明 細 書 細胞系譜抽出方法 技術分野
本発明は細胞系譜抽出方法に係り、 詳しくは、 観察対象の 4次元顕微 鏡画像から細胞系譜を作成する方法に関するものである。 また、 本発明 は、 好適には、 ノマルスキー型透過型微分干渉顕微鏡 (以下 「ノマルス キー顕微鏡」 という) で撮影した線虫 ( C . e 1 e g a n s ) の発生過 程の 4次元画像から、 細胞系譜を作成する方法に関するものである。 背景技術
線虫は 1 9 6 5年に S i d n e y B r e n n e r によって見出さ れた実験生物で、 現在の分子生物学で特に詳しく解析されている実験生 物の一つである。 線虫は、 これらの実験生物の中では多細胞生物の最も 単純な生物として位置付けられている。 線.虫は、 受精卵が成虫になるま で、 おおよそ三日間を要する。
多細胞生物は基本的に一つの受精卵 (単細胞) が秩序正しく分裂を繰 り返して多数の細胞からなる成虫を形成する。 受精卵からの分裂の秩序 を樹形図的に記述したものを細胞系譜と呼ぶ。 線虫は多細胞生物の中で 唯一受精卵から成虫までの細胞系譜が明らかにされている。 この細胞系 譜は 1 9 8 3年に S u 1 s t o n等によって決定された。
正常な線虫 (w i 1 d t y p e ) は全ての個体でその受精卵から成 虫になるまでの細胞系譜が一定である。 特定の遺伝子に突然変異が起き るとその遺伝子の機能に変化が生じ、 細胞分裂のパターン、 すなわち細 胞系譜が w i l d t y p eのものと比べて変化する。 この細胞系譜の 変化から突然変異した遺伝子の機能を推定し、 その推定を出発点にした
研究の進展により大量の遺伝子が急速に同定され、 また、 突然変異体動 物が大量生産され始めてきている。 これらの資源を有効活用することを 考えると、 遺伝子、 突然変異体解析の出発点である細胞系譜解析の自動 化は必要不可欠な技術である。
従来の細胞系譜の作成には、 いわゆるノマルスキー顕微鏡が用いられ る。 ノマルスキー顕微鏡は、 偏光版、 ノマルスキープリ ズムのセッ トに より作成した 2種類の光線 (同波形、 同位相、 光路のみ微妙にズレてい る) を観察対象に照射し、 観察対象を透過させる。 観察対象を透過する 光路の長さや、 屈折率の差に起因して透過後の 2本の光線の位相はズレ ている。 透過後の 2本の光線を偏向板、 ノマルスキープリ ズムのセッ ト を用いて同光路に収束させると、 この 2本の光線の位相のズレは干渉作 用を引き起こす。 この干渉作用による明暗像をもって、 観察するのがノ マルスキー顕微鏡である。 この方法によれば、 透明な観察対象の内容物 の分布や外形状を明暗像で捉えることができる。 生物学で言う と、 通常 の光学顕微鏡では透明に見える細胞の内容物 (細胞核) や、 外形 (細胞 膜) を明暗像で捕らえることができる。
線虫の細胞系譜を決定した S u 1 s t o n等はノマルスキー顕微鏡 を肉眼で見てスケッチして作成したと言われており、 相当の時間 (おそ らく 1年以上) を要したものと思われ、 また、 その労力は多大なもので ある。
最近では、 ノマルスキー顕微鏡を用いた 4 D顕微鏡画像を用いて作成 するのが一般的である。 特定の焦点で観察される顕微鏡画像は観察対象 を特定の位置で水平に切断して得られる 2次元 (X — y軸) 断面像と考 えられる。 すなわち、 焦点を上下に動かす ( z軸方向に動かす) ことで 観察対象を z軸方向の様々な位置で切断した断面像が得られる。 これら の画像を統合すると観察対象の 3次元の形を捉えることができる ( 3次 元画像)。 さらに、 このような 3次元画像の撮影を時間を追って撮影して
いく ことで観察対象の時間変化を捉えることができる。 このようにして 撮影したものを 4 D ( 4次元) 顕微鏡画像と呼ぶ。
4 D顕微鏡画像を用いる作業は S u 1 s t o n当時と比較して楽に なったものと考えられるが、 撮影した画像から細胞核、 細胞膜を人間が 判断しているため、 やはりかなりの労力と時間を要する。 受精卵から 1 6細胞く らいまでの作成であっても、 1 日以上はかかる。
本発明は、 かかる従来の細胞系譜の作成を容易に行ぅぺく創案された ものであって、 細胞系譜を計算機で構築することにより、 細胞系譜を省 力でかつ短時間で構築することを目的とするものである。 本発明の他の 目的は、 細胞系譜を計算機で構築するにあたり、 核認識のプロセスの性 能を向上させることにある。 発明の開示
本発明は、 観察対象の細胞について焦点面を変化させて 2次元面像を 複数撮影し、 かつ、 該 2次元画像を時系列に複数撮影することで焦点面 、 時点で異なる複数の 2次元画像を得る工程 (4次元顕微鏡画像を得る 工程) と、 前記夫々の 2次元画像において、 画像処理を行うことで細胞 核領域を抽出する工程と、 前記夫々の 2次元画像において抽出された細 胞核領域から、 同一細胞核に由来する細胞核領域を統合する工程と (4 次元統合核領域を得る工程)、 統合された細胞核領域(4次元統合核領域 ) において、 面像中の細胞核領域が出現、 消滅する時点、 位置の情報か ら細胞系譜を構築する工程とを含むことを特徴とするものである。
好ましくは、 該画像は、 ノマルスキー型透過型微分干渉顕微鏡で撮影 したものであるが、 利用される画像はこれに限定されるものではない。 本発明が採用した他の技術手段は、 観察対象の細胞について焦点面を 変化させて 2次元面像を複数撮影し、 かつ、 該 2次元画像を時系列に複 数撮影することで焦点面、 時点で異なる複数の 2次元画像を得る工程 (
4次元顕微鏡画像を得る工程) と、 前記夫々の 2次元画像において、 面 像処理を行うことで細胞核領域を抽出する工程と、 前記夫々の 2次元画 像において抽出された細胞核領域から、 同一細胞核に由来する細胞核領 域を統合する工程と ( 4次元統合核領域を得る工程)、統合された細胞核 領域 (4次元統合核領域) において、 画像中の細胞核領域が出現、 消 ½ する時点、 位置の情報から細胞系譜を構築する工程とを含み、 前記 「画 像処理を行うことで細胞核領域を抽出する工程」 は、 細胞核の候補とな る領域を抽出する工程と、 細胞系譜作成試行作業による細胞核予想領域 の指定と、 該予想領域を該細胞核候補領域にフィ一ドバックさせて細胞 核領域を抽出する工程とを備えていることを特徴とする。
好ましくは、 該細胞系譜作成試行作業は、 同時点、 同焦点面に含まれ る核領域の統合、 4次元的核領域の統合、 細胞系譜の作成の少なく とも 一つ以上を含み、 該試行作業による核予想領域の指定をフィードパック させるものである。 複数画像中の同一核を統合する処理では、 時間的、 空間的な近傍を見ることで、 核認識結果の妥当性を検証することができ る。 生成された細胞系譜から、 核のあるべき場所、 あってはいけない場 所が推測できる。 これらの推測の結果をフィードパックし、 核を認識す る際のパラメータを変更する。 すなわち、 核候補領域から、 核領域を抽' 出するための核スコアをフィードパックによつて変化させる。
