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JPWO2012020759A1 - 変異型逆転写酵素 - Google Patents

変異型逆転写酵素 Download PDF

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JPWO2012020759A1
JPWO2012020759A1 JP2012528684A JP2012528684A JPWO2012020759A1 JP WO2012020759 A1 JPWO2012020759 A1 JP WO2012020759A1 JP 2012528684 A JP2012528684 A JP 2012528684A JP 2012528684 A JP2012528684 A JP 2012528684A JP WO2012020759 A1 JPWO2012020759 A1 JP WO2012020759A1
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清 保川
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國世 井上
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Abstract

熱安定性が高く、汎用性が高い変異型逆転写酵素、その核酸及び変異型逆転写酵素の製造方法、汎用性が高い逆転写反応キット及び検出キット、核酸関連酵素の熱安定性を大きく向上させる核酸関連酵素の熱安定性の向上方法並びに効率よく逆転写反応を行なう逆転写方法を提供する。野生型酵素の核酸相互作用領域中のアミノ酸残基を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換し、野生型酵素の核酸相互作用領域よりも大きい正の実効電荷を有する核酸相互作用領域を形成させる。

Description

本発明は、変異型逆転写酵素に関する。さらに詳しくは、本発明は、遺伝子解析、疾患などの検査などに有用な、変異型逆転写酵素、それをコードする核酸、前記変異型逆転写酵素を用いる逆転写方法、前記変異型逆転写酵素を含有する逆転写反応キットおよび検出キット、ならびに前記変異型逆転写酵素などの核酸関連酵素の熱安定性の向上方法に関する。
逆転写酵素は、一般的に、RNAをテンプレートとしてcDNAを合成する活性(以下、「RNA依存性DNAポリメラーゼ活性」という)と、DNAをテンプレートとしてDNAを合成する活性(以下、「DNA依存性DNAポリメラーゼ活性」という)と、RNA:DNAハイブリッド中のRNA鎖を分解する活性(以下、「RNase H活性」という)を有している。
かかる逆転写酵素は、前記RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有していることから、例えば、生体で発現しているタンパク質のアミノ酸配列を直接反映しているmRNAの塩基配列の解析、cDNAライブラリーの構築、RT−PCRなどの用途に用いられている。かかる用途には、従来、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素またはトリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素が用いられている。
また、mRNAが二次構造を形成しやすい塩基配列を有する場合、逆転写酵素によるcDNAの合成が前記二次構造によって妨げられることから、反応温度を高くすることによって二次構造の形成を抑制しながらcDNAを合成することが望まれる。しかしながら、前記モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素およびトリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素野生型逆転写酵素は、熱安定性が低く、RNAの二次構造の形成が抑制されるような温度では、失活してしまうことがある。そこで、耐熱性を向上させた逆転写酵素が提案されている(例えば、特許文献1および非特許文献1を参照)。
特表2004−511211号公報
バハラム・アレジ(Bahram Arezi)ら、「モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素の新たな変異は、テンプレート−プライマーへの強力な結合を介して熱安定性を増加させる(Novel mutations in Moloney Murine Leukemia Virus reverse transcriptase increase thermostability through tighter binding to template−primer)」、ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Research)」、2009年発行(オンライン公開日2008年12月4日)、第37巻、pp.473−481
しかしながら、より高い熱安定性を有し、汎用性の高い逆転写反応を行なうことができる逆転写酵素が求められている。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、熱安定性が高く、汎用性が高い変異型逆転写酵素を提供することを目的とする。また、本発明は、前記変異型逆転写酵素を容易に得ることができる、核酸および前記変異型逆転写酵素の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、汎用性が高い逆転写反応キットおよび検出キットを提供することを目的とする。さらに、本発明は、核酸関連酵素の熱安定性を大きく向上させることができる核酸関連酵素の熱安定性の向上方法を提供することを目的とする。また、本発明は、汎用性が高く、効率よく逆転写反応を行なうことができる逆転写方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 野生型逆転写酵素のDNA相互作用領域中のアミノ酸残基の正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基への置換を有しており、前記野生型逆転写酵素のDNA相互作用領域よりも大きい正の実効電荷を有するDNA相互作用領域を有しており、かつ逆転写酵素活性を示すことを特徴とする、変異型逆転写酵素、
〔2〕 前記野生型逆転写酵素が、配列番号:2に対応するアミノ酸配列からなり、
前記野生型逆転写酵素のDNA相互作用領域中のアミノ酸残基が、配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域中に局在するアミノ酸残基である、前記〔1〕に記載の変異型逆転写酵素、
〔3〕 配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域中にアミノ酸残基の保存的置換を有する、前記〔2〕に記載の変異型逆転写酵素、
〔4〕 (A)配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域を除く配列における1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入または付加をさらに有するアミノ酸配列、および
(B)配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域を除く配列に対して、BLASTアルゴリズムにより、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件でアラインメントして得られた配列同一性が少なくとも80%であるアミノ酸配列
のいずれかのアミノ酸配列を有しており、かつ逆転写酵素活性を示す、前記〔2〕または〔3〕に記載の変異型逆転写酵素、
〔5〕 配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域に局在するアミノ酸残基のうちの負電荷アミノ酸残基の少なくともいずれかが、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されている、前記〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素、
〔6〕 配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2の少なくとも286位のグルタミン酸残基に対応するアミノ酸残基が、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されており、かつ逆転写酵素活性を示すことを特徴とする、変異型逆転写酵素、
〔7〕 配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2中のアミノ酸残基:
69位のグルタミン酸残基、108位のアスパラギン酸残基、117位のグルタミン酸残基、124位のアスパラギン酸残基、286位のグルタミン酸残基、302位のグルタミン酸残基、313位のトリプトファン残基、435位のロイシン残基および454位のアスパラギン残基
の少なくとも1つに対応する残基が、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されており(ただし、302位のグルタミン酸残基のアルギニンへの置換を除く)、かつ逆転写酵素活性を示すことを特徴とする、変異型逆転写酵素、
〔8〕 配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、下記アミノ酸残基の置換(a)〜(i):
(a)配列番号:2の286位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、
(b)配列番号:2の302位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基またはリジン残基への置換、
(c)配列番号:2の435位のロイシン残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、
(d)配列番号:2の124位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、
(e)配列番号:2の69位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基またはアルギニン残基への置換、
(f)配列番号:2の108位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、
(g)配列番号:2の117位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基またはリジン残基への置換、
(h)配列番号:2の313位のトリプトファン残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、および
(i)配列番号:2の454位のアスパラギン残基に対応する残基のアラニン残基またはアルギニン残基への置換
からなる群より選択された少なくとも1つを有するアミノ酸配列からなり、かつ逆転写酵素活性を示すことを特徴とする、変異型逆転写酵素、
〔9〕 (I)配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、下記アミノ酸残基の置換(a−1)〜(c−1):
(a−1)配列番号:2の286位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基への置換、
(b−1)配列番号:2の302位のグルタミン酸残基に対応する残基のリジン残基への置換、および
(c−1)配列番号:2の435位のロイシン残基に対応する残基のアルギニン残基への置換
を有するアミノ酸配列、または
(II)前記(I)のアミノ酸配列において、(d−1)配列番号:2の124位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアルギニン残基への置換
をさらに有するアミノ酸配列
からなり、かつ逆転写酵素活性を示す、前記〔8〕に記載の変異型逆転写酵素、
