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JPWO2013171817A1 - 無線基地局、無線通信ネットワークシステム、及び通信制御方法 - Google Patents

無線基地局、無線通信ネットワークシステム、及び通信制御方法 Download PDF

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JPWO2013171817A1 JP2014515362A JP2014515362A JPWO2013171817A1 JP WO2013171817 A1 JPWO2013171817 A1 JP WO2013171817A1 JP 2014515362 A JP2014515362 A JP 2014515362A JP 2014515362 A JP2014515362 A JP 2014515362A JP WO2013171817 A1 JPWO2013171817 A1 JP WO2013171817A1
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Abstract

無線通信ネットワークにおいて定常時の近距離無線通信と非定常時の遠距離無線通信を動的に切り替え、さらに定常通信と非定常通信をお互いの通信品質に影響を与えずに同じ無線通信ネットワークで実現する。無線通信ネットワークシステムは、マルチホップ通信の可能な無線端末と、無線基地局で構成される。そして、無線基地局及び無線端末は、少なくとも2種類の送信電波出力で通信する。無線端末のセンサによる測定データ値やデータ通信で受信したデータの内容に応じて送信電波出力が可変制御される。また、無線端末と無線中継局と無線基地局は、それぞれ送信時間が決められており、送信電波出力が変化しても送信時間は変化しない(図1参照)。

Description

本発明は、無線基地局、無線通信ネットワークシステム、及び通信制御方法に関し、例えば、マルチホップ通信を行う無線通信ネットワークに関するものである。
近年の環境問題意識の高まりにより、エネルギー管理に対する技術ニーズが増大している。エネルギーを消費する需要家サイドからは、家庭でエネルギー管理を行うHEMS(Home Energy Management System)、集合住宅やビルでエネルギー管理を行うBEMS(Building Energy Management System)、地域社会のエリアでエネルギー管理を行うCEMS(City Energy Management System)などのEMSが期待されている。エネルギーを生成する電力会社サイドからは、電力メータの自動読み取りを行うスマートメータもしくはAMI(Advanced Metering Infrastructure)や、電力の配電/送電系統を安定化させるためのスマートグリッドが求められており、実証実験などが進められている。さらには、これら技術を都市エリアでまとめて行うスマートシティの構想も検討が進められている。
これらエネルギー関連の管理システムを実現するためには、通信手段のインフラ確保が必須となる。通信手段としては無線通信、有線通信、光通信、電力搬送通信など、様々な候補があり、インフラとして構築する環境に応じて、適した手段が選ばれると思われる。中でも無線通信は、設置、保守の容易さや装置類の低コスト性、拡張容易性などの観点で優れており、期待も高い。
無線通信を通信インフラ手段として用いる場合、設置環境の考慮も必要であるとともに、用途によっても最適化が必要になる。例えば、スマートメータは数100mから1km以内程度の比較的近距離なエリアで多数の無線端末が定期的(30分毎など)に通信を行うという要求がある。一方で、スマートグリッドにおいて緊急対応が必要な場合には、10km程度の長い距離を高速(低遅延もしくは短期間)に通信する必要が生じる。緊急対応の例としては、電線の破損による短絡や電力配電の緊急停止などが挙げられる。
スマートメータの検針データ収集やスマートグリッドの装置データ収集を「定常」とした場合、スマートグリッドでの緊急対応は「非定常」とみなすこともできる。
上述の定常時と非定常時の通信では、無線通信に求められる通信伝送距離が異なる。非定常時に伝送距離を長距離化するためには、無線通信装置の送信電波出力を大きくすることで解決できる。しかしながら、数kmの距離を通信できる送信出力は大きく、無線通信装置の消費電力も大きなものになってしまう。従って、定常時は、小さな送信出力で近距離の無線通信を行う方が、消費電力の観点から好ましい。
無線通信の送信出力を変化させる手段として、例えば、特許文献1では、無線中継局の出力を変化させる手段が開示されている。これによれば、携帯電話の基地局が複数あり、ある基地局の通信トラフィック量が高い場合、その基地局エリアにある端末の信号を、中継局出力を増加して他の基地局に伝えるようになっている。
また、特許文献2では、無線基地局が出力を高める手段が開示されている。これによれば、基地局と端末の間の通信において、基地局が緊急呼び出しを行う場合でかつ無線通信が正常動作しない(接続しないもしくは通信成功しない)場合に、基地局が出力を高めて端末との接続をしやすくするようにしている。
特開2010−041685号公報 特表2009−530972号公報
定常時と非定常時において、無線通信に求められる伝送距離が異なることから、例えば非定常時には送信出力を高めることで伝送距離を長距離化している。
しかしながら、特許文献1及び2等の従来技術で送信出力を高めているのは、定常時の通信が行われない位置(場所)や時間といった環境に対応するためであり、定常時の通信と非定常時の通信を同じ位置、時間で同時に実現することを想定するものではない。
このため、無線通信ネットワークにおいて、定常時に近距離で大規模なデータ通信を行い、非定常時には遠距離で高速なデータ通信を行い、定常時と非定常時の通信を互いの通信品質に影響を与えずに、同じ無線通信ネットワーク手段で実現することが望まれている。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、無線通信ネットワークにおいて定常時の近距離無線通信と非定常時の遠距離無線通信を動的に切り替え、さらに定常通信と非定常通信をお互いの通信品質に影響を与えずに同じ無線通信ネットワークで実現することを可能とするものである。
上記課題を解決するために、本発明では、複数の無線端末によって1つの無線通信ネットワークが構成され、当該無線通信ネットワークが無線通信ネットワークシステム内に複数存在する。また、複数の無線端末のそれぞれは、受信した情報を他の無線端末或いは無線基地局に中継する無線中継局として動作するように構成される。そして、無線基地局は、1つの無線通信ネットワークに含まれる複数の無線端末に関して時刻同期処理を実行し、互いに異なる無線通信ネットワークに含まれる無線端末間を異なる時刻で動作するように制御する。さらに、無線基地局は、複数の無線通信ネットワークのそれぞれにおいて通信を実行するときに、通信対象の無線通信ネットワーク内の複数の無線端末との間で時刻同期処理を実行する。
さらに、無線基地局は、少なくとも第1の値と当該第1の値よりも大きい値である第2の値の間で、送信電波出力を切り替えて、複数の無線端末との通信を実行する。
また、無線通信ネットワークシステムでは、無線端末はセンサを有し、無線端末のセンサによる測定データ値やデータ通信で受信したデータの内容に応じて、無線基地局は、送信電波出力を可変制御する。無線端末(及び無線中継局)と無線基地局に対しては、それぞれ通信可能な時間が決められており、送信電波出力が変化してもこの通信可能な時間は変わらないようになっている。
本発明によれば、無線通信ネットワークにおいて定常時の近距離無線通信と非定常時の遠距離無線通信を動的に切り替え、さらに定常通信と非定常通信をお互いの通信品質に影響を与えずに同じ無線通信ネットワークで実現することを可能とする、無線通信ネットワーク装置および無線通信装置を提供することができる。近距離無線通信を行う場合は消費電力を削減し、遠距離無線通信を行う場合には高速/低遅延/短時間応答を実現できる。
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本発明の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本発明の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではないことを理解する必要がある。