細胞核を抽出する工程は、 画像の明暗の細かい変化が少ない領域を核 と して検出する手法、 あるいは、 光の角度に沿って広い範囲で明暗の変 化の大きい部分を核と して抽出する手法を含む。 前者の例と しては、 Kirschフィルタ、 Pre w i U フィルタ、 F F Tフィルタを用いるものが挙 げられる。 Kirs ch フィルタは好ましくは、 Ki rschテンプレート型エッジ 検出オペレータと移動平均法を組み合わせたフィルタである。 Pre w i tt フィルタは好ましく は、 Prewi tt テンプレート型エツジ検出オペレータ の出力を 2値化し、 さらに距離変換を適用するフィルタである。 後者の
例と しては、 見た目の光の角度に沿って上下所定ピクセル分の輝度値の 合計の差分を取るフィルタが採用される。 該差分フィルタによる手法は 、 細胞境界の抽出、 胚領域の抽出を行う工程を含み、 該工程の結果に基 づいて結果を補正することが望ましい。
さらに、 核領域を抽出する一つの最も好ましいフィルタと しては、 ェ ン トロピーフィルタが挙げられる。 エン トロ ピーフィルタ とは、 元画像 中に始点を決定し、 該始点から所定幅、 所定高さの大きさのウィンドウ で元画像を区切り、 該ウィンドウのエントロピーを計算し、 これを結果 の画像の座標に保存するフィルタである。 画像を小ウインドウで区切り 、 該ウィンドウのェントロピーを計算しながら面像を走査することで画 像から平坦な部分 (部分を構成する画素値の差が比較的小さい) を核領 域として抽出することができる。 図面の簡単な説明
第 1図は、 本発明に係る細胞系譜抽出方法のフロー図である ; 第 2図 は、 処理対象の顕微鏡画像の例を示す図である ; 第 3図は、 核認識アル ゴリズム Aの処理工程を示す図である ; 第 4図は、 核認識アルゴリズム Bの処理工程を示す図である ; 第 5図は、 核認識アルゴリズム Cの処理 工程を示す図である ; 第 6図は、 細胞境界検出のアルゴリズムの処理工 程を示す図である ; 第 7図は、 胚領域検出のアルゴリズムの処理工程を 示す図である ; 第 8図は、 自動核認識の結果を人の手で修正するための ツールを示す図である ; 第 9図は、 自動核認識の結果を人の手で修正す るためのツールを示す図である ; 第 1 0図は、 自動核認識の結果を人の 手で修正するため φツールを示す図である ; 第 1 1図は、 複数画像の同 一の核をまとめる工程を説明する図である ; 第 1 2図は、 第 1 1図と同 様に、 複数面像の同一の核をまとめる工程を説明する図である ; 第 1 3 図は、 核の情報から細胞系譜を構成する工程を説明する図である ; 第 1
4図は、 本発明の他の実施例に係る細胞系譜抽出方法のフロー図である ; 第 1 5図は、 エン トロ ピーフィルタの説明図である ; 第 1 6図は、 細 胞の顕微鏡画像である ; 第 1 7図は、 エン ト ロ ピーフィルタによる処理 後の画像である ; 第 1 8図は、 エントロピーフィルタによる処理後の画 像を閾値処理したものを、 顕微鏡面像に重ね合わせたものである。 発明を実施するための最良の形態
[ A ] 細胞系譜作成システム
本発明に係る細胞系譜抽出方法ないしシステムの一つの実施形態を、 線虫初期胚の細胞系譜の作成に基づいて説明する。 第 1図に示すように 、本システムは、 [ I ]線虫初期胚のノマルスキー型顕微鏡 4 D画像を撮 影する工程、 [ Π ]複数のアルゴリズムを用いた画像処理によって、個々 の 2次元画像において核の位置を抽出する工程、 およぴ各アルゴリズム による核認識結果を合わせる工程、 [ ΠΙ ]必要に応じて、誤認された核領 域を人間の判断で除去する工程、 [ W ] 複数の焦点面、 複数の時点 (時系 列) の画像における核情報を統合する工程、 [ V ] 4次元統合核領域の出 現、 消滅の時点 ·位置の情報から細胞系譜を構築する工程とを有する。
[ I ] 4 D画像の撮影
線虫初期胚のノマルスキー型顕微鏡による 4 D画像の撮影について 説明する。 4 D画像とは、 従来技術の欄に記載したように、 焦点を異な らしめて撮影した複数の 2次元画像と、 該複数の 2次元画像を時系列に 撮影してなる複数の 2次元画像を言う。 すなわち、 焦点面、 時点が異な る複数の 2次元画像を銃合した画像を 4 D画像と言う。 本実施の形態で 処理対象とする線虫の初期胚の画像は、 焦点面を上下に変えて 3 0〜 9 0枚の 1セッ トとし、 1〜' 5分毎に撮影する。 実験では、 8 9の焦点面' 、 2 0の時系列点について、 合計 1 7 8 0枚の二次元画像を撮影した。 細胞の長尺方向の半径は約 6 0 μ m、 短尺方向の半径は約 3 0 μ mであ
る。 撮影は 9 0秒毎に行った。 処理対象の顕微鏡画像の例を第 2図に示 す。 横軸が時間軸 (時点)、 縦軸が焦点軸 (焦点面) である。
[ Π ] 核認識用画像処理アルゴリズムによる細胞核の位置の抽出 個々の 2次元画像における細胞核の位置の抽出について説明する。 個 々の 2次元顕微鏡画像を、 3種類の画像処理ァルゴリズムを用いて処理 する。 これら 3種類のアルゴリズムのどれか一つでも核であると認識し た領域は、 画像処理システム全体の結論として核領域と判断する。
[核認識 (画像処理) アルゴリズム A ]
このアルゴリズムは、 顕微鏡画像の明暗の細かい変化が少ない領域を 核と して検出する。 ノマルスキー型顕微鏡画像において、 細胞質は、 細 胞内小器官のため明暗の細かい変化に富んだ領域となるが、 細胞核は、 明暗の細かい変化が少ない領域になるという性質を備えている。 画像処 理アルゴリ ズム Aはこの性質を利用するものである。 この特徴を捉える ベく、 K i r s c hのオペレータで原画像を変換すると、 画像の明暗の 少ない部位が輝度の小さい領域として表される画像が得られる。 この画 像に、 平滑化処理と して移動平均法を採用し、 さらに 2値化処理を適用 し、 輝度の変化の少ない領域 (細胞核) を細胞質から分離する。
面像処理アルゴリズム Aについて詳述すると、 K i r s c hのエッジ 検出オペレータを使用し、 画像の輝度の変化が激しい領域を抽出するに 当り、 以下の係数行列のなかで、 出力が最大のものを利用する。
(5 5 5V 3 5 -3 -3 -3 -3 -3) f-3 -3 — 3V - 3 - 3 f-3 -3 5V-3 5 •3 0 - 3 5 0 -3 0 -3 0 -3 一 3 0 -3 -3 0 一 3 0 —3 0
、
3一
3 _
3ノ -3 -3 -3 -3 一 3 Λ 5
-3 一 3 -3 -3一 3 7 平滑化においては、 以下の式を用いる
2値化後、 核と思われる形状の連結成分を抽出する。 第 3図に例を示 す。
[核認識 (画像処理) アルゴリ ズム B]
