[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JPWO2013073706A1 - スリーフィンガー構造を有するリガンド、及びそれを用いた分子の検出方法 - Google Patents

スリーフィンガー構造を有するリガンド、及びそれを用いた分子の検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2013073706A1
JPWO2013073706A1 JP2013544364A JP2013544364A JPWO2013073706A1 JP WO2013073706 A1 JPWO2013073706 A1 JP WO2013073706A1 JP 2013544364 A JP2013544364 A JP 2013544364A JP 2013544364 A JP2013544364 A JP 2013544364A JP WO2013073706 A1 JPWO2013073706 A1 JP WO2013073706A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
ligand
protein
sequence
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013544364A
Other languages
English (en)
Inventor
根本 直人
直人 根本
勇也 四本
勇也 四本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Saitama University NUC
Original Assignee
Nikon Corp
Saitama University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp, Saitama University NUC filed Critical Nikon Corp
Priority to JP2013544364A priority Critical patent/JPWO2013073706A1/ja
Publication of JPWO2013073706A1 publication Critical patent/JPWO2013073706A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1034Isolating an individual clone by screening libraries
    • C12N15/1062Isolating an individual clone by screening libraries mRNA-Display, e.g. polypeptide and encoding template are connected covalently
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4702Regulators; Modulating activity

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

cDNAディスプレイ法における、IVV(インヴィトロウィルス)合成効率と、スクリーニングされたcDNAに由来するmRNAの安定性を向上させることで、分子進化工学的手法によるペプチド創出の効率性と確実性を高めることを目的とする。
アンチパラレルβシートとそれらに挟まれたループ領域とからなる3つのフィンガーを備え、少なくとも、各フィンガーのループ領域が構成する指先部分と標的分子とが結合するリガンドであって、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するリガンドを提供する。配列番号1のアミノ酸配列において、X7は、前記フィンガーの指先部分を構成する任意のアミノ酸を表わし、各数字はアミノ酸の数を表わす。X7及びX4は、同一のアミノ酸で構成されることはない。