本発明の第1の実施形態による無線通信ネットワークシステムの概略構成を示す図である。 定常運用シーケンスを示す図である。 非定常運用シーケンス(1)を示す図である。 非定常運用シーケンス(2)を示す図である。 本発明の第2の実施形態による無線通信ネットワークシステムの概略構成及び運用形態(1)を示す図である。 本発明の第2の実施形態による無線通信ネットワークシステムの運用形態(2)を示す図である。 本発明の第2の実施形態による無線通信ネットワークシステムの運用形態(3)を示す図である。 第2の実施形態における定常運用シーケンスを示す図である。 第2の実施形態における非定常運用シーケンス(1)を示す図である。 第2の実施形態における非定常運用シーケンス(2)を示す図である。 各実施形態に適用される、無線端末の受信動作を説明するためのフローチャートである。 各実施形態に適用される、無線端末のデータ送信動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の各実施形態で用いられる無線通信装置(無線基地局、無線端末、無線中継局)のハードウェア構成を示す図である。 無線通信装置の無線通信アナログ回路の構成を示す図である。 無線通信アナログ回路の他の構成例を示す図である。 本発明の第3の実施形態による無線通信ネットワークシステムの概略構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態による無線通信ネットワークシステムの概略構成を示す図である。 本発明の第5の実施形態による無線通信ネットワークシステムの概略構成を示す図である。 本発明の第6の実施形態による無線通信ネットワークシステムの概略構成を示す図である。 第4の実施形態で説明される、無線通信の優先度を自動的に決定する通信シーケンスを示す図である。
本発明は、無線通信端末(無線通信中継局を含む場合もある)と無線基地局により構成される無線通信ネットワークシステムにおいて、無線電波出力を可変にすることで、定常通信と非定常通信を同時に行い、かつ高速な応答と低消費電力を実現するための技術に関する。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
本実施形態では、当業者が本発明を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本発明の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
(1)第1の実施形態
<システム構成>
図1は、本発明の第1の実施形態による無線通信ネットワークシステムの概略構成例を示す図である。
無線通信ネットワークシステムは、無線基地局AP(110)と、無線端末NDA(120a、120d、120g)と、NDB(120b、120e、120h)と、NDC(120c、120f、120i)と、を有している。図1では、1つの無線基地局と、3経路の無線端末とが通信するシステムが例示されているが、無線基地局の数、及び無線端末の経路数及び端末数は、適宜必要に応じて設定可能である。また、当該システムにおいて、各無線端末(図1では、NDAおよびNDB)は、無線中継局を兼ねることができる。
無線基地局APおよび無線端末NDA乃至NDCは、通信のための送信電波出力(電波強度)を3種類変えることができる。ここで、3種類の送信電波出力を小出力、中出力、大出力と呼ぶことにする。例えば、920MHz帯では1mW(小出力)、20mW(中出力)、250mW(大出力)の出力を出すことが可能であり、それぞれおよそ、10〜数10m、100〜数100m、1k〜数km程度の伝送距離で無線通信が可能である。なお、実施形態では、3種類の出力を例として挙げて説明しているが、少なくとも2種類(小出力と中出力、小出力と大出力、或いは中出力と大出力)の出力に対応できれば良い(4種類以上あっても良い)。また、上記出力値は単なる例示であり、3種類の出力値が設定されていれば数値は適宜設定可能である。
本実施形態では、基地局110からの距離で、領域を近距離151、中距離152、遠距離153と分けることとする。つまり、近距離151には無線端末NDAが、中距離152には無線端末NDBが、遠距離153には無線端末NDCが配置される。
また、無線端末位置(距離)と送信出力の関係は次のようになる。基地局APと近距離151の無線端末NDAとの間、無線端末NDAとNDB間、無線端末NDBとNDC間は、それぞれ小出力の送信電波で無線通信が可能である。基地局APと中距離152の無線端末NDBとの間、無線端末NDAとNDC間は、中出力の送信電波で無線通信が可能である。基地局APと遠距離153の無線端末NDCとの間は、大出力の送信電波で無線通信が可能である。
本実施形態では、無線通信ネットワーク装置の定常的な運用として、例えばスマートメータを想定する。スマートメータにおいては、無線端末が電力メータとつながっており、定期的にメータ検針値を基地局に送る。メータデータは、無線基地局からの命令信号に対する無線端末の応答信号として送っても良いし、無線端末がタイマによって定期的にメータデータを取得、送信し、基地局がデータを受け取ったことを返信する、という手順でも良い。
スマートメータのような無線通信ネットワークの運用(第1の運用形態)では、大規模(多数)の無線端末が一定時間(例えば30分)でデータ送信を行う必要がある。お互いの無線電波干渉を避け、大規模管理を行うため、送信電波出力は小さい方が好ましく、小出力電波が用いられる。この運用では、AP(110)、NDA(120a)、NDB(120b)、NDC(120c)のネットワークで示されているように、各無線端末間で通信を行い、NDAやNDBは無線中継局も兼ねて、基地局APまでデータを伝送する。
一方で、無線通信ネットワークシステムの非定常な運用として、各無線端末への制御信号送信や、各無線端末の計測データ異常が挙げられる。例えば、スマートグリッド制御では、各無線端末に電力送配電用の各種機器が接続されている。例としては、開閉器(電力スイッチ)、電圧生成器、無効電力調整器などがある。これらの機器に対して、無線基地局経由で無線端末に制御信号を送り、各機器の動作を遠隔で操作することができる。電力の需給バランスが危ういような状況では、急峻に電力消費が増加し、発電が賄えないような場合に、一瞬で開閉器を切ることも望まれている。従って、制御用の信号伝送は低遅延(または高速、短時間)で行う必要がある。
また、同様にスマートグリッド用の各種機器は、動作状況監視のために定期的に状態をモニタし、状態計測データを無線基地局に伝送している。状態計測データの収集は、データ値が正常であれば、無線端末をスマートメータと同じシステム上で混在させることができる。しかしながら、データ値が異常を示す場合には、無線端末が低遅延(または高速、短時間)で異常データを無線基地局に伝え、さらにフィードバックを無線基地局から受信することが要求されている。
図1に示される、AP(110)、NDA(120d)、NDB(120e)、NDC(120f)のネットワーク(第2の運用形態)は、無線基地局APからの信号を早急に伝えるため、無線基地局APの送信電力を大出力とした例である。無線基地局APの信号は無線端末NDA(120d)、NDB(120e)、NDC(120f)の3領域すべてに一度で到達する。制御信号の送信などの場合、確認の返信について時間制約が無い場合には、定常運用と共存するために小出力を選択する。すなわち、無線基地局APから無線端末方向への下り回線(ダウンリンク)送信には大出力を、逆方向の上り回線(アップリンク)送信には小出力を行う。
AP(110)、NDA(120g)、NDB(120h)、NDC(120i)のネットワーク(第3の運用形態)は、無線通信基地局と各無線端末の間で往復の信号伝送を低遅延で行う例である。無線基地局APの信号は無線端末NDA(120g)、NDB(120h)、NDC(120i)の3領域すべてに一度で到達する。無線端末NDA(120g)は近距離151の領域にあるので、小出力でも無線基地局APに返信できる。無線端末NDB(120h)は中距離152の領域にあるので、中出力で送信すると無線基地局APに直接返信できるようになる。無線端末NDC(120i)は遠距離153領域にあるので、高出力で送信すると無線基地局APに直接返信ができる。例えば無線端末のうちいずれかで異常値が検出され、早急に基地局に伝えるとともに基地局からの制御信号を無線端末が受ける必要がある場合には、上り回線、下り回線の両方とも無線基地局と直接接続できる本方式が適している。