このアルゴリズムも、 顕微鏡画像の明暗の細かい変化が少ない領域を 核と して検出するものである。 P r e w i t tのテンプレート型ォペレ ータで原画像を変換し、 2値化すると、 画像の明暗の変化の激しい領域
(細胞質) は、 白点がまばらに分布する領域として、 雨像の明暗の変化 の少ない領域 (細胞核) は白点のない黒い領域として表される画像が得 られる。 この画像から、 距離変換処理で白点のない領域を抽出する。 具体 には、 P r e w i t t のテンプレー ト型エッジ検出オペレータ を使用し、 画像の輝度の変化が激しい領域を抽出するに当り、 以下の係 数行列の中で、 出力が最大のものを利用する。
2値化の後、 以下のメディアンフィルタを用いる。
g(x,y) = {f (x + Δ·χ,ヌ +
/«/2≤ ≤«/2の中間値 さらに、 以下の距離変換を行う。 g(^y) = min { ( ヌ , O, )): f(x
l7} )≠ 0} そして、 2値化、 連結成分処理を行う。 第 4図に例を示す。
[核認識 (画像処理) アルゴリ ズム C]
このアルゴリ ズムは、 ノマルスキー型顕微鏡像において、 観察対象は 特定の位置から斜めに光を当てたような影がついて観察されることを利 用する。 円形である細胞核の核膜は、 画像中で半周分が明るく、 残りの 半周分が暗く現れる。 この見た目の光の角度に沿って広い範囲で明暗の 変化の大きい部分を、 核として抽出する。 例えば、 見た目の光の角度に 沿って上下 3 0 ピクセル分の輝度値の合計の差分を取り、 この値をその 点の変換後の値とする。 変換後の画像を 2値化することで、 核の位置を 白く浮かび上がらせる。
具体的には、 核が光の方向に沿って、 明るい部分と暗い部分で囲まれ るように見える性質を捉えるため、 以下の式で表されるフィルタをかけ る。 ここに、 f , y) は原画像の輝度値、 g(x, y)は'変換後の面像の輝 度値、 0は光の方向、 mは輝度値を合計する範囲である。
1
g(x,ヌ)二—— > sgn(fc) X + k cos Θ, y -k mO)
2値化後、 連結成分処理を行う。 第 5図に例を示す。 第 5図に示すよ うに、 このフィルタは、 細胞の境界や、 胚の外に f a l s e p o s i t i v eを作りやすい。そこで、以下に述べるように、細胞境界の抽出、 胚領域の抽出を行い、 結果を補正する。
細胞境界検出のァルゴリ ズムについて説明する。 ^認識のァルゴリズ ム Cの補正のため、 明らかに細胞の境界になっている領域を探す。 P r e w i t t のテンプレート型エッジ検出オペレータの結果を 2値化する ( 円形率、 面積、 周の長さを利用して、 細長い領域を抽出する。 結果を第 6図に示す。
胚領域検出のアルゴリ ズムについて説明する。 核認識ァルゴリ ズム 3 の補正のため、 画像中の胚の領域を探す。 K i r s c hのテンプレート 型ヱッジ検出オペレータの結果を 2値化する。 最大の連結成分を抽出す る。 結果を第 7図に示す。
前記 3種類のアルゴリ ズムで認識された核情報を合わせる。 前述した ように、 3種類のァルゴリズムのどれか一つでも核であると認識した領 域は、 画像処理システム全体の結論として核領域と判断する。
[ ΙΠ ] 誤認された核領域の除去
次いで、 自動核認識の結果から、 誤認された核領域を人間の判断で除 去する。 前記の画像処理アルゴリ ズムは完全なものではなく、 特に細胞 の数が増加するに従い誤って核領域と認識された領域(false positive)力 S 含まれるが。 false positiveが多いデータからは正しく細胞系譜を構築す るのが困難であるため、 本システムでは、 人間の手で、 上記画像処理の 結果から、 false po sitive (核認識アルゴリ ズムによって、 誤認識された 領域、 すなわち実際では細胞核ではないのに、 アルゴリズムによって核 の存在する場所と して認識された領域) を除去するツールが含まれてい る。この G U I ツールについて第 8図乃至第 1 0図に基づいて説明する。 先ず、 第 8図に示すよ うに、 各核認識アルゴリ ズムの結果を統合し、 「核領域」 と して認識された領域 (白線で囲まれた領域) を元画像に重 ねて表示する (核認識結果の表示)。 次いで、 第 9図、 第 1 0図に示すよ うに、 誤認識された 「核領域」 をマウスを用いて塗りつぶす (誤認核領 域上をマウスのポタンを押しながらなぞる) ことにより、 誤認核領域を
消去する (誤認識領域の除去)。 そして、 誤認識領域の除去の結果の核領 域情報をこれに続く細胞系譜作成作業に使用できるファイル形式で保存 する。 このツールを用いた false positive の除去作業は容易であり、 実 際に試したところ、 略 1時間で 1 7 8 0枚の画像から、 false positive を除去することができた。 尚、 言うまでもないが、 このマニュアル処理 は本発明の技術思想における必須構成要素ではなく、 自動核認識の精度 を向上させることで、 この工程を省くことも可能である。
[ IV] 核領域の統合
異なる 2次元画像において認識された同一細胞核に由来する核領域 の銃合について説明する。 2次元画像での認識の結果から、 画像上にお いてどの核がいつどこで出現、 消滅するか知るため、 異なる 2次元画像 で認識された同一の核をまとめる。 例を第 1 1図に示す。 横軸が時間軸
(時点)、 縦軸が焦点軸 (焦点面) である。
[同焦点面の面像群に含まれる同一の細胞核由来の核領域の統合] 同じ焦点面で撮影された (すなわち、 z軸の座標の値が等しい) 時系 列の画像群に注目 し、 これらの画像それぞれの核領域で、 同じ核に由来 するもの (すなわち、 同じ核の時間'変化を追っていることになるもの) を統合する。 核領域 N, N 'が座標 ( X , y ) , ( X ' , y " ) で検出さ れたとき、 N , N ,の二次的な距離 d X yを以下のように定義すると共 に、 同一の核由来と判断される条件を定める。 ' dxy (N, Ν') - T:c― ' T + \y一 y' \2 この条件に従い、 それぞれの核を最も早く検出された時点から順次統 合して行く。 すなわち、 同一の焦点で、 時系列の核の認識結果を一つの 集合 (セッ ト) に統合する。 以下の手順で行う。
1 . 出現時間の最も早い核を選ぶ。
2 . 次の時点で、 最も距離が近く、 かつその距離がある閾値 ( 2 5ピ
クセル) 以下の核を同じ核に由来するもの ( s u c c e s s o r ) とし て同じ核に統合する。
3 . 同じ核に由来するものがいなくなるまで 2を繰り返す。
4 . 残っている核がなくなるまで、 1一 3を繰り返す。
[同時点の面像群に含まれる同一の細胞核由来の核領域の統合] 前述した方法と同様にして、 同時点で焦点面 ( z座標) の異なる画像 群に含まれる同一の細胞核由来の核領域を統合する。 同一の時点で異な る焦点面の核の認識結果を一つのセッ トに統合する。 距離の閾値は 1 0 ピクセルである。