〔10〕 前記(I)または(II)のアミノ酸配列において、
(e−1)配列番号:2の524位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアラニン残基への置換
をさらに有するアミノ酸配列
からなり、かつ逆転写酵素活性を示す、前記〔9〕に記載の変異型逆転写酵素、
〔11〕 前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素をコードする核酸、
〔12〕 前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素を製造する方法であって、
前記〔11〕に記載の核酸を保持する細胞を培養して当該核酸にコードされた変異型逆転写酵素を発現させ、培養物を得る工程、および
前記工程で得られた培養物から変異型逆転写酵素を回収する工程
を含む、変異型逆転写酵素の製造方法、
〔13〕 前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素を用いてRNAからcDNAを合成することを特徴とする逆転写方法、
〔14〕 逆転写反応を行なうためのキットであって、
前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素を含有することを特徴とする逆転写反応キット、
〔15〕 生体から得られたRNAを含む試料中のマーカーを検出するためのキットであって、
前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の変異型逆転写酵素と前記マーカーの検出用試薬とを含有することを特徴とする検出キット、
〔16〕 核酸と相互作用する核酸相互作用領域を有する核酸関連酵素の熱安定性を向上させる方法であって、
野生型核酸関連酵素をコードする核酸中の前記核酸相互作用領域に対応する塩基配列に対して、前記核酸相互作用領域中のアミノ酸残基を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換させる変異を導入して、前記野生型核酸関連酵素の核酸相互作用領域よりも大きい正の実効電荷を有する核酸相互作用領域を形成させることを特徴とする、核酸関連酵素の熱安定性の向上方法、ならびに
〔17〕 前記核酸関連酵素が逆転写酵素である、前記〔16〕に記載の方法
に関する。
本発明の変異型逆転写酵素は、熱安定性が高く、汎用性が高いという優れた性質を有する。また、本発明の核酸および本発明の変異型逆転写酵素の製造方法によれば、前記変異型逆転写酵素を容易に得ることができる。また、本発明の逆転写反応キットおよび検出キットは、汎用性が高いという優れた性質を有する。さらに、本発明の核酸関連酵素の熱安定性の向上方法によれば、核酸関連酵素の熱安定性を大きく向上させることができる。また、本発明の逆転写方法は、汎用性が高く、当該方法によれば、効率よく逆転写反応を行なうことができる。
製造例2で選択された置換対象のアミノ酸残基の野生型MMLV逆転写酵素中における局在位置を示すリボンモデル図である。 試験例1において、アミノ酸残基の置換の種類と残存活性との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例2において、多重変異体の種類と残存活性との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例4において、インキュベーション時間とln[残存活性(%)]との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例4において、温度とln[kobs(s-1)]との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例5において、電気泳動を行なった結果を示す図面代用写真である。 試験例6において、多重変異体の種類とテンプレートプライマー存在下での多重変異体の残存活性との関係を調べた結果を示すグラフである。
本発明者らは、逆転写酵素のDNA相互作用領域に正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基を導入して導入前の逆転写酵素のDNA相互作用領域よりも正の実効電荷を大きくすることにより、逆転写酵素の熱安定性が大きく向上することを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
1.変異型逆転写酵素
本発明の変異型逆転写酵素は、野生型逆転写酵素のDNA相互作用領域中のアミノ酸残基が正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されており、前記野生型逆転写酵素のDNA相互作用領域よりも大きい正の実効電荷を有するDNA相互作用領域を有しており、かつ逆転写酵素活性を示すことを特徴としている。
本発明の変異型逆転写酵素は、前記DNA相互作用領域を有するので、高い熱安定性を発現する。そのため、本発明の変異型逆転写酵素によれば、高い反応温度でも逆転写反応を行なうことができるので、RNAが二次構造を形成しやすい塩基配列を有する場合であっても、反応温度を高くすることによって二次構造の形成を抑制しながらcDNAを合成することができる。したがって、当該変異型逆転写酵素によれば、汎用性の高い逆転写反応を行なうことができる。
なお、本明細書において、「野生型逆転写酵素」とは、人為的に変異が導入されていない逆転写酵素をいう(以下、「WTRT」ともいう)。前記WTRTとしては、配列番号:2に対応するアミノ酸配列からなる逆転写酵素などが挙げられる。ここで、「配列番号:2に対応するアミノ酸配列」とは、配列番号:2に示されるアミノ酸配列(モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素)および前記配列番号:2に示されるアミノ酸配列からなる逆転写酵素のオルソログ(例えば、トリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素、ヒト免疫不全ウイルス逆転写酵素など)のアミノ酸配列をいう。
また、本明細書において、「変異型逆転写酵素」とは、人為的に変異が導入された逆転写酵素をいう。さらに、「モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素」を、「MMLV逆転写酵素」と表すこともある。
さらに、本明細書において、「DNA相互作用領域」とは、逆転写酵素中において、DNAとの間で相互作用を生じるアミノ酸残基が局在する領域をいう。
また、本明細書において、「野生型逆転写酵素のDNA相互作用領域よりも大きい正の実効電荷を有する」とは、逆転写反応を行なうに適したpH(例えば、pH6.0〜9.5)において、野生型逆転写酵素のDNA相互作用領域の正の実効電荷よりも大きいことを意味する。
実効電荷の大きさは、例えば、正電荷アミノ酸残基であるリジン残基およびアルギニン残基それぞれの電荷スコアを「+1」、負電荷アミノ酸残基であるアスパラギン酸残基およびグルタミン酸残基それぞれの電荷スコアを「−1」とした場合、DNA相互作用領域中のリジン残基、アルギニン残基、アスパラギン酸残基およびグルタミン酸残基それぞれの数に基づいて、式(I):
実効電荷の大きさのスコア
=(+1×k)+(+1×r)+(−1×d)+(−1×e) (I)
(式中、kはリジン残基の数、rはアルギニン残基の数、dはアスパラギン酸残基の数、およびeはグルタミン酸残基の数を示す。)
を用いて算出することができる。
本発明の変異型逆転写酵素のDNA相互作用領域には、前記式(I)を用いて算出された実効電荷の大きさのスコアが野生型MMLV逆転写酵素のDNA相互作用領域における実効電荷のスコア(+7)よりも大きくなるように、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基が局在していることが望ましい。本発明の変異型逆転写酵素のDNA相互作用領域の実効電荷の大きさのスコアは、高い熱安定性を確保し、かつ高い比活性を確保する観点から、通常、+8〜+13、好ましくは+9〜+13、より好ましくは+11〜+13であればよい。
前記正電荷アミノ酸残基としては、例えば、アルギニン残基、リジン残基、ヒスチジン残基などが挙げられる。これらのなかでは、逆転写反応を行なうに適したpH(例えば、pH6.0〜9.5)において、正に荷電しており、かかるpH条件下で高い熱安定性を確保することができることから、好ましくはアルギニン残基およびリジン残基である。
前記非極性アミノ酸残基としては、例えば、アラニン残基、グリシン残基、バリン残基、ロイシン残基、イソロイシン残基、メチオニン残基、システイン残基、トリプトファン残基、フェニルアラニン残基、プロリン残基などが挙げられる。これらのなかでは、側鎖のサイズが小さく、かつ置換によりもたらされる形状の変化が小さいと考えられていることから、好ましくはアラニン残基である。
前記逆転写酵素活性は、下記ステップ(1)〜(6)を行なうことによって測定することができる。
(1) 反応液〔組成:25mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM塩化カリウム、2mMジチオスレイトール、5mM塩化マグネシウム、12.5μMポリ(rA)・p(dT)15(p(dT)15換算濃度)、および0.2mM [メチル−3H]dTTP〕中で逆転写酵素を37℃でインキュベーションするステップ、
(2) 前記ステップ(1)で得られた産物20μLを採取し、ガラスフィルターにスポットするステップ、
(3) 前記ステップ(2)後のガラスフィルターを、冷却された5質量%トリクロロ酢酸水溶液で10分間洗浄した後、冷却された95体積%エタノール水溶液で洗浄する操作を3回繰り返して、前記ガラスフィルター上の産物からポリ(rA)・p(dT)15に取り込まれていない[3H]dTTPを除去するステップ、
(4) 前記ステップ(3)後のガラスフィルターを乾燥させた後、前記ガラスフィルターを、液体シンチレーション用試薬2.5mL中に入れ、放射活性をカウントするステップ、
(5) 前記ステップ(4)で得られた放射活性に基づいて、ポリ(rA)・p(dT)15に取り込まれた[3H]dTTPの量(以下、「dTTP取り込み量」という)を算出するステップ、および
(6) 前記ステップ(5)で算出されたdTTP取り込み量に基づいて、10分間にポリ(rA)・p(dT)15に1nmolのdTTPを取り込ませる逆転写酵素の量を求めるステップ。
本発明においては、高い熱安定性を確保し、かつ十分な比活性を確保する観点から、WTRTが、配列番号:2に対応するアミノ酸配列からなり、WTRTのDNA相互作用領域中のアミノ酸残基が、配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域(以下、「領域T24-P474」ともいう)中に局在するアミノ酸残基であることが好ましい。前記領域T24-P474のなかでは、高い熱安定性を確保し、かつ十分な比活性を確保する観点から、配列番号:2の60位のセリン残基〜84位のグルタミン残基に対応する領域(以下、「領域S60-Q84」ともいう)、95位のアスパラギン残基〜157位のシステイン残基に対応する領域(以下、「領域N95-C157」ともいう)、190位のグルタミン残基〜194位のアスパラギン残基に対応する領域(以下、「領域Q190-N194」ともいう)、220位のロイシン残基〜233位のグルタミン酸残基に対応する領域(以下、「領域L220-E233」ともいう)、257位のリジン残基〜275位のグルタミン酸残基に対応する領域(以下、「領域K257-E275」ともいう)、280位のロイシン残基〜287位のスレオニン残基に対応する領域(以下、「領域L280-T287」ともいう)、301位のアルギニン残基〜333位のロイシン残基に対応する領域(以下、「領域R301-L333」ともいう)、354位のアラニン残基〜373位のリジン残基に対応する領域(以下、「領域A354-K373」ともいう)、394位のチロシン残基〜436位のアラニン残基に対応する領域(以下、「領域Y394-A436」ともいう)および453位のセリン残基〜462位のアラニン残基に対応する領域(以下、「領域S453-A462」ともいう)が好ましい。