なお、図1に示される無線通信システムでは、それぞれの経路において、運用形態(a)乃至(c)は、適宜切り替えられながら実施される。これにより、定常時及び非定常時に適応しながら、適切に無線通信システムを運用することができる。各運用方法は、無線端末NDA乃至NDCからの要求によって切り替えられる場合(無線端末がトリガーとなる場合)と、無線基地局による制御によって切り替えられる場合(無線基地局がトリガーとなる場合)がある。前者の例としては次のようなケースが考えられる。つまり、各電信柱において各家庭からの太陽電池による電力供給量(売電量)を測定し、その量が極端に増えると電線側からの電力供給が安定しなくなってしまう。そのときの危険な状態を察知して電力会社側に伝え、その電信柱における開閉器を一旦開いて送電を制御することにより、電力供給の安定化を図る。この場合、図1の運用形態(a)から運用形態(b)或いは(c)に切り替えられる。一方、後者の例としては次のようなケースが考えられる。つまり、定常時(運用形態(a))に、基地局が各無線端末から各種データを収集している際に、ある無線端末からのデータが何らかの障害によって受信できなかった場合やある無線端末に関連付けられた開閉器のスイッチを切る場合に、基地局が能動的に運用形態を(a)から(b)または(c)に切り替え、制御信号を各無線端末に送信する。
<定常運用時のシーケンス>
図2は、無線通信ネットワーク装置の定常運用時(運用形態(a))のシーケンスを示す図である。
図2において、各無線通信装置(AP、NDA、NDB、NDC)から出ている縦線は時間の経過を示しており、下に位置する方が時間は後になる。時間経過の縦線の間を結ぶ横向きの矢印は、無線通信装置間の無線信号とその方向を示している。
定常運用時は、小出力の無線で近距離通信を行うため、無線基地局からの命令信号CMD(COMMAND)は無線基地局AP(110)、無線端末NDA(120a)、無線端末NDB(120b)、無線端末NDC(120c)の順にマルチホップで伝送される(時間161)。無線端末から無線基地局への応答信号REP(REPLY)は、NDC、NDB、NDA、APと逆順で伝送される(時間162)。
各信号の送信タイミングは時間管理されており、決まった時間に一通信が行われるとすると、各通信が重なって干渉を起こすことは生じない。いわゆるTDMA(Time Division Multiple Access:時分割多重アクセス)とすると、効率よくシステム構成ができる。必ずしもTDMAでなくても、FDMA(周波数分割多重アクセス)やCSMA(キャリアセンス多重アクセス)などの多重化システムを用いても良い。
各命令信号や応答信号の直後には、各無線装置が信号を受け取った確認のためアクノレッジ信号を返信しても良い。同様に各命令信号や応答信号の直前に、無線電波計測(受信)を行い、無線電波が無い時に送信し、無線電波が他で出ているときは一時的に送信しない、というキャリアセンスを入れても良い。また、シーケンス時間領域161と162は順番が逆になっても良いし、それぞれ複数回行っても良い。応答信号は、REP136、135、134それぞれが無線端末複数台分のデータを送信できる。例えばREP135では、NDB120bのデータのみを送信する場合もあるが、NDC120cのデータREP136のデータを含んでいる場合もある。
なお、定常時の運用として、CMDが基地局から各無線端末に送られてから各無線端末から基地局にREPが送られる場合と、REPが各無線端末から基地局に送られ、基地局から所定のタイミングでCMDが各無線端末に送られる場合がある。前者の場合、例えば、30分毎に基地局が各無線端末に各種データの送信を指示する命令(CMD)を送り、それに応答して各無線端末が該当するデータを送る(REP)。後者の場合、各無線端末がタイマを持っており、30分毎に各種データを基地局に送る。基地局は、所定のタイミングで(各種データの受信とは関係なく)例えば時刻合わせのデータを送る。なお、基地局が各種データを受信できなかった場合に、該当無線端末にデータの再送を要求するが、運用形態(b)(図3参照)にするか(c)(図4参照)にするかは受信できなかったデータの重要度による。例えば、電力検針メータにおける電力会社との契約が特別高圧契約の場合等には、必ずデータを受信できないといけないため、その場合の測定データは重要度が高くなり、運用形態(c)によってデータの送受信が制御されることになる。
<非定常運用時のシーケンス(1)>
図3は、無線通信ネットワークシステムの非定常運用時シーケンス(運用形態(b))を示す図である。
基地局からの制御信号伝送で、返信応答にそれほど高速性が求められないような場合に用いる。例えば、前述の各家庭における太陽電池からの電力供給量が徐々に増加しているが、所定の閾値を超える前である場合には、図3(運用形態(b))が用いられる。
基地局AP(110)は下り回線で高出力を行い、命令信号141を全無線端末NDA(120d)、NDB(120e)、NDC(120f)に一度に同時に伝える。返信信号は、すべて低出力で行われる。
非定常運用の送信時間割り当ては、図2の定常運用時と同じになっており、両者の共存が可能である。もし、定常運用のシステムの中で非定常運用を優先させたい場合、あるいは早い応答が望ましい場合には、無線基地局からの命令信号送信直後の時間スロットを用いて応答信号伝送に利用することができる。あるいは、低遅延伝送が必要な信号送信の時のみキャリアセンス時間を短くするという手段もあり得る。この方法は、時間割り当てが重なってしまった場合、キャリアセンス時間を短くした端末が優先的に送信できる、というものである。
シーケンス時間領域163(時間161と同一の間隔)と164は順番が逆になっても良いし、それぞれ複数回行っても良い。また、時間領域163を時間領域161(図2参照)よりも短縮しても良い。
<非定常運用時のシーケンス(2)>
図4は、無線通信ネットワーク装置の非定常運用時シーケンス(運用形態(c))を示す図である。
無線端末が異常データを計測し、高速で無線基地局に伝えるとともに、すぐに無線基地局からの制御信号を受け取る必要がある場合等に用いられる運用形態である。例えば、前述の各家庭における太陽電池からの電力供給量が所定の閾値を超えた場合や、何らかの原因により電線が切断され、ショートしたときに無線端末(NDC)が遠距離通信を使って基地局に通知し、基地局から無線端末を制御する(開閉器のスイッチを切る)場合に、図4(運用形態(c))が用いられる。
基地局AP(110)は下り回線で高出力を行い、命令信号145を全無線端末NDA(120g)、NDB(120h)、NDC(120i)に一度に同時に伝える。返信信号(もしくはデータ送信信号)は、直接無線基地局APに届くように出力が調整されている。無線端末NDAからは小電力、無線端末NDBからは中電力、無線端末NDCからは大電力の通信を行う。
非定常運用の送信時間割り当ては、図2の定常運用時と同じになっており、両者の共存が可能である。もし、定常運用のシステムの中で非定常運用を優先させたい場合、あるいは早い応答が望ましい場合には、無線基地局からの命令信号送信直後の時間スロットを用いて応答信号伝送に利用することができる。あるいは、低遅延伝送が必要な信号送信の時のみキャリアセンス時間を短くするという手段もあり得る。この方法は、時間割り当てが重なってしまった場合、キャリアセンス時間を短くした端末が優先的に送信できる、というものである。
シーケンス時間領域165と166は順番が逆になっても良いし、それぞれ複数回行っても良い。
<無線端末の動作(受信待機時)>
図11は、第1の実施形態、及び後述の各実施形態における無線端末の動作(受信待機時)を説明するためのフローチャートである。
各無線端末は、基地局からの命令信号の内容に応じて、送信出力を変化せている。基地局からの命令信号が定常通信であれば(ステップ212)、各無線端末は、低出力を用い(ステップ213)、非定常通信であれば、無線端末の位置に応じて(ステップ215)、中出力もしくは高出力に設定し(ステップ216)、無線中継局もしくは無線基地局に直接送信を行う(ステップ217)。低出力、中出力、高出力の設定は、無線端末の設置位置に応じてあらかじめ決めておくことも可能である。あるいは、基地局からの高出力信号に対して受信電波強度あるいは受信成功率などを無線端末で計測し、その値に応じて自動設定しても良い。
なお、無線基地局の動作は、無線端末とほぼ同じであるが、ステップ216において高出力のみの設定となる。
<無線端末の動作(測定時)>
図12は、第1及び後述の各実施形態における無線端末の動作(データ計測時)を説明するためのフローチャートである。
無線端末に含まれた、あるいは接続されたセンサの計測値に閾値を設けられている。各無線端末は、計測値が閾値より高い、もしくは低い時を正常と判断し、それ以外を異常と判断する(ステップ222)。測定データが異常値の場合、各無線端末は、中出力もしくは高出力設定とし(ステップ225)、無線基地局もしくは無線中継局に直接データを伝送する(ステップ226)。測定データが正常な場合には、各無線端末は、低出力設定とし(ステップ223)、近接の無線端末に測定値を送信する(ステップ224)。
<無線通信装置の内部構成>
図13は、本発明の第1及び後述の各実施形態における無線基地局、無線端末、無線中継局の無線通信装置の概略構成例を示す図である。無線基地局、無線端末、及び無線中継局においてハードウェア構成は同一であり、ソフトウェア構成(動作)のみ異なっている。
