては、 透析液ポンプと除水 ポンプとの少なくとも一方の運転を停止し、 装置外部から.の給液を輸送する手段 を備えていれば、 本発明の液漏れ検知手段によつて当該手段を停止することによ り、 その運転を停止する対象になりうる。

また、 液体中から気泡を除去するために液体に陰圧を加える手段としての脱気 ポンプを有する血液透析装置においては、 脱気ポンプも本発明の液漏れ検知手段 によって運転を停止する対象となりうる。

また、 透析液を作成するために、 清浄水に透析液の原液を供給する手段をもつ 血液透析装置においては、 透析液の原液を供給する手段は、 本発明の液漏れ検知 手段によって運転を停止する対象となりうる。

本発明を実施するための最良の形態として、 第 1の実施例、 及び第 2の実施例 を挙げることができる。 ' .

上記第 1の実施例とは、 例えば図 1及び図 2に図示されるような、 第 1の液体 検出手段、 及び第 2の液体検出手段を二つの液体検知器により達成する態様であ る。

上記第 2の実施例とは、 第 1の液体検出手段、 及び第 2の液体検出手段を一つ の液体検知器により達成する態様である。 すなわち、 異なる二段の検知レベルを 有する液体検知器を一個設置する態様である。

この場合、 前記第 1の液体検出手段は、 前記筐体部の内部に貯留した液体漏洩 物の貯留液面検出部、.及び前記貯留液面検出部が鉛直方向高さが第 1の鉛直方向 高さ以上である場合に前記第 1の液体検出手段が行うべき検出を行う第 1の貯留 液面検出部検出手段を有し、 且つ、 前記第 2の液体検出手段は、 前記筐体部の内 部に貯留した液体漏洩物の貯留液面検出部、 及び前記貯留液面検出部の高さが前 記第 1の鉛直方向高さよりも高い第 2の鉛直方向高さ以上である場合に前記第 2 の液体検出手段が行うべき検出を行う第 2の貯留液面検出部検出手段を有する。 このような液体検知器として、 具体的には、 例えば図 4及び図 5に図示される ような、 検知手段を鉛直方向上下に二段設置したフロート式の液体検知器が挙げ られる。この場合、上記第 1の実施例と比べて、液体検知器の部品点数を削減し、 経済性を上げることが可能となる。 さらに、 本発明の第 1の実施例または第 2の実施例を含む本発明の態様におい て、 それぞれ通信手段により血液透析装置とメンテナンスセンターをつなぐ構成 を有することが可能である。

本発明のレ、ずれの実施例においても、 わずかな液漏れのみが発生した場合には 保守 （装置の修理、 メンテナンス） の必要性を装置の使用者 （患者等） やメンテ ナンスセンターへ知らしめるとともに血液透析装置の運転は継続する。 一方、 血 液透析装置の運転に障害を及ぼすか、 あるいは安全な透析が行えないような状態 を引き起こす多量の液漏れが発生した場合には血液透析装置の運転は停止する。 本発明において、 使用者とは、 透析患者のみならず、 患者の介護者、 介助者等 も含む。

尚、 上記のメンテナンスセンターは病院、 あるいは装置の販売元、 あるいは装 置のサービスセンター、 装置の管理者などが挙げられる。

また、 本発明の液漏れ検知手段が検知した液漏れに関する情報は、 血液透析装 置の使用者が自ら連絡しなくても、 血液透析装置が自動的に修理の必要性をメン テナンスセンターに送信することが可能である。 これにより、 本発明の血液透析 装置の使用者の負担を軽減することができる。

各実施例において、 血液透析装置の底部には、 漏洩した液体が貯留可能な構造 部を有し、 液漏れが発生した場合に、 該構造部に貯留した液体を液体検知手段に より検出する。 実施例

以下に各実施例について説明するが、 本発明の態様はこれら実施例に限定され るものではない。 939

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第 1の実施例 '