本発明の変異型逆転写酵素は、本発明の目的を妨げない範囲で、配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、前記領域T24-P474中にアミノ酸残基の保存的置換を有していてもよい。前記保存的置換としては、例えば、特定のアミノ酸残基と、疎水性、電荷、pKa、立体構造上における特徴などの点で当該特定のアミノ酸残基に類似した機能を発揮するアミノ酸残基との置換などが挙げられる。前記保存的置換としては、より具体的には、例えば、下記グループI〜VIのいずれかに属する1つのアミノ酸残基を同じグループに属する他のアミノ酸残基に置換することなどが挙げられる。
グループI:グリシン残基およびアラニン残基
グループII:バリン残基、イソロイシン残基およびロイシン残基
グループIII:アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、アスパラギン残基およびグルタミン残基
グループIV:セリン残基およびスレオニン残基
グループV:リジン残基およびアルギニン残基
グループVI:フェニルアラニン残基およびチロシン残基
また、本発明の変異型逆転写酵素は、本発明の目的を妨げない範囲で、
(A)配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域を除く配列における1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入または付加をさらに有するアミノ酸配列、および
(B)配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域を除く配列に対して、BLASTアルゴリズムにより、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件でアラインメントして得られた配列同一性が少なくとも80%であるアミノ酸配列
のいずれかのアミノ酸配列を有しており、かつ逆転写酵素活性を示す酵素であってもよい。
「1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入または付加」は、逆転写酵素活性を示すポリペプチドが得られる範囲の個数のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入または付加を意味する。「1または数個」とは、具体的には、1〜30個、好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜3個をいう。
前記配列同一性は、高い熱安定性を確保し、かつ十分な比活性を確保する観点から、BLASTアルゴリズムにより、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件でアラインメントして算出した値として、80%以上であり、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは100%である。
本発明の変異型逆転写酵素は、高い熱安定性を確保する観点から、前記領域T24-P474に局在するアミノ酸残基のうちの負電荷アミノ酸残基の少なくともいずれかが、前記正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されていることが好ましい。
前記負電荷アミノ酸残基としては、例えば、アスパラギン酸残基およびグルタミン酸残基が挙げられる。かかる負電荷アミノ酸残基は、WTRTのアミノ酸配列において、当該負電荷アミノ酸残基が前記正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されたポリペプチドが逆転写酵素活性を発現することができるのであれば、形状の変化をもたらす位置に存在する残基であってもよい。
本発明の変異型逆転写酵素は、高い熱安定性を確保し、かつ十分な比活性を確保する観点から、前記負電荷アミノ酸残基として、配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2の少なくとも286位のグルタミン酸残基に対応するアミノ酸残基が、前記正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されており、かつ逆転写酵素活性を示すことが好ましい。
また、本発明の変異型逆転写酵素は、本発明の目的を妨げない範囲で、前記領域T24-P474に局在するアミノ酸残基のうち、286位のグルタミン酸残基に対応するアミノ酸残基以外の負電荷アミノ酸残基および/または他のアミノ酸残基が、前記正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されていてもよい。本発明の変異型逆転写酵素は、具体的には、配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2中のアミノ酸残基:69位のグルタミン酸残基、108位のアスパラギン酸残基、117位のグルタミン酸残基、124位のアスパラギン酸残基、286位のグルタミン酸残基、302位のグルタミン酸残基、313位のトリプトファン残基、435位のロイシン残基および454位のアスパラギン残基の少なくとも1つに対応する残基が、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されており、かつ逆転写酵素活性を示す酵素であってもよい。なお、この場合、302位のグルタミン酸残基のアルギニンへの置換は、WTRTよりも熱安定性を向上させることができるが、より高い熱安定性を確保する観点から、302位のグルタミン酸残基のアルギニンへの置換は除かれる。
本発明の変異型逆転写酵素は、より高い熱安定性を確保する観点から、配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、下記アミノ酸残基の置換(a)〜(i):
(a)配列番号:2の286位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、
(b)配列番号:2の302位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基またはリジン残基への置換、
(c)配列番号:2の435位のロイシン残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、
(d)配列番号:2の124位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、
(e)配列番号:2の69位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基またはアルギニン残基への置換、
(f)配列番号:2の108位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、
(g)配列番号:2の117位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基またはリジン残基への置換、
(h)配列番号:2の313位のトリプトファン残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、および
(i)配列番号:2の454位のアスパラギン残基に対応する残基のアラニン残基またはアルギニン残基への置換
からなる群より選択された少なくとも1つを有するアミノ酸配列からなり、かつ逆転写酵素活性を示すことが好ましい。
本発明の変異型逆転写酵素は、前記(a)〜(i)のアミノ酸残基の置換のなかから選択された1つの変異を有する場合(すなわち、単独変異体である場合)、より高い熱安定性を確保する観点から、配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、
(a−1)配列番号:2の286位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基への置換、
(b−1)配列番号:2の302位のグルタミン酸残基に対応する残基のリジン残基への置換、および
(c−1)配列番号:2の435位のロイシン残基に対応する残基のアルギニン残基への置換
を有するアミノ酸配列、および
(d−1)配列番号:2の124位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアルギニン残基への置換
のいずれかを有するアミノ酸配列からなり、かつ逆転写酵素活性を示すことが好ましい。
本発明の変異型逆転写酵素は、前記(a)〜(i)のアミノ酸残基の置換のなかから選択された複数種の変異を有する場合(すなわち、多重変異体である場合)、より高い熱安定性を確保する観点から、
(I)配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、下記アミノ酸残基の置換(a−1)〜(c−1):
(a−1)配列番号:2の286位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基への置換、
(b−1)配列番号:2の302位のグルタミン酸残基に対応する残基のリジン残基への置換、および
(c−1)配列番号:2の435位のロイシン残基に対応する残基のアルギニン残基への置換
を有するアミノ酸配列、または
(II)前記(I)のアミノ酸配列において、(d−1)配列番号:2の124位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアルギニン残基への置換
をさらに有するアミノ酸配列
からなり、かつ逆転写酵素活性を示すことが好ましい。
なお、逆転写酵素として、RNase H活性を有しない逆転写酵素が望まれる場合、本発明の変異型逆転写酵素は、前記(I)または(II)のアミノ酸配列において、(e−1)配列番号:2の524位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアラニン残基への置換
をさらに有するアミノ酸配列
からなり、かつ逆転写酵素活性を示すものであればよい。
2.変異型逆転写酵素をコードする核酸
本発明の核酸は、本発明の変異型逆転写酵素をコードする核酸である。本発明の核酸は、前記変異型逆転写酵素をコードしているため、当該核酸にコードされた変異型逆転写酵素を発現させることにより、前記変異型逆転写酵素を容易に得ることができる。
核酸としては、例えば、DNA、mRNAなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の核酸は、例えば、WTRTをコードする核酸に対して、WTRTのDNA相互作用領域中のアミノ酸残基が正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されるように部位特異的変異を導入することにより得ることができる。
核酸への部位特異的変異の導入は、例えば、WTRTのDNA相互作用領域中のアミノ酸残基が正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されるように設計されたプライマーを用いたPCRなどにより行なうことができる。
3.変異型逆転写酵素の製造方法
本発明の変異型逆転写酵素は、本発明の核酸を用いて当該核酸にコードされた変異型逆転写酵素を発現させることにより得ることができる。本発明には、かかる変異型逆転写酵素の製造方法も包含される。
本発明の製造方法は、前述した変異型逆転写酵素を製造する方法であって、
(i) 本発明の核酸を保持する細胞を培養して当該核酸にコードされた変異型逆転写酵素を発現させ、培養物を得る工程、および
(ii) 前記工程で得られた培養物から変異型逆転写酵素を回収する工程
を含む方法である。
まず、本発明の核酸を保持する細胞を培養して当該核酸にコードされた変異型逆転写酵素を発現させ、培養物を得る〔「工程(i)」〕。
前記核酸を保持する細胞は、例えば、前記核酸を含む遺伝子導入用担体を用いて宿主細胞を形質転換することなどにより得られる。