[全 4 D画像中に現れる同一の細胞核由来の核領域の統合]
時系列、 焦点方向にそれぞれに統合された核領域 (統合核領域) の間 で、 共有する核領域をもつ統合核領域の組み合わせが存在する場合、 そ れらは同一の核由来の統合核領域であるとみなし、 それらをさらに統合 する (4 D画像において統合された核領域を 4次元銃合核領域という)。 同焦点の雨像群、 同時点の画像群において統合された各セッ トのうち、 同一の核を含むセッ ト同士を一つのセッ トに統合する際に、 5つ以下の 画像でしか認識されなかったセッ トは、 フラグメン小とみなし、 系譜に は使用しない。 第 1 2図は核領域の統合を説明する図である。 白円は所 定の細胞核が検出されなかった画像であり、 黒円は所定の細胞核が検出 された面像である。縦方向実線は同一の核と認識された一セッ トである。 横方向点線は同一の核と認識されたーセッ トである。
[ V ] 細胞系譜の構築
4次元統合核領域には画像中の細胞核が出現、 消滅する時点、 位置の 情報が含まれている。 それを基に細胞系譜を構成する (第 1 3図)。 最初 の時点に現れた核をルー ト(root)とする。 ある細胞 (母細胞) に対し、 その細胞分裂後の二つの細胞 (娘細胞) を探索する際は、 画像中におけ る母細胞の核の消滅した時間 ·位置を対応する 4次元統合核領域より求
める。 それ以外の全ての 4次元統合核領域の出現時間、 位置との 4次元 距離を求める。 その距離が最も小さいもの二つが娘細胞に対応する 4次 元統合核領域であると判断し、 細胞系譜に加える。 但し、 4次元距離が 規定値より大きい場合には娘細胞であるとは見なさない。 ' 具体的には、 以下のステップを取る。
1. 出現時点が最も早い核 (複数あり う る) を選ぴ、 系譜に入れる。 これらは、 系 の 0 o t となる。
2. 既に系譜に入っている核から、 消滅時間が最も早いもの一つを選 ぶ。 これを N p とする。
3. N pから、 4次元での距離が最も近く、 かつその距離が閾値 ( 1 0 0) 以下である核 2つを選ぴ、 娘細胞として系譜に入れる。
4. 系譜が拡大できなくなるまで、 2— 3のステップを繰り返す。
ここで、 二つの核領域が t 1 , t 2 , 位置 (x l , y 1 , z 1 ), (x
2, y 2 , z 2 ) に現れるとすると、 この二つの各領域の 4次元距離 d は以下の式で定義される。 c z、 c t は、 時間、 焦点面方向の距離の重 みであり、 c z、 c tの具体的な値は、 それぞれ 2, 1 0である。 d((xl, yl, zl l (x27y2,∑272))
= ( ― ) 2 + ( i - 2)2十 2 一 )2 -t2)2
[B] フィードパック機構を有する細胞系譜作成システム
本発明に係る細胞系譜抽出方法ないしシステムの他の実施形態を、 線 虫初期胚の細胞系譜の作成に基づいて説明する。 第 1 4図はシステムの 構成図であって、 [ I ]線虫初期胚のノマルスキー型顕微鏡 4 D画像を撮 影する工程、 [Π]核認識用画像処理アルゴリズムによる核候補領域の指 定、 [IE] フィードバック機構による核領域選定機構、 [IV] 必要に じ て、 誤認された核領域を人間の判断で除去する工程、 〔V]複数の焦点面
、 複数の時点 (時系列) の画像における核情報を統合する工程 (同一核 由来の核領域の統合アルゴリ ズム)、 [ VI ] 4次元統合核領域の出現、 消 滅の時点 ·位置の情報から細胞系譜を構築する工程とを備えている。
[ I ] 4 D画像の撮影
線虫初期胚のノマルスキー型顕微鏡による 4 D画像の撮影について は、 第一の実施形態の説明をそのまま引用することができる。
[ Π ] 核認識用画像処理アルゴリズムによる核候補領域の指定
核領域認識用画像処理アルゴリズムは、 画像処理アルゴリズム群、 画 像処理結果統合アルゴリ ズム、 の 2つに分けられる。 画像処理アルゴリ ズム群については、 第一の実施形態の説明をそのまま引用することがで きる。 すなわち、 核認識アルゴリ ズム A、 核認識アルゴリ ズム B、 核認 識アルゴリ ズム Cが採用され得る。
次に、 面像処理結果統合アルゴリ ズムについて説明する。 4次元顕微 鏡撮影画像を用いて、 核が存在すると認識された領域 (核候補領域) を 抽出し、 それらに核である確からしさのス コア (核スコア) を与える。 具体的な方法と しては現在、 (a )閾値法、 (b )極領域法、 の 2法が採用さ れる。
[閾値法]
各画像処理アルゴ リ ズムの結果をそれぞれ特定の閾値を用いて二値 化し、 核候補領域を指定する方法。 指定された領域にはその面積、 円形 度に依存したス コア (核スコア) が与えられる。 尚、 アルゴリ ズム Cの 結果は、 補正後作成された領域に面積、 円形度に応じたスコアを与えれ ばよい。
[極領域法]
各画像処理アルゴリ ズムの結果 (二値化する前) の画像では、 核の部 分が黒っぽく浮き出るように、 画像の各ピクセルごとに濃淡の値 (通常 白黒 2 5 6階調で使用) が与えられる (各部分が白く浮かび上がるフィ
ルタでも、 白黒反転させればこの状態になる)。 この画像の中から、 黒色 方向極領域をスコア付で抽出する。黒色方向極領域とは、 ( i )領域内の 各ピクセルの値は領域の輪郭に隣接する各ピクセルの値より黒色度が高 い、 ( ϋ )領域はあらかじめ与えておいた円形(その画像における核の大 きさとほぼ同等の値を用いるのが最適) 内に納まる、 ような領域で、 そ のスコアは領域内の各ピクセルの黒色度、 面積に依存する。 各画像処理 アルゴリズムに対して独立にこの作業を行い、 その結果を適切な重み付 けを用いて統合する。 これら黒色方向極領域を核候補領域にそのスコア を候補領域の核スコアとする。 尚、 二値化する前の画像とは、 K i r s c hフィルタの場合は平滑化の後、 P r e w i t t フィルタの場合は、 距離変換の後を意味する。 アルゴリズム Cの場合には、 極領域法の場合 には 3通りの方法が考えられる。 ( i ) 「輝度値の差分を取る手法」 の みを用いて他のアルゴリ ズムと同様の核領域の検出、スコア付けを行う。 ( ii ) ( i ) で検出された領域から 「胚領域検出アルゴリ ズム」 で胚領域 と認められたもののみ核領域と して認める。 (i i i ) ( i )で検出された領 域から 「胚領域検出アルゴリズム」 で胚領域と認められ、 「細胞境界検 出アルゴリ ズム」 で細胞境界ではないと認められたものだけ核領域とし て認める。
[ Π ] フィードパック機構による核領域選定機構
核認識フィードバックについて説明する。 このアルゴリズムは前記画 像処理結果統合アルゴリ ズムで作成された核スコア付の核候補領域を材 料に、 その後の細胞系譜作成作業の結果のフィードパックを利用して核 領域(核の存在場所と して決定された領域)を抽出する。具体的には( i ) 同時点、同焦点面に含まれる核領域の統合、 ( ϋ ) 4次元的核領域の統合、