本発明の第 1の実施例を説明する。

図 3は本実施例の血液透析装置 3 bの構成の概要と、 メンテナンスセンター 3 dとの通信接続の概要を示す構成図である。

該血液透析装置 3 bは、 透析液の作成、 貯蔵、 及ぴ血液透析を実行ずる透析部 3 b— 1、 該透析部 3 b— 1を含めた該血液透析装置 3 b全体の制御を行う制御 部 3 b— 2、 該血液透析装置 3 bの運転情報や異常時の警報などを伝送路 3 cを 介してメンテナンスセンター 3 dに設置されたメンテナンスセンター端末 3 eへ 送信し、 且つ該メンテナンスセンター端末 3 eから所定の情報を受信する送受信 部 3 b— 3、 及ぴこれらの構成を外囲する筐体 3とを含んで構成されている。 該透析部 3 b— 1は、 図 6に示すように、 大きくわけて以下 3種のブロックか らなる。 すなわち、 （1 ) 血液透析を実行する血液輸送手段 1 0 a、 （2 ) 透析 液の調整と循環とを行う透析液輸送手段及び除水手段 1 0 b、 及ぴ （3 ) 軟水化 処理や活性炭ろ過を経た原水から膜透過により各種ィオンゃェンドトキシンなど のパイロジェンを除去して透析液を作成するための R O水 （逆浸透水あるいは清 净水） を作る清浄水輸送手段 1 0 cである。

該血液輸送手段 1 0 aは患者の血液を透析器に輸送する血液循環ポンプ 1 0— 2を有する。 該透析液輸送手段及び除水手段 1' 0 bは透析液を透析器に供給する ための透析液ポンプ 1 0— 4と透析器の膜を介して血液側から透析液側に液を輸 送して血液中の水分を除去する除水ポンプ 1 0— 6を有する。 なお、 図 6に記載 していないが透析装置において透析液あるいは清浄水などの液の流路を電気的あ るいは機械的な流路切り替え弁を用いて切り替え、 液の流れる流路を変更して所 望の流路に液を輸送することは一般的に行われている。 本実施例においても流路 切り替え弁を使用している。

また患者宅にて行う在宅透析では装置の設置可能なスペースが限られているの で、 血液透析装置の他に、 透析液を作成するための清浄水 （例えば R O水） を作 る清浄水生成装置、 あるいは透析液作成装置などを別個の装置として設置する余 裕がなく、 血液透析装置自身がこれら清浄水生成機能、 透析液作成機能を備える 形態がありうる。 この場合、 清浄水輸送手段 1 0 cには逆浸透膜 （R O膜） に水 を供給する R Oポンプ 1 0— 5を有する。

本実施例の血液透析装置 3 bは、 例えば、 以下に示すような各ステップを含ん だ一連のシークェンスを、 連日透析実施日には毎日一回繰り返すよう構成されて いる。 .

( 1 ) 透析液作成ステップ：在宅血液透析装置に装着された透析液原液ボトルか ら排出された透析液原液を希釈して透析液を作成する。

• ( 2 ) ブライミング ·ステップ：透析実行に先立って、 ダイァライザ一 (血液ろ 過モジュール） と血液回路の中を逆ろ過透析液で満たし適温まで温度を上げる。

( 3 ) 血液透析ステッ ：患者等の操作に応じて、 血液透析を実行する。

( 4 ) 返血ステップ：血液透析の終了後、 ダイァライザ一おょぴ血液回路内に残 つた血液を患者の体内に戻す。

( 5 ) 洗浄 ·性能試験ステップ：血液の流路と、 透析液の流路中に洗浄液、 R O 水を通して洗浄を行い、 その後、 各機能の試験を行う。

( 6 ) 熱水殺菌ステップ：血液の流路と、 透析液の流路中に熱水を通して各流路 内部の殺菌を行う。

( 7 ) 待機ステップ：次回の透析開始まで待機状態を続ける。 ( 8 ) 洗浄ステップ：血夜透析の開始に先立って、 血液の流路及び透析液の流路 内部に洗浄液、 R〇水を通して洗浄を行う。