前記宿主細胞としては、例えば、大腸菌などの細菌の細胞、昆虫細胞、酵母細胞、植物細胞、動物細胞などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのなかでは、変異型逆転写酵素の精製が容易であり、変異型逆転写酵素を大量に生産することができることから、好ましくは細菌の細胞、より好ましくは大腸菌の細胞である。前記大腸菌の細胞としては、例えば、BL21(DE3)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記遺伝子導入用担体は、生物担体であってもよく、非生物担体であってもよい。生物担体としては、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクターなどのベクターが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、非生物担体としては、例えば、金粒子、デキストラン、リポソームなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。かかる遺伝子導入用担体は、用いられる宿主細胞に応じて、適宜選択することができる。例えば、宿主細胞が大腸菌である場合、遺伝子導入用担体として、プラスミドベクターまたはファージベクターを用いることができる。宿主細胞が大腸菌であるBL21(DE3)である場合、pET系プラスミドベクターを用いることができる。この場合、変異型逆転写酵素を大量に発現させることができ、しかも変異型逆転写酵素を容易に精製することができる。
前記ベクターは、変異型逆転写酵素の精製をより容易にするためのエレメント、例えば、細胞外分泌シグナル、Hisタグなどを含有していてもよい。
前記遺伝子導入用担体が、前記生物担体であるプラスミドベクター、ファージベクターまたはウイルスベクターである場合、当該遺伝子導入用担体は、プラスミドベクター、ファージベクターまたはウイルスベクターのクローニングサイトに前記核酸を挿入し、プロモーターの制御下に作動可能に連結させることにより作製することができる。なお、本明細書において、「作動可能に連結」とは、核酸によりコードされるポリペプチドの発現が、プロモーターなどのエレメントによる制御下に生物学的活性を示す状態で発現するように連結されていることを意味する。
一方、前記遺伝子導入用担体が、前記非生物担体である場合、当該遺伝子導入用担体は、必要に応じて、前記核酸を、プロモーターの制御下に作動可能に連結させて得られた核酸構築物を、当該非生物担体に担持させることにより作製することができる。なお、かかる核酸構築物は、複製開始起点、ターミネーターなどの遺伝子の発現に必要なエレメントを適宜含有してもよい。
形質転換は、用いられた遺伝子導入用担体の種類に応じた形質転換法で行なうことができる。かかる形質転換法としては、例えば、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、パーティクルガン法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記工程(i)において、前記核酸を保持する細胞の培養条件は、用いられた宿主細胞の種類などに応じて適宜設定することができる。前記核酸が誘導可能なプロモーターの制御下に作動可能に連結されている場合、かかるプロモーターの種類に応じた発現誘導条件下に、前記核酸を保持する細胞を培養すればよい。
つぎに、前記工程(i)で得られた培養物から変異型逆転写酵素を回収する〔「工程(ii)」〕。
変異型逆転写酵素が細胞内に蓄積される場合、工程(ii)において、培養物を遠心分離などに供して細胞を回収し、細胞から変異型逆転写酵素を単離すればよい。この場合、例えば、前記細胞を超音波破砕法、溶菌法、凍結破砕法などによって破砕し、得られた細胞抽出液を遠心分離、超遠心分離、限外濾過、塩析、透析、イオン交換カラムクロマトグラフィー、吸着カラムクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過カラムクロマトグラフィーなどに供することにより、変異型逆転写酵素を単離することができる。
一方、変異型逆転写酵素が細胞外に分泌される場合、培養物を遠心分離や濾過などに供して培養上清を回収し、培養上清から変異型逆転写酵素を単離すればよい。
4.逆転写方法
本発明の逆転写方法は、本発明の変異型逆転写酵素を用いてRNAからcDNAを合成することを特徴としている。本発明の変異型逆転写酵素は、野生型逆転写酵素の熱安定性と比べて高い熱安定性を有している。そのため、本発明の逆転写方法によれば、RNAの二次構造の形成を抑制するのに十分な高い温度を含む幅広い温度範囲で逆転写反応を行なうことができる。したがって、本発明の逆転写方法は、RNAの種類によらず、逆転写反応を効率よく行なうことができ、汎用性が高い。
本発明の逆転写方法では、前記変異型逆転写酵素と、RNAと、前記RNAに相補的なオリゴヌクレオチドプライマーと、4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェートとを、逆転写反応用緩衝液中でインキュベーションすることにより逆転写反応を行なうことができる。
逆転写反応における反応温度は、用いられるRNAの種類、用いられる変異型逆転写酵素の種類などによって異なるため、用いられるRNAの種類、用いられる変異型逆転写酵素の種類などに応じて適宜設定することが好ましい。前記反応温度は、例えば、用いられるRNAがWTに適した反応温度で二次構造を形成しにくいRNAである場合、37〜45℃となるように設定することができる。また、前記反応温度は、例えば、用いられるRNAがWTに適した反応温度で二次構造を形成しやすいRNAである場合、WTに適した反応温度よりも高い温度、例えば、45〜60℃となるように設定することができる。
逆転写反応の際の反応系中における逆転写酵素の濃度は、本発明の逆転写方法の用途に応じて異なるため、前記用途に応じて適宜設定することが好ましい。前記逆転写酵素の濃度は、通常、好ましくは0.001〜0.1μMである。
逆転写反応の際の反応系中におけるオリゴヌクレオチドプライマーの濃度は、通常、好ましくは0.1〜10μMである。
逆転写反応の際の反応系中における4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェートの濃度は、標的となるRNAの濃度や長さなどに応じて異なるため、標的となるRNAの濃度や長さなどに応じて適宜設定することが好ましい。前記4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェートの濃度は、通常、好ましくは0.01〜1μMである。
前記逆転写反応用緩衝液は、用いられる変異型逆転写酵素の種類に応じて、適宜選択することができる。前記逆転写反応用緩衝液は、2価の陽イオン、例えば、マグネシウムイオン、マンガンイオンなどを含有してもよい。また、前記逆転写反応用緩衝液は、本発明の目的を妨げない範囲で、必要に応じて、還元剤(例えば、ジチオスレイトールなど)、安定化剤(例えば、グリセロール、トレハロースなど)、有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ホルムアミドなど)などの成分を含有していてもよい。
前記逆転写反応用緩衝液中における2価の陽イオンの濃度は、逆転写酵素の種類や逆転写反応用緩衝液に含まれる他の成分などに応じて異なるため、逆転写酵素の種類や逆転写反応用緩衝液に含まれる他の成分などに応じて適宜設定することが好ましい。前記2価の陽イオンの濃度は、通常、1〜30mMである。
前記逆転写反応用緩衝液のpHは、逆転写酵素の種類や逆転写反応用緩衝液に含まれる他の成分などに応じて異なるため、逆転写酵素の種類や逆転写反応用緩衝液に含まれる他の成分などに応じて適宜設定することが好ましい。前記逆転写反応用緩衝液のpHは、通常、6.0〜9.5である。
5.逆転写反応キット
本発明の逆転写反応キットは、逆転写反応を行なうためのキットであって、本発明の変異型逆転写酵素を含有することを特徴としている。本発明の逆転写反応キットは、高い熱安定性を有する本発明の変異型逆転写酵素を含有しているため、RNAの二次構造の形成を抑制するのに十分な高い温度を含む幅広い温度範囲での逆転写反応に好適である。したがって、本発明の逆転写反応キットは、RNAの種類によらず、逆転写反応を効率よく行なうことができるので、汎用性が高い。
本発明の逆転写反応キットは、前記変異型逆転写酵素に加えて、逆転写反応を行なうのに必要な試薬を含有していてもよい。かかる試薬としては、例えば、逆転写反応のテンプレートとして用いられるRNA、前記RNAに相補的なオリゴヌクレオチドプライマー、4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェート、逆転写反応用緩衝液、有機溶媒などが挙げられる。なお、前記逆転写反応用緩衝液は、前記逆転写方法で用いられる逆転写反応用緩衝液と同様である。
本発明の逆転写反応キットにおいて、前記変異型逆転写酵素は、グリセロール、トレハロースなどの安定化剤を含む保存用緩衝液が入った容器中に封入されていてもよい。かかる保存用緩衝液としては、前記変異型逆転写酵素のpH安定性に応じたpHを有する緩衝液が挙げられる。
また、前記逆転写反応を行なうのに必要な試薬は、変異型逆転写酵素が入った容器とは異なる容器中に封入されていてもよく、また、前記試薬の保存中における逆転写反応の進行が停止されているのであれば、前記変異型逆転写酵素と同じ容器に封入されていてもよい。前記試薬は、逆転写反応を行なうのに適した量となるように容器に封入されていてもよい。これにより、ユーザーが、各試薬を逆転写反応に適した量となるように混合する必要がなくなるので、取り扱いが容易である。
6.検出キット
本発明の検出キットは、生体から得られたRNAを含む試料中のマーカーを検出するためのキットであって、前記変異型逆転写酵素と前記マーカーの検出用試薬とを含有することを特徴としている。本発明の検出キットは、高い熱安定性を有する前記変異型逆転写酵素を含有しているため、RNAの二次構造の形成を抑制するのに十分な高い温度を含む幅広い温度範囲での逆転写反応に好適である。したがって、本発明の検出キットは、種々の試料に対して用いることができ、汎用性が高い。
前記マーカーとしては、生体中に含まれるウイルスまたは細菌に特有の塩基配列、疾患に特有の塩基配列を有するRNAなどが挙げられる。なお、本明細書において、「ウイルスまたは細菌に特有の塩基配列」とは、ウイルスまたは細菌には存在するが、生体には存在しない塩基配列をいう。また、「疾患に特有の塩基配列」とは、疾患に罹患した生体には存在するが、疾患に罹患していない正常な生体には存在しない塩基配列をいう。
前記ウイルスとしては、特に限定されないが、例えば、HPV、HIV、インフルエンザウイルス、HCV、ノロウイルス、ウエストナイルウイルスなどが挙げられる。また、前記細菌としては、例えば、食中毒の原因となるバチルス・セレウス、サルモネラ、腸管出血性大腸菌、ビブリオ、カンピロバクター、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌などが挙げられる。前記疾患としては、癌、糖尿病、心臓病、高血圧、感染症などが挙げられる。
前記マーカーの検出用試薬としては、例えば、前記マーカーとなるRNAに相補的であり、かつ蛍光物質または放射性物質が結合したプローブ、二本鎖核酸に特異的にインターカレートする蛍光物質(例えば、エチジウムブロマイドなど)などが挙げられる。
本発明の検出キットは、前記変異型逆転写酵素および前記マーカーの検出用試薬に加えて、例えば、4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェート、逆転写反応用緩衝液、有機溶媒、陽性標準となるRNA、陰性標準となるRNAなどを含有していてもよい。なお、前記逆転写反応用緩衝液は、前記逆転写方法で用いられる逆転写反応用緩衝液と同様である。
本発明の検出キットにおいて、前記変異型逆転写酵素は、グリセロール、トレハロースなどの安定化剤を含む保存用緩衝液が入った容器中に封入されていてもよい。かかる保存用緩衝液は、前記逆転写反応キットにおける保存用緩衝液と同様である。
また、前記4種のデオキシリボヌクレオシドトリホスフェート、逆転写反応用緩衝液などの試薬は、変異型逆転写酵素が入った容器とは異なる容器中に封入されていてもよく、また、かかる試薬の保存中における逆転写反応の進行が停止されているのであれば、前記変異型逆転写酵素と同じ容器に封入されていてもよい。前記試薬は、前記逆転写反応キットの場合と同様の観点から、逆転写反応を行なうのに適した量となるように容器に封入されていてもよい。