Description

本発明は、スリーフィンガー構造を有するリガンド及びこれを用いて特定の分子を検出する方法に関する。
近年、タンパク質のスクリーニングや検出等において、反応の特異性を利用した抗原抗体反応が多用されている。
抗原抗体反応を利用する場合には、抗原となるタンパク質等の分子を用いて抗体を得なければならないが、分子量等の関係からうまく抗体が得られない場合がある。また、得られたとしても特定のエピトープと結合する抗体を精製するには、時間と労力を要する。また、抗原と抗体との結合は特異性が高く、強い結合を形成することが多い。
抗体とは異なる構造のタンパク質のうち、抗体ほどは分子量が大きくないα型神経毒(α-neurotoxin)がある。α型神経毒は、elapidae科をはじめとするヘビのヘビ毒にしばしば見いだされるタンパク質群であり、60〜70アミノ酸(MW:7〜8KDa)で構成されている小型のタンパク質である。そして、それらのうちのいくつかは、通常は、4〜5個のジスルフィド結合、3〜5個のアンチパラレルβシート、およびスリーフィンガー構造を形成する3つの突起ループを含む、スリーフィンガー様スキャフォールドを共通して含んでいる(Endo T, Tamiya N. (1987), Pharmacol Ther., 34, 403-451(非特許文献1))。
また、上記スキャフォールドはジスルフィド結合によって形成されるため、ジスルフィド・フレームワークとも呼ばれるが、その形は、βシートを形成するアミノ酸残基の種類が変化しても高度に保存されており、及び、天然のレセプターへの結合に関与するアミノ酸も、同様に保存されている(Antil, S., Servent, D. and Menez, A. (1999). J. Biol. Chem., 274, 34851-34858(非特許文献2);Teixeira-Clerc F, Menez A, Kessler P. (2002) J. Biol. Chem., 277, 25741-25747(非特許文献3))。
このようなタンパク質スキャフォールドは、小型で、熱安定性が高く、60〜70℃の温度にも耐えられること(Sivaraman T, Kumar TK, Hung KW, Yu C. Biochemistry. 2000 Aug 1;39(30):8705-10.(非特許文献4))、及びそれぞれのレセプター(タンパク質)に対して非常に高い特異性を有していること(Antil, S., Servent, D. and Menez, A. (1999), J. Biol. Chem., 274, 34851-34858(非特許文献5))が知られている。
さらに、Nygren, P-A and Skerra, A. (2004), J. Immunol. Methods., 290, 3-28(非特許文献6)には、タンパク質のコンビナトリアルライブラリを作製し、抗体に代わる新規なタンパク質を発見する試みが開示されている(以下、「従来技術1」という)。
また、特開2007-306866号公報(特許文献1)には、スリーフィンガー様スキャフォールドを有するCTx3のループ領域の一部を改変し、インターロイキン6レセプター(以下、「IL-6R」ということがある。)と特異的に結合するタンパク質を作製する技術が開示されている(以下、「従来技術2」という。)。
特開2007-306866号公報
Endo T, Tamiya N. (1987), Pharmacol Ther., 34, 403-451 Antil, S., Servent, D. and Menez, A. (1999). J. Biol. Chem., 274, 34851-34858 Teixeira-Clerc F, Menez A, Kessler P. (2002) J. Biol. Chem., 277, 25741-25747 Sivaraman T, Kumar TK, Hung KW, Yu C. Biochemistry. 2000 Aug 1;39(30):8705-10. Antil, S., Servent, D. and Menez, A. (1999), J. Biol. Chem., 274, 34851-34858 Nygren, P-A and Skerra, A. (2004), J. Immunol. Methods., 290, 3-28
従来技術1は、天然のレセプターとの相互作用に関与する、ループI、ループIIおよびテール領域のうち、ループI又はループIIのいずれか、あるいはこれらの両方に部位特異的な突然変異を導入することにより結合特性に関わるアミノ酸残基を解析するという点では優れた技術である。しかし、従来技術1に記載された内容では、これらの部位の標的タンパク質への親和性や、認識特異性を変化させることができないという問題点がある。
また、従来技術2は、スリーフィンガー様スキャフォールドを利用して所望の標的に結合しうる新規なタンパク質を同定するためのタンパク質ライブラリを提供することを目的とするものであり、IL-6Rと特異的に結合するタンパク質を提供するという点では優れた技術である。しかし、もともと、アセチルコリン結合タンパク質(AchBP)(アセチルコリン・レセプターの細胞外ドメイン)に結合する上記スリーフィンガー様スキャフォールドを、標的結合タンパク質であるレセプター(IL-6R)と特異的に結合するように改変したものである。このため、通常の球状タンパク質と結合するか否かに関しては、明らかではなかった。
ところで、分子間相互作用は、一般的なレセプターと標的タンパク質のような分子量の高いもの同士の間のみならず、分子量の低い種々の球状タンパク質、低分子化合物との間でも起こる。そして、こうした低分子量のタンパク質や化合物と相互作用をすることができるスキャホールドは様々な用途で使用できるため、こうしたスキャホールドを作成すること対する社会的な要請がある。
特に、こうしたスキャフォールドの標的が、種々の疾病のマーカーとなるタンパク質である場合には、疾病の早期発見、早期治療にもつながり、予防医学観点からは、特に強い要請がある。
以上のような知見に基づいて、本発明の発明者らは、ヘビ毒等から単離された3つのループ状の構造を持つタンパクの所定の部分を、ランダムに作り替えることで標的に結合するペプチドを得ることを目的として、鋭意研究を重ね、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の第1の態様は、アンチパラレルβシートとそれらに挟まれたループ領域とからなる3つのフィンガーを備え、少なくとも、各フィンガーのループ領域が構成する指先部分と標的分子とが結合するリガンドであって、以下のアミノ酸配列を有するリガンドである。
MECYR(X7)LKITCSAEETFCYKWLNK(X4)RWLGCAKTCTEID(X2)NVYNKCCTTNLCNT
・・・(配列番号1)
ここで、Xは、前記フィンガーの指先部分を構成する任意のアミノ酸を表わし、各数字はアミノ酸の数を表わす。X7及びX4は、同一のアミノ酸で構成されることはない。
また、前記指先部分のアミノ酸配列のうち、X7は下記(A)から選ばれるいずれかの配列であり、X4は下記(B)から選ばれるいずれかの配列であり、X2は下記(C)から選ばれるいずれかの組み合わせであることを特徴とする。
(A)PTQPKRT(配列番号2)、PNPADRN(配列番号4)、NPPTSDT(配列番号6)、PEVDIRQ(配列番号8)、ETNNGQP(配列番号10)、RRSMHTV(配列番号12)及びPRTIRA(配列番号14)
(B)GTRQ(配列番号3)、NPSH(配列番号5)、PGNT(配列番号7)、KLPR(配列番号9)、TIPA(配列番号11)、IAKN(配列番号13)及びDLAE(配列番号15)
(C)PP、NR、TQ、KP、ER、TP及びNQ
また、前記指先部分のアミノ酸配列のX7、X4及びX2が、下記(a)〜(c)及び(d)からなる群から選ばれるいずれかの組み合わせであることを特徴とする。
(a)PTQPKRT(配列番号2)、GTRQ(配列番号3)、PP
(b)PNPADRN(配列番号4)、NPSH(配列番号5)、NR
(c)NPPTSDT(配列番号6)、PGNT(配列番号7)、TQ
(d)PEVDIRQ(配列番号8)、KLPR(配列番号9)、KP
(e)ETNNGQP(配列番号10)、TIPA(配列番号11)、ER
(f)RRSMHTV(配列番号12)、IAKN(配列番号13)、TP
(g)PRTIRA(配列番号14)、DLAE(配列番号15)、NQ
ここで、「標的分子」とは、サバイビンモノマー、サバイビンダイマー、及び低分子化合物からなる群から選ばれることが好ましく、サバイビンモノマー又はサバイビンダイマーであることが、特に好ましい。ここで、上記「低分子化合物」とは、分子量30〜1,500の範囲にある化合物をいい、糖鎖の有無を問わない。例えば、アフラトキシンB1、シガトキシン、フルオロセイン、N-アセチル-D-グルコサミン等を挙げることができる。
また、前記リガンドは、前記リガンドのコードするポリヌクレオチドと対応付けられた形で存在していることが好ましく、前記リガンドが、ピューロマイシンを介して前記リガンドをコードするポリヌクレオチドと結合していることが好ましい。
本発明の第2の態様は、アンチパラレルβシートとそれらに挟まれたループ領域とからなる3つのフィンガーを備え、少なくとも、各フィンガーのループ領域が構成する指先部分と標的分子とが標的分子と結合するリガンドであって、以下のアミノ酸配列を有するリガンドである。
MECYR(X6)LKITCSAEETFCYKWLNK(X4)RWLGCAKTCTEID(X2)NVYNKCCTTNLCNT
・・・(配列番号16)
ここで、Xは、前記フィンガーの指先部分を構成する任意のアミノ酸を表わし、各数字はアミノ酸の数を表わす。X6及びX4は、同一のアミノ酸で構成されることはない。
また、前前記指先部分のアミノ酸配列のうち、X6は下記(A’)から選ばれるいずれかの配列であり、X4は下記(B)から選ばれるいずれかの配列であり、X2は下記(C)から選ばれるいずれかの組み合わせであることを特徴とする。
(A’)PTQPKRT(配列番号2)、PNPADRN(配列番号4)、NPPTSDT(配列番号6)、PEVDIRQ(配列番号8)、ETNNGQP(配列番号10)、RRSMHTV(配列番号12)及びPRTIRA(配列番号14)で表わされる7個のアミノ酸からなる配列において、各配列からいずれか1個のアミノ酸が欠失した6個のアミノ酸からなるアミノ酸配列;
(B)GTRQ(配列番号3)、NPSH(配列番号5)、PGNT(配列番号7)、KLPR(配列番号9)、TIPA(配列番号11)、IAKN(配列番号13)及びDLAE(配列番号15);
(C)PP、NR、TQ、KP、ER、TP及びNQ
ここで、「各配列からいずれか1個のアミノ酸が欠失した」とは、例えば、上記配列番号2のアミノ酸配列の場合を例に挙げると、PTQPKRTというアミノ酸配列から、任意の1個のアミノ酸が欠失した配列を意味し、TQPKRT、PQPKRT、PTPKRT、PTQKRT、PTQPRT、PTQPKT、及びPTQPKRを表わす。
また、「標的分子」、「低分子化合物」及びリガンドは、上述した通りである。
また、本発明の第3の態様は、(a)上述したリガンドと検体とを接触させてリガンド−標的分子結合体を形成させる結合体形成工程と;(b)前記リガンド−標的分子結合体を選択する選択工程と;(c)前記選択された標的分子の検体中レベルを求める濃度算出工程と;を備える、疾病マーカーの検出方法である。
ここで、前記標的タンパク質は、サバイビンモノマー、サバイビンダイマー、及び低分子化合物からなる群から選ばれるものであることが好ましい。前記低分子化合物は、上述した通りである。
さらに、前記疾病が、腫瘍、感染症、及び食中毒からなる群から選ばれるものであることが好ましい。ここで、上記腫瘍は、一般に、増殖がゆっくりで、周辺組織への浸潤性を有さず、宿主に悪影響を起こさない良性腫瘍と、原発巣は周辺組織への浸潤性を有し、転移巣を形成するとともに、宿主に悪影響を及ぼす悪性腫瘍とに分けられる。組織学的には、乳頭腫、腺腫、嚢腫、扁平上皮腫、移行上皮腫、肝細胞腫その他の良性腫瘍と、扁平上皮癌、腺癌、移行上皮癌、肝細胞癌、未分化癌その他の悪性腫瘍とに分けられる。
また、解剖学的には、上顎癌、咽頭癌、喉頭癌その他の頭頸部の癌、甲状腺癌、乳癌、肺癌その他の胸部の癌、食道癌、胃癌、十二指腸癌、大腸癌、直腸癌、膵臓癌、肝癌その他の消化器の癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌その他の泌尿器の癌、子宮癌、卵巣その他の生殖器の癌、基底細胞癌、有蕀細胞癌その他の皮膚の癌、脈絡膜乳頭腫、神経鞘腫、星状細胞腫、神経線維腫、メラニン細胞性黒斑、髄膜腫その他の良性の神経性腫瘍、神経芽細胞腫、悪性褐色細胞腫、メラノーマ、悪性神経鞘腫その他の悪性の神経性腫瘍等を挙げることができる。
また、感染症は、細菌性感染症、リケッチアによる感染症、真菌性感染症、寄生性原虫による感染症、ウイルス性感染症等に分類される。具体的には、結核、コレラ、ジフテリア、赤痢、猩紅熱、レジオネラ、ライム病、Q熱その他の細菌性の感染症、発疹チフス、ツツガムシ病その他のリケッチアによる感染症、アスベルギルス症、カンジダ症、クリプトコッカス症、ニューモシスチス肺炎その他の真菌感染症、アメーバ赤痢、マラリアその他の寄生性原虫による感染症、インフルエンザ、ウイルス性肝炎、麻疹、水痘、風疹、ポリオ、デング熱、狂犬病、ウエストナイル熱その他のウイルス性感染症等を挙げることができる。
食中毒は、食物などに含まれていた有害・有毒な原因物質を摂取することによって惹起される毒素性の食中毒が多い。と、微生物感染に起因して感染症を起こす感染型、中間型等に分けられる。毒素型としては、エンテロトキシン、ボツリヌス毒素、テトロドトキシン、アフラトキシン、ベロ毒素、きのこに含まれる各種の毒素等によるものを挙げることができる。また、感染型としては、腸炎ビブリオ、サルモネラその他の細菌感染によるものを挙げることができる。