( ffi ) 細胞系譜の作成、 の各試行作業からのフィードパックをこの順に 利用し、 最終的に核領域を抽出する。 一部のフィー ドパックを省略する ことも可能である。
フィードパックデータは、 「核スコア (核である確からしさのスコ ァ)」 .と 「指定値」 とを比較する際に、 核スコアを変更させるための情報 として用いられる。 指定値とは、 プログラムを走らす前に、 特定の値を 与えるという意味である。 指定値は、 フィードパックシステムの性能を 左右するので、 最適な値が選択される。 現システムでは、 数例の 4次元 顕微鏡画像サンプルに対して画像アルゴリズムを適用し、 誤認識の無い 値 (つまり、 検出された核領域はすべて本物の核を指し示しているよう な値) を使用している。
フィー ドパック機構の流れについて説明する。 まず、 「同時点、 同焦 点面に含まれる核領域の統合作業からのフィードパック ( i )」を行い、 これにより核予想領域とされた領域に含まれる核候補領域の核スコアを このフィードパック用に指定した値分だけ上昇させる。 その結果、 これ らの核候補領域の中で、 その核スコアが 「画像処理結果統合アルゴリズ ムの次こ作動する場合」 にある核スコアの指定値を超えたものは核領域 とする。 また、 この指定値を超えなかったものについては、 上昇させた 分の核スコアを破棄し、 元の値の核スコアに戻して核候補領域として戻 しておく。 そしてこのよ うにして新しく追加された核領域を含む核領域 . を次のプロセスに与え、 「同時点、 同焦点面に含まれる核領域の統合作 業」 からのフィードパックを繰り返す。 このフィードパックを何度か繰 り返し、 もはや新しい核領域がこのフィードパックによって追加されな くなつた場合、 「4次元核領域の統合作業( )」 からのフィードバ ク を行う。 このフィードパックでは、 このフィードパック特有の核スコア が核候補領域に追加され、 ここでも同様に、 新しい核領域が追加されな くなるまでこのフィードバックを行う。 その後、 「細胞系譜作成作業
( iii ) J からのフィードパックを、 やはりこのフィードパックによって新 しい核領域が追加されなくなるまで行う。 各フィードバックが有効に働 くためには、 それぞれのフィ一ドパックにおいて核候補領域に追加され
る核スコアの値が ( i ) く ( ii ) < ( ffi ) のようになっている必要が ある。 以下に、 それぞれのフィードパックについて個々に説明する。
[同時点、同焦点面に含まれる核領域の統合作業からのフィ一ドパック] 本プロセスには、 ( a ) 核領域の選出、 (b ) 同時点、 同焦点面での核 領域の統合、 ( c ) 核予想領域の指定、 の 3プロセスが含まれる。
( a ) 核領域の選出
( i ) 画像処理結果銃合アルゴリズムの次に作動する場合
核スコアの値が指定値を超える核候補領域を選択し、 核領域とする。 すべての核候補領域、 核領域をその核スコアと共に保存する。
( i i ) フィードパック後に作動する場合 ' あらかじめ保存されている核候補領域のなかで、 フィー ドパックによ り与えられる核予想領域にその重心が含まれるものの核スコアを指定値 分だけ上昇させる。 その後、 核スコアの値が指定値を超える核候補領域 を選択し、 あらかじめ保存されていた核領域と合わせて新たな核領域と する。 核領域の情報はその核スコアと共に更新する。
( b ) 同時点、 同焦点面での核領域の統合
異なる 2次元画像に.おいて認識された同一細胞核に由来する核領域 の統合について説明する。 2次元画像での認識の結果から、 画像上にお いてどの核がいつどこで出現、 消滅するか知るため、 異なる 2次元画像 で認識された同一の核をまとめる (第 1 1図参照)。
( i ) 同焦点面の画像群に含まれる同一の細胞核由来の核領域の統合 同じ焦点面で撮影された (すなわち、 z軸の座標の値が等しい) 時系 列の画像群に注目 し、 これらの面像それぞれの核領域で、 同じ核に由来 するもの (すなわち、 同じ核の時間変化を追っていることになるもの) を統合する。 核領域 N , が座標 ( x , y ) , ( X ' , y " ) で検出さ れたとき、 N, N の二次元的な距離 d X yを以下のように定義すると 共に、 同一の核由来と判断される条件を定める。
cl / |2
\ X一 X + \y - y この二次元的距離を用い、 それぞれの核を最も早く検出された時点か ら順次統合して行く。 すなわち、 同一の焦点で、 時系列の核の認識結果 を一^ 3の集合 (セッ ト) に統合する。 以下の手順で行う。
1 . 出現時間の最も早い核を選ぶ。
2 . 次の時点で、 最も二次元的距離 d X y距離が近く、 かつその距離 が予め指定した適切な閾値 (現在のシステムでは 2 5 ピクセル) 以下の 核を同じ核に由来するもの ( s u c c e s s o r ) として同じ核に統合 する。
3 . 同じ核に由来するものがいなくなるまで 2を繰り返す。
4 . 統合されずに残っている核がなくなるまで、 1 — 3を繰り返す。 ( i i ) 同時点の画像群に含まれる同一の細胞核由来の核領域の統合 前述した方法と同様にして、 同時点で焦点面 ( z座標) の異なる画像 群に含まれる同一の細胞核由来の核領域を統合する。 同一の時点で異な る焦点面の核の認識結果を一つのセッ トに統合する。 この場合の現在の システムの距離の閾値は 1 0ピクセルで.ある。
( c ) 核予想領域の指定
ある焦点面に核領域が存在した場合、 その同時点の隣接する上下の焦 点面にはその核領域と同じ核由来の核領域が存在する確率が高いものと 考える。 具体的にはある核領域を考えるとき、 その核領域の重心の座標
(Xc, Yc) をと り、 その同時点、隣接上下の画像の座標 (Xc, Yc) を中心 と して半径 Rの領域を核予想領域とする。 現在のシステムでは Rは標準 的な核の半径にしている。 同様の作業を同焦点面の隣接する時点の画像 にもおこなう。 すなわち上述の核領域に対して、 その同焦点面、 隣接時 点の画像の座標 (Xc, Yc) を中心として半径 Rの円領域を核予想領域と する。
( d ) フィー ドバック
( c ) の結果得られた核予想領域を ( a ) に与えて ( a ) ~ ( d ) の 作業を繰り返す。 このフィードバック作業を数回行ったのち、 (b ) で得 られる 3次元核領域を次の 4次元的核領域の統合のステップに渡す。
[ 4次元核領域の統合作業からのフィードパック]
本プロセスには ( a ) 3次元核領域の選出、 ( b ) 核領域の 4次元的 統合、 ( c ) 核予想領域の指定、 ( d ) フィードパックの 4プロセスが含 まれる。
( a ) 3次元核領域の選出
前記同時点、 同焦点面に含まれる核領域の統合作業からのフィードパ ックを効果がなくなるまで行う。
( b ) 核領域の 4次元的統合