7.核酸関連酵素の熱安定性の向上方法
本発明の核酸関連酵素の熱安定性の向上方法は、核酸と相互作用する核酸相互作用領域を有する核酸関連酵素の熱安定性を向上させる方法であって、
野生型核酸関連酵素をコードする核酸中の前記核酸相互作用領域に対応する塩基配列に対して、前記核酸相互作用領域中のアミノ酸残基を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換させる変異を導入して、前記野生型核酸関連酵素の核酸相互作用領域よりも大きい正の実効電荷を有する核酸相互作用領域を形成させることを特徴としている。
核酸関連酵素は、核酸と相互作用する核酸相互作用領域を有している。したがって、本発明の変異型逆転写酵素の場合と同様に、核酸相互作用領域中のアミノ酸残基を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換することにより、高い熱安定性を確保することができることが期待される。
前記核酸関連酵素は、核酸と相互作用する核酸相互作用領域を有する酵素であればよい。前記核酸関連酵素としては、例えば、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、制限酵素、メチラーゼ、RNAポリメラーゼ、テロメラーゼなどが挙げられる。なかでも、熱安定性をより一層向上させることができることから、逆転写酵素が好ましい。
野生型核酸関連酵素をコードする核酸中の核酸相互作用領域に対応する塩基配列に対する前記変異の導入は、野生型核酸関連酵素の核酸相互作用領域中のアミノ酸残基が正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されるように設計されたプライマーを用いたPCRなどにより行なうことができる。
なお、変異の対象となるアミノ酸残基の位置は、核酸関連酵素の種類に応じて異なるが、核酸関連酵素の核酸相互作用領域中において、核酸のリン酸基と近接し、かつ核酸関連酵素の活性を妨げる形状の変化をもたらさないアミノ酸残基の位置、逆転写酵素の負電荷を有するアミノ酸残基と近接し、かつ核酸関連酵素の活性を妨げる形状の変化をもたらさないアミノ酸残基の位置などが挙げられる。
熱安定性が向上した核酸関連酵素は、変異が導入された核酸を用い、前記変異型逆転写酵素の製造方法と同様の手法により製造することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
(製造例1)
野生型MMLV逆転写酵素(以下、単に、「WT」ともいう)をコードするDNA(配列番号:1)をpET−22b(+)プラスミドに挿入して、発現プラスミドpET−MRTを得た。
得られたプラスミドを用いて大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。得られた細胞を、50μg/mLアンピシリンを含むLブロス中、30℃で培養して、形質転換細胞を得た。
つぎに、50μg/mLアンピシリンを含むLブロス3mLに、形質転換細胞を播種し、振盪しながら30℃で16時間インキュベーションした。その後、前記形質転換細胞を自動誘導システム〔ノバジェン(Novagen)社製、商品名:Overnight Express Autoinduction System〕で培養することにより、タンパク質を発現させた。
得られた培養物に、タンパク質精製システム〔プロメガ(Promega)社製、商品名:HisLink Spin Protein Purification System〕に含まれる菌体溶解用試薬〔プロメガ(Promega)社製、商品名:FastBreak Cell Lysis Reagent〕を添加して前記形質転換細胞を溶解させた。つぎに、得られた溶解物に、前記タンパク質精製システムに含まれるタンパク質精製用レジン〔プロメガ(Promega)社製、商品名:HisLink Protein Purification Resin〕を添加した。
その後、前記レジンを含む溶解物をカラム〔プロメガ(Promega)社製、商品名:HisLink Spin Column〕に移した。その後、カラム中のレジンを洗浄して未結合のタンパク質などを除去した。つぎに、溶出緩衝液〔組成、100mMヘペス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH7.5)、500mMイミダゾール〕0.2mLを用いて前記カラムに吸着したタンパク質を溶出し、WTを含む画分を回収した。
得られたWTは、SDS−PAGEにより、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
なお、WTのDNA相互作用領域の実効電荷の大きさは、正電荷アミノ酸残基であるリジン残基およびアルギニン残基それぞれの電荷スコアを「+1」、負電荷アミノ酸残基であるアスパラギン酸残基およびグルタミン酸残基それぞれの電荷スコアを「−1」とし、前記式(I)にしたがって算出した場合、+7である。
(製造例2)
(1)変異のデザイン
WTにおけるテンプレートプライマーとの相互作用に関連する領域(配列番号:2に示されるアミノ酸配列において、24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域)中の負電荷アミノ酸残基を、正電荷アミノ酸残基(リジン残基もしくはアルギニン残基)または非極性アミノ酸残基(アラニン残基)に置換するために、部位特異的変異用プライマーをデザインした。
置換対象のアミノ酸残基(負電荷アミノ酸残基)として、前記領域のfingersドメインに局在する7つの残基(Glu69、Gln84、Asp108、Asp114、Glu117、Glu123およびAsp124)、thumbドメインに局在する3つの残基(Glu286、Glu302およびTrp313)およびconnectionドメインに局在する2つの残基(Leu435およびAsn454)を選択した。製造例2で選択された置換対象のアミノ酸残基の野生型MMLV逆転写酵素中における局在位置を図1に示す。
前記部位特異的変異用プライマーは、表1に示されるアミノ酸残基の置換が生じるようにデザインされたプライマーである。
(2)MMLV逆転写酵素の単独変異体の調製
前記pET−MRTと、部位特異的変異用プライマーと、部位特異的変異用キット〔ストラタジーン(Stratagene)社製、商品名:QuikchangeTM site−directed mutagenesis kit〕とを用い、pET−MRT上のWTをコードするDNAに部位特異的変異を導入した。なお、得られた変異体発現用プラスミドに含まれるDNAに変異が導入されたかどうかを、DNAシークエンサー〔(株)島津製作所製、商品名:DSQ−2000〕によって確認した。
つぎに、製造例1において、pET−MRTの代わりに、前記変異体発現用プラスミドを用いたことを除き、製造例1と同様の操作を行ない、実験番号:1〜36の単独変異体を得た。得られた単独変異体は、SDS−PAGE解析の結果、いずれも、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
(試験例1)
インキュベーション用溶液〔組成:10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.6)、2mMジチオスレイトール、0.2体積%TritonTM X−100および10体積%グリセロール〕中、製造例1で得られたWT(100nM)または製造例2で得られた単独変異体(100nM)を28μMポリ(rA)・p(dT)15の存在下または非存在下に50℃で15分間インキュベーションして熱処理を行なった。その後、前記WTまたは前記単独変異体を氷上で30〜60分間インキュベーションした。
つぎに、反応液〔組成:25mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM塩化カリウム、2mMジチオスレイトール、5mM塩化マグネシウム、12.5μMポリ(rA)・p(dT)15〔p(dT)15換算濃度〕、0.2mM [メチル−3H]dTTP(1.85Bq/pmol)〔ジーイーヘルスケア(GE Healthcare)社製〕〕中、10nM WTまたは単独変異体を37℃でインキュベーションした。
一定時間(2.5、5.0または7.5分間)インキュベーション後の産物20μLを採取し、すぐに、ガラスフィルター〔ワットマン(Whatman)社製、商品名:GF/C、直径2.5cm〕にスポットした。つぎに、前記ガラスフィルターを、冷却した5質量%トリクロロ酢酸水溶液で10分間洗浄した。その後、前記ガラスフィルターを、冷却した95体積%エタノール水溶液で洗浄した。これにより、ポリ(rA)・p(dT)15に取り込まれていない[3H]dTTPを除去した。かかるトリクロロ酢酸水溶液による洗浄は3回繰り返した。また、エタノール水溶液による洗浄は1回繰り返した。
その後、前記ガラスフィルターを乾燥させた。ガラスフィルターを、液体シンチレーション用試薬〔ナショナル・ダイアグノシス(National Diagnostics)製、商品名:Ecoscint H〕2.5mL中に入れ、放射活性をカウントした。前記放射活性に基づいて、ポリ(rA)・p(dT)15に取り込まれた[3H]dTTPの量(「dTTP取り込み量」という)を算出した。
前記dTTP取り込み量の経時的変化に基づいて、初期反応速度を算出した。つぎに、熱処理を行なっていない場合の初期反応速度(「初期反応速度A」という)と、熱処理を行なった場合の初期反応速度(「初期反応速度B」という)とから、残存活性を算出した。前記残存活性は、式(II):
残存活性(%)=(初期反応速度B/初期反応速度A)×100 (II)
を用いて算出した。
既知量のウシ血清アルブミンの標品と、タンパク質定量試薬〔ナカライテスク(株)製、商品名:Protein Assay CBB Solution〕とを用いてブラッドフォード法に準じて作成された検量線に基づいて、WTおよび実験番号:1〜36の単独変異体それぞれの量を調べた。つぎに、熱処理を行なっていない場合のWTおよび実験番号:1〜36の単独変異体それぞれのdTTP取り込み量に基づいて、逆転写酵素活性を測定した。なお、逆転写酵素活性における1ユニットは、10分間にポリ(rA)・p(dT)15に1nmolのdTTPを取り込ませる逆転写酵素の量として定義した。その後、WTおよび実験番号:1〜36の逆転写酵素活性それぞれと、WTおよび実験番号:1〜36の単独変異体それぞれの量とから、比活性を算出した。
前記WTおよび実験番号:1〜36の単独変異体それぞれの残存活性および比活性に基づいて、置換対象のアミノ酸残基が、部位特異的変異を導入することによってWTよりも高い熱安定性をもたらす残基であるかどうかを評価した。評価基準を表2に示し、その評価結果を表3に示す。また、試験例1において、アミノ酸残基の置換の種類と残存活性との関係を調べた結果を図2に示す。図2には、WTおよび単独変異体の代表例の残存活性を示す。
表3に示された結果から、置換対象のアミノ酸残基のうち、E69、D108、E117、D124、E286、E302、W313、L435またはN454に部位特異的変異が導入された単独変異体の残存活性が、WTの残存活性と比べて高いことがわかる。したがって、配列番号:2に示されるアミノ酸配列において、E69、D108、E117、D124、E286、E302、W313、L435またはN454に対応するアミノ酸残基を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換することにより、WTと比べて、熱安定性を向上させることができることがわかる。
さらに、図2に示された結果から、E286に部位特異的変異が導入された3種類の単独変異体のうち2つの単独変異体それぞれの残存活性が15%を超えていることがわかる。また、D124に部位特異的変異が導入された3種類の単独変異体のうち2種類の単独変異体それぞれの残存活性が15%を超えていることがわかる。
これらの結果から、WTにおけるテンプレートプライマーとの相互作用に関連する領域(配列番号:2に示されるアミノ酸配列において、24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域)において、アミノ酸残基を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換させる変異を導入することにより、高い熱安定性を確保することができる確率が高いことがわかる。