本発明の第4の態様は、(a)リガンド進化用リンカーと、前記リンカーと相補的な配列を有するmRNAとを、前記リンカーのmRNA結合部位でRNAリガーゼによって結合させる、mRNA−リンカー連結体生成工程と;(b)前記mRNAを鋳型として、逆転写反応によって合成されたcDNA鎖から酵素様活性を有するタンパクを合成し、前記タンパクが前記リンカーの側鎖上のタンパク結合部位に結合されたリンカー−タンパク−mRNA結合体を得る結合体生成工程と;(c)mRNAを消化して、固相結合可能なベイトタンパク質である、上述したリガンドを得る、ベイトタンパク質形成工程と;(d)前記ベイトタンパク質の固相結合部位に結合した所定の分子と、前記固相上に結合された所望の分子とを連結し、前記ベイトタンパク質を固相に固定する固定化工程と;
(e)前記ベイトタンパク質と、標識されたプレイタンパク質とを反応させてベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を生成させる反応工程と;(f)前記ベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を集める収集工程と;(g)前記収集されたベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を洗浄して、前記プレイタンパク質を溶出させる溶出工程と;を備えるプレイタンパク質のスクリーニング方法である。
ここで、前記リンカーは主鎖と側鎖とからなり、前記主鎖はその3’末端近傍に位置し、前記側鎖を結合する側鎖結合部位と;その5’末端側に位置し、前記固相との結合を形成する所定の分子を結合する固相結合部位と;を有し、前記側鎖は標識を結合するための標識結合部位と、前記ベイトタンパク質と結合するタンパク質結合部位と、を有し、前記側鎖の前記標識結合部位には前記標識が結合されている、ことを特徴とする。
また、前記側鎖は、任意の塩基配列又はポリエチレングリコールスペーサーで形成されていることが好ましく、前記所定の分子はビオチンであることが好ましい。また、前記連結酵素はT4 RNAリガーゼであることが好ましい。
さらに、前記固相は磁性粒子であることが好ましく、前記収集工程では、前記固相が磁気によって収集されることが好ましい。
特定のタンパク質又はタンパク質断片を餌とし、それと相互作用するタンパク質又はタンパク質断片をライブラリー中からスクリーニングする際に、餌となるタンパク質側を「ベイト(bait)」といい、釣られるタンパク質側を「プレイ(prey、餌食)」という。
ここで、ベイトタンパク質(bait protein)としては、例えば、上述した本発明のリガンドのほか、所望のタンパク質を使用することができる。また、プレイタンパク質(prey protein)としては、例えば、サバイビンモノマー、サバイビンダイマー、及び低分子化合物からなる群から選ばれることが好ましく、サバイビンモノマー又はサバイビンダイマーであることが、特に好ましい。ここで、上記「低分子化合物」とは、分子量30〜1,500の範囲にある化合物をいい、糖鎖の有無を問わない。例えば、アフラトキシンB1、シガトキシン、フルオロセイン、N-アセチル-D-グルコサミン等を挙げることができる。
本発明によれば、抗体と同様に、標的分子、アンタゴニスト、又はアゴニストとして機能するリガンドを得ることができる。また、抗体と比較すると、低コストで生産することが可能である。
また、本発明によれば、迅速かつ正確な疾病マーカーの検出が可能となる。
さらに、本発明によれば、ベイトタンパク質と所望の相互反応をするプレイタンパク質を、迅速かつ簡便なスクリーニング方法によって得ることができる。
図1は、本発明のリガンドを表す模式図である。 図2は、本発明のリガンドの作製に使用したBucandin(A)と、他のスリーフィンガースキャフォールド(Erabutokin-a(B)、Toxin-α(C)、Candoxin(D))との構造を対比して示した、模式図である。 図3は、本発明のリガンドの構造をアミノ酸配列として示す図である。 図4は、サバイビンの構造を示す模式図である。 図5は、本発明のリガンドが結合されたリンカーが磁性体ビーズに固定された場合を示す模式図である。 図6は、本発明のリガンドの構造を示す模式図である。
図7は、IVV法による本発明のリガンドの選択、増幅、淘汰を示す模式図である。 図8は、本発明のスクリーニング方法を示す模式図である。 図9は、ラウンド5及びラウンド7で得られたリガンドと標的分子との結合の状況を示す電気泳動像である。 図10は、ラウンド7で得られたリガンドと標的分子との結合の状況を示す電気泳動像である。 図11は、ラウンド6(R6)、ラウンド7(R7)及びラウンド12(R12A〜D)で得られたリガンドと標的分子との結合を示すゲル電気泳動写真及び相対的結合活性を示すグラフである。
以下に、本発明を、図1〜9を参照しつつ、さらに詳細に説明する。
本明細書中では、スリーフィンガー様スキャフォールドのアミノ酸配列に含まれ、ジスルフィド結合を形成する保存システインを、N末端側から順番にそれぞれC1〜C8と示す。
また、「対応づけられた形で存在する」とは、タンパク質とそれをコードするポリヌクレオチドとが、これらを1対1で対応づけることが可能な様式で存在することを意味する。このような対応付け技術はディスプレイ技術とも呼ばれるが、種々の技術が知られている。無細胞翻訳系を利用した対応付け技術としては、リボソームディスプレイ法、STABLE法(非共有結合DNAディスプレイ法)、マイクロビーズドロップレット法、共有結合DNAディスプレイ法を上げることができ、本発明で使用するインビトロウイルス法も含まれる。上記インビトロウイルス法では、上記リガンドは、例えば、ピューロマイシンを介してそのリガンドをコードするポリヌクレオチドと結合している。また、ファージディスプレイ法、イーストディスプレイ法、バクテリアディスプレイ法その他のディスプレイ法のように、個々のファージや細胞中に、上記リガンドをコードするポリヌクレオチドの対が含まれるようになっていてもよい。
図1に、スリーフィンガースキャフォールド構造を有する本発明のリガンドを、模式的に示す。図1中、幅の広い矢印で表わされた部分は、βシート構造を有する部分を示し、各フィンガーは、本リガンドの5’末端側から順に、L1〜L3の番号で示す。図1中、βシートの向きを表す矢印の向きから明らかなように、L1とL2のβシート構造の部分は、互いに逆向きとなっている。
すなわち、本発明の第1の態様のリガンドは、(a)互いに逆向きのβシート(アンチパラレルβシート)と、(b)それらに挟まれたループ領域と、からなる3つのフィンガーを備え、(c)各フィンガーのループ領域には、標的分子と結合する指先部分が含まれている。そして、本発明のリガンドは、以下のいずれかのアミノ酸配列を有している。
MECYR(X7)LKITCSAEETFCYKWLNK(X4)RWLGCAKTCTEID(X2)NVYNKCCTTNLCNT
・・・(配列番号1)
MECYR(X6)LKITCSAEETFCYKWLNK(X4)RWLGCAKTCTEID(X2)NVYNKCCTTNLCNT
・・・(配列番号16)
ここで、Xは任意のアミノ酸を表わし、各数字はアミノ酸の数を表わす。したがって、上記アミノ酸配列中、X7はアミノ酸7個の配列を、X6はアミノ酸6個の配列を、X4はアミノ酸4個の配列を、また、X2はアミノ酸2個の配列を、それぞれ示す。
ここで、スリーフィンガースキャフォールド(以下、「3FS」という。)を有するタンパク質としては、例えば、下記表1に示すものを上げることができる。
Figure 2013073706
上記表1に示すニューロトキシンのうち、Erabutoxin-a(エラブトキシン−a)、Toxin-α(トキシン−α)、Candoxin(カンドキシン)及びBucandin(ブカンディン)の構造を模式的に図2(A)〜2(D)に示す。これらのうち、図2Aに示すBucandin以外は、3つのフィンガーの長さの差が大きいこと、標的分子の認識性が高いこと、及び低分子に対する認識性は低いことが知られている。
これに対し、Bucandinは3つのフィンガーの長さ、分子全体の大きさが上記の3つのニューロトキシンとは相違する。Bucandinは、他の3つに比べて3つのフィンガーの長さの差が比較的小さく、低分子に対する認識性を高める可能性があると考えられることから、3Fを有するタンパク質として好適に使用することができる。
Bucandinは、マレーアマガサヘビ属Bungarus candidusの毒から単離されたペプチドであり、63アミノ酸で構成されている。このタンパクは、神経毒及び細胞毒であり、血小板凝集阻害作用を持ち、イオンチャネルブロッカーとしても機能する。
また、L1〜L3のループ領域の指先部分のランダム化は、以下に示すように、cDNAディスプレイ法によって行うことが好ましい。3F-cDNAディスプレイ法は、多数のリガンドを生成し選択を行うのに適しており、また、こうした一連の流れを1ラウンドとしたときの進化の速度を速めることができること、さらに、確実に逆転写を行う際に酸化過程を経ることになるため、ジスルフィド結合が形成され、改変されたBucandinを効率的に得ることができるからである。
ここで、「ランダム化」とは、上記タンパク質の所定の位置に、もとのBucandinのアミノ酸配列を、それとは異なるアミノ酸配列と置換することをいい、X7及びX4には、同一のアミノ酸のみで置換された配列を含まない。
また、あるラウンドで得られた配列情報に基づいて、アミノ酸配列の特定の位置のみをランダム化し、残りの位置の配列は変化させないようにすることもできる。
標的分子とは、本発明のリガンドが結合しうる任意の分子をいい、例えば、タンパク質、糖タンパク質、糖類、核酸、各種の低分子化合物等を挙げることができる。具体的には、各種レセプター、ウイルスや細胞の表面抗原、抗体、ホルモン、DNA、RNA等が挙げられる。タンパク質と標的分子との結合は、疎水性結合、静電的結合、水素結合、ファンデルワールス結合のいずれであってもよい。
本発明のリガンドの標的分子は、サバイビンモノマー、サバイビンダイマー、及び低分子化合物からなる群から選ばれる低分子のペプチドであることが好ましい。特に、サバイビンは、アポトーシスタンパク質阻害因子(IAP、アポトーシス経路のタンパク質分解成分であるカスパーゼを阻害する一群のタンパク質)である。そして、癌細胞で高頻度に発現していることが知られており、また、抗がん剤への耐性にも関与しているといわれている。
サバイビンの構造を、図4に模式的に示す。サバイビンは、モノマー又はダイマーのいずれでも機能するが、図4に示す通りの複雑な構造を有する。また、サバイビンは、本発明のリガンドとは、モノマー又はダイマーのいずれであっても結合するため、疾病のマーカーとして重要である。
また、低分子化合物は、分子量30〜1,500の範囲にある化合物をいい、糖鎖の有無を問わない。具体的には、アフラトキシンB1、シガトキシン、フルオロセイン、N-アセチル-D-グルコサミン等を挙げることができ、特にアフラトキシンB1、シガトキシン等を、食中毒予防の理由から好適に使用することができる。
「ランダム化配列」としては、X7は下記(A)から選ばれるいずれかの配列であり、X4は下記(B)から選ばれるいずれかの配列であり、X2は下記(C)から選ばれるいずれかの組み合わせであることが、標的分子であるサバイビンや上述した低分子化合物との結合性が高いために好ましい。
(A)PTQPKRT(配列番号2)、PNPADRN(配列番号4)、NPPTSDT(配列番号6)、PEVDIRQ(配列番号8)、ETNNGQP(配列番号10)、RRSMHTV(配列番号12)及びPRTIRA(配列番号14)
(B)GTRQ(配列番号3)、NPSH(配列番号5)、PGNT(配列番号7)、KLPR(配列番号9)、TIPA(配列番号11)、IAKN(配列番号13)及びDLAE(配列番号15)
(C)PP、NR、TQ、KP、ER、TP及びNQ
また、X7,X4及びX2の組み合わせが、(a)PTQPKRT(配列番号2)、GTRQ(配列番号3)、PP;(b)PNPADRN(配列番号4)、NPSH(配列番号5)、NR;(c)NPPTSDT(配列番号6)、PGNT(配列番号7)、TQ;(d)PEVDIRQ(配列番号8)、KLPR(配列番号9)、KP;(e)ETNNGQP(配列番号10)、TIPA(配列番号11)、ER;(f)RRSMHTV(配列番号12)、IAKN(配列番号13)、TP;(g)NPRTIRA(配列番号14)、DLAE(配列番号15)、NQ;のいずれかであることが、上述した標的分子との結合性が一層高いことから、さらに好ましい。
上記のようなランダム化配列を含むDNAテンプレートを、図6に模式的に示す。図6中、「ループ1(7aa)」はループ1中のランダム化配列部分が、上述した7アミノ酸で構成されていることを示す。ループ2(4aa)及びループ3(2aa)についても同様に、それぞれのランダム化配列部分が4アミノ酸、2アミノ酸で構成されていることを示す。
また、X6は下記(A’)から選ばれるいずれかの配列であり、X4は下記(B)から選ばれるいずれかの配列であり、X2は下記(C)から選ばれるいずれかの組み合わせであることが、標的分子であるサバイビンや上述した低分子化合物との結合性が高いために好ましい。
(A’)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、RRSMHTV(配列番号12)、及び配列番号14で表わされる7個のアミノ酸からなる配列において、各配列からいずれか1個のアミノ酸が欠失した6個のアミノ酸からなるアミノ酸配列