時系列、 焦点方向にそれぞれに統合された核領域 (統合核領域) の間 で、 共有する核領域をもつ統合核領域の組み合わせが存在する場合、 そ れらは同一の核由来の統合核領域であるとみなし、 それらをさらに統合 する (4 D画像において統合された核領域を 4次元統合核領域という)。 同焦点の画像群、 同時点の画像群において統合された各セッ トのうち、 同一の核を含むセッ ト同士を一つのセッ トに統合する際に、 5つ以下の 画像でしか認識されなかったセッ トは、 フラグメントとみなし、 系譜に は使用しない。 第 1 2図は核領域の統合を説明する図である。 白円は所 定の細胞核が検出されなかった画像であり、 黒円は所定の細胞核が検出 された画像である。縦方向実線は同一の核と認識された一セッ トである。 横方向点線は同一の核と認識された一セッ トである。
( c ) 核予想領域の指定
隣接焦点面、 隣接時間の情報を同時に用いて核予想領域を指定する。 現在のシステムでは具体的には、 同一時点隣接焦点面の二画像、 および 同一焦点面隣接時点の二面像、 計四画像のうち三画像以上に同一核由来
の核領域がある領域が存在した場合、 それらの核領减の重心を中心と し た半径 Rの円領域の和集合領域を核予想領域にする。
( d ) フィードパック
( c ) の結果得られた核予想領域を ( a ) に与えて ( a ) 〜 ( d ) の 作業を繰り替えす。 このフィードパック作業を数回行ったのち、 ( b ) で 得られる統合された 4時元核領域を次の細胞系譜作成作業のステップに 渡す。
[細胞系譜作成作業からのブイ一ドパック]
本プロセスは ( a ) 4次元核領域の選出、 (b ) 細胞系譜作成、 ( c ) 核予想領域の指定、 (d )フィードバック、 の 4プロセスが含まれる。
( a ) 4次元核領域の選出
前記 4次元核領域の統合作業からのフィードパック作業をそれぞれ の効果がなくなるまで掛ける。
( b ) 細胞系譜作成
本プロセスでは、 ( i ) 4次元核領域の 3者母娘関係の構築、 ( ϋ ) 4 次元核領域の 4者母娘関係の構築、 の 2つのプロセスをこの順に行う。
( i ) 4元核領域の 3者親子関係の構築
本プロセスでは母核、 およぴその分裂後の 2つの娘核を示す 3つの 4 次元核領域を探し出す。
Ni, N2, を 4次元核領域とする。 各 4次元核領域(Ni)には以下情 報が含まれる。 出現時点 ei 4次元核領域に含まれる最も早い時点。
消失時点 Tdi 4次元核領域に含まれる最も遅い時点。
出現時点の 3次元核領域の重心の X, Y, Ζ)座標。
消失位置 Pdi-(Xdi, Υώ, Zdi)
消失時点の 3次元核領域の重心の (X, Y, Ζ)座標。
存在する全ての 4次元核領域のなかから可能な全ての組み合わせて 3つの 4次元核領域の組を作成する。 各組の 4次元核領域の中で、 消失 時点が最も早いものを母 4次元核領域 とし、 それ以外のものを娘 4次元核領域 (N« , Nd2) とする。 この 3つの 4次元核領域の組み合わ せが本当の母娘核の組である可能性をあらわすスコア( 3者母娘スコア) を計算する。
現在のシステムではそのスコアは i) 母 4次元核領域の消失時点と 2 つの娘 4次元核領域の出現時点、 ii)母 4次元核領域の消失位置と 2つの 娘 4次元核領域の出現位置間の距離、 iii)母 4次元核領域の消失位置と 2 つの娘 4次元核領域の出現位置との位置関係 (特に 2つの 4次元娘細胞 の出現位置の中点に母 4次元核領域の消失位置が近いか否か)、を反映し たものになっている。 具体的には現在のスコア F3(Nm, Ndi, Nds)は以下 のように与える。
F3(Nm, Ndl, Nd2) -¾t((T(Nm, Ndi) - Cat)2 + (T(Nm, Nd2) - Cat)2)
-K3s((S(Nm, Ndl) - C3s)
2 + (S(N
m, Nd2)一 C
38)
2)
ここで
Τ(Νι, N2) (Nlの消失時間) - (N2の出現時間)
S(Ni, N2) (N1の消失位置)と (N2の出現位置)との距離 /i dl― Χβ2)2 + (Ydl - Ye2)2 + (Zdl― Ζβ2)2
V(Ni, N2) = (Nlの消失位置)から (Ν2の出現位置)へのべク トル
(Xe2一 Xdl, Ye2 "Yel, Ze2一 Zel)
Kat, K3s. av, Cat, C3aは適切な定数。 以上のよう にして全ての存在する 3つの 4次元核領域.の 3者母娘ス コアを計算し、 スコアの成績の良いものから順に、 3者母娘関係と して 決定していき、 閾値となるスコアよ り成績が悪い組み合わせになるまで
それを順に繰り返す。 矛盾する母娘関係が生じた場合は、 スコアの成績 の良い母娘関係を優先させる。
( ϋ ) 4次元核領域の 2者親子関係の構築
( i ) で自分の母あるいは娘の少なく ともいずれかが決定されなかつ た 4次元核領域の中から、母核おょぴその分裂後の 2つの娘核のうちの どちらか 3をあらわす、 2つの 4次元核領域の組を求める。
( i ) で自分の母あるいは娘の少なく ともいづれかが決定されなかつ た 4次元核領域の中から、可能な全ての 2つ組を作成する。それらの各組 の 4次元核領域の中で、 消失時点の早いものを母 4次元核領域 (Nm) t し、 残りを娘 4次元核領域 (Nd, Nd) とする。 この 2つの 4次元核領域 の組み合わせが本当の母娘核の組である可能性をあらわすスコア ( 2者 母娘スコア) を計算する。
現在のシステムではそのスコアは i) 母 4次元核領域の消失時点と 2 つの娘 4次元核領域の出現時点、 ii)母 4次元核領域の消失位置と 2つの 娘 4次元核領域の出現位置間の距離、 を反映したものになっている。 具 体的には現在のスコァ F2(Nm, Nd)は以下のように与える。
F2(Nm, Nd) = - K2t ((T(Nm, Nd) - Cat)2) - K2s((S(Nm, Na) - C2s)2) ここで
K2t, K2a, C2t, C28は適切な定数。 以上のよう にして全ての 2つの 4次元核領域の 2者母娘スコアを計 算し、 閾値となるスコアよ り成績が良い組み合わせを 2者母娘関係と し て決定する。
( c ) 核予想領域の指定
3者母娘関係、 2者母娘関係をそれぞれ用いて核予想領域を指定する。
( i ) 3者母娘関係を用いた核予想領域の指定
3者母娘関係が決定された 4次元核領域の組について母 4次元核領
域の消失時点および 2つの娘 4次元核領域の出現時点をもちいて核予想 領域を指定する。 母 4次元核領域の消失時点および娘 4次元核領域の出 現時点におけるそれぞれの 4次元核領域に含まれる核領域においては、 その同時点の隣接する上下の焦点面、 およびその同焦点面における隣接 する前後の時点にはその核領域と同じ核由来の核領域が存在する確率が 高いものと考^る。 具体的にはある出現時点、 あるいは消失時点の核領 域を考えるとき、 その核領域の重心の座標 (Xc, Yc) をと り、 その同時 点、隣接上下焦点面の画像、 および同焦点面、 隣接前後時点の面像、 それ ぞれの座標 (Xc, Yc) を中心と して半径 Rの領域を核予想領域とする。 現在のシステムでは Rは標準的な核の半径にしている。