無線通信装置は、電源回路POW(311)と、タイマTIM(312)と、電源スイッチPSW(313)と、センサSEN(314)と、マイコンMIC(315)と、無線回路RF(316)と、増幅回路PAC(317)と、スイッチSW(318)と、バンドパスフィルタBPF(319)と、アンテナANT(321)と、を有している。
電源回路POWは電源をタイマTIMに供給する。タイマTIMは時間を計測するとともに電源スイッチPSWに電源を供給する。また、タイマTIMはセンサSENやマイコンMICの起動、停止(スリープ)などを制御する。電源スイッチPSWは、センサSEN、マイコンMIC、無線回路RF、増幅回路PAC、スイッチSWのそれぞれに電源を供給する。電源スイッチPSWは、各回路毎に独立して電源の供給と遮断を制御できる。センサSENはセンサによる計測データをマイコンMICに送る。マイコンMICは起動信号や遮断信号などの制御信号を電源スイッチPSW、無線回路RF、増幅回路PAC、スイッチSWへ送る。また、マイコンMICは無線で送信するデータを無線回路RFに送り、無線回路RFが受信したデータをマイコンMICで処理する。無線回路RFはマイコンMICから受けた送信データを無線電波に変換し出力する。無線回路RFにおけるTXは送信端子、RXは受信端子を示す。増幅回路PACは無線回路RFから受けた信号電力を増加して大出力に変える。増幅回路PACは複数のスイッチSWA、SWBと増幅器PAから構成される。増幅器PAが用いられるときはSWAをオン、SWBをオフにすることで、PAに電力供給を行う。増幅器PAを用いないときは、SWAをオフにして、SWBを接続し、無線信号が素通しとなるようにしている。スイッチSWはマイコンMICの制御信号で接続を変え、無線送信時には無線回路RFからのTX出力をバンドパスフィルタBPFとアンテナANTに伝える。
無線通信装置は、マイコンMICの自律的な判断により送信出力の切替や消費電力の削減を可能としている。また、定期的な通信に用いられる場合は、タイマTIMを用いて他の構成回路すべての電源を遮断することで、さらに消費電力削減を可能とする。
例えば、センサSENの計測データをマイコンMICに送り、データ値を閾値と比較して高いか低いかで、増幅器PAの使用もしくは不使用を決める。あるいは、無線通信による受信データをマイコンMICで判断し、必要に応じてマイコンMICが出力を選択する。
図13の無線通信装置の回路ブロックのうち、無線回路RF、増幅回路PAC、スイッチSW、バンドパスフィルタBPF、アンテナANTをまとめて無線通信アナログ回路部とする。図14及び15は、無線通信アナログ回路部の構成例を示す図である。
無線通信アナログ回路は、基本的に、無線回路RFと、増幅回路PAC(若しくは増幅器PA)と、スイッチSWと、バンドパスフィルタBPFと、アンテナANTと、必要に応じてローパスフィルタLPFと、を組み合わせて構成される。
図14の無線通信アナログ回路では、不要輻射を抑えるためにフィルタ類が多く用いられている。フィルタ類は無線通信アナログ回路の中で信号電力の損失(減衰)を増やすため、少ない方が良い。図の左から説明すると、無線回路RFの出力が持つ不要輻射は、最初のローパスフィルタLPFで抑制される。スイッチを通して、再度不要輻射を抑えるために、バンドパスフィルタBPFまたはローパスフィルタを用いる。バンドパスフィルタBPFは、特に高出力を実現するための増幅器PAの不要輻射をあらかじめ抑えるために用いる。増幅器PAの後ろ(右側)にバンドパスフィルタBPFを用いる方が効果は高いことが多いが、バンドパスフィルタBPFに増幅器PAの大きな出力をつなげると、バンドパスフィルタの使用可能寿命が短くなることがあり、寿命を長くするためには前段(左側)に配置すると良い。その場合、さらに増幅器PAの後段右側にローパスフィルタLPFを配置する。さらに、スイッチを経て、アンテナANTに出力される前に、バンドパスフィルタとローパスフィルタを配置する。このような配置は、送信の不要輻射を抑制することが可能であるとともに、受信の際に不要な電波を無線回路RFに伝えないという効果もある。このような配置でフィルタを多用することで、不要輻射は抑えられるが、実際には、必要な電波電力にも抑制の影響があり、また回路規模やコストへの影響も配慮すると、フィルタの数や組み合わせを多種考えることができる。
図15は、無線通信アナログ回路のうちフィルタやスイッチの組み合わせを変えた構成例を示している。組み合わせによって、以下のような特質がある。
図15Aの構成は、信号減衰が少なく、小回路規模、他無線受信ノイズ低減の効果があるが、バンドパスフィルタに高電力が入力されるため、寿命が短くなる。
図15Bの構成は、回路規模、信号減衰、バンドパスフィルタ寿命の観点で有利だが、受信時に他無線のノイズの影響を受けやすい。
図15Cの構成は、信号減衰と他無線受信ノイズへの耐性の点で良いが、バンドパスフィルタの寿命が短い。
図15Dの構成は、バンドパスフィルタへの影響が少ないが、他の観点では欠点が多い。
図15Eの構成は、信号減衰、他無線ノイズの観点で良いが、バンドパスフィルタ寿命に影響する。
図15Fの構成は、バンドパスフィルタへの影響少ないが、他無線ノイズの影響が多い。
(2)第2の実施形態
<システムの構成>
図5乃至7は、本発明の第2の実施形態による無線通信ネットワークシステムの概略構成例を示す図である。なお、図5乃至7には、1経路のみの基地局、無線端末、無線中継局の接続関係が示されているが、経路数や無線中継局間の無線端末数は任意である。
スマートグリッドなどで、電線に沿って無線通信装置を配置するような場合、必要な距離が数10kmと長くなる。このような場合は、マルチホップ数を増やせば良いが、単純に追加するだけでは、末端の無線端末への通知が大変遅くなる。
そこで、図5に示すように、所定間隔で無線中継局RELを設置するようにしている。上述のように、設置間隔は任意であり、適宜調整可能である。
無線中継局は、高出力で遠距離通信可能な無線通信装置とする。無線中継局間(例えばREL170aとREL170aaの間)は、図1の動作と同じになる。
図5において、無線端末NDA(120a、120aa・・・)およびNDB(120b、120bb・・・)は、無線中継局を兼ねることができるように構成されている。また、無線中継局(170a、170aa・・・)は、信号中継機能を主とするが、無線端末の機能を兼ね備えていても良い。
無線基地局および各無線端末は、通信のための送信電波出力(電波強度)を3種類に変えることができる。ここで、3種類の送信電波出力を小出力、中出力、大出力と呼ぶことにする。例えば、920MHz帯では1mW(小出力)、20mW(中出力)、250mW(大出力)の出力を出すことが可能であり、それぞれおよそ、10〜数10m、100〜数100m、1k〜数km程度の伝送距離で無線通信が可能である。
無線基地局(110)からの距離で、領域を近距離151、中距離152、遠距離153と分けることとする。近距離151には無線端末NDA(120a)が、中距離152には無線端末NDB(120b)が、遠距離153には無線端末NDC(120c)が配置される。同様に、無線中継局(170a)からの距離で、領域を近距離151、中距離152、遠距離153と分けることとする。近距離151には無線端末NDA(120aa)が、中距離152には無線端末NDB(120bb)が、遠距離153には無線端末NDC(120cc)が配置される。以下、無線基地局(110)と無線端末(120a、120b、120c)の関係は、無線中継局(170a)と無線端末(120aa、120bb、120cc)の関係と同じである。
また、無線端末の位置(距離)と送信出力の関係は次のようになる。無線基地局APと近距離151の無線端末NDAとの間、無線端末NDAとNDB間、無線端末NDBとNDC間は、それぞれ小出力の送信電波で無線通信が可能である。無線基地局APと中距離152の無線端末NDBとの間、無線端末NDAとNDC間は、中出力の送信電波で無線通信が可能である。無線基地局APと遠距離153の無線端末NDCとの間は、大出力の送信電波で無線通信が可能である。
無線通信ネットワーク装置の定常的な運用として、例えばスマートメータを想定する。スマートメータにおいては、無線端末が電力メータとつながっており、定期的にメータ検針値を基地局に送る。メータデータは、無線基地局からの命令信号に対する無線端末の応答信号として送っても良いし、無線端末がタイマによって定期的にメータデータを取得、送信し、基地局がデータを受け取ったことを返信する、という手順でも良い。