(B)GTRQ(配列番号3)、NPSH(配列番号5)、PGNT(配列番号7)、KLPR(配列番号9)、TIPA(配列番号11)、IAKN(配列番号13)及びDLAE(配列番号15);
(C)PP、NR、TQ、KP、ER、TP及びNQ
また、本発明のリガンドは、それをコードするポリヌクレオチドと対応づけられた形で存在していることが好ましく、ピューロマイシンを介してそれぞれのタンパク質をコードするポリヌクレオチドと結合していることが特に好ましい。上記のように対応付けられた形で存在することによって、種々の機能を有するリガンドの選択を、効率よく行うことができるからである。
後述する方法で作製した本発明のリガンドを用いて、各種の疾病マーカーを検出することができる。具体的には、(a)上述したリガンドを調製し、(b)前記リガンドと血清とを接触させてリガンド−標的分子結合体を形成させ、(c)前記リガンド−標的分子結合体を選択し、(d)前記選択された標的分子の血清中レベルを求めることによって、疾病マーカーの検出をすることができる。
疾病マーカーの検出は、一般的に使用されるUV検出装置、透過光測定装置、蛍光検出装置等を使用して、所望の波長を用いて行うことができる。これらの中でも、蛍光検出を行うことが、精度の高さの面で好ましい。
本明細書において、「インビトロウイルス(IVV)」とは、タンパク質とこれをコードするポリヌクレオチドがピューロマイシンを介して結合している複合体をいい、mRNA−ピューロマイシン−タンパク質、DNA/mRNA−ピューロマイシン−タンパク質、およびDNA−ピューロマイシン−タンパク質が含まれる。ピューロマイシンは、アミノアシル−tRNAの3’末端と類似する構造を有するタンパク質合成阻害剤であり、所定の条件下ではリボソーム上の伸張中のタンパク質の3’末端に特異的に結合する性質を有する。適当なリンカーを介してmRNAとピューロマイシンとを結合させておき、無細胞翻訳系でmRNAからタンパク質を合成すると、合成されたタンパク質とこれをコードするmRNAとがピューロマイシンを介して結合している複合体を得ることができる(Nemoto et al., FEBS Lett., 414, 405-408, 1997)。
次に、この複合体のライブラリから所望の機能をもつタンパク質を選択する。mRNAとタンパク質の複合体は、選択前に逆転写し、mRNA/cDNA−タンパク質複合体として選択することもでき、選択した後に逆転写によりDNAを合成してもよい。すなわち、mRNAから逆転写酵素を用いてDNAを合成して、mRNA/cDNAハイブリッドとタンパク質の複合体の形とし、この複合体を選択してもよい(非特許文献、Yamaguchi, et al., cDNA display: a novel screening method for functional disulfide-rich peptides by solid-phase synthesis and stabilization of mRNA-protein fusions, Nucleic Acids Res, 37, e108, 2009)(非特許文献、Mochizuki, et al., One-pot preparation of mRNA/cDNA display by a novel and versatile puromycin-linker DNA, ACS Comb. Sci., 13, 478-485, 2011)。
本発明のスクリーニング方法で使用するリガンド進化用リンカーは、以下のようにして作成することができる。
上記リンカーは、(a)固相との結合を形成する所定の分子を有している固相結合部位(BB)と;(b)前記リンカーの5’末端側に位置し、RNAリガーゼが認識し得るmRNA連結部位(mRNA結合部位)(MB)と;(c)前記リンカーの3’末端側近傍に位置する側鎖結合部位(側鎖連結部位)(SB)と;(d)前記リンカーの3’末端側に位置し、前記リンカー上で逆転写が行われる場合に逆転写用のプライマーとして機能するプライマー領域(PR)と、を備える主鎖と;(e)前記側鎖連結部位(SB)に連結される側鎖とを有する。
ここで、「固相」とは、ビーズ、反応容器の側壁、底面等をいい、本願発明で使用するリンカーが直接的又は間接的に固定される。磁性粒子を使用することが、ハイスループットスクリーニングを可能にすることから好ましい。
本明細書中において、「所定のmRNA」には、遺伝子をコードする配列、又は連結体形成、翻訳反応促進に必要な配列、あるいはその他の配列等を有するmRNAが含まれるものとする。
前記(a)中で使用する所定の分子としては、例えば、固相にアビジン及びストレプトアビジン等が結合されている場合にはビオチン、マルトース結合タンパク質が結合されている場合にはマルトース、Gタンパク質が結合されている場合にはグアニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチドが結合されている場合にはNi又はCo等の金属、グルタチオン−S−トランスフェラーゼが結合されている場合にはグルタチオン、配列特異的なDNA又はRNA結合タンパク質が結合されている場合にはこれらに特異的な配列を有するDNA又はRNA、抗体又はアプタマーが結合されている場合には抗原又はエピトープペプチド、カルモジュリンが結合されている場合にはカルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質が結合されている場合にはATP、エストラジオール受容体タンパク質が結合されている場合にはエストラジオール等を挙げることができる。
これらの中でも、ビオチン、マルトース、Ni又はCo等の金属、グルタチオン、抗原分子又はエピトープペプチド等を使用することが好ましく、リンカー合成の容易さの面から、ビオチンを使用することが、さらに好ましい。
こうした固相結合部位(BB)は、上述したmRNA−リンカー−タンパク質連結体等の連結体を、リンカーを介して固相に結合させるための部位であり、少なくとも1〜10塩基で構成されることが好ましい。具体的には、下記式(III)で示されるビオチン修飾デオキシチミジン(dT)であることが好ましい。
Figure 2013073706
また、上記の特定のポリペプチド等の固相結合部位への導入は、タンニン酸、ホルマリン、グルタールアルデヒド、ピルビックアルデヒド、ビス−ジアゾ化ベンジゾン、トルエン−2,4−ジイソシアネート等を利用する方法によっても行うことができるが、IVVの変性を避けるために分子間の親和性のみを利用して行うことが好ましい。
前記mRNA連結部位は、少なくとも1〜10塩基で構成されるものであることが好ましい。前記mRNA連結領域(MB)は、あらかじめリン酸化されている必要はないが、所定のmRNAと連結されるためには、前記mRNAの3'末端とのライゲーション反応に先だって、又はライゲーション反応中に、キナーゼ等によりリン酸化される必要がある。
前記リンカーの3’末端側近傍に位置する側鎖結合部位(SB)は、後述する側鎖が連結する部位である。
また、例えば、リンカーの側鎖連結部位(SB)が、下記式(IV)で表わされるAmino-Modifier C6 dTで構成されている場合には、前記側鎖の5'末端を下記式(V)の5'-Thiol-Modifier C6として、下記式(VI)で表わされるEMCSを用いて架橋させ、主鎖と側鎖とを連結させることができる。
なお、下記の式では保護基がついた状態を示している。
Figure 2013073706
Figure 2013073706
Figure 2013073706
前記プライマー領域(PR)は、前記リンカーの3’末端側に位置し、前記リンカー上で逆転写が行われる場合に逆転写用のプライマーとして機能する領域であり、前記側鎖連結部位の3’側に隣接している。
ここで、プライマー領域(PR)は、前記リンカー上で逆転写が行われる場合に逆転写用のプライマーとして機能する領域である。この領域は、約1〜15塩基からなることが好ましく、特に3〜5塩基からなることが好ましい。15塩基を越えると、リンカーとしての結合効率が悪くなるため、リンカーとの結合効率及びプライマーとしての反応効率という面から、上記の塩基数とすることが好ましい。
また、前記(f)の前記側鎖連結部位(SB)に連結する側鎖は、主鎖と相補的なmRNAから合成されたタンパク質を連結するタンパク質連結部位(タンパク質結合部位)(P)と前記側鎖連結部位との間に、スペーサーと蛍光基(F)とを有するものである。
ピューロマイシンの他に、伸張中のタンパク質の3’末端に特異的に結合する機能を有する限り、任意のピューロマイシン誘導体を用いることができる。例えば、ヌクレオチド配列の3'末端とアミノ酸がアミド結合を形成しているピューロマイシン、リボシチジルピューロマイシン(rCpPur)、デオキシジルピューロマイシン(dCpPur)、デオキシウリジルピューロマイシン(dUpPur)等のピューロマイシン類縁体の他、3'-N-アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド(PANS-アミノ酸)、3'-N-アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシド(AANS-アミノ酸)等を挙げることができる。
PANS-アミノ酸としては、例えば、PANS-Gly、PANS-Val、PANS-Ala等を挙げることができ、AANS-アミノ酸としては、AANS-Gly、AANS-Val、AANS-Ala等を挙げることができる。また、ヌクレオシドとアミノ酸とがエステル結合したものなども使用することができるが、ピューロマイシンを使用することが、前記タンパク質連結部位におけるタンパク質の連結の安定性が高いことから特に好ましい。
また、ピューロマイシンの安定性を高めるための修飾、複合体の検出のための標識、精製を容易にするためのアフィニティー部位、他の分子への結合を容易にするための結合部位などを含むよう設計された種々の誘導体が市販されているか、または容易に製造することができる。以降のような構造のリンカーとすることによって、mRNA/cDNAハイブリッドとタンパク質の複合体形成後にジスルフィド結合形成ステップを導入でき、結果、スリーフィンガースキャフォールド構造の形成が可能となる。
また、スペーサーとしては、下記式(VII)で表わされるSpacer 18 Phosphoramidite等の分子を、柔軟性があり、立体障害性が低いことから好適に使用することができる。
Figure 2013073706
前記側鎖が短い場合には、ピューロマイシン類縁体がリボソームに取り込まれるときに立体障害が発生するため、前記側鎖は上記のようなPhosphoramidite分子が1〜8個程度連なった構造を有するものであることが好ましい。リンカーの合成効率及び上述した各連結体の形成効率とのバランスの点から、こうしたPhosphoramidite分子が4個程度連なった構造を有するものであることがさらに好ましい。
前記側鎖が、前記タンパク質連結部位と、前記側鎖連結部位との間に蛍光基を有することで、後述するcDNAディスプレイ法の各工程において、リンカーの有無を容易に検出することが可能となる。
蛍光基としては、例えば、活性エステルに変換可能なカルボキシル基、ホスホロアミダイドに変換可能な水酸基、又はアミノ基等のフリーの官能基を有し、標識された塩基としてリンカーに連結することができる蛍光化合物を使用することが好ましい。このような蛍光化合物としては、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコビリタンパク質、希土類金属キレート、ダンシルクロライド、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、Fluorescein-dT等を挙げることができる。これらの中でも、分子標識用の化合物として使用されるFluorescein-dTを使用することが、合成が容易であることから好ましい。以下に、Fluorescein-dTの構造式(VIII)を示す。
Figure 2013073706
主鎖の設計に際しては、各種のmRNAのコード配列を参考にすることができる。例えば、配列が知られている各種のレセプタータンパク質をコードするmRNA、各種抗体又はその断片をコードするmRNA、各種酵素をコードするmRNA、各種遺伝子ライブラリ中のDNAから転写される配列未知のmRNA、有機合成によってランダムに合成された配列を有するDNAから転写されたランダムな配列を有するmRNA、PCR法を利用したランダム変異の挿入により配列未知のタンパク質をコードするようになったDNAから転写されるmRNAその他のmRNA等を挙げることができ、終始コドンを含まないものであれば、これらの中から選択することができる。
終止コドンを含まない配列であれば、mRNAのコード配列から翻訳されて生成されたポリペプチド鎖のC末端に、ピューロマイシンやその類縁体といったアミノアシルtRNAの3'末端アナログが取り込まれ、前記ポリペプチド鎖とmRNA−リンカー連結体とが連結されることになる。こうしたmRNAは、in vitro転写反応、化学合成、生体・細胞・微生物からの抽出その他の各種の方法を用いて得ることができる。リンカーとの連結及び無細胞翻訳の反応効率の点から、in vitro転写反応を用いて作製することが好ましい。
また、5'末端の7−メチル化グアノシンキャップ構造、又は3'末端のポリA尾部構造の少なくとも一方の構造を有するものであることが、タンパク質の合成効率の点から好ましい。Kozak配列や、Shine-Dalgarno配列を有することが、翻訳の開始を促進することから、さらに好ましい。
ここで使用するmRNAの長さは、原則として本発明を利用して分子進化させるべきタンパク質又はポリペプチドの長さより規定されるコード領域の長さに依存する。50〜1,000塩基長であることが、反応効率の面からであることが好ましく、200〜500塩基であることが、最も高い反応効率を得られることから、さらに好ましい。