(実施例1)
試験例1で評価された置換対象のアミノ酸残基のなかから、評価がAAである置換対象のアミノ酸残基を選択した。つぎに、選択されたアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換された変異体のなかから、残存活性が高い順に、4種類の変異体(E302K、L435R、D124RおよびE286R)を選択した。
製造例2において、表1に示されるアミノ酸残基の置換が生じるようにデザインされたプライマーの代わりに、選択された4種類のアミノ酸残基の置換が生じるようにデザインされたプライマーを用いたことを除き、製造例2と同様の操作を行ない、MMLV逆転写酵素の多重変異体(D124R/E286R/E302K/L435R)を得た。得られた多重変異体は、SDS−PAGEの結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
正電荷アミノ酸残基であるリジン残基およびアルギニン残基それぞれの電荷スコアを「+1」、負電荷アミノ酸残基であるアスパラギン酸残基およびグルタミン酸残基それぞれの電荷スコアを「−1」とし、DNA相互作用領域中のリジン残基、アルギニン残基、アスパラギン酸残基およびグルタミン酸残基それぞれの数に基づいて、前記式(I)を用いて、多重変異体のDNA相互作用領域における実効電荷の大きさのスコアを算出した。その結果、得られた多重変異体のDNA相互作用領域における実効電荷の大きさのスコアは、+13であった。
(実施例2)
実施例1において、選択された4種類のアミノ酸残基の置換が生じるようにデザインされたプライマーの代わりに、実施例1で選択された4種類のアミノ酸残基の置換と配列番号:2における524位のAspのAlaへの置換(D524A)とが生じるようにデザインされたプライマーを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、MMLV逆転写酵素の多重変異体(D124R/E286R/E302K/L435R/D524A)を得た。なお、配列番号:2における524位のAspは、WTのRNase H反応の活性部位に位置し、触媒活性に必須のアミノ酸残基である。得られた多重変異体は、SDS−PAGE解析の結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
得られた多重変異体のDNA相互作用領域における実効電荷の大きさのスコアは、+13であった。
(実施例3)
実施例1で選択された4種類のアミノ酸残基の置換のなかから、E302K、L435RおよびE286Rの3種類のアミノ酸残基の置換を選択した。つぎに、実施例1において、選択された4種類のアミノ酸残基の置換が生じるようにデザインされたプライマーの代わりに、前記3種類のアミノ酸残基の置換が生じるようにデザインされたプライマーを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、MMLV逆転写酵素の多重変異体(E286R/E302K/L435R)を得た。得られた多重変異体は、SDS−PAGE解析の結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
得られた多重変異体のDNA相互作用領域における実効電荷の大きさのスコアは、+11であった。
(実施例4)
実施例1において、選択された4種類のアミノ酸残基の置換が生じるようにデザインされたプライマーの代わりに、実施例3で選択された3種類のアミノ酸残基の置換とD524Aとが生じるようにデザインされたプライマーを用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、MMLV逆転写酵素の多重変異体(E286R/E302K/L435R/D524A)を得た。得られた多重変異体は、SDS−PAGE解析の結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
得られた多重変異体のDNA相互作用領域における実効電荷の大きさのスコアは、+11であった。
(試験例2)
試験例1において、製造例2で得られた単独変異体の代わりに、実施例1〜4で得られた多重変異体を用いたことを除き、試験例1と同様の操作を行ない、残存活性を算出した。試験例2において、多重変異体の種類と残存活性との関係を調べた結果を図3に示す。図中、1は実施例1で得られた多重変異体の残存活性、2は実施例2で得られた多重変異体の残存活性、3は実施例3で得られた多重変異体の残存活性、4は実施例4で得られた多重変異体の残存活性を示す。また、図中、白バーはテンプレートプライマー非存在下での多重変異体の残存活性、黒バーはテンプレートプライマー存在下での多重変異体の残存活性を示す。
図3に示された結果から、実施例1〜4それぞれで得られた多重変異体は、WTと比べて、熱安定性が著しく高いことがわかる。したがって、WTにおけるテンプレートプライマーとの相互作用に関連する領域(配列番号:2に示されるアミノ酸配列において、24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域)において、少なくともE286を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換することにより、高い熱安定性を確保することができることがわかる。
また、実施例1〜4それぞれで得られた多重変異体の前記領域の実効電荷の大きさのスコアは、+11〜+13であり、WTの前記領域の実効電荷の大きさのスコア(+7)よりも大きい。したがって、かかる結果から、DNA相互作用領域の実効電荷の大きさのスコアが、WTのDNA相互作用領域における実効電荷よりも大きくなるように、DNA相互作用領域中のアミノ酸残基を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換し、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基をDNA相互作用領域に局在させることにより、高い熱安定性を確保することができることがわかる。
(試験例3)
反応液〔組成:25mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM塩化カリウム、2mMジチオスレイトール、5mM塩化マグネシウム、0〜25μMの範囲の濃度のポリ(rA)・p(dT)15〔p(dT)15換算濃度〕、0.2mM [メチル−3H]dTTP(1.85Bq/pmol)〔ジーイーヘルスケア(GE Healthcare)社製〕〕中、実施例3で得られた多重変異体、実施例4で得られた多重変異体またはWT(比較例1)(5nM)を37℃でインキュベーションした。
一定時間(2.5、5.0または7.5分間)インキュベーション後の産物20μLを採取し、すぐに、ガラスフィルター〔ワットマン(Whatman)社製、商品名:GF/C、直径2.5cm〕にスポットした。つぎに、前記ガラスフィルターを、冷却した5質量%トリクロロ酢酸水溶液で10分間洗浄した。その後、前記ガラスフィルターを、冷却した95体積%エタノール水溶液で洗浄した。これにより、ポリ(rA)・p(dT)15に取り込まれていない[3H]dTTPを除去した。かかるトリクロロ酢酸水溶液による洗浄は3回繰り返した。また、エタノール水溶液による洗浄は1回繰り返した。
その後、前記ガラスフィルターを乾燥させた。ガラスフィルターを、液体シンチレーション用試薬〔ナショナル・ダイアグノシス(National Diagnostics)製、商品名:Ecoscint H〕2.5mL中に入れ、放射活性をカウントした。前記放射活性に基づいて、dTTP取り込み量を算出した。前記dTTP取り込み量の経時的変化に基づいて、初期反応速度を算出した。
つぎに、基質〔ポリ(rA)・p(dT)15〕濃度、初期反応速度およびグラフ作成ソフトウェア〔シナジー・ソフトウェア(Synergy Software)製、商品名:Kaleida Graph Version 3.5〕を用い、ミカエリス−メンテンの速度式に基づいて非線形最小2乗回帰法にしたがって、kcat値、Km値およびkcat/Km値を算出した。実施例3で得られた多重変異体、実施例4で得られた多重変異体およびWT(比較例1)それぞれのkcat値、Km値およびkcat/Km値を表4に示す。
表4に示された結果から、実施例3で得られた多重変異体および実施例4で得られた多重変異体のKm値は、それぞれ、WTのKm値の30%および40%であることがわかる。これらの結果から、テンプレートプライマーに対する実施例3で得られた多重変異体および実施例4で得られた多重変異体の親和性が、テンプレートプライマーに対するWTの親和性よりも高いことが示唆される。
一方、表4に示された結果から、実施例3で得られた多重変異体および実施例4で得られた多重変異体のそれぞれのkcat値は、それぞれ、WTのkcat値の40%および50%であることがわかる。
さらに、表4に示された結果から、実施例3で得られた多重変異体および実施例4で得られた多重変異体のkcat/Km値は、WTのkcat/Km値の170%および130%であることがわかる。これらの結果から、実施例3で得られた多重変異体および実施例4で得られた多重変異体の触媒効率は、WTの触媒効率よりも高いことが示唆される。
(試験例4)
インキュベーション用溶液〔組成:10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.6)、2mMジチオスレイトール、0.2体積%TritonTM X−100、10体積%グリセロール〕中、実施例3で得られた多重変異体または実施例4で得られた多重変異体(100nM)を28μMポリ(rA)・p(dT)15の存在下に52〜58℃で一定時間(1、2、5、10または15分間)インキュベーションして熱処理を行ない、その後、氷上で30〜60分間インキュベーションした。
一方、前記インキュベーション用溶液中、WT(比較例1)を28μMポリ(rA)・p(dT)15の存在下に48〜52℃で一定時間(1、2、5、10または15分間)インキュベーションして熱処理を行ない、その後、氷上で30〜60分間インキュベーションした。
つぎに、反応液[組成:25mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM塩化カリウム、2mMジチオスレイトール、5mM塩化マグネシウム、12.5μMポリ(rA)・p(dT)15〔p(dT)15換算濃度〕、0.2mM [メチル−3H]dTTP(1.85Bq/pmol)〔ジーイーヘルスケア(GE Healthcare)社製〕]中、実施例3で得られた多重変異体、実施例4で得られた多重変異体またはWT(比較例)(10nM)を37℃でインキュベーションした。
一定時間(2.5、5.0または7.5分間)インキュベーション後の産物20μLを採取し、すぐに、ガラスフィルター〔ワットマン(Whatman)社製、商品名:GF/C、直径2.5cm〕にスポットした。つぎに、前記ガラスフィルターを、冷却した5質量%トリクロロ酢酸水溶液で10分間洗浄した。その後、前記ガラスフィルターを、冷却した95体積%エタノール水溶液で洗浄した。これにより、ポリ(rA)・p(dT)15に取り込まれていない[3H]dTTPを除去した。かかるトリクロロ酢酸水溶液による洗浄は3回繰り返した。また、エタノール水溶液による洗浄は1回繰り返した。
その後、前記ガラスフィルターを乾燥させた。ガラスフィルターを、液体シンチレーション用試薬〔ナショナル・ダイアグノシス(National Diagnostics)製、商品名:Ecoscint H〕2.5mL中に入れ、放射活性をカウントした。前記放射活性に基づいて、dTTP取り込み量を算出した。
前記dTTP取り込み量の経時的変化に基づいて、初期反応速度を算出した。つぎに、熱処理を行なっていない場合の初期反応速度(「初期反応速度a」という)と、熱処理を行なった場合の初期反応速度(「初期反応速度b」という)とから、残存活性を算出した。前記残存活性は、式(III):
残存活性(%)=(初期反応速度b/初期反応速度a)×100 (III)
を用いて算出した。つぎに、熱処理におけるインキュベーション時間(熱処理時間)に対する残存活性の対数値をプロットした。つぎに、式(IV):