( n ) 2者母娘関係を用いた核予想領域の指定
2者母娘関係が決定された 4次元核領域の組について母 4次元核領 域の消失時点おょぴ娘 4次元核領域の出現時点を用いて核予想領域を指 定する。 母 4次元核領域の消失時点おょぴ娘 4次元核領域の出現時点に おけるそれぞれの 4次元核領域に含まれる核領域においては、 その同時 点の隣接する上下の焦点面、 およびその同焦点面における隣接する前後 の時点にはその核領域と同じ核由来の核領域が存在する確率が高いもの と考える。 具体的な方法は ( i ) と同一である。
また、 娘 4次元核領域の出現時点において、 母 4次元核領域の消失位 置を中心と して娘 4次元核領域の出現位置と点対称の位置周辺に、 もう —つの娘細胞が出現する確率が高いと考え、 核予想領域を指定する。 具 体的には娘細胞の出現時点、 およびその隣接前後の時点において、 上記 の娘細胞の出現位置と点対称の位置を中心に、 半径 Rの円領域を核予想 領域とする。 現在のシステムでは Rは標準的な核の半径にしている。
( d ) フィードパック
( c ) の結果得られた核予想領域を ( a ) に与えて ( a ) 〜 ( d ) の 作業を繰り返す。 このブイ一ドパック作業を数回行ったのち、 (b ) で得
られる統合された 4時元核領域をフィ一ドパック機構による核領域選定 機構の出力として次のステップに出力する。
[IV] 誤認された核領域の除去
次いで、 自動核認識の結果から、 誤認された核領域を人間の判断で除 去する。 詳細については、 第一の実施形態に関する説明、 およぴ第 8図 乃至第 1 0図を引用することができる。 尚、 この工程は、 本発明におい て必須の工程ではない。
[ V ] 核情報の統合
異なる 2次元画像において認識された同一細胞核に由来する核領域 の統合について説明する。 2次元画像での認識の結果から、 画像上にお いてどの核がいつどこで出現、 消滅するか知るため、 異なる 2次元画像 で認識された同一の核をまとめる。 核情報の統合については、 第一の実 施形態の記載が引用され、 第 1 1図を参酌することができる。 第 1 1図 において、 横軸が時間軸 (時点)、 縦軸が焦点軸 (焦点面) である。
[同焦点面の画像群に含まれる同一の細胞核由来の核領域の統合] 同じ焦点面で撮影された (すなわち、 z軸の座標の値が等しい) 時系 列の画像群に注目 し、 これらの画像それぞれの核領域で、 同じ核に由来 するもの (すなわち、 同じ核の時間変化を追っていることになるもの) を統合する。 核領域 N , が座標 (x, y ) , ( x ' , y ' ) で検出さ れたとき、 N , N ,の二次元的な距離 d X yを以下のように定義すると 共に、 同一の核由来と判断される条件を定める。
この二次元的距離を用い、 それぞれの核を最も早く検出された時点か ら順次統合して行く。 すなわち、 同一の焦点で、 時系列の核の認識結果 を一つの集合 (セッ ト) に統合する。 以下の手順で行う。
1 . 出現時間の最も早い核を選ぶ。
2 . 次の時点で、 最も二次元的距離 d x yが近く、 かつその距離が予 め指定した適切な閾値 (現在のシステムでは 2 5 ピクセル) 以下の核を 同じ核に由来するもの( s u c c e s s o r )として同じ核に統合する。
3 . 同じ核に由来するものがいなくなるまで 2を繰り返す。
4 . 統合されずに残っている核がなぐなるまで、 1 — 3を繰り返す。
[同時点の画像群に含まれる同一の細胞核由来の核領域の統合] 前述した方法と同様にして、 同時点で焦点面 ( z座標) の異なる画像 群に含まれる同一の細胞核由来の核領域を統合する。 同一の時点で異な る焦点面の核の認識結果を一つのセッ トに銃合する。 この場合の現在の システムでの距離の閾値は 1 0 ピクセルである。
[全 4 D画像中に現れる同一の細胞核由来の核領域の統合]
時系列、 焦点方向にそれぞれに統合された核領域 (統合核領域) の間 で、 共有する核領域をもつ統合核領域の組み合わせが存在する場合、 そ れらは同一の核由来の統合核領域であるとみなし、 それらをさらに統合 する (4 D画像において統合された核領域を 4次元統合核領域という)。 同焦点の画像群、 同時点の画像群において統合された各セッ トのうち、 同一の核を含むセッ ト同士を一つのセッ トに統合する際に、 5つ以下の 画像でしか認識されなかったセッ トは、 フラグメントとみなし、 系譜に は使用しない。 第 1 2図は核領域の統合を説明する図である。 白円は所 定の細胞核が検出されなかった画像であり、 黒円は所定の細胞核が検出 された画像である。縦方向実線は同一の核と認識された一セッ トである。 横方向点線は同一の核と認識された一セッ トである。 '
[VI ] 細胞系譜の構築
4次元統合核領域には画像中の細胞核が出現、 消滅する時点、 位置の 情報が含まれている。 それを基に細胞系譜を構成する (第 1 3図)。 細胞 系譜の構築については、第一の実施形態の手法を用いることもできるが、 第二の実施形態では異なる手法を採用している。 本プロセスでは、 ( i )
4次元核領域の 3者母娘関係の構築、 ( ii ) 4次元核領域の 4者母娘闋係 の構築、 の 2つのプロセスをこの順に行う。
( i ) 4元核領域の 3者親子関係の構築
本プロセスでは母核、 おょぴその分裂後の 2つの娘核を示す 3つの 4 次元核領域を探し出す。
Ni, N2, 〜Nnを 4次元核領域とする。 各 4次元核領域(Ni)には以下情 報が含まれる。 出現時点 Tei 4次元核領域に含まれる最も早い時点。
消失時点 Tdi 4次元核領域に含まれる最も遅い時点。
出現時点の 3次元核領域の重心の (X, Y, Ζ)座標。
消失位置 Pdi-{Xdi,Ydi, Zdi)
消失時点の 3次元核領域の重心の (X, Y, Ζ)座標。 存在する全ての 4次元核領域のなかから可能な全ての組み合わせて 3つの 4次元核領域の組を作成する。 各組の 4次元核領域の中で、 消失 時点が最も早いものを母 4次元核領域 (Nm) とし、 それ以外のものを娘 4次元核領域 (Ndi, Nd2) とする。 この 3つの 4次元核領域の組み合わ せが本当の母娘核の組である可能性をあらわすスコア( 3者母娘スコア) を計算する。
現在のシステムではそのス コアは i) 母 4次元核領域の消失時点と 2 つの娘 4次元核領域の出現時点、 ii)母 4次元核領域の消失位置と 2つの 娘 4次元核領域の出現位置間の距離、 i i i )母 4次元核領域の消失位置と 2 つの娘 4次元核領域の出現位置との位置関係 (特に 2つの 4次元娘細胞 の出現位置の中点に母 4次元核領域の消失位置が近いか否か)、を反映し たものになっている。 具体的には現在のスコア F3(Nm, Ndi, Nd2)は以下 のように与える。