スマートメータのような無線通信ネットワークの運用では、大規模(多数)の無線端末が一定時間(例えば30分)でデータ送信を行う必要がある。お互いの無線電波干渉を避け、大規模管理を行うため、送信電波出力は小さい方が好ましく、小出力電波が用いられる。この運用では、AP(110)、NDA(120a)、NDB(120b)、NDC(120c)のネットワークで示されているように、各無線端末間で通信を行い、NDAやNDBは無線中継局も兼ねて、無線基地局APまでデータを伝送する。
一方で、無線通信ネットワーク装置の非定常な運用として、各無線端末への制御信号送信や、各無線端末の計測データ異常が挙げられる。
例えば、スマートグリッド制御では、各無線端末に電力送配電用の各種機器が接続されている。例としては、開閉器(電力スイッチ)、電圧生成器、無効電力調整器などがある。これらの機器に対して、無線基地局経由で無線端末に制御信号を送り、各機器の動作を遠隔で操作することができる。電力の需給バランスが危ういような状況では、急峻に電力消費が増加し、発電が賄えないような場合に、一瞬で開閉器を切ることも望まれている。従って、制御用の信号伝送は低遅延(または高速、短時間)で行う必要がある。
また、同様にスマートグリッド用の各種機器は、動作状況監視のために定期的に状態をモニタし、状態計測データを無線基地局に伝送している。状態計測データの収集は、データ値が正常であれば、無線端末をスマートメータと同じシステム上で混在させることができる。しかしながら、データ値が異常を示す場合には、無線端末が低遅延(または高速、短時間)で異常データを無線基地局に伝え、さらにフィードバックを無線基地局から受信することが要求されている。
図6におけるAP(110)、NDA(120d)、NDB(120e)、NDC(120f)のネットワークは、無線基地局APからの信号を早急に伝えるため、無線基地局APの送信電力を大出力とした例である。(以下、無線基地局110と無線端末120d、120e、120fの関係と、無線基地局170bと無線端末120dd、120ee、120ffの関係は同じ)無線基地局APの信号は無線端末NDA(120d)、NDB(120e)、NDC(120f)の3領域すべてに一度で到達する。制御信号の送信などの場合、確認の返信について時間制約が無い場合には、定常運用と共存するために小出力を選択する。すなわち、無線基地局APから無線端末方向への下り回線(ダウンリンク)送信には大出力を、逆方向の上り回線(アップリンク)送信には小出力を行う。
図7におけるAP(110)、NDA(120g)、NDB(120h)、NDC(120i)のネットワークは、無線通信基地局と各無線端末の間で往復の信号伝送を低遅延で行う例である。(以下、無線基地局110と無線端末120g、120h、120iの関係と、無線基地局170cと無線端末120gg、120hh、120iiの関係は同じ)無線基地局APの信号は無線端末NDA(120g)、NDB(120h)、NDC(120i)の3領域すべてに一度で到達する。無線端末NDA(120g)は近距離151の領域にあるので、小出力でも無線基地局APに返信できる。無線端末NDB(120h)は中距離152の領域にあるので、中出力で送信すると無線基地局APに直接返信できるようになる。無線端末NDC(120i)は遠距離153領域にあるので、高出力で送信すると無線基地局APに直接返信ができる。例えば無線端末のうちいずれかで異常値が検出され、早急に基地局に伝えるとともに基地局からの制御信号を無線端末が受ける必要がある場合には、上り回線、下り回線の両方とも無線基地局と直接接続できる本方式が適している。
<定常運用時のシーケンス>
図8は、無線通信ネットワーク装置の定常運用時シーケンス(図5に対応)を示す図である。
各無線通信装置(AP、NDA、NDB、NDC)から出ている縦線は時間の経過を示しており、下に位置する方が時間は後になる。時間経過の縦線の間を結ぶ横向きの矢印は、無線通信装置間の無線信号とその方向を示している。
定常運用時、基地局110と中継局170a、170aaの間は高出力な無線通信で通信が接続している。基地局110からの命令信号130aは直接無線中継局170aに、130cは無線中継局170aから170aaへ伝わる。応答信号は170aから110へ130bとして、また170aaから170aに130dとして、返信される(時間167)。ただし、全経路が順次小出力無線で通信する場合は、かならずしもこのシーケンスが存在するとは限らない。
定常運用時は、小出力の無線で近距離通信を行うため、無線基地局からの命令信号CMDは無線基地局AP(110)、無線端末NDA(120a)、無線端末NDB(120b)、無線端末NDC(120c)の順にマルチホップで伝送される(時間168)。無線端末から無線基地局への応答信号REPは、NDC、NDB、NDA、APと逆順で伝送される(時間169)(以下、基地局(110)と端末(120a、120b、120c)の関係は、無線中継局(170a)と端末(120aa、120bb、120dc)の関係と同じである)。
時間167、168、169の順序は入れ替えることができ、また複数回発生させることもできる。
各信号の送信タイミングは時間管理されており、決まった時間に一通信が行われるとすると、各通信が重なって干渉を起こすことは生じない。いわゆるTDMA(Time Division Multiple Access:時分割多重アクセス)とすると、効率よくシステム構成ができる。必ずしもTDMAでなくても、FDMA(周波数分割多重アクセス)やCSMA(キャリアセンス多重アクセス)などの多重化システムを用いても良い。
各命令信号や応答信号の直後には、各無線装置が信号を受け取った確認のためアクノレッジ信号を返信しても良い。同様に各命令信号や応答信号の直前に、無線電波計測(受信)を行い、無線電波が無い時に送信し、無線電波が他で出ているときは一時的に送信しない、というキャリアセンスを入れても良い。また、シーケンス時間領域168若しくは169内における、図2相当の161と162は順番が逆になっても良いし、それぞれ複数回行っても良い。応答信号は、REP136、135、134それぞれが無線端末複数台分のデータを送信できる。例えばREP135では、NDB120bのデータのみを送信する場合もあるが、NDC120cのデータREP136のデータを含んでいる場合もある。
無線中継局(170a)は、端末(120aa、120bb、120cc)からの応答信号をまとめてREP130bbとして基地局(110)に返信する。あるいは、小出力で端末(120c、120b、120a)を経由して基地局(110)に返信することも可能である。
<非定常運用時のシーケンス(1)>
図9は、第2の実施形態による無線通信ネットワークシステムの非定常運用時のシーケンス(図6に対応)を示す図である。これは、基地局からの制御信号伝送で、返信応答にそれほど高速性が求められないような場合に用いる運用形態である。
無線基地局(110)と無線中継局(170b、170bb)の間は高出力な無線通信で通信が接続している。無線基地局(110)からの命令信号(CMD)141は、直接無線中継局(170b)に送信され、命令信号141aは無線中継局(170b)から中継局(170bb)に直接送信される。応答信号は無線中継局(170b)から基地局(110)へ応答信号REP130eとして、また無線中継局(170bb)から無線中継局(170b)に応答信号REP130fとして、返信される(時間171)。ただし、全経路が順次小出力無線で通信する場合は、かならずしもこのシーケンスが存在するとは限らない。
無線基地局AP(110)は下り回線で高出力を行い、命令信号141を全無線端末NDA(120d)、NDB(120e)、NDC(120f)に一度に同時に伝える。返信信号は、すべて低出力で行われる。
非定常運用の送信時間割り当ては、図8の定常運用時の場合と同じになっており、両者の共存が可能である。もし、定常運用のシステムの中で非定常運用を優先させたい場合、あるいは早い応答が望ましい場合には、無線基地局からの命令信号送信直後の時間スロットを用いて応答信号伝送に利用することができる。あるいは、低遅延伝送が必要な信号送信の時のみキャリアセンス時間を短くするという手段もあり得る。この方法は、時間割り当てが重なってしまった場合、キャリアセンス時間を短くした端末が優先的に送信できる、というものである。以下、無線基地局(110)と無線端末(120d、120e、120f)の関係は、無線中継局(170b)と無線端末(120dd、120ee、120ff)の関係と同じである。
シーケンス時間領域171と172、173は順番が入れ替わっても良いし、それぞれ複数回行っても良い。
<非定常運用時のシーケンス(2)>
図10は、無線通信ネットワークシステムの非定常運用時シーケンス(図7に対応)を示す図である。
無線端末が異常データを計測し、高速で無線基地局に伝えるとともに、すぐに無線基地局からの制御信号を受け取る必要がある場合に用いる。