また、 該血液輸送手段 1 0 aには、 高分子膜を用いた中空糸型半透膜モジユー ルであるダイァライザ一 （人工腎臓ユニット） 1 0— 1、 患者の動脈を発した血 液を該ダイァライザ一 1 0— 1まで導き、 透析が済んで該ダイァライザ一 1 0— 1を発した血液を患者の静脈へ導く複数の管部材ょりなる血液回路、 及び血液の 循癀を行う血液循環ポンプ 1 0— 2が含まれている。

該ダイァライザ一 1 0— 1及ぴ血液回路は、 連日透析を実行するために定期的 に、 例えば週に一度交換がなされるべき定期的交換部品であって、 患者宅まで搬 送されたこれらの交換部品の交換作業は、 使用者 （患者等、 在宅血液透析の実施 者） が実行する。

上記したように本発明の血液透析装置 3 bは透析液や透析液作成用の清浄水を 流動させるための配管構造、 貯蔵のためのタンクを含み、 また多くの構成部品は 定期的に交換をすべく構成されている。 したがって、 これら配管や部品の接続個 所の緩みなどにより液体が漏洩する可能性がある。

そこで本実施例では、 該血液透析装置 3 bは、 図 1に示すごとく、 筐体 3に付 帯させて第 1の液体検知器 1、 第 2の液体検知器 2を有している。

更に該血液透析装置 3 bは筐体 3の下部に、 液体が貯留可能な構造部を有して いる。 溜まつた液体は排液用栓 4を外すことで装置の外部に排出可能である。 該血液透析装置 3 bの筐体下部の液体が貯留可能な構造部は、 例えば 5 0 0 m 1以上の液体を保持できる構造が好ましい。

第 1の液体検知器 1は第 2の液体検知器 2より鉛直方向で下側に位置している。 液漏れ発生時には漏洩液の貯留液面が暫時上昇するため、 該第 1の液体検知器 1 は、 必ず第 2の液体検知器 2より先に液体を検知する。

該第 1の液体検知 1は例えば 3 0 ± 2 O m 1以上の液が装置筐体下部に溜まつ た場合、 液体を検知できるように設置する。

第 2の液体検知器 2は第 1の液体検知器 1より鉛直方向で上側に位置する。 例 えば 3 5 0 ± 1 5 0 m 1以上の多量な液漏れが発生した場合、 図 2に示すように 第 1の液体検知器 1に加え、 第 2の液体検知器 2も液体を検知する。

+ 表 1に、 第 1の液体検知器 1及び第 2の液体検知器 2の出力と液漏れの状況の 関係を示す。

表 1

液漏検知器の出力 1：液あり、 0：液なし 制御部 3 b— 2は、 安全監視の液漏れ監視ソフトウェアが組みつけられ、 この ソフトウェアに従って制御動作を行う。 該制御部 3 b— 2は、 定期的に液体検知 器 1 , 2の出力を読み込み、 液漏れの状態を監視する。 該液体検知器 1， 2の出 カは該血液透析装置 3 bの該制御部 3 b— 2に設けられた中央処理演算部 （図示' しない） で監視され、 逐次、 同じく該制御部 3 b— 2内に設けられた記憶部 （図 示しない） に記憶される。

微小な液漏れが検出された場合、 該制御部 3 b— 2は、 使用者に 1日 1回のメ ンテナンス情報表示で微小液漏れのあることを通知する。

また、 本実施例の血液透析装置 3 bは、 必要に応じて微小液漏れがあったこと を送受信部 3 b— 3及び伝送路 3 cを介して、 点検を管理するメンテナンスセン ター 3 dなどに配置されたメンテナンスセンタ一端末 3 eなどに送ることを選択 可能である。 この場合、 使用者の自発的なアクションなしに、 血液透析装置 3 b の液漏れ状態をメンテナンスセンター 3 dなどで把握することができる。