Fa(Nm7 Ndi, Nd2) -K3t((T(Nm, Ndi) - Cat)2 + (T(Nm, Nd2)― Cat)2)
-K3s((S(Nm, Ndi) - C
3s)
2 + (S(Nm, N
S2)一 Css)
2)
ここで
T(Ni, N2) (Nlの消失時間) - (N2の出現時間)
S(Ni, N2) (N1の消失位置)と (N2の出現位置)との距離 iXdl― e2)2 + (Ydl - Ye2)2 + (Zdl - Ze2)2
V(Ni, N2) = (Nlの消失位置)から (N2の出現位置)へのべク トル
(Xe2 - Xdl, Ye2— Yel, Ze2— Zel)
Kat, Kse, Ksv, Cat, C3aは適切な定数。 以上のよ う にして全ての存在する 3つの 4次元核領域の 3者母娘ス コアを計算し、 スコアの成績の良いものから順に、 3者母'娘関係と して 決定していき、 閾値となるスコアよ り成績が悪い組み合わせになるまで それを順に繰り返す。 矛盾する母娘関係が生じた場合は、 スコアの成績 の良い母娘関係を優先させる。
( ii ) 4.次元核領域の 2者親子関係の構築
( i ) で自分の母あるいは娘の少なく ともいずれかが決定されなかつ た 4次元核領域の中から、母核おょぴその分裂後の 2つの娘核のうちの どちらか一つをあらわす、 2つの 4次元核領域の組を求める。
( i ) で自分の母あるいは娘の少なく ともいづれかが決定されなかつ た 4次元核領域の中から、可能な全ての 2つ組を作成する。それらの各組 の 4次元核領域の中で、 消失時点の早いものを母 4次元核領域 (Nm) と し、 残りを娘 4次元核領域 (Nd, Nd) とする。 この 2つの 4次元核領域 の組み合わせが本当の母娘核の組である可能性をあらわすスコア ( 2者 母娘スコア) を計算する。 現在のシステムではそのスコアは i) 母 4次 元核領域の消失時点と 2つの娘 4次元核領域の出現時点、 ii)母 4次元核
領域の消失位置と 2つの娘 4次元核領域の出現位置間の距離、 を反映し たものになっている。 具体的には現在のスコア F2(Nm, Nd)は以下のよう に与える。
F2(Nm, Nd) = - ¾t ((T(Nm, Nd) - C2t)2) - K23((S(Nm, Nd) - C2s)2) ここで
K2t, K23, C2t, C2sは適切な定数。 以上のよ うにして全ての 2つの 4次元核領域の 2者母娘スコアを計 算し、 閾値となるスコアよ り成績が良い組み合わせを 2者母娘関係とし て決定する。
[ C ] 他の核領域抽出フィルタ
前記二つの実施形態においては、 核認識フィルタと して三つの画像処 理アルゴリ ズムを採用したが、 本発明に用いられる核認識フィルタはこ れらに限定されるものではない。 以下に核認識フィルタの他の実施形態 について説明する。
[エントロピーフイノレタ]
第 1 6図は、 ノマルスキー型透過型微分干渉顕微鏡で撮影した線虫初 期胚の顕微鏡画像であって、 濃淡差の大きい細胞質の部分 (画質がザラ ザラしている部分) と、 比較的濃淡差の小さい核の部分 (画質が比較的 平坦な部分) が観察される。 エン トロ ピーフィルタは、 画像から平坦な 部分を効率的に抽出するフィルタである。 これは、 細胞質の画質がザラ ザラしているのに対して、 核領域の画質が比較的平坦であることを利用 したものである。 第 1 5図に示すよ うに、 元画像の中に始点 (X、 y ) を決定する。 X : 0〜 (画像幅—ウィンドウ幅) ; y : 0〜 (画像の高さ —ウィンドウの高さ) である。 次いで、 始点から (幅、 高さ) == ( A , B ) の大きさのウィンドウで画像を区画する。 区画されたウィンドウの エントロピーを計算し、 これを、 結果の画像の座標 ( x、 y ) に保存す
る。
ェントロピー計算は下記の式に基づいて行なわれる。
式において、 P ( 1 ) は、 特徴を計測したい画像領域に対して、 濃淡 ヒス トグラム H ( 1 ) (濃淡レベル数が Lであれば、 1 = 0 , 1 , 2 , · . . , L一 1である) を求め、 頻度の総数 (画像領域の画素数 N) で各 濃淡レベルの頻度を割って、 総画素数が 1 . 0になるように正規化した 濃淡ヒス トグラムである。 求められるエントロピーの値を基準にして核 領域、 細胞質領域の区別を行う。
小区画のェントロピー計算を行いながら元画像を走査することで、 効 率良く核の位置を抽出することができる。 エン ト ロ ピーウィンドウサイ ズについては、 顕微鏡の種類や倍率等に依存するものであるが、 6 [pixel] X 6 [pixel]~ 2 0 [pixel] X 2 0 [pixel] (好ましくは、 1 0 [pixel] X 1 0 [pixel], または、 1 .2 [pixel] X 1 2 [pixel]) の画像領域ゥイ ン ド ゥに対して走査することにより良好な結果を得た。 この場合、 核領域の ピクセルは、 細胞分裂等の要因によって幅があるが、 だいたい 1 0 0 0 ピクセルから 1 0 0 0 0ピクセルである。 第 1 7図は、 エントロピーフ ィルタによる処理後の細胞の画像 (フィルタリ ング画像) である。 第 1 8図は、 エントロピーフィルタによる処理後の面像を閾値処理したもの を、 顕微鏡画像に重'ね合わせたものである。
画像を小ウィンドウで区切り、 該ウィンドウのエン ト ロ ピーを計算し ながら画像を走査することで画像から平坦な部分を抽出することができ る。 ェントロビーフィルタによるフィルタリ ング画像を閾値処理するこ とで、 面像から平坦.な部分を良好に抽出することができる。 本明細書に おいて、 「平坦」 とは、 画素値の差が比較的小さい、 すなわち、 画素の濃
度値 (輝度値) が比較的均一であることを意味する。 これに対して、 「平 坦でない」 とは、 画素値の差が比較的大きい、 すなわち、 画素の濃度値
(輝度値) が不均一であることを意味する。 グレースケール画像では、 濃度値は、 白黒の濃淡を示す値である。 カラー画像では、 濃度値は、 R , G , Bそれぞれの濃度 (輝度) を示す値である。 カラー画像について 、 「画素値の差が小さい、 大きい」 とは、 R , G , Bの組み合わせがよ り近ければ小さい、 組み合わせが異なるほど大きい、 と言う ことができ る。
[ F F Tフィルタ]
特徴を計測したい画像領域に対して、 2次元 F F Tパワースぺク トル (高速フーリエ変換パワースペク トル) を計算し低周波、 高周波領域の 特徴を用いて核領域を検出する。 通常のフーリェ変換も使用することが できる。 フィルタの出力結果は 2値化して使用する。 産業上の利用可能性
製薬、 医療、 農業、 食品分野において、 ゲノム情報を有効利用した商 品開発等に利用が可能である。