各無線通信装置(AP、NDA、NDB、NDC)から出ている縦線は時間の経過を示しており、下に位置する方が時間は後になる。時間経過の縦線の間を結ぶ横向きの矢印は、無線通信装置間の無線信号とその方向を示している。
定常運用時、無線基地局(110)と無線中継局(170c、170cc)の間は高出力な無線通信で通信が接続している。基地局(110)からの命令信号CMD145は直接無線中継局(170c)に、命令信号CMD145aは無線中継局(170c)から無線中継局(170cc)に送信される。応答信号は170cから110へ130gとして、また170ccから170cに130hとして、返信される(時間174)。ただし、全経路が順次小出力無線で通信する場合は、かならずしもこのシーケンスが存在するとは限らない。
無線基地局AP(110)は下り回線で高出力を行い、命令信号145を全無線端末NDA(120g)、NDB(120h)、NDC(120i)に一度に同時に伝える。返信信号(もしくはデータ送信信号)は、直接無線基地局APに届くように出力が調整されている。無線端末NDAからは小電力、無線端末NDBからは中電力、無線端末NDCからは大電力の通信を行う。
非定常運用の送信時間割り当ては、図8の定常運用時と同じになっており、両者の共存が可能である。もし、定常運用のシステムの中で非定常運用を優先させたい場合、あるいは早い応答が望ましい場合には、無線基地局からの命令信号送信直後の時間スロットを用いて応答信号伝送に利用することができる。あるいは、低遅延伝送が必要な信号送信の時のみキャリアセンス時間を短くするという手段もあり得る。この方法は、時間割り当てが重なってしまった場合、キャリアセンス時間を短くした端末が優先的に送信できる、というものである。以下、無線基地局(110)と無線端末(120g、120h、120i)の関係は、無線中継局(170c)と無線端末(120gg、120hh、120ii)の関係と同じである。シーケンス時間領域174と175、176は順番が逆になっても良いし、それぞれ複数回行っても良い。
(3)第3の実施形態
図16は、本発明の第3の実施形態による無線通信ネットワークシステムの概略構成例を示す図である。
無線端末(412)および無線端末(413)が無線通信ネットワークを構成し、無線端末(414)および無線端末(415)が別の無線通信ネットワークを構成する。無線基地局(411)は、定常時には無線端末(412)と無線端末(414)と通信を行う。この構成は、図1における、無線端末(120a)および無線端末(120b)が無線通信ネットワークを構成し、当該無線通信ネットワークが複数存在し、無線基地局110と通信する構成に相当する。
無線基地局(411)からの命令信号CMD421が出された場合、無線通信ネットワークのうち無線端末(412)から無線端末(413)に命令信号CMDが伝えられ、無線端末(413)からの応答信号REP423と無線端末(412)からの応答信号REP424が順次、無線基地局(411)に返される。同様に、別の時刻において、無線基地局(411)からの命令信号CMD425が別の無線通信ネットワークを構成する無線端末(414)および無線端末(415)に伝えられ、応答信号REP427を経て応答信号REP428が無線基地局(411)に返信される。
無線端末(412)及び無線端末(413)が構成する無線通信ネットワークと、無線端末(414)及び無線端末(415)が構成する無線通信ネットワークの間では、時刻情報の共有はなく同期を行っておらず、互いに非同期であるが、無線基地局(411)からの命令信号CMDで各々の無線端末(412、414)が無線基地局と時刻同期することにより、お互いの無線通信ネットワークの無線電波信号がぶつかりあって干渉することがないように制御される。
(4)第4の実施形態
図17は、本発明の第4の実施形態による無線通信ネットワークシステムの概略構成例を示す図である。
無線端末(412)および無線端末(413)が無線通信ネットワークを構成し、無線端末(414)および無線端末(415)が別の無線通信ネットワークを構成する。無線基地局(411)は、定常時には無線端末(412)と無線端末(414)と通信を行う。図1において、無線端末(120a)および無線端末(120b)が無線通信ネットワークを構成し、当該無線通信ネットワークが複数存在し、無線基地局110と通信する構成に相当する。
無線端末(413)からは定常もしくは異常の応答連絡431が行われる。また、無線端末(415)からは定常もしくは異常の応答連絡432が行われる。応答連絡431及び432は、距離的にお互い無線電波が届かないため、干渉の心配がなく、同期する必要は無い。
無線端末(412)や無線端末(414)が基地局(411)に応答信号REPを返す場合には、基地局(411)において無線電波が干渉する可能性がある。そこで、これを回避するため、無線端末(412)は、応答信号REP431の情報や無線端末(412)が有する応答信号REPを保持して待機し、無線端末(414)は、応答信号REP432の情報や無線端末(414)が有する応答信号REPを保持して待機する。
無線基地局(411)は命令信号CMD433を無線端末(412)、及び無線端末(414)に伝送する。異常時においては、無線基地局(411)の出力を高くして、無線端末(413)や無線端末(415)にも、同じ命令信号433を同時に届けることができる。各無線端末(412、413、414、415)は、無線基地局(411)の命令信号CMD433で時刻情報を共有し、必要な順に応答信号REP434、435、436、437を返信する。この手順は、命令信号CMD433で決めてもよいし、図20に示される別の手段で行っても良い。
<通信シーケンス>
図20は、無線通信の優先度を自動的に決める通信シーケンスを示す図である。
図20において、A、B及びCのそれぞれは、無線端末もしくは無線中継局もしくは無線基地局に相当する。よって、ここでは、無線通信装置と呼ぶこととする。
無線通信装置Aに対して、無線通信装置B及びCがそれぞれ同じタイミングでデータを伝送すると、電波がぶつかりあって干渉を起こし、通信が失敗する。
これを回避するため、キャリアセンスという、電波が使われているかどうかを調査する期間が設けられている。キャリアセンス513で電波が使われていなければ、無線通信装置Bは電波を無線通信装置Aに送信514する。無線通信装置Aはデータを受信511して、受けたことを知らせるためのアクノレッジ信号を送信512する。無線通信装置Bはアクノレッジ信号を受信515して、一つのタイムスロット時間を用いる通信シーケンスが完了する。
無線通信装置B及びCが同じタイムスロット内で通信すると、干渉が起きるが、それを防ぐ方法は次のとおりである。つまり、無線通信装置B及びCのキャリアセンス時間513と516の長さが異なるように設定される。キャリアセンス時間が長い516では、キャリアセンス中に無線通信装置Bがデータ送信514を行うため、電波が使われていると判断し、無線通信装置Cは同じタイムスロットでの送信を停止する。無線通信装置Cは別のタイムスロットで、再度キャリアセンスから開始して、送信可能であればデータを送信することになる。データ送信の優先度に応じてキャリアセンス時間を調整することで、無線電波が干渉することを防ぐことができる。キャリアセンス時間が短い方が、優先的に通信を行いやすくなる。
(5)第5の実施形態
図18は、本発明の第5の実施形態による無線通信ネットワークシステムの概略構成例を示す図である。
無線端末(442)及び無線端末(443)が無線通信ネットワークを構成し、無線端末(445)及び無線端末(446)が別の無線通信ネットワークを構成する。また、無線基地局(441)の電波は高い出力で無線中継局(444)まで到達し、無線中継局(444)の電波は高い出力で無線中継局(447)まで到達する。
無線基地局(441)は、定常時には無線端末(442)と通信を行う。また、無線基地局(441)は定常時の信号を無線中継局(444)に伝える。無線中継局(444)は、定常時には無線端末(445)と通信を行い、また、無線中継局(447)に伝える。これは、図5において、無線端末(120a)および無線端末(120b)が無線通信ネットワークを構成し、無線中継局(170a)に対して無線端末(120aa)および無線端末(120bb)が無線通信ネットワークを構成することに相当する。
無線基地局(441)と無線中継局(444)及び無線中継局(447)との間は、定期的に命令信号CMD451やCMD453と応答信号REP452やREP454を通信する。
無線基地局からの命令信号CMD461が出された場合、無線通信ネットワークのうち無線端末(442)から無線端末(443)に命令信号CMDが伝えられ、無線端末(443)からの応答信号REPと無線端末(442)からの応答信号REPが順次、無線基地局(441)へ返される。同様に、別の時刻において、無線基地局(441)からの命令信号CMD451が無線中継局(444)に伝えられ、無線中継局(444)が命令信号CMD465及び466として順次無線端末に伝える。応答信号REP467及び468を経て、無線中継局(444)は、応答信号REP469を無線基地局(441)に返信する。