尚、 上記の伝送路 3 cは有線伝送路、 無線伝送路を問わず、 電話回線、 インタ ーネット通信網、 L AN回線などを適用可能である。

該制御部 3 b— 2が多量な液漏れを検知した場合は、 透析中であっても液漏れ があることを使用者に知らせ、 自動的に血液透析装置 3 bはその運転の一部を停 止させる。 すなわち透析液供給部 1 0 bの透析液ポンプ 1 0— 4、 除水ポンプ 1 0— 6、 及び R〇水精製部 1 0 cの R Oポンプ 1 0— 5を停止し、 さらに液の流 路切り替え弁を閉にする。 この場合、 該血液循環ポンプ 1 0— 2は停止すること なく血液循環を継続し、 患者に対して透析を中断し、 返血を実施することを装置 が促すことが好ましい。 第 2の実施例

次に各図面に従い、 本発明の第 2の実施例である血液透析装置の説明を行う。 尚、 以下の説明では、 上記の第 1の実施例との相違点に集中することとする。 先に第 1の実施例で説明した液漏れの検知機能は、 図 4に示すように、 二段の 検出部を持つ液体検知器 7を一個設置することでも実現しうる。

液漏れが発生すると、 通水部 9を通して液体が検出器のフロート 8が少なくと も鉛直方向に移動自在に配置されている部分に進入し、 このフロート 8は漏れて 貯留する液体の貯留液面を浮遊するように構成されているので、水位（貯留液面） の上昇により、 クロート 8は上昇を始める。 2004/005939

16 該フロート 8の上昇が進むと、 まず第 1の検知部 1 1において、 該フロート 8 と一体に設けられた光遮蔽部 1 7によって発光素子 1 3から発せられる光が受光 素子 1 4に達することなく遮蔽される。

次に、 さらに液漏れが進み、 該フロート 8の上昇が進むとやがて該光遮蔽部 1 7は第 2の検知部 1 2においても発光素子 1 3から発せられる光が受光素子 1 4 に達することを遮蔽する。 このように、 フロート式の液体検知器 7で該検知部 1 1， 1 2を二段構成にし、 該検知部 1 1 , 1 2と該フロート 8の位置関係を装置 底部の液体が溜まる部分の容積を考慮して所望の液漏れ量でそれぞれ第一の検出、 第二の検出が可能なように設計すれば一個の液体検知器で、 第 1の実施例におい て説明した液漏れの状態に応じた最適な対応を実行することができる。 さらに第 2の実施例では、 部品点数、 組み付け工数の削減、 及び血液透析装置の小型軽量 化が可能となる。 産業上の利用可能性

上述した如く、本発明は、血液透析装置内で液体の漏洩が発生した場合に、個々 の漏洩の状態に応じて最適な対応を実行することによって、 血液透析装置を使用 する患者の安全性、 及ぴ利便性を向上させる血液透析装置を提供することが出来 る。

Claims

請求の範囲 透析器に血液を輸送する血液輸送手段、 前記透析器に透析液を輸送する透 析液輸送手段、 及び前記透析器を介して患者の血液から余分な水分や老廃 物を前記透析液の側に輸送する除水手段とを内部に備え、 かつ、 前記内部 で発生した液体漏洩物を一定量貯留するよう構成された筐体部を有する血 液透析装置であって、 次の 2つの液体検出手段を備えた血液透析装置。

( a ) 前記筐体部の内部に貯留した液体漏洩物の液面高さが第 1の鉛直方 向高さ以上である場合に前記液体漏洩物の検出を行う第 1の液体検出手段。

( b ) 前記筐体部の内部に貯留した液体漏洩物の液面高さが前記第 1の鉛 直方向高さよりも高く、 かつ第 2の鉛直方向高さ以上である場合に前記液 体漏洩物の検出を行う第 2の液体検出手段。