ln[B]=A−kobst (IV)
(式中、Aは定数項を示し、Bは残存活性(%)を示し、tは熱処理時間を示す)
に基づいて熱不活性化一次速度定数kobsを決定した。
また、熱処理における温度に対するkobsの対数値をプロットした。つぎに、式(V):
ln(kobs)=A−(Ea/R)(l/T) (V)
(式中、Aは定数項を示し、Rは気体定数(=8.314J/K・mol)を示し、Tは絶対温度(K)である)
により、アレニウスプロットを用い、熱不活性化に対する活性化エネルギーEaを決定した。アレニウスプロットにより、kobs値が10分間で50%の残存活性を与える温度としてT50を推定した。
試験例4において、インキュベーション時間とln[残存活性(%)]との関係を調べた結果を図4に示す。なお、図4は、52℃で熱処理を行なった場合の結果を示す。また、図中、ln[残存活性(%)]は、残存活性の自然体数値を示す。
また、試験例4において、温度とln[kobs(s-1)]との関係を調べた結果を図5に示す。図中、ln[kobs(s-1)]は、kobsの自然対数値を示す。
図4に示された結果から、WT(比較例)の残存活性は、5分間のインキュベーションで10%未満に減少するのに対し、実施例3で得られた多重変異体および実施例4で得られた多重変異体それぞれの残存活性は、ほとんど減少しないことがわかる。これらの結果から、実施例3で得られた多重変異体および実施例4で得られた多重変異体は、WTよりも熱に対して安定であることがわかる。
図5に示された結果に基づいて、実施例3で得られた多重変異体、実施例4で得られた多重変異体およびWTそれぞれの最初の活性を10分間のインキュベーションで50%に減少させるのに必要な温度T50を算出した。その結果、実施例3で得られた多重変異体、実施例4で得られた多重変異体およびWTそれぞれの最初の活性を10分間のインキュベーションで50%に減少させるのに必要な温度T50は、それぞれ、45.1、54.2および55.9℃であると推定された。また、図5に示された結果に基づいて、実施例3で得られた多重変異体、実施例4で得られた多重変異体およびWTそれぞれの熱不活性化の活性化エネルギー(Ea)を算出した。その結果、実施例3で得られた多重変異体、実施例4で得られた多重変異体およびWTそれぞれの熱不活性化の活性化エネルギー(Ea)はそれぞれ、240、298および322kJ/molであると推定された。これらの結果から、実施例3で得られた多重変異体および実施例4で得られた多重変異体は、WTよりも安定であることがわかる。
(試験例5)
PCR用チューブに、水12μLと10×逆転写酵素緩衝液〔組成:250mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)、500mM塩化カリウム、20mMジチオスレイトール〕2μLと、2.0mM dNTP混合物1μLと、10μM RV−R26プライマー水溶液1μLと、標準RNA溶液(1.6pg/μL)1μLと、大腸菌RNA溶液(1.0μg/μL)1μLと、実施例3で得られた多重変異体、実施例4で得られた多重変異体またはWT(比較例1)の酵素溶液〔酵素溶液に用いられた溶媒の組成:10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.6)、2mMジチオスレイトール、0.2体積%TritonTM X−100、10体積%グリセロール〕2μLとを入れて混合し、反応混合液20μLを調製した。
なお、標準RNAは、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)のcesA遺伝子(ジーンバンクアクセッション番号:DQ360825)のDNA配列8353−9366に対応する1014ヌクレオチドのRNAをイン・ビトロ転写により調製した。RV−R26プライマーの塩基配列および配列番号を表5に示す。
得られた反応混合液を46〜64℃で30分間インキュベーションし、その後、95℃で5分間加熱した。つぎに、得られた産物3μLと、水18μLと10×PCR緩衝液〔組成:500mM塩化カリウム、100mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)、15mM塩化マグネシウム〕3μLと、10μM F5プライマー水溶液1μLと、10μM RVプライマー水溶液1μLと、2.0mM dNTP混合物3μLと、組換Taqポリメラーゼ溶液〔東洋紡(株)製、1U/μL〕1μLとを混合して、PCR用混合物30μLを調製した。得られたPCR用混合物を用い、PCRを行なった。PCRは、95℃で30秒間のインキュベーションの後、95℃で30秒間、55℃で30秒間および72℃で30秒間を1サイクルとする30サイクルの反応を行なうことにより行なった。F5プライマーおよびRVプライマーそれぞれの塩基配列および配列番号は、表5に示されるとおりである。
得られた増幅産物を、1.0質量%アガロースゲルを用いた電気泳動で分離し、エチジウムブロマイド(1μg/mL)で染色した。試験例5において、電気泳動を行なった結果を図6に示す。
図6に示された結果から、実施例3で得られた多重変異体および実施例4で得られた多重変異体がcDNA合成活性を示す最も高い温度は、60℃であり、WT(比較例1)がcDNA合成活性を示す最も高い温度は、54℃であることがわかる。これらの結果から、実施例3で得られた多重変異体および実施例4で得られた多重変異体は、WTよりも高い温度でcDNA合成活性を示すことがわかる。
(実施例5)
試験例1における評価がAAである置換対象のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換された変異体のなかから、E302Kを除き、残存活性が高い順に、3種類の変異体(L435R、D124RおよびE286R)を選択した。
製造例2において、表1に示されるアミノ酸残基の置換が生じるようにデザインされたプライマーの代わりに、選択された3種類のアミノ酸残基の置換が生じるようにデザインされたプライマーを用いたことを除き、製造例2と同様の操作を行ない、MMLV逆転写酵素の多重変異体(D124R/E286R/L435R)を得た。得られた多重変異体は、SDS−PAGE解析の結果、いずれも75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
得られた多重変異体のDNA相互作用領域における実効電荷の大きさのスコアは、+11であった。
(実施例6)
実施例5において、部位特異的変異用プライマーとして、選択された3種類のアミノ酸残基の置換と、配列番号:2における524位のAspのAlaへの置換(D524A)とが生じるようにデザインされたプライマーを用いたことを除き、実施例5と同様の操作を行ない、MMLV逆転写酵素の多重変異体(D124R/E286R/L435R/D524A)を得た。得られた多重変異体は、SDS−PAGE解析の結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
得られた多重変異体のDNA相互作用領域における実効電荷の大きさのスコアは、+11であった。
(実施例7)
実施例5において、部位特異的変異用プライマーとして、L435RおよびE286Rの2種類のアミノ酸残基の置換が生じるようにデザインされたプライマーを用いたことを除き、実施例5と同様に操作を行ない、MMLV逆転写酵素の多重変異体(E286R/L435R)を得た。得られた多重変異体は、SDS−PAGE解析の結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
得られた多重変異体のDNA相互作用領域における実効電荷の大きさのスコアは、+9であった。
(実施例8)
実施例5において、部位特異的変異用プライマーとして、実施例7で選択された2種類のアミノ酸残基の置換とD524Aとが生じるようにデザインされたプライマーを用いたことを除き、実施例5と同様に操作を行ない、MMLV逆転写酵素の多重変異体(E286R/L435R/D524A)を得た。得られた多重変異体は、SDS−PAGE解析の結果、75kDaの単一のバンドを示すことが確認された。
得られた多重変異体のDNA相互作用領域における実効電荷の大きさのスコアは、+9であった。
(試験例6)
試験例1において、製造例2で得られた単独変異体の代わりに、実施例5〜8で得られた多重変異体を用いたことを除き、試験例1と同様に操作を行ない、残存活性を算出した。試験例6において、多重変異体の種類とテンプレートプライマー存在下での多重変異体の残存活性との関係を調べた結果を図7に示す。図中、1は実施例5で得られた多重変異体の残存活性、2は実施例6で得られた多重変異体の残存活性、3は実施例7で得られた多重変異体の残存活性、4は実施例8で得られた多重変異体の残存活性を示す。
図7に示された結果から、実施例5〜8それぞれで得られた多重変異体は、WTと比べて、熱安定性が著しく高いことがわかる。したがって、WTにおけるテンプレートプライマーとの相互作用に関連する領域(配列番号:2に示されるアミノ酸配列において、24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域)において、少なくともE286を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換することにより、高い熱安定性を確保することができることがわかる。
以上の結果から、野生型MMLV逆転写酵素におけるテンプレートプライマーとの相互作用に関連する領域(配列番号:2に示されるアミノ酸配列において、24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域)において、少なくともE286を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換することにより、高い熱安定性を有する変異型逆転写酵素が得られることがわかる。
したがって、DNA相互作用領域の実効電荷の大きさのスコアが、WTのDNA相互作用領域における実効電荷よりも大きくなるように、DNA相互作用領域中のアミノ酸残基を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換し、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基をDNA相互作用領域に局在させることにより、高い熱安定性を確保することができることがわかる。
かかる変異型逆転写酵素(本発明の変異型逆転写酵素)は、高い熱安定性を有していることから、高い反応温度での反応に用いた場合であっても、高い逆転写酵素活性を発現する。そのため、本発明の変異型逆転写酵素によれば、テンプレートとして用いられるRNAが二次構造を形成しやすい配列を含む場合であっても、逆転写反応の際の反応温度を高い温度に設定することで、二次構造の形成を抑制し、かつ逆転写することができる。
したがって、本発明の変異型逆転写酵素は、用いられるRNA含有試料に制限されることのない汎用性の高い分析用試薬(例えば、逆転写反応キット)、ウイルス、細菌、疾患などの検出用試薬(例えば、検出キット)などとして有用であることが示唆される。
なお、逆転写酵素を含む核酸関連酵素には、核酸と相互作用する核酸相互作用領域(逆転写酵素におけるDNA相互作用領域)が存在している。したがって、本発明の変異型逆転写酵素の場合と同様に、核酸相互作用領域中のアミノ酸残基を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換することにより、高い熱安定性を確保することができることが期待される。
処方例
以下、逆転写反応キットおよび検出キットの例を示す。
(逆転写反応キット)
− 実施例1で得られた変異型逆転写酵素
− 10×逆転写酵素緩衝液
〔組成:250mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)、500mM塩化カリウム、20mMジチオスレイトール〕
− 2.0mM dNTP混合物
− 10μMプライマー水溶液
− 標準RNA溶液(1.6pg/μL)
(検出キット)
− 実施例1で得られた変異型逆転写酵素
− 10×逆転写酵素緩衝液
〔組成:250mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)、500mM塩化カリウム、20mMジチオスレイトール〕