上記リンカーの作成にあたっては、まず、所望の配列となるように、常法に従ってDNAを合成し、主鎖として使用するための一本鎖のオリゴマーを作製する。このように合成した一本鎖オリゴマーは、固相結合部位と、2以上の切断部位と、mRNA連結部位と、側鎖連結部位と、プライマー領域とを備えている。2以上の切断部位の大きさ及び主鎖中の位置によって、主鎖となる一本鎖オリゴマーの長さを適宜決定する。
次いで、所望の長さの側鎖を合成し、主鎖上の側鎖連結部位に連結させる。側鎖の遊離末端に、例えば、タンパク質結合部位としてピューロマイシンを導入し、上述したFluorescein-dTを蛍光標識部位に導入して、リガンド進化用リンカーを得ることができる。
以上のようにして作成したリガンド進化用リンカーを使用して、所望の機能をもつタンパク質を選択した後、DNAの配列を分析することにより、タンパク質を同定することができる。
Bucandin遺伝子を含むスリーフィンガースキャフォールド(以下、「3F」ということがある)-cDNAディスプレイ用の全長コンストラクトは、5’側にプロモーター、キャップ部位、非翻訳配列及び翻訳開始部位を含むフラグメント、3’側にスペーサー、タグ及びタグ配列を付加して構築することができ、例えば、以下のようにして作成することができる。
各ループ領域のアミノ酸配列を、例えば、図3に示す部分でランダム化する。ついで、このように改変したリガンドの塩基配列の5’側に、T7プロモーター、キャップ部位、ω配列非翻訳配列(UTR)及び翻訳開始部位を含むT7-UTRフラグメントを付加し、3’側にスペーサー(GGGS)2、C-末端His6-タグ、スペーサー(GGGS)およびY-タグ配列を付加するよう設計する(図6)。
T7-UTRは本願発明のリガンドの塩基配列のインビトロ転写および翻訳に、His6-タグ配列はライブラリの精製に、Y-タグ配列はmRNAとピューロマイシンリンカーへのライゲーションに用いるための配列である。スペーサーは、合成したタンパク質のフォールディングをスムーズにするために導入するものである。
以上の配列としたコンストラクトを作製し、これを上述したcDNAディスプレイ法中で使用することにより、上述したX7、X4及びX2の部分が各種の配列で置換された3Fスキャフォールドを得ることができる。
すなわち、所望の量のmRNAとリガンド進化用リンカーとを使用して、所望の条件下で翻訳を行う。
DTTやヌクレアーゼの含有量の少ないもの、例えば、ウサギ網状赤血球等の無細胞翻訳系中で、リンカーに連結されたmRNAをリボソームが読み取ってタンパク質を合成する。合成されたタンパク質はピューロマイシン上に提示される。次いで、mRNAをRNaseによって消化し、その後、タンパク質中のシステイン間でジスルフィド結合を形成させ、目的とする3Fスキャフォールドを得ることができる。 そして、標的分子として、例えば、サバイビンを使用することによって、図3に示す配列の3Fスキャフォールドを得ることができる。
タグ付きタンパク質を使った相互作用タンパク質解析では、プルダウンアッセイが最も一般的な方法である。プルダウンアッセイでは、まず、標的分子とタグペプチドとを所定の条件の下に結合させ、タグ付きタンパク質を作製する。次に、このタグ付きタンパク質を、所望のタンパク質抽出液と混合し、in vitroでタンパク質複合体を形成させる。
このタンパク質複合体を抗体と反応させ、遠心等によって、タンパク質複合体を分離する。得られたタンパク質複合体を、SDS-PAGEで分離し、蛍光等を用いて分析する(図8参照)。
具体的には、標的タンパクとして小型のタンパク、例えば、サバイビン(図4参照)を使用する。サバイビンをHis-6タグ等のタグペプチドと結合させる。
次に、cDNAディスプレイ法で得た3F-cDNAディスプレイリガンドとともに、例えば、25℃で30分、バッファー(100mM NaCl、50mM Tris、1mM CaCl2、pH7.4)中にてインキュベートする。
次いで、所望のプライマーとY-タグ配列等のタグ配列とを5〜20pmol加えて、90〜98℃で15〜30秒、60〜75℃で10〜30秒、67〜80℃で15〜45秒のサイクルを20〜30回繰り返し、PCRによる増幅を行う。これと同時に、ここで得られたリガンドの塩基配列のインビトロ転写および翻訳に使用する配列、例えば、T7-UTR配列の付加を同時に行うことができる。
mRNAとピューロマイシンリンカーへのライゲーションには、Y-タグ配列を使用することができる。また、スペーサーを組み込んでおくと、合成したタンパク質のフォールディングをスムーズに行うことができる。
このスキャフォールドを常法に従って精製することによって、上記疾病のマーカーの検出に使用するリガンドを得て、バッファーを加えて所望の濃度とすることにより、反応に使用するリガンド溶液を調製することができる。また、十分な量のスキャフォールドが形成されている場合には、特に精製をすることなく、使用することもできる。
例えば、採取された検体が全血である場合には、室温にて低速、例えば、1,000×gで遠心して得られた血清を、所望の量で反応用のチューブに移し、上記溶液を必要に応じて適宜希釈しつつ、所定の量で添加し、リガンド−標的分子結合体を形成させる。上記リガンドを、固相と結合するため分子と結合させておけば、予め、上記リガンドを固相に結合させることができる(図5参照)。その後、血清を除去することによって、精度よく、かつ簡便に上記標的分子の血清中レベルを求めることができる。検体が血清である場合には、遠心等の血清抽出処理は不要である。
採取された検体が組織片である場合には、常法に従ってホモジナイズし、遠心して上清を分離し、この上清を上記と同様に処理することにより、精度よく、かつ簡便に上記標的分子の組織中レベルを求めることができる。
以上の手順によって、疾病のマーカーを検出ことができ、正常値と対比することによって、疾病に罹患しているか否かを推定することが可能となる。
ここで、前記標的分子が、サバイビンモノマー、サバイビンダイマー、及び低分子化合物からなる群から選ばれるものであることが好ましく、サバイビンモノマー又はサバイビンダイマーであることが好ましい。また、ペプチドアプタマーを標的分子とすることもできる。
また、前記疾病が、腫瘍、感染症及び食中毒からなる群から選ばれるものであることが好ましい。腫瘍、感染症及び食中毒は、上述した通りである。これらの疾病の場合には、早期検査及び早期治療の開始によって、治療効果を上げることができる。
本発明のプレイタンパク質のスクリーニング方法は、図6に示すように、
(a)リガンド進化用リンカーと、前記リンカーと相補的な配列を有するmRNAとを、前記リンカーのmRNA結合部位でRNAリガーゼによって結合させる、mRNA−リンカー連結体生成工程と;
(b)前記mRNAを鋳型として、逆転写反応によって合成されたcDNA鎖から酵素様活性を有するタンパクを合成し、前記タンパクが前記リンカーの側鎖上のタンパク結合部位に結合されたリンカー−タンパク−mRNA結合体を得る結合体生成工程と;
(c)mRNAを消化して、固相結合可能なベイトタンパク質である、請求項1〜11のいずれかに記載のリガンドを得る、ベイトタンパク質形成工程と;
(d)前記ベイトタンパク質の固相結合部位に結合した所定の分子と、前記固相上に結合された所望の分子とを連結し、前記ベイトタンパク質を固相に固定する固定化工程と;
(e)前記ベイトタンパク質と、標識されたプレイタンパク質とを反応させてベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を生成させる反応工程と;
(f)前記ベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を集める収集工程と;
前記収集されたベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を洗浄して、前記プレイタンパク質を溶出させる溶出工程と;
を備えている。
まず、所望の配列を有するDNAテンプレートを常法に従って作成する。例えば、T7プロモーター、オメガ配列、コザック配列、ベイトタンパク質コード領域、及びピューロマイシン‐リンカーのハイブリダイゼーション領域(HR)を含む配列を作成する。このように作成したDNAを、T7 RiboMAXTM Express Large Scale RNA Production System (プロメガ(Promega)社製)を用いてmRNAに転写し、合成されたmRNAを、RNA精製キット(キアジェン(Qiagen)社製)で精製する。
精製したmRNAをT4 RNA ligase (カタラバイオ社)及びポリヌクレオチドキナーゼ(以下、「PNK」と略すことがある、東洋紡社)によって、ピューロマイシン‐リンカーと連結し、ライゲーション産物をin vitro翻訳反応の鋳型として、例えば、Retic Lysate IVT kit (アンビオン(Ambion)社製)を用いて、所望の条件で反応させて、mRNA‐リンカー‐タンパク質融合体を調製する。
EDTA溶液(0.5 M, pH 8.0)を翻訳溶液に加えて結合したリボソームを除去し、その後、RNase I (プロメガ(Promega)社製)を試料に加えてmRNA‐リンカー‐ベイトタンパク質融合体のmRNA部分を分解させる。
このようにして得られたビオチン化ベイトタンパク質を、Dynabeads MyOne Streptavidin C1 (インビトロジェン(Invitrogen)社製)を用いて、製造元の指示書に従って溶液中から捕捉する。IgG及び抗-FLAGタグmAb (マウス:シグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich)社より購入)、抗FasLmAb(ハムスター:医学生物学研究所(Medical & Biological Laboratories)を準備する。
各々のプレイタンパク質を、例えば、N-ヒロドキシスクシンイミド(NHS)-フルオレセイン(ピアス(Pierce)社製)を使用して標識し、得られた標識プレイタンパク質溶液を所望の濃度に調製して、磁性粒子と所望の温度で所望の時間インキュベートする。例えば、100〜500 nMの濃度に調製したタンパク質溶液と、20〜30℃で15〜60分間インキュベートする。
次いで、所望の濃度の界面活性剤を含有するリン酸緩衝生理食塩水で所望の回数洗浄し、残存しているプレイタンパク質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)試料溶液で溶出させる。例えば、0.005〜0.02%のTweenを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS-T)で2〜4回洗浄する。
SDS-PAGE試料溶液で溶出させたタンパク質を、所望の温度で所望の時間インキュベートする。例えば、85〜95℃で3〜7分間インキュベートしし、その後、ゲル電気泳動に供して可視化する。
以上のようにして、所望のプレイタンパク質をスクリーニングすることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)Bucandinを用いたリガンドの作製
本発明で使用するランダム領域を有するBucandinは、オペロン・バイオテクノロジー (株)より購入した。コンストラクト作製のために、T7プロモーター、キャップ部位、Xenopusグロブリン非翻訳配列(UTR)および翻訳開始部位を含むT7-UTRフラグメント、スペーサー(GGGS)2、His6-タグ、スペーサー(GGGS)およびY-タグ配列は、いずれもジーンワールド(株)から購入した。
Bucandinは、図3に示す3つのループ領域の部分をそれぞれ、以下の方法でランダム化し、下記表2に示すNo.1〜10のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列のセットを得た。
Figure 2013073706
上記表2に示すNo.1〜15の配列を含むアミノ酸配列を組み込んだ3F(bucandin) loop1、3F(bucandin) loop2、3F(bucandin) loop3を、T4DNAリガーゼを用いて連結し、この連結体にT7-UTRフラグメント、His6-タグ及びスペーサーを、T4DNAリガーゼを用いてさらに連結した。次いで、T7-eXact-tagDNAを用いて、この連結体についてオーバーラップPCRを行い、図6に示すコンストラクトを得た。'
5'-CTCAAAATAA CGTGCTCGGC CGAGGAGACC TTCTGCTACA AGTGGCTGAA CAAG-3'
・・・(配列番号17)
5'-CGTTGGCTGGGCTGCGCGAAGACTTGCACGGAGATCGACACC-3' (配列番号18)
また、プライマーとしては、以下の2つの合成オリゴマーを使用した。
5'-GATCCCGCGA AATTAATACG ACTCACTATA GGG-3' (配列番号19)
5'-TTTCCCCGCC GCCCCCCGTC CT-3' (配列番号20)
さらに、3F(bucandin) loop1(88mer)の配列は、以下通りである。
5'-TCCTCGGCCG AGCACGTTAT TTTGAGNNBN NBNNBNNBNN BNNBNNBGCG
GTAGCACTCC ATCAAAGCTT TGAAGAGCTT GTCTTCTT-3' (配列番号21)
また、3F(bucandin) loop2 (60mer)の配列は、以下通りである。
5'-TTCGCGCAGC CCAGCCAACG NNBNNBNNBN NBCTTGTTCA GCCACTTGTA
GCAGAAGGTC-3' ・・・(配列番号22)
さらにまた、3F(bucandin) loop3 (113mer)の配列は、以下通りである。