無線端末(442)及び無線端末(443)が構成する無線通信ネットワークと、無線端末(445)及び無線端末(446)が構成する無線通信ネットワークの間では、時刻情報の共有はなく同期処理を行っていない。ただし、無線基地局(441)からの命令信号CMDによって、無線中継局(444)および無線中継局(447)は、時刻情報を共有して同期している。無線基地局(441)への応答信号REP452、REP464、及びREP469は、時刻同期することが可能で、お互いの無線通信ネットワークの無線電波信号がぶつかりあって干渉することは生じない。
(6)第6の実施形態
図19は、本発明の第6の実施形態による無線通信ネットワークシステムの概略構成例を示す図である。
図19において、無線端末(442)および無線端末(443)が無線通信ネットワークを構成し、無線端末(445)および無線端末(446)が別の無線通信ネットワークを構成する。また、無線基地局(441)の電波は、高い出力で無線中継局(444)まで到達し、無線中継局(444)からの電波は高い出力で無線中継局(447)まで到達するように構成されている。
無線基地局(441)は、定常時には無線端末(442)と通信を行う。また、無線基地局(441)は、定常時の信号を無線中継局(444)に伝える。無線中継局(444)は、定常時には無線端末(445)と通信を行い、さらに、命令信号CMDを無線中継局(447)に伝える。これは、図5において、無線端末(120a)および無線端末(120b)が無線通信ネットワークを構成し、無線中継局(170a)に対して無線端末(120aa)および無線端末(120bb)が無線通信ネットワークを構成することに相当する。
無線端末(443)や無線端末(472)が非定常時などに応答信号REPを生成した場合、無線端末(442)や無線端末(445)で応答信号情報を記憶して待機する。この応答信号REP471とREP472の通信は、電波が干渉しない距離で行われるため、時刻同期を行う必要が無い。一方、無線端末(442)や無線端末(443)が無線基地局(441)に応答信号REP返信する場合、応答信号REP474及びREP475が、無線中継局(444)からの応答信号REP476等と干渉する可能性がある。その場合、無線端末(442)、無線端末(443)及び無線中継局(444)は、無線基地局(441)からの命令信号CMD474を受信し、その信号と時刻情報を共有し、応答信号REP474、REP475、及びREP476を、所定の優先順位等に従って返信する。優先順位は、図17で説明した方法と同様の方法によって決めることができる。また、無線中継局(444)からの命令信号CMD477に対して、応答信号REP478及びREP479を時刻同期させて通信することも可能である。なお、応答信号REP474及びREP475と、応答信号REP477及びREP478との間では同期する必要は無い。また、無線中継局(444)は、無線端末(445)や無線端末(446)からの応答信号REPを記憶、待機し、無線基地局(441)と同期した時刻タイミングで応答信号476を返信する。
(7)まとめ
(i)本発明の無線通信ネットワークシステムでは、複数の無線端末によって1つの無線通信ネットワークが構成され、当該無線通信ネットワークが前記無線通信ネットワークシステム内に複数存在する。また、複数の無線端末のそれぞれは、受信した情報を他の無線端末或いは無線基地局に中継する無線中継局としても動作可能である。このようなシステムにおいて、無線基地局は、1つの無線通信ネットワークに含まれる複数の無線端末に関して時刻同期処理を実行し、また、異なる無線通信ネットワークに含まれる無線端末間(ネットワーク1に含まれる無線端末とネットワーク2に含まれる無線端末)を異なる時刻で動作するように制御する。また、無線基地局は、複数の無線通信ネットワークのそれぞれにおいて通信を実行するときに、通信対象の無線通信ネットワーク内の複数の無線端末との間で時刻同期処理を実行する。このようにすることにより、定常時において複数の無線通信ネットワークが互いに同期しない構成においても、無線基地局と各無線通信ネットワークの間の通信が干渉を生じることがない。従って、定常時の通信と非定常時の通信をお互いの通信品質に影響を与えずに同じ無線通信ネットワークで実現することを可能となる。
(ii)また、無線基地局は、第1の値と第2の値(第2の値>第1の値)の間で、送信電波出力を切り替えて、複数の無線端末との通信を実行する。このようにすることにより、無線基地局は、非定常時に遅滞なく必要な制御を実行することができ、遅滞なく必要な情報を取得することができるようになる。送信電波出力を切り替えてシステムを運用する形態には主に以下の4つがある。なお、出力の切り替えは、通信すべきデータの内容に応じて行ったり、無線端末からの計測データの値に応じて行ったりすることができる。
運用形態1(第2の実施形態に相当):無線基地局は、第1の距離(近距離)にある無線端末に対して第1の値の送信電波出力(小出力)で通信し、第2の距離(遠距離)にある中継局に対して第2の値(中出力或いは高出力)の送信電波出力で通信する。そして、第2の距離にある中継局は、第1の距離にある無線端末に対して、第1の値の送信電波出力(小出力)で通信する。このような構成により、基地局から中継局に対しての命令を即座に到達させることができ、基地局からは直接制御できない距離にある各無線端末の動作制御を迅速に行える。一方、各無線端末からのデータ送信を定常時と同じように制御するので、遠距離にある無線端末からのデータ収集の迅速さが要求されない状況に適切に(省電力化)対応することできる。
運用形態2(図1の運用形態(a)に相当):無線基地局は、第1の距離にある無線端末との間の通信を、第1の値の送信電波出力(小出力)で実行する。そして、第1の距離にある無線端末と、第2の距離にある無線端末とは、互いに、第1の値の送信電波出力(小出力)で通信を行う。このようにすることにより、定常時の通信を小電力化することが可能となる。
運用形態3(図1の運用形態(b)に相当):無線基地局は、第1の距離(近距離)にある無線端末及び第2の距離(遠距離)にある無線端末に対して、第2の値の送信電波出力(中出力或いは高出力)で通信する。そして、第1及び第2の距離にある無線端末は、互いに、第1の値の送信電波出力で通信する。このようにすることにより、基地局から各無線端末を迅速に制御することができ、各無線端末からのデータ収集を急がない場合に適切に対応することができるようになる。
運用形態4(図1の運用形態(c)に相当):無線基地局は、第1の距離(近距離)にある無線端末と、第2の距離(遠距離)にある無線端末に対して、第2の値の送信電波出力(中出力或いは高出力)で通信する。そして、近距離の無線端末は、無線基地局に対して、第1の値の送信電波出力で通信する一方、遠距離にある無線端末は、無線基地局に対して、第2の値の送信電波出力で通信する。このようにすることにより、無線基地局は、各無線端末を迅速に制御することができると共に、各無線端末から迅速に必要な情報を取得することができるようになる。
(iii)無線基地局及び複数の無線端末が通信を実行する時間は、通信に用いる送信電波出力の値に関係なく、予め決められている。つまり、TDMA方式によって通信が制御されている。このようにすることにより、各通信における干渉を回避することができるようになる。
(iv)本発明の無線通信システム(第2の実施形態に相当)では、無線基地局からの命令を中継する無線中継局が設けられている。この無線中継局は、通常の無線端末とは異なり、センサを保持しておらず、所定のデータを測定することはないし、無線基地局に対してデータを送信することはなく、受信した情報を中継するだけの動作を実行する。この無線中継局は、無線基地局から無線中継局の設置場所よりも遠隔に設置された無線端末である遠隔無線端末に対して、無線基地局として動作する。つまり、無線中継局は、無線基地局と自身の無線中継局との間(無線中継局が複数設置されている場合には、1つ前の無線中継局と自身の無線中継局との間)の命令の送信形態を踏襲する。そして、無線中継局は、無線基地局が行ったのと同じ様に、送信電波出力を切り替えながら遠隔無線端末に対して通信を実行する。また、無線中継局は、遠隔無線端末から受信した応答信号を、第2の値の送信電波出力(中出力或いは高出力)で無線基地局に送信する。このように無線中継局を設けることにより、無線基地局から遠くの場所にある無線端末(高出力でも効率よく通信不可能な場所に設置された無線端末)を適切に制御することができ、その端末から確実にデータを収集することができる。
(v)本発明は、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