− 2.0mM dNTP混合物
− 10μM RV−R26プライマー水溶液
− 標準RNA溶液(1.6pg/μL)
− 大腸菌RNA溶液(1.0μg/μL)
配列番号:3は、RV−R26プライマーの配列である。
配列番号:4は、F5プライマーの配列である。
配列番号:5は、RVプライマーの配列である。
【0039】

に基づいて熱不活性化一次速度定数kobsを決定した。
[0141]
また、熱処理における温度に対するkobsの対数値をプロットした。つぎに、式(V):
[0142]
In(kobs)=A−(E/R)(I/T) (V)
[0143]
(式中、Aは定数項を示し、Rは気体定数(=8.314J/K・mol)を示し、Tは絶対温度(K)である)
により、アレニウスプロットを用い、熱不活性化に対する活性化エネルギーEを決定した。アレニウスプロットにより、kobs値が10分間で50%の残存活性を与える温度としてT50を推定した。
[0144]
試験例4において、インキュベーション時間とIn[残存活性(%)]との関係を調べた結果を図4に示す。なお、図4は、52℃で熱処理を行なった場合の結果を示す。また、図中、In[残存活性(%)]は、残存活性の自然対数値を示す。
[0145]
また、試験例4において、温度とIn[kobs(s−1)]との関係を調べた結果を図5に示す。図中、In[kobs(s−1)]は、kobsの自然対数値を示す。
[0146]
図4に示された結果から、WT(比較例)の残存活性は、5分間のインキュベーションで10%未満に減少するのに対し、実施例3で得られた多重変異体および実施例4で得られた多重変異体それぞれの残存活性は、ほとんど減少しないことがわかる。これらの結果から、実施例3で得られた多重変異体および実施例4で得られた多重変異体は、WTよりも熱に対して安定であることがわかる。
[0147]
図5に示された結果に基づいて、実施例3で得られた多重変異体、実施例4で得られた多重変異体およびWTそれぞれの最初の活性を10分間のインキュベーションで50%に減少させるのに必要な温度T50を算出した。また、図5に示された結果に基づいて、実施例3で得られた多重変異体、実施例4で得られた多重変異体およびWTそれぞれの熱不活性化の活性化エネルギー(E)を算出した。これらの結果から、実施例3で得られた多重変異体およ
【0040】
び実施例4で得られた多重変異体は、WTよりも安定であることがわかる。
[0148]
(試験例5)
PCR用チューブに、水12μLと10×逆転写酵素緩衝液〔組成:250mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)、500mM塩化カリウム、20mMジチオスレイトール〕2μLと、2.0mM dNTP混合物1μLと、10μM RV−R26プライマー水溶液1μLと、標準RNA溶液(1.6pg/μL)1μLと、大腸菌RNA溶液(1.0μg/μL)1μLと、実施例3で得られた多重変異体、実施例4で得られた多重変異体またはWT(比較例1)の酵素溶液〔酵素溶液に用いられた溶媒の組成:10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.6)、2mMジチオスレイトール、0.2体積%TritonTM X−100、10体積%グリセロール〕2μLとを入れて混合し、反応混合液20μLを調製した。
[0149]
なお、標準RNAは、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)のcesA遺伝子(ジーンバンクアクセッション番号:DQ360825)のDNA配列8353−9366に対応する1014ヌクレオチドのRNAをイン・ビトロ転写により調製した。RV−R26プライマーの塩基配列および配列番号を表5に示す。
[0150]
[表5]

Claims (17)

  1. 野生型逆転写酵素のDNA相互作用領域中のアミノ酸残基の正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基への置換を有しており、前記野生型逆転写酵素のDNA相互作用領域よりも大きい正の実効電荷を有するDNA相互作用領域を有しており、かつ逆転写酵素活性を示すことを特徴とする、変異型逆転写酵素。
  2. 前記野生型逆転写酵素が、配列番号:2に対応するアミノ酸配列からなり、
    前記野生型逆転写酵素のDNA相互作用領域中のアミノ酸残基が、配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域中に局在するアミノ酸残基である、請求項1に記載の変異型逆転写酵素。
  3. 配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域中にアミノ酸残基の保存的置換を有する、請求項2に記載の変異型逆転写酵素。
  4. (A)配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域を除く配列における1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入または付加をさらに有するアミノ酸配列、および
    (B)配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域を除く配列に対して、BLASTアルゴリズムにより、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)、Expect 10、Word Size 3の条件でアラインメントして得られた配列同一性が少なくとも80%であるアミノ酸配列
    のいずれかのアミノ酸配列を有しており、かつ逆転写酵素活性を示す、請求項2または3に記載の変異型逆転写酵素。
  5. 配列番号:2の24位のスレオニン残基〜474位のプロリン残基に対応する領域に局在するアミノ酸残基のうちの負電荷アミノ酸残基の少なくともいずれかが、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されている、請求項2〜4のいずれかに記載の変異型逆転写酵素。
  6. 配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2の少なくとも286位のグルタミン酸残基に対応するアミノ酸残基が、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されており、かつ逆転写酵素活性を示すことを特徴とする、変異型逆転写酵素。
  7. 配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、配列番号:2中のアミノ酸残基:
    69位のグルタミン酸残基、108位のアスパラギン酸残基、117位のグルタミン酸残基、124位のアスパラギン酸残基、286位のグルタミン酸残基、302位のグルタミン酸残基、313位のトリプトファン残基、435位のロイシン残基および454位のアスパラギン残基
    の少なくとも1つに対応する残基が、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換されており(ただし、302位のグルタミン酸残基のアルギニンへの置換を除く)、かつ逆転写酵素活性を示すことを特徴とする、変異型逆転写酵素。
  8. 配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、下記アミノ酸残基の置換(a)〜(i):
    (a)配列番号:2の286位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、
    (b)配列番号:2の302位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基またはリジン残基への置換、
    (c)配列番号:2の435位のロイシン残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、
    (d)配列番号:2の124位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、
    (e)配列番号:2の69位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基またはアルギニン残基への置換、
    (f)配列番号:2の108位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、
    (g)配列番号:2の117位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基またはリジン残基への置換、
    (h)配列番号:2の313位のトリプトファン残基に対応する残基のアラニン残基、リジン残基またはアルギニン残基への置換、および
    (i)配列番号:2の454位のアスパラギン残基に対応する残基のアラニン残基またはアルギニン残基への置換
    からなる群より選択された少なくとも1つを有するアミノ酸配列からなり、かつ逆転写酵素活性を示すことを特徴とする、変異型逆転写酵素。
  9. (I)配列番号:2に対応するアミノ酸配列において、下記アミノ酸残基の置換(a−1)〜(c−1):
    (a−1)配列番号:2の286位のグルタミン酸残基に対応する残基のアラニン残基への置換、
    (b−1)配列番号:2の302位のグルタミン酸残基に対応する残基のリジン残基への置換、および
    (c−1)配列番号:2の435位のロイシン残基に対応する残基のアルギニン残基への置換
    を有するアミノ酸配列、または
    (II)前記(I)のアミノ酸配列において、(d−1)配列番号:2の124位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアルギニン残基への置換
    をさらに有するアミノ酸配列
    からなり、かつ逆転写酵素活性を示す、請求項8に記載の変異型逆転写酵素。
  10. 前記(I)または(II)のアミノ酸配列において、
    (e−1)配列番号:2の524位のアスパラギン酸残基に対応する残基のアラニン残基への置換
    をさらに有するアミノ酸配列
    からなり、かつ逆転写酵素活性を示す、請求項9に記載の変異型逆転写酵素。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の変異型逆転写酵素をコードする核酸。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の変異型逆転写酵素を製造する方法であって、
    請求項11に記載の核酸を保持する細胞を培養して当該核酸にコードされた変異型逆転写酵素を発現させ、培養物を得る工程、および
    前記工程で得られた培養物から変異型逆転写酵素を回収する工程
    を含む、変異型逆転写酵素の製造方法。
  13. 請求項1〜10のいずれかに記載の変異型逆転写酵素を用いてRNAからcDNAを合成することを特徴とする逆転写方法。
  14. 逆転写反応を行なうためのキットであって、
    請求項1〜10のいずれかに記載の変異型逆転写酵素を含有することを特徴とする逆転写反応キット。
  15. 生体から得られたRNAを含む試料中のマーカーを検出するためのキットであって、
    請求項1〜10のいずれかに記載の変異型逆転写酵素と前記マーカーの検出用試薬とを含有することを特徴とする検出キット。
  16. 核酸と相互作用する核酸相互作用領域を有する核酸関連酵素の熱安定性を向上させる方法であって、
    野生型核酸関連酵素をコードする核酸中の前記核酸相互作用領域に対応する塩基配列に対して、前記核酸相互作用領域中のアミノ酸残基を、正電荷アミノ酸残基または非極性アミノ酸残基に置換させる変異を導入して、前記野生型核酸関連酵素の核酸相互作用領域よりも大きい正の実効電荷を有する核酸相互作用領域を形成させることを特徴とする、核酸関連酵素の熱安定性の向上方法。
  17. 前記核酸関連酵素が逆転写酵素である、請求項16に記載の方法。
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