5'-TTTCCCCGCC GCCCCCCGTC CTTCCTGAGC CTCCACTCCC TCCGCCCGTA
TTACATAGAT TGGTAGTACA ACATTTATTA TATACNNBNN BGGTGTCGAT
CTCCGTGCAA GTC-3' ・・・(配列番号23)
T7-His-tagDNAの配列は、以下の通りである。
5'-GATCCCGCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGGAAGTATTTTTACAACAATTACCAACAACAACAACAAACAACAACAACATTACATTTTACATTCTACAACTACAAGCCACCATGGGAGGGAAATCAAACGGGG-3' ・・・(配列番号24)
得られたDNAを、T7 RiboMAXTM Express Large Scale RNA Production System (プロメガ(Promega)社製)を用いてmRNAに転写し、合成されたmRNAを、RNA精製キット(キアジェン(Qiagen)社製)で精製した。
(実施例2) IVVアッセイ
(1)ピューロマイシン・ビオチン・リンカーの合成
ピューロマイシン・ビオチン・リンカーは、Puro-F-S(ジーンワールド社製)及びビオチン・ループ(BEX社)より購入した。
この2つの修飾オリゴヌクレオチドを、常法に従って、二官能性試薬(EMCS)を用いて架橋させることにより合成した。ここで使用するPuro-F-Sは、予め、常法に従ってスペーサーの一方の端にピューロマイシンを結合させておき、フルオレセインで標識しておいた。このPyro-F-Sは、他方の端にチオール基を有していた。
10nmolのPuro-F-Sのチオール基を、1mMのTCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)含有する50mMリン酸バッファー(pH 7.0,)100μLを用いて、室温で6時間還元した。その後、NAP-5カラム(GE ヘルスケア社製)で、使用直前に脱塩した。
全量で10nmolのビオチンループ及び2μmolのEMCSとを、100μLのリン酸ナトリムバッファー(pH 7.0)に加え、37℃で30分間インキュベーションした。その後、4℃でエタノール沈殿を行って、過剰のEMCSを除去した。
生じた沈殿を予め冷却しておいた500μLの70%エタノールで2回洗浄し、予め冷却しておいた10μLの0.2Mのリン酸バッファー(pH 7.0)に溶解させた。還元したPuro-F-Sを速やかに加えて4℃で終夜撹拌した。
4mMのTCEPを加えて37℃で15分間インキュベートすることによって反応を停止させた。次いで、室温にてエタノール沈殿を行い、過剰のPuro-F-Sを除去した。
ビオチンループ及び架橋していないビオチンループ-EMCS複合体を除去するために、0.1MのTEAA(グレンリサーチ社製)又は0.1Mのリン酸バッファーを加えて、以下の条件でC18 HPLCにて精製した。
カラム:AR-300(I.D. 4.6mm×250mm、ナカライテスク(株))
溶媒A:0.1M TEAA
溶媒B:アセトニトリル/水(80/20、v/v)
グラジエント:B/A(15‐35%、33分間)
流速:0.5mL/分
検出:254nm及び490nm
254nmで検出された最後のピークの画分を集めた。乾燥後、得られたピューロマイシン‐リンカーをジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水に再懸濁して保存した。
ビオチン・ループは、ステムループ構造をとることができる塩基配列と、ループ部分に結合したビオチンとで構成した。ステム部分には、制限酵素PvuIIの認識部位が組み込まれており、ここを切断することによって、IVVを回収した。ビオチン・ループのステムから3’側の配列は、上述の全長コンストラクト中のY-タグ配列と対応しており、このコンストラクトから生成したmRNAの3’側の配列とアニーリングする。5’末端では、mRNAとのライゲーションが起こる。
ビオチン・ループの3’末端近傍のdTは1級アミノ基を有するよう修飾しておき、このアミノ基を介してEMCSによってPuro-F-Sと結合させた。ビオチン・ループの3’末端は、ライゲーションしたmRNAからの逆転写を行う際にプライマーとして機能した。
Puro-F-Sのチオール基を還元し、ビオチン・ループとEMCSとの複合体を加えて、Puro-F-Sの末端チオール基とビオチン・ループ上のアミノ基とを結合させ、ピューロマイシン・ビオチン・リンカーを得た。
(実施例3)Pull downアッセイ
(1)磁性粒子との結合
ストレプトアビジンコート磁性粒子(2.3μm、MAGNOTEX、(株)タカラ)を、指示書に従って結合バッファー(10mMトリス塩酸バッファー(pH 8.0, 1mM EDTA, 1M NaCl, 0.1% Triton X-100))で2回洗浄した。48pmolのmRNA-ピューロマイシン-リンカーの連結体と1.2mgのストレプトアビジンビーズを、120μLの結合バッファー中で室温にて10分間インキュベートした。ついで、無細胞翻訳系に入れる前に、結合バッファー及び翻訳ミックスバッファーで各々1どずつビーズを洗浄した。
(2)ベイトタンパク質結合用3F-cDNA ディスプレイリガンドの作製
マグネティックスタンドや磁石などの磁気を用いて磁性粒子を分離した後に、300μLの無細胞系翻訳エキストラクト(Ambion社製)を加え、30℃で20分間インキュベートした。タンパク質-リガンド融合体の収量を上げるために、翻訳産物を、高塩濃度下(KCL及びMgCl2、各々の終濃度は750mM及び63mM)で90分間37℃にてさらにインキュベートした。
その後、mRNA-タンパク質複合体をディスプレイしたビーズを、RNase阻害剤(SUPERaseIn、Ambion社製)を含む結合バッファー200μLで2回洗浄し、100μLのTRバッファー(50mMトリス塩酸(pH 8.3, 75mM KCl, 3mM MgCl2))でリンスした。
逆転写を42℃で10分間、80μLのRTバッファー及び80ユニットの逆転写酵素M-MLV((株)タカラ)をビーズに加えて行った。
以上のようにして、cDNA-タンパク質結合体が表面に固定された、cDNA-タンパク質結合体固定磁性粒子を得た。
(3)リフォールディング
得られたcDNA-タンパク質結合体固定磁性粒子を、100mMのジチオスレイトール(DTT)で1時間、25℃で還元し、結合バッファー((株)タカラ)で洗浄した。リフォールディングは、1mMの酸化グルタチオン、10mMの還元グルタチオン、及び使用したcDNA-タンパク質結合体と等モルのプロテインジスルフィドイソメラーゼの存在下に、25℃で1時間行った。ビーズを洗浄して、ベイトタンパク質固定化磁性粒子を得た。
(4)プレイタンパク質との反応
次いで、各々のプレイタンパク質を、N-ヒロドキシスクシンイミド(NHS)-フルオレセイン(ピアス(Pierce)社製)を使用して、<1.0 色素/タンパク質の割合で標識した。
得られたフルオレセイン標識プレイタンパク質溶液(200又は400 nM)を、ベイトタンパク質を固定化した磁性粒子と25℃で30分間インキュベートした。この磁性粒子を、0.01% Tween20を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS-T)で3回洗浄した。次いで、磁性粒子上に結合されているプレイタンパク質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)試料溶液で溶出させた。
溶出させた生成物を、T7配列と一部のUTRを含む下記のプライマー
[GATCCCGCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGGAAGTATTTTTACAACAATTACCAACA]
・・・(配列番号25)
とY-tag配列を、それぞれ10pmolで用いて、95℃25秒、69℃20秒、72℃30秒のサイクルを25回繰り返し、PCRによる増幅と、T7-UTRの配列を付加とを同時に行った。実施例2と同様にして転写させ、得られたmRNAをピューロマイシンリンカーにライゲーションさせ、翻訳、逆転写を行って、DNA/mRNA-ピューロマイシンリンカー−タンパク質複合体を得た。
この複合体を、第2の3F-cDNA ディスプレイ用リガンドとして、次のラウンドで使用した。この手順を繰り返し、複数ラウンドで選択を行い、リガンドを作製した。第2ラウンド以降の各ラウンドにおいて、標的分子であるサバイビンの濃度を1ラウンド目から4ラウンド目は200pmol、5ラウンド目は100pmol、6ラウンド目は50pmol、インキュベーション時間を各々30分として反応させた。
7ラウンド目は、サバイビンの濃度を10pmol、インキュベーション時間を15分、8ラウンド目はサバイビン濃度を10pmol、インキュベーション時間を5分とした。9ラウンド目から12ラウンド目までは、サバイビン濃度を、9ラウンド目は10pmol、10ラウンド目は4pmol、11ラウンド1pmol、12ラウンド0.5pmol、インキュベーション時間を4分として、洗浄の回数を増やして、選択圧を順次高めた。
各ラウンドのサバイビン濃度と、インキュベーション時間とを表3に示す。
Figure 2013073706
ラウンド6(R6)、ラウンド7(R7)、ラウンド12については、ラウンド12(A)〜(D)の4つのクローンを得た。
ラウンド5(R5)及びラウンド7(R7)を対比した結果を、図9に示す。図9には、バッファー(0.1M NaCl、50mM Tris、1mM CaCl2、pH7.4)でビーズを洗浄した結果と、EDTAによってサバイビンをビーズから解離させて溶出した結果とを対比して示した。サバイビンの固定量は、R5では100pmol、R7では10pmolとした。
図9に示すように、R5では、結合力の低いものが洗浄によって溶出されたが、R7ではこのような溶出は認められなかった。一方で、サバイビンをビーズから解離させて溶出した2つのレーンでは、いずれのラウンドでも同様の結果が得られた。
以上から、リガンドの結合力は、ラウンドを重ねることによって上昇することが示された。
ついで、ラウンド6、7及び12で得た上記リガンドを、ストレプトアビジン誘導化セファロースビーズ(磁性体ビーズ)にピューロマイシン・ビオチン・リンカーで固定し、蛍光修飾されたサバイビンと結合させた。
バッファー(Tris-HCl(pH8.0)100mM、150mM NaCl、1mM EDTA、0.1%tween20、10μM biotin)でビーズを洗浄し、25μLのSDS-PAGEサンプルバッファー(0.5M Tris-HCl、10%SDS、10%βメルカプトエタノール、175mMスクロース、8M尿素)を用いて、サバイビンを溶出させた。得られた各溶出液を12μLずつとって、4%+16% SDS-PAGEに供し、10mAにて130分間泳動させ、泳動結果をFITCで検出した。結果を図9に示す。
ラウンド6及び7の泳動結果によれば、No. 1, 4, 7及び10で溶出されたサバイビンの量が多いと判断された(図10参照)。
ラウンド12で得られた4つのリガンド(R12A〜R12D)の結合性を、ラウンド6(R6)及びラウンド7(R7)で得られたそれらと比較した。結果を図11に示す。図11の上段にはゲル電気泳動の結果を、下段には溶出されたサバイビンの量に基づく結合活性を示した。ラウンド12のB〜Dは、ラウンド6及び7よりも結合活性が高く、特に、R12Bの活性が高くなっていた。
以上の結果から、cDNA ディスプレイによって、サバイビンを認識できるリガンドを作製ですることができたこと、及び選択圧を高めることにより、結合活性の高いリガンドを選択することができたことが確認された。
本発明は新規タンパク質又はポリペプチドを検出する技術に貢献し、医薬又は診断薬の研究開発に有用である。
配列番号1:突出ジスルフィド結合、βシート及び3つの突出ループを有するスリーフィンガータンパク質;Xaaは任意のアミノ酸
配列番号2:スリーフィンガータンパク質のループ1内の部分
配列番号3:スリーフィンガータンパク質のループ2内の部分
配列番号4:スリーフィンガータンパク質のループ1内の部分
配列番号5:スリーフィンガータンパク質のループ2内の部分
配列番号6:スリーフィンガータンパク質のループ1内の部分
配列番号7:スリーフィンガータンパク質のループ2内の部分
配列番号8:スリーフィンガータンパク質のループ1内の部分
配列番号9:スリーフィンガータンパク質のループ2内の部分
配列番号10:スリーフィンガータンパク質のループ1内の部分
配列番号11:スリーフィンガータンパク質のループ2内の部分
配列番号12:スリーフィンガータンパク質のループ1内の部分
配列番号13:スリーフィンガータンパク質のループ2内の部分
配列番号14:スリーフィンガータンパク質のループ1内の部分
配列番号15:スリーフィンガータンパク質のループ2内の部分
配列番号16:突出ジスルフィド結合、βシート及び3つの突出ループを有するスリーフィンガータンパク質;Xaaは任意のアミノ酸
配列番号17:スプリントDNA
配列番号18:スプリントDNA
配列番号19:スリーフィンガータンパク質−cDNA複合体を作製するためのプライマー
配列番号20:スリーフィンガータンパク質−cDNA複合体を作製するためのプライマー
配列番号21:3F(bucandin) loop1;nは任意のヌクレオチド
配列番号22:3F(bucandin) loop2;nは任意のヌクレオチド
配列番号23:3F(bucandin) loop3;nは任意のヌクレオチド
配列番号24:T7-eXact-tagDNA
配列番号25:スリーフィンガータンパク質-cDNA複合体を濃縮するためのプライマー