さらに、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD−RW、CD−R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
最後に、ここで述べたプロセス及び技術は本質的に如何なる特定の装置に関連することはなく、コンポーネントの如何なる相応しい組み合わせによってでも実装できることを理解する必要がある。更に、汎用目的の多様なタイプのデバイスがここで記述した教授に従って使用可能である。ここで述べた方法のステップを実行するのに、専用の装置を構築するのが有益であることが判るかもしれない。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。本発明は、具体例に関連して記述したが、これらは、すべての観点に於いて限定の為ではなく説明の為である。本分野にスキルのある者には、本発明を実施するのに相応しいハードウェア、ソフトウェア、及びファームウエアの多数の組み合わせがあることが解るであろう。例えば、記述したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
さらに、上述の実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。
加えて、本技術分野の通常の知識を有する者には、本発明のその他の実装がここに開示された本発明の明細書及び実施形態の考察から明らかになる。記述された実施形態の多様な態様及び/又はコンポーネントは、データを管理する機能を有するコンピュータ化ストレージシステムに於いて、単独又は如何なる組み合わせでも使用することが出来る。明細書と具体例は典型的なものに過ぎず、本発明の範囲と精神は後続する請求範囲で示される。
110、411、441・・・無線基地局
120a乃至i、120aa乃至120ii・・・無線端末
170a乃至c、170aa乃至cc・・・無線中継局
311・・・電源回路
312・・・タイマ
313・・・電源スイッチ
314・・・センサ
315・・・マイコン
316・・・無線回路
317・・・増幅回路
318・・・スイッチ
319・・・フィルタ
321・・・アンテナ

Claims (13)

  1. 複数の無線端末によって1つの無線通信ネットワークが構成され、当該無線通信ネットワークが複数存在する無線通信ネットワークシステム内において、前記複数の無線端末との通信を制御する無線基地局であって、
    1つの無線通信ネットワークに含まれる複数の無線端末に関して時刻同期処理を実行し、異なる無線通信ネットワークに含まれる無線端末間を異なる時刻で動作するように制御する通信制御部を有し、
    前記通信制御部は、前記複数の無線通信ネットワークのそれぞれにおいて通信を実行するときに、通信対象の無線通信ネットワーク内の前記複数の無線端末との間で時刻同期処理を実行することを特徴とする無線基地局。
  2. 複数の無線端末と、少なくとも1つの請求項1に記載の無線基地局とを有し、マルチホップ通信を行う無線通信ネットワークシステムであって、
    前記複数の無線端末のそれぞれは、受信した情報を他の無線端末或いは前記無線基地局に中継する無線中継局として動作することを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
  3. 請求項2において、
    前記無線基地局は、少なくとも第1の値と当該第1の値よりも大きい値である第2の値の間で、送信電波出力を切り替えて、前記複数の無線端末との通信を実行することを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
  4. 請求項3において、
    前記無線基地局は、第1の距離にある無線端末に対して前記第1の値の送信電波出力で通信し、前記第1の距離も長い第2の距離にある無線端末に対して前記第2の値の送信電波出力で通信し、
    前記第2の距離にある前記無線端末は、前記第1の距離にある前記無線端末に対して、前記第1の値の送信電波出力で通信することを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
  5. 請求項3において、
    前記無線基地局は、第1の距離にある無線端末との間の通信を、前記第1の値の送信電波出力で実行し、
    前記第1の距離にある無線端末と、前記第1の距離よりも長い第2の距離にある無線端末とは、互いに、前記第1の値の送信電波出力で通信を行うことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
  6. 請求項3において、
    前記無線基地局は、第1の距離にある無線端末と、当該第1の距離よりも長い第2の距離にある無線端末に対して、前記第2の値の送信電波出力で通信し、
    前記第1の距離にある無線端末は、前記無線基地局に対して、前記第1の値の送信電波出力で通信し、
    前記第2の距離にある無線端末は、前記無線基地局に対して、前記第2の値の送信電波出力で通信することを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
  7. 請求項3において、
    前記無線基地局及び前記複数の無線端末が通信を実行する時間は、通信に用いる前記送信電波出力の値に関係なく、予め決められていることを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
  8. 請求項3において、
    前記複数の無線端末のうち少なくとも1つは、前記無線基地局からの命令を中継する無線中継局であり、
    前記無線中継局は、前記無線基地局から前記無線中継局の設置場所よりも遠隔に設置された無線端末である遠隔無線端末に対して、前記無線基地局として動作し、前記送信電波出力を切り替えながら前記遠隔無線端末に対して通信を実行し、
    前記無線中継局は、前記遠隔無線端末から受信した応答信号を、前記第2の値の送信電波出力で前記無線基地局に送信することを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
  9. 請求項3において、
    前記無線基地局は、通信すべきデータの内容に応じて、前記送信電波出力を切り替えることを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
  10. 請求項9において、
    前記無線端末は、所定のデータを計測するためのセンサを有し、
    前記無線基地局は、前記無線端末から前記センサによる計測データの値を受信し、当該受信した計測データの値に応じて、前記送信電波出力を切り替えることを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
  11. 複数の無線端末と、少なくとも1つの無線基地局とを有し、マルチホップ通信を行う無線通信ネットワークシステムにおける通信制御方法であって、
    複数の無線端末によって1つの無線通信ネットワークが構成され、当該無線通信ネットワークが前記無線通信ネットワークシステム内に複数存在し、
    前記複数の無線端末のそれぞれは、受信した情報を他の無線端末或いは前記無線基地局に中継する無線中継局として動作し、
    前記無線基地局が、1つの無線通信ネットワークに含まれる複数の無線端末に関して時刻同期処理を実行し、異なる無線通信ネットワークに含まれる無線端末間を異なる時刻で動作するように制御し、
    前記無線基地局が、前記複数の無線通信ネットワークのそれぞれにおいて通信を実行するときに、通信対象の無線通信ネットワーク内の前記複数の無線端末との間で時刻同期処理を実行することを特徴とする通信制御方法。
  12. 請求項11において、
    前記無線基地局が、少なくとも第1の値と当該第1の値よりも大きい値である第2の値の間で、送信電波出力を切り替えて、前記複数の無線端末との通信を実行することを特徴とする通信制御方法。
  13. 請求項12において、
    前記複数の無線端末のうち少なくとも1つは、前記無線基地局からの命令を中継する無線中継局であり、
    前記無線中継局が、前記無線基地局から前記無線中継局の設置場所よりも遠隔に設置された無線端末である遠隔無線端末に対して、前記無線基地局として動作し、前記送信電波出力を切り替えながら前記遠隔無線端末に対して通信を実行し、
    前記無線中継局が、前記遠隔無線端末から受信した応答信号を、前記第2の値の送信電波出力で前記無線基地局に送信することを特徴とする通信制御方法。
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