前記第 1の液体検出手段が前記液体漏洩物の検出を行い、 且つ前記第 2の 液体検出手段が前記検出を行わない場合に、 前記液体漏洩物の発生を知ら せる警報を発するとともに前記血液透析装置の運転を続行し、 且つ 前記第 1の液体検出手段及び前記第 2の液体検出手段が前記検出を行った 場合に、 前記透析液輸送手段と前記除水手段との少なくとも一方の運転を 停止させる制御を行う制御部を備えたことを特徴とする請求の範囲第 1項 に記載の血液透析装置。

前記筐体部は、 透析液製造用清浄水をこの血液透析装置が有する透析液製 造手段へ輸送する清浄水輸送手段をその内部に更に備え、 且つ、

前記制御部は、 前記第 1の液体検出手段が前記検出を行い、 且つ、 前記第 2の液体検出手段が前記検出を行わない場合に、 前記液体漏洩物の発生を 知らせる警報を発するとともにこの血液透析装置の運転を続行し、 且つ、 前記第 1の液体検出手段及び前記第 2の液体検出手段が前記検出を行った 場合に、 前記透析液輸送手段、 前記除水手段、 及び前記清浄水輸送手段の 内の少なくとも 1つの運転を停止させる制御を行うことを特徴とする請求 の範囲第 1項に記載の血液透析装置。 .

4 . 前記第 1の液体検出手段による前記検出の結果、 及び/又は、 前記第 2の 液体検出手段による前記検出の結果を、 前記血液透析装置と伝送路を介し て接続する受信端末へ送信する送信手段を有することを特徴とする請求の ' 範囲第 1項〜第 3項のいずれか 1項に記載の血液透析装置。

5 . 前記第 1の液体検出手段は、 前記筐体部の内部に貯留した液体漏洩物の貯 留液面検出部、 及び前記貯留液面検出部が鉛直方向高さが第 1の鉛直方向 高さ以上である場合に前記第 1の液体検出手段が行うべき検出を行う第 1 の貯留液面検出部検出手段を有し、 且つ、 前記第 2の液体検出手段は、 前 記筐体部の内部に貯留した液体漏洩物の貯留液面検出部、 及び前記貯留液 面検出部の高さが前記第 1の鉛直方向高さよりも高い第 2の鉛直方向高さ 以上である場合に前記第 2の液体検出手段が行うべき検出を行う第 2の貯 _留液面検出部検出手段、 を有することを特徴とする請求の範囲第 1項〜第 4項のいずれか 1項に記載の血液透析装置。

6 . 前記貯留液面検出部が前記筐体部の内部に貯留した液体漏洩物の貯留液面 上を浮遊するフロート部であり、 前記貯留液面検出部検出手段がフロート 部検出手段である請求の範囲第 5項に記載の血液透析装置。

7 . 請求の範囲第 1項〜第 6項のいずれか 1項に記载の血液透析装置の筐体内 部の液体漏洩物を検出する方法であって、 下記ステップ （a ) 及び （b ) を含むことを特徴とする液体漏洩物検出方法。

( a ) 前記筐体内部に貯留した液体漏洩物の液面高さが第 1の鉛直方向高 さ以上である場合に前記筐体部の内部に貯留した液体漏洩物を検出するス テップ。

( b ) 前記筐体内部に貯留した液体漏洩物の液面高さが前記第 1の鉛直方 向高さよりも高く、 かつ第 2の鉛直方向高さ以上である場合に前記筐体部 の内部に貯留した 体漏洩物を検出するステツプ。

前記ステップ （a ) により前記液体漏洩物を検出し、 且つ、 前記ステップ

( b ) により前記液体漏洩物を検出しない場合に、 前記液体漏洩物の発生 を知らせる警報を発するとともにこの血液透析装置の運転を続行し、且つ、 前記ステップ'（a ) 及び前記ステップ （b ) により前記液体漏洩物を検出 した場合に、 前記透析液輸送手段と前記除水手段との少なくとも一方の運 転を停止するステップを有する請求の範囲第 7項に記載の液体漏洩物検出 方法。 .