Claims (21)

  1. アンチパラレルβシートとそれらに挟まれたループ領域とからなる3つのフィンガーを備え、少なくとも、各フィンガーのループ領域が構成する指先部分と標的分子とが結合するリガンドであって、以下のアミノ酸配列を有するリガンド。
    MECYR(X7)LKITCSAEETFCYKWLNK(X4)RWLGCAKTCTEID(X2)NVYNKCCTTNLCNT
    ・・・(配列番号1)
    ここで、Xは、前記フィンガーの指先部分を構成する任意のアミノ酸を表わし、各数字はアミノ酸の数を表わす。X7及びX4は、同一のアミノ酸で構成されることはない。
  2. 前記指先部分のアミノ酸配列のうち、X7は下記(A)から選ばれるいずれかの配列であり、X4は下記(B)から選ばれるいずれかの配列であり、X2は下記(C)から選ばれるいずれかの組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載のリガンド。
    (A)PTQPKRT(配列番号2)、PNPADRN(配列番号4)、NPPTSDT(配列番号6)、PEVDIRQ(配列番号8)、ETNNGQP(配列番号10)、RRSMHTV(配列番号12)及びPRTIRA(配列番号14);
    (B)GTRQ(配列番号3)、NPSH(配列番号5)、PGNT(配列番号7)、KLPR(配列番号9)、TIPA(配列番号11)、IAKN(配列番号13)及びDLAE(配列番号15);
    (C)PP、NR、TQ、KP、ER、TP及びNQ
  3. 前記指先部分のアミノ酸配列のX7、X4及びX2の組み合わせが、下記(a)〜(f)及び(g)からなる群から選ばれるいずれかの組み合わせであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリガンド。
    (a)PTQPKRT(配列番号2)、GTRQ(配列番号3)、PP;
    (b)PNPADRN(配列番号4)、NPSH(配列番号5)、NR;
    (c)NPPTSDT(配列番号6)、PGNT(配列番号7)、TQ;
    (d)PEVDIRQ(配列番号8)、KLPR(配列番号9)、KP;
    (e)ETNNGQP(配列番号10)、TIPA(配列番号11)、ER;
    (f)RRSMHTV(配列番号12)、IAKN(配列番号13)、TP;
    (g)NPRTIRA(配列番号14)、DLAE(配列番号15)、NQ
  4. 前記標的分子が、サバイビンモノマー、サバイビンダイマー、及び低分子化合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のリガンド。
  5. 前記リガンドが、前記リガンドのコードするポリヌクレオチドと対応付けられた形で存在していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のリガンド。
  6. 前記リガンドが、ピューロマイシンを介して前記リガンドをコードするポリヌクレオチドと結合していることを特徴としている、請求項1〜5のいずれかに記載のリガンド。
  7. アンチパラレルβシートとそれらに挟まれたループ領域とからなる3つのフィンガーを備え、少なくとも、各フィンガーのループ領域が構成する指先部分と標的分子とが標的分子と結合するリガンドであって、以下のアミノ酸配列を有するリガンド。
    MECYR(X6)LKITCSAEETFCYKWLNK(X4)RWLGCAKTCTEID(X2)NVYNKCCTTNLCNT
    ・・・(配列番号16)
    ここで、Xは、前記フィンガーの指先部分を構成する任意のアミノ酸を表わし、各数字はアミノ酸の数を表わす。X6及びX4は、同一のアミノ酸で構成されることはない。
  8. 前前記指先部分のアミノ酸配列のうち、X6は下記(A’)から選ばれるいずれかの配列であり、X4は下記(B)から選ばれるいずれかの配列であり、X2は下記(C)から選ばれるいずれかの組み合わせであることを特徴とする、請求項7に記載のリガンド。
    (A’)PTQPKRT(配列番号2)、PNPADRN(配列番号4)、NPPTSDT(配列番号6)、PEVDIRQ(配列番号8)、ETNNGQP(配列番号10)、RRSMHTV(配列番号12)及びPRTIRA(配列番号14)で表わされる7個のアミノ酸からなる配列において、各配列からいずれか1個のアミノ酸が欠失した6個のアミノ酸からなるアミノ酸配列;
    (B)GTRQ(配列番号3)、NPSH(配列番号5)、PGNT(配列番号7)、KLPR(配列番号9)、TIPA(配列番号11)、IAKN(配列番号13)及びDLAE(配列番号15);
    (C)PP、NR、TQ、KP、ER、TP及びNQ
  9. 前記標的分子が、サバイビンモノマー、サバイビンダイマー、及び低分子化合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項7又は8に記載のリガンド。
  10. 前記リガンドが、前記リガンドのコードするポリヌクレオチドと対応付けられた形で存在していることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載のリガンド。
  11. 前記リガンドが、ピューロマイシンを介して前記リガンドをコードするポリヌクレオチドと結合していることを特徴としている、請求項7〜10のいずれかに記載のリガンド。
  12. (a)請求項1又は7に記載のリガンドを調製するリガンド調製工程と;
    (b)前記リガンドと検体とを接触させてリガンド−標的分子結合体を形成させる結合体形成工程と;
    (c)前記リガンド−標的分子結合体を選択する選択工程と;
    (d)前記選択された標的分子の検体中レベルを求める濃度算出工程と;
    を備える、疾病マーカーの検出方法。
  13. 前記標的分子が、サバイビンモノマー、サバイビンダイマー、及び低分子化合物からなる群から選ばれるものであることを特徴とする、請求項12に記載の疾病マーカーの検出方法。
  14. 前記疾病が、腫瘍、感染症及び食中毒からなる群から選ばれるものであることを特徴とする、請求項12に記載の疾病マーカーの検出方法。
  15. (a)リガンド進化用リンカーと、前記リンカーと相補的な配列を有するmRNAとを、前記リンカーのmRNA結合部位でRNAリガーゼによって結合させる、mRNA−リンカー連結体生成工程と;
    (b)前記mRNAを鋳型として、逆転写反応によって合成されたcDNA鎖から酵素様活性を有するタンパクを合成し、前記タンパクが前記リンカーの側鎖上のタンパク結合部位に結合されたリンカー−タンパク−mRNA結合体を得る結合体生成工程と;
    (c)mRNAを消化して、固相結合可能なベイトタンパク質である、請求項1〜11のいずれかに記載のリガンドを得る、ベイトタンパク質形成工程と;
    (d)前記ベイトタンパク質の固相結合部位に結合した所定の分子と、前記固相上に結合された所望の分子とを連結し、前記ベイトタンパク質を固相に固定する固定化工程と;
    (e)前記ベイトタンパク質と、標識されたプレイタンパク質とを反応させてベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を生成させる反応工程と;
    (f)前記ベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を集める収集工程と;
    前記収集されたベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を洗浄して、前記プレイタンパク質を溶出させる溶出工程と;
    を備える、プレイタンパク質のスクリーニング方法。
  16. 前記リンカーは主鎖と側鎖とからなり、
    前記主鎖は、その3’末端近傍に位置し、ピューロマイシン結合用のスペーサーとして機能する側鎖を結合する側鎖結合部位と;その5’末端側に位置し、固相との結合を形成する所定の分子を結合する固相結合部位と;を有し、
    前記側鎖は標識を結合するための標識結合部位を有し、
    前記側鎖の前記標識結合部位には標識が結合され、前記側鎖の主鎖を結合されていない末端にはピューロマイシンが結合されている、請求項15に記載のプレイタンパク質のスクリーニング方法。
  17. 前記側鎖は、任意の塩基配列又はポリエチレングリコールスペーサーで形成されていることを特徴とする、請求項15又は16に記載のプレイタンパク質のスクリーニング方法。
  18. 前記所定の分子はビオチンであることを特徴とする、請求項15〜17のいずれかに記載のプレイタンパク質のスクリーニング方法。
  19. 前記連結酵素はT4 RNAリガーゼであることを特徴とする、請求項15〜18のいずれかに記載のプレイタンパク質のスクリーニング方法。
  20. 前記固相は磁性粒子であることを特徴とする、請求項15〜19のいずれかに記載のプレイタンパク質のスクリーニング方法。
  21. 前記収集工程では、前記固相が磁力によって収集される特徴とする、請求項20に記載のプレイタンパク質のスクリーニング方法。
JP2013544364A 2011-11-18 2012-11-19 スリーフィンガー構造を有するリガンド、及びそれを用いた分子の検出方法 Pending JPWO2013073706A1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013544364A JPWO2013073706A1 (ja) 2011-11-18 2012-11-19 スリーフィンガー構造を有するリガンド、及びそれを用いた分子の検出方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011253311 2011-11-18
JP2011253311 2011-11-18
JP2013544364A JPWO2013073706A1 (ja) 2011-11-18 2012-11-19 スリーフィンガー構造を有するリガンド、及びそれを用いた分子の検出方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2013073706A1 true JPWO2013073706A1 (ja) 2015-04-02

Family

ID=48429757

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013544364A Pending JPWO2013073706A1 (ja) 2011-11-18 2012-11-19 スリーフィンガー構造を有するリガンド、及びそれを用いた分子の検出方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US9982254B2 (ja)
JP (1) JPWO2013073706A1 (ja)
WO (1) WO2013073706A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022198231A1 (en) 2021-03-18 2022-09-22 Seagen Inc. Selective drug release from internalized conjugates of biologically active compounds

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005001086A1 (ja) * 2003-06-27 2005-01-06 Genefield, Inc. 固定化mRNA-ピューロマイシン連結体及びその用途
JP2007306866A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 National Institute Of Advanced Industrial & Technology スリーフィンガー様蛋白質ライブラリ

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005001086A1 (ja) * 2003-06-27 2005-01-06 Genefield, Inc. 固定化mRNA-ピューロマイシン連結体及びその用途
JP2007306866A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 National Institute Of Advanced Industrial & Technology スリーフィンガー様蛋白質ライブラリ

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013002942; Biochem. J. Vol.360, 2001, p.539-548 *
JPN6013002945; Molecular Brain Vol.4:2, 20110107, p.1-16 *
JPN6013002947; 日本臨床検査自動化学会会誌 Vol.32, No.2, 2007, p.169-173 *
JPN6013002950; THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY Vol.286, No.26, 20110701, p.23296-23307 *

Also Published As

Publication number Publication date
US9982254B2 (en) 2018-05-29
US20150031564A1 (en) 2015-01-29
WO2013073706A1 (ja) 2013-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10197562B2 (en) Multiplex immuno screening assay
Thiviyanathan et al. Aptamers and the next generation of diagnostic reagents
US20030022230A1 (en) Molecule assigning genotype to phenotype and use thereof
CN110637086B (zh) Rna分子与肽的复合体的制造方法及其利用
US20150057162A1 (en) Peptide arrays
WO2006135527A2 (en) Methods for the selection of aptamers
JP2020115873A (ja) 組換えタンパク質調製物中の残留宿主細胞タンパク質の検出
JPWO2016159211A1 (ja) 試験管内淘汰及び分子間相互作用解析用高速光架橋型共用リンカー、そのリンカーを用いた試験管内淘汰方法
JPWO2018051569A1 (ja) 分泌型免疫グロブリンA(sIgA)結合核酸分子、sIgA分析用センサ、およびsIgAの分析方法
JP5733784B2 (ja) cDNA/mRNA−タンパク質連結体の効率的合成法
WO2013073706A1 (ja) スリーフィンガー構造を有するリガンド、及びそれを用いた分子の検出方法
JP2004097213A (ja) 核酸および/またはタンパク質の選択方法
Carter et al. Coupling Strategies for the Synthesis of Peptide‐Oligonucleotide Conjugates for Patterned Synthetic Biomineralization
Roh et al. Quantum‐dots‐based detection of hepatitis C virus (HCV) NS3 using RNA aptamer on chip
JP7153996B2 (ja) 架橋ペプチドの作製方法、及びその方法を用いて作製した架橋ペプチド
JP6478392B2 (ja) 核酸リンカー
EP3262185B1 (en) Dna display and methods thereof
JP2015227806A (ja) 磁性体ゲルビーズを用いた標的分子の高感度検出方法及び検出用キット
JP2020007309A (ja) 化学架橋ペプチドの作製方法、その方法を用いて作製した化学架橋ペプチド及びそのペプチドを用いて構築したcDNAディスプレイ法によるペプチドライブラリ
JPWO2003014734A1 (ja) 物質と蛋白質との間の相互作用の検出方法、物質と相互作用する蛋白質のスクリーニング方法、及び、物質とその物質と相互作用する蛋白質との複合体の形成方法
JP2016098198A (ja) Dnaライブラリの製造方法、dnaライブラリ、スクリーニング方法及びスクリーニングキット
JP2017216961A (ja) 非天然アミノ酸含有ペプチドライブラリ
WO2021182587A1 (ja) 光架橋塩基を活用した、新規ペプチドアプタマー探索用標的モジュール、新規ペプチドアプタマー探索用リンカー及びそれらを用いる新規ペプチドアプタマーの探索方法
CN104774923A (zh) 一种测定转录调控复合体的方法
JP6590474B2 (ja) 化学架橋ペプチドの作製方法、その方法を用いて作製した化学架橋ペプチド及びそのペプチドを用いて構築したcDNAディスプレイ法によるペプチドライブラリ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150727

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150727

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160427

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20161026